JP3044335B2 - シールド機のテールシール注入装置 - Google Patents

シールド機のテールシール注入装置

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JP3044335B2 JP7281192A JP28119295A JP3044335B2 JP 3044335 B2 JP3044335 B2 JP 3044335B2 JP 7281192 A JP7281192 A JP 7281192A JP 28119295 A JP28119295 A JP 28119295A JP 3044335 B2 JP3044335 B2 JP 3044335B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、シールド機のテ
ールシール注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昨今、シールド機を用いてトンネルなど
を構築する場合、図4の従来のシールド機101の概略
構成を示す断面図に示すように、シールド機101の前
面でカッタ103により地山105の掘削を行ない、ス
キンプレート107後方のテールプレート部109の内
側でセグメント111を組み立て、このセグメント11
1から反力をとってシールド機101が掘進方向Cに推
進する。テール部Dでは、テールプレート109の内側
面にワイヤブラシ113が3列設けられている。なお、
ワイヤブラシ113は、現場の条件に応じて2列から4
列程度の間で設けられていた。
【0003】図5は図4のD部の拡大図であり、シール
ド機101後方のテール部Dの後方では、図示しない注
入管などから裏込材117が供給され、裏込材117は
地山105とセグメント111との間の隙間に充填され
る。ワイヤブラシ113は、テールプレート109とセ
グメント111との間から裏込材117の他、地下水、
泥水などがシールド機101内に侵入することを防ぐた
めに設けられるものである。
【0004】一般に多く使用されているワイヤブラシ型
テールシールは、それ自体では、止水効果は少ない。従
来、ワイヤブラシ型テールシールの止水効果を向上させ
るために、グリースを主体とし繊維などを混合したシー
ラ材を塗布したり、図5の注入空隙119a、119b
に充填したりして、止水効果を発揮させていた。
【0005】シーラ材を塗布あるいは充填する箇所およ
びタイミングは、次のとおりである。(a)シールド機
101組み立て時にワイヤブラシの表面へ塗布したり内
部へ充填する。 (b)複数のブラシ間(図5、注入空隙119a、11
9b)へ充填する。
【0006】(c)シーラ材専用の注入装置(図5、注
入管121など)を有するシールド機の場合は、掘進中
に、シーラ材を間欠的にワイヤブラシ周辺に注入する。 (d)シーラ材注入装置を有しないシールド機の場合
は、掘進中に100R〜200R毎に、セグメントに設
けたグラウトホールより、シーラ材をワイヤブラシ周辺
に注入する。 なお、図5はシーラ材専用の注入装置として注入管12
1を有するシールド機101のD部の拡大図を示してい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
テールシールグリースの注入では、以下のような問題点
があった。すなわち、 (a)テールクリアランスが変化した場合に、テールシ
ール間に空隙が生じ、裏込材117が侵入したり、地下
水や泥水などが漏水したりする。 (b)テールシールグリースが全周には行き渡らないた
め裏込材117が侵入し、侵入した裏込材は排出されず
に固化するので、テールシールが破損する。 (c)テールシールグリースが高価である。
【0008】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、止水性およびテー
ルシールの保護性能が高い、シールド機のテールシール
注入装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 前述した目的を達成す
るために、本発明は、シールド機のテール部をシールす
るシールド機のテールシール注入装置において、前記シ
ールド機のスキンプレートのテール部内側に設けた複数
列のワイヤブラシと、前記ワイヤブラシの各列の間に注
入材を供給する注入管と、前記注入管に前記注入材を圧
送する圧送ポンプと、前記注入管の注入口付近に設けら
れ、前記注入材の注入材圧を測定する注入材圧測定器
と、前記テール部後方の外部液圧を測定する外部液圧測
定器と、前記圧送ポンプの回転数を制御する制御装置
と、を具備し、前記制御装置は、測定された前記注入材
圧が前記外部液圧より小さい場合、前記圧送ポンプを高
速運転させ、測定された前記注入材圧が前記外部液圧以
上で、かつ所定の第1の閾値より小さい場合、前記圧送
ポンプを中速回転させ、測定された前記注入材圧が所定
の第1の閾値以上で、かつ所定の第2の閾値より小さい
場合、前記圧送ポンプを低速回転させることを特徴とす
るシールド機のテールシール注入装置である。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は本実
施の形態に係るシールド機1の概略構成を示す断面図で
ある。シールド機1の前面でカッタ3により地山5の掘
削を行ない、スキンプレート7の後方のテールプレート
9の内側面には、全周に環状にワイヤブラシ11a、1
