JP3032221U - えびせんべいなどのえび肉入り食品 - Google Patents

えびせんべいなどのえび肉入り食品

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JP3032221U JP1996003418U JP341896U JP3032221U JP 3032221 U JP3032221 U JP 3032221U JP 1996003418 U JP1996003418 U JP 1996003418U JP 341896 U JP341896 U JP 341896U JP 3032221 U JP3032221 U JP 3032221U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 このえびの細肉片を小麦粉または澱粉でつな
いで成るえび肉入り食品であって、原料の生えびの風味
が十分にいかされ、しかも、食べるときに適正な破断荷
重を加えるのみで良好に破断でき、せんべいとして、美
味しい食感が得られる、所謂えびせんべいとして利用で
きるえび肉入り食品を提案する。 【解決手段】 えび肉の細肉片2を穀粉でつないで成っ
て、これら細肉片2、穀粉が加熱焼成されるえび肉入り
食品1において、この加熱焼成後の水分を4.0〜6.
5%に調整する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はえびせんべいなどのえび肉入り食品に係り、詳しくは、生えびその他 のえびを原料とし、このえびの細肉片を小麦粉または澱粉でつないで成るえび肉 入り食品であって、原料、なかでも生えびの風味が十分にいかされ、しかも、食 べるときに適正な破断荷重を加えるのみで良好に破断でき、せんべいとして、美 味しい食感が得られる、所謂えびせんべいとして利用できるえびせんべいなどの えび肉入り食品に係る。
【0002】 なお、ここで生えびとは、漁りたてのえびをそのまま用いるほか、保存のため に凍結したえびを使用の直前に解凍して生の状態で使用するもの、つまり、原料 として加熱などの調理処理が事前に行なわれていないものも含む。
【0003】
【従来の技術】
従来から三河湾や伊勢湾の沿岸には豊富に小えびなどのえびがとれる。
【0004】 その一つの利用法として所謂えびせんべいが普及している。これは小えびなど のえびと澱粉とを配合して成る生地を両面から焼成したものである。このえびせ んべいは、焼成後のえびが白色の澱粉生地に調和し、固有の風味、味を具えてい る。
【0005】 しかし、このせんべいはえびを原料としているのにも拘らず、焼き上げたとき の製品の管理がゆきとどいていないため、焼き上げたときに、えびの持つ味や風 味が十分にいかされていない。
【0006】 生えびを原料とし利用する場合は、その生えび入りの生地を焼上げる必要があ り、この焼き上げる間に生えびの持つ風味や味が失なわれ易い。更に、焼き上げ たときにも、その焼き上げ度合が悪いと、せんべいとしての食感が得られないほ か、生えびの持つ風味が十分にいかされない。
【0007】 要するに、高価な生えびを原料とするものであるにも拘らず、生えびの風味や 味は必ずしも十分にいかされていない。
【0008】 この点から、本考案者らは、先に、えびの落し身などの細肉片を小麦粉や澱粉 によってつながれて、これらの熱変性を途中にとどめて一体化されて成るえび肉 入り食品を提案した。(実公昭61−42400号公報参照)。
【0009】 このえび肉入り食品は、従来のえびせんべいとは異なった新規な形状を成し、 多量のえび肉を配合したものであって、えび肉の風味が相当いかされているもの である。
【0010】 また、多量のえび肉などの熱変性を途中にとどめているところから、えびの風 味や味が保持され、その後に乾燥などを行なうと、相当期間保存できる。更に、 この食品をその後において二次的に加熱焼成すると、途中にとどめた生えびの風 味をいかした食品になり、なかでも、えびせんべいとして、相当普及しかつ市販 されている。
