JP3048320B2 - グランドアンカーの施工方法 - Google Patents

グランドアンカーの施工方法

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JP3048320B2
JP3048320B2 JP7192502A JP19250295A JP3048320B2 JP 3048320 B2 JP3048320 B2 JP 3048320B2 JP 7192502 A JP7192502 A JP 7192502A JP 19250295 A JP19250295 A JP 19250295A JP 3048320 B2 JP3048320 B2 JP 3048320B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、法面、急傾
斜面、ダム、トンネル壁面を安定化する為、地滑り対策
の為に行われるグランドアンカーの施工方法に属する。
【0002】
【従来の技術】地盤等を安定化する為の工法としてグラ
ンドアンカー工法がある。グランドアンカー工法は地盤
を削孔してアンカー孔を造成し、アンカー孔内に引張材
を挿入して引張材の先端を地盤に固着したのち、この引
張材に緊張力を与え、基端を構造物等に定着することに
より行われる。この種のグランドアンカー工法では、掘
削孔の孔壁崩壊を防止するため、地盤中に設置された削
孔ケーシングロッド内に引張材を挿入したのち、該ケー
シングロッドを引き抜くという引張材の建て込み方法を
採用している。そのため削孔方法としては、二重管削孔
方法でなければ掘削できないような硬質地盤以外、リン
グビットやメタルクラウンなど先端部が開口している掘
削ビットを用いた単管ケーシング削孔を行うのが作業
上、好ましい。ただしこの削孔方法は、対象地盤によっ
てはロッド先端部内に掘削土が詰まる、いわゆるコア詰
まり現象を起こし、削孔が困難に或いは全く削孔が不能
になることが多々ある。そのため、従来そのような地盤
については、クローネンビットやロストビットなどの残
置式掘削ビットを用いた単管ケーシング削孔をまたは二
重管削孔を行うことで対処していた。
【0003】(1)残置式掘削ビットを用いた単管ケー
シング削孔方法は、ロストビット或いはクローネンビッ
トなどの残置式掘削ビットが先端に脱落可能に嵌入され
たケーシングを備えたものである。削孔する際には、ケ
ーシングを軸方向に順次連結することにより掘進する。 (2)二重管削孔方法は、リングビットやメタルクラウ
ンなどのアウタービットが先端に固定されたアウター管
と、このアウター管内に挿入する、ボタンビットやクロ
スビットなどのインナービットが先端に固定されたイン
ナー管とを備えたものである。削孔する際には、アウタ
ー管およびインナー管をそれぞれ連結することにより掘
進する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
(1)残置式掘削ビットを用いる単管ケーシング削孔方
法や(2)二重管削孔方法には、以下に掲げる問題点が
あった。 (1)’ところで、実際の施工においては、例えば、砂
層や砂礫層のような地層では、ジャミング防止のため、
時々ケーシングを僅かに引き上げると共に逆回転させな
ければならない場合がある。しかし、この種掘削ビット
を用いたケーシング単管削孔方法では、一方向のみしか
回転させることができないため、削孔作業に長時間を要
することがあった。また、ケーシング内に引張材を挿入
する際には掘削ビットを捨て、(具体的にはケーシング
を逆回転させ僅かに上方に引き抜き掘削ビットを脱落さ
せた後、引張材を挿入してビットを埋め殺す)為、施工
費用が嵩んでいた。 (2)’二重管削孔方法は、掘削能力は非常に優れてい
るが、削孔する際にはアウター管とインナー管をそれぞ
れ接続しなければならない。また、引張材をアウター管
に挿入する際には、インナー管を引く抜かなければなら
ない。そのため、アウター管やインナー管の接続作業お
よびインナー管の引き上げ切り放し作業にに多大な労力
と共に長時間を要し、施工費用が嵩んでいた。
【0005】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、施工期間を短縮し、施
工費用を軽減しかつ施工労力を軽減できるグランドアン
カーの施工方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の要
旨は、引張材の先端を地盤に固着し、この引張材に緊張
