JP3042065U - 表面仕上げ構造 - Google Patents

表面仕上げ構造

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JP3042065U
JP3042065U JP1997000379U JP37997U JP3042065U JP 3042065 U JP3042065 U JP 3042065U JP 1997000379 U JP1997000379 U JP 1997000379U JP 37997 U JP37997 U JP 37997U JP 3042065 U JP3042065 U JP 3042065U
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恒久 松浦
一行 角
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株式会社間組
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FRPシートで補強されたコンクリート部材
において、簡略に施工することができる表面仕上げ構造
を提供すること。 【解決手段】 繊維強化プラスチックシート12を既存
コンクリート部材11の表面に貼着して補強した後、こ
の表面を仕上げるための構造であって、繊維強化プラス
チックシート表面に点在するように複数の薄板材13を
貼着し、それぞれの薄板材のうえに接着剤14を塗布
し、接着剤によって表面仕上げ板15を薄板材の複数に
わたるように貼着して形成した。複数の薄板材は、繊維
強化プラスチックシートを硬化させるための硬化剤また
はマトリックス樹脂の粘着力により、貼着することもで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、繊維強化プラスチックシート(以下、FRPシートという)を表面に 貼着して補強した既存コンクリート部材の表面を仕上げるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存の鉄筋コンクリート構造物の変形性能を改善したり、耐力を上昇させるた め、炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシートを、構造物のコ ンクリート表面に接着剤で貼り付け、その後、FRPシートの表面に液体の硬化 剤またはマトリックス樹脂を塗布する補強構造が実施されている。また、かよう な補強構造において、美観上の観点から表面仕上げを必要とする場合には、例え ば、図2(a)に示したように、FRPシート12上からコンクリート躯体21に 固定ピン23を打ち込み、この固定ピン23でラス網22を固定し、ラス網22 上からモルタル24を塗って仕上げを行っている。しかしながら、上記のモルタ ル塗仕上げでは、施工の手間が掛かるため、さらに簡略な仕上げ構造が求められ ている。
【0003】 一方、従来の鉄筋コンクリート構造物、すなわち、コンクリート表面にFRP シートを貼着しない構造物では、図2(b)に示したように、コンクリート躯体2 1の表面に粘性が高い石膏系接着剤34を点状に塗布し、この接着剤34上に石 膏ボード等の仕上げ板35を押し付けて貼着しており、これは一般的にGL工法 と呼ばれている。このGL工法は、上記モルタル塗仕上げと比較すると、施工の 手間が格段に簡略なものである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
したがって、FRPシートで補強したコンクリート構造物においても、施工の 手間を簡略化するために、GL工法で表面仕上げを行うことが提案されたものの 、石膏系接着剤34のFRPシートに対する付着力は弱く、仕上げ板35を固定 することはできず、実用に耐えるものではなかった。
【0005】 本考案は上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、FR Pシートで補強されたコンクリート部材において、簡略に施工することができる 表面仕上げ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、前記目的に鑑みてなされたものであって、その要旨は、繊維強化プ ラスチックシートで補強された既存コンクリート部材の表面を仕上げるための構 造であって、前記繊維強化プラスチックシート表面に点在するように複数の薄板 材を貼着し、それぞれの該薄板材のうえに接着剤を塗布し、該接着剤によって表 面仕上げ板を前記薄板材の複数にわたるように貼着したことを特徴とする表面仕 上げ構造にある。
