JP3045464U - 液晶パネル製造用ラビング布材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶パネルを構成するガラス基板上に印刷し
た配向膜に、幅や深さ等のサイズが均一な多数の微細溝
を正確に形成することができる液晶パネル製造用ラビン
グ布材を提供すること。 【解決手段】 各々の綿短繊維の捩れが除去された改良
綿糸を、ビロード組織のカットパイルに組織して成ると
いう手段を採用した。 【効果】 サイズが均一な微細溝により、液晶パネル内
の液晶分子は電圧印加時にその均一な微細溝に沿って整
然と配列されて、液晶ディスプレイの画像鮮明化や視野
角拡大化などを図ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、液晶パネル製造工程の配向処理に用いるラビング布材、更に詳しく は、液晶パネルを構成するガラス基板上に印刷した配向膜に、幅や深さ等のサイ ズが均一な多数の微細溝を正確に形成することができ、しかも、従来品に比して 清浄性、耐久性および吸湿性の優れた液晶パネル製造用ラビング布材に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

液晶パネルの製造工程の一つとして、布材によるラビング（rubbing ）工程が ある。これは、液晶パネルのガラス基板内に注入される液晶の分子を所望方向に 規則正しく配列させるために、回転ロールに巻いたラビング布材を用いて、ガラ ス基板上に印刷したポリイミド樹脂等の配向膜の表面を当該布材で擦ることによ り、一定方向のミクロン単位の微細な溝（筋）を前記配向膜に予め無数に形成し ておく工程である。

【０００３】 ところが、従来のラビング処理にあっては、不織布、植毛布、あるいは普通の ビロード布等のように表面が比較的乱雑なラビング布材を利用していたので、配 向膜に形成された溝の均一性や精度等には限界があった。このため、電圧印加時 に不均一な溝に沿って配列される液晶分子の向きは部分的にバラツキが生じて、 液晶ディスプレイの画像が不鮮明になる等といった問題があった。

【０００４】 そこで、本願考案者は嘗て、ビロード組織のカットパイルをビスコースレーヨ ン・フィラメントで組織し、かつ、このカットパイルを傾斜状態に保持した「液 晶パネル製造用ラビング布材」を提案している（実用新案登録番号第3032820 号 の明細書参照）。このラビング布材によって、より微細で正確な溝をガラス基板 上の配向膜に形成することが可能となったのであるが、本願考案者は現状に甘ん じることなく、前記フィラメント糸以外の種々の素材を用いてラビング布材を製 織するという試みを数多く行っている。

【０００５】 例えば、短繊維を紡いだスパン糸（spun yarn ）である綿糸を用いてビロード 組織に製織したラビング布材がある。この綿糸によるラビング布材は、フィラメ ント糸やその他の糸によるラビング布材と比較して、回転ロールに巻いたラビン グ布材をガラス基板上の配向膜に擦り付ける際の押圧力の制御や前記ロールの回 転速度の制御などが容易で使い易く、しかもラビング処理能力も高いという利点 があるため、液晶パネル製造工程のラビング処理において広く使用されている。 ところが、綿糸製ラビング布材のカットパイル部分の綿糸は、図４および図５に 示すように綿糸を構成する短繊維11′・11′・・・・が各々捩れて各短繊維11′同士 が互いに絡まった状態であることが多いため、かゝる状態のカットパイルを配向 膜に擦り付けて形成した多数の微細溝においては、各溝の幅や深さ等のサイズが ばらついて十分な均一性が得られないという難点があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の綿糸製ラビング布材に上記の如き難点があったことに鑑みて 為されたものであり、液晶パネルを構成するガラス基板上に印刷した配向膜に、 幅や深さ等のサイズが均一な多数の微細溝を正確に形成することができる液晶パ ネル製造用ラビング布材を提供することを技術的課題とする。

【０００７】 また、本考案の他の技術的課題は、従来品に比して清浄性、耐久性および吸湿 性の優れた液晶パネル製造用ラビング布材を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照 して説明すれば、次のとおりである。

【０００９】 即ち、本考案は、各々の綿短繊維の捩れが除去された改良綿糸を、ビロード組 織のカットパイルに組織して成るという手段を採用することによって、上記課題 を解決した点に特徴がある。

【００１０】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を添附図面に示す実施形態に基いて更に詳しく説明する。なお、 図１は本考案の実施形態であるラビング布材のビロード組織を概略的に示した部 分斜視図、図２は図１のＡ部分における本実施形態ラビング布材のカットパイル の拡大断面図、図３は図２のカットパイルを構成する綿短繊維の拡大斜視図、図 ４は従来のラビング布材のカットパイルの拡大断面図、図５は図４のカットパイ ルを構成する綿短繊維の拡大斜視図である。

【００１１】 まず、本考案の実施形態であるラビング布材を図１〜図３に基いて説明する。 図１に示すように、本実施形態のラビング布材は、スパン糸である綿糸（40番手 の双糸を使用）から成る地経糸２・２・・・・と地緯糸３・３・・・・とを平織すること により地組織が構成されており、この地組織の地緯糸３・３・・・・に交錯するパイ ル経糸の所要箇所を切って表面に毛羽状に立てたカットパイル１・１・・・・を有す るビロード組織Ｖを成している。本実施形態においては、地経糸２および地緯糸 ３の双方とも綿糸を使用しているが、ベンベルグ等のレーヨン繊維、合成繊維か ら成るスパン糸を採用したり、あるいは地経糸２および地緯糸３に用いるスパン 糸の種類を互いに変えたりすることも可能である。また、カットパイル１の長さ は約1.50〜3.00mmであり、その密度は約250 〜300 本／cm² である。

