JP3047013U - コルクタイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度上昇や吸湿により膨張した場合に、敷き
詰られたコルクタイルが相互に突当たって合わせ目が浮
き上がったり、床材表面が波打つことを防止すると共
に、コルクタイルの剥離や、欠損を発生しないコルクタ
イルを提供することにより、維持費用を削減し、更に、
浮き上がった部分や角部に歩行者が足を引っ掛けて転倒
するなどの危険性を排除して安全性を向上させること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂をバインダーとしてコルク
チップを板状に圧搾成形したコルク板を、プレスによる
打抜き加工により、周囲にさねはぎ形状(2) を形成する
ように打ち抜いたコルクタイルによれば、該コルクタイ
ル(1) が膨張した場合、コルクタイル(1) の周縁に形成
したさねはぎ形状(2) の連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2
b)が噛み合うことにより、コルクタイル(1) の組合せ部
の浮き上がりを抑える作用を発揮する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、床材、壁材等、各種建築用材料として有用なコルクタイルに関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、熱可塑性樹脂をバインダーとしてコルクチップを薄板状に圧搾成形 したコルク板は、コルク独特の風合いを有すること、断熱性、吸音性、防虫性に 優れることなどの特徴を有することから、建築内装材や家具等のインテリア分野 で用いられ、特にコルク板をカットして形成したコルクタイルを敷き詰めた高級 床材は良好な踏歩性と保温性を有している。

【０００３】 上記コルクタイルはコルク板をカッター、ジグソーを用いてカットしており、 余り大きい形状であると取扱いに不便であるため、一辺が３０ｃｍ程度の正方形 やこれと同程度の長方形が一般的である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、コルクタイルは温度や湿度の変化に敏感で、温度上昇や吸湿によって 膨張や反りを発生するため、施工時には隙間なく平面状に敷き詰められていたコ ルクタイルは、これらの変形により隣接するコルクタイル同士が突当たり、合わ せ目が浮き上がって床材表面が波打ってしまい、外観体裁が悪化するだけでなく 、浮き上がった角部に歩行者の足を引っ掛けることなどにより転倒する危険性が あるほか、カッターやジグソーで裁断した裁断面は他の部分と比較して強度が低 下しており、浮き上がった角部に歩行者の足、又は物などが当たり、コルクタイ ルの剥離や、角部の欠損が頻繁に発生するという欠点があった。

【０００５】 このようにコルクタイルは損傷し易く、取扱いに慎重を要し、温度や湿度の管 理等が必要であり、また痛んだ部分を放置しておくと加速度的に欠損が進行する ため、頻繁に修復や張り替えが必要であり、そのため維持費用が嵩み、コルクタ イルによる床材の普及を阻害していた。

【０００６】 そこで本考案は、温度上昇や吸湿により膨張した場合に、敷き詰られたコルク タイルが相互に突当たって合わせ目が浮き上がったり、床材表面が波打つことを 防止すると共に、コルクタイルの剥離や、欠損を発生しないコルクタイルを提供 することにより、維持費用を削減し、更に、浮き上がった部分や角部に歩行者が 足を引っ掛けて転倒するなどの危険性を排除して安全性を向上させることにより 、コルクタイルによる床材の普及を促進することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は熱可塑性樹脂をバインダーとしてコルクチップを板状に圧搾成形した コルク板を、プレスによる打抜き加工により、周縁にさねはぎ形状を形成するよ うに打ち抜いて形成したコルクタイルを基本とする。

【０００８】

【考案の実施の形態】及び

【実施例】

（実施例１） 本考案の実施例１に係るコルクタイル(1) について図を用いて説明すると、図 １はコルクタイル(1) の平面図であって、まずコルク原料（コルク樫の樹皮）を 粉砕したコルクチップに接着剤（熱可塑性樹脂バインダー）としてアクリル樹脂 を加えて混合攪拌し、圧搾、加熱して厚さ３ｍｍの板状に成形したコルク板を得 る。尚、原料の配合量はコルクチップ８０重量％に対し、アクリル樹脂２０重量 ％とする。また、熱可塑性樹脂バインダーとして、アクリル樹脂の他、フェノー ルレジン、ウレタン樹脂接着剤、エポキシウレタン接着剤、酢酸ビニル系接着剤 、さらにはこれらにグリコールを添加したもの等を使用することができる。

【０００９】 このようにして得られたコルク板を縦３０ｃｍ、横３０ｃｍで周縁にさねはぎ 形状(2) を有した輪郭形状のプレスカッターを用いて打ち抜き、図１のような輪 郭形状のコルクタイル(1) を得る。該コルクタイル(1) は、裁断面の周辺の強度 が保たれているため、コルクタイル(1) の剥離や、角部の欠損が減少する。

