JP3021851U - パッド - Google Patents

パッド

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JP3021851U
JP3021851U JP1995009817U JP981795U JP3021851U JP 3021851 U JP3021851 U JP 3021851U JP 1995009817 U JP1995009817 U JP 1995009817U JP 981795 U JP981795 U JP 981795U JP 3021851 U JP3021851 U JP 3021851U
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義郎 玉井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パッド、特に、内部に形状記憶材を配位した
肩パッドにおいて、安全性を向上させ、形状記憶材の正
確な位置決めを容易に行うことができるようにする。 【解決手段】 形状記憶材3を袋状体2内に収納して、
パッド素材11,12,13,14,15の内部に配位
する。袋状体2には、開口部4と位置決め部5を形成し
て、大きく開いた開口部4から形状記憶材3を挿入し
て、位置決め部5に沿わせることにより、正確な位置決
めがなされる。袋状体2の両端には、突き出し防止部
6,6を設けて、形状記憶材3が袋状体2から突出する
ことを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本願考案は、肩パッド等の衣服に用いるパッド及びこのパッドの製造方法に関 するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、肩パッド等の衣服に用いるパッドにおいては、形状記憶合金や形状 記憶樹脂等の形状記憶材をパッド内に配位して、パッドの整形性を高めるように 改良がなされている。特に、この種のパッドは、長期の保管や衣服の洗濯等で形 状が変化しても、例えば、衣服を装着した際における体温による温度上昇等によ って、適当な温度にまで温度が上昇することにより、着用時には形状回復して、 良好な形状を保ち得ると言った利点がある。
【0003】 例えば、実開昭63−11519号公報においては、繊維材料等の柔軟なパッ ド素材を複数層重ねた内部に、長尺の形状記憶材合金製の線材を挿通した肩パッ ドが開示されている。この肩パッドは、肩パッドの先端(肩先)寄りの内部に、 細い筒状の空洞部分を形成しておき、この空洞部分の開口した一端から他端に、 形状記憶材合金製の線材を先端から通していくものである。ところが、肩パッド の形状自体が3次元的に湾曲しており、また、形状記憶材合金製の線材も湾曲し ているため、この挿通には、非常な手間がかかり、また、挿通した後の空洞部分 の開口した一端を確実に塞いでおかないと、形状記憶材合金製の線材の先端が開 口から突出して、衣服を破ったり、最悪の場合には人を傷つけてしまうと言った おそれがある。
【0004】 また、実開平4−37217号公報においては、繊維材料等の柔軟なパッド素 材を二つ折りにして、この折り目に沿わせて形状記憶材合金製の線材やネット等 を、配位するようにした肩パッドが開示されている。このパッドは、パッド素材 を二つ折りにして、その間に形状記憶材を挟むため、制作の作業性は改善されて いるものの、折り目に沿わせて形状記憶材を配位するため、形状記憶材の位置が 、折り目に限定され、配位する位置の自由度が小さくなってしまう。より詳しく は、このパッドでは、折り目がパッドの先端(肩先)となるが、常に肩先に沿っ た位置に形状記憶材が位置することとなり、この肩先より、所定長さだけ内側に 入った位置に形状記憶材を配位したい場合には、その位置決めが極めて困難であ り、作業性も悪くなる。