JP3026218U - 使い捨て鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 型成形されて絞りしわを有する紙シート材の
使い捨て鍋において、その絞りしわに起因して料理の沸
騰した湯が鍋容器外面に浸出し、水滴となる場合にこの
水滴を排除し、また底部を焦げ難くする。 【構成】 鍋底部にアルミ箔を構成して継ぎ目を設け
る、またその底部をドーム状に成形する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は主に固形燃料を使って料理がつくられる使い捨て鍋に関し、とくに型 くずれ防止と焦げ防止との点で改良された使い捨て鍋に関する。

【０００２】

【従来の技術】

実開昭６４−４７３２９号の公開実用新案公報により、「内層が紙材よりなり 、該内層の外側に被着された外層が金属薄板若しくは金属箔よりなることを特徴 とする凝似紙鍋」が開示されている。

【０００３】 また、実開平７−３６９４０号の公開実用新案公報により、「所定寸法のシー ト材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつ ば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とか らなる鍋容器において、紙材を用いて、凹部周壁とつば部にわたって形成された 多数のしわと、その多数のしわにより前記凹部周壁及びつば部における重なり幅 が小さく形成された開口末広がり部の折りひだ部とを具備していることを特徴と する、使い捨て鍋」が開示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記した実開昭６４−４７３２９号の公開実用新案公報では、「特殊な加工を 施していない通常の紙を使用することができ、熱伝導性も良好で強度的にも優れ た凝似紙鍋を提供する」と記載されており、この公開公報の紙鍋が型成形により 作られたものではなく、また絞りしわもない該公報図示例のものであるため、型 くずれについて何ら配慮されていない。

【０００５】 なお、この公開考案のように、鍋底下面全域に金属薄板若しくは金属箔を被着 させると、その優れた熱伝導性のために、その鍋底上面が焦げ易くなる恐れもあ る。

【０００６】 前記した別の実開平７−３６９４０号の公開実用新案公報では、型成形して絞 りしわを有する紙材の使い捨て鍋を提案しているが、このような成形素材が紙材 のみでは不十分であり、水や具材などを容れると多少重くなり、型くずれが生じ 易い。また、絞りしわに係る紙材の薄肉部では料理の沸騰した湯が、ときおり鍋 容器外面に滲出してその外面に露となって底部に伝わり、固形燃料の中に落ち消 火させるという不都合が起る。

【０００７】 本考案の目的は、このような不都合を解消するため、型くずれし難く、また型 成形上の絞りしわに起因する水滴を排除し、さらには底部を焦げ難く熱効率のよ い、使い捨て鍋を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

前記した目的は、紙シート材にポリエチレンなどの樹脂がラミネートされた複 合紙シート材により型成形されて多数の絞りしわを有する使い捨て鍋において、 その底部を平面にまたはドーム状に少し浮き上らせその底部にアルミ箔を構成さ せることにより、達成される。

【０００９】

【考案の実施の形態】

本考案の好適な実施例は図面に基づいて説明される。 図１と図２はその各実施例を示し、とくにその底部をよく見えるようにした斜 視図であり、図４は図１の平面図、図５は図２の側面図である。

【００１０】 １０は本考案による使い捨て鍋であり、紙シート材にポリエチレンなどの樹脂 がラミネートされた複合紙シート材により型成形されて、図示例のように多数の 絞りしわを有する。１２はわん状底部、１２Ｗは底周壁部、１４は底周壁部１２ の上方周縁に連設されたつば部であり、図示しないが固形燃料用こんろの上部開 口周縁部に乗っかかり支持されるところである。１６はそのつば部１４より幅広 となる開口末広がり部である。

【００１１】 本考案による使い捨て鍋は、堅い紙ないし紙シート材だけの成形では型くずれ が生じるので、紙シート材にポリエチレンなどの樹脂が７から３０μｍでラミネ ートされた複合紙シート材を用い、そのラミネーターは押出コーティング法によ るものが好ましく、これにより本考案による成形鍋に型くずれ防止としての強度 、ヒートシール性、また防水性、その他その樹脂の有する性質が付与される。

【００１２】 また本考案によれば、図１、２及び３に示すように、鍋底部１２にアルミ箔（ クロスハッチング部）を構成させることで、複合紙シート材部との継ぎ部または 底部外側周囲部で型成形上の絞りしわに起因する水滴を留めさせ固形燃料（図示 しない）の外側に落し排除させる。なお、図２に示すように、鍋底部１２’はド ーム状に少し浮き上って成形されている。この実施例ではこのように浮き上った 上面凸部ではその底部面積を広げ、熱伝導の一局集中を排除し、つまり焦げを防 止して熱効率が高められると共に、その下面凹部には空気層が生じ、これにより また局部過熱が防止され、同様の効果を得る。

