JP3033442B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP3033442B2
JP3033442B2 JP6157705A JP15770594A JP3033442B2 JP 3033442 B2 JP3033442 B2 JP 3033442B2 JP 6157705 A JP6157705 A JP 6157705A JP 15770594 A JP15770594 A JP 15770594A JP 3033442 B2 JP3033442 B2 JP 3033442B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、打楽器音等の
減衰音を合成する楽音合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然楽器の発音メカニズムをシミ
ュレートしたモデルを動作させ、これにより自然楽器の
楽音を合成する楽音合成装置が各種開発されている。こ
の種の楽音合成装置の内、打楽器音等の減衰音を合成す
るものとして、図8に示すように、加算器1、遅延回路
2およびフィルタ3を閉ループ状に接続した「遅延フィ
ードバック方式」による楽音合成装置が知られている。
【0003】この図において、遅延回路2は、シフトレ
ジスタによって構成されており、該シフトレジスタは、
加算器1から供給されるディジタル信号のビット数に対
応した段数のフリップフロップを備えている。各フリッ
プフロップには、サンプリング周期τs毎にクロックが
供給されるようになっている。すなわち、遅延回路2に
よる遅延時間τpは、サンプリング周期τsにシフトレ
ジスタ段数Nを乗じた時間Nτsに相当する。フィルタ
3は、閉ループ内を循環する信号に所望の減衰特性を付
与するものである。
【0004】このような楽音合成装置では、例えば、ノ
イズ信号のような多くの周波数成分を含んだアナログ信
号を、サンプリング周期τs毎にPCM符号化し、この
結果得られた時系列ディジタル信号を入力信号とする。
この入力信号は、加算器1に入力された後、遅延回路2
を介してフィルタ3に供給され、再び加算器1にフィー
ドバックされて閉ループ内を循環する。
【0005】ここで、フィルタ3の位相遅れを無視し、
入力信号が閉ループを一巡するのに要する時間は、遅延
時間τpに等しいものとする。この場合、上記閉ループ
の利得周波数特性は、基本周波数f1=1/τpの整数
倍の周波数において極大点を持つ特性となる。閉ループ
のゲインは、「1」より僅かに小さい値とされるため、
該ループを循環する信号は、次第に減衰する。そして、
この減衰過程で加算器1の出力を抽出し、これをD/A
変換すれば、基本波およびこれの整数倍の周波数を持つ
高調波を含む減衰信号となる。つまり、上記構成によれ
ば、実際の打弦時に発生する楽音と同様に、基本波とそ
の高調波とからなる信号が励起され、かつ、その振幅が
時間経過に伴って徐々に減衰する楽音信号となる訳であ
る。
【0006】ところで、図8に示す楽音合成装置にあっ
ては、遅延時間τpを上述したサンプリグ周期τsの整
数倍にしか設定することができない。このため、遅延時
間τpをサンプリング周期τsの整数倍からずれた値す
る必要がある場合には、図9に示すように、遅延回路2
とフィルタ3との間にオールパスフィルタ4を介挿す
る。この図に示すオールパスフィルタ4は、1次のディ
ジタルフィルタであり、加算器41,42と、乗算器4
3,44と、遅延回路45とから構成されている。な
お、遅延回路45は、前述した遅延回路2と同様に構成
されており、サンプリング周期τs毎にクロックが供給
される。
【0007】オールパスフィルタ4では、加算器41に
よって遅延回路2の出力信号に乗算器44の信号が加算
される。加算器41の出力は、遅延回路45を介して加
算器42に入力されると共に、乗算器43によって乗算
係数−αが乗算されて加算器42に入力される。また、
上記遅延回路45の出力は、乗算器44によって乗算係
数αが乗算されて加算器41に入力される。そして、加