また、挿通した後の空洞部分の開口した一端を確実に塞 いでおかないと、形状記憶材合金製の線材の先端が開口から突出して、衣服を破 ったり、最悪の場合には人を傷つけると言ったおそれがある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本願考案は、このような従来のパッドの課題を解決するものであり、より具体 的には、形状記憶材の突き出しを防止して安全性を向上させることができ、しか も、湾曲したパッドに湾曲した形状記憶材を配位する際に、正確に位置決めを行 って形状記憶材を配位できると共に、正確な位置決めを行った場合にも、良好な 生産性を得ることのできるパッドを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の考案は、繊維材料等の柔軟なパッド素材11,12,13,14 ,15の内部に、形状記憶材3を配位したパッドにおいて、形状記憶材3が袋状 体2内に配位され、この袋状体2が柔軟なパッド素材11,12,13,14, 15の内部に配位され、この袋状体2における形状記憶材3の先端の延長線上に ある部分が閉じられて、突き出し防止部6,6とされたものであることを特徴と するパッドを提供する。
【0007】 このように、本願の第1の考案においては、形状記憶材3が、パッド内の袋状 体2内に入れられているものであるため、作業性が良く、位置決めも容易で且つ 確実である。即ち、袋状体2を正しくパッドの所定の位置に配位することによっ て、形状記憶材3も、正しくパッドの所定の位置に配位することができる。特に 、形状記憶材3を線材等の長尺のものとした場合、それ単独では位置決めが困難 であるが、袋状体2内に収納することによって、位置決めが簡単で正確なものと することができる。しかも、この袋状体2における形状記憶材3の先端の延長線 上にある部分が閉じられて、突き出し防止部6,6とされているため、形状記憶 材3の先端が袋状体から突き出すことを防止でき、安全性を向上させることが可 能になったものである。
【0008】 本願の第2の考案は、対向する2つの長辺の少なくとも一方側が閉じられて位 置決め部5とされ、対向する2つの短辺が閉じられて突き出し防止部6,6とさ れた袋状体2が、他のパッド素材11,12,13,14,15と共に配位され 、形状記憶材3が、位置決め部5に沿わされ、且つ上記の両突き出し防止部6, 6間に挟まれた状態で、袋状体2内に配位されたものであることを特徴とするパ ッドを提供する。
【0009】 尚、袋状体2は、少なくとも2枚のシート状体21,22によって構成され得 るが、1枚のシート状体を2つ折りにすることによって、2枚としてもよい。従 って、長辺側が閉じられた位置決め部5は、2枚のシート状体21,22を縫製 や接着して形成することができるが、上記の2つ折りの折り曲げ線によって形成 されているものとしてもよい。即ち、位置決め部5は、折り曲げ線によって、そ の全部或いは一部が構成されているものであってもよい。
【0010】 本願の第2の考案においては、形状記憶材3が、パッド内の袋状体2内に入れ られているものであるため、作業性が良く、位置決めも容易で且つ確実である。 特に、形状記憶材3が、位置決め部5に沿わされ、且つ上記の両突き出し防止部 6,6間に挟まれた状態で、袋状体2内に配位されているため、形状記憶材3は 位置決め部5に沿って正確に位置決めでき、且つ、長手方向の位置も両突き出し 防止部6,6によって正確に定まる。しかも、突き出し防止部6,6によって、 形状記憶材3の先端が袋状体2から突き出すことを防止でき、安全性を向上させ ることが可能になったものである。
【0011】 本願の第3の考案は、第2の考案に係るパッドにおいて、袋状体2における上 記の対向する2つの長辺の他方が開口した開口部4とされ、形状記憶材3が、こ の開口部4から袋状体2内に挿入された後、縫着等の適宜固定手段で固定された ものであることを特徴とするものを提供する。
【0012】 本願の第3の考案にあっては、開口部4が長尺の形状記憶材3の長手方向に沿 って形成されているため、湾曲した長尺の形状記憶材3であっても、開口部4を 大きく開くことができ、スムーズに開口部4内に入れることができる。このとき 、開口部4の長さは、長尺の形状記憶材3の長さに略等しいか、或いはそれより 長くしておくと、無理なく極めてスムーズに入れることができる。尚、開口部4 の長さは、長尺の形状記憶材3の長さより短くても、形状記憶材3を湾曲させた り歪めてやるか、或いは斜めにすることで挿入できる長さであれば、実施に際し て問題はない。そして、この挿入時に、形状記憶材3を袋状体2の奥(底)まで 突き当たるように入れることによって、形状記憶材3は位置決め部5に自然と沿 うこととなり、形状記憶材3を押し込むと言った作業だけで位置決めが完了する 。そして、位置が決定した後に、形状記憶材3を固定することによって、その位 置が不動のものとなる。