【0011】 すなわち、このえび肉入り食品であると、えび肉片などの変性が途中にとどめ られ、途中にとどめた変性は、食べるときに再び焼くことにより、進行される。 つまり、焼き上げられた状態で、市場に出されることから、この種のえび肉入り 食品は、一般のえびせんべいと較べると、生えびの風味などが十分にいかされ、 なかでも、多量にえび肉を配合した利点もいかされている。
【0012】 しかし、この種のえび肉入り食品は、多量にえび肉が配合されていると云って も、多量の細肉片のうちで、内部に含まれる細肉片が適正に処理されていないた め、硬化の原因となり、ソフトな食感が与えられない。また、食べる前若しくは 市場に供する前にさらに二次的に焼成するときに、焼成度合の調整がきわめてむ づかしく、生えびの持つ風味や味が最大限に活かされないほか、せんべいとして 食感が得られないおそれがある。
【0013】
【考案が解決しようとする課題】
この考案は上記のところから成立したものであって、具体的には、えび肉など を多量、配合し、この多量のえび肉の風味や味が十分にいかされて、しかも、せ んべいとしての食感が十分に保持でき、しかも、ソフトな食感を与えるえびせん べいなどのえび肉入り食品を提案する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本考案に係るえび肉入り食品は、えび肉の細肉片を穀粉でつないで 成って、これら細肉片、穀粉が加熱焼成され、この加熱焼成後に水分が4.0〜 6.5%含まれて成ることを特徴とするえびせんべいなどのえび肉入り食品。
【0015】 これら手段たる構成ならびにその作用について、図面、主として、図1を通じ て詳しく説明すると、次の通りである。
【0016】 なお、図1は、本考案の一つの実施例に係るえび肉入り食品の一部を拡大して 示す説明図である。
【0017】 このえび肉入り食品1はえび肉の細肉片2を穀粉4でつないで成るものであっ て、このえび肉入り食品1の中には、細肉片2とその結合部3とから成る肉基地 が形成されている。また、穀粉4は、通常、小麦粉、澱粉、更に、米粉のうちの 一つか、または、これらの混合物であって、これら以外であっても、主成分とし て澱粉が含まれ、これが加熱調理の間に少なくとも一部が糊化(α化)し、加熱 調理の間に遊離するドリップなどが吸収されるものを含む。
【0018】 この肉基地は、えび肉の細肉片2とこれら細肉片2を結合する結合部3とから 構成され、この結合部3は、えび肉に含まれるタンパク質のうち、筋原繊維タン パク質の一部を塩ずりした塩ずり部分や、基質タンパク質を変性させた変性コラ −ゲンに筋形質タンパク質が関与して構成されている。
【0019】 また、塩ずり部分は、必ずしも細肉片2の一部が溶融して形成されるもののみ に限られるのでなく、別途に魚介類の肉質部を調製して、塩ずり肉(なお、必ず しも、食塩などを添加せずに単に混練したものも含む)をつくり、これを補充す ることもできる。
【0020】 えび肉入り食品1の中には細肉片2が含まれるが、細肉片2の間は結合部3に より結合させて肉基地を構成するのが好ましい。このように肉基地を形成すると 、製造中の加熱などの過程を通過しても、えび肉内のドリップなどの呈味成分が 保持される。
【0021】 すなわち、肉基地はえびの細肉片2ならびに結合部3を具え、えび肉の細肉片 2の間は、少なくとも表面の一部において結合部3が形成されている。肉基地は 、図1に示すように、えび肉の細肉片2は結合部3で立体的に結合され、立体構 造を成している。この立体構造の肉基地において細肉片2の間の間に空間が形成 され、この空間でドリップなどが保持される。
【0022】 えび肉の細肉片2は、えび肉の筋肉部分から成って、製造過程での加熱により 筋形質タンパク質などは、その性質を失なうこともあって、ほとんど大部分が筋 原繊維タンパク質から成っている。
【0023】 結合部3はえび肉の細肉片2の一部が関与して形成され、なかでも、ほとんど の結合部3が主成分の筋原繊維タンパク質の一部、なかでも、細肉片2の表面部 分に露出する筋原繊維タンパク質の一部に塩分を含む水溶液が関与して塩ずりが 形成され、この塩ずりゾルがゲル化され構成される。
【0024】 なお、結合部3は、塩ずりゾルをゲル化して成る結合部3から構成する一方、 一部の結合部3はコラ−ゲンなどの基質タンパク質を熱変性させた変性コラ−ゲ ンから構成することもでき、この変性コラ−ゲンが結合部3の一部に組込まれて いることもある。
