JP3046572B2 - プリプレグシート固定用治具 - Google Patents

プリプレグシート固定用治具

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JP3046572B2
JP3046572B2 JP9315034A JP31503497A JP3046572B2 JP 3046572 B2 JP3046572 B2 JP 3046572B2 JP 9315034 A JP9315034 A JP 9315034A JP 31503497 A JP31503497 A JP 31503497A JP 3046572 B2 JP3046572 B2 JP 3046572B2
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清史 今井
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株式会社ケー・エフ・シー
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリプレグシート固
定用治具に係わり、特に、熱硬化性樹脂を含浸した炭素
繊維プリプレグシート(カーボンシート)を通電して加
熱しながらコンクリート構造物に取り付ける際に用いる
プリプレグシート固定用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】耐震、補強等の目的で、柱、梁、床版、
壁等のコンクリート躯体に炭素繊維プリプレグシート
(カーボンシート)を貼リ付たり、巻き付けたりして構
造体の補強を図る工法が知られている。図6は建築構造
物の柱補強、梁補強、スラブ補強のためにカーボンシー
トCSをコンクリート躯体表面に取り付けた例であり、
図7はトンネルの覆工部補強のためにカーボンシートC
Sを取り付けた例であり、図8は橋梁の床版補強、張出
床版補強、橋脚補強のためにコンクリート躯体表面にカ
ーボンシートCSを取り付けた例である。
【0003】かかる工法においては、(1) コンクリート
表面の劣化層の研磨・除去、ひび割れ補修等の下地処理
をし、(2) ついで、コンクリート表面に接着剤やエポキ
シ系プライマー等を塗布し(この工程は必ずしも必要で
ない)、(3) プライマー乾燥後、エポキシパテ埋め等の
不陸修正を行い、(4) かかる状態において、カーボンシ
ートを適宜の手段で加熱しながらコンクリート躯体表面
に固定する。すなわち、加熱することによりカーボンシ
ートに含浸されている熱硬化性樹脂を熱硬化させて該カ
ーボンシートをコンクリート表面に固定する。かかる工
法におけるカーボンシートの加熱を、通電により行うこ
とがが知られている(特開平6-158873号公報)。この加
熱方法は、炭素繊維に通電すると発熱する性質を利用し
てマトリクス樹脂(炭素繊維を連結している熱硬化性樹
脂)を熱硬化させ、可撓性樹脂複合体(カーボンシー
ト)を被補強部(柱、梁、壁、床などのコンクリート躯
体)に固定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の通電加
熱方法ではカーボンシート全体に均一に電流が流れない
ため、場所により発熱量が異なりコンクリートへの密着
力が異なり、カーボンシートによる補強効果を低減させ
る問題があった。又、通電による加熱方法では、カーボ
ンシートを構成している炭素繊維自体に電流を流す必要
があり、電極を炭素繊維に当接する必要がある。ところ
が、従来の電極は平板状電極であるため、通電すると炭
素繊維の発熱によって柔らかくなったマトリクス樹脂が
電極部分に滲出して硬化し、これにより、カーボンシー
トが電極にくっつき、剥離が困難になり、無理に剥がす
とカーボンシートを破断する問題があった。
【0005】以上から、本発明の目的は、カーボンシー
ト全体に均一に電流を流し、発熱量をカーボンシート全
体で均一にできるカーボンシートの固定用治具を提供す
ることである。本発明の別の目的は、カーボンシートよ
り無理無く、しかも、カーボンシートを傷つけることな
く、電極を離脱できるカーボンシートの固定用治具を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、熱硬化性樹脂を含浸した炭素繊維プリプレグシート
を通電して加熱しながらコンクリート構造物に取り付け
るプリプレグシート固定用治具において、該治具は通電
部材を備え、該通電部材は、プリプレグシート面に対し
て線接触する形で該シート面上を転動自在に形成された
複数の電極と、該複数の電極を並設して支持する電極支
持部材を備え、前記電極は丸棒状に形成されたアルミニ
ュウム部材であるプリプレグシート固定用治具により達
成される。 電極をプリプレグシート面に対して線接触す
る形で、かつ、該シート面上を転動自在に形成すること
により、熱硬化性樹脂が電極にくっついても転動するこ
とにより電極をカーボンシートより容易に、傷つけるこ
となく離脱することができる。また、丸棒状の電極を複
数並設することにより、線接触であっても十分な多数の
接触面積を確保でき、所望の電流を流すことができ、し
かも、電極の幅範囲(丸棒状電極の長さL)にわたって
電流密度をカーボンシート面で均一にでき、発熱量を均
一化できる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明のプリプレグシート
固定用治具としての通電部材11の正面図、図2は電極