【0013】 本願の第4の考案は、第2、第3の考案に係るパッドにおいて、袋状体2が、 形状記憶材3の上下に位置する少なくとも2枚のパッド素材21,22によって 構成され、突き出し防止部6,6が、形状記憶材3の上下に位置する2枚のパッ ド素材21,22の少なくとも一方を折り返して他方に重ねた状態で、パッド素 材同士21,22が接続されることにより形成されたものであることを特徴とす るものを提供する。このように、折り返して他方に重ねることにより突き出し防 止部6,6が形成されているため、形状記憶材3の先端が突き出し防止部6,6 を突き破って突出することは極めて困難となり、安全性がさらに向上したもので ある。
【0014】 本願の第5の考案は、このパッドが、洋服の肩kの前後に渡って伸びる形状記 憶材3を内部に有すると共に、洋服の肩kの上部に配位される肩用のパッドに関 するものであり、肩kの前後に渡って伸びる開口部4が、この肩用のパッドの肩 先k1側の一辺に沿って形成される。この開口部4の奥に、形状記憶材3の位置 を規定する位置決め部5が形成され、その両端に突き出し防止部6,6が形成さ れる。この位置決め部5と突き出し防止部6,6は、形状記憶材3の上下に位置 するパッド素材21,22同士が接続されることにより形成されたものである。 そして、形状記憶材3は、開口部4から挿入され、位置決め部5に沿わされ、且 つ上記の両突き出し防止部6,6間に挟まれたものである。
【0015】 本願の第6の考案は、上記第5の考案において、形状記憶材3が、開口部4か ら袋状体2内に挿入され、縫着等の適宜固定手段で固定されたものであり、突き 出し防止部6,6が、形状記憶材3の上下に位置する2枚のパッド素材21,2 2の少なくとも一方を折り返して他方に重ねた状態で、パッド素材同士21,2 2が接続されていることを特徴とするものを提供する。
【0016】 この第5、第6の考案に係るパッドは、肩kの前後に渡って伸びる開口部4が 、この肩用のパッドの肩先k1側の一辺に沿って形成されているため、洋服の肩 kの前後に渡って伸びる形状記憶材3をスムーズに内部に挿入し得る。このとき 、開口部4の長さは、長尺の形状記憶材3の長さに略等しいか、或いはそれより 長くしておくことが望ましい。但し、開口部4の長さが、長尺の形状記憶材3の 長さより短くても、形状記憶材3を湾曲させたり歪めてやるか、或いは斜めにす ることで挿入できる長さであれば、実施に際して問題はない。そして、開口部4 の奥に、形状記憶材3の位置を規定する位置決め部5が形成されているため、形 状記憶材3を奥まで突き当たるように入れることによって、形状記憶材3は位置 決め部5に自然と沿うこととなり、形状記憶材3を押し込むと言った作業だけで 位置決めが完了する。しかも、形状記憶材3は位置決め部5に沿って正確に位置 決めでき、且つ、長手方向の位置も両突き出し防止部6,6によって正確に定ま る。さらに、突き出し防止部6,6によって、形状記憶材3の先端が袋状体2か ら突き出すことを防止でき、安全性を向上させることが可能になったものである 。特に、少なくとも一方のパッド素材を折り返して他方に重ねることにより突き 出し防止部6,6を形成することにより、形状記憶材3の先端が突き出し防止部 6,6を突き破って突出することは極めて困難となり、安全性がさらに向上する ものである。
【0017】
【考案の実施の形態】
以下、図面に基づき、本願考案の実施の形態について説明する。 図1は、一つの実施の形態に係るパッドの斜視図であり、図2は同パッドの開 口部を開いた状態の斜視図である。図3の(A)は同パッドの平面図であり、( B)は同正面図である。図4は同パッドの袋状体の斜視図であり、図5は同パッ ドの使用位置を示す説明図である。
