JP3033987U - 多段式圧造成形機におけるブランク受け渡し補助チャック装置 - Google Patents

多段式圧造成形機におけるブランク受け渡し補助チャック装置

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JP3033987U JP1996008174U JP817496U JP3033987U JP 3033987 U JP3033987 U JP 3033987U JP 1996008174 U JP1996008174 U JP 1996008174U JP 817496 U JP817496 U JP 817496U JP 3033987 U JP3033987 U JP 3033987U
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博 守屋
隆元 田中
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株式会社阪村機械製作所
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 段付き軸を圧造成形する際に、機体の全長を
長くすることなく、段付きブランクを素材移送用チャッ
クで確実に挟持できるようにすること。 【解決手段】 径の異なる複数の軸部を有する段付き軸
を圧造成形する多段式圧造成形機において、径の異なる
複数の孔部4a〜4cを有する所定のダイ4からのノッ
クアウト手段48による径の異なる複数の軸部X1〜X
3を有する段付きブランクXの排出動作の途中におい
て、該ブランクXの複数の軸部X1〜X3の少なくとも
一つが上記所定のダイ4の対応する孔部4a〜4cと嵌
め合い係合している状態から該段付きブランクXを素材
移送用チャック25が把持するまでの間にわたって、段
付きブランクXを一時的に把持する補助チャック60を
設けた。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、機台の一側より供給されたブランクを順次段階的に圧造成形して所 定形状の製品を形成するようにした多段式圧造成形機において、径の異なる複数 の軸部を有する段付き軸を成形する場合に使用して好適なブランク受け渡し補助 装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、多段式圧造成形機は、例えば実開平6−9734号公報に示されてい るように、機台の所定位置に装備されたダイブロックに粗から精に至る複数のダ イが一定間隔に並設されていると共に、上記ダイブロックに対向するように配設 され、かつ該ダイブロックに向かって進退動するラムの前面に、上記複数のダイ と同数個のパンチが並設された構成となっていると共に、上記ラムの一往復毎に 機台の一側より供給されたブランクを、同じくラムの往復動作に同期して隣接ダ イ間で往復動する複数個の素材移送用チャックにより粗から精に至るダイへ順次 移送しつつ、該ブランクを上記パンチによりダイに打ち込んで段階的に圧造加工 することにより、ボルト素材やナット素材等の各種のパーツ類を成形するように なっている。
【0003】 また、上記各ダイ内には、パンチにより打ち込まれたブランクをダイより排出 するためのノックアウト手段がそれぞれ内装されており、このノックアウト手段 を所定のタイミング、即ちパンチの進退動作に関連付けて前後動させることによ り、その先端部でダイ内に打ち込まれたブランクを押し出してダイより前方に前 方に排出すると共に、パンチが素材移送用チャックと干渉しない位置まで後退し た後に、該チャックがダイの前面のブランク把持位置に進入して上記ブランクを 把持し、次位のダイの前面位置に移送するようになっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】 ところで、上記のように構成された多段式圧造成形機により、例えば図9に示 すような径の異なる複数の軸部を有する段付き軸を成形する場合においても、先 に述べた成形動作と同様にパンチAを径の異なる複数の孔部B1…B3を備えた ダイBに打ち込んで径の異なる複数の軸部X1…X3を有する段付きブランクX を成形し、その後に、該ブランクXをノックアウトピンDによりを排出すると共 に、パンチAが素材移送用チャックCと干渉しない位置まで後退したときに、該 チャックCをダイBの前面のブランク把持位置に進入させて上記ブランクXを把 持する動作を行うことになる。