JP3040532U - 冷却シリンダの攪拌装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 攪拌羽根をヘリカルブレードとして円周方向
の攪拌作用のみならず軸線方向の送り作用を持たせると
ともに、該ヘリカルブレードによって攪拌軸を補強し、
冷菓原料の流通を妨げるシリンダの軸線を横切る方向の
支持板を必要としない攪拌装置を提供すること。 【解決手段】 冷菓製造用フリーザの冷却シリンダ１内
に、シリンダ１の軸線１ｃと同芯の中心回転軸４を設
け、この回転軸４と平行に配設され、夫々ヘリカルブレ
ード５ａ（５Ｂ）を備えた複数本の攪拌軸５を、前記中
心回転軸４と共に冷却シリンダ１の軸線１ｃを中心とし
て回転（公転）させると同時に、該攪拌軸５をその軸線
５ｃを中心として回転（自転）させるようにし、円周方
向の攪拌作用のみならず、軸線方向の送り作用を持たせ
攪拌効果を向上させるようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、アイスクリーム，シャーベット，その他の冷菓製造装置における フリーザの冷却シリンダ内に装備される攪拌装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

アイスクリームやシャーベット等の冷菓製造工程中に用いられるフリーザは、 冷却媒体により外周部から冷却される冷却シリンダ内に、該冷却シリンダの一端 から冷菓原料ミックスを供給し、攪拌移送しつつ外周から冷却し、冷凍された冷 菓を順次他端から排出するようになっている。

【０００３】 この種の冷却シリンダにおいて、攪拌羽根を備えた複数の攪拌部材とシリンダ 内周面に摺接する複数のスクレーパとを、冷却シリンダ内において適宜駆動手段 によりシリンダ中心部に配された中心軸を基軸として回転運動するように設ける とともに、各攪拌部材を各々前記中心軸とシリンダ内周面との間で回転させるよ うにした攪拌装置は古くから公知である。（特公昭３９−１５２３８号公報，特 開平７−１１５９１０号公報参照）

【０００４】 しかし、上記攪拌装置においては、攪拌羽根が攪拌部材の支軸に対して放射方 向に配置され、かつ、攪拌羽根面が該支軸の軸線を含む平面内にあるため、円周 方向の攪拌作用はあるものの軸線方向の送り作用はなく、冷菓原料が冷却シリン ダ内に滞留しやすいという問題点があった。攪拌羽根に代えて支軸に平行する複 数本の攪拌棒を用いたものにおいても、この問題点は解決されていない。

【０００５】 また、これら従来公知の攪拌装置においては、攪拌羽根または攪拌棒等の攪拌 部材を支持するために、冷却シリンダの軸線方向所要間隔毎に複数個の支持板を 配置する必要があり、この支持板はシリンダの軸線を横切る方向に設けられるた め、冷菓原料の流通が妨げられ、特に、低オーバーランのシャーベット製品等の 場合シリンダ内に滞留しやすく、冷却によって粘度が増大した冷菓原料が支持板 の隅部に付着残留するという問題点がある。

【０００６】 さらに、冷却シリンダの内部の固定部には粘度が増大した冷菓原料が付着しや すいが、冷却シリンダの内周に対する付着物はスクレーパで除去できても、固定 中心基軸やスクレーパ装着用籠型支持部材等に徐々に付着生長して滞留しやすい という問題点もある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

