JP3030927B2 - 高温耐食部材およびその製造方法 - Google Patents

高温耐食部材およびその製造方法

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JP3030927B2
JP3030927B2 JP3134258A JP13425891A JP3030927B2 JP 3030927 B2 JP3030927 B2 JP 3030927B2 JP 3134258 A JP3134258 A JP 3134258A JP 13425891 A JP13425891 A JP 13425891A JP 3030927 B2 JP3030927 B2 JP 3030927B2
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慎一郎 矢萩
廣志 山田
文男 岩根
菊一 船尾
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Daido Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温において腐食性の
環境で使用するのに適した耐食部材、代表的にはヒータ
ー材や自動車排ガス処理の触媒担体用ハニカム材と、そ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温で使用する各種の金属部材に関し
て、耐食性の向上に対する要求が強くなっている。 ヒ
ーター材に例をとると、鉄−クロム合金のうち20Cr
−5Al−Fe合金FCH1は比較的耐食性が高いが、
CrおよびAlの含有量がこれよりも低い「FCH5
1」(大同特殊鋼(株)の製品記号)すなわち15Cr
−3Al−Fe合金は、高温耐食性がやや劣る反面、廉
価で加工性がすぐれているから、ヒーター材としての用
途は広い。 従って、高温での耐酸化性、耐食性にすぐ
れ、かつ加工性の良好な、ヒーター材等に適した材料の
出現が強く要望されていた。
【0003】発明者らは、この要求にこたえることを企
て、たとえばFCH51合金製のヒーターに、まずAl
23などの耐熱耐食性材料をコーティングして保護層と
することを試みたが、熱膨脹率の差のため、加熱−冷却
を繰り返すとコーティングが剥離してしまい、実用的な
対策とはいえないことがわかった。
【0004】次に、Al23を蒸着させて保護層を形成
したところ、耐久性においては改善をみたが、蒸着は能
率が低くてコストが高いから、普及困難との結論に至っ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Ni
またはNiが20%以上を占める合金を基材とし、高温
で使用する部材であって、表面に強固に接合したAl2
3保護層を有し、耐食性とくに耐高温酸化性および耐
塩水性が高められたものを提供すること、およびそのよ
うな部材を低いコストで製造する方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の高温耐食部材は、図2および図4に例示するよう
に、NiまたはNiが20%以上を占める合金の基材
(1)の表面に、内側から外側に向って、金属間化合物
Ni3AlおよびNiAlの混在した層(3)、および
Al23の被覆層(4)を形成してなる。
【0007】基材は、純Ni金属のほか、Niが20%
以上を占める合金であり、後者には種々のNi基合金や
Fe基合金が含まれる。 それらの例を挙げると、つぎ
のとおりである: イ) Cr:14.0〜23.5%、C:0.15%以
下およびMn:2.5%以下を含有し、残部がNiであ
るNi−Cr合金 ロ) B:0.08〜0.18%、Re:1〜3%、F
e:5〜20%およびMn:5〜20%の1種または2
種以上を含有し、残部がNiであるNi基合金 ハ) Ni:20〜72%およびCr:14〜35%を
含有し、残部がFeであるFe−Ni−Cr合金 ニ) Al:1〜6%を含有し、残部がNiであるNi
−Al合金 ホ) Al:1〜6%およびBe:0.2〜3.0%を
含有し、残部がNiであるNi−Al−Be合金。
【0008】基材とするNiまたはNiが20%以上を
占める合金には、さらにB,Si,Mg,Cu,Ca,
Mn,Y,Ti,Co,W,V,Zr,Ta,Nb,S
cおよびREMからえらんだ1種または2種以上の成分
を添加して、合金の諸特性の改善を行なったり、Alと
その成分との間で金属間化合物の生成をはかることがで