その場合、ノックアウトピンDによる上記ブラン クXの蹴り出しタイミングが早すぎると、素材移送用チャックCにより段付きブ ランクXを把持する前に、該ブランクXの軸部X1…X3とダイBの孔部B1… B2との嵌め合い係合が全てはずれて、段付きブランクXがダイBの孔部B1… B2における大径側孔部B2,B3に落ち込んで傾き、これにより段付きブラン クXが素材移送用チャックCにより把持されずにダイBから落下してしまうこと になる。このように段付きブランクXがダイBから落下しようにするには、ノッ クアウトピンDによる上記ブランクXの蹴り出しタイミングを遅くして、つまり パンチAが素材移送用チャックCと干渉しない位置まで後退して、素材移送用チ ャックCがダイBの前面のブランク把持位置に進入し時点でブランクXの蹴り出 しを行うようにすればよいのであるが、このようにブランクXの蹴り出しタイミ ングを遅くするには、ノックアウトピンDを移動させるノックアウト手段(図示 せず)側に、上記ノックアウトピンDによるブランクXの蹴り出しタイミングを 遅くするための大きな遊びを設ける必要がある。そのため、ノックアウトピンD のストロークが大きくなって機体の全長が長くなる問題があった。
【0005】 そこで本考案は、段付き軸を成形する場合において、機体の全長を長くするこ となく、段付きのブランクを確実に素材移送用チャックで把持できるようにする ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本考案に係る多段式圧造成形機におけるブランク受 け渡し補助チャック装置は、次のように構成したことを特徴とする。
【0007】 すなわち、本願の請求項1に係る考案(以下、第1考案という。)は、機台の 所定位置に並設された複数のダイと、これらのダイに対向するようにラムの前面 に装備され、かつ該ラムによりダイに向かって進退動される複数のパンチと、上 記各ダイの並設方向に往復動自在に機台上に支持され、かつ素材を各ダイの軸芯 前面位置に順次移送する素材移送用チャックが取り付けられたチャックブロック と、該チャックブロックを上記ラムの進退動作に同期して各素材移送用チャック が隣接するダイの軸芯前面間で往復動するように駆動するチャック駆動機構と、 上記ラムの進退動作に同期して各素材移送用チャックを開閉させるチャック開閉 機構と、上記各ダイの後方に配設されて該ダイと各パンチとにより圧造されたブ ランクを上記ラムの進退動作に同期してそれぞれ各ダイ内から前方に押し出す複 数のノックアウト手段とを備え、上記素材を粗から精に順次圧造加工して径の異 なる複数の軸部を有する段付き軸を成形する多段式圧造成形機におけるブランク 受け渡し補助チャック装置において、径の異なる複数の孔部を備えた所定のダイ の軸芯前面位置と、該所定のダイの近傍との間で往復動可能に設けられ、かつ上 記所定のダイのノックアウト手段により該ダイから排出される径の異なる複数の 軸部を有する段付きブランクを把持する補助チャックと、上記所定のダイのノッ クアウト手段による段付きブランクの排出動作の途中において、上記段付きブラ ンクの複数の軸部の少なくとも一つが上記所定のダイの対応する孔部と嵌め合い 係合している状態から該段付きブランクが上記素材移送用チャックにより把持さ れるまでの間にわたり、上記補助チャックを上記所定のダイの近傍位置から該ダ イの軸芯前面位置に移動させて、該補助チャックに段付きブランクを一時的に把 持させる補助チャック駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】 また、請求項2に係る考案(以下、第2考案という。)は、素材移送用チャッ クが隣接するダイの軸芯前面間において円弧状に移動するようにチャックブロッ クを基台上に揺動部材を介して支持すると共に、隣接するダイの軸芯前面間の中 間部で、上記素材移送用チャックの円弧移動時に該チャックと干渉することのな い位置に補助チャックの退避位置を設定して、補助チャックを、補助チャック駆 動手段により所定のダイの前面位置と上記退避位置との間で往復動可能としたこ とを特徴とする。
【0009】 このような構成により、それぞれ次のような作用が得られる。