【0025】 更に、すでに説明した通り、別途調製した塩ずりによって補充することもできる 。
【0026】 このような構造の肉基地を形成すると、肉基地そのものは、立体構造を成し、 一つの骨格を形成するため、えび肉の持つ風味や味が保持される。なかでも、結 合部は、カマボコと同様に塩ずりを利用して形成されるが、カマボコと相違して 、えび肉や魚介類などの肉質部を構成する全てのタンパク質をことごとく利用す ることから、所謂足がほとんど形成されない。このため、内部に肉基地を形成し ても、えび肉入り食品としては、ソフトな食感を持ち、更に、えび肉の筋肉のほ とんどの構成部分を利用して製造するため、えび肉の風味や味を十分にいかすこ とができる。
【0027】 更に詳しく説明すると、えびの可食部分のうち食品に使用されるのは、脱殻さ れたのちの筋肉部分である。筋肉部分は、伸筋と屈筋とが対をなして構成される 筋肉束が複雑に組み合わされ、この筋肉部分から細肉片2が構成されている。
【0028】 この筋肉束は筋肉タンパク質から成って、筋肉タンパク質は、それぞれ各種溶 液に対する溶解度に差を持っている。このところを利用し、製造過程でも研究過 程でも、細胞内のものの筋形質タンパク質(えび肉では通常20〜30%)なら びに筋原繊維タンパク質(えび肉では通常60〜70%)と細胞外のもののコラ −ゲン、エラスチン、コネクチンなどの基質タンパク質とに分け、主成分の筋原 繊維タンパク質を利用する食品としてカマボコが知られている。
【0029】 したがって、カマボコの製造時には、魚介類の筋肉部分を非常に細かく切断し て微細な肉片化し、これら微細な肉片のタンパク質の中から筋原繊維タンパク質 を主として利用する。このために、微細な肉片の水洗いをくり返し、水に溶解性 を持つ筋形質タンパク質を水溶液中に溶解させて除去している。
【0030】 この理由は、カマボコの所謂足の形成のときに筋形質タンパク質が介在すると 、筋形質タンパク質によって足の形成が阻害されるからである。
【0031】 このように筋形質タンパク質を除去して分離抽出された筋原繊維タンパク中に はアクトミオシンなどが含まれる。アクトミオシンは、塩溶性タンパク質画分と も云われる通り、塩溶液に溶解し、塩ずりによってアクトミオシンゾルを形成す る。
【0032】 アクトミオシンゾルは非常にゲル化し易く、仮りに室温で徐々に凝固ゲル化し 、つまり、すわり、三次元の網目構造を形成し、弾力性にとんだ構造のカマボコ 特有の“足”が形成される。
【0033】 これに対し、えびを原料とするえび肉入り食品は、なかでも、生えびの風味や 味をことごとく活かすために、殻部分や頭部を除いて可食部分を全て利用する。 すなわち、筋形質タンパク質を水洗いなどで除去すると、このときに多量のドリ ップが流出し、風味が大巾に失なわれる。
【0034】 本考案においても、えび肉のタンパク質をことごとく利用し、筋形質タンパク 質を除去することなく残し、筋形質タンパク質を利用して結合部3を形成する。 すなわち、えび肉の細肉片2において表面に筋原繊維タンパク質を露出させ、そ の一部で塩ずりを形成する。この塩ずりによって結合部3を形成するときに、筋 形質タンパク質を関与させ、足を実質的に形成することなく弾力性を持たせずに ソフトな結合部3を構成する。このように結合部3を形成すると、肉基地そのも のが硬くなく弾力性も持たないことから、えび肉入り食品そのものはソフトなも のとなる。
【0035】 更に詳しく説明すると、筋形質タンパク質は、水溶性タンパク質と云われ、上 記の通り、水さらしを繰り返すことによって相当除去される。
【0036】 この筋形質タンパク質はほとんどが解糖系に属する酵素であるが、筋形質タン パク質がアクトミオシンゾルのゲル化による足の形成時に存在すると、これを阻 害する方向に作用し、足の形成の度合で製品の良否が決まるカマボコなどの練り 製品の製造ではなるべく含まないことが要請され、水洗いを数回にわたって繰り 返すことによって除去している。
【0037】 しかし、高価な生えびなどを原料とする場合には、筋形質タンパク質を予め水 洗いなどによって除去すると、これにともなって、エビ肉に含まれる呈味成分や その他の風味までも流出し、生えびの本来の風味が失なわれる。
