JP3038395B2 - 生体用チタン合金およびインプラント材 - Google Patents

生体用チタン合金およびインプラント材

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晃一 村上
重光 木原
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石川島播磨重工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人工歯根、人工骨等
の生体内に埋入されるインプラント用の生体用チタン合
金およびインプラント材に関し、生体親和性、骨形成
能、細胞誘導性などを改良したものである。
【0002】
【従来の技術】生体機能材料としての金属は、筋・骨格
系のように、動的な荷重を受ける整形外科用材料や歯科
用補綴材として需要が高まっており、最近、優れた耐蝕
性を持っていることからチタンやチタン合金が用いられ
るようになってきている。現在使用されている生体用イ
ンプラント材としての金属チタンは、純チタンとTi−
6Al−4V合金であり、ASTM(アメリカ材料試験
協会)で認可されている。この純チタンやTi−6Al
−4V合金は、生体用として開発されたものではなく、
もっぱら航空宇宙用材料として開発されたものを生体用
に転用したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、これら材料
を骨や歯根の代替材として使用した場合、骨細胞との親
和性が悪く、接着しにくいという問題がある。そこで、
チタンに骨の主成分であるハイドロキシアパタイトを溶
射法などでコーティングした材料も使用され、こうする
ことによって骨細胞との親和性を向上することはできる
が、チタンとハイドロキシアパタイトとの溶射界面の強
度が弱く、この部分から剥離してしまうという現象が起
こるという問題がある。この発明は、前記従来の技術に
おける欠点を解決して、骨細胞との親和性を向上するこ
とができる生体用チタン合金を提供しようとするもので
ある。また、この発明は、骨細胞との親和性を向上しつ
つ、強度の確保もできる生体用のインプラント材を提供
しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
この発明の請求項1記載の生体用チタン合金は、チタン
にカルシウム、リン、酸素を含有する生体用チタン合金
であって、カルシウムを10原子%以下、リンを0.0
05〜6.0原子%、酸素を24原子%以下添加してな
ることを特徴とするものである。また、この発明の請求
項2記載の生体用チタン合金は、チタンにリン、酸素を
含有する生体用チタン合金であって、リンを0.005
〜6.0原子%、酸素を24原子%以下添加してなるこ
とを特徴とするものである。さらに、この発明の請求項
3記載の生体用チタン合金は、チタンにアルミニウム、
リン、酸素を含有する生体用チタン合金であって、アル
ミニウムを6原子%以下、リンを0.005〜6.0原
子%、酸素を24原子%以下添加してなることを特徴と
するものである。また、この発明の請求項4記載の生体
用のインプラント材は、請求項1〜3のいずれかに記載
生体用チタン合金で他の金属表面の少なくとも1部を
被覆したことを特徴とするものである。
【0005】
【作用】この発明の生体用チタン合金によれば、骨の主
成分の一つであるカルシウム,リン,酸素を含有したチ
タン合金、リン,酸素を含有したチタン合金、アルミニ
ウム,リン,酸素を含有したチタン合金のいずれかとす
ることで、骨細胞との親和性に優れた生体用のチタン合
金とするようにしている。また、この発明の生体用のイ
ンプラント材によれば、上記成分のいずれかのチタン合
金を他の金属表面に被覆することで、他の金属で強度を
確保しつつ、骨細胞との親和性を被覆したチタン合金で
向上することができるようにしている。
【0006】以下、この発明の生体用チタン合金につい
て、具体的に説明する。この生体用チタン合金の成分
は、表1に示すようになっており、骨の主成分であるリ
ン酸カルシウムを構成する元素、すなわちリン:P、カ
ルシム:Ca、酸素:Oがチタン:Tiに添加されて合
金となっており、従来の純チタンやチタン合金に比べて