算器42が遅延回路45の出力と乗算器43の出力とを
加算し、その結果をフィルタ3に供給するようになって
いる。なお、上述した乗算器43,44の乗算係数
「α」,「−α」としては、「−1」〜「1」の間の値
が用いられる。
【0008】上記構成によるオールパスフィルタ4は、
次式(1)に示す伝達関数H(z)で表現される。すな
わち、 H(z)=α+z-1/1+αz-1 …(1) ここで、上記(1)式で表現されるオールパスフィルタ
4の周波数特性F(ω)を求めると、周知のように、
(1)式における「z」をexp(−jωτs)に置き
換えることで、次式(2)で表わされる。 F(ω)=α+exp(−jωτs)/1+α・exp(−jωτs)…(2)
【0009】次に、オールパスフィルタ4の利得周波数
特性G(ω)は、上記(2)式の絶対値に等しくなるの
で、G(ω)=|F(ω)|=1となる。これにより、
オールパスフィルタ4の利得が、あらゆる周波数におい
て「1」となり、「オールパス」と呼ばれる所以となっ
ている。また、該フィルタ4の位相遅延P(ω)は、角
周波数ωがナイキスト角周波数ωn=2πfs/2(f
s:サンプリング周波数)に比べて十分低く、しかも位
相角ωτsが「0」に近い場合、次式(3)の近似式で
表現される。 P(ω)≒(1−α)ωτs/(1+α) …(3)
【0010】そして、このオールパスフィルタ4の等価
的な遅延時間τaは、次式(4)の関係で表わされる。 τa=P(ω)/ω …(4) したがって、この(4)式と上記(3)式とから近似的
な遅延時間τaを求めると、τa≒(1−α)τs/
(1+α)となる。すなわち、オールパスフィルタ4
は、前述した乗算係数αを適宜設定することにより、自
己の遅延時間τaを調整することが可能になっている。
【0011】結局、図9に示す構成要素1〜4からなる
遅延フィードバックループにおいては、全遅延時間τ=
τp+τaに応じた共振特性となる。以下、図10
(a)〜(c)を参照し、この閉ループの共振特性につ
いて説明する。まず、図10(a)は、遅延回路2(図
9参照)における周波数fと位相遅延θとの関係を示す
図である。この図に示すように、遅延回路2を通過する
信号の周波数fがf1(f1=1/τp)の場合に入力信
号と出力信号との位相差θは2π、f1の2倍である周
波数f2の場合に位相差θは4π、f1の3倍である周波
数f3の場合に位相差θは6πとなる。すなわち、この
図から明らかなように、遅延位相θは、周波数fに対し
て直線Aで示すようにリニアに変化し、かつ、周波数f
が基本周波数の整数倍である場合に入力信号と出力信号
とが同相になる。
【0012】同図(b)は、オールパスフィルタ4にお
ける周波数fと位相遅延θとの関係を示す図である。前
述の(3)式によれば、周波数fがナイキスト周波数1
/2τsより十分低い領域では、位相遅延θが周波数f
に対して略直線的に変化するとした。しかしながら、周
波数fをナイキスト周波数1/2τs付近にまで至る広
い周波数範囲にわたって変化させた場合、位相遅延θは
曲線Bに従って変化する。
【0013】したがって、この楽音合成装置の共振周波
数は、遅延回路2の位相遅延(図11(a)参照)と、
オールパスフィルタ4の位相遅延(図10(b)参照)
とを加算した閉ループ全体の位相遅延量(以下、単に遅
延量と略す)に対応する。ここで、図10(c)は、閉
ループ全体の遅延特性(曲線C参照)を示す図である。
この図に示すように、閉ループを一巡する信号の遅延位
相θは、オールパスフィルタ4が介挿されたことによ
り、前述した周波数f1,f2,f3,…から若干ずれた
周波数f1a,f2a,f3a,…においてその遅延位相θが
2π,4π,6π,…となる。
【0014】信号の周波数fがこれら周波数f1a
2a,f3a,…に一致する場合、閉ループを一巡しても
信号位相が変化せず、閉ループの利得が極大となり、共
振状態となる。また、周波数fと位相遅延θとの関係が
非線形であるため、周波数f1a,f2a,f3a,…は等間
隔とはならない。すなわち、オールパスフィルタ4を介
