JP3041905B2 - 低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品 - Google Patents

低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品

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JP3041905B2 JP21571690A JP21571690A JP3041905B2 JP 3041905 B2 JP3041905 B2 JP 3041905B2 JP 21571690 A JP21571690 A JP 21571690A JP 21571690 A JP21571690 A JP 21571690A JP 3041905 B2 JP3041905 B2 JP 3041905B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、機械的強度特に剛性、耐熱性、電気的性質
にすぐれ、かつ低異方性の芳香族ポリカーボネートガラ
ス繊維強化成形品に関するものであり、工業部品、電気
・電子部品、輸送部品、雑貨などの広い分野で使用で
き、特に寸法精度と高剛性を要求される精密成形品に好
適に使用できるものである。
〔従来の技術および課題〕
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂にガラス繊維を配
合して優れた耐熱性、機械的強度、電気的性質などを有
する成形品を得ることは知られているが、繊維配向によ
り成形収縮率や機械的強度に異方性を示し、成形品に反
りなどが出て、実用上問題になることが多い。
上記の異方性を改良するため、成形品の肉厚やゲート
位置を変更することも考えられるが、十分満足できる結
果は得られない。次にマイカやタルクのような板状フィ
ラーの単独使用またはガラス繊維との併用が考えられる
が、溶融混練時に芳香族ポリカーボネートが分解し、外
観不良や機械的強度の低下の原因となる。地方、ガラス
繊維とガラスビーズの併用により異方性を低減した組成
物も知られている。しかしガラスビーズとの併用では、
曲げ強さや曲げ弾性率などの機械的特性の改良効果は殆
どなかった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した
結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定のアスペク
ト比を有するガラス繊維を含む成形品は、機械的特性が
改良され、さらに成形収縮率の異方性も著しく低減した
ものであることを見出し、本発明に到達した。すなわち
本発明は、芳香族ポリカーボネート20〜50重量部と数平
均アスペクト比4〜10のガラス繊維を50〜80重量部含有
することを特徴とする低異方性高剛性ガラス繊維強化樹
脂成形品である。
以下、本発明の構成について説明する。
本発明の成形品に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒ
ドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応
させることによって得られる分岐していてもよい熱可塑
性芳香族ポリカーボネート重合体である。芳香族ジヒド
ロキシ化合物の一例は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラブロ
モビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾ
ルシノール、4−4′−ジヒドロキシジフェニルなどで
あり、特にビスフェノールAが好ましい。
また分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るに
は、フロログリシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4
−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル
−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプテン−3、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−
ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒ
ドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンなどで例示されるポリヒドロキ
シ化合物、及び2,3−ジヒドロ−2−オキソ−3,3−ジ
(4−ヒドロキシフェニル)インドール、2,3−ジヒド
ロ−2−オキソ−3,3−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)インドール、5−クロロイサチン、5,7−
ジクロルイサチン、5−ブロモイサチンなどを前記ジヒ
ドロキシ化合物の一部、例えば0.1〜2モル%をポリヒ
ドロキシ化合物で置換する。分子量を調節するのに適し
た一価芳香族ヒドロキシ化合物は、m−及びp−プロピ
ルフェノール、p−ブロモフェノール、p−tert−ブチ
ルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなど
が好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、代
表的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化
合物、特にビスフェノールAを主原料とするポリカーボ
ネートがあげられ、二種以上の芳香族ジヒドロキシ化合
物を併用して得られるポリカーボネート共重合体、三価