【0010】 まず、第1及び第2考案によれば、それぞれパンチの径の異なる複数の孔部を 有する所定のダイへの打ち込みにより成形した径の異なる複数の軸部を有する段 付きブランクを素材移送用チャックにより把持して後段のダイの前面位置に移送 する際、上記所定のダイからノックアウト手段により上記段付きブランクを排出 する動作の途中で、該段付きブランクの複数の軸部の少なくとも一つが上記所定 のダイの対応する孔部と嵌め合い係合している状態から該段付きブランクが上記 素材移送用チャックにより把持されるまでの間にわたり、補助チャックを補助チ ャック駆動手段により上記ダイの軸芯前面位置に移動させて、該補助チャックに 上記段付きブランクを一時的に把持させるようにしたから、上記ノックアウト手 段によって排出される段付きブランクは、上記補助チャックにより素材移送用チ ャックによる把持に先立って一時的に把持されることになる。つまり、段付きの ブランクは、ダイ内の蹴り出し方向前方側の大径孔部に落ちて傾く前の時点で、 補助チャックによってその前部が把持され、該ブランクの押し出し姿勢が崩れて 所定のダイから落下するといったことなくノックアウト手段により押し出される ことになる。そして、パンチが素材移送用チャックと干渉しない位置まで後退し た後には、素材移送用チャックが所定のダイの軸芯前面位置に移動され、該素材 移送用チャックにより、上記補助チャックによって押し出し姿勢が保たれながら 排出されるブランクを確実に把持することになる。また、補助チャックは素材移 送用チャックにより段付きブランクの把持に伴って補助チャック駆動手段により 所定のダイの近傍位置へと退避移動することになる。これにより、ノックアウト 手段によるブランクの排出時期を遅らせなくとも素材移送用チャックで保持する ことが可能となり、その結果、機体の全長を長くすることなく、段付きブランク を確実に素材移送装置で把持し、後段のダイへ確実に移送することが可能となる 。
【0011】 そして、第2考案によれば、素材移送用チャックが隣り合うダイの軸芯前面位 置間において円弧状に移動するようにチャックブロックを基台上に揺動部材を介 して支持すると共に、隣り合うダイの軸芯前面位置間で、上記素材移送用チャッ クの円弧移動時に該チャックと干渉することのない位置に補助チャックの退避位 置を設定したから、素材移送用チャックが、ノックアウト手段により排出された 段付きブランクを把持して後段のダイの軸芯前面位置に移送するとき、各素材移 送用チャックは、隣接するダイ間の中間部で待機する補助チャックの外側に向か って膨らむように円弧状に移動することになり、これによりノックアウト手段に よる段付きブランクの蹴り出し量を大きくしなくとも段付きブランクは上記補助 チャックの外側を通過することが可能となって該段付きブランクと補助チャック との干渉が回避されることになる。
【0012】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】 図1は、本考案に係るブランク受け渡し補助チャック装置が備えられた多段式 圧造成形機の概略平面図であって、該圧造成形機1における機台2の所定位置に はダイブロック3が配設されており、このダイブロック3には粗から精にいたる 複数個のダイ4…4が一定間隔に並設されており、各ダイ4…4には、径の異な る複数の孔部4a…4cがそれぞれ形成されている。また、上記ダイブロック3 の前方における機台2に装備されたラム5の前面には、上記ダイ4と同数個のパ ンチ6…6が各ダイ4とそれぞれ対向するように保持されていると共に、該ラム 5の後端が、当該圧造成形機1の駆動用モータ7により回転されるフライホイー ル8と一体のクランク軸9に連結部材10を介して連結されることにより、該ラ ム5が上記ダイブロック3に向かって進退動するようになっている。
【0014】 また、図2に示すようにダイブロック3の一側部には、上記ダイ4とパンチ6 とにより構成される圧造ステーションに線材からなる素材Aを供給するための素 材供給用クイル11と素材Aを押し出すプッシャ11aとがダイ4と並設して設 けられていると共に、該素材供給用クイル11より供給された素材Aを一定寸法 に切断するためのカッター12が設けられている。
【0015】 そして、上記ダイブロック12の上方には、素材を圧造ステーションにかけて 順次搬送する素材移送装置20が装備されている。この素材移送装置20は、図 1ないし図3に示すように、上記機台2上に配置されたフレーム部材21と、該 フレーム部材21の両側部に一端が枢着されて揺動自在とされた左右一対の揺動 アーム22,22と、これら一対の揺動アーム22,22の他端に両側部がそれ ぞれ回動自在に支持されて上記各ダイ4の並設方向に往復動可能とされたチャッ クブロック23と、該チャックブロック23と上記フレーム部材21との間にお いて両側部が上記一対の揺動アーム22,22にそれぞれ回動自在に連結された 中間フレーム24と、上記チャックブロック23の前面に上記各ダイ4の並設間 隔と同間隔に、且つ各ダイ4と同数個として設けられた一対のチャック爪25a ,25aを備えた複数の素材移送用チャック25…25とを有する。