【0018】 このパッド1は、図5に示すように、ブレザーや学生服等の重衣料やワンピー ス、ブラウス等の軽衣料等の各種衣服の肩パッドであり、通常の肩パッドと同様 、ブレザーbの肩kの上部内に縫着される。この肩パッド1は、洋服の肩の上部 を中心として、肩の前後(前身頃側と後身頃側)に伸びるように、湾曲している 。また、通常の肩パッドと同様、肩先k1(肩と腕との境界)側の厚みが大きく 、首側に近づくに従って厚みが薄くなる。そして、この肩パッド1においては、 肩先寄りの内部に、肩の前後に渡って伸びる形状記憶材3が配位されている。
【0019】 この肩パッド1は、図1乃至図3に示すように、繊維材料等の柔軟なパッド素 材11,12,13,14,15を複数層重ねた内部に、形状記憶材3が配位さ れている。パッド素材としては、従来と同様、不織布、織地、編地、綿や、ウレ タンを始めとする柔軟な合成樹脂等を用いることができる。また、この実施の形 態では、パッド素材11,12,13,14,15を複数層重ねてパッドとして いるが、積層する枚数は適宜変更でき、また、スポンジ状のパッド素材を一つだ け用いて、その内部に形状記憶材3を配位してもよい。尚、図では、表面のパッ ド素材11は、比較的薄い不織布や織生地を用いたものとして、厚みのない「線 」で示されている。
【0020】 次に、形状記憶材3は、形状記憶合金や形状記憶樹脂が用いられ、また、これ らの素材の形状は、1本或いは複数本の線材状のものや、或いはネットや編地や 織地状として実施し、他のパッド素材と同程度の面積を有する面状の形状記憶材 としてもよい。形状記憶材は、高くても体温と同程度の温度によって、記憶した 形状に回復するものが適しており、着用時或いは洗濯後の乾燥によって、所定の 形状を示すものを採用すればよい。この実施の形態では1本の形状記憶合金製の 線材が用いられ、この形状の変化によって、パッド全体の形状を所望の形状に整 えることができるものである。
【0021】 この形状記憶材3は、肩パッド1の肩先k1の端面に設けられた開口部4から 肩パッド1内に挿入される。即ち、この開口部4は、パッドの肩先k1側の端辺 に沿って、肩の前後に伸びるように形成されている。そして、この開口部4の奥 (即ち、肩パッド1の肩先から首側へ入った適当な位置)に、形状記憶材3の位 置を規定する位置決め部5が形成される。この位置決め部5は、開口部4を形成 する2枚のシート状体21,22を閉じることによって形成される。尚、このシ ート状体21,22も薄いため、図では「線」で表現されている。閉じる方法は 、2枚のシート状体21,22同士を縫着や接着や金具等で固定することによっ て形成され得る。これらの固定は、線状に連続して行ってもよいが、断続的に数 箇所を固定してもよい。要は、形状記憶材3を挿入した際に、形状記憶材3に当 接し、固定箇所より奥に形状記憶材3を進めることができないものであればよい 。
【0022】 この実施の形態においては、この開口部4を形成するシート状体21,22を 、袋状体2として、実施している。この袋状体2の素材には、他のパッド素材1 1、12、13、14、15と同様の柔軟なシート状のパッド素材を用いること ができる。より望ましくは、パイル等の設けられていない平滑で比較的目の詰ま った織布(例えば、帆布やデニム等の厚手のもの)を用いることができるが、薄 手のものであってもよく、織り組織や使用する糸に関しては自由に変更できる。 また合成樹脂シートや不織布等の他の素材に変更することができる。さらに、袋 状体2を、2重、或いは3重以上に重ねたものとしてもよい。
【0023】 この袋状体2は、図4に示すように、対向する長辺の一辺が開口して開口部4 とされ、長辺の他辺側が閉じられて位置決め部5とされた、有底の袋状となって いる。そして、挿入した形状記憶材3が、その前後方向に突き出さないように、 対向する2つの短辺が閉じられて突き出し防止部6,6が形成されている。即ち 、開口部4を袋の口として、位置決め部5を袋の底とした場合、この突き出し防 止部6,6は、袋の側部に該当する。この袋の側部は、閉じる必要はないが、こ の実施の形態においては、これを閉じることによって、突き出し防止部6,6と して活用したものである。
