JP3036932U - 抗菌性寝具類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害微生物の生育を阻止する作用を有する好
気性微生物を組み込んだ寝具類における好気性微生物の
補充を容易にし、また必要に応じて日光干しも可能なよ
うにする。 【解決手段】 寝具類の表面にポケット２を付設し、そ
こに、有害微生物の生育を阻止する作用を有する好気性
微生物を放出可能に保持させた小袋３を収容して、有用
な好気性微生物が継続的に寝具類に補給されるようにし
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、有害微生物の繁殖による悪臭発生、皮膚障害等のおそれをなくした 抗菌性寝具類に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

布団、シーツ、毛布、マット、枕等の寝具類は使用開始後しばらくすると人の 汗、垢、フケ等が付着するため微生物が増殖しやすい環境となる。増殖する微生 物は様々であるが、一部の微生物は寝具類に付着している有機物を分解して悪臭 を生じさせる。また、ダニの餌となってダニを繁殖させ、ダニによる皮膚炎その 他の被害を増やしてしまうカビ類もある。これら寝具類上で増殖して好ましくな い結果をもたらす有害微生物として知られているものには、スタフィロコッカス 、クレブジェラ、カンディダ、シュードモナス、アルカリゲネス、アルテルナリ ア、クラドスホリウム、フザリウム、トリコデルマ等の各属微生物がある。

【０００３】 寝具類上で有害微生物が増殖することによる各種障害を予防する手段の一例は 特開平３−２３４２０８号公報に記載されている。すなわち、中綿に羽毛や羊毛 を用いた寝具類は中綿の付着有機物が多いため微生物が増殖し悪臭を発生させや すいが、そこに有害微生物の生育を阻止する好気性微生物を組み込むと有害微生 物の増殖が阻止され、悪臭等の発生が防止されるというものである。寝具類に好 気性微生物を組み込む方法としては、中綿や側生地に付着させる方法、不織布等 のシートに付着させて寝具類の中に入れる方法等が提案されている。

【０００４】 しかしながら、これらの方法は、組み込んだ有用微生物が死滅して効果がなく なった後の再組み込みが容易でなく、また、組み込んだ有用微生物を死滅させな いよう寝具類の日光干し乾燥は避けなければならないなどの問題点があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 そこで本考案は、有害微生物の生育を阻止する作用を有する好気性微生物を組 み込んだ寝具類における好気性微生物の補充を容易にし、また必要に応じて日光 干しも可能なようにすることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、有害微生物の生育を阻止する作用を有する好気性微生物を放出可能 に保持させた小袋もしくは小シートと、該小袋もしくは小シートを収容可能なポ ケット１または２以上を表面に付設した寝具類とを組み合わせて使用するように することによって上記目的を達成したものである。

【０００７】 ここで寝具類とは、敷布団、掛け布団、シーツ、毛布等のほか、マット、枕等 を包含する。

【０００８】 また、小袋もしくは小シートとは、組み合わせて使用する寝具類の表面積（片 面の表面積）に比べて十分小さい表面積の袋もしくはシートを意味し、例えば布 団、シーツ用のものでも１５〜１００cm²程度の表面積のものを意味する。

【０００９】

【考案の実施の形態】

本考案で使用する“有害微生物の生育を阻止する作用を有する好気性微生物” （以下、有用微生物という）は、それ自体は前述のように寝具類にも使われて周 知のものである。有用微生物の代表的なものとしては、ニトロバクター、マイク ロコッカス等がある。使いやすいよう有用微生物を製剤化したものはすでに幾つ か市販されており、その具体例としては、株式会社サンカイハイテックスのＢＩ Ｏ ５２０、日本ミルフォード株式会社のハイ・クリーンΣ等がある。

【００１０】 有用微生物を放出可能に保持させる小袋または小シートは、各種合成繊維で作 られた不織布、織布、紙等を用いて容易に製造することができる（袋が密封され ていても有用微生物は上記素材の繊維間空隙を容易に通り抜けて周囲に拡散する ことができる）。

【００１１】 有用微生物は、上記製剤の一部がそうであるように、パーライト粉末等、適当 な無機質粉末からなる担体に含浸させたものが、小袋に入れて使用する場合、使 いやすい。有用微生物を小シートに保持させるには、菌液を、必要に応じて任意 の助剤と共に、厚手の不織布等空隙の多い組織を有するシートに含浸させる。

【００１２】 有用微生物を放出可能に保持させた小袋または小シートは、使用開始まで、酸 素遮断性の良い包装材料で密封包装しておくことが望ましい。

【００１３】 寝具類の表面に付設するポケットは、上述の小袋もしくは小シートを１個ずつ 収容するのに適当な大きさのものとする。寝具上ポケットを設ける数と位置は、 その寝具の種類に応じて適宜選定するが、要は、なるべく寝具全体にわたって、 ただし安眠の妨げとならない範囲で、均一に分散させる。