きる。
【0009】前記した高温耐食部材を製造する本発明の
方法は、基本的には、図1および図2、ならびに図3お
よび図4に示すように、NiまたはNiが20%以上を
占める合金の基材(1)の表面をAlまたはAl合金
(2)で被覆し、得られた被覆材に対して真空または不
活性ガス中の焼鈍および酸化性雰囲気中での加熱を行な
って、基材の上にNi3AlおよびNiAlの混在する
層(5)を形成するとともに、表面にAl23を生成さ
せて被覆層(6)を形成することからなる。
【0010】使用する基材がシート状体である場合は、
AlまたはAl合金の被覆をクラッド圧延により行なう
とよい。 クラッド圧延するAlまたはAl合金の箔の
厚さは0.005〜0.5mm、圧延後の厚さは0.00
1〜0.2mmが適当である。
【0011】一方、基材がワイヤ状体である場合は、A
lまたはAl合金の被覆を、基材のワイヤを被覆材のチ
ューブ内に挿入して伸線加工または押出加工することに
よって行なうことができる。 代表的な例では、基材の
ワイヤ径が10mm内外で、これを被覆するAlまたはA
l合金のチューブの厚さは、シート状体をつくる場合と
同様に0.1〜1.0mmでよく、これらに対し減面率3
0〜50%の引抜きを数パス行なう伸線加工により、径
0.5〜3mmのクラッド材を得る。
【0012】そのほかに可能なAlまたはAl合金の被
覆手段は、基材を溶融したAlまたはAl合金中へ浸漬
すること、基材表面へAlまたはAl合金を溶射するこ
と、プラズマパウダーウエルディング、化学メッキある
いは蒸着である。
【0013】被覆をAl合金を用いて行なう場合は、A
lにB,Si,Mg,Cu,Ca,Mn,Y,Ti,C
o,W,V,Zr,Ta,Nb,ScおよびREMから
えらんだ1種または2種以上の成分を添加してなる合金
を使用し、それによって添加金属の作用に応じた特性改
善の利益を得ることができる。
【0014】真空または不活性ガス中の焼鈍は、400
〜900℃、好ましくは400〜600℃の温度に1〜
10時間加熱することにより行なえる。 次の酸化性雰
囲気中の加熱は、たとえば大気中で400〜1000℃
の温度に1〜36時間加熱することによって実施すれば
よい。
【0015】本発明の高温耐食部材の製造方法の別の態
様は、板材の場合に例をとると、図6に示すように、基
材(1)のシ−ト材の表面に、内側から外側に向って、
第一のAl箔(2)、NiまたはNi合金の箔(3)お
よび第二のAl箔(4)を重ね、圧延によりクラッドし
てクラッド材とし、このクラッド材を真空焼鈍ののち酸
化性雰囲気中で加熱して、図7に示すように、基材
(1)上に金属間化合物Ni3AlおよびNiAlの混
在する層(5)を形成するとともに、表面にAl23
生成させ被覆層(6)とすることからなる。
【0016】第一のAl箔(2)、Ni箔(3)および
第二のAl箔(4)は、基材へのクラッドに先立って、
合せ板としておくと好都合である。 この場合、合せ板
は厚さが0.1〜1.0mm、その中のAl部分の厚さ
は、両側合計して0.005〜0.5mmが適当であ
る。 もちろん、上記三層を個々に重ねてクラッドして
もよいし、三層のうち任意の二層を先に合せ板にしてお
いて残りの一層とともにクラッドしたり、第一のAl箔
を基材に先にクラッドしておいたり、クラッドの順序は
任意である。
【0017】なお、ワイヤ状体としては図4のような円
形断面のものに限らず、正方形や長方形そのほかの断面
形状のものも製造可能である。 たとえば図5に示すよ
うな断面形状のクラッド材を孔型ロールやダイスを用い
た圧延によって得、さらにロール圧延してシート状体に
近い形状の成品とすることもできる。 この種のワイヤ
状製品は、基材の両側縁も被覆されているから、耐食性
がいっそう高い。
【0018】
【作用】基材(1)である、NiまたはNiが20%以
上を占める合金のシートまたはワイヤと、その上にクラ
ッドなどの手段で被覆された、AlまたはAl合金の層
(2)との間は、真空焼鈍の過程で相互の拡散により密
着し、続く酸化性雰囲気中での加熱により拡散がさらに
進行する。 その結果、深さ方向のそれぞれの位置にお
いて、NiおよびAl成分の多少に応じ、Ni3Alま
たはNiAlが生成する。 被覆されたAl層が厚い場
合には、それら生成物の濃度に勾配が生じるが、層が薄
く、かつ熱処理が十分に行なわれた場合には、クラッド
層内の濃度勾配はほとんど消滅し、ほぼ一様にNi3
lとNiAlとが混在した層が形成される。