【0038】 このため、本考案では、生えびを原料とすることもあって、筋形質タンパク質 を除去せずにえび肉をそのまま利用し、なかでも、筋原繊維タンパク質による足 の形成を阻害するという性質を積極的に利用する。
【0039】 このところから、本考案においては、足の形成の阻害の機構について研究した ところ、足形成の阻害は、加熱時に筋形質タンパク質とアクトミオシンとが凝集 して起こる足の形成を阻害すること、一旦形成された足の戻りに筋形質タンパク 質の酵素が関与して戻りを促進することであった。
【0040】 このようなところから、えび肉の細肉片2間を結合する結合部3の形成を適度 におさえて、この適度な結合部3の形成において筋形質タンパク質を関与させる と、弾力性を示す足が実質的形成されない結合部3が得られ、肉基地1そのもの は弾力性がなく柔らかくソフトな食感を持つものとなる。
【0041】 更に詳しく説明すると、筋原繊維タンパク質で塩ずりを形成する場合、塩ずり を適度におさえても、この塩ずりによって結合部を形成する限りは、結合部には 、程度の差があっても、カマボコなどのような足が形成され、加熱によってアク トミオシンゲルの網目構造が形成される。したがって、結合部を最小限におさえ ても、結合部によって、食品そのものの中に局部的に硬い異物が存在し、食感的 に云ってソフトな製品となり得ない。
【0042】 このところから、結合部の形成する塩ずりは、えび肉の細肉片2の表面に一部 にとどめ、一部にとどめられた塩ずりのゲル化又は加熱凝固による結合部3の形 成の際に、筋形質タンパク質を関与させて、網目構造の足の形成は避ける。また 、結合部形成のときに足が形成されても、筋形質タンパク質による加熱時に起こ る足の戻りを促進して、足を消失させ、ソフトな食感を与える結合部3を形成す る。
【0043】 このように結合部がソフトであり、この結合部に結合された肉基地を構成する のには、えび肉片中の各タンパク質を適度に分離し、各タンパク質の機能を十分 に発揮させる必要がある。
【0044】 このため、本考案においては、予め、えび肉の細肉片で含まれる各タンパク質 を適度に分離し、なかでも、塩ずりの形成に関与する筋原繊維タンパク質を細肉 片の表面に露出させる。更に、このように表面に露出させた筋原繊維タンパク質 には適度に分離させた筋形質タンパク質を関与させ易くする。なお、結合部の一 部を形成する基質タンパク質も細肉片の表面に露出させておく。
【0045】 また、えびの細肉片で適度に各タンパク質を分離をはかるのには、通常、次の ように調製するのが好ましい。
【0046】 例えば、生えびから頭部を除外し、外殻を除去し、えび肉とする。えび肉は細 肉片にする一方、その中に含まれる各タンパク質、すなわち、筋形質タンパク質 、筋原繊維タンパク質ならびに基質タンパク質をある程度分離させ、しかも、細 肉片の表面の少なくとも一部に露出した筋原繊維タンパク質の一部をある程度塩 ずりし、塩ずりゾルを形成する。
【0047】 えび肉片において全体にわたって各種タンパク質に分離する必要がない。つま り、えび肉の細肉片の一部、なかでも、表面あるいは表面の一部に分離露出させ る程度に分離する。
【0048】 このような分離露出を行なうには、細肉片に対してある程度加圧する。このよ うな機械的手段によると、細肉片の表面またはその一部において各タンパク質が 分かれ、分かれた各タンパク質が露出する状態になり、加圧などの機械的手段が 好適である。
【0049】 なお、このように機械的な加圧によって分離する場合は、えび肉を細片化する ときに加圧力を適度、例えば0.2〜3kg/cm2程度に調整すると、細片化 と併せて表面における各タンパク質の分離もはかることもできる。
【0050】 続いて、このように表面の一部の組織を破壊し分離した細肉片は、所望に応じ て、穀粉や添加物を混合し、少なくとも1回、通常は2回加熱して、焼き上げる 。
【0051】 なお、添加物としては、塩、砂糖、オリゴ糖、グリシン、アミノ酸類、しょう 油、みそ、ソ−ス、その他の調味料、からし、コショウ、サンショ、ハ−ブ類、 その他の香辛料、香料、乳化剤、増粘剤、油脂、色素、酸味料、酸化防止剤、え び肉呈味成分を含むドリップなどが添加される。乳化剤としては例えばショ糖リ ン酸エステル、増粘剤としてはキチン、キトサン、グァ−ガム、油脂としてはサ ラダ油、トコフェロ−ル、酸味料としてクエン酸、アジピン酸、酸化防止剤とし てビタミンC含有物が好適である。