【0007】 本考案の表面仕上げ構造において、FRPシート表面に複数の薄板材を貼着さ せるためには、FRPシートに対する付着性が良好な接着剤を用いる必要が有り 、かような接着剤としては、例えば、硬化剤またはマトリックス樹脂を採用する ことができて、この硬化剤またはマトリックス樹脂が固化する前に薄板材を押し 付ければ、硬化剤またはマトリックス樹脂の粘着力によって薄板材をFRPシー トに接着することができる。 ここで、マトリックス樹脂とは、一方向に引き揃えられた繊維(炭素繊維、ア ラミド繊維又はガラス繊維等の繊維)のシートに浸透・含浸させて、この繊維シ ートを一体化して強化するために用いられる硬化性樹脂であって、例えば、ビス フェノールA型エポキシ樹脂と変性脂肪族ポリアミンとの混合物をマトリックス 樹脂として用いることができる。 また硬化剤とは、予めマトリックス樹脂が浸透・含浸されている繊維シートに 塗布することにより、マトリックス樹脂の硬化反応を促進及び調整するものであ って、例えば、変性環状脂肪族アミン、変性脂肪族アミン、変性アミドアミン、 変性環状脂肪族ジアミンまたは複素環状ジアミンを硬化剤として用いることがで きる。
【0008】 また本考案において薄板材は、前記接着剤、すなわち硬化剤またはマトリック ス樹脂により所要以上の付着耐力でFRPシートに付着することができる材質で あれば良く、例えば、モルタル板またはコンクリート板があり、軽量、低コスト 且つ付着性能が良好であるという点からはセメントで形成した薄板材が特に好ま しい。さらに、薄板材のうえに塗布する接着剤としては、前記薄板材の上に所要 以上の耐力で表面仕上げ板を付着することができるものであれば良く、例えば、 エポキシ系接着剤または石膏系接着剤があり、その粘度から扱い易く、付着性能 が良好で且つ安価であるという点から石膏系接着剤が特に好ましい。
【0009】
【実施例】
以下に、この考案の一実施例を図を参照して説明する。 図1(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の表面仕上げ構造を部分的に 破断した状態で示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)の表面仕上げ構造の断面 図である。
【0010】 図1(a)(b)における本考案の表面仕上げ構造は、既存の鉄筋コンクリート柱の 躯体11に貼着された炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシー ト12の表面に硬化剤(図示せず)が塗布され、この硬化剤が固化する前に、硬 化剤の粘着力によってFRPシート12上に複数のモルタル片13が貼着され、 このモルタル片13の上に石膏系接着剤14が塗布され、この接着剤14により 仕上げ板15がモルタル片13の上に貼着されている。
【0011】 前記硬化剤は、補強対象のコンクリート構造物の表面に貼着されたFRPシー ト12のうえに塗布するものであって、繊維を保護する効果をも有する。また塗 布後の硬化剤は固化するまでのあいだ粘着性を示すので、ここにモルタル片13 を押し当てれば付着して固定することができる。
【0012】 また前記モルタル片13は、セメント及び細骨材等の材料によって、両面が平 らな薄板状の小片に形成されたものであり、かようなモルタル片13と接着剤1 4とを介して仕上げ板15をFRPシート12上に貼着することにより、例え、 柱躯体12面に微妙な凹凸による寸法誤差があったとしても、モルタル片13の 平らな面と接着剤14の厚さとにより、この寸法誤差を吸収することができる。 なお、硬化剤が塗布された後のFRPシート12には、仕上げ板15を貼着す るための石膏系接着剤14が付着しにくいものの、モルタル片13は石膏系接着 剤14との付着性が良好であると共に、前述したように、FRPシート12の硬 化剤との付着性も良好であるため、仕上げ板15を充分な耐力でFRPシート1 2上に固定することができる。
【0013】
【考案の効果】
本考案の表面仕上げ構造では、FRPシート表面に点在するように複数の薄板 材を貼着し、それぞれの薄板材のうえに接着剤を塗布し、この接着剤によって表 面仕上げ板を薄板材の複数にわたるように貼着したので、図2(a)に示したよう な従来の仕上げ構造のように、ラス網貼りやモルタル塗りといった、コンクリー ト躯体の全面にわたる手間の掛かる作業を行う必要が無く、施工の手間が掛から ない簡略な仕上げ構造を提供することができる。また、本考案では、表面仕上げ 板をコンクリート躯体の全面に直接に貼着する場合とは異なり、表面仕上げ板を 点在する薄板材の上に貼着したので、例え、コンクリート表面に微妙な凹凸によ る寸法誤差があったとしても、薄板材と接着剤とにより、この寸法誤差を容易に 吸収することができる。
【0014】 また本考案の表面仕上げ構造では、FRPシートを硬化させるための硬化剤又 はマトリックス樹脂が固化する前に、硬化剤又はマトリックス樹脂の粘着力によ って複数の薄板材をFRPシート表面に貼着したので、薄板材の貼着施工の手間 が掛からない簡略な仕上げ構造を提供することができる。
