JP3043799U - 育苗鉢 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 草花の育苗鉢に関し、鉢の内部に貯水して水
枯れを防ぎ育苗に適する環境を提供する。 【解決手段】 発泡合成樹脂でなる育苗鉢であり、頂部
（１）と底部（２）とに二分割形成し、前記頂部（１）
へ植込み凹部（１ａ）を設け、前記底部（２）へ給水口
（６）を設ける。これにより極めて高い断熱作用が得ら
れ、内部の貯水槽は外気に影響されず、水の温度上昇と
か短時間での水蒸発から守られ良好な育苗をなさしめ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、草花の育苗用あるいは鑑賞用に供する植木鉢に関しており、具体的 には鉢の内部に貯水して水涸れを防ぐ水耕栽培に適した育苗鉢に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

従来、草花への水やり忘れによる水涸れを防ぐために、プランターまたは植木 鉢へ貯水部を設ける構造が種々開発されており、その一例を挙げると、実開平２ −２６４４６号公報（図４によって示す）のような、プランター（７）の内壁へ 中仕切り（８）を設けてその下方部を貯水槽（９）とする二層構造が多く普及し ている。 また、最近では鉢を上下に二段重ね合わせ、上層段の鉢に土砂を盛り植物を植 え、下層段の鉢を貯水槽とする組立形の植木鉢（図示していない）も見られるよ うになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前者の図４で示したプランター（７）へ中仕切り（８）を装着 する二層仕切り構造の鉢では、中仕切り（８）の正確な固定位置での装着が大切 であり、この中仕切り（８）にズレあるいはハズレが生じるとたちまち植えた植 物に悪影響を与える欠点を持ち、これに加えてその下方部の貯水槽（９）は外部 の温度とか湿・乾度がそのまま鉢から直に伝わるから水温の上昇をきたしたり短 時間に貯水した水を蒸発したりする致命的な欠陥を現わす。

【０００４】 また、後者の鉢の上下二段重ね構造では、下層段の鉢を透明な樹脂材で形成す るなどの水位の視認を可能とする構成を付加した構造も見られるが、このような 構造も前述した前者と同様の欠点である貯水槽部に外部の温度とか湿・乾気がそ のまま直接的に伝わり、結果、植物に極めて有害な水温の上昇とか、溜水の早期 な蒸発を招く大きな欠陥をもっている。 本考案はこのような欠点に鑑み、植木鉢を分割構造としその全体を断熱材で形 成して、外部に影響されない良好な育苗状態を保つことのできる育苗鉢を提供す ることを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案を図面に基づいて説明すると、図１及び図２に示すように、植物の植え 込み部を備える上部鉢と、水を貯水する下部鉢からなる水耕栽培に適した育苗鉢 であって、発泡合成樹脂でなり、互いに係合する凹凸条（４）を配した分割面（ ３）によって蓋状の頂部（１）と受け皿状の底部（２）とに二分割形成されてお り、前記頂部（１）の中程へ底面が貯水上限レベル（５）に接する植込み凹部（ １ａ）を設けてその植込み凹部（１ａ）へ複数の通孔（１ｂ）を削設し、前記底 部（２）の前記分割面（３）より下方の側面へ貯水上限レベル（５）に開口を持 つ給水口（６）を設けたことを特徴としている。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案の育苗鉢は、スチレン、ウレタン等の合成樹脂材料を用いて発泡成形す るものであり、図１及び図２に示すように草花の植込み凹部（１ａ）を備える上 部の頂部（１）と、水を貯水する下部の底部（２）とを別々に形成せしめ、これ らの部材（１）（２）が接する分割面（３）へ互いに係合する凹凸条（４）を配 してこれを係合し、一体化された育苗鉢を完成する。 この育苗鉢の植込み凹部（１ａ）へ土砂あるいはシート状繊維と共に草花の苗 とか種を載置し、下方の底部（２）へは給水口（６）より給水せしめる。このと き給水上限レベル（５）まで水が溜れば、前記給水口（６）は貯水上限レベル（ ５）に開口しているのでそれ以上の水は該給水口（６）から排出され、一定の貯 水レベルが保たれ、また、前記植込み凹部（１ａ）の底面は前記貯水上限レベル （５）に接する位置関係にあるから草花は植込み凹部（１ａ）へ削設された通孔 （１ｂ）から最適の水分と養分を吸収して良好な生育を見せる。

【０００７】

【実施例】

本考案を実施するに、育苗鉢を一体化せしめる分割面（３）の凹凸条（４）は 発泡合成樹脂材の持つ適度の弾力性により掴み係合あるいは嵌合されるが、発泡 合成樹脂材故に着脱作業は簡単容易であり、形成する凹凸条（４）の刻みを深く 配置しなくても充分な係合力あるいは嵌合力が得られる。従って、周状に連続し た条とする他に、断続した条（図示していない）であっても良く、凹凸を交互に 繰り返す変則条（図示していない）なども採用可能である。

【０００８】 本考案では、図２に示したような植込み凹部（１ａ）が単数あるいは狭面積の 配設に限るものでなく、例えば図３に示すような二連となった植込み凹部（１１ ａ）を持つ育苗鉢とか、さらに三連あるいは四、五連（図示していない）と連設 することも可能であり、種々の要求に対応できるものとなっている。 この育苗鉢の平面から見た形状においては、植木鉢として一般的に用いられて いる丸形状とか、あるいは図２に示すような略方形、図３に示すような長方形、 あるいは多角形状（図示していない）など様々な形状が採用できるが、ここで図 示した略方形状あるいは長方形状では多数個の育苗鉢がきれいに整列され、かつ 場所を取らない利点を有しており特に薦められる形状である。 また、本考案の育苗鉢は前述のように保水性に優れるから少量の土（バーク、 鹿沼土等）で栽培可能であり、軽量に仕上げることができ移動運搬が容易である などの重量的な優位性を持っている。

【０００９】

【考案の効果】

本考案では断熱性に優れる発泡合成樹脂材料を育苗鉢に採用し、これで容器全 体を形成したことで極めて高い断熱作用が得られ、その内部の貯水槽は外気に影 響されない変化の少ない外部遮断状態におかれるから、水の温度上昇とか短時間 での水蒸発から守られ良好な育苗をなさしめる最適な構造と成っている。 また、本考案の育苗鉢を鑑賞用として用いる場合、形成材料である発泡合成樹 脂材は塗料による着色が容易でありその密着性も強いので、花あるいは草木に合 わせた彩色が自由にできる利点を持っている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１のの平面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す平面図である。

【図４】本考案を使用しない従来の構造を示した断面図
である。

【符号の説明】

１ 頂部 １ａ 植込み凹部 １１ａ 二連植込み凹部 １ｂ 通孔 ２ 底部 ３ 分割面 ４ 凹凸条 ５ 貯水上限レベル ６ 給水口 ７ プランター ８ 中仕切り ９ 貯水槽

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水耕栽培に適する育苗鉢であって、 発泡合成樹脂でなり、互いに係合する凹凸条を配した分
   割面によって植込み部の備わる蓋状の頂部と貯水をなす
   受け皿状の底部とに分割形成されており、 前記頂部の中程へ底面が貯水上限レベルに接する植込み
   凹部を設けて該植込み凹部へ複数の通孔を削設せしめ、 前記底部の前記分割面より下方の側面へ貯水上限レベル
   に開口された給水口を設けたことを特徴とする育苗鉢。
2. 【請求項２】 前記育苗鉢を平面で略方形に設けたこと
   を特徴とする請求項１の育苗鉢。