JP3035559B1 - アルキル置換フェノ―ル重合体の製造方法 - Google Patents

アルキル置換フェノ―ル重合体の製造方法

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JP3035559B1
JP3035559B1 JP11029324A JP2932499A JP3035559B1 JP 3035559 B1 JP3035559 B1 JP 3035559B1 JP 11029324 A JP11029324 A JP 11029324A JP 2932499 A JP2932499 A JP 2932499A JP 3035559 B1 JP3035559 B1 JP 3035559B1
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Abstract

【要約】 【課題】 10%加熱減量温度が高く、ゲル分がなく、
着色の少ないアルキル置換フェノール重合体を製造する
方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるアルキル置
換フェノールを、酸素及び配位原子が窒素原子である三
座配位子と銅原子からなる銅錯体触媒の存在下で重合さ
せるアルキル置換フェノール重合体の製造方法。 【化1】 (式中、R1 〜R3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキ
ル基または置換アルキル基であり、R1 およびR2 の少
なくとも一方はアルキル基または置換アルキル基であ
り、R2 またはR3 の少なくとも一方は水素原子であ
り、R1 とR2 で環を形成してもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルキル置換フェノ
ール重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2,6−ジ置換フェノール類を銅触媒を
用いて酸素酸化重合する方法は、特公昭36−1869
2号公報等、数々の方法が公知であり、2,6−ジ置換
フェノール重合体は高い耐熱性を示すことが広く知られ
ている。J. Am. Chem. Soc. 81, 6335-6336 (1959)には
アルキル置換フェノールである2,6−ジメチルフェノ
ールの重合体の合成例が、Macromolecules, 2, 107-108
(1969) にはアリール置換フェノールである2,6−ジ
フェニルフェノールの重合体の合成例が報告されてい
る。しかし、一般的にフェノールへのアルキル置換化は
アリール置換化よりもはるかに容易であり、アルキル置
換フェノール重合体の方がモノマーコストの点で経済的
に有利である。
【0003】一方、少なくとも1つのオルト位が水素原
子であるアルキル置換フェノール類についても、銅触媒
を用いて酸素酸化重合する方法が知られている。例えば
2,5−ジメチルフェノールの酸化重合触媒としては、
銅/二座アミン配位子触媒として、Ecletica Quim., 1
8, 93-100 (1993) に銅/テトラメチルエチレンジアミ
ン触媒が報告されている。また、銅/単座アミン配位子
触媒として、Polymer, 20(8), 995-1002 (1979) に銅/
ジメチルピリジン触媒が、Chem. Prum., 22(9),451-454
(1972)に銅/モノアルキルアミン触媒が、Polimery, 1
4(11), 535-538(1969)には銅/ジアルキルアミン触媒が
報告されている。しかし、これらの触媒を用いる方法で
得られた重合体は熱安定性が低く、溶媒に不溶のゲル分
を含み、着色しているという問題があった。
【0004】なお本発明者らは、特開平10−1681
80号公報において1つのオルト位が水素原子のアリー
ル置換フェノールである2−フェニルフェノールを酸化
重合させてポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンオ
キサイド)を製造するに当り、配位原子が窒素原子であ
る三座配位子と銅原子からなる銅錯体触媒を用い、特定
の反応溶媒中および特定の反応温度で重合する方法を開
示している。ただし2−フェニルフェノールを用いるこ
の方法においては、銅/二座配位子触媒(特開平10−
168179号公報の実施例2)を用いても、銅/三座
配位子触媒(特開平10−168180号公報の実施例
1)を用いても、重合体の100℃〜400℃までの加
熱減量すなわち熱安定性は実質的にほぼ同等であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低コ
ストのアルキル置換フェノールを用いて、熱安定性が高
く、溶媒に不溶のゲル分を含まず、着色の少ない重合体
を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本研究者らは上記目的を
達成すべく鋭意研究を行った結果、アリール置換フェノ
ールの場合とは全く異なり、アルキル置換フェノールの
場合には、驚くべきことに銅/三座配位子触媒を用いれ
ば、従来の銅/二座配位子触媒や銅/単座配位子触媒を
