JP3027428U - シーム溶接機におけるローラ電極の刻み目形成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シーム溶接機の溶接工程の進行につれて、次
第に外周表面が磨滅していくローラ電極の磨滅量に合わ
せて、自動的にローレットローラの圧接力を追従させる
ことにより、被溶接材の進行及びローラ電極の回転を確
実に行わせて、溶接品質の安定を図ることができるもの
を提供することにある。 【解決手段】 一対のローラ電極間に被溶接材の溶接部
を重ね合わせて配設するとゝもに、加圧挟着した前記溶
接部に電流を流して連続的にスポット溶接するシーム溶
接機において、前記ローラ電極２Ａを回転駆動する駆動
用ローラ４を圧力流体で動作するシリンダ７で押圧する
とゝもに、前記ローラ電極２Ａの反対側において、該ロ
ーラ電極の回転により回転自在となるように枢着した前
記ローラ電極の外周に刻み目１０Ａを付けるローレット
ローラ１０を、前記ローラ電極の径方向にシリンダ１８
で押圧する構成としたことを特徴とするシーム溶接機に
おけるローラ電極の刻み目形成装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転する一対の円盤型ローラ電極間に２枚の被溶接材の溶接部を重 ね合わせて加圧挟着し、前記ローラ電極から溶接部に電流を流して連続的にスポ ット溶接するシーム溶接機において、前記ローラ電極の外周面に刻み目を形成し て被溶接材の送り用の摩擦力を増大するようにしたローラ電極の刻み目形成装置 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のシーム溶接機は、図３乃至図５に示すように、溶接する２枚の 被溶接材１，１の上下位置にはその溶接部を加圧挟着して溶接する一対の円盤状 ローラ電極２Ａ，２Ｂが、装置本体（図示せず）に固定された保持部３により回 転自在に取付けられている。そして、前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの外周の一部に は夫々、ローラ電極２Ａ，２Ｂを回転する周溝付き駆動用ローラ４及びその関連 部品が配設されている。

【０００３】 前記両駆動用ローラ４及びその関連部品は上下共同一構成なので、その一方に ついて説明するに、先ず前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの外周に接触する周溝付き駆 動用ローラ４はアーム５の自由端に回転自在に枢着され、その基端は前記装置本 体に固定されたシャフト６に回転自在に取付けられている。なお、前記アーム５ 内には、図示しないが駆動用ローラ４を回転するモータ及び減速装置等が収納さ れている。

【０００４】 ７は前記アーム５の自由端をローラ電極２Ａ，２Ｂ側に押圧するシリンダで、 シリンダ保持部８により装置本体に固定されており、そのシリンダロッド７Ａの 先端は前記アーム５の側面に接触している。また、前記シリンダ７には圧力流体 が流体供給源９より供給されており、これによりシリンダロッド７Ａの先端がア ーム５を押圧して、前記駆動用ローラ４をローラ電極２Ａ，２Ｂに圧着しつつ回 転している。

【０００５】 １０は外周面に鋭い刻み目１０Ａを有するローレットローラで、前記駆動用ロ ーラ４に対するローラ電極２Ａ，２Ｂの反対側において、スピンドル１１の先端 に回転自在に枢着されている。なお、この両ローレットローラ１０及びその駆動 部等は上下共同一構成なので、その一方について説明する。

【０００６】 前記スピンドル１１は、前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの径方向に移動できるよう に装置本体に固定された保持部１２内に摺動自在に収納されている。また、前記 スピンドル１１内にはこのスピンドルをローラ電極２Ａ，２Ｂ側に押圧する圧縮 スプリング１３が入っている。１４は前記圧縮スプリング１３を押圧するスプリ ング押金具で、このスプリング押金具１４は前記保持部１２の後端に回転自在に 螺合した押しネジ１５で押されている。なお、図中１６は前記押しネジ１５の緩 み止めネジである。

【０００７】 そこで、前記被溶接材１，１の溶着部は、上下のローラ電極２Ａ，２Ｂにより 加圧挟着されており、前記シリンダ７に流体供給源９より圧力流体を供給すると シリンダロッド７Ａの先端がアーム５を押圧して、駆動用ローラ４を前記ローラ 電極２Ａ，２Ｂに圧着して互いに反対方向に回転すると、前記ローラ電極２Ａ， ２Ｂは夫々矢印方向に回転する。