力を与えて該基端を構造物等に定着し地盤を安定化する
グランドアンカーの施工方法であって、 (1)アウタービットが先端に設けられた、軸方向に連
結されたケーシングパイプと、該ケーシングパイプ内の
先端部に挿入された、被咬合部が後端部に設けられると
共にインナービットが先端部に脱落不能に装着されたイ
ンナービットアセンブリとにより、該インナービットア
センブリが正逆回動可能な状態で且つパーカッション可
能な状態で前記インナービットアセンブリ内部から削孔
面に水を噴射させながら地盤を削孔して該ケーシングパ
イプを地中に設置する工程と、 (2)前記被咬合部に咬合可能な咬合部を先端に有し、
後端部をワイヤーに接続されたインナービット引揚装置
を前記ケーシングパイプ内に挿入し、前記ケーシングパ
イプの先端部に存する前記インナービットアセンブリの
被咬合部に前記咬合部を咬合させ、前記ワイヤーを引き
抜くことにより前記インナービットと共に前記インナー
ビットアセンブリを引き揚げる工程と、 (3)前記ケーシングパイプの中に引張材を挿入する工
程と、 (4)該ケーシングパイプを引き揚げる工程と、 (5)前記引張材の先端部を地山に固着した後、該引張
材を緊張し該引張材の基端を定着する工程とを備えたこ
とを特徴とするグランドアンカーの施工方法に存する。
【0007】請求項2記載の発明の要旨は、引張材の先
端を地盤に固着し、この引張材に緊張力を与えて該基端
を構造物等に定着し地盤を安定化するグランドアンカー
の施工方法であって、 (1)アウタービットが先端に設けられた、軸方向に連
結されたケーシングパイプと、該ケーシングパイプ内の
先端部に挿入された、咬合部が後端部に設けられると共
にインナービットが先端部に脱落不能に装着されたイン
ナービットアセンブリとにより、該インナービットアセ
ンブリが正逆回動可能な状態で且つパーカッション可能
な状態で前記インナービットアセンブリ内部から削孔面
に水を噴射させながら地盤を削孔して該ケーシングパイ
プを地中に設置する工程と、 (2)前記咬合部が咬合可能な被咬合部を先端に有し、
後端部をワイヤーに接続されたインナービット引揚装置
を前記ケーシングパイプ内に挿入し、前記ケーシングパ
イプの先端部に存する前記インナービットアセンブリの
咬合部を前記被咬合部に咬合させ、前記ワイヤーを引き
抜くことにより前記インナービットと共に前記インナー
ビットアセンブリを引き揚げる工程と、 (3)前記ケーシングパイプの中に引張材を挿入する工
程と、 (4)該ケーシングパイプを引き揚げる工程と、 (5)前記引張材の先端部を地山に固着した後、該引張
材を緊張し該引張材の基端を定着する工程とを備えたこ
とを特徴とするグランドアンカーの施工方法に存する。
【0008】本発明は以上のごとく構成されるので、本
発明によれば、ワイヤーを引き抜くだけで、ケーシング
の先端に装着されたインナービットを引き上げることが
できるので、ケーシング削孔したのち直ちにケーシング
内に引張材を建て込むことができる。他方、削孔の際に
は、インナービットは脱落不能に装着されているので正
逆双方に回動させることができ、効率よく削孔を行うこ
とができる。さらに、ケーシングに回転と共に衝撃を加
えることによって、砂層や砂礫層においても、効率の良
い削孔をすることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。まず、本実施の形態に係る
グランドアンカーの施工方法に用いる削孔装置1につい
て説明する。図1に示すように、削孔装置1は、鉛直方
向に地盤Gを削孔するもので、ケーシングパイプ10
と、その中に挿入され、先端側に位置するインナービッ
トアセンブリ20とから概略構成されている。本実施の
形態で先端側とは削孔方向(図1及び図2において白抜
矢印が示す方向)側を言う。なお、図中、符号40オー
バーショット、符号50はワイヤーである。紙面の都合
上、図1は簡略して描かれている。
【0010】ケーシングパイプ10は、図2に示すよう
に、軸方向に接続された複数のロッド11と、このロッ
ド11に接続され、先端に位置するトップケーシング1
2とから概略構成されている。
【0011】ロッド11は、先端側端部に雄ねじが、基
端側(地表側)端部に雌ねじが切られた筒状体である。
【0012】トップケーシング12は、先端側端部にア
ウタービット13が螺着され、基端側端部に雌ねじが切
られている。この雌ねじにロッド11の雄ねじが螺合さ
れて、アウタービット13が先端側に位置している。ラ
ッチ27が接触する部分の内径は、ロッド11の先端側