挿したことにより、基本周波数の整数倍でない高調波を
含んだ倍音構造の楽音を合成することが可能になる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の楽音合成装置においては、オールパスフィルタ4の
乗算係数αを変化させることで閉ループ内の遅延量が変
化し、これにより倍音が整数次からずれた非調和な楽音
を発生することが可能になる反面、基音のピッチをチュ
ーニング(調律)しても正しい調律に聞えないという弊
害がある。
【0016】つまり、非調和な成分を持つ楽音を発音す
る実際のピアノにおいては、倍音が整数次関係から微妙
にずれているため、基音を平均律など所定の調律特性に
基づく周波数に単純に合わせるのではなく、オクターブ
関係にある鍵から発する楽音との互いの倍音周波数関係
を見ながら、聴感上もっとも調和するように調律が行わ
れる。したがって、図9のような構成の楽音合成装置に
おいて、単純にループ遅延量を基音周波数に応じて設定
するだけでは実際のピアノで施されているような調律特
性での楽音ピッチ制御はできない。この発明は上述した
事情に鑑みてなされたもので、オクターブ関係にある楽
音に含まれる倍音周波数関係に基づいたピッチ制御を行
い、それによって実際のピアノのような聴感上、自然な
調律特性が得られる楽音合成装置を提供することを目的
にしている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明にあっては、少なくとも、入
力信号をサンプリング周期に応じて整数段遅延して出力
する遅延手段と、この遅延手段の出力を小数段遅延して
出力するオールパスフィルタとを備え、該オールパスフ
ィルタの出力を前記入力信号として帰還するようにした
遅延フィードバックループを形成する楽音合成装置にお
いて、発音すべき楽音の音高に対応した所定の遅延段数
を前記遅延手段に指示する手段であって、互いにオクタ
ーブ隔たる音階音について、一方の音階音の所定次数の
周波数成分の周波数と他方の音階音の前記所定次数より
低い次数の周波数成分の周波数とに基づいて前記遅延フ
ィードバックループ全体の遅延量を制御する遅延制御手
段を具備することを特徴としている。
【0018】また、請求項2に記載の発明によれば、少
なくとも、入力信号をサンプリング周期に応じて整数段
遅延して出力する遅延手段と、この遅延手段の出力を小
数段遅延して出力するオールパスフィルタとを備え、該
オールパスフィルタの出力を前記入力信号として帰還す
るようにした遅延フィードバックループを有する楽音合
成装置において、発音音域を、中央1オクターブ分に相
当する第1の音域と、この第1の音域より高い音高関係
にある第2の音域と、前記第1の音域より低い音高関係
にある第3の音域とに分け、前記第1の音域における各
音程の基音周波数および2次倍音周波数を算出すると共
に、当該第1の音域における各音程の基音周波数にそれ
ぞれ対応する第1の遅延時間を発生する第1の過程と、
前記第2の音域における各音程の基音周波数を、それぞ
れ前記第1の音域における各音程の2次倍音周波数に合
わせる一方、当該第2の音域における各音程の2次倍音
周波数にそれぞれ対応する第2の遅延時間を発生する第
2の過程と、前記第3の音域における各音程の2次倍音
周波数を、それぞれ前記第1の音域における各音程の基
音周波数に合わせる一方、当該第3の音域における各音
程の基音周波数にそれぞれ対応する第3の遅延時間を発
生する第3の過程とを具備し、音高指定操作に応じて前
記第1〜第3の遅延時間のいずれかを選択し、選択され
た遅延時間に対応して前記遅延手段の遅延段数を制御す
ることを特徴としている。
【0019】
【作用】本発明によれば、遅延制御手段が発音すべき楽
音の音高に対応した所定の遅延段数を前記遅延手段に指
示し、互いにオクターブ隔たる音階音について、一方の
音階音の所定次数の周波数成分の周波数と他方の音階音
の前記所定次数より低い次数の周波数成分の周波数と
基づいて遅延フィードバックループ全体の遅延量を制御
する。これにより、聴感的に自然なピッチ調律特性を得
