JP5460137B2 - 通気溝付構造用面材 - Google Patents

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本発明は、外装下地として使用されたときに外装材との間に通気空間を形成するための通気溝を有する構造用面材に関する。
このような通気溝付構造用面材の従来技術としては、下記特許文献1,2がある。特許文献1には、一面に条溝または突部を形成した壁板(構造用面材)が記載され、この壁板を該条溝または突部を外面側にして柱または間柱の外面に取り付けたときに外装材と壁板との間に通気路が形成される。また、特許文献2には、一面に凹条溝を形成した板状部材(構造用面材)が記載され、この板状部材を該凹条溝を外面側にして取り付けたときに外壁構成材との間に通気路が形成される。
実願昭59−194270号(実開昭61−107806号)のマイクロフィルム 実公昭61−46095号公報
これら従来技術においては、構造用面材を構成する基材の所定箇所を切削加工することによって通気溝を形成しているため、溝形成箇所の断面が切削分だけ欠損して構造用面材としての耐力を低下させてしまう。通気溝の無い構造用面材と同等の構造耐力を保持するためには、通気溝の無い構造用面材よりも厚いものとして、溝形成箇所の断面においても所要の耐力を保持するようにしなければならず、重量が増大して運搬作業や取付作業の能率が低下し、材料コストも増大する。
また、通気溝を切削加工で形成する方法は加工手間がかかる。特許文献1においては突条や突起を基材表面に接着してそれらの間に通気路を形成する方法も記載されている(第5頁4〜11行)が、これも加工手間がかかる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、十分な通気空間を確保しながらも構造用面材としての耐力低下を生じさせないような新規な構成を備えた通気溝付構造用面材を提供することにある。
この課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、外壁下地に使用される構造用面材であって、木質繊維に接着剤を混合したものを熱圧成形することにより中心層と該中心層より高密度に形成される表裏層の3層を有するものとして形成される木質繊維板の少なくとも一面が部分的に圧縮されて通気溝が形成されており、通気溝形成部分の平均密度が通気溝非形成部分の平均密度より大きく形成されると共に、通気溝形成部分における表裏層の密度が通気溝非形成部分における表裏層の密度より大きく形成されることを特徴とする通気溝付構造用面材である。
この通気溝付構造用面材は、木質繊維に接着剤を混合した繊維マットをプレス盤で熱圧成形して木質繊維板を製造する際に、プレス盤と繊維マットとの間に、形成すべき通気溝の断面形状および寸法に対応する通気溝形成部材を通気溝形成箇所に介在、あるいはプレス盤と一体化させて熱圧成形することによって形成することができる。あるいは、木質繊維に接着剤を混合した繊維マットをプレス盤で熱圧成形して木質繊維板を製造した後に、この木質繊維板を再度プレス盤で熱圧成形する際に、プレス盤と木質繊維板との間に、形成すべき通気溝の断面形状および寸法に対応する通気溝形成部材を通気溝形成箇所に介在、あるいはプレス盤と一体化させて熱圧成形することによって形成しても良い。
また、請求項2に係る本発明は、請求項1記載の通気溝付構造用面材において、通気溝の上角部に圧縮による直線状の傾斜面が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、木質繊維板の少なくとも一面が部分的に圧縮されることによって通気溝が形成されており、この結果として、通気溝の底部の密度が通気溝が形成されていない部分の密度より大きくなっているので、通気溝の底部が薄くなっても破損や破壊を防止するに十分な強度ないし耐力が確保される。したがって、十分な通気性能を確保するために通気溝の断面を大きく取ることができ、且つ、その場合であっても構造用面材としての所要の構造耐力を保持することができる。