【0016】 また、上記チャックブロック23の一側部には、上記ラム14の進退動作に同 期して所定のストロークで往復駆動される駆動ロッド26の一端が着脱自在に連 結されており、この駆動ロッド26によりチャックブロック23を各ダイ4の並 設方向に往復駆動することにより、該チャックブロック23の前面に取り付けら れた各素材移送用チャック25を隣接するダイ4,4の軸芯前面位置間で円弧軌 跡を描くように往復駆動するようになっている。
【0017】 その場合、上記駆動ロッド26はその一端がチャックブロック23の一側に枢 着され、他端が上記機台の一側部に固設されたブラケット27に支持された支軸 28を介してチャックブロック駆動用レバー29の下端部に軸30を介して枢着 されている。また、上記駆動用レバー29の上端部にはローラ部材31が枢着さ れ、該ローラ部材31が機台2の一側方にブラケット32,32を介して上記ク ランク軸9と直交する方向に枢支された第1駆動軸34の所定位置に固設された チャックブロック駆動カム35に転接されていると共に、上記駆動用レバー29 の下方には該レバー29をたえず所定方向に付勢するバネ部材36が介装されて いる。そして、上記第1駆動軸34の一端に固設されたベベルギヤ37が、上記 クランク軸9の一端に固設された駆動ギヤ38により駆動される中間ギヤ39と 共に回転するベベルギヤ40に噛合されていることにより、該第1駆動軸34が クランク軸9に連動して回転するようになっている。これにより、第1駆動軸3 4上に構成されたチャックブロック駆動用カム35の回転に伴って上記チャック ブロック駆動レバー29が支軸28を中心として所定角度揺動されることにより 、該チャックブロック駆動レバー29に駆動ロッド26を介して連結されたチャ ックブロック23が、上記ラム5の前後動作に同期して該ラム5が一往復動する 間に、隣接するダイ4間隔に等しい距離だけ位置往復するようになっている。
【0018】 更に、上記フレーム部材21の後方における機台2の上面には、各素材移送用 チャック25を開閉させるための開閉用カム41…41がそれぞれ固設された第 2駆動軸42が回転自在に設けられている。この第2駆動軸42の一端には連動 ギヤ43が構成されており、該連動ギヤ43が上記第1駆動軸34の一端に固設 されたベベルギヤ44により駆動される伝動機構45を介して駆動されることに より、上記第2駆動軸42がクランク軸9に連動して回転するようになっている 。そして、上記第2駆動軸42上の各カム41の回転に伴って揺動される複数の カムアーム46…46が上記フレーム部材21の上面に所定の間隔で支持されて いると共に、これらの各カムアーム46の先端部が当接する複数のロッカアーム 47…47が上記中間フレーム24の上面に所定の間隔で揺動自在に配置され、 且つこれらの各ロッカアーム47の先端部に上記各素材移送用チャック25が連 結されている。上記各カムアーム46およびロッカアーム47の揺動により、上 記各素材移送用チャック25がラム5の進退動作に同期して開閉されることによ り、該ラム5の前進時における各パンチ6と各チャック25との干渉を回避し得 るようになっている。また、上記素材移送用チャック25は、後述する補助チャ ック60との干渉を回避するため、素材移送用チャック25における各一対のチ ャック爪25a,25aには切り欠き段部25b,25bが形成されている。
【0019】 こうして、図2に示すように、上記カッター12により所定寸法に切断され且 つプッシャー11aにより前方に押し出された素材もしくは各ダイ4より前方に 排出された径の異なる複数の軸部を有する段付きブランクXが各素材移送用チャ ック25における各一対のチャック爪25a,25aにより把持され、この状態 で、上記駆動ロッド26によりチャックブロック23が隣接するダイ4の前面に 往動されて上記素材および段付きブランクXがそのダイ4の軸芯前面位置に移送 されると共に、上記各パンチ6による素材および段付きブランクXの各ダイ4へ の打ち込みに伴ってが各チャック爪25a,25aが開動され、その後において 再び前段側のダイ4の前面位置に復動されるようになっている。