【0019】基材とするNiまたは合金の中にAlと金
属間化合物を生成する性質をもった前記の合金成分、す
なわちB,Si,Mg,Cu,Ca,Mn,Y,Ti,
Co,W,V,Zr,Ta,Nb,Sc,REMの1種
または2種以上が存在する場合、およびクラッドされた
Al合金中にこれらの成分が存在する場合には、Ni−
Al系金属間化合物に加えて、これらとAlとの間の金
属間化合物も生成する。
【0020】上記いずれの場合も、表面に存在するAl
は酸化性雰囲気中での加熱により酸化されて緻密なAl
23となる。 また、Al23のウイスカーの形で成長
して被覆層を形成することもある。 Al23が生成す
る一方で、基材のNiまたはNiが20%以上を占める
合金中にもAlが拡散して、拡散界面においてよく接合
し、さらに一部は酸化を受けてAl23に変化する。
その結果、Al23の被覆層は、その基部を基材金属中
にアンカーリングした状態で存在し、基材を強固に被覆
して保護する。
【0021】このようにしてAl23は基材金属の表面
でからみ合うように成長し、これを密に被覆する。 こ
れは緻密なAl23酸化層ではあるが、部分によっては
ミクロな孔が存在することは避け難い。 塩水など腐食
性の薬液は、こうした小孔から侵入して基材金属をアタ
ックすることもあるが、本発明ではNi−Al系の金属
酸化物により耐食性は大幅に改善される。
【0022】基材(1)をAl−Ni(またはNi合
金)−Alで被覆する態様においては、基材と、その上
を被覆した第一のAl層(2)とNi層(3)との間、
およびNi層(3)と第二のAl層(4)との間は、上
述のように真空焼鈍の過程で相互の拡散により密着し、
続く酸化性雰囲気中での加熱により拡散がさらに進行す
る。 その結果、深さ方向のそれぞれの位置においてN
iおよびAl成分の多少に応じ、Ni3AlとNiAl
とが混在した層が形成される。
【0023】基材のNiが20%以上を占める合金とし
て、特定量のB,FeおよびMn,Reの1種または2
種以上を添加したものを使用した場合には、得られる高
温耐食性部材の加工性がすぐれているから、Al23
覆層の形成前はもちろん、後も加工することが容易であ
る。
【0024】
【実施例】[実施例1]表1に記載のNi−Cr合金ま
たは純Niの、厚さ0.2mm、幅50mmの薄板の両
面に、厚さ0.15mmのアルミ箔を圧延によりクラッ
ドした。
【0025】 表1 No. Mn Cr その他 1 0.15%以下 2.0% 20.0% 2 0.10%以下 0.5% 22.5% Al:0.40%以下、Ti:0.40%以下、 Nb+Ta:3.15〜4.15% 3 0.05%以下 0.9% 21.5% Al:0.20%以下、Ti:0.90% 4 − − − (純Ni) さらに圧延を行なって、全体の厚さが0.1mmで両
面のAl層の厚さがそれぞれ0.04mmであるクラッ
ド材を用意した。
【0026】これらの試料について、塩水噴霧試験を行
なって高温耐食性を調べた。 この試験は、試料を80
0℃に加熱した状態でそれに一定の張力を加えておき、
5%NaCl溶液を2分間に1回噴霧して、試料の破断
に至るまでの塩水噴霧回数を記録するものである。 結
果を、図8に示す。
【0027】[実施例2]Al箔の厚さが0.008m
m(片側0.004mmずつ)で全体の厚さが0.1m
mのAl/Ni/Al三層合せ板を用意した。 この合
せ板をNiの薄板の両面に圧延し、厚さ0.05mmの
クラッド材とした(No.5)。 各面において、Al
の厚さは(第一、第二とも)0.002mm、Ni層の
厚さは0.05mmである。 これを、幅6mm×長さ
200mmのリボンにスリットし、真空中で600℃×
60分間の加熱を行った。
【0028】別に、同じNi薄板の両面にAl箔をクラ
ッドし、厚さ0.002mmのAl層を設けたのち上記
と同じ熱処理を施したもの(No.7)、およびNi薄
板の一方の面には上記Al/Ni/Al三層合せ板をク
ラッドしたが他方の面にはAl箔だけをクラッドし、上
記と同じ熱処理を施したもの(No.6)を用意した。
【0029】これらの試料No.5〜7について、塩水
噴霧試験を行なって高温耐食性を調べた。 その結果を
図9に示す。 図のデータは、Ni薄板に単にAl箔を
クラッドして熱処理したものよりも、Al/Ni/Al
の合せ板をクラッドしたものの方が、さらに高い耐食性
を発揮することを示している。
【0030】[実施例3]表2の組成に加えて、B,F