端部の内径よりも大きく、段差部11aが形成されてい
る。また、図2及び図3に示すように、周方向の一部に
は凸部12aが軸方向に延在するように設けられてい
る。
【0013】インナービットアセンブリ20は、図2に
示すように、筒状のインナーチューブ21が基体をなし
ている。インナーチューブ21の先端側にはインナービ
ット33が螺着されている。インナーチューブ21の基
端側には、スピア(被咬合部)22が取り付けられてい
る。
【0014】スピア22は、図2及び図4に示すよう
に、基端側には雄部22a(図4において図示略)が、
先端側には十字状の脚部22bが形成されている。脚部
22bはスピアピン23によりスピアホルダー24に取
り付けられている。スピアホルダー24は、短尺の筒状
体である。基端側には径方向内側に突出する鍔部24a
が形成され、先端側端部には雄ねじが切られている。ス
ピアホルダー24は、ラッチホルダー25に取り付けら
れている。
【0015】ラッチホルダー25は、図2及び図5に示
すように先端側には2片のラッチ挟装片25aを有する
略筒状体であり、インナーチューブ21(図5において
図示略)の基端側外側面を、軸方向に摺動可能に覆って
いる。両ラッチ挟装片25aは、同一形状をなし、筒状
部分と同じ曲率をもって湾曲して、周方向に所定間隔を
介している。各ラッチ挟装片25aの長手方向略中央部
には矩形のラッチ穴25bが開口されている。基部には
ボルト孔25cが開孔されている。このボルト孔25c
に挿入された、径方向反対側に設けられた一対のストッ
パーボルト26(図5において図示略)によりラッチホ
ルダー25はインナーチューブ21に取り付けられてい
る。
【0016】ラッチ27は、径方向に開閉自在に、イン
ナーチューブ21の略中央に取り付けられている。両ラ
ッチ27は、図3に示すように径方向反対側に位置し、
ラッチスプリング28(図3において図示略)により径
方向外側に付勢されている。それ故、ラッチホルダー2
5がインナーチューブ21に取り付けられた状態では、
ラッチ27の径方向外側部分が図2及び図5に示すラッ
チ穴25bに挿入された状態になる。
【0017】インナーチューブ21の基端側端部には、
図2に示すようにスプリングプッシュ32が螺着されて
いる。スプリングプッシュ32は短尺の筒状体であり、
基端側端部には径方向外側に突出するフランジ32aが
形成されている。このフランジ32aの基端側端面は、
スピアホルダー24の先端側端面に当接している。フラ
ンジ32aは、その先端側端面とラッチホルダー25の
内周凸部25eとの間に介装されたスプリング31に押
圧されている。このスプリング31がスプリングプッシ
ュ32を基端側に押圧し、スピアホルダー24に螺着さ
れたラッチホルダー25が先端側に付勢された状態にな
っている。図中、符号29、30はOリングである。
【0018】次に、インナービットアセンブリ20を引
き揚げるためのオーバーショット40(インナービット
引揚装置)について説明する。オーバーショット40
は、図6に示すような、ワイヤー50に接続されてお
り、先端にスピアラッチ41(咬合部)が設けられてい
る。
【0019】スピアラッチ41は、2片のラッチ片42
(紙面右側に2点鎖線で示すラッチ片42はそれが開い
た状態が示されている)が略中央部においてスプリング
ピン43により回動可能に接続された洗濯ハサミ状のも
のである。先端側は、スピア22に咬合可能な形状に形
成されている。基端側はラッチバネ45により、先端側
が閉じるように付勢されている。スピアラッチ41は他
のスプリングピン44によりラッチアウトリング46に
接続されている。ラッチアウトリング46はハンガーシ
ャフト47を介してパイプ48に接続されている。パイ
プ48の基端側にはキャップ49が螺着されている。
【0020】次に、以上の如く構成された削孔装置1の
動作について図7乃至図9を用いて説明する。なお、図
7乃至図9は部分断面図である。ラッチ27はその側面
が描かれている。
【0021】掘削する際には、図7に示すように、ロッ
ド11の段差部11aがラッチ27の自由端27aを押
圧することにより、ロッド11がインナービットアセン
ブリ20を押進させる。同時に図3に示すトップケーシ
ング12の凸部12aがラッチ27の側面27bを押圧
し、インナービットアセンブリ20を回転させる。これ
らの動作によって、インナービット33(図7乃至図9
において図示略)は地盤を削孔することができる(ロッ
ド11を含むケーシングパイプ10自身は、地表に設置
された削孔機により回転し、掘進する)。その結果、ア