さらに、本発明によれば、プレス盤による圧縮で通気溝を形成することができるので、従来技術のように切削加工や突条部材接着などの手間を要することなく容易に製造可能である。特に、木質繊維板の製造工程においてプレス盤と繊維マットとの間に通気溝形成部材を介在、あるいはプレス盤と一体化させて熱圧成形する方法によれば、一度の熱圧成形で本発明の通気溝付構造用面材を得ることができ、また、木質繊維マットを熱圧成形する際に接着剤を硬化させながら通気溝を圧縮形成することができるので、緻密で強度の大きい通気溝付構造用面材を低コストで効率的に製造することができる効果が得られる。
また、本発明によれば、比較的高密度の表裏層と比較的低密度の中心層の3層を有する木質繊維板の少なくとも一面が部分的に圧縮されて通気溝が形成されることにより、通気溝の底部における表裏層の密度が、通気溝が形成されていない部分の表裏層の密度より大きくされる。これにより、通気溝の底部が薄くなって当該部分の表裏層も薄くなっても、破損や破壊を防止するに十分な強度ないし耐力が確保される。したがって、十分な通気性能を確保するために通気溝の断面を大きく取ることができ、且つ、その場合であっても構造用面材としての所要の構造耐力を保持することができる。
さらに、本発明の一つの好ましい実施形態によれば、通気溝の上角部に圧縮による直線状の傾斜面が形成されるものであり、これによって本発明の通気溝付構造用面材の運搬中などに上角部が構造物などに引っ掛かることを防止し、安全性を高めると共に上角部の破損を防止することができる。また、この直線状の傾斜面は、その面に対して垂直方向に圧縮されることによって形成されるので、該上角部近傍の密度が大きくなり、強度が増大するので、運搬中などに構造物などに衝突したときの破損防止の効果がより顕著に発揮される。また、該上角部における木質繊維の毛羽立ちの発生を防止する効果も得られる。
本発明の一実施形態による通気溝付構造用面材の平面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。 本発明の他の実施形態による通気溝付構造用面材の平面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。 本発明のさらに他の実施形態による通気溝付構造用面材の平面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。 本発明の通気溝付構造用面材における通気溝形成箇所と通気溝非形成箇所の密度分布状態を示す側断面図である。 通気溝形成面に透湿防水シートを貼着した実施形態による通気溝付構造用面材の側断面図である。 通気溝形成面に透湿防水シートを貼着するための接着剤塗布状態を示す平面図である。 通気溝付構造用面材に形成する通気溝の形状例を示す側断面図である。 通気溝を形成するために用いられる通気溝形成部材の形状例を示す側断面図である。 本発明の通気溝付構造用面材の施工状態断面図である。
図1には本発明の一実施形態による通気溝付構造用面材1が示されている。この通気溝付構造用面材1の寸法は特に限定されるものではないが、たとえば、幅900〜1000mm、長さ3030mm以下、厚さ7〜12mm程度である。
この通気溝付構造用面材1の一面には、間隔を置いて複数本の通気溝2が形成されている。通気溝2の幅、深さおよび間隔は特に限定されるものではないが、たとえば、幅2〜180mm程度、深さは構造用面材1の厚さの50%以下、間隔は3〜450mm程度である。構造用面材1の寸法(幅、長さ、厚さ)に対して比較的小さい寸法(幅、深さ)の通気溝2を形成する場合は間隔を小さくして多数形成することができ、構造用面材1の寸法に対して比較的大きい寸法の通気溝2を形成する場合は間隔を大きくして数カ所に形成することができる。通気溝2の断面形状は任意であり、この実施形態では断面矩形状の通気溝2として示されているが、後述するように多種多様な断面形状に形成することができる。また、この実施形態では通気溝付構造用面材1の一面に通気溝2が形成されているが、両面に形成しても良い。また、この実施形態では幅方向に間隔を置いて全長に亘って延長する通気溝2が形成されているが、図2に示すように長手方向に間隔を置いて全幅に亘って延長する通気溝2として形成しても良いし、図3に示すように長手方向に延長する通気溝2と幅方向に延長する通気溝2とを格子状に配しても良い。