ることが可能になる。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。 A.発明の概要 ここでは、実施例の説明に入る前に、本発明の概要につ
いて説明しておく。前述したように、実際のピアノで
は、オクターブ間の周波数成分の周波数関係に基づき調
律しており、本発明では、こうした手法を、オールパス
フィルタを備える「遅延フィードバック方式」の楽音合
成装置に適用することを要旨とするものである。以下、
こうした調律の概念について説明する。
【0021】いま、例えば、図1に示す鍵盤において、
基準とする1オクターブを「C3」〜「B3」とした場
合、まず最初に平均律に従って「C3」音の基音を求め
る。次に、この「C3」音の1オクターブ上にある「C
4」音では、その基音周波数が「C3」の2次倍音周波
数に一致するよう調律する。そして、求めた「C3」音
〜「C4」音の間が(1200+α)セントである場
合、半音間隔を(1200+α)/12セントと均等割
にして「C3」音〜「B3」音の音程を順次求める。
【0022】一方、「C3」音より1オクターブ低い
「C2」音では、その2次倍音周波数が「C3」音の基
音周波数に一致するようピッチ(音程)を合わせ、合わ
せた「C2」音〜「B2」音を上記と同様に均等割にし
て求める。このように、オクターブ間の「うなり」が最
小となるように調律するには、最初に基音を平均律から
求め、求めた基音より1オクターブ上の音程では、その
基音が1オクターブ下の音程の2次倍音に一致させ、さ
らに、求めた基音より1オクターブ下の音程では、その
2次倍音が1オクターブ上の基音に一致するようにす
る。
【0023】より具体的に説明すると、まず、鍵域全体
を中央1オクターブ鍵域と、その上側鍵域と、下側鍵域
とに分割する。次に、中央1オクターブ鍵域において、
基音のピッチを平均律に従って合わせると共に、その2
次倍音のピッチを求める。そして、 (a)上側鍵域においては、音程の低い鍵から順に、1
オクターブ下の音程の2次倍音のピッチに、基音のピッ
チを合わせると共に、その2次倍音のピッチを求めてお
く。 (b)下側鍵域においては、音程の高い鍵から順に、1
オクターブ上の音程の基音のピッチに、2次倍音を合わ
せる一方、その基音のピッチを求めておく。
【0024】こうした一連の調律操作を、前述した「遅
延フィードバックループ方式」の楽音合成装置で行う場
合を考察する。 (a)上側鍵域の場合;1オクターブ下の音程の2次倍
音ピッチpに基音ピッチを合わせた時のディレイ長D1
(p)は、次式(4)で表現できる。 D1(p)=Dtotal(p)−Dapf(p)−Dlpf(p) …(4) ここで、Dtotal(p)は、2次倍音のピッチpに対する総
ディレイ長である。また、Dapf(p)は、当該ピッチpに
対するオールパスフィルタ4(図9参照)のディレイ長
である。さらに、Dlpf(p)は、当該ピッチpに対するロ
ーパスフィルタ3(図9参照)のディレイ長である。 (b)下側鍵域の場合;1オクターブ上の音程の基音ピ
ッチpに2次倍音ピッチを合わせる時、ディレイ長D2
(p)は、次式(5)で表現できる。 D2(p)=2・Dtotal(p)−Dapf(p)−Dlpf(p) …(5)
【0025】したがって、例えば、基準鍵を「C3」音
とし、当該「C3」音の2次倍音周波数を求める場合、
この2次倍音周波数は、基音周波数の略2倍と推測し得
るので、基音ピッチの2倍の位置のディレイ長を上記
(5)式に基づいて算出し、「C3」音のディレイ長と
の誤差を求める。ここで、上記(5)式は単調減衰関数
であるから、ディレイ長誤差の符号はピッチ誤差の符号
と逆(つまり、ディレイ長が長ければ、正しいピッチよ
り低い)になり、これ故、正の係数を乗算してなる漸化
式を生成してこれを収束させれば良いことになる。
【0026】すなわち、上記関係を数式で表現すれば、 P[0]=2・C3pitch,Err[0]=D2(P[0])−D1(C
3pitch) P[1]=P[0]+a・Err[0],Err[1]=D2(P[1])−D1
