JP3026871B2 - ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法 - Google Patents
ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法Info
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Description
子材料あるいは電気光学材料として有用なニオブ酸タン
タル酸カリウム薄膜の製造方法に関するものである。
電性及び焦電性を示すことに着目して、これを弾性表面
波素子、赤外線センサーなどに応用すべく、その薄膜化
が研究されているが、その薄膜化の手段としては、通
常、物理蒸着法や化学蒸着法など公知の薄膜形成技術が
試みられている。
着法では、成膜工程に入る前段階として、予めニオブ酸
タンタル酸カリウムの組成に合わせて各成分の酸化物あ
るは炭酸塩を配合し、その混合粉末を仮焼した後、得ら
れた仮焼粉末を成形して焼成し、ターゲットを作製しな
ければならず、その製造工程が非常に繁雑であり、また
物理蒸着のための装置が高価である他、組成が変動し易
く、緻密で配向性の優れた薄膜を得ることが困難である
という問題がある。
にターゲットを作製する準備工程が不要であるが、大部
分の出発原料を気化させる必要があり、しかも、蒸着時
に装置内壁への付着が多いため成膜効率が悪く、従っ
て、生産性が低いといった問題がある。
密で配向性に優れたニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜を
容易に製造することができるようにすることを目的とす
るものである。
決するための手段として、カリウムアルコキシド、タン
タルアルコキシド及びニオブアルコキシドを所定の割合
で含む溶液を還流して一般式:K(TaxNb1-x)O3、(但
し、0.25≦x<1.00である。)で表されるニオブ
酸タンタル酸カリウムの前駆体である複合アルコキシド
を生成させ、その反応液を濃縮した後、基体表面に塗布
して複合アルコキシドからなる薄膜を形成させ、該薄膜
を酸素・水蒸気混合気流中で熱処理し、次いで焼成する
ようにしたものである。要すれば、前記複合アルコキシ
ドからなる薄膜の形成と熱処理若しくは複合アルコキシ
ド薄膜の形成から焼成までの一連の工程を反復して所定
の厚さに薄膜を形成するようにしても良い。
ド、タンタルアルコキシド及びニオブアルコキシドは、
任意のものが使用できるが、アルコキシ基の炭素数が1
5以下、好ましくは、8以下のものが望ましい。
メトキシカリウム、エトキシカリウム、i-プロポキシカ
リウム、n-プロポキシカリウム。i-ブトキシカリウム、
n-ブトキシカリウム、sec-ブトキシカリウム、t-ブトキ
シカリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
は、ペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペ
ンタ-i-プロポキシニオブ、ペンタ-n-プロポキシニオ
ブ、ペンタ-i-ブトキシニオブ、ペンタ-n-ブトキシニオ
ブなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
ては、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタ
ル、ペンタ-i-プロポキシタンタル、ペンタ-n-プロポキ
シタンタル、ペンタ-i-ブトキシタンタル、ペンタ-n-ブ
トキシタンタル、ペンタ-sec-ブトキシタンタル、ペン
タ-t-ブトキシタンタルなどが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
キシド及びタンタルアルコキシドはそれぞれ単独である
いは2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、こ
れらのアルコキシドはそれぞれ単独で溶媒に溶解させた
後、混合して還流しても良く、また、予めタンタルアル
コキシドとニオブアルコキシドを溶解した溶液を還流し
て複合アルコキシドを生成させ、その反応液にカリウム
アルコキシドをそのまま又は溶媒に溶解した後、添加し
て還流するようにしても良い。
有機溶媒を使用できるが、いづれの場合も、水分が含ま
れているとアルコキシドが加水分解するため、これを避
けるべく、脱水処理したものを使用するのが好ましい。
基板としては、焼成温度で反応したり分解したりしない
ものであれば、サファイヤ、シリカ、シリコン、マグネ
シア、チタン酸ストロンチウムなど任意のものを使用で
きるが、配向性を問題とする場合には、マグネシアが好
適である。
1時間行われるが、その際の昇温速度及び冷却速度は速
い方が好ましく、通常、2〜5℃/分に設定される。
る金属元素のアルコキシドを用いることにより、不純物
金属元素を含まない均一な組成の溶液を調製でき、これ
を還流させることにより各構成元素を所望のモル比で含
むK(TaxNb1-x)O3の前駆体である複合アルコキシド
を生成させることができ、その反応液を濃縮した後、デ
ィッピング法あるいはコーティング法などの適当な手段
により基板上に塗布すると、均一な厚さの複合アルコキ
シドからなる薄膜が形成される。この複合アルコキシド
薄膜を熱処理することにより残留水分及び残留有機成分
の除去が行なわれるが、この熱処理を酸素と水蒸気の混
合雰囲気中で行うと、残留有機成分が効果的に除去さ
れ、また、その後の焼成を低温で行うことができ、基板
の(100)面に複合アルコキシド薄膜を形成すると、
焼成によりペロブスカイト構造を有する緻密で配向した
薄膜が生成される。
H5)、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC2H5)5)及
びペンタエトキシニオブ(Nb(OC2H5)5)を用い、こ
れらをモル比で1:0.65:0.35となるように秤量
し、まず、エトキシタンタルとエトキシニオブとを50
0mlのナス型フラスコに入れ、更に50mlのエタノール
を加えて80℃で24時間還流し、複合アルコキシド溶
液を調製した。この複合アルコキシド溶液に、これとは
別に前記モル比で秤量したエトキシカリウムを50mlの
エタノールに溶解しておいた溶液を加え、さらに80℃
で24時間還流して、ニオブ酸タンタル酸カリウムの前
駆体である複合アルコキシドを生成させた後、その反応
液を0.2モル/リットルにまで濃縮し、その濃縮液を
コーテイング液とした。なお、得られた生成物は、NM
R及びIRのスペクトル変化から複合アルコキシドであ
ることが確認された。
窒素雰囲気中、前記コーテイング液に浸漬した後、1.