【0020】 また、上記ダイ4の後方には、パンチ6により打ち込まれた段付きブランクX を該ダイ4内より押し出すためのノックアウト手段48が配設されている。この ノックアウト手段48は、図4に示すように各ダイ4に内装され、圧造加工され た段付きブランクXをダイ4内から蹴り出して素材移送用チャック25に把持さ せるためのノックアウトピン49…49をそれぞれ備えている。そして、ノック アウト手段48の各ノックアウトピン49は、上記ラム6を進退動させるクラン ク軸9に適宜伝動機構(図示せず)を介して連動され、パンチ6の後退動作に同 期して段付きブランクXをダイ4内から排出するようになっている。なお、ノッ クアウト手段48は既知のものであり、その構造に特徴を有するものではないの でその構造についての説明は省略する。
【0021】 そして、図2ないし図4に示すように、上記ダイブロック3の前面には、ノッ クアウトピン49により蹴り出された径の異なる複数の軸部X1…X3有する段 付きブランクXを素材移送用チャック25に受け渡すためのブランク受け渡し補 助チャック装置50が設けられている。
【0022】 この補助チャック装置50は、図2に示すようにダイブロック3の前方部下方 に横架され、かつ各ダイ4の並設方向に往復動自在支持された基軸51の一端に 、機台2の側部における支持台52に取付られた支持ブラケット53を介して揺 動自在に支持された揺動レバー54の下端部が連結されていると共に、該揺動レ バー54の上端部に枢着されたローラ部材55が、上記第1駆動軸34の所定位 置に固設された基軸駆動用カム56に転接されている。これにより、上記ラム6 を進退動させるクランク軸9に連動する第1駆動軸34の回転に伴って、基軸駆 動用カム56が回転することにより揺動レバー54が揺動し、該揺動レバー54 に一端が連結された基軸51が所定間隔で往復動されることになる。なお、基軸 51の一端部には、該基軸51をたえず所定方向に付勢するためのバネ57が介 装されている。
【0023】 また、基軸51上には、例えば上記各ダイ4と対応させてこれらのダイ4と同 数の取付用ブラケット58…58が固設されていると共に、これらの各取付用ブ ラケット58には、補助チャック60…60がそれぞれ設けられている。
【0024】 これらの補助チャック60は、図5に示すように取付用ブラケット58の上部 に取り付けられた補助チャック本体61と、該本体61に上方に向かって出退自 在に内装された下側把持爪62と、該本体61に支軸63を介して回動自在に支 持された上側把持爪64とを備えている。上記補助チャック本体61には、一側 部に下面側から上方向かって延びる穴部61aと該穴部61aの奥部から上面に 開口する開口部61bとが形成されていると共に、他側部に上側把持爪64の段 付き支持部61cが上方に向かって突設され、さらに該本体61の中央部が下方 に延長されて、その延長部にねじ孔61d,61dが形成されて、該本体61の 延長部を取付用ブラケット58の上端側部に、またその一側部下面を取付用ブラ ケット58の上面に宛てがわれた状態で、これら本体61と取付用ブラケット5 8とがボルト65,65により上記ねじ孔61d,61dを介して螺着されてい る。また、下側把持爪62は、上記穴部61a内に摺動自在に挿嵌される基部6 2aと該基部62aの中央から立ち上がる爪部62bとでなり、該下側把持爪6 2は補助チャック本体61の穴部61a内に摺動自在に挿嵌される共に、基部6 2aと取付用ブラケット58の上面との間に介装されたスプリング66を介して その爪部62bが上記開口部61bから上方に突出するように設けられている。
【0025】 上側把持爪64は二股状の基端64aが補助チャック本体61の段付き支持部 61cを挟んだ状態で支軸63を介して枢着されていると共に、先端部に下側把 持爪62の爪部62bと対向する爪部64bが下向きに形成されており、かつ、 中間部には補助チャック本体61を貫通する引き下げロッド67の上端部が枢支 されて、該ロッド67の下端部と補助チャック本体61との間に介装されたバネ 部材68により、上側把持爪64の爪部64bが下側把持爪62の爪部62b側 に付勢されている。
【0026】 なお、下側把持爪62の爪部62bの上方への突出は、その基部62aの穴部 61aの底壁への当接により規制され、また、上側把持爪64の爪部64bの下 方側への揺動は、二股状基端64aの下面が段付き支持部61cの段部との係合 によってほぼ水平状態となる位置で揺動が阻止されるように規制されている。