(C3pitch) P[2]=P[1]+a・Err[1],Err[2]=D2(P[2])−D1
(C3pitch)となり、結局、次式(6),(7)で表
わされる漸化式を収束させることになる。 Err[N]=D2(P[N])−D1(C3pitch) …(6) P[N+1]=P[N]+a・Err[N] …(7)
【0027】B.実施例の構成 次に、上述した基本概念に基づき、オクターブ間の倍音
周波数関係に基づいて基音のピッチを調律し得る「遅延
フィードバック方式」の楽音合成装置について説明す
る。図2は一実施例による楽音合成装置の全体構成を示
すブロック図である。この図において、10は装置各部
を制御するCPUであり、その動作については後述す
る。11は、CPU10によって読み出される各種制御
プログラムが記憶されているROMである。12はCP
U10のワークエリアとして用いられ、各種レジスタ値
が一時記憶されるRAMである。
【0028】13は、各種パネルスイッチあるいは補助
操作子が配設される操作部である。この操作部13に
は、例えば、後述するオールパスフィルタ係数ACある
いはローパスフィルタ係数LC等を指定するスイッチ
や、音色を指定するスイッチ等の設定スイッチの他、発
生楽音の音高を連続的に制御するピッチベンダ等の補助
操作子が設けられている。なお、操作部13は、上記設
定スイッチあるいは補助操作子の操作に応じた操作情報
を生成し、これをシステムバスを介してCPU10に供
給する。14は演奏操作に応じてキーコードKC等の演
奏情報を発生する演奏操作子である。
【0029】15はディジタルシグナルプロセッサ(以
下、DSPと略す)である。このDSP15は、データ
メモリ15aから読み込んだマイクロプログラムに従っ
て演算処理を行い、楽音を合成するものであり、その動
作については、後述する。16はDSP15の出力Wを
アナログ信号に変換し、これを楽音信号MTとして出力
するD/A変換器である。
【0030】次に、図3は、DSP15の演算処理によ
って実現される楽音合成モデルを示すブロック図であ
る。この図において、図10に示す各部と共通する部分
には、同一の番号を付し、その説明を省略する。この図
に示す構成が図10に示す従来例と異なる点は、キーコ
ードKCに応じた遅延時間Dn(p)を発生する遅延時間制
御部21を設け、オクターブ間の倍音周波数関係に基づ
いて基音のピッチを調律するようにした点にある。つま
り、遅延時間制御部21では、倍音周波数関係に基づい
て遅延時間Dn(p)を遅延回路2に与えて基音のピッチを
調律するものである。
【0031】遅延時間制御部21は、キーコードKCを
読み出しアドレスとして遅延時間Dn(p)を出力するデー
タテーブルDTBLを備える。このデータテーブルDT
BLは、図4に示すように、例えば、「C3」音〜「B
3」音までの基準オクターブエリアERefと、その上鍵
域および下鍵域にそれぞれ対応するエリアE1,E2と
からなり、これらエリアに後述する調律動作に従って各
キーコードKC毎に遅延時間Dn(p)がストアされる。ま
た、こうしたデータテーブルDTBLは、音色毎に生成
される。
【0032】上記構成によれば、キーオン信号KONに
応じて励振波形発生部20から出力される励振波形(例
えば、ホワイトノイズ等)が、構成要素1〜4から形成
される遅延フィードバックループを循環し、ループ全体
の遅延量に応じた音高の減衰音が合成される。こうした
動作は、前述した従来例と基本的に同一であるが、ここ
で本願特有な点は、キーコードKCに対応した遅延時間
Dn(p)を遅延回路2に与えることによって、オクターブ
間の倍音周波数関係に基づいてループ全体の遅延量が設
定されることにある。
【0033】C.実施例の概略動作 次に、上記構成による実施例の概略動作について図5〜
図7を参照して説明する。まず、この実施例に電源が投
入されると、CPU10はROM11から制御プログラ
ムを読み出し、図5に示すメインルーチンを起動する。
メインルーチンが起動されると、CPU10の処理はス
テップSa1に進む。ステップSa1では、各種レジス