この通気溝付構造用面材1は、(1)木質繊維に接着剤を混合した繊維マットをプレス盤で熱圧成形して木質繊維板を製造する際に、プレス盤と繊維マットとの間に通気溝形成部材5を介在、あるいはプレス盤と一体化させて熱圧成形することによって形成する方法、あるいは、(2)木質繊維に接着剤を混合した繊維マットをプレス盤で熱圧成形して木質繊維板を製造した後に、この木質繊維板を再度プレス盤で熱圧成形する際に、プレス盤と木質繊維板との間に通気溝形成部材5を介在、あるいはプレス盤と一体化させて熱圧成形することによって形成する方法のいずれかを採用して製造することができる。特に(1)の方法によれば、一度の熱圧成形で通気溝2を有する構造用面材1を得ることができ、また、木質繊維マットを熱圧成形する際に接着剤を硬化させながら通気溝2を圧縮形成することができるので、緻密で強度の大きい通気溝付構造用面材1を低コストで効率的に製造することができる利点があり、好ましい製造方法である。上記(1)または(2)の方法において用いられる通気溝形成部材5は、形成すべき通気溝2の断面形状および寸法に対応した断面形状および寸法を有し、通気溝2を形成すべき箇所に配置して用いられる。
木質繊維板の製造においては、針葉樹および/または広葉樹材の一種または複数種よりなる木材チップを高温高圧蒸気で蒸煮して脱脂軟化処理した後、解繊装置で解繊することによって得られる木質繊維に、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂またはそれらの変性樹脂からなる接着剤、イソシアネート系接着剤、合成ゴム系接着剤などの熱硬化性接着剤から任意に選択される一種または複数種を添加混合し、常法に従って木質繊維板を製造する。このようにして製造される木質繊維板の密度は、たとえば平均密度が0.6〜0.8g/cmとされるが、公知のように表裏面には比較的高密度(たとえば0.7〜1.0g/cm)の硬質層が形成され、中心層は比較的低密度(たとえば0.5〜0.7g/cm)である。
この木質繊維板の製造工程中(前記(1)の方法)または木質繊維板を製造した後の熱圧成形工程において(前記(2)の方法)部分的に圧縮された箇所が通気溝2として形成されるので、通気溝2の底部(通気溝形成部分)21では密度が大きくなる。すなわち、図4において、通気溝2が形成されていない部分(通気溝非形成部分)22,22では元々の木質繊維板における密度がそのまま残されるので、上記の例で言えば平均密度が0.6〜0.8g/cmであり、表裏層22a,22aは比較的高密度(たとえば0.7〜1.0g/cm)であって中心層22bは比較的低密度(たとえば0.5〜0.7g/cm)であるが、表面側から圧縮されて形成される通気溝形成部分21では通気溝非形成部分22,22よりも大きい平均密度を有するものとなり、特に、元々は比較的低密度であった中心層が圧縮の効果を大きく受けて、通気溝非形成部分22,22における表裏層22a,22aと同程度(0.7〜1.0g/cm)まで高密度化された中心層21bとなり、元々比較的高密度であった表裏層21a,21aも圧縮により更に密度が高くなるので通気溝非形成部分22,22の表裏層22a,22aの密度より大きくなってたとえば1.0〜1.2g/cmとなるので、通気溝形成部分21全体の平均密度をたとえば0.9〜1.1g/cmまで高めることができる。
したがって、図1に示すように長手方向に延長する通気溝2が形成される場合、および図2に示すように幅方向に延長する通気溝2が形成される場合は、通気溝2の底部21で高密度化された部分が間隔を置いて複数の棒状となって構造用面材1の内部に分布することとなり、図3に示すように格子状に通気溝3が形成される場合は、通気溝2の底部21で高密度化された部分が格子状となって構造用面材1の内部に分布することとなる。既述したように、特許文献1,2のように切削加工により通気溝を形成すると、通気溝形成部分が薄くなって耐力が低下するという問題が生ずるが、圧縮により通気溝を形成する本発明によれば、通気溝形成によって薄くなっても高密度化された部分として棒状(図1,図2)または格子状(図3)に分布されるため、耐力低下を補って所要の耐力を保持することができる。