この考案は、上記した問題点を解決することを課題とするものであって、攪拌 羽根をヘリカルブレードとして円周方向の攪拌作用のみならず軸線方向の送り作 用を持たせるとともに、該ヘリカルブレードによって攪拌軸を補強し、冷菓原料 の流通を妨げるシリンダの軸線を横切る方向の支持板を必要としない攪拌兼送り 装置を提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記課題解決の手段を提供するものであって、請求項１の考案は、 一端に冷菓原料装入口を、他端に冷菓排出口を備えた円筒状冷却シリンダの内部 に攪拌装置を具備する冷菓製造装置において、冷却シリンダ１の軸線１ｃと同芯 の中心回転軸４と平行に配設され、夫々ヘリカルブレード５ａ（５ｂ）を備えた 複数本の攪拌軸５を、前記中心回転軸４と共に冷却シリンダ１の軸線１ｃを中心 として回転（公転）させると同時に、該攪拌軸５をその軸線５ｃを中心として回 転（自転）させるようにしたことを特徴とする冷却シリンダの攪拌装置を要旨と するものである。

【０００９】 請求項２の考案は、請求項１の考案において、冷却シリンダ１の中心に設けら れた回転軸４を、冷却シリンダ１の両端側壁に軸受を介して回転自在に支持し、 その一端４ａを駆動モータ等の駆動源に接続してなるものである。

【００１０】 請求項３の考案は、請求項１，２の考案において、夫々ヘリカルブレード５ａ （５ｂ）を備えた複数本の攪拌軸５を、冷却シリンダ１の中心に設けられた回転 軸４の周りに、該回転軸４と平行に配設し、その両端を前記回転軸４と一体の軸 受６に回転自在に軸支してなるものである。

【００１１】 請求項４の考案は、請求項３の考案に加えて、攪拌軸５の本数を偶数本とし、 その半数のヘリカルブレード５ａと他の半数のヘリカルブレード５ｂの螺旋方向 を逆向きとしてなるものである。

【００１２】 請求項５の考案は、請求項４の考案に加えて、攪拌軸５の一端にブッシュ付の ピンリンク７を取り付け、このピンリンク７を冷却シリンダ１の一端側壁に固定 されたスプロケット８と噛み合わせ、この両者７，８によって遊星歯車機構を形 成させてなるものである。

【００１３】 請求項６の考案は、請求項５の考案に加えて、冷却シリンダ１の内周に摺接す る複数本のスクレーパ９を、冷却シリンダ１の中心に設けられた回転軸４に放射 状に列設された支持アーム１０に取り付け、回転軸４と一体的に回転するように してなるものである。

【００１４】

【考案の実施の形態】

図において、１は、一端に冷菓原料装入口１ａを、他端に冷菓排出口１ｂを備 えた円筒状冷却シリンダであって、その外周には外筒２との間に冷却媒体が供給 される冷却ジャケット３が形成され、冷却シリンダ１が外周部から冷却されるよ うになっている。２ａは冷媒入口，２ｂは冷媒排出口である。

【００１５】 ミックスと呼ばれる冷菓原料は、適量のエアと混合されオーバーラン調整され ながらサニタリポンプによって給送され、原料装入口１ａから冷却シリンダ１内 に装入される。冷却シリンダ１内において冷凍されたアイスクリーム，シャーベ ット等の製品冷菓は冷菓排出口１ｂから連続的に排出され、充填機等の次工程に 送られる。

【００１６】 ４は冷却シリンダ１の軸線１ｃと同芯の中心回転軸であって、冷却シリンダ１ の両端側壁に軸受を介して回転自在に支持され、その一端４ａは駆動モータ等の 駆動源（図示せず）に接続されている。

【００１７】 ５は夫々ヘリカルブレード５ａ（５ｂ）を備えた複数本の攪拌軸であって、前 記回転軸４と平行に配設され、その両端は回転軸４と一体の軸受６に回転自在に 軸支されている。

【００１８】 攪拌軸５の本数は任意であるが、偶数本（図示の例では２本）とし、その半数 のヘリカルブレード５ａと他の半数のヘリカルブレード５ｂの螺旋方向を逆向き とするのが好ましい。

【００１９】 攪拌軸５の一端にはブッシュ付のピンリンク７が取り付けられ、このピンリン ク７は冷却シリンダ１の排出側一端側壁に固定されたスプロケット８と噛み合っ ている。すなわち、ピンリンク７が遊星歯車に、スプロケット８が太陽歯車に相 当し、この両者によって遊星歯車機構が形成されている。