eまたはMn,Reを種々の量添加しNiまたはNi−
Cr合金を、厚さ0.2mm、幅50mmのシ−トに圧
延し、基材として用いた。
【0031】 表2 No. Cr Mo Ni その他 8 20% − 残 Si:1.13% 9 22.5% 9% 残 Co:1.0%以下、Al:0.4%以下、 Ti:0.4%以下、 Nb+Ta:3.15〜4.15% 10 21.5% 3.0% 残 Cu:2.5%,Al:0.2%以下、 Ti:0.9%,Sc:3.0%以下 11 − − 99%以上 この両面に厚さ0.015mmのアルミ箔をクラッド圧
延し、最終的にはクラッド材の厚さ0.1mm、Al層
の厚さ0.004mmとした。
【0032】このクラッド材を、600℃に30分以上
保つ真空焼鈍を行なってNi−Al金属間化合物を形成
し、次に大気中で約800℃に3時間ほど加熱して、表
面にAl23の層を形成した。
【0033】得られたAl23被覆高温耐食部材のうち
No.8を基材とするものについて、折曲げ試験および
伸びの測定をした。 折曲げ試験は、90°の曲げ変形
を加えてこれを元に戻し、再び90°に曲げるという操
作を繰り返し、破断に至るまでの曲げ回数を記録したも
のである。 結果を、図10〜12に示す。 図中の各
点は、各組成ごとの、サンプル5個についての折り曲げ
試験の結果の平均値である。
【0034】[実施例4]NCH2合金(Ni:58
%、Cr:16%、残部Fe)の厚さ0.4mmの薄板
の両面に、厚さが0.1mmのAl箔を重ねて圧延し、
厚さ0.05mmのクラッド材とした。 表裏両面にお
いて、Al層の厚さはそれぞれ0.004mmである。
【0035】これを幅6mm×200mmのリボンにス
リットし、真空中で600℃×60分間の加熱を行った
(No.12)。 比較のため、同じ寸法のNCH2合
金のリボンを用意した(No.13)。
【0036】これらの試料について、塩水滴下試験を行
なって高温耐食性をしらべた。 この試験は、塩水噴霧
試験と同様に、試料を800℃に加熱した状態でそれに
一定の張力を加えておき、5%NaCl溶液0.5cc
を2分間に1回滴下して、試料の破断に至るまでの塩水
滴下回数を記録するものである。 結果を、図13に示
す。
【0037】[実施例5]Niに対して、Alを2%、
4%、6%、または8%添加したNi−Al合金で、厚
さ0.2mmの薄板を用意した。 この基材の両側に、
厚さ0.015mmのAl箔を重ねて圧延し、全体の厚
さが0.05mm、Al層の厚さが0.002mmのク
ラッド材とした。
【0038】このクラッド材に対し、真空中600℃×
2分間の焼鈍に続いて大気中600℃×1時間の加熱を
行なって、表面にAl23の被覆層を形成させた。
【0039】得られた高温耐食部材(No.14,1
5,16,17)に対して、実施例4と同じ条件の塩水
滴下試験を行なった。 結果は図14のとおりであっ
て、Al添加量の増大につれて耐食性が向上し、やがて
その効果が飽和していくことがわかった。
【0040】次に、上で用意したNi−Al合金の薄板
のうち、Alが6%のものを基材とした高温耐食部材
(No.16)を対象に、大気中で1100℃に加熱す
る酸化増量試験を行なった。 結果を、Niの同じ厚さ
の板(No.18)と比較して、図15に示す。 本発
明に従ったものは、長時間の加熱後もほとんど増量がな
く、高い耐酸化性をもつことがわかる。
【0041】[実施例6]Ni−6%Al−2%Beの
組成をもつ合金の薄板を基材として、実施例5と同様の
操作で、本発明の高温耐食部材(No.19)を製造し
た。
【0042】この高温耐食部材の表面の、Al23被覆
層の下にある金属間化合物の層について、その硬さを測
定した。 表面からの深さが12μm程度までの硬さH
Vを、図16に示す。 この図から、5μmより浅い部
分の硬さの増大が読みとれ、耐摩耗性の向上機構が理解
できる。
【0043】
【発明の効果】本発明の高温耐食性部材は、Niまたは
Niが20%以上を占める合金の基材の表面にAl23
の強固な被覆層を設けてこれを保護することによって、
耐高温酸化性および耐塩水性で代表される耐食性を向上
させたものである。 従ってこの部材は、代表的な用途
であるヒーター材をはじめとして、工業装置や家庭用電
器製品などの分野で、広い用途が期待できる。
【0044】本発明の製造方法は、このような高温耐食
性部材を、クラッドをはじめとする実施容易な方法によ
りAl層を設けて、Al23に変化させるという手法で