【0052】 しかし、少なくとも1回焼上げる前に、とくに、直前若しくは僅かの時間差、 30分以内程度でのときに、例えば、食塩などを含む水溶性中に浸漬する。この 溶解によって一部分離されたタンパク質、例えば、筋原繊維タンパク質のうちの 一部のアクトミオシンを溶解し、局部的な塩ずりが行なわれる。すなわち、表面 に露出する筋原繊維タンパク質に水溶液中の食塩が関与し、この関与の程度が大 きいと、過剰の塩ずりが形成され、結合部が適度に形成されない。このため、加 圧による分離後に時間をある程度(10分間以上)とって分離を安定化し、この 状態において、水溶液中の食塩の関与する時間は、上記の通りに適正範囲にする と、細肉片表面に形成される塩ずりの量を適正範囲に調整できる。
【0053】 なお、基質タンパク質は分離されてそのまま細肉片の表面に残っており、この 基質タンパク質は、塩ずりによって結合部を形成するときに関与し、それ自体も 加熱によって変性し、例えば変性コラ−ゲンとして結合部を構成する。
【0054】 また、塩ずりによる結合部の加熱による形成には、すでに示した通り、その中 において分離された筋形質タンパク質が関与するため、足の形成が阻害され、足 の形成があっても僅かであり、僅かの足は筋形質タンパク質中の酵素によって戻 されるため、結合部そのものは弾力性が少なく、食べるときに違和感なくソフト に食べられる。
【0055】 以上のように、えび肉入り食品1の中にえび肉の細肉片を結合部で結合してな る肉基地を形成すると、この肉基地によって、えび肉そのものの保有する呈味成 分などのドリップは、焼成時の加熱をうけても、保持され、えび肉としての風味 が十分に生かされ、更に、これら肉基地の間に、小麦粉や穀粉などが介在すると 、ドリップなどは保持され、糊化にともなっての膨脹により、全体としてソフト な食感を有するえび肉入り食品が得られる。
【0056】 以上の通り、細肉片と結合部とによって肉基地を形成し、それによってドリッ プなどを保持する。このような保持は細肉片そのものの組織のみによっては達成 できない。
【0057】 一般に、魚介類の肉をそのままあるいは単にすりつぶして加熱すると、多量の ドリップが発生し、これが遊離して魚介類のタンパク質は凝固する。このため、 魚介類の調理には、これらのドリップ、とくに、風味や呈味成分が多く含まれる ことから、ドリップを逃がすことなく調理することが望まれる。
【0058】 この点から、魚介類の調理では魚介類の肉片をはじめに強火で加熱して表面を 強く熱変性させ、保有するドリップなどの飛散を防止することが行なわれ、この ような調理方法は職人技の一つであるとも云われている。
【0059】 えび肉においても、約80%は水分を含めたドリップであり、ドリップの大部 分は、例えば、筋繊維間、筋原繊維間、およびミオフィラメント(ミオシンフィ ラメントとアクチンフィラメント)間の毛細管力によって保持されている。この 状態でそのまま加熱すると、繊維組織は破壊して変性凝固して保水機能を失ない 、これにより、開放されたドリップは遊離する。
【0060】 したがって、従来例のえびせんべいのように、高価な生えびを原料としても、 その細肉片をそのまま加熱したのでは遊離したドリップを小麦粉や澱粉などの穀 粉に吸収させても、加熱された細肉片からは相当味や風味が失なわれる。このた め、えび肉の風味をそのまま生かすためには、これらのドリップをえびの細肉片 そのものからも逃がさないことが必要である。このようにしないと、本質的にえ びの特性をいかしたえび肉入り食品は得られない。
【0061】 このようにドリップ保持のためには、どうしても、えび肉の細肉片の組織その ものではなく、これに適合した肉基地がえび肉入り食品の中に形成されているこ とが好ましい。
【0062】 えび肉の肉基地によってドリップなどが保持されるのであれば、それに介在す る穀粉などの吸収によって遊離ドリップを最大限保持できるから、生えびとして の特性や風味が十分に保持できる。