【０００８】 そこで、被溶接材１，１の溶着部に電流を流せば、前記被溶接材１，１の溶着 部は前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの回転方向に進行しつつ連続的にスポット溶接さ れる。また、前記ローレットローラ１０の外周面は、圧縮スプリング１３の押圧 力によりローラ電極２Ａ，２Ｂの外周に押付けられているので、前記ローラ電極 ２Ａ，２Ｂの回転方向とは逆方向に回転する。この結果、前記ローラ電極２Ａ， ２Ｂの外周面には、ローレットローラ１０の刻み目１０Ａにより刻み目１７が付 けられる。これにより、ローラ電極２Ａ，２Ｂと被溶接材１，１との間には摩擦 力が増して、被溶接材１，１の送りを確実にし、溶接品質の連続安定性を高める ことができる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

前記溶接の連続進行につれて、前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの外周面は次第に磨 滅し、その外径は次第に小さくなる。このとき、ローレットローラ１０は所定の 圧接力を失うことなく前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの外周面に追従することによっ て、常時刻み目１７が形成されることになるが、その追従は人手によって行われ る。

【００１０】 すなわち、緩み止めネジ１６を弛緩した後、押しネジ１５を前進するよう回転 し、スプリング押金具１４を介して圧縮スプリング１３を押圧することにより、 ローラ電極２Ａ，２Ｂの外周面にローレットローラ１０を圧着する。次いで、緩 み止めネジ１６を回転して押しネジ１５を固定する。

【００１１】 しかし、人手により押しネジ１５を回転してローレットローラ１０の圧接力を 調節することは、調整が段階的で微調整することが困難であり、且つ調整のばら つきが発生するので圧接力が不連続的に変化することになり、溶接品質が不均一 となり、不良品が発生し、また人手も必要となる、といった問題点がある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記のような従来の諸問題点を解決するために成されたもので、シ ーム溶接機の溶接工程の進行につれて、次第に外周表面が磨滅していくローラ電 極の磨滅量に合わせて、自動的にローレットローラの圧接力を追従させることに より、被溶接材の進行及びローラ電極の回転を確実に行わせて、溶接品質の安定 を図ることができるものを提供することを目的としたものであり、その要旨は、 回転する一対のローラ電極間に被溶接材の溶接部を重ね合わせて配設するとゝも に、加圧挟着した前記溶接部に電流を流して連続的にスポット溶接するシーム溶 接機において、前記ローラ電極を回転駆動する駆動用ローラを圧力流体で動作す るシリンダで押圧するとゝもに、前記ローラ電極の反対側において、該ローラ電 極の回転により回転自在となるように枢着した前記ローラ電極の外周に刻み目を 付けるローレットローラを、シリンダで押圧する構成としたことを特徴とするシ ーム溶接機におけるローラ電極の刻み目形成装置にある。

【００１３】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を図１及び図２に示す実施例により詳細に説明する。なお図にお いて、前記従来例の図面の付記番号と同一の付記番号は同一部品を示し、また同 一の動作をする同一部品の動作の説明を省略し、本考案に関係する部分について のみ以下に詳述する。

【００１４】 図において、１０は外周面に鋭い刻み目１０Ａを有するローレットローラで、 スピンドル１１の先端に回転自在に枢着されており、このスピンドル１１は前記 ローラ電極２Ａ，２Ｂの径方向に移動できるよう、装置本体に固定された保持部 １２内に摺動自在に収納されている。また前記スピンドル１１内には、該スピン ドルをローラ電極２Ａ，２Ｂ側に押圧する圧縮スプリング１３が入っており、こ の圧縮スプリング１３はスプリング押金具１４で押圧されている。

【００１５】 １８は圧力流体で動作するシリンダで、前記スプリング押金具１４側の前記保 持部１２の後端面に固定されており、そのシリンダロッド１８Ａの先端は、前記 スプリング押金具１４の後面に接触している。そして、前記シリンダ１８には圧 力流体が前記流体供給源９より分岐して供給されている。なお図中、１９は前記 流体供給源９とシリンダ１８との間に介装された圧力調整弁である。

