JP3032094B2 - 自動車のための調節可能なステアリングコラム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、請求項１の上位概念に
記載した自動車のための調節可能なステアリングコラム
に関する。

【０００２】

【従来技術】このようなステアリングコラムはドイツ国
特許第３９２０７８３号明細書によって公知である。ス
テアリングホィールは高さ方向にも長手軸線方向にも調
節可能である。高さ調整の際のステアリングコラムの傾
動点は套管内で回動可能でかつ軸方向に不動に支承され
たステアリング軸の下方端部に位置している。この公知
の構造では、調節されたステアリングホィール位置を確
保するために套管に、ステアリング軸線の方向に延びる
案内スリットを備えた２つの薄板が設けられている。こ
の場合、薄板はそれぞれ、シャーシに対して不動の保持
部分の１つの壁部に当接している。この保持部分は両壁
部に同様に案内スリットを有しているが、この案内スリ
ットの長手方向は、套管における薄板の案内スリットの
長手方向に対して直角に延びている。したがって套管は
その長手方向にも、これに対して横方向にも調節可能で
ある。調節された位置をロックするための緊締機構は、
右ねじと左ねじで互いに螺合して、套管における不動な
薄板とシャーシにおける保持部分の壁部とを押し合わせ
て摩擦接続で付着させる、作動可能なねじ部分から成っ
ている。自動車の正面衝突の場合には、運転者の体重と
ステアリングコラムヘッドの重量とに起因するきわめて
大きな力が前述の摩擦結合部に作用するので、緊締機構
がこれに多大の費用をかけて構成されている場合です
ら、滑動が生じる。したがって摩擦接続に基づく緊締機
構は多くの場合、衝突エアバッグを備えた自動車のため
には不適切であると考えられる。この欠点を除くべく用
いられている、互いにロックされる部分の間に形状接続
部つまり、摩擦だけではなく、形による嵌合を用いた接
続部を備えている緊締装置はコスト高であり、しかもス
テアリングホィールの位置を無段階に調節することを可
能にしない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ステ
アリングホィールの調節された位置において套管とシャ
ーシに固定された保持部分との間で、ステアリングホィ
ール位置の無段階の調節を可能にする摩擦接続による緊
締装置を、正面衝突の際に自動車の運転者の体重に起因
する力の作用方向で当該力が緊締機構においてほぼ形状
接続で伝達されるように構成することである。

【０００４】

【課題を解決する手段】本発明の課題は請求項１に記載
した特徴を有する構成によって解決された。

【０００５】

【発明の効果】本発明の構成においては、シャーシに固
定された保持部分に形成された案内スリットは、ステア
リングコラムの長手方向軸線に対して平行に形成された
他方の案内スリットに対し直角に、套管における不動な
部分に配置されているのではなく、水平線に対してほぼ
直角に、すなわちほぼ鉛直に配置されている。乗用車に
おいてはステアリングコラムは水平線に対して約２０゜
の角度を成して傾斜配置されているので、シャーシに固
定された保持部分における案内スリットの長手方向と、
套管における不動な部分の案内スリットの長手方向と
は、ステアリングホィールに向かって開く、約７０゜の
角度を成す。正面衝突に際して運転者の体重に起因する
力はほぼ水平にステアリングコラムに作用することが確
認されている。したがってシャーシに固定された保持部
分における案内スリットの、水平線に対してほぼ直角
に、すなわちほぼ鉛直に延びる長手方向は、正面衝突に
際して運転者の体重に起因する力の水平な作用方向に対
してほぼ直角に延びていることになる。これは水平線に
対して約２０゜傾けられたテレスコープ式に伸縮自在な
ステアリングコラムの長さ調節でステアリングコラムの
高さを調節しかつステアリングコラムの調節位置が緊締
機構で緊締可能であるにも拘らず、シャーシに固定され
た保持部分におけるほぼ鉛直な案内スリットと、ステア
リングコラムの套管に対して不動な部分における案内ス
リットとが約７０％の角度を成すことで、正面衝突に際
して運転者の体重に起因する力がステアリングホィール
で受止められ、エアバックが所定の力で確実に作用させ
られるようになる。さらに調節位置の維持は唯一の機
構、例えばねじスリーブの上の旋回可能なレバー又はそ
れに類似したもので行われると有利である。