【0063】 すなわち、細肉片が結合部によって立体的にからみ合う状態で結合されて肉基 地が形成されていると、それによって遊離したドリップなどは強固に保持され、 加熱による破壊や変性をうけても、ドリップなどは強固に保持される。更に、加 熱や乾燥などをうけても、ドリップ中の水分が蒸発しても、その中の呈味成分は 肉基地中に浸透固定され、支障なく風味が保持される。
【0064】 また、以上の通り構成されるえび肉入り食品は、焼き上げられた状態で水分4 .0〜6.5%に調整する必要がある。
【0065】 えび肉入り食品は、その中に含まれる水分を適正範囲に調整するのは、焼成度 合をみるうえにきわめて重要である。水分量が適正範囲をはずれると、せんべい としての食感、要するに、食べたときにパリッとした食感が得られない。このよ うな食感はせんべいとしての特徴の一つであり、味や風味に影響を与える。
【0066】 すなわち、食品の食感は、従前では官能的評価で行なわれていたが、歯でかみ 切ったときの物理的な数値で評価すると、物理的数値として破断強度を用いて評 価できる。
【0067】 破断試験ではプランジャ−などを試料を用いて押込んで破断するまでの応力変 化を測定し、この破断したときの破断荷重とプランジャ−の移動量、つまり、試 料の変形又は歪とから破断特性を評価できる。この方法によると、カマボコ、ソ −セ−ジ、つみれなどの破断強度が測定され、この破断強度と官能評価の結果と の相関結果を求め、これらから総合的に判断できる。
【0068】 この観点から、本考案においても、せんべいなどにおいてもパリッとした食感 が破断荷重とともに変形量を配慮すると、数値的に求められることに着目し、破 断試験を行なった。この結果、変形がつきまとわずに適正範囲の破断強度で破断 するときにせんべいらしい食感を与えることが認識された。
【0069】 この認識にもとずいて、焼き上げられた食品と破断強度ならびに変形との関係 を検討したところ、ヒトが食べるときの歯に対する負担を配慮すると、破断荷重 は757×10gf程度以下でなければならない。このような値でないと、せん べいとしての味、風味、食感を与えない。
【0070】 これに反し、あまり破断荷重が小さいと、せんべいとしてのパリッとした食感 が与えられにくくなり、これを官能評価の結果でみると、50×10gf程度以 上の破断荷重が必要である。
【0071】 このような範囲の破断特性であって、変形度合はなるべく変形の度合を小さく し、一度において破断できる。これに反し、数回にわたって変形に応じて破断点 があらわれることはあまりパリッとした食感が与えられないことがある。
【0072】 このようなところから、焼き上げたときに水分は4.0〜6.5%程度におさ えるのが必要である。
【0073】 水分4.0%以下にすることは、焼き上げの状態が相当進行しないとこの程度 までえび肉入り食品中の水分を下げることがむづかしい。とくに、えび肉基地の 結合水まで奪うことになり、かえって生えびを使ったときの利点がいかせないこ とになる。
【0074】 これに対し、水分が6.5%を超えると、結合水以外に相当に自由水が残る。 その自由水によって中に含まれる小麦粉や澱粉などの穀粉の戻りがあり、せんべ いが湿り保存性、食感、味、風味が低下するところから上記の適正範囲が好まし い。
【0075】 水分量を上記の通りに適正範囲にとどめるとともに、水分活性0.55〜0. 1程度に調整する。
【0076】 水分活性は一般に食品の貯蔵、乾燥などの観点から用いられている特性値であ る。水分活性はある温度における純水の飽和蒸気圧と同一温度における食品の水 蒸気圧との比で与えられている。
【0077】 従って、水分活性そのものが雰囲気中の湿度との関連で貯蔵、乾燥が論じられ ている。
【0078】 水分活性は、食品中に含まれる食品成分との関連もする。
【0079】 本考案においては、食品の貯蔵、乾燥という観点ではなく、とくに、食品中の 各種食品成分、なかでも、えび肉そのものからの呈味成分や風味などの関連をみ るうえにおいても水分活性はきわめて重要であることに着目した。
【0080】 このようなところから、水分を適正範囲に調整するほか、水分活性においても 0.55〜0.1程度の範囲に調整する。このような範囲の水分活性であると、 生えびを使ったときに生えび中からでる際のドリップなどに含まれる呈味成分は ほとんど保持でき、きわめておいしい食品が得られる。