【提出日】平成9年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、繊維強化プラスチックシート(以下、FRPシートという)を表面に 貼着して補強した既存コンクリート部材の表面を仕上げるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存の鉄筋コンクリート構造物の変形性能を改善したり、耐力を上昇させるた め、炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシートを、構造物のコ ンクリート表面に接着剤で貼り付け、その後、FRPシートの表面に液体の硬化 剤またはマトリックス樹脂を塗布する補強構造が実施されている。また、かよう な補強構造において、美観上の観点から表面仕上げを必要とする場合には、例え ば、図2(a)に示したように、FRPシート12上からコンクリート躯体21に 固定ピン23を打ち込み、この固定ピン23でラス網22を固定し、ラス網22 上からモルタル24を塗って仕上げを行っている。しかしながら、上記のモルタ ル塗仕上げでは、施工の手間が掛かるため、さらに簡略な仕上げ構造が求められ ている。
【0003】 一方、従来の鉄筋コンクリート構造物、すなわち、コンクリート表面にFRP シートを貼着しない構造物では、図2(b)に示したように、コンクリート躯体2 1の表面に粘性が高い石膏系接着剤34を点状に塗布し、この接着剤34上に石 膏ボード等の仕上げ板35を押し付けて貼着しており、これは一般的にGL工法 と呼ばれている。このGL工法は、上記モルタル塗仕上げと比較すると、施工の 手間が格段に簡略なものである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
したがって、FRPシートで補強したコンクリート構造物においても、施工の 手間を簡略化するために、GL工法で表面仕上げを行うことが提案されたものの 、石膏系接着剤34のFRPシートに対する付着力は弱く、仕上げ板35を固定 することはできず、実用に耐えるものではなかった。
【0005】 本考案は上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、FR Pシートで補強されたコンクリート部材において、簡略に施工することができる 表面仕上げ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、前記目的に鑑みてなされたものであって、その要旨は、繊維強化プ ラスチックシートで補強された既存コンクリート部材の表面を仕上げるための構 造であって、前記繊維強化プラスチックシート表面に点在するように貼着された 複数の薄板材と 、それぞれの該薄板材のうえに塗布された接着剤と、該接着剤に より前記複数の薄板材にわたって貼着された表面仕上げ板とを備えたことを特徴 とする 表面仕上げ構造にある。
【0007】 また本考案では、繊維強化プラスチックシートで補強された既存コンクリート 部材の表面を仕上げるための構造であって、前記繊維強化プラスチックシートの 繊維内に浸透されるか、あるいは表面に塗布された硬化剤またはマトリックス樹 脂と、この硬化剤またはマトリックス樹脂によって貼着された複数の薄板材と、 それぞれの該薄板材のうえに塗布された接着剤と、該接着剤によって前記複数の 薄板材にわたって貼着された表面仕上げ板とを備えたことを特徴とする表面仕上 げ構造が提供される。
【0008】 本考案の表面仕上げ構造において、FRPシート表面に複数の薄板材を貼着さ せるためには、FRPシートに対する付着性が良好な接着剤を用いる必要が有り 、かような接着剤としては、例えば、硬化剤またはマトリックス樹脂を採用する ことができて、この硬化剤またはマトリックス樹脂が固化する前に薄板材を押し 付ければ、硬化剤またはマトリックス樹脂の粘着力によって薄板材をFRPシー トに接着することができる。 ここで、マトリックス樹脂とは、一方向に引き揃えられた繊維(炭素繊維、ア ラミド繊維又はガラス繊維等の繊維)のシートに浸透・含浸させて、この繊維シ ートを一体化して強化するために用いられる硬化性樹脂であって、例えば、ビス フェノールA型エポキシ樹脂と変性脂肪族ポリアミンとの混合物をマトリックス 樹脂として用いることができる。 また硬化剤とは、予めマトリックス樹脂が浸透・含浸されている繊維シートに 塗布することにより、マトリックス樹脂の硬化反応を促進及び調整するものであ って、例えば、変性環状脂肪族アミン、変性脂肪族アミン、変性アミドアミン、 変性環状脂肪族ジアミンまたは複素環状ジアミンを硬化剤として用いることがで きる。
【0009】 また本考案において薄板材は、前記接着剤、すなわち硬化剤またはマトリック ス樹脂により所要以上の付着耐力でFRPシートに付着することができる材質で あれば良く、例えば、モルタル板またはコンクリート板があり、軽量、低コスト 且つ付着性能が良好であるという点からはセメントで形成した薄板材が特に好ま しい。さらに、薄板材のうえに塗布する接着剤としては、前記薄板材の上に所要 以上の耐力で表面仕上げ板を付着することができるものであれば良く、例えば、 エポキシ系接着剤または石膏系接着剤があり、その粘度から扱い易く、付着性能 が良好で且つ安価であるという点から石膏系接着剤が特に好ましい。