用いるより、10%加熱減量温度が高くなり、ゲル分が
なく、着色の少ない重合体を製造できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】即ち本発明は、下記一般式(I)で表され
るアルキル置換フェノールを、酸素及び配位原子が窒素
原子である三座配位子と銅原子からなる銅錯体触媒の存
在下で重合させることを特徴とするアルキル置換フェノ
ール重合体の製造方法である
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1 〜R3 はそれぞれ独立に水素
原子、アルキル基または置換アルキル基であり、R1
よびR2 の少なくとも一方はアルキル基または置換アル
キル基であり、R2 またはR3 の少なくとも一方は水素
原子であり、R1 とR2 で環を形成してもよい。)を提
供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用するアルキル置換フ
ェノールは、上記一般式(I)で表されるアルキル置換
フェノールである。上記一般式(I)のR1 〜R3 はそ
れぞれ独立に水素原子、アルキル基または置換アルキル
基であるが、R1 及びR2 の少なくともいずれか一方は
アルキル基または置換アルキル基であり、R2 またはR
3 の少なくともいずれか一方は水素原子である。なお、
1 とR2 で環を形成してもよい。上記一般式(I)の
1 〜R3 におけるアルキル基としては、R1 とR2
環を形成しない場合、好ましくは炭素原子数1〜20の
より好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基が挙げ
られる。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、
ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基
が挙げられる。R1 とR2 で環を形成する場合、5〜7
員環が好ましく、R1 とR2 が-(CH2)3-基または-(CH2)
4-基であることがより好ましい。
【0011】上記一般式(I)のR1 〜R3 における置
換アルキル基としては、アリール基、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基等で置換された前記のアルキル基が挙げら
れ、好ましくは炭素原子数1〜20の置換アルキル基、
より好ましくは炭素原子数1〜の置換アルキル基が挙げ
られる。具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル
基、ペンタフルオロベンジル基、トリフルオロメチル
基、メトキシエチル基、(メトキシエトキシ)エトキシ
基等が挙げられる。上記一般式(I)のR1 〜R3 とし
てそれぞれ独立に、より好ましくは水素原子または炭素
原子数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは
水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である。
【0012】本発明においては、出発原料として該アル
キル置換フェノールを単独でまたは混合して使用するこ
とができる。また、該アルキル置換フェノールをフェノ
ールおよび/または4−フェノキシフェノールと混合し
て使用することもできる。本発明で使用する銅錯体触媒
は、窒素原子である三座配位子と銅原子からなる銅錯体
触媒である。
【0013】本発明に用いる銅錯体触媒における三座配
位子とは、配位原子が窒素原子である三座配位子であ
る。本発明において配位子とは、化学大辞典(第1版、
東京化学同人、1989年)に記載の通り、ある原子に
配位結合で結合している分子またはイオンを指す。結合
に直接かかわっている原子を配位原子という。三座配位
子は配位原子数が3個の配位子である。配位原子が窒素
原子である二座および単座配位子と銅原子からなる触媒
では、得られるアルキルフェノール重合体の10%加熱
減量温度が低く、好ましくない。
【0014】本発明に用いる三座配位子は、配位原子が
窒素原子である以外には特に限定はない。かかる三座配
位子の具体例を挙げれば、ジエチレントリアミン、ビス
(2−ピリジルメチル)アミン、ビス(2−ピリジルエ
チル)アミン、ビス(2−イミダゾリルメチル)アミ
ン、ビス(2−オキサゾリルメチル)アミン、ビス(2
−チアゾリルメチル)アミン、N−(2−ピリジルメチ
リデン)−N−(2−ピリジルメチル)アミン、2,
2’:6’,2”−ターピリジン、3−(2−ピリジル
メチルイミノ)−2−ブタノンオキシム、トリス(2−
ピリジル)メタン、トリス(2−イミダゾリル)メタ
ン、トリス(1−ピラゾリル)メタン、トリス(1−ピ
ラゾリル)ホスフェイト、トリス(1−ピラゾリル)ボ
ーレート、1,4,7−トリアザシクロノナン等、ある
いは、それらの誘導体等を挙げることができる。本発明
に用いる銅錯体触媒における銅原子の価数は0〜3価で
あるが、1または2価が好ましい。
【0015】本発明に用いる銅錯体触媒において、該三