ウタービット13(図7乃至図9において図示略)と共
にインナービット33により地盤を削孔することができ
る。アウタービット13としては、既存のリングビット
やメタルクラウンなどを使用することができる。また、
インナービット33としては、通常の二重管削孔に用い
るクロスビットやボタンビットなどを使用することがで
きる。
【0022】ワイヤー50に接続されたオーバーショッ
ト40(図7乃至図9において図示略)をケーシングパ
イプ10内に下ろし、径方向内側に付勢されているスピ
アラッチ41は、図2に示すスピア22に当接するとそ
の形状に沿って開き、図9に示すようにスピア22を咬
合する。
【0023】スピアラッチ41がスピア22を咬合した
状態でワイヤー50を巻き上げると、ラッチホルダー2
5が基端側にスライドし、図5にも示す内端面25dが
ラッチ27の固定端27eの近傍に当接する。さらにワ
イヤー50を巻き上げると、図8に示すように内端面2
5dがラッチ27を押圧し閉じさせる。さらにワイヤー
50を巻き上げると、図2に示す先端側端面25fがス
トッパーボルト26に係止される。さらにワイヤー50
を巻き上げれば、インナービットアセンブリ20を引き
揚げることができる。
【0024】次に、削孔装置1を用いた本グランドアン
カーの施工方法について図10乃至図14を用いて説明
する。まず、図10に示すように、削孔装置1により所
定深度まで地盤Gを削孔してケーシングパイプ10を地
中に設置する。削孔完了後、図11に示すようにワイヤ
ー50を巻き上げオーバーショット40によりインナー
アセンブリ20を引き揚げる。
【0025】次いで、図12に示すようにケーシングパ
イプ10内にグラウト材gを注入し、そののち引張材6
0を該ケーシング10内に挿入する。引張材60は先端
側の定着長部Aと自由長部Bとからなり、定着長部Aは
注入されたグラウト材gにより地盤と一体的に固着さ
れ、自由長部BはアンボンドチューブTが被覆されて地
盤に対し移動が確保されている。
【0026】次いで、図13に示すようにケーシングパ
イプ10を該先端部が前記自由長部Bの基端部に位置す
るまで順次引き上げながら、グラウト材gを定着部Aの
周囲地盤に加圧注入する。加圧注入を行った後、ケーシ
ングパイプ10は引き抜かれる。グラウト材gとしては
セメントミルク、モルタル等、本発明が実施される上で
好適なものが用いられる。
【0027】次いで、グラウト材gに所定の強度が発現
し、引張材60の定着長部Bが地盤Gに固着された後、
引張材60を緊張し、その基端部60bを図14に示す
如く定着する。定着方法としては、楔式、ナット式等、
好適な方法が用いられる。
【0028】次に、本実施の形態に係るグランドアンカ
ーの施工方法の効果について説明する。ワイヤー50の
先端に取り付けたオーバーショット40を、インナービ
ットアセンブリ20に咬合させ、ワイヤー50を巻き上
げるだけで、すばやくインナービットアセンブ20を引
き揚げることができる。したがって、従来の二重管削孔
方法を用いる場合の如くインナー管の引き揚げやネジ部
の切り放し作業が不要となり、ケーシングで削孔したの
ち直ちにケーシング内に引張材60を建て込むことが可
能となる。それ故、施工労力を軽減し、また施工期間を
短縮することができる。削孔時にはインナービット33
はトップケーシングに固定されており正逆双方に回動可
能なので、削孔効率を向上させることができる。また、
インナーチューブ21の先端に螺着されたインナービッ
ト33は、地盤中に埋め殺されずに、オーバーショット
40により回収することができるので経済的である。そ
の結果、施工期間を短縮し、かつ施工費用を減少させる
ことができる。施工実験では、対象地盤や削孔方法によ
って異なるが、概ね施工時間が従来の2/3〜1/2で
あった。実験結果に基づく試算では、概ね施工費用は従
来の2/3以下になった。
【0029】なお、引張材の先端部の固着方法として
は、パッカーを用いた加圧注入を行うことができる。斯
かる場合には、まず、上記実施の形態と同様に図10に
示す如く削孔装置1を用いて地盤Gを掘削し、図11に
示す如くインナービットアセンブリ20を引き抜く。次
いで、パッカー及び注入パイプが装着された引張材(図
示せず)をケーシングパイプ10の中に挿入する。次い
で、グラウト材gを注入パイプの先端から注入(1次注
入)し、ケーシングパイプ10内をグラウト材gで充填
する。次いで、ケーシングパイプ10を引き抜き、パッ
カーを膨張させた後、引張材先端の周辺地盤にグラウト