【0010】
【実施例】
以下に、この考案の一実施例を図を参照して説明する。 図1(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の表面仕上げ構造を部分的に 破断した状態で示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)の表面仕上げ構造の断面 図である。
【0011】 図1(a)(b)における本考案の表面仕上げ構造は、既存の鉄筋コンクリート柱の 躯体11に貼着された炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシー ト12の表面に硬化剤(図示せず)が塗布され、この硬化剤が固化する前に、硬 化剤の粘着力によってFRPシート12上に複数のモルタル片13が貼着され、 このモルタル片13の上に石膏系接着剤14が塗布され、この接着剤14により 仕上げ板15がモルタル片13の上に貼着されている。
【0012】 前記硬化剤は、補強対象のコンクリート構造物の表面に貼着されたFRPシー ト12のうえに塗布するものであって、繊維を保護する効果をも有する。また塗 布後の硬化剤は固化するまでのあいだ粘着性を示すので、ここにモルタル片13 を押し当てれば付着して固定することができる。
【0013】 また前記モルタル片13は、セメント及び細骨材等の材料によって、両面が平 らな薄板状の小片に形成されたものであり、かようなモルタル片13と接着剤1 4とを介して仕上げ板15をFRPシート12上に貼着することにより、例え、 柱躯体12面に微妙な凹凸による寸法誤差があったとしても、モルタル片13の 平らな面と接着剤14の厚さとにより、この寸法誤差を吸収することができる。 なお、硬化剤が塗布された後のFRPシート12には、仕上げ板15を貼着す るための石膏系接着剤14が付着しにくいものの、モルタル片13は石膏系接着 剤14との付着性が良好であると共に、前述したように、FRPシート12の硬 化剤との付着性も良好であるため、仕上げ板15を充分な耐力でFRPシート1 2上に固定することができる。
【0014】
【考案の効果】
本考案の表面仕上げ構造では、FRPシート表面に点在するように貼着された 複数の薄板材と 、それぞれの薄板材のうえに塗布された接着剤と、この接着剤に よって複数の薄板材にわたるように貼着された表面仕上げ板とを備えるので、図 2(a)に示したような従来の仕上げ構造のように、ラス網貼りやモルタル塗りと いった、コンクリート躯体の全面にわたる手間の掛かる作業を行う必要が無く、 施工の手間が掛からない簡略な仕上げ構造を提供することができる。また、本考 案では、表面仕上げ板をコンクリート躯体の全面に直接に貼着する場合とは異な り、表面仕上げ板を点在する薄板材の上に貼着したので、例え、コンクリート表 面に微妙な凹凸による寸法誤差があったとしても、薄板材と接着剤とにより、こ の寸法誤差を容易に吸収することができる。
【0015】 また本考案の表面仕上げ構造では、FRPシートを硬化させるための硬化剤又 はマトリックス樹脂が該シートに浸透又は塗布され、該硬化剤又はマトリックス 樹脂の粘着力によって複数の薄板材FRPシート表面に貼着されているので、 薄板材の貼着施工の手間が掛からない簡略な仕上げ構造が可能になった。
【提出日】平成9年5月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、繊維強化プラスチックシート(以下、FRPシートという)を表面に 貼着して補強した既存コンクリート部材の表面仕上げ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存の鉄筋コンクリート構造物の変形性能を改善したり、耐力を上昇させるた め、炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシートを、構造物のコ ンクリート表面に接着剤で貼り付け、その後、FRPシートの表面に液体の硬化 剤またはマトリックス樹脂を塗布する補強構造が実施されている。また、かよう な補強構造において、美観上の観点から表面仕上げを必要とする場合には、例え ば、図2(a)に示したように、FRPシート12上からコンクリート躯体21に 固定ピン23を打ち込み、この固定ピン23でラス網22を固定し、ラス網22 上からモルタル24を塗って仕上げを行っている。しかしながら、上記のモルタ ル塗仕上げでは、施工の手間が掛かるため、さらに簡略な仕上げ構造が求められ ている。
【0003】 一方、従来の鉄筋コンクリート構造物、すなわち、コンクリート表面にFRP シートを貼着しない構造物では、図2(b)に示したように、コンクリート躯体2 1の表面に粘性が高い石膏系接着剤34を点状に塗布し、この接着剤34上に石 膏ボード等の仕上げ板35を押し付けて貼着しており、これは一般的にGL工法 と呼ばれている。このGL工法は、上記モルタル塗仕上げと比較すると、施工の 手間が格段に簡略なものである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