座配位子と銅原子の比に特に制限はないが、実質的に形
成される錯体として、該三座配位子1個あたり銅原子が
1個以上が好ましい。より好ましくは1〜3個であり、
さらに好ましくは1個である。
【0016】本発明に用いる銅錯体触媒において、配位
子と銅原子以外の構造は、触媒能を失活させないならば
特に限定されるものではない。また本発明の銅錯体触媒
には、錯体の原料、合成過程および/または酸化重合過
程で、溶媒などが配位していても良い。
【0017】本発明に用いる銅錯体触媒には、電気的中
性を保たせるようなカウンターイオンが必要な場合があ
る。カウンターアニオンとしては、通常ブレンステッド
酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化物イ
オン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、
硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオ
ン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロ
ホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフ
ルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イ
オン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオ
ン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物
イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が
挙げられる。カウンターアニオンとして、好ましくは塩
化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオ
ン、硝酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオンまたはメ
トキサイドイオンであり、さらに好ましくは塩化物イオ
ン、臭化物イオン、硫酸イオンまたは硝酸イオンであ
る。またカウンターカチオンとしては、アルカリ金属や
アルカリ土類金属等のカチオンを適宜用いることができ
る。
【0018】本発明に用いる銅錯体触媒として、好まし
くは下記一般式(II)で表される銅錯体が挙げられる。
【0019】
【化4】
【0020】(式中、R4 は炭化水素基、置換炭化水素
基または水素原子を表し、すべてのR4 は同一でも異な
っていてもよい。R5 は二価の炭化水素基または置換炭
化水素基を表し、すべてのR5 は同一でも異なっていて
もよい。Xはカウンターアニオンであり、nはXの個数
であって、銅とXの価数により適宜決定される。)
【0021】上記一般式(II)のR4 における炭化水素
基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原
子数7〜20のアラルキル基または炭素原子数6〜20
のアリール基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基、t−ブチル基、1−ペンチル
基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、4−メチル
シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、
3,5−ジメチルシクロヘキシル基、ベンジル基、2−
フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、フェニル
基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0022】上記一般式(II)のR4 における置換炭化
水素基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、二置換アミノ
基等で置換された前記の好ましい炭化水素基であり、具
体例としては、ペンタフルオロフェニルメチル基、メト
キシエチル基、ジフェニルアミノプロピル基等が挙げら
れる。
【0023】上記一般式(II)のR4 としては、炭化水
素基が好ましく、炭素原子数1〜20のアルキル基また
は炭素原子数7〜20のアラルキル基がより好ましく、
炭素原子数2〜12のアルキル基がさらに好ましい。
【0024】上記一般式(II)のR5 における二価の炭
化水素基としては、炭素原子数1〜20のアルキレン
基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基または炭
素原子数6〜20のアリーレン基が好ましく、具体例と
しては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン
基、1,3−プロピレン基、2,4−ブチレン基、2,
4−ジメチル−2,4−ブチレン基、1,2−ジフェニ
ル−1,2−エチレン、1,2−シクロペンチレン基、
1,2−シクロヘキシレン基、1,2−フェニレン基等