のフェノール系化合物を少量併用して得られる分岐化ポ
リカーボネートもあげることができる。芳香族ポリカー
ボネート樹脂は二種以上の混合物として用いてもよい。
本発明のガラス繊維としては、いわゆるEガラス繊維
でチョップドストランド、ロービングストランド、ミル
ドファイバーなどの形状のものであり、これらのガラス
繊維はカップリング剤、オキサゾリドン環を持った有機
化合物、その他の表面処理剤によって処理されるものも
好適に使用でき、また、集束したものとして通常使用さ
れるものである。
本発明の低異方性ガラス繊維強化樹脂成形品の芳香族
ポリカーボネート樹脂の配合量は、ガラス繊維との合計
量100重量部に対して、20〜50重量部が好適である。芳
香族ポリカーボネートが20重量部より少ないと成形加工
が著しく困難になる。
本発明の低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品
は、上記芳香族ポリカーボネート樹脂成分にガラス繊維
を配合してなる組成物を用い、通常、射出成形すること
によって製造され、その成形品中のガラス繊維の数平均
アスペクト比が4〜10の範囲であることを特徴とするも
のである。ここに、ガラス繊維の数平均アスペクト比が
10より大きいと、(樹脂の流れ方向の成形収縮率)<
(樹脂の流れに垂直方向の成形収縮率)となる。逆に4
より小さいと、(樹脂の流れ方向の成形収縮率)>(樹
脂の流れに垂直方向の成形収縮率)となり、かつ、強度
の低下も大きいので好ましくない。ガラス繊維は、芳香
族ポリカーボネート樹脂との合計量100重量部に対し
て、50〜80重量部の範囲から適宜選択できるものであ
る。80重量部より多いと成形加工が困難になり、50重量
部より少ないと機械的強度特に剛性の改良が不十分にな
り好ましくない。
本発明の低異方性高剛性ガラス繊維強度樹脂成形品
は、樹脂成分とガラス繊維を押出機中で溶融混練し、ペ
レットとし、射出成形により製造する。
本発明においては成形材料としては数平均アスペクト
比が5.5〜14の範囲のガラス繊維を選択するのが好まし
い。
ペレット又は成形材料を製造する方法としては数平均
アスペクト比が6〜24程度のものを用いて調整するか、
または通常の長さ3〜6mm程度のガラス繊維を用いて2
回程度押出したり、ガラス繊維の破砕されやすい高混練
タイプの二軸押出機を用いて製造する、等の各種の方法
があげられる。
以上のような本発明の低異方性ガラス繊維成形品には
所望に応じて、安定剤、顔料、染料、難燃剤、滑剤等の
各種添加剤を配合することができ、さらに本発明の特性
を害さない範囲で、他の樹脂成分を配合してもよい。
〔実施例、比較例〕
以下、実施例、比較例をあげて具体的に説明する。
実施例1〜7、比較例1〜4 芳香族ポリカーボネート樹脂〔三菱瓦斯化学(株)
製、商品名:ユーピロンS−2000、粘度平均分子量2400
0(以下PCSと記す)、ユーピロンH−3000、粘度平均分
子量18000(以下PCHと略記)〕に、 直径9μm、長さ3mmのガラス繊維(以下GFLと記
す)、 直径9μm、平均繊維長70μmのガラス繊維(以下GF
Mと記す)、 を第1表に記載の割合(重量部)で混合した。これらの
混合物をスクリュー径40mmの単軸押出機またはスクリュ
ー径30mmの二軸押出機を用い、シリンダー温度を280℃
で溶融混練押出ししてペレットを得た。
得られたペレットを120℃で5時間予備乾燥した後、
金型として厚み2mm、幅30mmのゲートで、4×100×100m
mの平板用を用い、スクリュー式射出成形機で、シリン
ダー温度310度、金型温度100℃、射出圧力1200kg/cm2
成形サイクル60秒で射出成形した。
得られた平板状成形品について、成形品のガラス繊維
の数平均アスペクト比、成形収縮率、曲げ弾性率、曲げ
強さを測定し、結果を第1表に示した。
次に、第1表に示した試験項目の試験方法について説
明する。
アスペクト比:平板状成形品の中心部からサンプリン
グし、10μm以上のガラス繊維につき、1試料あたり約
20000本以上の繊維の長さを、(株)ピアス製LA500型画
像解析装置で測定し、数平均アスペクト非を求めた。
成形収縮率(%):三次元寸法測定機で測定した。
P方向:溶融樹脂の流れ方向(ゲートのある辺からそ
の対辺の方向) V方向:溶融樹脂の流れ方向に垂直な方向 曲げ強さ(kg/cm2)、曲げ弾性率(kg/cm2):平板状
成形品の中央部から幅12.7mm、長さ63.5mmの試験片を切
り出し、東洋精機製ベントグラフを用いて23℃で測定。
〔発明の作用及び効果〕 本発明の低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品
は、曲げ弾性率が10,000kg/cm2以上で剛性に優れ、成形
収縮率及び機械的強度の異方性が低減されたものであ
る。従って、本発明の低異方性高剛性ガラス繊維強化樹
脂成形品は、高剛性と低異方性を生かし、精密成形品と
して広い分野で極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/04 B29C 45/00 C08K 7/14 C08L 69/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリカーボネート20〜50重量部と数
    平均アスペクト比4〜10のガラス繊維50〜80重量部から
    なり、その合計量が100重量部となることを特徴とする
    低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品。
  2. 【請求項2】ガラス繊維の数平均アスペクト比が5.5〜1
    4である成形材料を用いて射出成形してなる請求項1に
    記載の低異方性高剛性ガラス繊維強化樹脂成形品。
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