したがって、FRPシートで補強したコンクリート構造物においても、施工の 手間を簡略化するために、GL工法で表面仕上げを行うことが提案されたものの 、石膏系接着剤34のFRPシートに対する付着力は弱く、仕上げ板35を固定 することはできず、実用に耐えるものではなかった。
【0005】 本考案は上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、FR Pシートで補強されたコンクリート部材において、簡略に施工することができる 表面仕上げ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、前記目的に鑑みてなされたものであって、その要旨は、繊維強化プ ラスチックシートで補強された既存コンクリート部材の表面仕上げ構造であって 、前記繊維強化プラスチックシート表面に点在するように貼着された複数の薄板 材と、 それぞれの該薄板材のうえに塗布された接着剤と、該接着剤により前記複 数の薄板材にわたって貼着された表面仕上げ板とを備えたことを特徴とする 表面 仕上げ構造にある。
【0007】 また本考案では、繊維強化プラスチックシートで補強された既存コンクリート 部材の表面仕上げ構造であって、前記繊維強化プラスチックシートの繊維内に浸 透されるか、あるいは表面に塗布された硬化剤またはマトリックス樹脂と、この 硬化剤またはマトリックス樹脂によって貼着された複数の薄板材と、それぞれの 該薄板材のうえに塗布された接着剤と、該接着剤によって前記複数の薄板材にわ たって貼着された表面仕上げ板とを備えたことを特徴とする表面仕上げ構造が提 供される。
【0008】 本考案の表面仕上げ構造において、FRPシート表面に複数の薄板材を貼着さ せるためには、FRPシートに対する付着性が良好な接着剤を用いる必要が有り 、かような接着剤としては、例えば、硬化剤またはマトリックス樹脂を採用する ことができて、この硬化剤またはマトリックス樹脂が固化する前に薄板材を押し 付ければ、硬化剤またはマトリックス樹脂の粘着力によって薄板材をFRPシー トに接着することができる。 ここで、マトリックス樹脂とは、一方向に引き揃えられた繊維(炭素繊維、ア ラミド繊維又はガラス繊維等の繊維)のシートに浸透・含浸させて、この繊維シ ートを一体化して強化するために用いられる硬化性樹脂であって、例えば、ビス フェノールA型エポキシ樹脂と変性脂肪族ポリアミンとの混合物をマトリックス 樹脂として用いることができる。 また硬化剤とは、予めマトリックス樹脂が浸透・含浸されている繊維シートに 塗布することにより、マトリックス樹脂の硬化反応を促進及び調整するものであ って、例えば、変性環状脂肪族アミン、変性脂肪族アミン、変性アミドアミン、 変性環状脂肪族ジアミンまたは複素環状ジアミンを硬化剤として用いることがで きる。
【0009】 また本考案において薄板材は、前記接着剤、すなわち硬化剤またはマトリック ス樹脂により所要以上の付着耐力でFRPシートに付着することができる材質で あれば良く、例えば、モルタル板またはコンクリート板があり、軽量、低コスト 且つ付着性能が良好であるという点からはセメントで形成した薄板材が特に好ま しい。さらに、薄板材のうえに塗布する接着剤としては、前記薄板材の上に所要 以上の耐力で表面仕上げ板を付着することができるものであれば良く、例えば、 エポキシ系接着剤または石膏系接着剤があり、その粘度から扱い易く、付着性能 が良好で且つ安価であるという点から石膏系接着剤が特に好ましい。
【0010】
【実施例】
以下に、この考案の一実施例を図を参照して説明する。 図1(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の表面仕上げ構造を部分的に 破断した状態で示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)の表面仕上げ構造の断面 図である。
【0011】 図1(a)(b)における本考案の表面仕上げ構造は、既存の鉄筋コンクリート柱の 躯体11に貼着された炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維を含むFRPシー ト12の表面に硬化剤(図示せず)が塗布され、この硬化剤が固化する前に、硬 化剤の粘着力によってFRPシート12上に複数のモルタル片13が貼着され、 このモルタル片13の上に石膏系接着剤14が塗布され、この接着剤14により 仕上げ板15がモルタル片13の上に貼着されている。
【0012】 前記硬化剤は、補強対象のコンクリート構造物の表面に貼着されたFRPシー ト12のうえに塗布するものであって、繊維を保護する効果をも有する。また塗 布後の硬化剤は固化するまでのあいだ粘着性を示すので、ここにモルタル片13 を押し当てれば付着して固定することができる。
