JP3040562B2 - 二段防振装置 - Google Patents

二段防振装置

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JP3040562B2
JP3040562B2 JP3308894A JP30889491A JP3040562B2 JP 3040562 B2 JP3040562 B2 JP 3040562B2 JP 3308894 A JP3308894 A JP 3308894A JP 30889491 A JP30889491 A JP 30889491A JP 3040562 B2 JP3040562 B2 JP 3040562B2
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昌明 柴田
俊光 古賀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種起振源の防振に適
用される二段防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン、ポンプ等の起振源を支
持する支持装置としては、中間質量と2組の防振部材で
支持する二段防振装置があり、この装置は振動伝達率
(dB)と周波数との関係を表わす特性図である図3の
曲線aに示すような振動伝達率となっていた。
【0003】また、最近では、上記二段防振装置に対し
て、更に中間質量に加振機と加速度計を付設し、加速度
計の出力に基づいて、起振源と同一周波数かつ同一位相
の加振力を上記加振機に与える加振機制御器とを備えた
図4に示す二段防振装置が提案されている。
【0004】この二段防振装置は、起振源1から基礎3
への力の伝達を低減するために、中間質量2と2組の防
振部材4,5を使用して二段防振系を構成すると共に、
中間質量2に中間質量2の加速度を検出する加速度計0
6と、中間質量2に力を加える加振機7を取り付けてい
る。また、加速度計06と加振機7の入出力は制御器0
8に接続し、加速度計06で検出した中間質量2の加速
度から中間質量2に加えるべき力f2 を制御器08で算
出し、これを加振機7にフィードバックして、加振機7
によって中間質量2に可変起振力f2 を加えている。
【0005】上記装置において、特定周波数の力の伝達
を低減するために中間質量2に加振機7によって加えら
れる力f2 (ω)は、起振源1に作用する目的周波数ω
の外力f1 (ω)と同一周波数、同一位相のものであ
り、基礎3への伝達力f3 は、高周波数域(ω>ω1 ,
ω2 )で、(1)式で表される。
【0006】 f3 ≒ω2 1 ω2 2/ω4 ・(f1 −ω2 /ω2 1・f2 )……………(1) 上記(1)式から分かるように、中間質量2に下記の
(2)式で表される力f 2 を加えることによって基礎3
への伝達力f3 は、ほぼ零となる。
【0007】 f2 ≒ω2 1/ω2 ・f1 …………………………………………………(2) 上記装置については、図3の曲線bに示すような振動伝
達率となり、下記の効果が得られていた。 (1)二段防振支持系の中間質量に加振機により外力f
2 を加えることによって、防振効果を高めることができ
る。 (2)特に起振源固有の周波数の起振力に的を絞った防
振効果を得ることができる。 (3)中間質量に加振機を取り付けることによって、制
御力f2 は起振力f1 に比して非常に小さな力で制御す
ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の二段防振装
置においては、加振機に与える加振機制御信号を起振源
の周波数と同一かつ同位相となるようにしていた。しか
し、エンジン、ポンプ等の起振源の振動を直接計測する
ことは困難であり、中間質量の加速度に基づいて、複数
の周波数がさまざまな位相関係で入り混じった複雑な起
振源の振動について、その周波数と位相を精度良く推定
することは難しいという課題があった。
【0009】また、低い周波数領域では、起振源と同一
位相となった場合に逆に加振してしまい、高い周波数領
域では、防振部材の減衰が大きい場合、起振源の位相に
比較し90°進んだ位相が最高となり、同一位相の制御
力では消振できないという課題があった。
【0010】更に、上記(1)式及び(2)式は、中間
質量と基礎との間に挿入される第2の防振部材ならびに
中間質量に付設される加振機がそれぞれ1つの場合に限
定して成り立つもので、これらが複数になった場合には
そのままでは適用できないという課題があった。
【0011】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、起振源の周波数や位相を知る必要がなく、防振部材
の減衰が大きい場合においても、伝達力を大きく低減す
ることができ、また中間質量と基礎との間に挿入される
第2の防振部材ならびに中間質量に付設される加振機が
それぞれ複数となった場合にも適用できる二段防振装置
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の二段防振装置は、起振源と基礎との間に
中間質量を設け、上記起振源と中間質量との間に第1の
防振部材を挿入すると共に、上記中間質量と基礎との間
に第2の防振部材を挿入してなる二段防振装置におい
て、上記中間質量に付設される加振機と、上記基礎と第
2の防振部材との間に挿着される力検出器と、この力検
出器の出力信号を用いて加振機を駆動する制御信号を演
算する演算機とこの演算機の出力信号を増幅して上記加
振機に入力する増幅器とを具備したことを特徴としてい
る。
【0013】(2)本発明の二段防振装置は、起振源と
