JP3026871B2 - ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法 - Google Patents

ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法

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JP3026871B2 JP03307577A JP30757791A JP3026871B2 JP 3026871 B2 JP3026871 B2 JP 3026871B2 JP 03307577 A JP03307577 A JP 03307577A JP 30757791 A JP30757791 A JP 30757791A JP 3026871 B2 JP3026871 B2 JP 3026871B2
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利信 余語
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電素子材料、焦電素
子材料あるいは電気光学材料として有用なニオブ酸タン
タル酸カリウム薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ニオブ酸タンタル酸カリウムが圧
電性及び焦電性を示すことに着目して、これを弾性表面
波素子、赤外線センサーなどに応用すべく、その薄膜化
が研究されているが、その薄膜化の手段としては、通
常、物理蒸着法や化学蒸着法など公知の薄膜形成技術が
試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、物理蒸
着法では、成膜工程に入る前段階として、予めニオブ酸
タンタル酸カリウムの組成に合わせて各成分の酸化物あ
るは炭酸塩を配合し、その混合粉末を仮焼した後、得ら
れた仮焼粉末を成形して焼成し、ターゲットを作製しな
ければならず、その製造工程が非常に繁雑であり、また
物理蒸着のための装置が高価である他、組成が変動し易
く、緻密で配向性の優れた薄膜を得ることが困難である
という問題がある。
【0004】また、化学蒸着法では、物理蒸着法のよう
にターゲットを作製する準備工程が不要であるが、大部
分の出発原料を気化させる必要があり、しかも、蒸着時
に装置内壁への付着が多いため成膜効率が悪く、従っ
て、生産性が低いといった問題がある。
【0005】従って、本発明は、所望の組成を有し、緻
密で配向性に優れたニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜を
容易に製造することができるようにすることを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、カリウムアルコキシド、タン
タルアルコキシド及びニオブアルコキシドを所定の割合
で含む溶液を還流して一般式:K(TaxNb1-x)O3、(但
し、0.25≦x<1.00である。)で表されるニオブ
酸タンタル酸カリウムの前駆体である複合アルコキシド
を生成させ、その反応液を濃縮した後、基体表面に塗布
して複合アルコキシドからなる薄膜を形成させ、該薄膜
を酸素・水蒸気混合気流中で熱処理し、次いで焼成する
ようにしたものである。要すれば、前記複合アルコキシ
ドからなる薄膜の形成と熱処理若しくは複合アルコキシ
ド薄膜の形成から焼成までの一連の工程を反復して所定
の厚さに薄膜を形成するようにしても良い。
【0007】前記出発原料であるカリウムアルコキシ
ド、タンタルアルコキシド及びニオブアルコキシドは、
任意のものが使用できるが、アルコキシ基の炭素数が1
5以下、好ましくは、8以下のものが望ましい。
【0008】代表的なカリウムアルコキシドとしては、
メトキシカリウム、エトキシカリウム、i-プロポキシカ
リウム、n-プロポキシカリウム。i-ブトキシカリウム、
n-ブトキシカリウム、sec-ブトキシカリウム、t-ブトキ
シカリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0009】また、代表的なニオブアルコキシドとして
は、ペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペ
ンタ-i-プロポキシニオブ、ペンタ-n-プロポキシニオ
ブ、ペンタ-i-ブトキシニオブ、ペンタ-n-ブトキシニオ
ブなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0010】更に、代表的なタンタルアルコキシドとし
ては、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタ
ル、ペンタ-i-プロポキシタンタル、ペンタ-n-プロポキ
シタンタル、ペンタ-i-ブトキシタンタル、ペンタ-n-ブ
トキシタンタル、ペンタ-sec-ブトキシタンタル、ペン
タ-t-ブトキシタンタルなどが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0011】前記カリウムアルコキシド、ニオブアルコ
キシド及びタンタルアルコキシドはそれぞれ単独である
いは2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、こ
れらのアルコキシドはそれぞれ単独で溶媒に溶解させた
後、混合して還流しても良く、また、予めタンタルアル
コキシドとニオブアルコキシドを溶解した溶液を還流し
て複合アルコキシドを生成させ、その反応液にカリウム
アルコキシドをそのまま又は溶媒に溶解した後、添加し
て還流するようにしても良い。
【0012】溶媒としては、アルコールその他の適当な
有機溶媒を使用できるが、いづれの場合も、水分が含ま
れているとアルコキシドが加水分解するため、これを避
けるべく、脱水処理したものを使用するのが好ましい。
基板としては、焼成温度で反応したり分解したりしない
ものであれば、サファイヤ、シリカ、シリコン、マグネ