タを初期値にリセットすると共に、DSP15に対して
データメモリ15aに記憶される所定のマイクロプログ
ラムを取込むように指示する。また、このステップSa
1では、ROM11から読み出した音色データをRAM
12の所定エリアにセットする。
【0034】こうしてステップSa1において、イニシ
ャライズがなされると、CPU10の処理はステップS
a2に進む。ステップSa2では、操作部13および演
奏操作子14の操作を検出するため、各キーや設定スイ
ッチをスキャンし、それぞれの設定状態に応じたフラグ
をレジスタにセットする。次いで、ステップSa3に進
むと、データテーブルDTBL作成指示の有無を判断す
る。すなわち、図4に示したデータテーブルDTBLが
予め作成されている場合には、ここでの判断が「NO」
となってステップSa4に進み、一方、当該テーブルが
作成されていない場合には、判断結果が「YES」とな
り、ステップSa5に進む。つまり、換言すれば、調律
がなされている場合には、ステップSa4に進み、調律
がなされていない場合には、ステップSa5に進む。
【0035】そして、調律がなされている場合には、ス
テップSa4に進み、各種設定処理を行なう。ここで言
う各種設定とは、上述したステップSa2においてなさ
れる操作子スキャンに基づいて検出される操作部13お
よび演奏操作子14の設定状態に応じて音色番号を選択
したり、選択された音色番号に対応するローパスフィル
タ係数LCおよびオールパスフィルタ係数ACを設定す
る他、設定した音色に対応付けられたデータテーブルD
TBLをRAM12のワークエリアに展開する等の楽音
合成に係わる各種パラメータの設定処理を指す。
【0036】次いで、ステップSa6に進むと、押鍵発
音処理がなされ、キーオンイベントが発生した場合、演
奏操作に応じて生成されるキーコードKCに対応した楽
音の発生を指示する。続いて、次のステップSa7に進
むと、CPU10はその他の処理として、キーオフイベ
ントが発生した場合、キーオンと共に生成した楽音を所
定のレートで減衰消音させるキーオフパラメータを生成
する一方、例えば、リバーブやディレイ等の効果音を付
与する処理が行われ、この後、CPU10の処理は、再
びステップSa2に戻り、上述した動作を繰り返して楽
音合成を続ける。
【0037】D.データテーブルDTBL作成ルーチン
の動作 次に、本願発明の要旨に係わるデータテーブルDTBL
作成ルーチンの動作について図6〜図7を参照して説明
する。前述したように、演奏操作に先立って調律がなさ
れていない場合には、ステップSa3の判断結果が「Y
ES」となり、CPU10はステップSa5に進み、デ
ータテーブルDTBL作成ルーチンを実行する。当該ル
ーチンが実行されると、CPU10は、図6に示すステ
ップSb1に進み、基準オクターブ鍵(「C3」音〜
「B3」音)のピッチ周波数と対応遅延量とを計算す
る。以下、このステップSb1においてなされる処理に
ついて詳述する。
【0038】ステップSb1の処理 a.基準鍵の対応遅延量算出 ステップSb1に進むと、CPU10は、まず、基準鍵
である「C3」音のピッチ周波数PC3から遅延フィード
バックループ内の総遅延量Dtotal(PC3)を算出する(D
total(PC3)=1/PC3)。続いて、前述した(4)式に
基づき、対応遅延量DC3を算出する。すなわち、DC3=
Dtotal(PC3)−Dapf(PC3)−Dlpf(PC3)となる。
【0039】b.「C3」音の2倍音周波数算出 続いて、前述した漸化式、すなわち、Err[N]=D2(P
[N])−D1(PC3)およびP[N+1]=P[N]+a・Err[N]に
基づき、「C3」音の2倍音周波数を算出する。ここ
で、例えば、2倍音周波数がP2C3[Hz]に収束した場
合、その周波数をセント値CENTに換算する(CENT=100・l
og2(P2C3/PC3))。
【0040】c.基準オクターブ各鍵のピッチ周波数お
よび対応遅延量算出 こうして基準鍵の対応遅延量と2倍音周波数とが求めら
れると、CPU10は基準オクターブ各鍵(「C#3」