基礎との間に中間質量を設け、上記起振源と中間質量と
の間に第1の防振部材を挿入すると共に、上記中間質量
と基礎との間に第2の防振部材を挿入してなる二段防振
装置において、上記中間質量に付設される加振機と、上
記基礎と第2の防振部材との間に挿着される力検出器
と、この力検出器の出力信号をフーリエ変換する第1の
演算手段と、フーリエ変換した結果得られるフーリエ係
数を用いて上記加振機と上記力検出器の伝達関数を求め
る第2の演算手段と、得られた伝達関数を用いて制御信
号を求める第3の演算手段と、上述の第3の演算手段に
より求められた制御信号を増幅して上記加振機に入力す
る増幅器とを具備したことを特徴としている。
【0014】
【作用】上記発明(1)において、中間質量と第1、第
2の防振部材を介して起振源より基礎に伝達された力は
力検出器により検出され、演算機に入力される。
【0015】上記演算機は力検出器の出力信号を入力
し、これを打ち消すために駆動される加振機に入力され
るべき制御信号を演算し、この制御信号は増幅されて加
振機に入力される。
【0016】本発明においては、従来の装置における中
間質量の加速度に代えて基礎に加えられる力を力検出器
により検出し、これをもとに演算を行い加振機を制御し
ているため、より適切な制御が可能となる。
【0017】上記発明(2)においては、上記発明
(1)における力検出器の出力信号は第1の演算手段に
入力されてフーリエ変換され、フーリエ係数が求められ
る。このフーリエ係数は第2の演算手段に入力され、第
2の演算手段は基準周波数の整数倍の成分について加振
機と力検出器の伝達関数を求める。
【0018】上記伝達関数は第3の演算手段に入力さ
れ、第3の演算手段はそれぞれの周波数毎に最適な加振
機制御信号を出力し、増幅されて加振機を駆動する。そ
のため、低い周波数領域から高い周波数領域にわたって
力検出器により検出される基礎への伝達力の二乗和を最
小にするように振動伝達力が低減される。
【0019】また、上記伝達関数は、逐次力検出器によ
り検出される基礎への伝達力に基づいて更新され、基礎
への伝達力の自乗和を最小にする制御信号を第3の演算
手段が求め加振機を制御するため、起振源の特性が変化
しても常に力検出器により検出される基礎への伝達力の
二乗和を最小にするように振動伝達率が低減される。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。図
1に示す本実施例は、起振源1と基礎3との間に中間質
量2を設け、上記起振源1と中間質量2との間に第1の
防振部材4を挿入すると共に、上記中間質量2と基礎3
との間に第2の防振部材5を挿入してなる二段防振装置
において、上記中間質量2に付設される加振機7と、上
記基礎3と第2の防振部材5との間に挿着される力検出
器6と、この力検出器6の出力信号を増幅器9とA/D
変換器10を介して入力しフーリエ変換する第1の演算
手段11と、フーリエ変換した結果得られるフーリエ係
数を用いて上記加振機7と上記力検出器6の伝達関数を
求める第2の演算手段12と、得られた伝達関数を用い
て制御信号を求める第3の演算手段13と、上述の演算
手段13により求められた制御信号をD/A変換器14
を介して入力し増幅して上記加振機7に入力する増幅器
15と、基準パルス16を入力してN分割し上記A/D
変換器10とD/A変換器14へ出力する分周器17と
を具備しており、上記増幅器9,15、A/D変換器1
0、演算手段11,12,13、D/A変換器14、分
周器17により制御装置8が形成されている。
【0021】上記において、起振源1からの振動は中間
質量2と2組の防振部材4,5を介して基礎3へ伝達さ
れ、その伝達力は基礎3と第2の防振材5との間に設け
られた力検出器6に検出され、力検出器6の出力信号を
増幅器9により増幅した後、A/D変換器10によりデ
ィジタル信号に変換して第1の演算手段11に入力し、
第2,第3の演算手段12,13を介して演算を行った
後、D/A変換器14によりアナログ信号に変換し、増
幅器15により増幅して加振機7に入力し同加振機7を
駆動する。
【0022】なお、ここで、A/D変換器10ならびに
D/A変換器14は、それぞれ起振源1の回転パルスな
どの基準パルス16を分周器17でN分割されたサンプ
リング周期で作動させる。また、上記基準パルス16
は、基準周期を判断するための割り込み信号として、演
算手段11にも入力される。
【0023】次に、上記第1,第2,第3の演算手段1
1,12,13における演算について詳述する。
【0024】第1の演算手段11では、m個の力検出器
6から得られる基準周期間の力検出信号yj より、次の
計算式(数1)で基準周波数の整数倍毎のフーリエ係数
ji[実数部;(yjiR, 虚数部;(yjiI ]を求
める。
【0025】
【数1】
【0026】第2の演算手段12では、演算手段11に
より求められた力検出信号の差と、演算手段13から出
力される制御力の差を用いて、以下に示すように、各加
振機(p個)7に対する各力検出器(m個)6の基準周
波数の整数倍毎の伝達関数H i を求める。
【0027】まず、加振機7の数に相当するp種類の制
御力u k i をあらかじめ作成し、基準周期の整数倍の周
期毎に順次制御力を更新することにより、制御力更新前
後の力検出信号の関係式が次式(数2)に示すようにp
個得られる。
【0028】
【数2】
【0029】数2に於いて、k+1番目とk番目の応答
の差は次式(数3)となる。
【0030】
【数3】
【0031】また、制御力の差は、制御力を順次新しい
ものに更新していくので、k+1番目の要素以外は全て
ゼロとなり、次式(数4)で表わされる。
【0032】
【数4】