前述のように構造用面材1に形成する通気溝2の断面形状は任意であり、幾つかの典型的な形状例が図7(a)〜(g)に示されている。図7(a)に示す通気溝2aは図1の通気溝付構造用面材1における通気溝2と実質的に同一の矩形断面形状を有しており、表面23に略直交する側面24,24の下方に形成される底面25aが平坦面を有するように形成されているが、図7(b)に示す通気溝2bは表面23に略直交する側面24,24の下方に形成される底面25bが凹曲面状に形成され、図7(c)に示す通気溝2cは表面23に略直交する側面24,24の下方に形成される底面25cが波打凹凸面状に形成されている。これら通気溝2a,2b,2cでは、表面23と側面24とがなす上角部および側面24と底面25a,25b,25cとがなす下角部が曲面状に形成され、また、通気溝2b,2cでは底面25b,25cも曲面を有するものとして形成されているので、運搬中などに変形しても応力が集中せずに分散して、通気溝付構造用面材1が破壊しにくくなる利点がある。さらには、製造時において、圧縮形成した通気溝から通気溝形成部材を脱型することが容易となる。
図7(d)に示す通気溝2dは方形状断面を有し、図7(e)に示す通気溝2eはその上角部を直線状の傾斜面26に面取りしたものであり、図7(f)に示す通気溝2fはさらにその下角部を曲面状に形成したものである。通気溝2e,2fのように上角部を直線状の面取形状とすることにより、通気溝付構造用面材1の運搬中などに上角部が構造物などに引っ掛かることがなくなり、安全性を高めると共に該上角部の破損を防止することができ、さらには、製造時において、圧縮形成した通気溝から通気溝形成部材を容易に脱型することができる。また、図7(g)に示す通気溝2gは円弧状底面25gを有するものとして形成されている。通気溝2fでは下角部が曲面状に形成されており、また、通気溝2gは曲面状の底面25gを有するので、前述のように、運搬中などに変形しても応力が集中せずに分散して、通気溝付構造用面材1が破壊しにくくなり、さらには、製造時において、圧縮形成した通気溝から通気溝形成部材を脱型することが容易となる。
通気溝は、形成すべき通気溝の断面形状および寸法に対応した断面形状および寸法を有する通気溝形成部材を、通気溝を形成すべき箇所に配置して圧縮することにより形成される。通気溝形成部材は、前記(1)の方法においては繊維マットをプレス盤で熱圧成形して木質繊維板を製造する際に、プレス盤と繊維マットとの間に介在させる(繊維マットの上に置く)か、あるいはプレス盤の熱圧面に一体化させた状態で通気溝形成箇所に配置し、また、前記(2)の方法においては、木質繊維板をプレス盤で熱圧成形する際に、プレス盤と木質繊維板との間に介在させる(木質繊維板の上に置く)か、あるいはプレス盤の熱圧面に一体化させた状態で通気溝形成箇所に配置して、通気溝を圧縮形成する。
たとえば、通気溝2e,2fを形成するには、図8(a)および図8(b)に示されるように、通気溝2e,2fの断面形状に対応した通気溝形成部材5(5a,5b)が用いられ、該通気溝形成部材5a,5bの直線状の傾斜面51で圧縮されることによって通気溝2e,2fの側面24上部に直線状の傾斜面26が形成される。このとき、通気溝2e,2fの直線状の傾斜面26は、通気溝形成部材5a,5bの直線状の傾斜面51によって該傾斜面に対して垂直方向に圧縮されて形成されることになるので、通気溝の上角部近傍の密度が大きく、強度が大きくなる。したがって、該上角部が鈍角となって破損しにくくなることと相まって、運搬中などに直線状の傾斜面26が構造物などに衝突しても、破損を防止することができる利点がある。また、該上角部における木質繊維の毛羽立ちの発生を防止する効果も得られる。