【0024】 形状記憶材3は、開口部4から挿入されるが、その際、図2に示すように、開 口部4を大きく開くことができ、長く湾曲した形状記憶材3であっても、無理な く、極めて容易に大きく開いた開口部4から、形状記憶材3を肩先k1から奥に 、入れることができる。そして、形状記憶材3を奥の位置決め部5に突き当たる まで入れると、自然に、その位置が決まるものである。即ち、形状記憶材3が、 位置決め部5に沿った状態、即ち、隣接した状態となるものである。
【0025】 特に、図3に示すように、形状記憶材3は、平面から見ても、正面から見ても 湾曲している。このように3次元的に湾曲した形状記憶材3を正確に位置決めし て、円滑に作業性良く挿入することは極めて困難であったが、肩先k1側に肩の 前後に渡って、形状記憶材3の略全長に渡って開口する開口部4を、大きく開く ことによって、極めて容易に挿入でき、しかも、形状記憶材3を奥の位置決め部 5に突き当たるまで入れるだけで、正確な位置決めもなし得るものである。
【0026】 尚、1枚のシート状体を2つ折りにして、袋状体2を形成してもよい。この場 合、2つ折りの折り目線が、袋の底、即ち位置決め部5となる。但し、上記のよ うに、縫着や接着等の固定手段で位置決め部5を形成する方が、湾曲した形状記 憶材3の形状に応じた形状に位置決め部5を形成できる点で有利である。
【0027】 さらに、突き出し防止部6,6を位置決め部5の両側に設けることによって、 形状記憶材3を奥の位置決め部5に突き当たるまで入れるだけで、形状記憶材3 の両端の位置が、突き出し防止部6,6に当接して決定されるものであり、肩の 前後方向の位置も、同時に正確に定まるものである。しかも、着用時に形状記憶 材3が前後に動こうとしても、突き出し防止部6,6に形状記憶材3の前後端が 当たるため、形状記憶材3の前後端が突出してしまうことを防ぐことができ、洋 服や人を傷つけるおそれを無くすることができる。尚、この実施の形態では、形 状記憶材3の前後の両端に、合成樹脂製のキャップ31,31を装着することに よって、万が一の場合の安全性を高めている。
【0028】 挿入した形状記憶材3は、そのままでもよいが、図1に示すように、糸n1を 用いてミシン等によって、縫着することにより、固定してもよい。縫着は、袋状 体2を形状記憶材3より肩先k1側において、縫着することにより、この縫着と 位置決め部5との間に、形状記憶材3を挟むようにして固定してもよく、或いは 、図1に示すように、形状記憶材3を中心にして、糸n1をジグザク縫いの要領 で、縫着して固定してもよい。また、縫着以外に、接着等の他の手段によって、 袋状体2の2つのシート状体21,22の適宜位置を固定することにより、形状 記憶材3の固定を図ってもよい。尚、縫着や接着による固定を、シート状体21 ,22の全体に渡って施してもよい。即ち、形状記憶材3を位置決め部5に沿わ せた状態で、袋状体2の2つのシート状体21,22同士を接合し、開口部4を 閉じてしまうようにしてもよい。
【0029】 この肩パッド1は、従来の肩パッドと同様、洋服の肩に縫着されるが、その際 、形状記憶材3の位置が正確に定まっていることにより、縫着の針が、形状記憶 材に当たることなく縫着でき、針折れが生ずることも防止し得る。
【0030】 次に、本願考案の理解を高めるために、このパッドの製造方法の一例について 説明する。まず、左右一対のパッドとなる連続パッド素材11a,12a,13 a,14a,15aと、左右一対の袋状体となる連続袋状体2aとを用意する。 肩パッド1は、略半楕円形状をしたパッド素材11,12,13,14,15を 複数枚積層して形成される。そのため、各層を構成するパッド素材11,12, 13,14,15毎に、半楕円形状を左右につなげて1枚物の略楕円形状をした 連続パッド素材11a,12a,13a,14a,15aとして、これを各層毎 に用意する(図6参照)。この連続パッド素材は、複数重ねられているため、そ の層によって、形状や大きさ、厚み、材質等が変更されることは、従来の肩パッ ドと同様である。