1b、11cが3列に設けられる。
【0012】次に、ワイヤブラシ11の先端部を所定の
距離だけシールド機1の外周側に押しつけるようにし
て、ワイヤブラシ11の内側にセグメント11を組み立
て、このセグメント11から反力をとってシールド機1
が掘進方向Aへ推進する。シールド機1後方のテール部
Bのテールプレート9の内側に環状に設けたワイヤブラ
シ11a、11b、11cは、テールプレート9と、セ
グメント13との間から裏込材15、あるいは地下水、
泥水などがシールド機1内に侵入することを防ぐための
ものである。
【0013】次に、本実施の形態に係るシールド機1の
テールシール注入装置およびテールシール注入材につい
て説明する。シールド機1では、ワイヤブラシ11aと
ワイヤブラシ11bとの間、および、ワイヤブラシ11
bとワイヤブラシ11cとの間の環状の空隙部分に専用
の装置でテールシール注入材を充填し、3列の環状のワ
イヤブラシ11a、11b、11cと、各列の間に注入
されたテールシール注入材とが一体化し、全体としてワ
イヤブラシシールを構成する。
【0014】図2は、図1のB部の拡大断面、および注
入装置の各部の関係を示す図である。水圧測定器(水圧
測定用圧力変換器)17は、テールプレート9の最後尾
部などに設けられ、テールプレート9の後方の空隙に存
在する泥水や地下水などの水圧を測定する。またテール
プレート9の後方に裏込材15を充填した後は、裏込材
15、泥水、地下水などの外部流動物の、テールプレー
ト9の最後尾部分に及ぼす圧力(外部液圧)を測定す
る。
【0015】第1の注入材圧測定器(第1のテールシー
ル注入材圧測定用圧力変換器)35は、第1の注入箇所
31にテールシール注入材を注入するために設けた第1
の注入管33の一部に接して設けられ、テールシール注
入材の注入材圧を測定する。第1の制御装置37は、水
圧測定器17および第1の注入材圧測定器35の各測定
値を解析して、所定の計算を行ない、第1のモータ41
の回転数などを算出する。第1のインバータ39は、第
1の制御装置37から送られる直流の制御信号を交流信
号に変換し、第1のモータ41に送る。第1のモータ4
1は第1の圧送ポンプ(モノポンプ)43を駆動する。
【0016】第2の注入材圧測定器(第2のテールシー
ル注入材圧測定用圧力変換器)55は、第2の注入箇所
51にテールシール注入材を注入するために設けた第2
の注入管53の一部に接して設けられ、テールシール注
入材の注入材圧を測定する。第2の制御装置57は、水
圧測定器17および第2の注入材圧測定器55および第
1の注入材圧測定器35の各測定値を解析して、所定の
計算を行ない、第2のモータ61の回転数などを算出す
る。第2のインバータ59は、第2の制御装置57から
送られる直流の制御信号を交流信号に変換し、第2のモ
ータ61に送る。第2のモータ61は第2の圧送ポンプ
(モノポンプ)63を駆動する。
【0017】テールシール注入材の材料19は、廉価な
ベントナイト、アクリル水溶性ポリマ、繊維などを主成
分とし、ミキサ21による攪拌混合後には高粘性材料
(5000cp程度)となるようにする。テールシール
注入材は、配液管23を介してミキサ21から第1の圧
送ポンプ43および第2の圧送ポンプ63に送られる。
【0018】次にテールシール注入材の注入の手順につ
いて説明する。ここでは、まず、ワイヤブラシ11b
と、ワイヤブラシ11cとの間の第1の注入箇所31に
テールシール注入材を注入する場合を先に説明する。第
1の注入箇所31へは第1の注入管33を介してテール
シール注入材が注入される。第1の注入箇所31全体に
テールシール注入材がほぼ充填されるまでは、テールシ
ール注入材は後述する自動注入ではなく、担当者によっ
て管理するなどして注入作業を行なってもよい。
【0019】図3は第1の注入箇所31へのテールシー
ル注入材の送圧の調節方法の1例を示すフローチャート
である。図3の例では本発明の原理を簡単に示すため
に、第2の注入箇所51には注入材が注入されていない
場合に、第1の注入箇所31への注入材圧とテールシー
ル部の外部の水圧との比較によって注入材の送圧を調整
する方法について説明する。
【0020】テールシール注入材の自動注入を開始する
と(ステップ301)、テールシール注入材の第1の注
入材圧は第1の注入材圧測定器35で継続的に計測さ
れ、外部からテールプレート9部にかかる水圧は水圧測
定器17により継続的に計測される(ステップ30
2)。
【0021】第1の注入材圧と水圧の両測定値は、リア
ルタイムで第1の制御装置37に送られ、第1の制御装
置37では両測定値を比較し、所定の計算式を用いて第
1の圧送ポンプ43の運転制御を行ない、テールシール
注入材の送圧が制御される。
【0022】まず、注入材圧が水圧未満であるか否かを
判定する(ステップ303)。注入材圧が水圧未満であ
る場合には、外部流動物がワイヤブラシ11cの内側に
侵入してしまうため、対抗する注入材圧を迅速に高める
ために、第1の圧送ポンプ43を高速運転させる(ステ
ップ304)。
【0023】ステップ303で、注入材圧が水圧以上で
ある場合には、ステップ305で、注入材圧が、例えば
水圧+0.2kgf/cm2未満であるか否かを判定す
る。注入材圧が、水圧以上かつ水圧+0.2kgf/c
m2未満である場合は注入材圧が不十分であるため、注
入材圧を高めるために、第1の圧送ポンプ43を中速運
転する(ステップ306)。
【0024】ステップ305で、注入材圧が水圧+0.