部の説明図であり、(a)は電極部斜視図、(b)はA
矢視側面図、(c)B矢視正面図である。図中、11が
通電部材、100は電極部であり、101は導電性の電
極カバー、102は複数の丸棒状の電極、103は電極
に印加する電極端子である。電極カバー101は図2に
示すように三方が開放された底の浅い断面コ状の立体形
状を有し、測板101aは内方に折り曲げられて内部に
複数(図では4本)の丸棒状電極102を転動自在に保
持できるようになっている。又、電極カバー101の底
板101bには電極端子103が固着されている。丸棒
状電極102はL(例えば約30cm)の長さを有して
いる。104,105はゴム性の吸盤であり、吸盤内部
にはパイプ104a,105aが通じ、真空ポンプ(図
示せず)によりコンクリート表面に真空吸着するように
なっている。104b,105bはビニールスカートで
ある。106は支持プレートであり、電極部100を保
持する金具107a〜107c及び吸盤104、105
を保持する金具108a,108bが取り付けられてい
る。電極部100は金具107a〜107cに自在ナッ
ト109a〜109cにより一体に固定されている。
【0008】吸盤104,105を例えばカーボンシー
ト201の上からコンクリート301に押しつけて真空
ポンプで吸盤内部を真空吸引すると、吸盤104,10
5が吸いこまれて高さhが低くなり、結果的に支持プレ
ート106がコンクリート301側に吸い寄せられ、電
極部100をしてカーボンシート201をコンクリート
に押しつける。この際、各丸棒状電極102はカーボン
シート201と線接触する。丸棒状電極102を複数本
並設することにより、線接触であっても所要の接触面積
を確保でき、所望の電流を流すことができる。又、正負
一対の電極部を例えば柱に平行に、かつ、同一高さ位置
に設けることにより幅範囲(丸棒状電極の長さL)にわ
たって電流密度をカーボンシート面で均一にできる。
【0009】図3はカーボンシートの通電方法及び電極
配置法説明図であり、図3(a)は柱401にカーボン
シート201a,201bを半周づつ端部が重なるよう
に巻き付け、該重なり部分A,Bに電極部が各カーボン
シートに当接するように通電部材100を設けて通電す
る場合である。2つの通電部材100の電極間の時計方
向距離と反時計方向距離が互いに等しくなるようにし、
かつ、各通電部材100の丸棒状電極を床から同一の高
さ位置であって、床に垂直になるように設ける。このよ
うにすれば、丸棒状電極の長さLの幅にわたって電極間
抵抗を等しくでき、均等に電流が流れて発熱を均一にで
きる。従って、例えば、丸棒状電極の長さをカーボンシ
ート幅以上にすれば、1回の通電発熱により熱硬化性樹
脂を硬化させてカーボンシートをコンクリートに固着で
きる。又、各丸棒状電極102はカーボンシートと転動
可能に線接触しているため、熱硬化性樹脂が滲み出して
くっついても該丸棒状電極を転動することにより容易に
カーボンシー201a,201bより離脱することがで
きる。
【0010】図3(b)は柱401に1枚のカーボンシ
ート201を端部が重なるように巻き付け、該重なり部
分Aとその対向位置Bに電極部がカーボンシートに当接
するように通電部材100を設けて通電する場合であ
る。図3(a)と同様に2つの通電部材100の電極間
の時計方向距離と反時計方向距離が互いに等しくなるよ
うにし、かつ、各通電部材100の丸棒状電極を床から
同一の高さ位置であって、床に垂直になるように設け
る。このようにすれば、丸棒状電極の長さLの幅にわた
って電極間抵抗を等しくでき、均等に電流が流れて発熱
を均一にでき、しかも、電極を容易にカーボンシートよ
り離脱することができる。図3(c)は壁402にカー
ボンシート201a,201b,201c・・・を端部
が重なるように貼り付け、その都度、カーボンシートの
両端に、通電部材100を設けて通電する場合である。
丸棒状電極が平行になるように2つの通電部材100を
配設して通電すれば、丸棒状電極の長さLの幅にわたっ
て電極間抵抗を等しくでき、均等に電流が流れて発熱を
均一にでき、しかも、電極を容易にカーボンシートより
離脱することができる。
【0011】図4は本発明の電極部の別の構成図であ
り、101は導電性の電極カバー、102aは複数の球
状の電極、103は電圧を印加する電極端子である。電
極カバー101は図示するようにに三方が開放された底
の浅い断面コ状の立体形状を有し、測板101aは内方
に折り曲げられて内部に多数の球状電極102aを幅L
にわたって落下しないように、かつ、転動自在に保持し
ている。この変形例は、電極が球状であるためカーボン
シートと点接触し、図2の線接触する電極より更に容易
に電極をカーボンシートより離脱することができる。
又、球状電極102aを多数並設することにより、点接
触であっても所要の接触面積を確保でき、所望の電流を
流すことができ、しかも、電極の幅範囲(球状電極の並
設幅L)にわたって電流密度をカーボンシート面で均一
にできる。
【0012】図5は本発明の通電加熱によるカーボンシ
ート取り付け方法の説明図であり、11は図1に示す通
電部材、201はカーボンシート(電極102の長さL
より若干大なる所定幅Wをなす)、401はコンクリー
トの柱、501は発電機等の電源、502は電極と電源
間を接続するリード線である。通電部材11において、
100は電極部(図2参照)、104,105は吸盤、
106は支持プレートであり、吸盤104,105をカ
ーボンシート201の上から柱401に押しつけ、図示