【0027】 そして、これらの各ブランク受け渡し補助チャック60は、図3の仮想線で示 すように隣接するダイ4の軸芯前面間における中間部で、上記素材移送用チャッ ク25の円弧移動時に該チャック25と干渉することのない位置に退避位置が設 定されており、上記基軸51による各取付ブラケット58の往復動作に伴って、 上記退避位置と、各ダイ4の軸芯前面位置との間でそれぞれ往復動されると共に 、所定のダイ4の軸芯前面位置に位置したときに上記各ノックアウトピン49に より排出される段付きのブランクXを各素材移送用チャック25とダイ4との間 で該チャック25に先立って一時的に把持し、かつ各素材移送用チャックによる 段付きブランクXの把持に伴って上記退避位置に退避されるように構成されてい る。つまり、上記所定のダイ4のノックアウト手段48による段付きブランクX の排出動作の途中において、該段付きブランクXの複数の軸部X1…X3の少な くとも一つが上記所定のダイ4の対応する孔部4a…4cと嵌め合い係合してい る状態から該段付きブランクXが上記素材移送用チャック25により把持される までの間にわたり、上記補助チャック60を上記所定のダイ4の退避位置から該 ダイ4の軸芯前面位置に移動させて、該補助チャック60に段付きブランクXを 一時的に把持させるように構成されている。
【0028】 図5において、符号69は、取付ブラケット58の上面と補助チャック本体の 一側部下面との間に介装した調整プレートであって、ブランクXの径に応じて適 宜厚みの異なる調整プレート69に取り替えることによりチャックキングセンタ の上下位置を調整することが可能となっている。また、符号70は、補助チャッ ク本体61の浮き上がりを防止するための押さえプレートである。さらに上記各 取付ブラケット58の基軸51への取付けは、取付ブラケット58の下部と、こ れに対向する割り型58bとで基軸51を挟み付けてボルト58a,58aで固 定するようになっており、これらのボルト58b,58bを緩めることにより取 付ブラケット58、つまり補助チャック60の基軸51の軸方向に対する取付位 置が任意に調整できるようになっている。
【0029】 次に、このブランク受け渡し補助チャック装置が備えられた多段式圧造成形機 によるブランク受け渡し動作を、径の異なる複数の孔部4a…4bを有するダイ 4とパンチ6とでなる後段側から2番目の圧造ステーションでのブランク受け渡 し動作に基づいて説明する。
【0030】 まず、図4に示すようにパンチ6を径の異なる複数の孔部4a…4bを有する ダイ4に打ち込んで、径の異なる複数の軸部Xa…Xbを有する段付きのブラン クXの成形した後、上記ラム5の後退によりパンチ6がダイ前面より離反し始め 、かつノックアウトピン49により上記段付きブランクXの排出動作が開始され ると、図3に示すように、補助チャック60が素材移送用チャック25に先立っ てダイ4の軸芯前面位置に移動され、該補助チャック60により段付きブランク Xは一時的に把持されることになる。つまり、上記ダイ4内に内装されたノック アウトピン49により段付きのブランクXが蹴り出される動作に同期して、上記 第1駆動軸34により駆動される基軸駆動用カム56により揺動レバー54が揺 動され、これにより基軸51が図2に示す矢印方向に往動されて、該基軸51に おける補助チャック60が、段付きのブランクXの複数の軸部X1…X3の少な くとも一つ例えばX3が上記所定のダイ4の孔部4cと嵌め合い係合している状 態で図3の実線で示すようにダイ4の軸芯前面位置に移動することになる。これ により、図6に示すように段付きのブランクXはダイ4内の大径側孔部4a,4 bに落ちて姿勢が傾く前の時点で上記補助チャック60によって前端部が把持さ れ、その押し出される姿勢が崩れないように把持された状態のままノックアウト ピン49によりさらにダイ4から前方へ押し出されることになる。
【0031】 そして、パンチ6が素材移送用チャック25と干渉しない位置まで後退した後 に、素材移送用チャック25のチャック爪25a,25aが補助チャック60の 前面位置に移動され、図7に示すように該素材移送用チャック25が、補助チャ ック60によって姿勢が保たれながらノックアウトピン49で排出されるブラン クXを確実に把持することになる。これにより、ノックアウトピン49によるブ ランクXの排出時期を遅らせなくとも素材移送用チャック25で段付きのブラン クXを把持する前にブランクXがダイ4から落下するといったことがなくなり、 素材移送用チャック25でブランクXを確実に保持することが可能となる。
【0032】 その後、補助チャック60は、素材移送用チャック25がブランクXを把持し た後に、第1駆動軸34の基軸駆動用カム56および揺動レバー54により復動 されてダイ4の軸芯前面位置からダイ間の中間部の退避位置に移動され、該退避 位置にて待機することになる。