〜「B3」)のピッチ周波数および対応遅延量を求め
る。この場合、「C#3」音〜「B3」音の11音を、
下記算出式(8),(9)に従って順番(n=1〜11)に計
算する。 ピッチ周波数;Pn=PC3・2(n・cent/1200) …(8) 対応遅延量 ;Dtotal(Pn)=1/Pn ;Dn=Dtotal(Pn)−Dapf(Pn)−Dlpf(Pn) …(9) ここで、D1〜D11がそれぞれ「C#3」音〜「B3」音
の対応遅延量DC#3〜DB3に相当する。
【0041】d.基準オクターブ鍵の対応遅延量DC3〜
DB3の格納 次いで、この後、CPU10は、以上のようにして求め
た対応遅延量DC3〜DB3をデータテーブルDTBLの基
準オクターブエリアERef(図4参照)に順次ストア
し、次のステップSb2に処理を進める。
【0042】ステップSb2の処理 ステップSb2では、上側鍵域における対応遅延量を算
出する。以下の説明においては、上述した基準オクター
ブ鍵側の鍵を「kc」で表わし、これより1オクターブ上
の同音名鍵を「kc+」で表わすものとする。また、基準
鍵音の基本ピッチ周波数をPkc、第2倍音周波数をP2k
cと表現する。 a.第2倍音周波数P2kcの算出 第nオクターブの鍵kc(Cn,C#n,…,Bn)の12音
を基準にして、上方に隣接する第n+1オクターブの鍵
kc+(Cn+1,C#n+1,…,Bn+1の12音)を、Err[N]
=D2(P[N])−D1(Pkc)およびP[N+1]=P[N]+a・
Err[N]の関係から算出する。ここで、P[N]の収束値が
「P2kc」となる。
【0043】b.上方オクターブ各鍵の対応遅延量算出
Dkc+の算出 第n+1オクターブの鍵kc+(Cn+1,C#n+1,…,Bn+
1の12音)の各第2倍音周波数P2kcに基づき、対応す
る遅延量Dkc+を次式(10)に従って算出する。 対応遅延量;Dtotal(P2kc)=1/P2kc ;Dkc+=Dtotal(P2kc)−Dapf(P2kc)−Dlpf(P2kc) …(10) そして、こうして得られた対応遅延量Dkc+をデータテ
ーブルDTBLのエリアE2(図4参照)に順次ストア
し、次のステップSb3に処理を進める。
【0044】ステップSb3の処理 ステップSb3では、下側鍵域における対応遅延量を算
出する。以下の説明においては、上述した基準オクター
ブ鍵側の鍵を「kc」で表わし、これより1オクターブ下
の同音名鍵を「kc-」で表わすものとする。ここでは、
第nオクターブの鍵kc(Cn,C#n,…,Bn)の12音
を基準にして、上方に隣接する第n−1オクターブの鍵
kc-(Cn-1,C#n-1,…,Bn-1の12音)に関して対
応する遅延量Dkc-を次式(11)に従って算出する。 対応遅延量;Dtotal(Pkc)=1/Pkc ;Dkc-=2・Dtotal(Pkc)−Dapf(Pkc)−Dlpf(Pkc) …(11) そして、こうして得られた対応遅延量Dkc-をデータテ
ーブルDTBLのエリアE1(図4参照)に順次ストア
してこのルーチンを完了する。
【0045】このように、データテーブルDTBL作成
ルーチンでは、最初に基準鍵の基音を平均律から求め、
求めた基音より1オクターブ上の音程では、その基音が
1オクターブ下の音程の2次倍音に一致させ、さらに、
求めた基音より1オクターブ下の音程では、その2次倍
音が1オクターブ上の基音に一致させるように対応する
遅延量を求める。こうした一連の操作を図示すると、図
7(イ)〜(ハ)に示す形態となる。これにより、オク
ターブ間の倍音周波数関係に基づいた基音のピッチを調
律することが可能になる。なお、上述した実施例では、
基音と2次倍音との関係に着目した場合の一態様であ
り、例えば、基音よりも3次倍音が優勢でピッチ感に寄
与する音色などでは、本願発明の要旨を適用し、3次倍
音と6次倍音との聴感上の調和度が最大となるよう調律
すれば良い。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、遅延制御手段が発音す
べき楽音の音高に対応した所定の遅延段数を前記遅延手