【0031】 連続袋状体2aは、前述の略半楕円形状の袋状体2を向かい合わせにした略楕 円形状をなしている。より詳しくは、図7に示すように、連続袋状体2aは、前 述の袋状体2を構成する2枚のシート状体21,22の夫々について、向かい合 わせに左右につながった1枚物の連続シート状体21a,22aから構成される 。両連続シート状体21a,22aは、略同一の形状をしているが、一方の連続 シート状体21aより、他方の連続シート状体22aの方が、前後に長く形成さ れ、この前後の延設部分が、折り返し部分6a,6aとされている。両連続シー ト状体21a,22aは、互いに重ねられ、この折り返し部分6a,6aが、一 方の連続シート状体21aの表面に折り返される。この折り返し部分6a,6a によって、袋の両端が閉じられた状態となり、完成時の袋状体2の突き出し防止 部6が形成されることになる。
【0032】 尚、この図では、一方の連続シート状体21aのみに折り返し部を設けたが、 2枚のシート状体の双方を折り返してもよい。そして、重ねられた両連続シート 状体21a,22aの両側は、糸n2によって縫着されることにより、前述の位 置決め部5が形成されることになる。尚、糸n2によって、折り返し部分6a, 6aの上も縫着してもよいが、折り返すだけでも充分な固定効果がある。また、 この位置決め部5も、突き出し防止部6と同様に、折り返し部分を設けて形成し てもよい。縫着に代えて、接着等の他の固定手段を採用してもよい。
【0033】 次に、図8(A)に示すように、連続パッド素材11a,12a,13a,1 4a,15a及び連続袋状体2aを、夫々左右の中心を位置合わせして重合わせ る。この実施の形態では、連続袋状体2aの上に2枚の連続パッド素材11a, 12aがきて、連続袋状体2aの下に3枚の連続パッド素材13a,14a,1 5aがくるように積層したが、この位置関係は、形状記憶材3を配位する位置に よって、適宜変更し得る。
【0034】 次に、この重ね合わせた連続パッド素材11a,12a,13a,14a,1 5a及び連続袋状体2aを接着すると共に付形する。より詳しくは、上下に重な り合う連続パッド素材11a,12a,13a,14a,15a及び連続袋状体 2aの少なくとも何れか一方に、接着剤を塗布しておく(この塗布は、重合わせ の前に行っておくことが望ましい)。そして、図8(B)に示すように、重ね合 わせた連続パッド素材11a,12a,13a,14a,15a及び連続袋状体 2a(図8(B)では、符号は11aのみで代表する)を、プレス台p1の上に 載置する。その上から、プレス型p2で押圧すると共に、蒸気を噴出する。この 熱によって、各素材は湾曲した形状に付形されると共に、接着剤によって、互い に接着される。尚、連続袋状体2aの連続シート状体21a,22a間には、接 着剤を塗布せず、両者は接着しない。尚、連続パッド素材11a,12a,13 a,14a,15a及び連続袋状体2aは、互いの位置関係を正確に合わせるた め、各素材に位置決め用のマークを設けておいてもよく、これらを重ねた状態で 仮縫いを施して位置ずれが生じないようにしてもよい。
【0035】 次に、重ね合わせて接着した連続パッド素材11a,12a,13a,14a ,15a及び連続袋状体2aを、中央で切断して、左右一対のパッド部材pa, pa(本願のパッドであって、未だ形状記憶材3を入れていないもの)を制作す る。この切断した端面が、肩先k1となり、肩先k1の端面が綺麗に揃ったパッ ド部材が生産され得ると共に、袋状体2に開口部4が、肩先k1の端面に形成さ れることとなる。尚、切除して捨てる部分xを、図8(C)及び図6に、斜線で 示しておく。
【0036】 パッド部材pa,paが形成された後には、前述のように、開口部4から形状 記憶材3を入れて、縫着等によって固定すれば形状記憶材入りの肩パッドが完成 される。このとき、図3(A)及び図4に示すように、係止部7,7を設けてお いてもよい。この係止部7は、袋状体2の両端の位置決め部5の前方に形成して おき、形状記憶材3の一端を係止部7と位置決め部5との間に挿入し、次に形状 記憶材3の他端を他方の係止部7と位置決め部5との間に挿入する。このような 挿入作業を行うことにより、形状記憶材3の両端の位置がより正確に定まるもの である。しかも形状記憶材3の一端を挿入した後他端を挿入するときに、既に挿 入した一端の位置が、ずれると言ったことも防止できる。 この係止部7は、シート状体21,22同士を縫着することにより、形成でき るが、接着などの他の固定手段によって、シート状体21,22同士を固定する ことにより、形成できる。