85mm/秒の一定速度で垂直に引き上げて、基板表面
(MgO(100)面)にゲル膜を形成し、前記雰囲気
中で3分間保持して乾燥させた。この基板を白金製ボー
トに乗せて電気炉内に配置し、室温から5℃/分の速度
で300℃まで昇温させ、その温度で30分間熱処理し
た。なお、炉内温度が100℃に達した時点から、酸素
と水蒸気の混合ガスを炉内に導入しながら昇温及び熱処
理を行った。熱処理後、水蒸気の供給を停止し乾燥酸素
のみを導入しながら昇温させ、550〜850℃の範囲
内の温度で1時間保持して焼成した後、5℃/分の速度
で冷却して0.25μm厚の平滑でクラックのない薄膜
を得た。
ったところ、図1に示す結果が得られた。図1はゲル膜
を形成した基板を675℃で焼成して得た薄膜について
の結果である。図から、基板の結晶面方位に配向したペ
ロブスカイト構造を有するニオブ酸タンタル酸カリウム
薄膜が得られることが解る。なお、650℃以下の温度
で焼成したものは、パイロクロア相を生成していた。
し、緻密で配向性に優れた均一な厚さのニオブ酸タンタ
ル酸カリウム薄膜を低温で容易に製造することができ、
しかも、ペロブスカイト相のみからなる薄膜を得ること
ができる。
酸カリウム薄膜のX線回折パターンを示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 カリウムアルコキシド、タンタルアルコ
キシド及びニオブアルコキシドを所定の割合で含む溶液
を還流して一般式:K(TaxNb1-x)O3、(但し、0.2
5≦x<1.00である。)で表されるニオブ酸タンタ
ル酸カリウムの前駆体である複合アルコキシドを生成さ
せ、その反応液を濃縮した後、基体表面に塗布して複合
アルコキシドからなる薄膜を形成させ、該薄膜を酸素・
水蒸気混合気流中で熱処理し、次いで焼成することを特
徴とするニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法。 - 【請求項2】 前記焼成を650℃以上の温度で行うこ
とを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 タンタルアルコキシドとニオブアルコキ
シドを溶解した溶液を還流した後、カリウムアルコキシ
ド若しくはその溶液を添加し、再度還流することにより
複合アルコキシドを生成させることを特徴とする請求項
1又は2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03307577A JP3026871B2 (ja) | 1991-11-22 | 1991-11-22 | ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03307577A JP3026871B2 (ja) | 1991-11-22 | 1991-11-22 | ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05148656A JPH05148656A (ja) | 1993-06-15 |
JP3026871B2 true JP3026871B2 (ja) | 2000-03-27 |
Family
ID=17970755
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03307577A Expired - Lifetime JP3026871B2 (ja) | 1991-11-22 | 1991-11-22 | ニオブ酸タンタル酸カリウム薄膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3026871B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE60224748T2 (de) * | 2001-04-23 | 2009-02-05 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Kornorientierte Keramik und Verfahren zu ihrer Herstellung, sowie anisotrop geformtes Pulver und Verfahren zu seiner Herstellung |
JP2006032468A (ja) * | 2004-07-13 | 2006-02-02 | Nec Tokin Corp | 酸化物圧電材料の製造方法 |
CN114409270B (zh) * | 2021-12-16 | 2023-08-25 | 山东省科学院新材料研究所 | 一种ktn薄膜及其制备方法 |
-
1991
- 1991-11-22 JP JP03307577A patent/JP3026871B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05148656A (ja) | 1993-06-15 |
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