材gを加圧注入(2次注入)する。グラウト材gに所用
の強度が発現した後、引張材を緊張し、基端を定着す
る。以上により、引張材の先端を地盤に固着することが
できる。
【0030】なお、グラウト材gをケーシングパイプ1
0内に充填するための1次注入は、引張材を挿入する前
に、別途用意した注入パイプをケーシングパイプ10に
挿入することによって行っても良い。
【0031】さらに、引張材の先端部の固着方法として
は、開翼式アンカー部材を用いる方法もある。まず、上
記実施の形態と同様に図10に示す如く削孔装置1を用
いて地盤Gを掘削し、図11に示す如くインナービット
アセンブリ20を引き抜く。次いで、機械的に開翼する
アンカー部材が先端部に設けられた引張材(図示せず)
を、アンカー部材が閉じた状態で、ケーシングパイプ1
0の中に挿入する。次いで、ケーシングパイプ10を引
き抜くと共に前記アンカー部材を開き、アンカー部材を
地盤に食い込ませることによって引張材の先端部を地盤
に固着する。その後、引張材を緊張し、基端を定着す
る。この種の開翼式アンカー部材を使用した場合、グラ
ウト材を注入せずに、引張材の先端部を地盤に固着する
ことができる。なお、この場合でも防錆のためにセメン
トミルク等のグラウト材を孔壁と引張材の間に充填する
のが好ましいことは言うまでもない。
【0032】また、上記実施の形態においては鉛直方向
に削孔する場合について用いたが、水平方向、垂直方向
にアンカーを設置する場合等にも用いることができる。
水平方向に削孔する場合、オーバーショット40のケー
シングパイプ10への挿入は、水圧等を利用して行えば
よい。
【0033】実際に削孔する際には、インナービットア
センブリ20内部から削孔面に水を噴射させながら削孔
することが好ましい。斯かる放水は、図2及び図4に示
すようにスピア22及びスピアホルダー24が、インナ
ーチューブ21の基端側を閉塞していないので可能とな
る。また、ケーシングパイプ10に回転力と共にパーカ
ッションを加えながら削孔することもできる。
【0034】また、引張材としては鋼線、鋼より線、鋼
棒、異型鋼棒等、本発明が実施される上で好適なものが
用いることができる。また、ロッド11、トップケーシ
ング12、インナービットアセンブリ20の長さ、径、
形状については、特に特定的な記載がない限りは本発明
を実施する上で好適なものとすることができる。
【0035】また、上記実施の形態においては、スピア
(被咬合部)22はインナービットアセンブリ20に、
スピアラッチ(咬合部)41はオーバーショット40に
設けられていたが、本発明においては咬合部をインナー
ビットアセンブリ20に、被咬合部をオーバーショット
40に設けることもできる。
【0036】また、咬合部及び被咬合部については、上
記実施の形態に限定されるものではなく、本発明におい
ては互いに咬合可能な構造であればよい。なお、上図に
おいて、同一構成要素には同一符号を付している。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成されので、ワイ
ヤーを引き抜くだけで、ケーシングの先端に装着された
インナービットを引き揚げることができ、削孔した後、
直ちに、ケーシング内に引張材を建て込むことができ
る。他方、削孔の際には、インナービットはケーシング
先端に脱落不能に装着されているので、正逆双方に回動
させることができ、効率よく削孔を行うことができる。
さらに、ケーシングに回転力と共に衝撃力を加えること
によって砂層や砂礫層においても、効率の良い削孔をす
ることが可能となる。その結果、本発明によれば、施工
期間を短縮し、施工費用を減少させることができる共
に、施工労力を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る削孔装置の一部破断の側面図であ
る。
【図2】図3のAーA断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図2のC−C断面図である。
【図5】ラッチホルダーの斜視図である。
【図6】オーバーショットの側面図である。
【図7】削孔装置の動作を示す図である。
【図8】削孔装置の動作を示す図である。
【図9】削孔装置の動作を示す図である。
【図10】実施の形態に係るグランドアンカーの施工方
法の工程図である。
【図11】実施の形態に係るグランドアンカーの施工方
法の工程図である。
【図12】実施の形態に係るグランドアンカーの施工方
法の工程図である。
【図13】実施の形態に係るグランドアンカーの施工方