【０００６】

【実施例】本発明の１実施例は図面に示されている。

【０００７】図面には調節可能なステアリングコラムの
上方端部とシャーシに対するステアリングコラムの固定
部とが示されている。テレスコープ式に伸縮自在な複数
の部分から成るステアリングコラム１は套管２内で回転
可能であり、この套管２と一緒に軸方向に移動可能に、
自動車のシャーシに固定された保持部分４に支承されて
いる。ステアリングコラム１の上方のねじ山付き端部に
は図示されていないステアリングホィールが固定されて
いる。套管２の、半径方向及び所定の長さに亙っては軸
方向にも延在している部分６内にはステアリングコラム
の長手方向軸線７に対して平行に案内スリット８が配置
されている。それ自体自動車のシャーシと固定的に結合
された保持部分４に前記案内スリット８の範囲で套管２
は支えられている。この保持部分４内には同様に案内ス
リット９があり、この案内スリット９の長手方向は自動
車の正面衝突に際して運転者の体重に起因する力の作用
方向に対して横方向に延びている。両方の案内スリット
８と９を緊締ねじ１１が貫通しており、この緊締ねじ１
１は図示されていない作動機構を有しているので、套管
２における部分６と保持部分４は緊締ねじ１１により互
いに不動に押し合わされる。このためには套管２の部分
６にも保持部分４の内側にも、他の公知の構成で公知で
あるような互いに接触しあう摩擦面が形成されている。
このような緊締機構は有利にはステアリングコラムの長
手方向軸線７を通る鉛直な平面の両側にこの平面から所
定の間隔をおいて設けられていると有利である。図面か
らは求められる利点、すなわち緊締機構に作用方向１０
で作用する力が摩擦接続だけではなく形状接続で套管２
からシャーシに固定された保持部分４に伝達されること
が明らかであるので、緊締機構は従来の構造よりも小さ
な負荷しか受けず、衝突事故に際して、自動車が衝突エ
アバッグを備えている場合には衝突エアバックを適宜作
動するのに必要とされるような大きな力を確実に伝達す
るようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示した図。

【符号の説明】

１ ステアリングコラム、 ２ 套管、 ４ 保持部
分、 ５ ねじ山付き端部、 ６ 套管の部分、 ７
長手方向軸線、 ８，９ 案内スリット、 １０力の作
用方向、 １１ 緊締ねじ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−34954（ＪＰ，Ｕ) 英国特許2113629（ＧＢ，Ｂ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のための調節可能なステアリング
   コラムであって、テレスコープ式に伸縮可能なステアリ
   ング軸を受容する套管（２）が、ステアリングホィール
   の調節された位置で、シャーシに固定された保持部分
   （４）に摩擦接続でロック可能であり、一方では前記套
   管（２）に対して不動な部分（６）にかつ他方では前記
   保持部分（４）に、少なくとも１組の案内スリット
   （８，９）が交差配置されて設けられており、前記案内
   スリット（８，９）を有する両方の前記部材（６，４）
   を摩擦接続的に押し合わせる緊締ねじ（１１）が前記案
   内スリット（８，９）を貫通しており、前記緊締ねじ
   （１１）が、操作可能な緊締機構に結合されており、シ
   ャーシに不動に固定された前記保持部分（４）に設けら
   れた前記案内スリット（９）の長手方向と前記套管
   （２）に固定された前記部分（６）に設けられた前記案
   内スリット（８）の長手方向とが９０°よりも小さい、
   ステアリングホィールに向かって開く角度を成すよう
   に、前記保持部分（４）に設けられた前記案内スリット
   （９）が配置されている形式のものにおいて、 前記保持部分（４）における前記案内スリット（９）の
   長手方向が、自動車の正面衝突の際に、運転者の体重に
   起因して発生する力が作用するほぼ水平な方向（１０）
   に対してほぼ垂直にかつほぼ鉛直方向に延びており、ス
   テアリングコラム軸線（７）が水平線に対して約２０゜
   傾けられ、前記套管（２）に不動に固定された前記部分
   （６）の前記案内スリット（８）の、ステアリングコラ
   ム軸線（７）に対して平行な長手方向と、前記シャーシ
   に固定された前記保持部分（４）の前記案内スリット
   （９）の長手方向とが、ステアリンコラムに向かって開
   いた、９０゜よりも小さい、約７０゜の角度を成してい
   ることを特徴とする、自動車のための調節可能なステア
   リングコラム。