【００１０】 上記のようにして得られたコルクタイル(1) の周縁に形成したさねはぎ形状(2 ) を形成する連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)のうち、連結用凸縁(2a)を、他の コルクタイル(1) の周縁に形成した連結用凹縁(2b)に嵌め合わせるようにして、 コルクタイル(1) を組み合わせて、床面にコルクタイル(1) を敷き詰めた後、温 度変化や湿度によりコルクタイル(1) が膨張した場合、隣接するコルクタイル(1 ) 同士が突張り合うが、連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)が噛み合うことにより 、コルクタイル(1) の組合せ部の浮き上がりを抑える作用を発揮し、また浮き上 がる場合でも、連結用凸縁(1a)だけが各々独立に浮き上がるため、コルクタイル (1) の全体が大きく浮き上がることがなく、床材が波打って見えることがない。

【００１１】 更に、コルクタイル(1) の端部の浮き上がりが防止されることにより、歩行者 の足の引っ掛かりなどが防止されて転倒等の危険性が排除され、コルクタイル(1 ) の剥離、または角部の欠損の発生も抑制することができる。

【００１２】 （実施例２） 本考案の実施例２に係るコルクタイル(1) について図を用いて説明すると、図 ２はコルクタイル(1) を組み合わせた状態における、組み合わせ部の部分平面図 であって、まず実施例１と同様の手段により厚さ３ｍｍの板状に成形したコルク 板を得る。

【００１３】 次に得られたコルク板を縦３０ｃｍ、横３０ｃｍで周縁にさねはぎ形状(2) を 有した輪郭形状のプレスカッターを用いて打ち抜くが、該さねはぎ形状(2) は組 み合わせた場合に連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)の間に巾０．５ｍｍの隙間(c ) を生じるよう、該連結用凸縁(2a)より先端が０．５ｍｍ長い、間隙形成凸縁(2 c)を該連結用凸縁(2a)と交互に形成し、図２のようなさねはぎ形状を有するコル クタイル(1) を得る。該コルクタイル(1) は、打ち抜き加工により裁断面の周辺 の強度が保たれているため、コルクタイル(1) の剥離や、角部の欠損が減少する こととなる。

【００１４】 上記のようにして得られたコルクタイル(1) の周縁に形成したさねはぎ形状(2 ) のうち、連結用凸縁(2a)及び間隙形成凸縁(2c)を、他のコルクタイル(1) の周 縁に形成した連結用凹縁(2b)に嵌め合わせると、該連結用凹縁(2b)と該連結用凸 縁(2a)の間に間隙(B) を生じ、温度変化や湿度によりコルクタイル(1) が膨張し た場合にも、該間隙(B) が膨張分を吸収し、隣接するコルクタイル(1) 同士が突 張り合うことがなく、該コルクタイル(1) の組み合わせ部分が浮き上がることが ない。

【００１５】 また膨張が進行して隣接するコルクタイル(1) 同士が突張り合う場合には、前 記連結用凸縁(2a)及び前記間隙形成凸縁(2c)が前記連結用凹縁(2b)と噛み合うこ とにより、コルクタイル(1) の組合せ部の浮き上がりを抑える作用を発揮し、ま た浮き上がる場合でも、連結用凸縁(1a)及び間隙形成凸縁(2c)だけが各々独立に 浮き上がるため、コルクタイル(1) の全体が大きく浮き上がることがなく、床材 が波打って見えることがないと同時に、歩行者の足の引っ掛かりなどが防止され て転倒等の危険性が排除され、コルクタイル(1) の剥離、または角部の欠損の発 生も抑制することができる。

【００１６】 （実施例３） 本考案の実施例３に係るコルクタイル(1) について図を用いて説明すると、図 ３はコルクタイル(1) を組み合わせた状態の断面図であって、まず実施例１と同 様の手段により厚さ３ｍｍの板状に成形したコルク板を得、該コルク板を縦３０ ｃｍ、横３０ｃｍで周縁にさねはぎ形状(2) を有した輪郭形状のプレスカッター を用いて打ち抜き、図１と同様な輪郭形状を有するのコルク主体を得る。

【００１７】 次に、得られたタイル主体に、タイル主体の外形輪郭線に一致し、側面(1a)の 下部を側面(1a)の上部より内側に押圧する側板を有するプレス型を用い、且つバ インダーとして用いた熱可塑性樹脂が永久歪を生ずる温度条件下においてタイル 主体の側面(1a)を加圧する。なお、コルク板を成形した時の熱が十分残っていれ ば、プレス型を用いた加圧時に改めて加熱する必要はないが、すでに自然冷却し てしまっている場合は再度コルク主体に加熱を行う。

【００１８】 上記のようにして得られたコルクタイル(1) は図３に示すように下面(1c)の端 部が上面(1b)の端部と比較して０．５ｍｍ内側へ押し込まれた形状に永久変形し ており、また、コルクタイル(1) の裁断面の周辺の組成が密となり、他の部分と 比較して固く、丈夫になっており、コルクタイル(1) の剥離や、角部の欠損が減 少する。