法の工程図である。
【図14】実施の形態に係るグランドアンカーの施工方
法の工程図である。
【符号の説明】
A 定着長部 B 自由長部 g グラウト材 T アンボンドチューブ 1 削孔装置 10 ケーシングパイプ 11 ロッド 11a 段差部 12 トップケーシング 12a 凸部 13 アウタービット 20 インナービットアセンブリ 21 インナーチューブ 22 スピア 22a 雄部 22b 脚部 23 スピアピン 24 スピアホルダー 24a 鍔部 25 ラッチホルダー 25a ラッチ挟装片 25b ラッチ穴 25c ボルト孔 25d 内端面 25e 内周凸部 25f 先端側端面 26 ストッパーボルト 27 ラッチ 27a 自由端 27b 側面 27c 固定端 28 ラッチスプリング 29、30 Oリング 31 スプリング 32 スプリングプッシュ 32a フランジ 33 インナービット 34 送水路 40 オーバーショット 41 スピアラッチ 42 ラッチ片 43、44 スプリングピン 45 ラッチバネ 46 ラッチアウトリング 47 ハンガーシャフト 48 パイプ 49 キャップ 50 ワイヤー 60 緊張材 60a 先端部 60b 基端部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張材の先端を地盤に固着し、この引張
    材に緊張力を与えて該基端を構造物等に定着し地盤を安
    定化するグランドアンカーの施工方法であって、 (1)アウタービットが先端に設けられた、軸方向に連
    結されたケーシングパイプと、該ケーシングパイプ内の
    先端部に挿入された、被咬合部が後端部に設けられると
    共にインナービットが先端部に脱落不能に装着されたイ
    ンナービットアセンブリとにより、該インナービットア
    センブリが正逆回動可能な状態で且つパーカッション可
    能な状態で前記インナービットアセンブリ内部から削孔
    面に水を噴射させながら地盤を削孔して該ケーシングパ
    イプを地中に設置する工程と、 (2)前記被咬合部に咬合可能な咬合部を先端に有し、
    後端部をワイヤーに接続されたインナービット引揚装置
    を前記ケーシングパイプ内に挿入し、前記ケーシングパ
    イプの先端部に存する前記インナービットアセンブリの
    被咬合部に前記咬合部を咬合させ、前記ワイヤーを引き
    抜くことにより前記インナービットと共に前記インナー
    ビットアセンブリを引き揚げる工程と、 (3)前記ケーシングパイプの中に引張材を挿入する工
    程と、 (4)該ケーシングパイプを引き揚げる工程と、 (5)前記引張材の先端部を地山に固着した後、該引張
    材を緊張し該引張材の基端を定着する工程とを備えたこ
    とを特徴とするグランドアンカーの施工方法。
  2. 【請求項2】 引張材の先端を地盤に固着し、この引張
    材に緊張力を与えて該基端を構造物等に定着し地盤を安
    定化するグランドアンカーの施工方法であって、 (1)アウタービットが先端に設けられた、軸方向に連
    結されたケーシングパイプと、該ケーシングパイプ内の
    先端部に挿入された、咬合部が後端部に設けられると共
    にインナービットが先端部に脱落不能に装着されたイン
    ナービットアセンブリとにより、該インナービットアセ
    ンブリが正逆回動可能な状態で且つパーカッション可能
    な状態で前記インナービットアセンブリ内部から削孔面
    に水を噴射させながら地盤を削孔して該ケーシングパイ
    プを地中に設置する工程と、 (2)前記咬合部が咬合可能な被咬合部を先端に有し、
    後端部をワイヤーに接続されたインナービット引揚装置
    を前記ケーシングパイプ内に挿入し、前記ケーシングパ
    イプの先端部に存する前記インナービットアセンブリの
    咬合部を前記被咬合部に咬合させ、前記ワイヤーを引き
    抜くことにより前記インナービットと共に前記インナー
    ビットアセンブリを引き揚げる工程と、 (3)前記ケーシングパイプの中に引張材を挿入する工
    程と、 (4)該ケーシングパイプを引き揚げる工程と、 (5)前記引張材の先端部を地山に固着した後、該引張
    材を緊張し該引張材の基端を定着する工程とを備えたこ
    とを特徴とするグランドアンカーの施工方法。
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