JP3024289B2 - 反射ミラー支持装置及びそれを用いた位置決め装置 - Google Patents

反射ミラー支持装置及びそれを用いた位置決め装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射ミラー支持装置及
びそれを用いた位置決め装置に関し、例えば半導体製造
装置、精密測定器、精密工作機械などで、可動ステージ
に固定支持した反射ミラー支持装置とレーザ干渉計とを
利用して、該可動ステージの位置決めを制御する際に好
適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来より可動のステージの位置情報を該
ステージに載置した反射ミラー支持装置とステージとは
独立に設けたレーザ干渉計とを用いて検出して、該ステ
ージの位置決めを行う位置決め装置を用いた半導体素子
製造用の露光装置が例えば特開平2−126626号公
報、特開昭62−281422号公報、特開昭64−8
9327号公報等で提案されている。
【0003】このとき用いられている反射ミラー支持装
置における反射ミラー(以下「ミラー」という。)の固
定支持は例えば図5、図6、図7に示す方法等で行なわ
れている。図5、図6、図7において4はミラー、5は
ミラー4の測長光反射用参照面としての反射面である。
【0004】図5の方法ではミラー4を直接ステージ5
1上に接着剤20で接着固定している。図6の方法では
ミラー4をネジ等の締結部材16でステージ51に固定
している。図7の方法ではミラー4を支持部材18に押
しネジ17等で押しつけて固定している。19はミラー
4と固定部材18の片当たり部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図5に示す方法はミラ
ー4を固定するために接着剤20を使用しているために
接着剤の硬化時の体積変化による収縮力によって、反射
面5が歪むと言う問題点があった。また、接着剤の剛性
が低いために完全に固定されるとは限らず、ミラーの振
動が発生するなどの欠点もあった。
【0006】図6に示す方法は、ミラー4に締結部材1
6で直接締結力を加えるために51にほぼ完全に固定す
ることは可能であるが、そのために反射面5が歪むとい
う問題点があった。
【0007】図7に示す方法は、ミラー4を押しねじ1
7等で適度に押しつけて反射面5が歪むという問題点を
回避しているが、押し付け力がミラー4を完全固定させ
るには至らず、位置決め時に動いてしまうという問題点
があった。また、この方法で反射面5が歪むという問題
点を回避するためには、押し付け力を加える押し点の位
置関係を正確にする必要があり、サブミクロンのオーダ
ーという高精度で各部品精度を管理し、組みつけなけれ
ばならないという問題点があった。
【0008】一般にこのような精度を得るのは難しく、
位置決め時に微小にミラーが動くことを止めることがで
きず接触部分で微小な滑りが生じ、接触摩擦によってミ
ラーの位置が不安定になるなどの問題点があった。
【0009】本発明はミラーを支持装置の所定位置に反
射面の歪みが少なく、かつ迅速高精度に固定支持するこ
とができる。例えば半導体素子製造用の露光装置の可動
ステージの位置決めを行う際に好適な反射ミラーの支持
装置及びそれを用いた位置決め装置の提供を目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の反射ミラーの支
持装置は、反射ミラーの反射面と固定部との境界部分に
溝部を設け、該固定部を固定部材で固定支持したことを
特徴としている。
【0011】特に以下に述べる実施例では、 (イ)前記溝部を前記反射ミラーの反射面側と該反射面
の裏面側の双方に設けたこと。 (ロ)前記固定部と前記固定部材との接触面の少なくと
も一部に接触応力分散部材を設けたこと。 (ハ)前記固定部材は前記反射ミラーの底面に対して3
カ所、上面に対して2カ所、反射面に対して2カ所、そ
して裏面に対して2カ所に固定用の受け面を設けたこ
と。 (ニ)前記接触応力分散部材の少なくとも1つに押圧力
が可変の押圧力可変手段を設けたこと等を特徴としてい
る。
【0012】又、反射ミラー支持装置を用いた位置決め
装置としては可変のステージ上に載置した反射ミラー支
持装置の有効領域の反射面に該ステージとは独立に設け
たレーザ干渉計からレーザ光を入射させ、該反射面で反
射させたレーザ光を用いて該ステージの位置情報を検出
して該ステージの位置決めを行う際、該反射ミラー支持
装置は該反射面と有効領域外の固定部との境界部分に該
境界に沿って溝部を設け、該固定部を該ステージに対し
て固設した固定部材で固定支持していることを特徴とし
ている。
【0013】
【実施例】図1は本発明の反射ミラー支持装置を用いた
位置決め装置の要部断面図である。本実施例では例えば