しない真空ポンプで吸盤内部を真空吸引することにより
電極部100の電極をカーボンシート201に押しつけ
て柱に固着することができる。
【0013】カーボンシートの取り付けに際して、(1)
コンクリート表面の劣化層の研磨・除去、ひび割れ補修
等の下地処理を行い、(2) ついで、コンクリート表面に
接着剤やエポキシ系プライマー601等を塗布し、(3)
プライマー乾燥後、エポキシパテ埋め等の不陸修正を行
う。(4) 不陸修正後、カーボンシート201を柱401
の表面に巻き付けて仮止めし、(5) しかる後、通電部材
11を柱401の対向2点においてカーボンシート20
1を押しつけながら取り付ける。この場合、図3(b)
で説明したように、2つの電極間の時計方向距離と反時
計方向距離が互いに等しくなるようにし、かつ、各電極
部材100を床から同一高さ位置であって、床に垂直に
なるように設ける。(6) 電極取り付け後、電極端子10
3に電源501より直流あるいは交流電圧を加える。電
圧印加によりカーボンシート201が通電して発熱し、
この発熱によりカーボンシート201に含浸した熱硬化
性樹脂を熱硬化させてカーボンシートをコンクリート表
面に固定する。すなわち、カーボンシート201が所定
の温度状態に達したところで、通電を停止し、該カーボ
ンシートに当接されている通電部材100を取り外す。
【0014】ところで、通電部材取外し時に、電極には
通電中に軟化した樹脂がカーボンシートから滲出して、
硬化してくっついているが、本実施例では電極がシート
に対して点接触又は線接触状態となっている。このため
電極をシート面上で転動させることにより円滑にシート
から剥離させることが出来る。よって、電極とカーボン
シートがくっついてカーボンシートが引っ張られてコン
クリート躯体表面から剥離したり、或いは、カーボンシ
ートの表面部分の破壊が生じる懸念はない。さらに、電
極が丸棒状に形成されたアルミニュウム部材であるとき
には、アルミニュウムの、熱電導率が良く、且つ、高温
になったときに表面に被膜を作る、という性質によっ
て、融けた樹脂が付着することが一層好敵に防止される
ために、シート表面からの取り外しが一層容易に行われ
る。このように通電させることによって、炭素繊維中の
マトリクス樹脂は全面に亘って均一に熱硬化し、この結
果、カーボンシートはコンクリート躯体表面に堅固に配
置固定される。これにより、該カーボンシートが張られ
たコンクリート躯体の強度が適格にアップする。以上、
本発明を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲
に記載した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であ
り、本発明はこれらを排除するものではない。
【0015】
【発明の効果】以上本発明によれば、プリプレグシート
面に対して線接触する形で該シート面上を転動する複数
の丸棒状電極で通電部材を構成したから、熱硬化性樹脂
が電極にくっついても転動することにより電極をカーボ
ンシートより容易に、傷つけることなく離脱することが
できる。また、電極を複数並設することにより、特に丸
棒状に形成されたアルミニュウム部材で電極を構成する
ことにより、電極幅にわたって電流密度をカーボンシー
ト面で均一にでき、発熱量を均一化してカーボンシート
をコンクリートに強固に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通電部材の正面図である。
【図2】電極部の構成図である。
【図3】カーボンシートの通電方法及び電極配置法説明
図である。
【図4】電極の変形例である。
【図5】通電加熱によるカーボンシート取り付け法の説
明図である。
【図6】建築構造物の補強のためにカーボンシートを取
り付けた場合の説明図である。
【図7】トンネル覆工部の補強のためにカーボンシート
を取り付けた場合の説明図である。
【図8】橋梁の補強のためにカーボンシートを取り付け
た場合の説明図である。
【符号の説明】
11・・通電部材 100・・電極部 101・・導電性の電極カバー 102・・複数の丸棒状の電極 103・・電極端子 104,105・・ゴム性の吸盤 106・・支持プレート

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を含浸した炭素繊維プリプ
    レグシートを通電して加熱しながら補強すべきコンクリ
    ート構造物に取り付ける際に用いるプリプレグシート固
    定用治具において、該治具は通電部材を備え、該通電部材は、前記プリプレ
    グシート面に対して線接触する形で該シート面上を転動
    自在に形成された複数の電極と、該複数の電極を並設し
    て支持する電極支持部材を備え、前記電極は、丸棒状に
    形成されたアルミニュウム部材であることを特徴とする
    プリプレグシート固定用治具。
JP9315034A 1997-11-17 1997-11-17 プリプレグシート固定用治具 Expired - Lifetime JP3046572B2 (ja)

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CN102154984A (zh) * 2011-01-24 2011-08-17 中国土木工程集团有限公司 一种跨越电气化铁路的立交桥门式墩施工方法
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