を挙げることができる。
【0025】上記一般式(II)のR5 における二価の置
換炭化水素基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、二置換
アミノ基等で置換された前記の好ましい二価の炭化水素
基であり、具体例としては、テトラフルオロ−1,2−
エチレン基、4,5−ジメトキシ−1,2−フェニレン
基、4−ジメチルアミノ−1,2−フェニレン基等を挙
げることができる。
【0026】上記一般式(II)のR5 としては、二価の
炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜20のアルキレ
ン基または炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基が
より好ましく、炭素原子数2〜6のアルキレン基がさら
に好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0027】上記一般式(II)において、銅の価数は1
または2であり、Xはカウンターアニオンであり、nは
Xの個数であって、銅の価数により決定される。
【0028】上記一般式(II)において、上記以外の構
造は、触媒能を失活させないならば特に限定されるもの
ではない。また本発明に用いる遷移金属錯体触媒には、
錯体の原料、合成過程および/または酸化カップリング
反応過程で、溶媒などが配位していても良い。
【0029】本発明に用いる銅錯体は、例えば三座配位
子化合物と銅化合物とを適当な溶媒中で混合する方法等
により合成することができる。該遷移金属化合物として
は、遷移金属のブレンステッド酸塩等が適宜用いられ
る。三座配位子化合物としては、市販品を適宜用いるこ
とができるが、J. Chem. Soc. Dalton Trans., 83 (199
3). や J. Am. Chem. Soc., 8865, 117(1995).等を参考
に合成することも可能である。該銅錯体は、あらかじめ
合成された錯体を用いることができるが、反応系中で錯
体を形成させてもよい。
【0030】本発明においては、該触媒を単独でまたは
混合して使用することができる。本発明においては、該
触媒は任意の量で用いることができるが、一般的にはフ
ェノール性出発原料に対する遷移金属化合物の量として
0.001〜50モル%が好ましく、0.01〜10モ
ル%がより好ましい。
【0031】本発明に用いる触媒において、該銅錯体の
銅の価数が2価であり、かつカウンターイオンとしてフ
ェノールよりも強い酸の共役塩基を有する場合には、該
銅錯体触媒を不活性化しない塩基を、該カウンターイオ
ンと1/4当量以上、重合時に共存させることが好まし
い。かかる塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、酸化カルシウム、ナトリウムメトキサイ
ド、ナトリウムエトキサイド等のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、アルコキサイド
類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のア
ミン類;ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメ
チルピリジン、2,6−ジフェニルピリジン等のピリジ
ン類が挙げられる。アルコキサイド類、アミン類または
ピリジン類をカウンターイオンと1/4当量以上共存さ
せることがより好ましく、置換ピリジン類を1/2当量
以上共存させることがさらに好ましい。
【0032】本発明において酸化剤は、酸素であり、不
活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。酸
素の使用量は、フェノール性出発原料に対して通常、当
量以上大過剰に使用する。
【0033】本発明の反応は、反応溶媒の不在下でも実
施することは可能であるが、一般には溶媒を用いること
が望ましい。溶媒はフェノール性出発原料に対し不活性
でかつ反応温度において液体であれば、特に限定される
ものではない。好ましい溶媒の例を示すならば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタ
ン、シクロヘキサン等の鎖状及び環状の脂肪族炭化水
素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタ
ン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニ
トリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−
プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等の
アルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチ
レングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の
アミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化
合物類;水等が挙げられる。芳香族炭化水素系、鎖状及
び環状の脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリ
ル類、エーテル類またはニトロ化合物類がより好まし
く、芳香族炭化水素系またはハロゲン化炭化水素がさら
に好ましい。これらは単独あるいは混合物として使用さ
れる。
【0034】該溶媒を用いる場合は、フェノール性出発
原料の濃度が好ましくは0.5〜50重量%、より好ま
しくは1〜30重量%になるような割合で使用される。
本発明を実施する反応温度は、反応媒体が液状を保つ範
囲であれば特に制限はない。溶媒を用いない場合はフェ
ノール性出発原料の融点以上の温度が必要である。好ま
しい温度範囲は0℃〜200℃であり、より好ましくは
0℃〜150℃である、さらに好ましくは0℃〜100
℃である。反応時間は、反応温度などの反応条件で変わ
るが、通常1時間以上、好ましくは3〜300時間であ
る。本発明において、目的のアルキル置換フェノール重
合体の分離は、通常の方法により行うことができる。例
えば反応混合物に、メタノール、ヘキサンなどの重合体
の貧溶媒を大過剰に加え、析出した重合体を瀘取し、貧
溶媒で洗浄した後、乾燥する方法が挙げられる。本発明
方法により得られる重合体は下記の繰り返し単位を有す
るものである。
【0035】
【化5】
【0036】(式中、R1 〜R3 は前記と同じ意味をも
つ。)
【0037】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。
【0038】(i)分析 アルキル置換フェノールの転化率(Conv. ):内部標準
物質としてジフェニルエーテルを含む反応混合物15m
gをサンプリングし、濃塩酸を若干量加えて酸性とし、
メタノール2gを加え、測定サンプルとした。このサン
プルを、高速液体クロマトグラフィー(ポンプ:東ソー
社製SC8020システム、検出器:東ソー社製PD−
8020、検出波長:278nm、カラム:YMC社製
ODS−AM、展開溶媒:メタノール/水=68:32
よりスタートして38分後に100/0となるよう変化
させ、その後50分まで保持)により分析し、ジフェニ
ルエーテルを内部標準物質として定量した。
【0039】収率(%):重合終了後、反応混合物にメ
タノールまたはメタノール/水混合溶媒を大過剰に加
え、析出したポリマーをメタノールまたはメタノール/
水混合溶媒で十分に洗浄した。収率とは、このようにし
て得られたメタノール不溶分の割合である。ただし、転
化率に比べ収量が低い例は、メタノールに溶解性のポリ
マーが多いためと考えられる。2,5-ジメチルフェノール
重合体の溶解性(Solubility):ポリマー1mgを1,2-
ジクロロベンゼン(oDCBと略す。)1mlに加え、15
0℃に加熱したときの不溶部(ゲル分とする)の有無を
観察した。
【0040】重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分
子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
により分析し、標準ポリスチレン換算値として重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。2,
5-ジメチルフェノール重合体については、Polymer Labo
ratories 社製PL-GPC210 システムにより、 PolymerLab
oratories 社製Plgel 10um MIXED-B 3本をカラムとし
て、1,2-ジクロロベンゼン(2,6-ジ-t- ブチル-4- メチ
ルフェノール0.01%w/v 含有)を展開溶媒として、14
0℃で測定を行った。その他のアルキル置換フェノール
重合体については、ポンプ:東ソー社製SC8020シ
ステム、検出器:東ソー社製RI−8020、カラム:
東ソー社製TSKGELα−M 2本、展開溶媒:0.4
wt%LiCl含有N ,N −ジメチルホルムアミドを用
い、60℃で測定を行った。
【0041】重合体の10%加熱減量温度(Td10):T
G分析(MAC SCIENCE 社製TG-DTA2000S )において、ア
ルゴン雰囲気下、10℃/minで室温から500℃まで昇
温し、10% 減量を示した温度を測定した。
【0042】(ii)アルキルフェノール類の酸化重合 実施例1 電磁撹拌機を備えた25ml容二つ口丸底フラスコに、
酸素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸
素に置換した。これに、Cu(Cl2)(1,4,7-triisopropyl-
1,4,7-triazacyclononane) ( J. Am. Chem. Soc., 12
0, 8529, (1995).参照、Cu(tacn)と略す。)0.006
mmolを入れ、2,5-dimethylphenol1.2mmol
と、塩基として2,6-diphenylpyridine0.06mmol
をトルエン2.4gに溶解したものを加えた。これを4
0℃に保温し、激しく撹拌した。72hr後、濃塩酸数