【0033】 一方、素材移送用チャック25は、図8に示したようにノックアウトピン49 により段付きブランクXがダイ4の外方に押し出されたとき、該ブランクXを把 持したままで後段のダイ4の軸芯前面位置に移動することになる。その場合、各 素材移送用チャック25は、チャックブロック23の揺動アーム22,22とダ イブロックとによる平行移動に伴って、図8に仮想線で示したように隣接するダ イ4の軸芯前面間において円弧軌跡を描いて移動することになり、これにより、 ノックアウトピン49によるブランクXの蹴り出し量を大きくしなくとも、各ダ イ4間の退避位置に待機する補助チャック60とブランクXとの干渉が回避され ることになる。
【0034】 なお、以上の実施の形態では、素材移送用チャックブロックを隣接するダイの 軸芯前面間において円弧状に往復動させるようにしたものについて説明したけれ ども、素材移送用チャック25をダイブロック3の前面に沿って直線状に往復動 させる構造であってもよい。この場合には、ノックアウトピン49によるブラン クXの蹴り出し位置を上記補助チャック60のパンチ6側外面よりも前方位置と なるように設定すればよい。
【0035】 また、以上の実施の形態では、補助チャック60の退避位置を隣接するダイ4 の軸芯前面間の中間部に設定したけれども、何らこの構造に限定されるものでは なく、例えば補助チャック60の退避位置を各ダイ4の下方位置に設けるように してもよいことはいうまでもない。
【0036】
【考案の効果】
以上の記載から明らかなように、第1及び第2考案によれば、それぞれ段付き 軸を成形する多段式圧造成形機において、パンチの径の異なる複数の孔部を有す る所定のダイへの打ち込みにより成形した径の異なる複数の軸部を有する段付き ブランクを素材移送用チャックにより把持して後段のダイの前面位置に移送する 際、上記所定のダイからノックアウト手段により上記段付きブランクを排出する 動作の途中で、該段付きブランクの複数の軸部の少なくとも一つが上記所定のダ イの対応する孔部と嵌め合い係合している状態から該段付きブランクが上記素材 移送用チャックにより把持されるまでの間にわたり、補助チャックを補助チャッ ク駆動手段により上記ダイの軸芯前面位置に移動させて、該補助チャックに上記 段付きブランクを一時的に把持させるようにしたから、上記ノックアウト手段に よって排出される段付きブランクは、上記補助チャックにより素材移送用チャッ クによる把持に先立って一時的に把持されることになる。つまり、段付きのブラ ンクは、所定のダイ内の蹴り出し方向前方側の大径孔部に落ちて傾く前の時点で 、補助チャックによってその前部が把持され、該ブランクの押し出し姿勢が崩れ て所定のダイから落下するといったことなくノックアウト手段により押し出され ることになる。これにより、パンチが素材移送用チャックと干渉しない位置まで 後退したときに所定のダイの軸芯前面位置に移動する素材移送用チャックで、上 記補助チャックによって押し出し姿勢が保たれながら排出されるブランクを確実 に把持することが可能とになる。その結果、ノックアウト手段によるブランクの 排出時期を遅らせなくとも素材移送用チャックで保持することが可能となり、こ れにより、機体の全長を長くすることなく、段付きブランクを確実に素材移送装 置で把持し、後段のダイへ確実に移送することが可能となる。
【0037】 そして、第2考案によれば、素材移送用チャックが隣り合うダイの軸芯前面位 置間において円弧状に移動するようにチャックブロックを基台上に揺動部材を介 して支持すると共に、隣り合うダイの軸芯前面位置間で、上記素材移送用チャッ クの円弧移動時に該チャックと干渉することのない位置に補助チャックの退避位 置を設定したから、素材移送用チャックが、ノックアウト手段により排出された 段付きブランクを把持して後段のダイの軸芯前面位置に移送するとき、各素材移 送用チャックは、隣接するダイ間の中間部で待機する補助チャックの外側に向か って膨らむように円弧状に移動することになり、これによりノックアウト手段に よる段付きブランクの蹴り出し量を大きくしなくとも段付きブランクは上記補助 チャックの外側を通過することが可能となって該段付きブランクと補助チャック との干渉が回避されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係るブランク受け渡し補助チャック
装置が装備された多段式圧造成形機の概略平面図であ
る。
【図2】 図1のア−ア線拡大断面図である。
【図3】 補助チャック装置の機台への配設状態を示す
拡大正面図図である。
【図4】 図3のイ−イ線断面図である。