【0081】 この理由は生えび成分をいかすためには、調味料として、塩、砂糖、オリゴ糖 、アミノ酸類、しょう油、みそ、ソ−スなどを入れてもこれらはえび肉からあら われる呈味成分と混合しておいしい食感を与える。これらの食品成分が水分活性 にある程度影響するために、これらを一体として取扱う。この点から云うと、調 味料として食塩、砂糖その他の調味料を添加しても水分活性がこの範囲をはずれ ると良好な味や保存性がなかなか得られない。
【0082】 なお、小麦粉や、澱粉のほかに、米粉、とうもろこし粉、大豆粉、小豆粉その 他の殻粉も利用でき、更に、添加物としては、すでに示したもののほか、ゴマ、 ア−モンド、ピ−ナッツ、その他の食品材料もドリップなどの吸収能力のないも のでも添加配合できる。
【0083】 なお、上記のところでは、肉基地が構成されているえび肉入り食品についてそ の水分量、水分活性の適正範囲を示した。しかし、ドリップなどの保持のために 肉基地が形成されているのは好ましいが、必ずしも、肉基地が構成されていなく とも、細肉片が澱粉や小麦粉などの穀粉でつなぎ、細肉片の周囲が澱粉や小麦粉 などの穀粉で包囲されている食品であっても、水分量、水分活性を上記の範囲内 に調整すると、細肉片の結合水や自由水が保存でき、食感、ソフトさなどで良好 な結果が得られる。
【0084】
【実施例】
実施例1. まず、魚獲後5時間を経て陸上げされた知多半島産生えびを殻のついたままで 洗浄し、生えびに付着するゴミなどの介在物を除去した。
【0085】 その後、生えびから頭部を手作業で除去し、生えびから殻を除去してから、こ のえび肉を長さ0.5〜2cm範囲の細肉片にすると共に、加圧力0.3kg/ cm2〜0.8kg/cm2を加えた。
【0086】 この切断ならびに加圧にともなって発生するドリップなどは全て回収し、細肉 片と合体させた。
【0087】 次に、細肉片は食塩ならびに砂糖を含む水溶液中に浸漬し、その後、僅かの時 間差をおいて直ちに澱粉10重量%ならびに小麦粉5%程度添加し、撹拌混合し て、生地を調製した。
【0088】 生地調製後は速やかに生地を焼成機に送って上下の焼板の間にはさんで20秒 〜3分間に生地の芯温90〜97℃の条件で加熱した。
【0089】 この加熱焼成後の生地は水分40〜70%前後であって、それをその後ゆっく りと調湿雰囲気中で乾燥し、水分は10%前後まで低減させた。
【0090】 その後、乾燥後の生地は芯温で90〜97℃の条件で加熱し焼き上げ、えびせ んべいとしてえび肉入り食品を得た。
【0091】 これら肉入り食品について、焼き上げ時間を変化させて、水分量3.5〜3. 9%、4.2〜5.1%、6.6〜7.1%の食品を得た。
【0092】 水分4.2〜5.1%のものは破断荷重が631〜200×10gfであって 、歪が22〜40%であって、食感がパリッとしたものであった。
【0093】 水分3.5〜3.9%のものでは破断荷重は上記のものとほとんど同じであっ たが、歪が15〜50%にバラツキ、硬い食感であった。
【0094】 また、水分6.6〜7.1%のものでは歪が20〜80%と広範囲にわたり、 水分が多いところから、破断しにくかった。
【0095】 なお、得られたえび肉入り食品のうち、水分4.2〜5.1%のものを通常の 光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、図1に示すように、加熱時に細肉片 は凝縮され、この形状の細肉片が主として塩ずりを焼成した結合部により結合さ れた構造になっていた。
【0096】 また、結合部のみを電子顕微鏡(4000倍)で観察したところ、結合部には 足の形成を示す網目構造はみられなかった。
【0097】 実施例2. 実施例1で得られたえび肉入り食品のうちで水分4.2〜5.1%のものにつ いて水分活性をしらべたところ、0.315〜0.420であった。
【0098】 これらえび肉入り食品について、100人の消費者を集めて官能テストを試み た。
【0099】 この結果、100人のうちの98人が全く違和感なくソフトな感触を持ってえ びの味を持っていることを確かめた。