【0037】 尚、本願考案のパッドは、他の方法によって製造することも可能であり、例え ば、左右の肩パッドを別々に制作してもよい。また、袋状体以外のパッド素材を 先に積層してしまい、パッド素材の間に袋状体を後から挿入するようにしてもよ い。さらに、上記の実施の形態においては、袋状体2の外形線に沿って位置決め 部5を形成したが、位置決め部5の形状と袋状体2の形状とは必ずしも合致する 必要はなく、位置決め部5の外側に大きく延設してもよい。より具体的には、袋 状体2の全体の大きさを、パッドの全体の大きさと同じ程度(即ち、パッド素材 11と同程度)の大きさとして、位置決め部5をその適当な位置に形成してもよ い。
【0038】 袋状体2の開口部4は、肩パッド1の肩先側の辺に設けたが、袋状体2の上面 や下面など、他の位置(長尺の形状記憶材3の両端の延長線上を除く)に設けて もよい。上記の実施形態では、袋状体2を予めパッド内に配位した後に形状記憶 材3を挿入したが、袋状体2内に予め形状記憶材3を挿入し、この挿入済の袋状 体2をパッド内に配位してもよい。また、シート状体21,22に形状記憶材3 を挟んだ状態で、縫着して袋状体2を完成させると言ったように、袋状体2を形 成する際に、形状記憶材3を予め配位しておいてもよい。但し、上記の実施形態 のように、袋状体2を予めパッド内に配位した後に形状記憶材3を挿入したほう が、形状記憶材3の挿入までの作業を平面的な状態で行うことができ、作業性の 面から、有利である。尚、本願考案のパッドは、肩パッドに限らず、胸等の他の 箇所のパッドにおいて実施することも可能である。
【0039】
【考案の効果】
本願の第1の考案は、袋状体を用いることによって、形状記憶材の配設作業が 極めて能率的に、且つ正確に行うことができ、良好な生産性を得ることのできる ことは勿論、形状記憶材がパッドから突き出す事態の発生を防止して安全性を向 上させることができたパッドを提供し得たものである。
【0040】 本願の第2の考案は、上記の第1の考案の効果に加え、長尺の形状記憶材の両 端の位置も正確に定まり、その配設位置がより正確になるパッドを提供すること ができたものである。
【0041】 本願の第3の考案は、上記の第1、第2の考案の効果に加え、形状記憶材を袋 状体内への配設作業が極めて円滑に行うことができるという効果を発揮し得るも のである。
【0042】 本願の第4の考案にあっては、上記の第2、第3の考案の効果に加え、形状記 憶材の先端が突き出し防止部を突き破って突出することをより確実に防止し、安 全性をさらに向上させることができるといを効果を奏するものである。
【0043】 本願の第5の考案は、湾曲したパッドに湾曲した形状記憶材を配位するに際し て、正確に位置決めを行って形状記憶材を配位できると共に、正確な位置決めを 行った場合にも、良好な生産性を得ることのできるパッド、特に学生服やブレザ ー等の洋服の肩に用いる肩パッドとして理想的なものを提供することができたも のである。
【0044】 本願の第6の考案は、上記の各考案の効果に加えて、形状記憶材3の安定性及 び安全性をさらに高めることができるようになったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の一つの実施の形態に係るパッドの斜視図
である。
【図2】同パッドの開口部を開いた状態の斜視図であ
る。
【図3】(A)は同パッドの平面図であり、(B)は同
正面図である。
【図4】同パッドの袋状体の斜視図である。
【図5】同パッドの使用位置を示す説明図である。
【図6】同パッドの材料の説明図である。
【図7】(A)は、同パッドの袋状体の平面図であり、
(B)は同袋状体を分解した平面図である。
【図8】(A)は同パッドの各材料を重ね合わせた平面
図であり、(B)は同パッドの各材料の接着付形状態の
側面図であり、(C)は同切断状態を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
1…肩パッド 2…袋状体 2a…連続袋状体 21a,22a…連続シート状体 3…形状記憶材 4…開口部 5…位置決め部 6…突き出し防止部 11,12,13,14,15…パッド素材 11a,12a,13a,14a,15a…連続パッド
素材 k1…肩先