図1〜図3では図示省略されているが、構造用面材1の少なくとも通気溝形成面には透湿防水シート3があらかじめ貼着されることが好ましい。透湿防水シート3は、液体状態の水の透過を阻止するが気体状態の水蒸気は透過させる性質を備えたシートであり、ポリエステル繊維などを基礎繊維としたものが各種市販され、外装下地においても一般的に使用されている。構造用面材1の通気溝形成面に透湿防水シート3を貼着する場合、図5(a)に示すように、通気溝2が形成されていない平面部分23のみに平面状に貼着しても良いし、図5(b)に示すように、通気溝2を有する凹凸面に沿って貼着しても良い。後者(図5(b))のようにして透湿防水シート3を構造用面材1の表面23および通気溝2の内面に沿って凹凸状に貼着した場合は、施工中や運搬中に、構造用面材1の透湿防水シート3が貼着されている面に工具や建築材料の角部や先端部が接触しても、透湿防水シート3が破れにくくなるので、破損部分から水が侵入することがなく、構造用面材1が腐って劣化することを防止することができる利点がある。
透湿防水シート3を貼着する際に用いられる接着剤は、尿素樹脂系、フェノール樹脂系、メラミン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ビニルウレタン樹脂系など一般に使用される接着剤であって良いが、接着剤は透湿性を持たないので、構造用面材1の表面(通気溝形成面)または表裏両面に透湿防水シート3を貼着する際の接着剤は、全面塗布ではなく部分的に塗布して、貼着した透湿防水シート3の透湿性能が損なわれないようにする。たとえば、図1の通気溝付構造用面材1において図5(b)のように通気溝2内を含めて凹凸状に透湿防水シート3を貼着する場合にあっては、通気溝2の底面全体に接着剤4を塗布し(図6(a))、あるいは通気溝2以外の平面部分23全体に接着剤4を塗布し(図6(b))、あるいは通気溝2の底面に部分的に接着剤4を塗布し(図6(c))、あるいは通気溝2以外の平面部分23に部分的に接着剤4を塗布し(図6(d))、あるいは通気溝2の底面に部分的に接着剤4を塗布すると共に通気溝2以外の平面部分23にも部分的に接着剤4を塗布する(図6(e))。接着剤を部分的に塗布する場合は、点状、帯状、格子状などに塗布する。
透湿防水シート3は、構造用面材1の少なくとも通気溝形成面に貼着されるが、さらに必要に応じて、通気溝形成面とは反対側の面や木口面にも貼着することができる。たとえば、構造用面材1の表裏両面に貼着したり、表裏両面に加えて対向する2木口面の計4面に貼着したり、あるいは構造用面材1の6面すべてを包囲するように貼着することができる。木口面に透湿防水シート3を貼着する場合は、表面または表裏面に貼着する場合と同様にして木口面に部分的に接着剤を塗布して透湿防水シート3の透湿性能を最大限に発揮させるようにしても良いが、構造用面材1の用途として透湿性能と共に透湿防水シート3との接着強度をも両立させることが要求される場合には、木口全面に接着剤を塗布して木口部分については透湿防水シート3を強固に接着するものとして、構造用面材1と透湿防水シート3との所要の接着強度を確保することが好ましい。
なお、構造用面材1の表面に透湿防水シート3を貼着する場合、構造用面材1より大きい平面寸法の透湿防水シート3を用い、構造用面材1の隣り合う2側面に透湿防水シート3がはみ出すように貼着することが好ましい。構造用面材1を使用する場合、一般に、構造用面材1の収縮膨張を想定して構造用面材1間の接合部に適当な間隔をあけて釘打ち固定されることから、上記のようにして透湿防水シート3にはみ出し部分を設けるようにして貼着することにより、該はみ出し部分を隣接する他の構造用面材1の表面に架け渡してタッカーなどで固定すると、仕上げられた下地面において透湿防水シート3を隙間なく連続させた状態とすることができる。
