JP3033290B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排気ガス中の有害成分
を浄化する排気ガス浄化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンから排出される排気ガス中に
は、未燃焼ガス等の有害成分が含まれており、これらの
有害成分を浄化させるため、一般にエンジンの排気マフ
ラ内には排気ガス浄化装置が備えられる。一般的な排気
ガス浄化装置としては、例えば特開昭５２−１１９７１
４号公報や、実開平１−１３００１３号公報に記載され
ているもののように、表裏面に触媒成分を固着させた触
媒プレートを排気ガスの流れに沿わせて設置したものが
知られている。このような排気ガス浄化装置において、
排気ガスが触媒プレートに触れると、排気ガス中の有害
成分が触媒成分によって酸化反応し、排気ガスが浄化さ
れる。

【０００３】従来このような排気ガス浄化装置では、触
媒プレートに排気ガスの通気孔を打ち抜きによって貫通
孔状に設けるか、あるいは触媒プレートをパンチングプ
レートや格子状板等のような多孔状板によって製作し、
排気ガスが触媒プレートを通り抜けてその表裏にくまな
く接触できるようにしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、触媒プ
レートに上述のような貫通孔状の通気孔を設けたり、触
媒プレートをパンチングプレートなどで製作した場合、
排気ガスと触媒プレートとの接触率は向上するが、その
反面、触媒プレートの表面積が小さくなることにより触
媒成分の固着量が減少し、排気ガスの浄化作用が低下す
る傾向があった。

【０００５】ところが、触媒プレートの表面積を大きく
するために通気孔を小さくしたり、数を減少させたりす
ると、排気ガスが触媒プレートの表裏に効率良く流れ
ず、やはり排気ガスの浄化作用が低下してしまう。しか
も、このような打ち抜きの貫通孔や多数の小孔が触媒プ
レートの強度を弱めるため、触媒プレートが長期間の使
用に耐えられず排気マフラ全体の交換寿命を短くしてい
た。

【０００６】また、前述の２つの公報に記載されている
排気ガス浄化装置のように触媒プレートを重複設置した
ものは、装置全体が大型になるため、排気マフラの外径
の太い部分、即ち膨脹部のような比較的下流部にしか設
置ができない。故に、排気マフラの上流部であり高温な
排気ガスが流れるエキゾーストパイプの内部への設置は
不可能である。したがって、温度の高い排気ガスを触媒
プレートに接触させて積極的な酸化反応を起こさせるこ
とができず、装置の大きさの割りには効率の良い排気ガ
ス浄化が行えなかった。

【０００７】しかも、上記各排気ガス浄化装置では、重
複設置された触媒プレートの表裏に排気ガスをむらなく
接触させるために整流板等を設けなければならず、上記
整流板より排気ガスの流れが妨げられ、排気抵抗が増大
するという欠点もあった。

【０００８】本発明は上記問題点を考慮してなされたも
ので、コンパクトでエキゾーストパイプ内部への設置が
可能であり、かつ排気抵抗を増大させることなく高い排
気ガス浄化作用を得ることができ、なおかつ触媒プレー
トの強度が高くて長寿命な排気ガス浄化装置を提供する
ことを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る排気ガス浄化装置は、請求項１に記載
したように、エンジンの排気マフラ内部に触媒プレート
を設置した排気ガス浄化装置において、上記触媒プレー
トの面方向を排気ガスの流れに平行させるとともに、こ
の触媒プレートに設けられる排気ガスの通気孔を、２本
並ぶ切り込みの間を凸成形するように打ち出すことによ
って形成し、その打ち出し部の面方向を排気ガスの流れ
に平行させたことを特徴とする。

【００１０】また、本発明に係る排気ガス浄化装置は、
請求項２に記載したように、請求項１の構成において、
前記通気孔が複数設けられる場合に、前記打ち出し部の
打ち出し方向を凹凸交互にした。

【００１１】さらに、本発明に係る排気ガス浄化装置
は、請求項３に記載したように、請求項１の構成におい
て、前記通気孔を前記触媒プレートの長手方向に対し傾
斜させて形成した。

【００１２】

【作用】請求項１のように排気ガス浄化装置を構成する
ことにより、排気ガスが通気孔を通って触媒プレートの
表裏にくまなく接触でき、排気ガスと触媒プレートの接
触率が向上して高い排気ガス浄化作用が得られる。