【００１２】 そして、上記の如きビロード組織Ｖのカットパイル１・１・・・・は、図２および 図３に拡大して示したように、捩れのない略直線状の多数の綿短繊維11・11・・・・ が整然とした状態に配列された綿糸（40番手の双糸を使用）から成り、このよう な綿糸をカットパイル１に採用した点が本考案の最大の特徴である。

【００１３】 即ち、従来のビロード製ラビング布材のカットパイルにあっては、図４および 図５に示すように、そのカットパイルを構成する綿短繊維11′・11′・・・・が各々 捩れており、更にこれらの各綿短繊維11′同士が互いに絡まった状態であるけれ ども、本実施形態ラビング布材のカットパイル１は、従来品の如き捩れが除去さ れて整列状態に改良された綿糸から成っている。この改良綿糸から成るカットパ イル１・１・・・・を用いて、液晶パネルを構成するガラス基板上に印刷した配向膜 に擦り付けることにより、従来のラビング布材を用いて形成される微細溝に比し て格段に均一なサイズ（幅、深さ、長さ等）の微細溝を配向膜に正確に形成する ことができる。

【００１４】 上記の如き改良綿糸は、従来周知のシルケット加工により得ることができる。 このシルケット加工は、綿糸を緊張状態で液体アンモニアまたはカセイソーダ濃 厚液により処理する加工である。これにより、図５の如く扁平で捩れたリボン状 の綿短繊維11′から成る綿糸が膨潤収縮して、図３の如く捩れが除去された内腔 部11ａを有する略円筒状の綿短繊維11から成る綿糸に変化する。その結果、多数 の綿短繊維11・11・・・・同士の絡みが減少して整列性が大幅に向上するうえに、ビ ロードのパイル整理仕上加工時のブラッシング処理において、カットパイル１の 櫛通りが非常に良くなってパイル抜けも大幅に減少する。

【００１５】 また、上記シルケット加工により、前記綿短繊維11・11・・・・に含まれる夾雑物 が除去されて清浄性が向上するので、ラビング処理時にその夾雑物による筋状の 傷が配向膜に付くのを防止することができて液晶パネルの歩留り向上を図れる。 さらに、捩れの除去によってカットパイル１の強度が大きくなるので、１枚のラ ビング布材でラビング処理可能な収量も従来品に比して増大するうえに、カット パイル１の吸湿性が向上するので、ラビング処理時の摩擦静電気による微細ホコ リの付着も従来品に比して減少する。

【００１６】 本考案の実施形態は概ね上記のとおりであるが、本考案は前述の実施形態に限 定されるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種 々の変更が可能であって、例えば、カットパイル１の番手、長さ、密度は必要に 応じて変えることも可能であり、また、本実施形態のラビング布材においては、 Ｖ組織のビロードを採用しているが、Ｗ組織のビロードを採用することも可能で あり、これら何れの変更態様も本考案の技術的範囲に属することは言うまでもな い。

【００１７】

【考案の効果】

以上実施形態を挙げて説明したとおり、本考案にあっては、各々の綿短繊維の 捩れが除去されて整列状態に改良された綿糸をビロード組織のカットパイルに組 織してラビング布材を構成したので、液晶パネルを構成するガラス基板上に印刷 した配向膜に前記ラビング布材のカットパイルを擦り付けることにより、幅や深 さ等のサイズが均一な多数の微細溝を正確に形成することができる。よって、液 晶パネル内の液晶分子は電圧印加時に均一な微細溝に沿って整然と配列され、そ の結果、液晶ディスプレイの画像鮮明化や視野角拡大化などを図れる。

【００１８】 また、本考案のラビング布材は、従来品に比して清浄性、耐久性および吸湿性 も優れているので、ラビング処理能力および歩留りの向上を図ることもできる。 したがって、液晶パネル製造工程における利用価値は頗る大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施形態であるラビング布材のビロー
ド組織を概略的に示した部分斜視図である。

【図２】図１のＡ部分における本実施形態ラビング布材
のカットパイルの拡大断面図である。

【図３】図２のカットパイルを構成する綿短繊維の拡大
斜視図である。

【図４】従来のラビング布材のカットパイルの拡大断面
図である。

【図５】図４のカットパイルを構成する綿短繊維の拡大
斜視図である。

【符号の説明】

Ｖ ビロード組織 １ カットパイル 11 綿短繊維 11′ 捩れた綿短繊維 11ａ 内腔部 ２ 地経糸 ３ 地緯糸

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 各々の綿短繊維の捩れが除去された改良
   綿糸が、ビロード組織のカットパイルに組織されて成る
   ことを特徴とした液晶パネル製造用ラビング布材。
2. 【請求項２】 シルケット加工により各々の綿短繊維の
   捩れが除去された改良綿糸が、ビロード組織のカットパ
   イルに組織されて成ることを特徴とした液晶パネル製造
   用ラビング布材。