骨細胞に含まれる元素の添加によって生体親和性、特に
骨誘導性を向上するようにしている。また、この生体用
チタン合金の成分は、表1に示すリン酸チタニウムを構
成する元素、すなわちリン:P、酸素:Oがチタン:T
iに添加されて合金とされたり、リン酸アルミニウムを
構成する元素、すなわちリン:P、アルミニウム:A
l、酸素:Oがチタン:Tiに添加されて合金とされ
る。
【0007】
【表1】 このような生体用チタン合金を構成するために添加され
る各元素の添加量は、次のようにして定められる。 リン:P リンは単独添加でもチタンの生体親和性を向上させるこ
とが期待される元素であり、チタンにリンを添加する場
合、固溶する原子%は、高温(1200℃程度以上)で
約0.2%、またそれ以下の温度ではほとんど0%であ
る。これ以上のリンをチタンに添加させた場合には、T
iPという相が現れ、このTiPが少量であればチタン
合金の硬度を上昇させる効果があるが、多量に存在する
と、チタン合金を脆くさせる。そこで、チタン合金とし
て期待されるべき機械的性質を損なわない程度に添加可
能なリンの最大量は6.0原子%である。一方、リンの
添加によって生体親和性の向上の効果がみられる最低量
は0.005原子%である。したがって、リン:Pの添
加量は、0.005〜6.0原子%の範囲となる。
【0008】 カルシウム:Ca カルシウムはチタンに対してほとんど溶解度を持たない
元素であり、元素単独としての添加はあまり期待できな
い。また、このカルシウムを添加しなくとも、既に述べ
たリンの添加によってチタン合金の生体親和性を向上す
ることが期待できるが、カルシウムは骨の主成分として
不可欠なものであり、親和性の一層の向上のためには添
加することが望ましい。そこで、チタンへの添加は、元
素単独でなく、カルシウムの化合物の形として行うこと
で可能であり、機械的強度、金属組織学的に好ましいの
は、リン酸カルシウムの形での添加である。どのような
リン酸カルシウムの形で添加しても生体親和性は向上さ
れるが、最大量はリン酸カルシウム(Ca10( PO4 )
6 )を添加した場合のカルシウム:Caの1.67倍、
すなわち10原子%である。
【0009】 酸素:O 酸素は、リンまたはカルシウムを化合物としてチタンに
添加する際に必要であるが、必ずしも意図的に添加する
必要はない。したがって、最大添加量はリン酸カルシウ
ム(Ca10( PO4 ) 6 )を添加した場合の24原子%
である。
【0010】 アルミニウム:Al アルミニウムは、リンの添加をAlPO4 として行う場
合に添加される元素である。したがって、アルミニウム
の添加量の最低量は0原子%であり、最大量は6原子%
である。
【0011】このような骨細胞を構成する元素を添加し
た生体用チタン合金の具体的な製造方法は、例えば、粉
末冶金法によって作ることができる。このような生体用
チタン合金によれば、生体用チタン合金の成分として骨
の主成分である、リン、カルシウム、酸素などが添加し
てあるので、従来、骨細胞とチタン合金インプラント材
の間には、ほとんど存在しなかった化学的な結合が期待
され、化学的な結合が生じない場合でもより優れた接着
性が期待される。したがって、従来チタン合金に無い
優れた生体親和性と骨形成能を備えた生体用チタン合金
となる。
【0012】また、これまで説明してきた生体用チタン
合金は、従来のチタンあるいはチタン合金の生体親和性
の向上を目的とし、強度の改善を特に目的とせず、チタ
ンに骨の主成分であるリン、カルシウム、酸素などを添
加するようにしているため、強度がチタンに比べて損な
われる場合がある。そこで、強度を必要とする生体用の
インプラント材とする場合には、他の高強度金属に既に
説明した生体用チタン合金を被覆した複合材とした生体
用のインプラント材とする。
【0013】この複合材とした生体用のインプラント材
は、高強度金属の一部分もしくは、全体を被覆して構成
され、被覆方法としては、加圧焼結法や拡散接合、ある
いは他の接合法やコーティング法を用いることができ
る。したがって、金属に生体用チタン合金を被覆した複
合材の生体用のインプラント材によれば、金属系同志の
複合材であり、従来のチタンにハイドロキシアパタイト
を溶射する場合などに生じる剥離の問題がなく、しかも