【図5】 ブランク受け渡し補助チャック装置の要部の
拡大断面図である。
【図6】 ブランク受け渡し補助チャック装置による段
付きブランクの把持状態を示す縦断面図である。
【図7】 素材移送用チャック装置による段付きブラン
クの把持状態を示す縦断面図である。
【図8】 素材移送用チャック装置による段付きブラン
クの移送状態を示す平面図である。
【図9】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 多段式圧造成形機 2 機台 4 ダイ 4a〜4c 孔部 5 ラム 6 パンチ 23 チャックブロック 25 素材移送用チャック 26 駆動ロッド 29 チャックブロック駆動レバー 41 開閉用カム 42 第2駆動軸 46 カムアーム 47 ロッカーアーム 48 ノックアウト手段 60 補助チャック 51 駆動手段 54 揺動レバー 56 基軸駆動用カム X 段付き軸 X1〜X3 軸部

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機台の所定位置に並設された複数のダイ
    と、これらのダイに対向するようにラムの前面に装備さ
    れ、かつ該ラムによりダイに向かって進退動される複数
    のパンチと、上記各ダイの並設方向に往復動自在に機台
    上に支持され、かつ素材を各ダイの軸芯前面位置に順次
    移送する素材移送用チャックが取り付けられたチャック
    ブロックと、該チャックブロックを上記ラムの進退動作
    に同期して各素材移送用チャックが隣接するダイの軸芯
    前面間で往復動するように駆動するチャック駆動機構
    と、上記ラムの進退動作に同期して各素材移送用チャッ
    クを開閉させるチャック開閉機構と、上記各ダイの後方
    に配設されて該ダイと各パンチとにより圧造されたブラ
    ンクを上記ラムの進退動作に同期してそれぞれ各ダイ内
    から前方に押し出す複数のノックアウト手段とを備え、
    上記素材を粗から精に順次圧造加工して径の異なる複数
    の軸部を有する段付き軸を成形する多段式圧造成形機に
    おけるブランク受け渡し補助チャック装置であって、径
    の異なる複数の孔部を備えた所定のダイの軸芯前面位置
    と、該所定のダイの近傍との間で往復動可能に設けら
    れ、かつ上記所定のダイのノックアウト手段により該ダ
    イから排出される径の異なる複数の軸部を有する段付き
    ブランクを把持する補助チャックと、上記所定のダイの
    ノックアウト手段による段付きブランクの排出動作の途
    中において、上記段付きブランクの複数の軸部の少なく
    とも一つが上記所定のダイの対応する孔部と嵌め合い係
    合している状態から該段付きブランクが上記素材移送用
    チャックにより把持されるまでの間にわたり、上記補助
    チャックを上記所定のダイの近傍位置から該ダイの軸芯
    前面位置に移動させて、該補助チャックに段付きブラン
    クを一時的に把持させる補助チャック駆動手段とが備え
    られていることを特徴とする多段式圧造成形機における
    ブランク受け渡し補助チャック装置。
  2. 【請求項2】 素材移送用チャックが隣接するダイの軸
    芯前面間において円弧状に移動するようにチャックブロ
    ックが基台上に揺動部材を介して支持されていると共
    に、隣接するダイの軸芯前面間の中間部で、上記素材移
    送用チャックの円弧移動時に該チャックと干渉すること
    のない位置に補助チャックの退避位置が設定されてお
    り、かつ、補助チャックは、補助チャック駆動手段によ
    り所定のダイの前面位置と上記退避位置との間で往復動
    可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の多
    段式圧造成形機におけるブランク受け渡し補助チャック
    装置。
JP1996008174U 1996-07-25 1996-07-25 多段式圧造成形機におけるブランク受け渡し補助チャック装置 Expired - Lifetime JP3033987U (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6245675B1 (ja) * 2017-07-10 2017-12-13 旭サナック株式会社 圧造機

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