【００１４】 ポケットは、寝具の表面素材と同一または異なる素材で、寝具の表面に縫着ま たは接着する。ポケットの開口部には、有用微生物を保持させた小袋もしくは小 シートがそこから脱落するのを防止するための手段を必要に応じて付属させても よい。

【００１５】 上述のようにしてポケットを表面に付設することを除けば、寝具類は任意の素 材による任意の形状・構造のものとすることができる。ただし、言うまでもない ことであるが、ポケット付設面には微生物遮断性の素材（たとえばプラスチック フィルム、樹脂コーティングを施した布等）を用いてはならない。

【００１６】 本考案の寝具類は、有用微生物を保持させた小袋または小シートをポケットに 入れて使用する。この状態で、有用微生物は小袋や小シートから離れて徐々に寝 具中に拡散するので、ポケットの配置が適切であるかぎり、寝具全体が短時日で 有用微生物により占拠される。したがって、そこでは有害微生物が活発には増殖 することができず、有害微生物の増殖に起因する悪臭発生等好ましくない現象が 防止される。

【００１７】 寝具類を日光干しして乾燥したい場合は、有用微生物を保持させた小袋または 小シートの全部をポケットから取り出した状態で日光に当てればよい。寝具類中 に分布している有用微生物のかなりの部分が死滅したり飛散したりするのは避け られないが、日光干し終了後、取り出しておいた小袋または小シートをポケット に戻すことで、有用微生物の全部を死滅させずに日光干しすることができる。

【００１８】 長期間使用して有用微生物の菌数が著しく減少し、使用効果が十分でなくなっ たならば、有用微生物を保持させた小袋または小シートを更新する。ポケットが 寝具類の表面に付設されているので、更新は容易である。

【００１９】

【実施例】

図１に示した実施例は、通常の敷き布団１の表面の６カ所にポケット２を縫着 し、その中に、図２に示した不織布製小袋３（入りの有用微生物を収容したもの である。ポケット２は、いずれも布団１の中央側に開口部を持つ。

【００２０】 図３に示した実施例は、枕４の左右両端に近い部分にポケット５を設け、そこ に図２のものと同様の有用微生物入り小袋６を収容したものである。

【００２１】

【考案の効果】

上述のように、本考案の抗菌性寝具類は長期間使用した後の有用微生物の補充 ・更新が容易であり、また随時日光干しして乾燥させることも可能であるから、 有用微生物を保持させた寝具類を使用することによる利益を従来よりも容易かつ 確実に享受し、清潔で快適な睡眠をとることを可能にするものである。

【提出日】平成８年１１月７日

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、有害微生物の生育を阻止する作用を有
する好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小シートと、該小袋もし
くは小シートを収容可能なポケットを１個または２個以上表面に付設した寝具類
とを組み合わせて使用するようにすることによって上記目的を達成したものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案によるポケット付き敷き布団の平面図
である。

【図２】 図１の敷き布団のポケットに入れる有用微生
物入り小袋３の平面図である。

【図３】 本考案によるポケット付き枕の平面図であ
る。

【符号の説明】

１：布団 ２：ポケット ３：小袋 ４：枕 ５：ポケット

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成８年１１月７日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項３】 有害微生物の生育を阻止する作用を有す
る好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小
シート、および該小袋もしくは小シートを収容可能なポ
ケットを１個または２個以上表面に付設した布団、シー
ツ、毛布、マットまたは枕の組み合わせよりなる抗菌性
寝具類。

【請求項４】 有害微生物の生育を阻止する作用を有す
る好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小
シートを収容するためのポケットを１個または２個以上
表面に付設してなる抗菌性寝具類。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 有害微生物の生育を阻止する作用を有す
   る好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小
   シート、および該小袋もしくは小シートを収容可能なポ
   ケット１または２以上を表面に付設した寝具類の組み合
   わせよりなる抗菌性寝具類。
2. 【請求項２】 ニトロバクターに属し有害微生物生育阻
   止作用を有する好気性微生物１種以上を放出可能に保持
   させた小袋もしくは小シート、および、該小袋もしくは
   小シートを収容可能なポケット１または２以上を表面に
   付設した寝具類の組み合わせよりなる抗菌性寝具類。
3. 【請求項３】 ＢＩＯ ５２０（商品名；株式会社サン
   カイハイテックス製品）を構成する好気性微生物を放出
   可能に保持させた小袋もしくは小シート、および該小袋
   もしくは小シートを収容可能なポケット１または２以上
   を表面に付設した寝具類の組み合わせよりなる抗菌性寝
   具類。
4. 【請求項４】 有害微生物の生育を阻止する作用を有す
   る好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小
   シート、および該小袋もしくは小シートを収容可能なポ
   ケット１または２以上を表面に付設した布団、シーツ、
   毛布、マットまたは枕の組み合わせよりなる抗菌性寝具
   類。
5. 【請求項５】 有害微生物の生育を阻止する作用を有す
   る好気性微生物を放出可能に保持させた小袋もしくは小
   シートを収容するためのポケット１または２以上を表面
   に付設してなる抗菌性寝具類。