被覆される金属母材で強度を確保することができるとと
もに、表面のチタン合金によって生体親和性や骨形成能
を確保することができる。
【0014】
【発明の効果】以上のように、この発明の生体用チタン
合金によれば、骨の主成分の一つであるカルシウム,リ
ン,酸素を含有したチタン合金、リン,酸素を含有した
チタン合金、アルミニウム,リン,酸素を含有したチタ
ン合金のいずれかとしたので、骨細胞との親和性に優れ
た生体用のチタン合金とすることができる。
【0015】また、この発明の生体用のインプラント材
によれば、上記成分のいずれかのチタン合金を他の金属
表面に被覆することで、他の金属で強度を確保しつつ、
骨細胞との親和性を被覆したチタン合金で向上すること
ができる。
【0016】
【実施例】(1) 純チタン粉末にTi3 ( PO4 ) 、
AlPO4 、Ca10( PO4 ) 6 の粉末をそれぞれにつ
いて、リン:Pが0.005〜6.0原子%になるよう
に添加し、高エネルギーボールミルで混合したのち、温
度を1150℃、圧力を40MPa で1時間、ホットプ
レスにより加圧焼結して3種類の生体用チタン合金を製
作した。そして、生体親和性を確かめるための実験とし
て、この3種類の生体用チタン合金と市販されている純
チタン板を人工体液(有機物を含まないHanks´溶
液)中に30日間浸析したのち、これらの表面の生成物
を分析した。
【0017】この分析の結果、Ti3 ( PO4 ) 、Al
PO4 、Ca10( PO4 ) 6 をそれぞれ添加した3種類
のいずれの生体用チタン合金においても、表面に骨の主
成分であるハイドロキシアパタイトが純チタンの数倍量
生成していることが確認された。したがって、生体内に
この発明の生体用チタン合金を埋入した場合の骨形成能
は、従来の純チタン材等よりも格段に向上されることが
期待され、有効性が確認された。
【0018】(2) 上記(1)の実施例と同一の3種
類の生体用チタン合金を市販のTi−6Al−4V合金
の表面にそれぞれコーティングした生体用のインプラン
ト材を試作した。この生体用チタン合金のコーティング
法としては、市販のTi−6Al−4V合金板材の周囲
を上記(1)の場合と同一の合金粉末で覆ったのち、真
空中で加圧焼結して製作した。そして、上記(1)と同
様、生体親和性を確かめるため同一の実験を行い、表面
の生成物を分析した。
【0019】その分析により、いずれの複合材とした生
体用のインプラント材においても、表面に骨の主成分で
あるハイドロキシアパタイトが純チタンの数倍量生成し
ていることが確認された。したがって、生体内にこの発
明の複合材とした生体用のインプラント材を埋入した場
合の骨形成能は、従来の純チタン材等よりも各段に向上
されることが期待され、有効性が確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 27/00 A61C 8/00 C22C 14/00 C22F 1/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンにカルシウム、リン、酸素を含有
    する生体用チタン合金であって、カルシウムを10原子
    %以下、リンを0.005〜6.0原子%、酸素を24
    原子%以下添加してなることを特徴とする生体用チタン
    合金。
  2. 【請求項2】 チタンにリン、酸素を含有する生体用チ
    タン合金であって、リンを0.005〜6.0原子%、
    酸素を24原子%以下添加してなることを特徴とする生
    体用チタン合金。
  3. 【請求項3】 チタンにアルミニウム、リン、酸素を含
    有する生体用チタン合金であって、アルミニウムを6原
    子%以下、リンを0.005〜6.0原子%、酸素を2
    4原子%以下添加してなることを特徴とする生体用チタ
    ン合金。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の生体用
    チタン合金で他の金属表面の少なくとも1部を被覆した
    ことを特徴とするインプラント材。
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