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維材料等の柔軟なパッド素材(11)(12)
    (13)(14)(15)の内部に、形状記憶材(3) を配位したパッ
    ドにおいて、 形状記憶材(3) が袋状体(2) 内に配位され、この袋状体
    (2) が柔軟なパッド素材(11)(12)(13)(14)(15)の内部に
    配位され、 この袋状体(2) における形状記憶材(3) の先端の延長線
    上にある部分が閉じられて、突き出し防止部(6)(6)とさ
    れたものであることを特徴とするパッド。
  2. 【請求項2】 繊維材料等の柔軟なパッド素材(11)(12)
    (13)(14)(15)の内部に、長尺の形状記憶材(3) を配位し
    たパッドにおいて、 対向する2つの長辺の少なくとも一方側が閉じられて位
    置決め部(5) とされ、対向する2つの短辺が閉じられて
    突き出し防止部(6)(6)とされた袋状体(2) が、他のパッ
    ド素材(11)(12)(13)(14)(15)と共に配位され、 形状記憶材(3) が、位置決め部(5) に沿わされ、且つ上
    記の両突き出し防止部(6)(6)間に挟まれた状態で、袋状
    体(2) 内に配位されたものであることを特徴とするパッ
    ド。
  3. 【請求項3】 袋状体(2) における上記の対向する2つ
    の長辺の他方が開口した開口部(4) とされ、形状記憶材
    (3) が、この開口部(4) から袋状体(2) 内に挿入され、
    縫着等の適宜固定手段で固定されたものであることを特
    徴とする請求項2記載のパッド。
  4. 【請求項4】 袋状体(2) が、形状記憶材(3) の上下に
    位置する少なくとも2枚のパッド素材(21)(22)によって
    構成され、 突き出し防止部(6)(6)が、形状記憶材(3) の上下に位置
    する2枚のパッド素材(21)(22)の少なくとも一方を折り
    返して他方に重ねた状態で、パッド素材同士(21)(22)が
    接続されることにより形成されたものであることを特徴
    とする請求項2又は3記載のパッド。
  5. 【請求項5】 繊維材料等の柔軟なパッド素材(11)(12)
    (13)(14)(15)の内部に、形状記憶材(3) を配位したパッ
    ドにおいて、 このパッドが、洋服の肩(k) の前後に渡って伸びる形状
    記憶材(3) を内部に有すると共に、洋服の肩(k) の上部
    に配位される肩用のパッドであり、 肩(k) の前後に渡って伸びる開口部(4) が、この肩用の
    パッドの肩先(k1)側の一辺に沿って形成され、 この開口部(4) の奥に、形状記憶材(3) の位置を規定す
    る位置決め部(5) が形成され、 この位置決め部(5) の両端に突き出し防止部(6)(6)が形
    成され、 この位置決め部(5) 及び突き出し防止部(6)(6)は、形状
    記憶材(3) の上下に位置するパッド素材同士(21)(22)が
    接続されることによって形成されたものであり、 形状記憶材(3) が、位置決め部(5) に沿わされ、且つ上
    記の両突き出し防止部(6)(6)間に挟まれたものであるこ
    とを特徴とするパッド。
  6. 【請求項6】 形状記憶材(3) が、この開口部(4) から
    袋状体(2) 内に挿入され、縫着等の適宜固定手段で固定
    されたものであり、 突き出し防止部(6)(6)が、形状記憶材(3) の上下に位置
    する2枚のパッド素材(21)(22)の少なくとも一方を折り
    返して他方に重ねた状態で、パッド素材同士(21)(22)が
    接続されていることを特徴とする請求項5記載のパッ
    ド。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0881812A (ja) * 1994-09-09 1996-03-26 Masaki Ibayashi パッド形成部品及びパッドの製造方法

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