【００１３】通気孔は貫通孔状に打ち抜かれることがな
く、この部分には凸成形された打ち出し部が残り、しか
もこの打ち出し部は延ばされて凸成形される前よりも表
面積が増大するため、触媒プレートの表面積は通気孔を
設けない場合よりも大きくなり、触媒成分の固着量が増
大して排気ガスの浄化作用が向上する。また、触媒プレ
ートの強度低下も起きない。

【００１４】その上、触媒プレートおよび打ち出し部
は、その面方向が排気ガスの流れに平行しているので排
気ガスの流れを妨げることがなく、排気抵抗が増大しな
い。しかも、単一の触媒プレートにより高い浄化作用が
得られるためコンパクトであり、径の細いエキゾースト
パイプ内部への設置も可能なので、触媒プレートを高温
な排気ガスと接触させて効率の良い排気ガス浄化を行う
ことができる。

【００１５】また、請求項２のように排気ガス浄化装置
を構成すれば、排気ガスの撹拌作用が高まり、排気ガス
を触媒プレートの表裏面との接触率がより向上するので
排気ガス浄化作用が一段と高められる。

【００１６】さらに、請求項３のように排気ガス浄化装
置を構成すれば、通気孔の開口面積と打ち出し部の表面
積が大きくなるため、排気ガスを触媒プレートとの接触
率が高まるとともに、触媒プレートへの触媒成分の固着
量が増大するので排気ガス浄化作用がさらに向上する。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。

【００１８】図１は、例えば自動二輪車用のエンジン１
に、本発明に係る排気ガス浄化装置を内蔵する排気マフ
ラ２が取り付けられた状態を示している。

【００１９】この排気マフラ２は、エンジン１の排気口
３に接続されるエキゾーストパイプ４にマフラボディ５
が連結され、マフラボディ５の後部から延びるテールパ
イプ６にサイレンサ７が接続されている。

【００２０】エキゾーストパイプ４は、図２に示すよう
に左右（又は上下）のパイプメンバ４ａおよび４ｂを溶
着した一般的な断面形状を有しており、排気ガス浄化装
置となる触媒プレート８が排気ガスの流れに平行に設置
されている。この触媒プレート８は、その表裏面に触媒
成分が溶射等によって固着されており、例えばエキゾー
ストパイプ４の接合部４ｃの近傍に溶着され、エキゾー
ストパイプ４の内部を２分割している。

【００２１】図３に示すように、触媒プレート８には複
数の通気孔９が設けられている。通気孔９は、平行に並
ぶ２本の切り込み１１の間を、例えばアーチ状に凸成形
するように打ち出すことによって形成されており、凸成
形された打ち出し部１２が通気孔９を覆う形となってい
る。この打ち出し部１２の面方向も排気ガスの流れに平
行している。

【００２２】以上の構成において、エンジン１の排気口
３から排出された排気ガスは、エキゾーストパイプ４内
を流れながら触媒プレート８の表裏面に接触し、排気ガ
ス中の未燃焼成分等の有害成分が触媒プレート８の表裏
面に固着された触媒成分と酸化反応して浄化される。こ
の時、通気孔９を通って排気ガスが触媒プレート８の表
裏面にくまなく接触できるため、排気ガスと触媒プレー
ト８の接触率が良く、高い排気ガス浄化作用が得られ
る。

【００２３】この排気ガス浄化装置では、従来穴状に打
ち抜かれていた通気孔９の部分に打ち出し部１２が残る
ため、通気孔９を設けたことにより触媒プレート８の表
面積が減少することはなく、むしろアーチ状に引き延ば
された打ち出し部１２の表面積が凸成形される前よりも
大きくなることから、触媒プレート８全体の表面積は通
気孔９を設ける以前よりも増大する。

【００２４】このため、従来の触媒プレートに比較して
触媒成分の固着量が大幅に増加し、排気ガスの浄化作用
が格段に向上する。打ち出し部１２は触媒プレート８と
共に排気ガスの流れに平行であるため、排気ガスの流れ
を妨げることはなく、排気マフラ２の排気効率が低下す
る懸念もない。また、触媒プレート８に打ち抜き穴や多
数の小孔が設けられることがないため、触媒プレート８
の強度低下が起きず、排気マフラ２の寿命が長くなる。