2kgf/cm2以上である場合には、ステップ307
で、例えば注入材圧が水圧+0.4kgf/cm2未満
であるか否かを判定する。注入材圧が、水圧+0.2k
gf/cm2以上かつ水圧+0.4kgf/cm2未満
である場合には、第1の圧送ポンプ43を低速運転する
(ステップ308)。
【0025】ステップ307で、注入材圧が水圧+0.
4kgf/cm2以上である場合には注入材圧は十分で
あり、注入材圧が、それ以上増加すると、注入材圧が高
過ぎてワイヤブラシ11cを外側へ押し曲げる危険があ
るため、第1の圧送ポンプ43の運転が停止される(ス
テップ309)。
【0026】ステップ304、ステップ306、ステッ
プ308、あるいはステップ309で第1の圧送ポンプ
43の運転状態を決定した後は、テールシール注入材の
自動注入を終了するか否かが判定される(ステップ31
0)。
【0027】テールシール注入材の自動注入を終了する
のは、水圧あるいは裏込材15の液圧が低い場合、シー
ルド機1による掘進を停止する場合など所定の条件を満
たした場合である。ステップ310で、自動注入を終了
すると判定された場合には、水圧および注入材圧の測定
値の監視などが停止され、テールシール注入材の自動注
入が終了される(ステップ311)。
【0028】次に、ワイヤブラシ11aと、ワイヤブラ
シ11bとの間の第2の注入箇所51にテールシール注
入材を注入する場合について説明する。第2の注入箇所
51へは第2の注入管53を介してテールシール注入材
が注入される。第2の注入箇所51全体にテールシール
注入材がほぼ充填された後、テールシール注入材の自動
注入を開始すると、第2の注入材圧は第2の注入材圧測
定器55で計測され、リアルタイムで第2の制御装置5
7に送られる。
【0029】第2の圧送ポンプ63から第2の注入箇所
51への注入材の送圧の算出の際には、例えば第2の注
入材圧と第1の注入材圧と水圧の測定値の3測定値を比
較し、所定の計算式を用いて新たな送圧が計算される。
【0030】以上、詳細に説明したように、本実施の形
態に係るテールシールは、ワイヤブラシ11a、11
b、11cの各列の間のテールシール注入材の圧力を検
知することができ、テールシール注入材の注入量および
送圧を制御することによりテールシール間に空隙が生じ
ないようにして、裏込材15や泥水、地下水などがシー
ルド機1内に侵入しないようにすることができる。
【0031】また、テールシールの止水性が高まり、高
水圧に対処できる。また、テールシール注入材の注入量
を増すことにより、テールシール間を洗浄したり、テー
ルシール間に侵入した裏込材15などを排出することが
可能である。また、このため、テールシールの耐久性が
高く、テールシールを交換せずに超長距離を掘進するこ
とが可能となり、経済的であり、シールド工事全体の工
期も短縮できる。
【0032】また、テールクリアランスの大幅な変化に
対応できるため、急曲施工、縮小径セグメント施工にも
対処することができる。また、テールシール注入材が廉
価なため、コストダウンが可能である。また、テールシ
ール注入材は、テールシールグリースに比べて流動性が
高いため、注入口の個数を減らすことが可能であり、施
工、保守などの作業が簡略化される。
【0033】なお、本実施の形態では、水圧測定器17
をテールプレート9の最後尾部分に設けるものとした
が、テールシール部の後方に存在する流動物からテール
シール部にかかる圧力が測定できる任意の位置に水圧測
定器17を設けてもよい。
【0034】さらに、テールシール注入材の注入量およ
び送圧の制御は、図3に示したものに限定されるもので
はなく、要するに各注入箇所の内外の圧力を測定しつ
つ、テールシール部に空隙が発生しないようにテールシ
ール注入材の注入量あるいは送圧を制御すればよい。し
たがって第1の注入箇所31と第2の注入箇所51の注
入材圧のバランスも調整可能であり、各ワイヤブラシ1
1に無理な力が加わって変形の生じることを防止でき
る。
【0035】また、図2においては、第1の制御装置3