製造することを可能にした。 これにより、広い範囲か
ら任意にえらべる厚さをもったAl23被覆層、しかも
部材中に基部をアンカーリングした形で有し、強固に接
合している被覆層で保護された耐食性部材が得られる。
【0045】基材金属中またはAl合金層中にAlと金
属間化合物を生成する合金成分を添加した態様において
は、それら合金成分のもつ作用に応じた製品特性の改
善、たとえば基材と金属間化合物および金属間化合物と
Al23被覆層との密着性の向上、B,MnとAlとの
金属間化合物の延性向上がもたらす加工容易化、あるい
はBe添加による硬化や電気抵抗の上昇などの利益を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高温耐食部材がシート状体である場
合の製造工程を説明するための、材料の断面図。
【図2】 図1に示した製造工程により製造された高温
耐食部材の構造を示す、概念的な断面図。
【図3】 本発明の高温耐食部材がワイヤ状体である場
合の製造工程を説明するための、図1に対応する材料の
断面図。
【図4】 図3に示した製造工程により製造された高温
耐食部材の構造を示す、図2に対応する概念的な断面
図。
【図5】 図4と別の態様のワイヤ状体の構造を示す、
図4と同様な概念的な断面図。
【図6】 本発明の高温耐食部材がシート状体である場
合の、図1と別の態様の製造工程を説明するための、図
1と同様な断面図。
【図7】 図6に示した製造工程により製造された高温
耐食部材の構造を示す、図2に対応する概念的な断面
図。
【図8】 本発明の実施例1のデータであって、高温耐
食部材の塩水噴霧試験の結果を示すグラフ。
【図9】 本発明の実施例2のデータであって、図8と
同じく、高温耐食部材の塩水噴霧試験の結果を示すグラ
フ。
【図10】 本発明の実施例3のデータであって、高温
耐食部材の伸びと折曲げ試験の結果を、基材へのBの添
加量との関係において示すグラフ。
【図11】 本発明の実施例3のデータであって、高温
耐食部材の伸びと折曲げ試験の結果を、基材へのFeま
たはMnの添加量との関係において示すグラフ。
【図12】 本発明の実施例3のデータであって、高温
耐食部材の伸びと折曲げ試験の結果を、基材へのReの
添加量との関係において示したグラフ。
【図13】 本発明の実施例4のデータであって、高温
耐食部材の塩水滴下試験の結果を示すグラフ。
【図14】 本発明の実施例5のデータであって、高温
耐食部材の塩水滴下試験の結果を示すグラフ。
【図15】 本発明の実施例5のデータであって、大気
中1100℃における酸化増量を示すグラフ。
【図16】 本発明の実施例6のデータであって、高温
耐食部材の表面近くの硬さを示すグラフ。
【符号の説明】
1 基材 2,4 AlまたはAl合金 3 NiまたはNi合金 5 Ni3AlとNiAlとの混在層 6 Al23被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 28/00 C23C 28/00 C F27D 11/02 F27D 11/02 A H05B 3/12 H05B 3/12 A B (31)優先権主張番号 特願平2−401166 (32)優先日 平成2年12月10日(1990.12.10) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 昭62−174352(JP,A) 特開 昭62−17167(JP,A) 特開 昭57−134550(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 10/28,10/60 C23C 12/00,8/12,28/00 C22C 19/05

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NiまたはNiが20%以上を占める合
    金の基材の表面に、内側から外側に向って、金属間化合
    物Ni3AlおよびNiAlの混在した層、およびAl2
    3の被覆層を形成してなる高温耐食部材。
  2. 【請求項2】 Niが20%以上を占める合金として、
    Cr:14.0〜23.5%、C:0.15%以下およ
    びMn:2.5%以下を含有し、残部がNiであるNi
    −Cr合金を使用した請求項1の高温耐食部材。
  3. 【請求項3】 Niが20%以上を占める合金として、
    B:0.08〜0.18%、Re:1〜3%、Fe:5