【００２５】さらに、単一の触媒プレート８を設けるだ
けで上述のような高い浄化作用が得られるため、非常に
コンパクトに構成することができ、本実施例のように径
の細いエキゾーストパイプ４の内部への設置が可能であ
る。よって、触媒プレート８を高温な排気ガスに接触さ
せて積極的な酸化反応を起こさせることができ、この点
でも排気ガスの浄化効率を高めることができる。

【００２６】なお、触媒プレート８の打ち出し部１２の
形状は図３のものに限らず、例えば図４に示すように複
数の打ち出し部１２の打ち出し方向を凹凸交互にした
り、図５に示すように通気孔９を触媒プレート８の長手
方向に対し傾斜させて形成してもよい。

【００２７】図４のように各打ち出し部１２の打ち出し
方向を凹凸交互にすることにより、排気ガスの撹拌作用
を高め、排気ガスを触媒プレート８の表裏面との接触率
をより向上させて排気ガス浄化作用を一段と高めること
ができる。

【００２８】また、図５のように通気孔９を触媒プレー
ト８の長手方向に対し傾斜させて形成すれば、図３に示
す触媒プレート８よりも通気孔９の開口面積および打ち
出し部１２の表面積が大きくなるため、排気ガスを触媒
プレート８との接触率を高めるとともに、触媒プレート
８への触媒成分の固着量を増大させて排気ガス浄化作用
をさらに向上させることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明に係る排気ガス浄
化装置は、エンジンの排気マフラ内部に触媒プレートを
設置した排気ガス浄化装置において、上記触媒プレート
の面方向を排気ガスの流れに平行させるとともに、この
触媒プレートに設けられる排気ガスの通気孔を、２本並
ぶ切り込みの間を凸成形するように打ち出すことによっ
て形成し、その打ち出し部の面方向を排気ガスの流れに
平行させたことを特徴とするものである。

【００３０】この構成によれば、従来では通気孔形成の
ために打ち抜かれていた部分が打ち出し部として通気孔
に隣接して残り、この打ち出し部の表面積が通気孔の形
成以前よりも増大するので、その分触媒プレートの表面
積を拡張して高い排気ガス浄化作用を得るとともに、触
媒プレートの強度低下を回避して排気マフラを長寿命化
することができる。

【００３１】また、触媒プレートと打ち出し部の面方向
を排気ガスの流れに平行にしたことにより、排気ガスの
流れが妨げられることを防止して排気効率の低下を避け
ることができる。

【００３２】さらに、装置全体がコンパクトに構成され
るのでエキゾーストパイプ内部への設置が可能になり、
エキゾーストパイプ内部の高温な排気ガスに触媒プレー
トを接触させて排気ガスの浄化効率を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る排気ガス浄化装置を備えた排気マ
フラが自動二輪車用のエンジンに取り付けられた状態を
示す図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図。

【図３】本発明の第一実施例を示す触媒プレートの斜視
図。

【図４】本発明の第二実施例を示す触媒プレートの斜視
図。

【図５】本発明の第三実施例を示す触媒プレートの斜視
図。

【符号の説明】

１ エンジン ２ 排気マフラ ３ 排気口 ４ エキゾーストパイプ ５ マフラボディ ６ テールパイプ ７ サイレンサ ８ 触媒プレート ９ 通気孔 １１ 切り込み １２ 打ち出し部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F01N 3/28 F01N 3/24

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンの排気マフラ内部に触媒プレー
   トを設置した排気ガス浄化装置において、上記触媒プレ
   ートの面方向を排気ガスの流れに平行させるとともに、
   この触媒プレートに設けられる排気ガスの通気孔を、２
   本並ぶ切り込みの間を凸成形するように打ち出すことに
   よって形成し、その打ち出し部の面方向を排気ガスの流
   れに平行させたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
2. 【請求項２】 前記通気孔が複数設けられる場合に、前
   記打ち出し部の打ち出し方向を凹凸交互にした請求項１
   に記載の排気ガス浄化装置。
3. 【請求項３】 前記通気孔を前記触媒プレートの長手方
   向に対し傾斜させて形成した請求項１に記載の排気ガス
   浄化装置。