滴を加えて酸性にした後、メタノール25mlを加え、
沈殿した重合体を濾取した。メタノール10mlで3回
洗浄し、60〜100℃で6時間減圧乾燥した後、白色
の重合体を得た。この重合体はポリ(2,5−ジメチル
−1,4−フェニレンオキサイド)であった。この重合
体の分析結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】実施例2 Cu(tacn)を0.06mmolに、2,6-ジフェニルピリジ
ンを0.6mmolに、反応時間を24hrにした以外
は実施例1と同様にして、白色の重合体を得た。表1に
結果を示す。
【0045】比較例1〜4 触媒、反応時間を表1に示すように変えた以外は、実施
例2と同様にして、褐色を帯びた重合体を得た。表1に
結果を示す。なお、触媒については、Cu(tmed)はCu2(C
l)2(OH)2(N,N,N',N"-テトラメチルエチレンジアミン)2
であり、CuCl/2,6-Me2PyはCuCl/2,6-ジメチルピリジン
(1/3mol/mol )であり、CuCl/n-Pr2NHはCuCl/ジ−
n−ブチルアミン(1/12mol/mol )であり、CuCl2/
c-HexNH2はCuCl2 ・2H2O/シクロヘキシルアミン(1/
16mol/mol )である。
【0046】以上、実施例1、2と比較例1〜4から、
三座配位子の銅錯体触媒を用いる方法により、二座およ
び単座配位子の銅錯体触媒を用いる方法よりも、得られ
る重合体の10%加熱減量温度(Td10)が高く、ゲル分
及び着色が少なくなることが明らかである。
【0047】実施例3〜7 アルキル置換フェノール、反応時間を表2に示すように
した以外は、実施例1と同様にして、重合体を得た。表
2に結果を示す。
【0048】
【表2】
【0049】実施例8 電磁撹拌機を備えた25ml二つ口丸底フラスコに、酸
素を充填した2Lゴム風船を取付け、フラスコ内を酸素
に置換した。これに、Cu(tacn) 0.006mmolを
入れ、2-t-ブチルフェノール1.2mmolと、塩基と
して2,6-ジフェニルピリジン0.06mmolをトルエ
ン2.4gに溶解したものを加えた。これを40℃に保
温し、激しく撹拌した。163hr後、濃塩酸数滴を加
えて酸性にした後、メタノール25mlおよび水3ml
を加え、沈殿した重合体を濾取した。メタノール10m
lと水1mlを混合したもので3回洗浄し、60℃で6
時間減圧乾燥した後、重合体を得た。この重合体の分析
結果を表2に示す。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、アルキル置換フェ
ノールの酸素酸化重合において、配位原子が窒素原子で
ある三座配位子と銅原子からなる銅錯体触媒を用いるこ
とにより、熱安定性が優れ、溶媒に対する溶解性が高
く、着色のない、ポリ(アルキル置換−1,4−フェニ
レンオキサイド)系重合体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諸岡 良彦 神奈川県横浜市青葉区藤が丘2丁目41番 21東工大宿舎404 (72)発明者 小林 四郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 審査官 ▲吉▼澤 英一 (56)参考文献 特開 平10−176055(JP,A) 特開 平10−45899(JP,A) 特開 平10−45901(JP,A) 特開 昭62−172023(JP,A) 特公 昭46−7710(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 65/00 - 65/48 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるアルキル置
    換フェノールを、酸素及び配位原子が窒素原子である三
    座配位子と銅原子からなる銅錯体触媒の存在下で重合さ
    せることを特徴とするアルキル置換フェノール重合体の
    製造方法。 【化1】 (式中、R1 〜R3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキ
    ル基または置換アルキル基であり、R1 およびR2 の少
    なくとも一方はアルキル基または置換アルキル基であ
    り、R2 またはR3 の少なくとも一方は水素原子であ
    り、R1 とR2 で環を形成してもよい。)
  2. 【請求項2】 該銅錯体触媒が下記一般式(II)で表さ
    れることを特徴とする請求項1記載のアルキル置換フェ
    ノール重合体の製造方法。 【化2】 (式中、R4 は炭化水素基、置換炭化水素基または水素
    原子を表し、すべてのR4 は互いに同一でも異なってい
    てもよい。R5 は二価の炭化水素基または置換炭化水素
    基を表し、すべてのR5 は同一でも異なっていてもよ
    い。Xはカウンターアニオンであり、nはXの個数であ
    って、銅とXの価数により適宜決定される。)
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