7では第1の注入材圧測定器の測定値と水圧測定器17
の2種の測定値を、第2の制御装置57では第1の注入
材圧測定器の測定値と第2の注入材圧測定器の測定値と
水圧測定器17の3種の測定値を、それぞれ比較検討す
ることとしたが、任意の測定値を選択して、テールシー
ル部に空隙が発生しないようにテールシール注入材の注
入量あるいは送圧を制御することができる。
【0036】また、本実施の形態では、ワイヤブラシは
3列設けるものとしたが、ワイヤブラシの配列は2列以
上の任意の列とし、ワイヤブラシ各列の間の注入箇所に
別々の注入管を介して注入管テールシール注入材を注入
することとしてもよい。その場合、各注入管に注入材圧
測定器を設け、テールシール部の外部の水圧と各注入箇
所の注入材圧の各測定値を比較検討して、テールシール
注入材の各注入箇所への送圧をそれぞれ制御する。
【0037】また、本実施の形態では、テールシール注
入材は、ベントナイト、アクリル水溶性ポリマ、繊維な
どを主成分とし、ミキサ21による攪拌混合後には高粘
性材料(5000cp程度)になるものを用いることと
したが、送圧の調整の可能な材料であれば、任意の素材
からなるものをテールシール注入材として用いてもよ
い。
【0038】
【発明の効果】 以上、詳細に説明したように、本発明
によれば、止水性およびテールシールの保護性能が高
い、シールド機のテールシール注入装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シールド機1の概略構成を示す断面図
【図2】 図1のB部の拡大断面、および注入装置の各
部の関係を示す図
【図3】 テールシール注入材の送圧の調節方法の1例
を示すフローチャート
【図4】 従来のシールド機101の概略構成図
【図5】 注入管121を有するシールド機101のD
部の拡大図
【符号の説明】
1………シールド機 3………カッタ 5………地山 7………スキンプレート 9………テールプレート 11………ワイヤブラシ 13………セグメント 15………裏込材 17………水圧測定器 19………材料 21………ミキサ 23………配液管 31………第1の注入箇所 33………第1の注入管 35………第1の注入材圧測定器 37………第1の制御装置 39………第1のインバータ 41………第1のモータ 43………第1の圧送ポンプ 51………第2の注入箇所 53………第2の注入管 55………第2の注入材圧測定器 57………第2の制御装置 59………第2のインバータ 61………第2のモータ 63………第2の圧送ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−174194(JP,A) 特公 昭63−61478(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールド機のテール部をシールするシー
    ルド機のテールシール注入装置において、 前記シールド機のスキンプレートのテール部内側に設け
    た複数列のワイヤブラシと、 前記ワイヤブラシの各列の間に注入材を供給する注入管
    と、 前記注入管に前記注入材を圧送する圧送ポンプと、 前記注入管の注入口付近に設けられ、前記注入材の注入
    材圧を測定する注入材圧測定器と、 前記テール部後方の外部液圧を測定する外部液圧測定器
    と、 前記圧送ポンプの回転数を制御する制御装置と、 を具備し、 前記制御装置は、 測定された前記注入材圧が前記外部液圧より小さい場
    合、前記圧送ポンプを高速運転させ、 測定された前記注入材圧が前記外部液圧以上で、かつ所
    定の第1の閾値より小さい場合、前記圧送ポンプを中速
    回転させ、 測定された前記注入材圧が所定の第1の閾値以上で、か
    つ所定の第2の閾値より小さい場合、前記圧送ポンプを
    低速回転させることを特徴とするシールド機のテールシ
    ール注入装置。
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