【0033】これより、k+1番目の加振機7に対する
各力検出器6の伝達関数h(K+1)iが次式(数5)により
求まるので、
【0034】
【数5】
【0035】結局p回の制御力更新操作の後、基準周波
数の整数倍毎の伝達関数Hi ={h 1 i,・・h(K+1)i,
・・hpi}が求められ、以下に示す第3の演算手段13
により、最適制御力が求められる。
【0036】第3の演算手段13では、演算手段12に
より求められた伝達関数を用いて次式(数6)により最
適制御力uNEW i を求め、加振機7の数に相当するp種
類の制御力u k i を作成し、基準周期の整数倍の周期毎
に更新して次式(数7)に示すように逆フーリエ変換
し、制御信号を求める。
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】得られた制御信号はD/A変換器14によ
りアナログ信号に変換し、増幅器15を介して加振機7
に入力し、中間質量2に制御力を加える。このように加
振機制御システムを構成した場合、基準周波数の整数倍
毎に各力検出器6で検出される伝達力の自乗和が最小と
なり、低い周波数領域から高い周波数領域にわたって振
動伝達力が低減される。なお、本発明の制御システムに
より低減された結果得られる振動伝達力は、理論上次式
(数8)のようになる。
【0040】
【数8】
【0041】なお、加振機7と力検出器6の数が同じ場
合には、新しい制御力u NEW i が制振効果を定める係数
αを用いて次式(数9)で表され、
【0042】
【数9】
【0043】本発明の制御システムにより得られる振動
伝達力は、理論上次式(数10)のようになる。
【0044】
【数10】
【0045】この場合、例えばα=0.9とすれば、す
べての力検出点において均一に20dBの振動伝達率低
減が達成され、図3に示す曲線cのような振動伝達特性
が得られる。
【0046】図2は、上記一実施例に係る二段防振装置
を多脚の防振部材5で支持する場合への適用例を示す図
であり、その一例として4脚の防振部材5で支持される
二段防振支持装置に4個の力検出器6と4個の加振機7
を付設したものである。
【0047】本発明に係る制御システムは、最適制御力
の演算手段が多入力多出力に対応するものであり、この
ように中間質量と基礎との間に挿入される第2の防振部
材ならびに中間質量に付設される加振機がそれぞれ複数
となった場合にも適用できる二段防振装置を提供するも
のである。
【0048】
【発明の効果】本発明の二段防振装置は、中間質量に加
振機を設け、第2の防振部材と基礎の間に力検出器を設
け、力検出器の出力信号を第1の演算手段でフーリエ変
換し、フーリエ係数を入力した第2の演算手段が加振機
と力検出器の伝達関数を求め、この伝達関数を入力した
第3の演算手段が加振機を制御することによって、起振
源の周波数や位相を知る必要がなく、防振部材の減衰が
大きい場合においても、また力検出器や加振機の数が複
数の場合においても、伝達力を大きく低減することがで
き、産業上きわめて有益な装置を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる二段防振装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】上記一実施例の検出器や加振機の数が複数であ
る場合への適用例を示す図である。
【図3】上記一実施例に係る二段防振装置及び従来の装
置の振動伝達率と周波数の関係を示す特性図である。
【図4】従来の装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 起振源 2 中間質量 3 基礎 4,5 防振部材 6 力検出器 7 加振機 8 制御装置 9 増幅器 10 A/D変換器 11,12,13 演算手段 14 D/A変換器 15 増幅器 16 基準パルス 17 分周器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/02 - 15/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 起振源と基礎との間に中間質量を設け、
    上記起振源と中間質量との間に第1の防振部材を挿入す
    ると共に、上記中間質量と基礎との間に第2の防振部材
    を挿入してなる二段防振装置において、上記中間質量に
    付設される加振機と、上記基礎と第2の防振部材との間
    に挿着される力検出器と、この力検出器の出力信号を用
    いて加振機を駆動する制御信号を演算する演算機とこの
    演算機の出力信号を増幅して上記加振機に入力する増幅
    器とを具備したことを特徴とする二段防振装置。
  2. 【請求項2】 起振源と基礎との間に中間質量を設け、
    上記起振源と中間質量との間に第1の防振部材を挿入す
    ると共に、上記中間質量と基礎との間に第2の防振部材
    を挿入してなる二段防振装置において、上記中間質量に
    付設される加振機と、上記基礎と第2の防振部材との間
    に挿着される力検出器と、この力検出器の出力信号をフ
    ーリエ変換する第1の演算手段と、フーリエ変換した結
    果得られるフーリエ係数を用いて上記加振機と上記力検
    出器の伝達関数を求める第2の演算手段と、得られた伝
    達関数を用いて制御信号を求める第3の演算手段と、上
    述の第3の演算手段により求められた制御信号を増幅し
    て上記加振機に入力する増幅器とを具備したことを特徴
    とする二段防振装置。
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