半導体素子製造用の露光装置のXYステージ等の可動の
ステージに適用し、該ステージの位置情報を検出して位
置決めを行う場合を示している。
【0014】図中101は反射ミラー支持装置、102
は可動のステージであり反射ミラー支持装置101を載
置している。103はレーザ干渉計でありレーザ光を反
射ミラー支持装置101の反射面5aに入射させ該反射
面5aで反射されて戻ってきたレーザ光を利用して反射
ミラー支持装置101の位置情報を検出して位置決めし
ている。即ちステージ102の位置決めを行っている。
【0015】次に本実施例における反射ミラー支持装置
101の各要素について説明する。図2(A)、(B)
は反射ミラー4の側面図と正面図、図3(A)、(B)
は反射ミラー4の受け面の上面図と側面図である。
【0016】図中4は反射ミラー(全反射に限らず一部
反射、一部透過のものであっても良い。)である。図2
(A)、(B)に示すように反射ミラー4は有効領域の
反射面5aと有効領域外の固定部6の2つの領域より成
っている。そして反射面5aと固定部6との境界部分の
反射面5aと裏面5bの双方に境界に沿ってスリット状
の溝部3を設けている。
【0017】18は固定部材であり、反射ミラー4を固
定支持している。7は固定部材18の一部に設けた反射
ミラー4の底面の固定用の受け面である。受け面7は図
3に示すように反射ミラー4の底面に対応した位置に全
体として3カ所に設けている。
【0018】このときの受け面7の位置は反射ミラー4
の長さL1に対する受け位置の比率で決めており、所謂
ベッセル点と呼ばれる位置である。又幅L2方向に対す
る位置は反射ミラー4の重心と一致させている。
【0019】このように本実施例では反射ミラー4を固
定部材18に固定支持する際、接触部分の押し付け力に
よる反射ミラー4自身の弾性変形による反射面5aの歪
みをヘルツ、ブーシネスクらの理論から影響の及ぶ範囲
を計算し、反射ミラー4の反射面5aと固定部6との境
界部分に溝部3を設けている。これにより固定部6で発
生した歪みが反射面5aに伝えにくくしている。
【0020】そして、平面は、3点で位置が決まるとい
う原理に基づいて反射ミラー4を受ける底部の受け面7
の部分を前述の如く3カ所とし、自重変形が最小となる
位置に設定し、水平方向の移動を規制するための部材も
対向位置から押しつける様にして反射面5aの歪みが極
小となる様にしている。
【0021】8は固定部材18の一部に設けた反射ミラ
ー4の側面の固定用の受け面である。受け面8で反射ミ
ラー4の固定部6を接触応力分散部材15を介して押圧
し、固定支持している。接触応力分散部材15としては
例えば柔らかい金属、プラスチック、ゴム等が適用可能
である。
【0022】本実施例では接触応力分散部材15の1つ
に押圧力が可変の押し部材9、スプリング10そして調
整ネジ11等を有する押圧力可変手段104を設けてい
る。この押圧力可変手段104により押圧力を調整する
ことにより反射ミラー4が固定部材18に反射面5の歪
みが少なくなるように効果的に固定支持できるようにし
ている。
【0023】このように本実施例では、固定部材18と
反射ミラー4との接触部分の間に接触応力を分散させる
ための接触応力分散部材15を挿入して、反射ミラー4
を固定するのに必要な押し付け力を局部的に加わらない
様にし、ステージ102の位置決め時の微小な反射ミラ
ー4の動きは接触応力分散部材15の弾性的な剪断変形
で吸収する様にしている。
【0024】12は上下方向の押し付け用の板バネであ
り、一端で接触応力分散部材15を介して反射ミラー4
の上面を押圧し、支持している。板バネ12の他端は板
バネ固定ワッシャー14を介して板バネ固定ビス13に
より固定部材18の一部に固定している。
【0025】本実施例では以上のようにして反射ミラー
4を固定部材18に固定支持している。本実施例におい
て反射ミラー4の反射面5と固定部6との境界部分に設
ける溝部3の溝形状はスリット状の他に図4(A)、
(B)に示すようにV字状1やU字状2等のような形状
であっても良い。
【0026】本実施例においては溝部3の反射面5a
(裏面5b)からの深さD1は反射面5a側と裏面5b
側の双方に溝部3を設けた場合にはその合計の深さをD
1、反射ミラー4の幅をL2としたとき
【0027】
【数1】 程度となるようにしている。
【0028】このような条件を満足させることにより反
射ミラー4を反射面5aの歪みが少なくかつ固定部材1
8に高精度に固定支持している。
【0029】以上のように本実施例においては従来の反
射ミラー支持装置が有していた問題点、例えば (イ)反射ミラーを固定支持させるための押し付け力が
局部的に作用し、これによって反射面が歪むこと。 (ロ)固定支持を確実にするために微小な接触部分に大