    〜20%およびMn:5〜20%の1種または2種以上
    を含有し、残部がNiであるNi基合金を使用した請求
    項1の高温耐食部材。
  4. 【請求項4】 Niが20%以上を占める合金として、
    Ni:20〜72%、Cr:14〜35%を含有し、残
    部がFeであるFe−Ni−Cr合金を使用した請求項
    1の高温耐食部材。
  5. 【請求項5】 Niが20%以上を占める合金として、
    Al:1〜6%を含有し、残部がNiであるNi−Al
    合金を使用した請求項1の高温耐食部材。
  6. 【請求項6】 Niが20%以上を占める合金として、
    Al:1〜6%およびBe:0.2〜3.0%を含有
    し、残部がNiであるNi−Al−Be合金を使用した
    請求項1の高温耐食部材。
  7. 【請求項7】 Niが20%以上を占める合金として、
    Niに対して、または請求項2ないし6に記載の合金に
    対して、B,Si,Mg,Cu,Ca,Mn,Y,T
    i,Co,W,V,Zr,Ta,Nb,ScおよびRE
    Mからえらんだ1種または2種以上の成分をさらに添加
    したものを使用した請求項1の高温耐食部材。
  8. 【請求項8】 NiまたはNiが20%以上を占める合
    金の基材の表面を、AlまたはAl合金で被覆し、得ら
    れた被覆材に対して真空または不活性ガス中の焼鈍およ
    び酸化性雰囲気中での加熱を行なって、基材の上にNi
    3AlおよびNiAlの混在する層を形成するととも
    に、表面にAl23を生成させて被覆層を形成すること
    からなる高温耐食部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 NiまたはNiが20%以上を占める合
    金の基材の表面を、内側から外側に向って、第一のAl
    層、NiまたはNi合金の層および第二のAl層で被覆
    し、得られた被覆材に対して真空または不活性ガス中の
    焼鈍および酸化性雰囲気中での加熱を行って、基材の上
    にNi3AlおよびNiAlの混在する層を形成すると
    ともに、表面にAl23を生成させて被覆層を形成する
    ことからなる高温耐食部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 NiまたはNiが20%以上を占める
    合金の基材がシ−ト状体であって、AlまたはAl合金
    の被覆を、クラッド圧延により行なう請求項8または9
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 NiまたはNiが20%以上を占める
    合金の基材がワイヤ状体であって、AlまたはAl合金
    の被覆を、基材のワイヤを被覆材のチューブ内に挿入し
    て伸線加工または押出加工することによって行なう請求
    項8または9の製造方法。
  12. 【請求項12】 AlまたはAl合金の被覆を、基材の
    溶融AlまたはAl合金中への浸漬、基材表面へのAl
    またはAl合金の溶射、プラズマパウダーウエルディン
    グ、化学メッキ、スパッタリング、または蒸着によって
    行なう請求項8の製造方法。
  13. 【請求項13】 NiまたはNiが20%以上を占める
    合金の基材が塊状体であって、AlまたはAl合金の被
    覆を、基材の溶融AlまたはAl合金中への浸漬、基材
    表面へのAlまたはAl合金の溶射、プラズマパウダー
    ウエルディング、化学メッキ、スパッタリング、または
    蒸着によって行なう請求項8の製造方法。
  14. 【請求項14】 Al合金として、Alに、B,Si,
    Mg,Cu,Ca,Mn,Y,Ti,Co,W,V,Z
    r,Ta,Nb,ScおよびREMからえらんだ1種ま
    たは2種以上の成分を添加してなる合金を使用して実施
    する請求項8または9の製造方法。
  15. 【請求項15】 真空または不活性ガス中の焼鈍を、4
    00〜900℃×1〜200分間の加熱条件で、また酸
    化性雰囲気中の加熱を、大気中400〜1000℃の温
    度に1〜36時間加熱することによって実施する請求項
    8または9の製造方法。
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