【００１９】 そしてコルクタイル(1) の周縁に形成したさねはぎ形状(2) を形成する連結用 凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)のうち、連結用凸縁(2a)を、他のコルクタイル(1) の 周縁に形成した連結用凹縁(2b)に嵌め合わせるようにして、コルクタイル(1) を 組み合わせると、組み合わせ部分に実施例２のような間隙は上面(1b)の側からは 見えないが、下面(1c)の側に一様な蛇行状の溝(c) が形成されるため、温度変化 や湿度によりコルクタイル(1) が膨張した場合にも、該溝(c) が膨張分を吸収し 、隣接するコルクタイル(1) 同士が突張り合うことがなく、コルクタイル(1) の 組み合わせ部分が浮き上がることがない。

【００２０】 また膨張が進行して隣接するコルクタイル(1) 同士が突張り合う場合には、前 記連結用凸縁(2a)と前記連結用凹縁(2b)が噛み合うことにより、コルクタイル(1 ) の組合せ部の浮き上がりを抑える作用を発揮し、また浮き上がる場合でも、連 結用凸縁(2a)だけが各々独立に浮き上がるため、コルクタイル(1) の全体が大き く浮き上がることがなく、床材が波打って見えることがないと同時に、歩行者の 足の引っ掛かりなどが防止されて転倒等の危険性が排除され、コルクタイル(1) の剥離、または角部の欠損の発生も抑制することができる。

【００２１】 本考案に係るコルクタイル(1) は上記実施例に限られるものではなく、使用目 的等に応じてコルクチップと熱可塑性樹脂バインダーの配合比率、熱可塑性樹脂 バインダーの種類、または裁断の寸法、さねはぎ加工の形状を選択変更でき、コ ルクタイル(1) の周縁部を加工するプレス手段として、実施例３のように裁断後 にプレス加工する他、プレスカッターの内面にコルクタイル(1) の側面(1a)を押 圧する押圧部を形成して、コルク板の成形時の熱が残っている間に、打ち抜き加 工と同時に周縁部に加工することにより、作業時間を短縮して効率的に周縁部を 処理したコルクタイル(1) を製造してもよい。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明した、本考案に係るコルクタイル(1) によれば、コルクタイル(1) は 打ち抜き加工により裁断面の周辺の強度が保たれているため、コルクタイル(1) の剥離や角部の欠損が減少することになり、コルクタイル(1) の周縁に形成した さねはぎ形状(2) を形成する連結用凸縁(2a)を、他のコルクタイル(1) の周縁の 連結用凹縁(2b)にはめ合わせるようにして、コルクタイル(1) を組み合わせ、床 面にコルクタイル(1) を敷き詰めた後に、温度変化や湿度によりコルクタイル(1 ) が膨張した場合に、隣接するコルクタイル(1) の下面(1c)が突張り合うが、前 記連結用凸縁(2a)と前記連結用凹縁(2b)が噛み合うことにより、コルクタイル(1 ) の組合せ部の浮き上がりを抑える作用を発揮し、また浮き上がる場合でも、力 が分散されて連結用凸縁(1a)だけが各々独立に浮き上がるため、コルクタイル(1 ) の全体が大きく浮き上がることがなく、床材が波打って見えることがない。

【００２３】 以上により、温度上昇や吸湿により膨張した場合に、敷き詰られたコルクタイ ルが相互に突当たって合わせ目が浮き上がったり、床材表面が波打つことを防止 すると共に、コルクタイルの剥離や、欠損を発生しないコルクタイルを提供する ことにより、維持費用を削減し、更に、浮き上がった部分や角部に歩行者が足を 引っ掛けて転倒するなどの危険性を排除して安全性を向上させることにより、コ ルクタイルによる床材の普及を促進することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る実施例１のコルクタイルの平面図
である。

【図２】本考案に係る実施例２のコルクタイルを組み合
わせた状態における、組み合わせ部の部分平面図であ
る。

【図３】本考案に係る実施例３のコルクタイルを組み合
わせた状態の断面図である。

【符号の説明】

(1) コルクタイル (1a) 側面 (1b) 上面 (1c) 下面 (2) さねはぎ形状 (2a) 連結用凸縁 (2b) 連結用凹縁 (2c) 間隙形成凸縁

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱可塑性樹脂をバインダーとしてコルク
   チップを板状に圧搾成形したコルク板を、プレスによる
   打抜き加工により、周縁にさねはぎ形状(2)を形成する
   ように打ち抜いて形成したコルクタイル。
2. 【請求項２】 周縁に形成したさねはぎ形状(2) を形成
   する連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)のうち、連結用凸
   縁(2a)を、他のコルクタイル(1) の周縁に形成した連結
   用凹縁(2b)に嵌め合わせた場合に、該連結用凸縁(2a)と
   該連結用凹縁(2b)の間に間隙(B) を形成するようにした
   請求項１記載のコルクタイル。
3. 【請求項３】 下面(1c)の端部を上面(1b)の端部より内
   側へ押し込まれた形状とし、周縁に形成したさねはぎ形
   状(2) を形成する連結用凸縁(2a)と連結用凹縁(2b)のう
   ち、連結用凸縁(2a)を、他のコルクタイル(1) の周縁に
   形成した連結用凹縁(2b)に嵌め合わせた場合に、下面(1
   c)の側に溝(C) を形成するようにした請求項１記載のコ
   ルクタイル。