きな押し付け力を加える必要があるために、局部的な摩
擦力がさらに増大して、位置決め時のミラーの位置を不
安定にしていること。 (ハ)反射面を歪ませない様にするためには、押し付け
力を加える押し点の位置関係を正確にする必要があり、
サブミクロンのオーダーで各部品精度を管理し、組み付
けなければならず、大変困難であったこと。
【0030】等を前述の如く各要素を構成することによ
り良好に解決している。例えば固定部材18と反射ミラ
ー4の接触部分の間に接触応力を分散させるための接触
応力分散部材15を挿入して、反射ミラー4を固定する
のに必要な押し付け力を局部的に加わらない様にし、位
置決め時の微小なミラーの動きは接触応力分散部材15
の弾性的な剪断変形で吸収する様にしている。これによ
り反射ミラー4の摩擦力による不確定な位置への微小な
移動が回避され、位置決め時にミラーに作用する外力が
無くなり反射ミラー4は、接触応力分散部材15の弾性
的な回復力によって、位置ずれやヒステリシスを発生す
ることなく、所定の位置に高精度に復元している。
【0031】又、従来の反射ミラー支持装置では固定部
材の加工精度、組み立て精度の問題で“片当り”するた
めに、反射ミラーを微小変形させないような理想的な状
態で押し付け力を加えることができながったが、本実施
例によれば、接触応力分散部材を接触部分の間に挿入し
て“片当り”の影響を効果的に低減させている。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば前述の如く各要素を設定
することによりミラーを支持装置の所定位置に反射面の
歪みが少なく、かつ迅速高精度に固定支持することがで
きる。例えば半導体素子製造用の露光装置の可動ステー
ジの位置決めを行う際に好適な反射ミラーの支持装置及
びそれを用いた位置決め装置を達成することができる。
【0033】特に従来は固定部材の押し付け力が、反射
面に歪みを発生させない様にすることによって、従来、
λ/10(λ=633nm)程度の面精度、0.02μ
m程度あった反射ミラーの位置ずれを、本発明によれ
ば、λ/20〜λ/30の面精度で固定可能となり、位
置決め時の反射ミラーの位置ずれを0.005μm以下
に押さえることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反射ミラー支持装置を用いた位置決
め装置の要部断面図
【図2】 図1の反射ミラーの概略図
【図3】 図1の反射ミラー支持装置の要部概略図
【図4】 本発明に係る反射ミラーの他の実施例の概略
【図5】 従来の反射ミラー支持装置の概略図
【図6】 従来の反射ミラー支持装置の概略図
【図7】 従来の反射ミラー支持装置の概略図
【符号の説明】
3 溝 4 反射ミラー 5a 反射面 5b 裏面 6 固定部 7,8 受け面 9 押し部材 10 スプリング 11 調整ネジ 12 板バネ 15 接触応力分散部材 18 固定部材 101 反射ミラー支持装置 102 ステージ 103 レーザ干渉計

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射ミラーの反射面と固定部との境界部
    分に溝部を設け、該固定部を固定部材で固定支持したこ
    とを特徴とする反射ミラー支持装置。
  2. 【請求項2】 前記溝部を前記反射ミラーの反射面側と
    該反射面の裏面側の双方に設けたことを特徴とする請求
    項1の反射ミラー支持装置。
  3. 【請求項3】 前記固定部と前記固定部材との接触面の
    少なくとも一部に接触応力分散部材を設けたことを特徴
    とする請求項1の反射ミラー支持装置。
  4. 【請求項4】 前記固定部材は前記反射ミラーの底面に
    対して3カ所、上面に対して2カ所、反射面に対して2
    カ所、そして裏面に対して2カ所に固定用の受け面を設
    けたことを特徴とする請求項1の反射ミラー支持装置。
  5. 【請求項5】 前記接触応力分散部材の少なくとも1つ
    に押圧力が可変の押圧力可変手段を設けたことを特徴と
    する請求項3の反射ミラー支持装置。
  6. 【請求項6】 可変のステージ上に載置した反射ミラー
    支持装置の反射面に該ステージとは独立に設けたレーザ
    干渉計からレーザ光を入射させ、該反射面で反射させた
    レーザ光を用いて該ステージの位置情報を検出して該ス
    テージの位置決めを行う際、該反射ミラー支持装置は該
    反射面と固定部との境界部分に溝部を設け、該固定部を
    該ステージに対して固設した固定部材で固定支持してい
    ることを特徴とする反射ミラー支持装置を用いた位置決
    め装置。
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