【0100】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、本考案はえびせんべいなどのえび肉入り食品であっ て、この食品は、えび肉の細肉片を小麦粉または澱粉などの穀粉でつなぎこの加 熱変性後の水分が4.0〜6.5であって、水分活性も0.55〜0.1に調整 して成るものである。
【0101】 したがって、このえび肉入り食品は、食べるときに適度な力を加えるのみで一 度に破断でき、せんべいとしての食感を持つ。更に、えび肉の細肉片の間は結合 部により結合され、結合部には網目構造の足などがほとんど形成されないため、 原料の生えびの風味が十分にいかされ、かつ呈味成分が保持され、ソフトな食感 を与え、きわめて美味しい生えびの風味をいかしたえびせんべいとして利用でき る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一つの実施例に係るえび肉入り食品の
組織の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 えび肉入り食品 2 細肉片 3 結合部 4 穀粉
【手続補正書】
【提出日】平成8年7月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 坂 英臣 愛知県東海市荒尾町甚造15番地1 株式会 社 坂角総本舗内 (72)考案者 坂 泰助 愛知県東海市荒尾町甚造15番地1 株式会 社 坂角総本舗内

Claims (8)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 えび肉の細肉片を穀粉でつないで成っ
    て、これら細肉片、穀粉が加熱焼成され、この加熱焼成
    後に水分が4.0〜6.5%含まれて成ることを特徴と
    するえびせんべいなどのえび肉入り食品。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のえびせんべいなどのえび
    肉入り食品において、加熱焼成後に水分が4.0〜6.
    5%が含まれ、水分活性が0.55〜0.1であること
    を特徴とする請求項1記載のえびせんべいなどのえび肉
    入り食品。
  3. 【請求項3】 前記えび肉の細肉片の間に、この細肉片
    の一部を溶融熱凝固してなる結合部を介在させ、この結
    合部により、前記えび肉の細肉片間が結合されてなるこ
    とを特徴とする請求項1記載のえび肉入り食品。
  4. 【請求項4】 前記穀粉は小麦粉、澱粉または米粉のう
    ちの少なくとも一種から成ることを特徴とする請求項
    1、2または3記載のえびせんべいなどのえび肉入り食
    品。
  5. 【請求項5】 前記えび肉入り食品において、所望に応
    じて、塩、砂糖、オリゴ糖、グリシン、アミノ酸類、し
    ょう油、みそ、ソ−スその他の調味料、からし、コショ
    ウ、サンショ、ハ−ブ類その他の香辛料、香料、乳化
    剤、増粘剤、油脂、色素、酸味料、酸化防止剤、更に、
    えび肉呈味成分を含むドリップが含まれてなることを特
    徴とする請求項1、2または3記載のえびせんべいなど
    のえび肉入り食品。
  6. 【請求項6】 前記えび肉の細肉片は生えびの頭部なら
    びに殻を除去してから切断した細肉片からなることを特
    徴とするえびせんべいなどの請求項1、2または3記載
    のえび肉入り食品。
  7. 【請求項7】 前記えび肉基地内の前記結合部の一部ま
    たは全部は細肉片の表面の一部に露出する筋原繊維タン
    パク質を塩ずりして溶解し熱凝固して構成して成ること
    を特徴とする請求項1、2または3記載のえびせんべい
    などのえび肉入り食品。
  8. 【請求項8】 前記えび肉基地内の前記結合部の一部は
    細肉片に含まれる基質タンパク質を変性させて成るもの
    から構成することを特徴とする請求項1、2または3記
    載のえびせんべいなどのえび肉入り食品。
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