【００１３】 アルミ箔の構成方法にも種々の態様が提案される。図１では底部周壁部１２Ｗ の一部までも含めてアルミ箔１２Ａ（クロスハッチング部）が構成されており、 図２では底部１２の下面全域にアルミ箔１２’Ｂ（クロスハッチング部）が、ま た図３では底部１２の主に中心を含む下面小径部にアルミ箔１２Ｃ（クロスハッ チング部）が、それぞれ構成されている。その態様は限定されない。

【００１４】 図４より明らかなように、この実施例では複合紙シート材を方形状にしたもの が用いられているが、図６のように円形状にしたものを用いてもよい。図７は円 形状に用いたもので成形された本考案による使い捨て鍋の側面図を示したもので ある。鍋容器ないし開口末広がり部１６の外形は限定されず、どのような外形を 有してもよい。

【００１５】 前記した実施例では、つば部１４を有する鍋容器１０に対して適用されている が、このようなつば部を有しない鍋容器についても本考案は適用される。

【００１６】 なお、前記した実施例では、鍋底部またはその下面は複合紙シート材にアルミ 箔が接着されて重ね合わした構成になっているが、アルミ箔のみで構成されても よい、その場合には方形状、円形状などにカットした複合紙シート材の中心を切 り抜き、その部分に少し大きい寸法のアルミ箔が構成されたものを用いて型成形 される。

【００１７】 このような使い捨て鍋に具材を詰めて、こんろに掛け、適量の固形燃料に火を つけると、約７００℃の熱により７分から１０分で煮沸し、その後は保温状態の 温度下で１０〜１５分でその料理を食べることになり、全体で２０分前後で自然 と消火される。この時間内でラミネートされたポリエチレンなど樹脂は一部が溶 融してしまい、料理のあくなど水分と共に基材の紙シート材に含侵して味のよい 料理が得られる。しかし必要な時間内で、鍋容器の型くずれは都合よく防止され ている。

【００１８】 本考案による鍋容器は型成形により多くの絞りしわを有するので、そのしわ部 薄地では料理水が含侵し易く、容器外壁面にまたその下方底部へ伝わって水滴と なり、これが固形燃料に落下して消火させる不具合いが生じることがある。これ に対して、本考案では底部にアルミ箔が構成されているのでその継き目で水滴を 留保させ、固形燃料の配置外に排除させることができる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案によれば、紙シート材にポリエチレンなど樹脂などをラミネートさせて 複合紙シート材を用いることにより、強度性、ヒートシール性及び防水性を高め て鍋容器の型くずれを防止する。また、鍋底部にアルミ箔を構成させることで、 その継ぎ部または底部外側周囲部で型成形上の絞りしわ薄地に水が含浸して起因 する水滴を留めさせ、これを固形燃料の外側に落し排除し、さらに鍋底部をドー ム状に少し浮き上らせて底部面積を広げ、熱伝導の一局集中を排除し、焦げを防 止すると共に熱効率を高める。

【００２０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例を示し、とくに底部がよく見
えるようにした斜視図。

【図２】他の実施例を示した図１同様図。

【図３】別の実施例を示し、底部のみを示した斜視図。

【図４】図１の平面図。

【図５】図２の側面図。

【図６】鍋容器外形について他の態様例を示した平面
図。

【図７】図６の側面図。

【符号の説明】

１０ 鍋容器 １２ 底部 １２Ｗ 底周壁部 １４ つば部 １６ 末広がり部 １２Ａ、１２’Ｂ、１２Ｃ アルミ箔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 大同 吉之 兵庫県西宮市枝川町13番98棟402号 (72)考案者 徳永 宜則 大阪市淀川区新高１丁目12番１号810 (72)考案者 大友 精二 大阪市中央区淡路町２丁目２番９号本州製 紙株式会社内 (72)考案者 松井 薫 大阪市中央区瓦町１丁目６番10号本州電材 株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 紙シート材にポリエチレンなどの樹脂が
   ラミネートされた複合紙シート材により型成形されて多
   数の絞りしわを有する使い捨て鍋において、その底部に
   アルミ箔が構成されていることを特徴とする、使い捨て
   鍋。
2. 【請求項２】 底部がドーム状に型成形されていること
   を特徴とする、請求項１に記載の使い捨て鍋。