段に指示し、互いにオクターブ隔たる音階音について、
一方の音階音の所定次数の周波数成分の周波数と他方の
音階音の前記所定次数より低い次数の周波数成分の周波
数とに基づいて遅延フィードバックループ全体の遅延量
を制御するので、オクターブ間の調和性の優れた基音の
ピッチを調律することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の概要を説明するための図である。
【図2】 本発明による一実施例の全体構成を示すブロ
ック図。
【図3】 同実施例におけるDSP15の機能モデルを
示すブロック図。
【図4】 同実施例におけるデータテーブルDTBLの
構成を示すメモリマップである。
【図5】 同実施例におけるメインルーチンの動作を示
すフローチャート。
【図6】 同実施例におけるデータテーブルDTBL作
成ルーチンの動作を示すフローチャート。
【図7】 同実施例におけるデータテーブルDTBL作
成ルーチンの動作態様を説明するための図である。
【図8】従来例を説明するための図。
【図9】従来例を説明するための図。
【図10】従来例を説明するための図。
【符号の説明】
2…遅延回路、3…ローパスフィルタ、4…オールパス
フィルタ、10…CPU、11…ROM、12…RA
M、15…DSP、 21…遅延時間制御部(遅延制御
手段)。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、入力信号をサンプリング周
    期に応じて整数段遅延して出力する遅延手段と、この遅
    延手段の出力を小数段遅延して出力するオールパスフィ
    ルタとを備え、該オールパスフィルタの出力を前記入力
    信号として帰還するようにした遅延フィードバックルー
    プを形成する楽音合成装置において、 発音すべき楽音の音高に対応した所定の遅延段数を前記
    遅延手段に指示する手段であって、互いにオクターブ隔
    たる音階音について、一方の音階音の所定次数の周波数
    成分の周波数と他方の音階音の前記所定次数より低い次
    数の周波数成分の周波数とに基づいて前記遅延フィード
    バックループ全体の遅延量を制御する遅延制御手段を具
    備することを特徴とする楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも、入力信号をサンプリング周
    期に応じて整数段遅延して出力する遅延手段と、この遅
    延手段の出力を小数段遅延して出力するオールパスフィ
    ルタとを備え、該オールパスフィルタの出力を前記入力
    信号として帰還するようにした遅延フィードバックルー
    プを有する楽音合成装置において、 発音音域を、中央1オクターブ分に相当する第1の音域
    と、この第1の音域より高い音高関係にある第2の音域
    と、前記第1の音域より低い音高関係にある第3の音域
    とに分け、前記第1の音域における各音程の基音周波数
    および2次倍音周波数を算出すると共に、当該第1の音
    域における各音程の基音周波数にそれぞれ対応する第1
    の遅延時間を発生する第1の過程と、 前記第2の音域における各音程の基音周波数を、それぞ
    れ前記第1の音域における各音程の2次倍音周波数に合
    わせる一方、当該第2の音域における各音程の2次倍音
    周波数にそれぞれ対応する第2の遅延時間を発生する第
    2の過程と、 前記第3の音域における各音程の2次倍音周波数を、そ
    れぞれ前記第1の音域における各音程の基音周波数に合
    わせる一方、当該第3の音域における各音程の基音周波
    数にそれぞれ対応する第3の遅延時間を発生する第3の
    過程とを具備し、 音高指定操作に応じて前記第1〜第3の遅延時間のいず
    れかを選択し、選択された遅延時間に対応して前記遅延
    手段の遅延段数を制御することを特徴とする楽音合成装
    置。
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