シア、チタン酸ストロンチウムなど任意のものを使用で
きるが、配向性を問題とする場合には、マグネシアが好
適である。
【0013】前記焼成は、650〜800℃で30分〜
1時間行われるが、その際の昇温速度及び冷却速度は速
い方が好ましく、通常、2〜5℃/分に設定される。
【0014】
【作用】出発原料として、K(TaxNb1-x)O3を構成す
る金属元素のアルコキシドを用いることにより、不純物
金属元素を含まない均一な組成の溶液を調製でき、これ
を還流させることにより各構成元素を所望のモル比で含
むK(TaxNb1-x)O3の前駆体である複合アルコキシド
を生成させることができ、その反応液を濃縮した後、デ
ィッピング法あるいはコーティング法などの適当な手段
により基板上に塗布すると、均一な厚さの複合アルコキ
シドからなる薄膜が形成される。この複合アルコキシド
薄膜を熱処理することにより残留水分及び残留有機成分
の除去が行なわれるが、この熱処理を酸素と水蒸気の混
合雰囲気中で行うと、残留有機成分が効果的に除去さ
れ、また、その後の焼成を低温で行うことができ、基板
の(100)面に複合アルコキシド薄膜を形成すると、
焼成によりペロブスカイト構造を有する緻密で配向した
薄膜が生成される。
【0015】
【実施例】出発原料としてエトキシカリウム(KOC2
5)、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC25)5)及
びペンタエトキシニオブ(Nb(OC25)5)を用い、こ
れらをモル比で1:0.65:0.35となるように秤量
し、まず、エトキシタンタルとエトキシニオブとを50
0mlのナス型フラスコに入れ、更に50mlのエタノール
を加えて80℃で24時間還流し、複合アルコキシド溶
液を調製した。この複合アルコキシド溶液に、これとは
別に前記モル比で秤量したエトキシカリウムを50mlの
エタノールに溶解しておいた溶液を加え、さらに80℃
で24時間還流して、ニオブ酸タンタル酸カリウムの前
駆体である複合アルコキシドを生成させた後、その反応
液を0.2モル/リットルにまで濃縮し、その濃縮液を
コーテイング液とした。なお、得られた生成物は、NM
R及びIRのスペクトル変化から複合アルコキシドであ
ることが確認された。
【0016】次いで、MgO結晶からなる基板を、乾燥
窒素雰囲気中、前記コーテイング液に浸漬した後、1.
85mm/秒の一定速度で垂直に引き上げて、基板表面
(MgO(100)面)にゲル膜を形成し、前記雰囲気
中で3分間保持して乾燥させた。この基板を白金製ボー
トに乗せて電気炉内に配置し、室温から5℃/分の速度
で300℃まで昇温させ、その温度で30分間熱処理し
た。なお、炉内温度が100℃に達した時点から、酸素
と水蒸気の混合ガスを炉内に導入しながら昇温及び熱処
理を行った。熱処理後、水蒸気の供給を停止し乾燥酸素
のみを導入しながら昇温させ、550〜850℃の範囲
内の温度で1時間保持して焼成した後、5℃/分の速度
で冷却して0.25μm厚の平滑でクラックのない薄膜
を得た。
【0017】得られた薄膜についてX線回折分析を行な
ったところ、図1に示す結果が得られた。図1はゲル膜
を形成した基板を675℃で焼成して得た薄膜について
の結果である。図から、基板の結晶面方位に配向したペ
ロブスカイト構造を有するニオブ酸タンタル酸カリウム
薄膜が得られることが解る。なお、650℃以下の温度
で焼成したものは、パイロクロア相を生成していた。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法によれば、所望の組成を有
し、緻密で配向性に優れた均一な厚さのニオブ酸タンタ
ル酸カリウム薄膜を低温で容易に製造することができ、
しかも、ペロブスカイト相のみからなる薄膜を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法により製造したニオブ酸タンタル
酸カリウム薄膜のX線回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊田 浩一 愛知県豊明市新栄町3丁目384番地 (56)参考文献 特開 昭55−140703(JP,A) 特開 平4−254416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/12 C01G 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カリウムアルコキシド、タンタルアルコ
    キシド及びニオブアルコキシドを所定の割合で含む溶液
    を還流して一般式:K(TaxNb1-x)O3、(但し、0.2
    5≦x<1.00である。)で表されるニオブ酸タンタ
    ル酸カリウムの前駆体である複合アルコキシドを生成さ
    せ、その反応液を濃縮した後、基体表面に塗布して複合
    アルコキシドからなる薄膜を形成させ、該薄膜を酸素・
    水蒸気混合気流中で熱処理し、次いで焼成することを特
    徴とするニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼成を650℃以上の温度で行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 タンタルアルコキシドとニオブアルコキ
    シドを溶解した溶液を還流した後、カリウムアルコキシ
    ド若しくはその溶液を添加し、再度還流することにより
    複合アルコキシドを生成させることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の方法。
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JP2006032468A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Nec Tokin Corp 酸化物圧電材料の製造方法
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