【００２０】 ９は冷却シリンダ１の内周に摺接する複数本のスクレーパであって、前記回転 軸４に放射状に列設された支持アーム１０に取り付けられ、回転軸４と一体的に 回転するようになっている。

【００２１】 以上のとおりであるから、冷却シリンダ１の中心に設けられた回転軸４を回転 駆動すると、攪拌軸５およびスクレーパ９は回転軸４と共に、冷却シリンダ１の 軸線１ｃを中心として回転（公転）する。同時に、攪拌軸５の一端に取り付けら れたピンリンク７が冷却シリンダ１の一端側壁に固定されたスプロケット８と噛 み合って回転するため、攪拌軸５はその軸線５ｃを中心として回転（自転）する ことになる。

【００２２】 このように、攪拌軸５は冷却シリンダ１の軸線１ｃを中心として公転しながら 自らの軸線５ｃを中心として自転するが、攪拌軸５にはヘリカルブレード５ａ（ ５ｂ）が設けられているので、公転による円周方向の攪拌作用と共に、自転によ る軸方向の送り作用が働き、その送り方向は、図３に示すように、回転方向が同 一であれば螺旋方向（右巻きか，左巻きか）によって定まる。

【００２３】 したがって、攪拌軸５の本数を偶数本とし、その半数のヘリカルブレード５ａ と他の半数のヘリカルブレード５ｂの螺旋方向を逆向きとすれば対流が生じ、円 周方向の攪拌作用に加えて軸方向の対流作用により、より均一で強力な攪拌力が 得られる。なお、粘度の高い冷菓製品を対象とする場合には、攪拌軸５の全てを 同一螺旋方向のヘリカルブレード５ａとし、軸方向の送り作用を助長するように してもよい。

【００２４】 また、攪拌軸５はヘリカルブレード５ａ（５ｂ）によって補強されるので撓み 難く、従来のように冷却シリンダの軸線方向所要間隔毎に複数個の支持板を配置 する必要がなく、冷却シリンダ１内にシリンダの軸線を横切る方向の障害物がな いため、冷菓原料の流通が妨げられることなく、冷却によって粘度が増大した冷 菓原料の滞留現象が防止される。

【００２５】 冷却シリンダ１の内周に摺接する複数本のスクレーパ９は、前記回転軸４に放 射状に列設された支持アーム１０に取り付けられ、回転軸４と一体的に回転し、 冷却シリンダ１の内周付着物を掻き落とすのであるが、放射状に列設された支持 アーム１０による攪拌作用が加わるため、攪拌効果が一層向上する。

【００２６】

【考案の効果】

この考案によれば、一端に冷菓原料装入口を、他端に冷菓排出口を備えた円筒 状冷却シリンダの内部に攪拌装置を具備する冷菓製造装置において、中心回転軸 ４と平行に配設され、夫々ヘリカルブレード５ａ（５ｂ）を備えた複数本の攪拌 軸５を、前記中心回転軸４と共に冷却シリンダ１の軸線１ｃを中心として回転（ 公転）させると同時に、該攪拌軸５をその軸線５ｃを中心として回転（自転）さ せるようにしたものであるから、攪拌軸５の公転による円周方向の攪拌作用と共 に、その自転によってヘリカルブレード５ａ（５ｂ）による軸方向の送り作用が 働き、均一で強力な攪拌効果を発揮することができる。

【００２７】 また、攪拌軸５はヘリカルブレード５ａ（５ｂ）によって補強されるので撓み 難く、冷却シリンダ１の内部に所要間隔毎に複数個の支持板を配置する必要がな い。したがって、冷却シリンダ１内にシリンダの軸線を横切る方向の障害物がな いため、冷菓原料の流通が妨げられることなく、冷却によって粘度が増大した冷 菓原料の滞留現象が防止される。