図9は本発明による通気溝付構造用面材の施工状態を示し、図9(a)は図5(a)に示すように透湿防水シート3が通気溝2形成面に平面状に貼着された構造用面材1の施工状態図であり、図9(b)は図5(b)に示すように透湿防水シート3が通気溝2内面を含めて凹凸状に貼着された構造用面材1の施工状態図である。構造用面材1は下地材である柱材6に釘打ちなどにより固定され、その上に外装材7が施工される。図9(a)の場合は透湿防水シート3に覆われた通気溝2部分が通気空間(通気路)となり、図9(b)の場合は通気溝2の内面に設けられる透湿防水シート3と外装材7との間の通気溝2部分が通気空間(通気路)となる。図9では通気溝2が外壁材7側を向くようにして構造用面材1が施工されているが、通気溝2が柱材6側(室内側)を向くようにして施工されても良い。また、図9では通気溝2を垂直方向にして構造用面材1を施工することにより垂直方向の通気路を形成した施工例であるが、通気溝を水平方向にして構造用面材1を施工することにより水平方向の通気路を形成しても良く、あるいは、長手方向および幅方向に延長する格子状の通気溝2を有する構造用面材1(図3)を用いて垂直・水平両方向において通気が行われるようにしても良い。
常法によって木質繊維板を製造する工程においてその一面に圧縮による通気溝2を形成する方法(前記(1)の方法)により、幅998mm、長さ3030mm、厚さ9mmの通気溝付構造用面材を得た。この構造用面材は図1に示すように幅方向に間隔を置いて長手方向に延長する通気溝2を有するものであり、図7(a)に示される断面形状であって幅60mm、深さ3mmの通気溝2を構造用面材の長さ方向に152mmの等間隔で形成した。この構造用面材の通気溝底部21における平均密度は1.0g/cmであり、通気溝非形成部分22,22における平均密度は0.7g/cmであった。さらに、この構造用面材の通気溝形成面に、図5(b)に示すように通気溝2内を含めて凹凸状に透湿防水シート3を貼着して、本発明の実施例とした。
一方、圧縮による通気溝の形成を行うことなく木質繊維板を製造した後にその一面に切削加工による通気溝を形成した点以外は上記実施例と同様にして同形状・同寸法の通気溝付構造用面材を得て、比較例とした。この比較例による通気溝付構造用面材の平均密度は、通気溝底部においても通気溝非形成部分においても0.7g/cmであった。
これら実施例および比較例の通気溝付構造用面材について、運搬作業による破損状況の比較試験を行った。試験条件は、作業員2人で通気溝付構造用面材各1枚の長手方向両端部を持ち、通気溝が形成されている面を下に向け、距離にして20m程度の運搬作業による破損状況を確認するものとした。その結果、実施例の構造用面材では長手方向および幅方向の中央部で若干のたわみが発生したものの通気溝底部での亀裂や透湿防水シートの剥離などの破損は確認されなかったが、比較例の構造用面材では長手方向および幅方向の中央部で大きなたわみが発生し、通気溝底部での亀裂や透湿防水シートの剥離などの破損が確認された。この結果より、本発明によれば圧縮により形成される通気溝の底部が高密度化して強度が増大することから運搬作業時の破損を有効に防止し得ることが確認された。
1 通気溝付構造用面材
2,2a〜2g 通気溝
21 通気溝の底部
21a 通気溝の底部における表裏層
21b 通気溝の底部における中心層
22 通気溝が形成されていない部分(通気溝非形成部分)
22a 通気溝非形成部分における表裏層
22b 通気溝非形成部分における中心層
23 通気溝付構造用面材の表面
24 通気溝の側面
25a〜25g 通気溝の底面
26 通気溝の上角部の直線状の傾斜面
3 透湿防水シート
4 接着剤
5,5a,5b 通気溝形成部材
51 傾斜面
6 柱材(下地材)
7 外装材

Claims (2)

  1. 外壁下地に使用される構造用面材であって、木質繊維に接着剤を混合したものを熱圧成形することにより中心層と該中心層より高密度に形成される表裏層の3層を有するものとして形成される木質繊維板の少なくとも一面が部分的に圧縮されて通気溝が形成されており、通気溝形成部分の平均密度が通気溝非形成部分の平均密度より大きく形成されると共に、通気溝形成部分における表裏層の密度が通気溝非形成部分における表裏層の密度より大きく形成されることを特徴とする通気溝付構造用面材。
  2. 通気溝の上角部に圧縮による直線状の傾斜面が形成されることを特徴とする、請求項1記載の通気溝付構造用面材。
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