【００１６】 そこで、前記被溶接材１，１の溶着部は、上下一対のローラ電極２Ａ，２Ｂに より加圧挟着されており、前記シリンダ７に流体供給源９より圧力流体を供給す ると、シリンダロッド７Ａの先端がアーム４を押圧して駆動用ローラ４を前記ロ ーラ電極２Ａ，２Ｂに圧着し、互いに反対方向に回転する。これにより前記ロー ラ電極２Ａ，２Ｂは矢印方向に夫々回転する。そこで、被溶接材１，１の溶着部 に電流を流せば、前記被溶接材１，１の溶着部は前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの回 転方向に進行しつつ連続的にスポット溶接される。

【００１７】 また、前記ローレットローラ１０側のシリンダ１８には、前記流体供給源９よ り分岐され圧力調整弁１９を経て圧力流体が供給されるので、そのシリンダロッ ド１８Ａの先端は、前記スプリング押金具１４を介して圧縮スプリング１３を押 圧し、スピンドル１１を所定圧力で前進させる。この結果、前記ローレットロー ラ１０の外周面がローラ電極２Ａ，２Ｂの外周に押付けられるので、その外周面 にはローレットローラ１０の刻み目１０Ａにより刻み目１７が付けられる。

【００１８】 これにより、被溶接材１，１とローラ電極２Ａ，２Ｂとの間には前記刻み目１ ７により摩擦力が増大するとゝもに、前記ローラ電極２Ａ，２Ｂの磨滅量に追従 してローレットローラ１０が常に一定の圧接力で前記ローラ電極２Ａ，２Ｂを押 圧するので、被溶接材１，１の移送および駆動用ローラ４の動力伝達が確実に行 われることになる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案に係るシーム溶接機におけるローラ電極の刻み目形成装置は、上記のよ うに、回転する一対のローラ電極間に被溶接材の溶接部を重ね合わせて配設する とゝもに、加圧挟着した前記溶接部に電流を流して連続的にスポット溶接するシ ーム溶接機において、前記ローラ電極を回転駆動する駆動用ローラを圧力流体で 動作するシリンダで押圧するとゝもに、前記ローラ電極の反対側において、該ロ ーラ電極の回転により回転自在となるように枢着した前記ローラ電極の外周に刻 み目を付けるローレットローラを、前記ローラ電極の径方向にシリンダで押圧す る構成であるから、前記ローラ電極の磨滅量に追従してローレットローラが常に 一定の圧接力でローラ電極を押圧する。これにより、ローラ電極の外周面には常 時正常な刻み目が形成され、被溶接材の移送及び駆動用ローラの動力伝達が確実 に行われ、良好な溶接状態が長期にわたって安定して保持されるとゝもに、人手 を省略することができる。また、ローレットローラを押圧するシリンダに駆動用 ローラを押圧するシリンダの圧力流体供給源から分岐した圧力流体が流入するよ う構成することにより、設備を簡略化でき、コストの低減を図ることができる、 といった諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシーム溶接機の要部を示す正面図
である。

【図２】図１のＡーＡから見た図である。

【図３】従来のシーム溶接機の要部を示す正面図であ
る。

【図４】図３のＡーＡから見たシーム溶接機の図面であ
る。

【図５】前記シーム溶接機の要部を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 被溶接材 ２Ａ ローラ電極 ２Ｂ ローラ電極 ４ 駆動用ローラ ７ シリンダ ７Ａ ロッド ９ 圧力流体供給源 １０ ローレットローラ １０Ａ 刻み目 １１ スピンドル １３ 圧縮スプリング １４ スプリング押金具 １５ 押しネジ １６ 止めネジ １７ 刻み目 １８ シリンダ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する一対のローラ電極間に被溶接材
   の溶接部を重ね合わせて配設するとゝもに、加圧挟着し
   た前記溶接部に電流を流して連続的にスポット溶接する
   シーム溶接機において、前記ローラ電極を回転駆動する
   駆動用ローラを圧力流体で動作するシリンダで押圧する
   とゝもに、前記ローラ電極の反対側において、該ローラ
   電極の回転により回転自在となるように枢着した前記ロ
   ーラ電極の外周に刻み目を付けるローレットローラを、
   前記ローラ電極の径方向にシリンダで押圧する構成とし
   たことを特徴とするシーム溶接機におけるローラ電極の
   刻み目形成装置。
2. 【請求項２】 ローレットローラを押圧するシリンダ
   に、駆動用ローラを押圧するシリンダの圧力流体供給源
   から分岐した圧力流体が流入するよう構成したことを特
   徴とする請求項１記載のシーム溶接機におけるローラ電
   極の刻み目形成装置。