【００２８】 スクレーパ９は、回転軸４に放射状に列設された支持アーム１０に取り付けら れ、回転軸４と一体的に回転し、冷却シリンダ１の内周付着物を掻き落とすので あるが、放射状に列設された支持アーム１０による攪拌作用が加わるため、攪拌 効果が一層向上する。

【００２９】 冷却シリンダ１内の中心回転軸４，攪拌軸５，ヘリカルブレード５ａ，５ｂ， スクレーパ９，支持アーム１０等は、運転中常に回転し、シリンダ１内に固定物 がないので、粘度が増大した冷菓原料が付着生長して滞留することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態の一例を示し、（ａ）はスクレーパ
が上下に位置した状態の縦断側面図、（ｂ）はＡ−Ａ線
断面図である。

【図２】同じく、（ａ）は攪拌軸が上下に位置した状態
の縦断側面図、（ｂ）はＢ−Ｂ線断面図である。

【図３】ヘリカルブレードを備えた攪拌軸の拡大説明図
である。

【符号の説明】

１ 冷却シリンダ １ａ 冷菓原料装入口 １ｂ 製品冷菓排出口 １ｃ 冷却シリンダの軸線 ２ 外筒 ３ 冷却ジャケット ４ 中心回転軸 ５ 攪拌軸 ５ａ，５ｂ ヘリカルブレード ５ｃ 攪拌軸の軸線 ６ 軸受 ７ ピンリンク ８ スプロケット ９ スクレーパ １０ 支持アーム

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端に冷菓原料装入口を、他端に冷菓排
   出口を備えた円筒状冷却シリンダの内部に攪拌装置を具
   備する冷菓製造装置において、冷却シリンダ１の軸線１
   ｃと同芯の中心回転軸４と平行に配設され、夫々ヘリカ
   ルブレード５ａ（５ｂ）を備えた複数本の攪拌軸５を、
   前記中心回転軸４と共に冷却シリンダ１の軸線１ｃを中
   心として回転（公転）させると同時に、該攪拌軸５をそ
   の軸線５ｃを中心として回転（自転）させるようにした
   ことを特徴とする冷却シリンダの攪拌装置。
2. 【請求項２】 冷却シリンダ１の中心に設けられた回転
   軸４は、冷却シリンダ１の両端側壁に軸受を介して回転
   自在に支持され、その一端は駆動モータ等の駆動源に接
   続されている請求項１記載の冷却シリンダの攪拌装置。
3. 【請求項３】 夫々ヘリカルブレード５ａ（５ｂ）を備
   えた複数本の攪拌軸５は、冷却シリンダ１の中心に設け
   られた回転軸４の周りに、該回転軸４と平行に配設さ
   れ、その両端は前記回転軸４と一体の軸受６に回転自在
   に軸支されている請求項１又は２記載の冷却シリンダの
   攪拌装置。
4. 【請求項４】 攪拌軸５の本数を偶数本とし、その半数
   のヘリカルブレード５ａと他の半数のヘリカルブレード
   ５ｂの螺旋方向を逆向きとした請求項１ないし３記載の
   冷却シリンダの攪拌装置。
5. 【請求項５】 攪拌軸５の一端にはブッシュ付のピンリ
   ンク７が取り付けられ、このピンリンク７は冷却シリン
   ダ１の一端側壁に固定されたスプロケット８と噛み合
   い、この両者７，８によって遊星歯車機構が形成されて
   いる請求項１ないし４記載の冷却シリンダの攪拌装置。
6. 【請求項６】 冷却シリンダ１の内周に摺接する複数本
   のスクレーパ９は、冷却シリンダ１の中心に設けられた
   回転軸４に放射状に列設された支持アーム１０に取り付
   けられ、回転軸４と一体的に回転するようになっている
   請求項１ないし５記載の冷却シリンダの攪拌装置。