【0013】 また前記モルタル片13は、セメント及び細骨材等の材料によって、両面が平 らな薄板状の小片に形成されたものであり、かようなモルタル片13と接着剤1 4とを介して仕上げ板15をFRPシート12上に貼着することにより、例え、 柱躯体12面に微妙な凹凸による寸法誤差があったとしても、モルタル片13の 平らな面と接着剤14の厚さとにより、この寸法誤差を吸収することができる。 なお、硬化剤が塗布された後のFRPシート12には、仕上げ板15を貼着す るための石膏系接着剤14が付着しにくいものの、モルタル片13は石膏系接着 剤14との付着性が良好であると共に、前述したように、FRPシート12の硬 化剤との付着性も良好であるため、仕上げ板15を充分な耐力でFRPシート1 2上に固定することができる。
【0014】
【考案の効果】
本考案の表面仕上げ構造では、FRPシート表面に点在するように貼着された 複数の薄板材と 、それぞれの薄板材のうえに塗布された接着剤と、この接着剤に よって複数の薄板材にわたるように貼着された表面仕上げ板とを備えるので、図 2(a)に示したような従来の仕上げ構造のように、ラス網貼りやモルタル塗りと いった、コンクリート躯体の全面にわたる手間の掛かる作業を行う必要が無く、 施工の手間が掛からない簡略な仕上げ構造を提供することができる。また、本考 案では、表面仕上げ板をコンクリート躯体の全面に直接に貼着する場合とは異な り、表面仕上げ板を点在する薄板材の上に貼着したので、例え、コンクリート表 面に微妙な凹凸による寸法誤差があったとしても、薄板材と接着剤とにより、こ の寸法誤差を容易に吸収することができる。
【0015】 また本考案の表面仕上げ構造では、FRPシートを硬化させるための硬化剤又 はマトリックス樹脂によって複数の薄板材が、FRPシート表面に貼着されてい るので、 薄板材の貼着施工の手間が掛からない簡略な仕上げ構造が可能になった
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の
表面仕上げ構造を部分的に破断した状態で示した斜視図
であり、(b)は(a)の表面仕上げ構造の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は従来例を示すための断面図であ
る。
【符号の説明】
11 柱躯体(既存コンクリート部材) 12 FRPシート(繊維強化プラスチックシート) 13 モルタル小片 14 接着剤 15 表面仕上げ板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 表面仕上げ構造
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の
表面仕上げ構造を部分的に破断した状態で示した斜視図
であり、(b)は(a)の表面仕上げ構造の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は従来例を示すための断面図であ
る。
【符号の説明】 11 柱躯体(既存コンクリート部材) 12 FRPシート(繊維強化プラスチックシート) 13 モルタル小片 14 接着剤 15 表面仕上げ板 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 表面仕上げ構造
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は既存コンクリート柱に適用した本考案の
表面仕上げ構造を部分的に破断した状態で示した斜視図
であり、(b)は(a)の表面仕上げ構造の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は従来例を示すための断面図であ
る。
【符号の説明】 11 柱躯体(既存コンクリート部材) 12 FRPシート(繊維強化プラスチックシート) 13 モルタル小片 14 接着剤 15 表面仕上げ板

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチックシートで補強され
    た既存コンクリート部材の表面を仕上げるための構造で
    あって、 前記繊維強化プラスチックシート表面に点在するように
    複数の薄板材を貼着し、それぞれの該薄板材のうえに接
    着剤を塗布し、該接着剤によって表面仕上げ板を前記複
    数の薄板材にわたるように貼着したことを特徴とする表
    面仕上げ構造。
  2. 【請求項2】 前記コンクリート部材の表面に貼着した
    前記繊維強化プラスチックシートを硬化させるため、そ
    の表面に塗布した硬化剤またはマトリックス樹脂が固化
    する前に、該硬化剤またはマトリックス樹脂の粘着力に
    よって前記複数の薄板材を前記繊維強化プラスチックシ
    ート表面に貼着したことを特徴とする請求項1記載の表
    面仕上げ構造。
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