JP3019075U - 転造ねじ - Google Patents

転造ねじ

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JP3019075U
JP3019075U JP1995005568U JP556895U JP3019075U JP 3019075 U JP3019075 U JP 3019075U JP 1995005568 U JP1995005568 U JP 1995005568U JP 556895 U JP556895 U JP 556895U JP 3019075 U JP3019075 U JP 3019075U
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益廣 徳増
Original Assignee
株式会社徳増製作所
三興鋲螺株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本転造ねじでは、軸部4の略全体に一定ピッチ
のねじ部6を形成した。ねじ部6は、頭部2に近い側か
ら段階的に谷径D1,D2及びD3が細くなる(D1>
D2>D3)第1、第2及び第3の部分7〜9により構
成した。第1及び第2の部分7,8を、頭部2から2ピ
ッチまでの間に配置した。第1及び第2の部分7,8の
各谷底は、それぞれ円周面からなる。第1の部分7と第
2の部分8の間、及び第2の部分8と第3の部分9の間
のそれぞれに、ねじ軸線Cと直交する段差10及び11
を形成した。 【効果】ねじ転造時に、ねじ先側へ引き込まれる頭部近
傍の素材を全周に均一に押し止めるので、頭部が軸部に
対して傾かない。ねじ機能を損なわない。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、軸部全体にねじ部が形成される転造ねじに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、木ねじやタッピンねじ等の小ねじ類のねじ部の形成は、ねじ転造に よって行われている。ねじ転造では、ねじの素材が一対の相対移動する転造工具 の間を転がりながらその間にねじ込まれることによって、その工具の形状が素材 に転写される。例えば、上記の一対の工具として、一面にねじ形状の形成された 板状の一対の平ダイスを、上記の一面同士を対向させて設け、一方の平ダイスを 他方の平ダイスに沿わせて平行移動させ、両平ダイスの間に素材(例えば外径3 .5ミリ、谷径2.0ミリのねじ部を形成する場合であれば外径2.5ミリの素 材)を挟み込む。素材が、両平ダイスの間で加圧されながら5〜6回転される間 に、所望のねじ部が形成される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、軸部全体にねじ部を形成する、いわゆる全ねじの転造では、頭 部近傍にねじ部を形成するときに、頭部が軸部に対して傾いてしまうことがあっ た。 これは、頭部近傍のねじ部が形成される際には、工具間に挟まれた頭部近傍の 素材の一部が移動する。この際、頭部が止まり傾向にあるのに対して、ねじ先寄 りの既に形成されたねじ部はねじ先側へ送り傾向にあるので、頭部近傍の素材の 一部がねじ先側へ引き込まれるようにして、ねじ部は形成される。それに伴い、 上記の素材の一部は、頭部を軸部側へ引き込むように働き、しかも、その引き込 み力が頭部の全周に対して均一でないことによるものと考えられる。さらに、転 造工具が頭部近傍にまで達する全ねじの転造では、ねじの素材を頭部のみでしか 支持できないので、支持力が弱く、このため頭部の傾きを阻止できないと考えら れる。
【0004】 そこで、本考案の目的は、上述の不具合を解決し、ねじ転造時に頭部が軸部に 対して傾かない転造ねじを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る転造ねじは、頭部及び軸部からな り、上記頭部近傍から軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじにお いて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第1、第2及び第3の部 分からなっていて、少なくとも第1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまで の間に配置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と第3の部分との間にそ れぞれ形成される段差は、ねじ軸線と略直交していることを特徴とするものであ る。
【0006】 また、請求項2に係る転造ねじは、頭部及び軸部からなり、上記頭部近傍から 軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじにおいて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第1、第2及び第3の部 分からなっていて、少なくとも第1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまで の間に配置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と第3の部分との間にそ れぞれ形成される段差は、ねじ軸線と略直交しており、 上記第1の部分から第2の部分への谷径の減少率は、4〜13%であり、第2 の部分から第3の部分への谷径の減少率は、2〜12%であることを特徴とする ものである。
【0007】 また、請求項3に係る転造ねじは、頭部及び軸部からなり、上記頭部近傍から 軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじにおいて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第1、第2及び第3の部 分からなっていて、少なくとも第1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまで の間に配置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と第3の部分との間にそ れぞれ形成される段差は、ねじ軸線と略直交しており、 上記ねじ部には、谷径に対する山径の割合が略170%以上である部分が含ま れていることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
上記請求項1に係る考案の構成によれば、ねじ部の谷径を頭部近傍において相 対的に太くしたので、ねじ転造時にねじ先側へ引き込まれる素材自体を少なくす ることができ、頭部を軸部側へ引き込む力を少なくすることができる。また、頭 部近傍にねじ部を形成する際に、段差の部分は全周均一に頭部側へ押し上げられ るので、引き込まれる素材は段差の部分で全周均一に押し止められる結果、頭部 は軸部に対して傾かなくなる。
【0009】 また、上記の段差は2段に設けられているので、各段差が小さくて済み、ねじ 込みの障害とはならず、その結果、この転造ねじを頭部まで充分にねじ込むこと ができる。 なお、上記の段差は、転造時の頭部の軸部側への引き込みに影響を与えると考 えられる頭部から2ピッチまでの間に形成した。
【0010】 上記請求項2に係る考案の構成によれば、請求項1に係る考案と同様の作用を 奏することに加えて、第1の部分から第2の部分への谷径の減少率は、4〜13 %であって、第2の部分から第3の部分への谷径の減少率は、2〜12%である ことによって、ねじとしての機能を損なわないで、且つ頭部の傾きを防止するう えで特に好ましい。
【0011】 上記請求項3に係る考案の構成によれば、下記の作用を奏する。すなわち、谷 径に対する山径の割合が略170%以上であるねじ部を含む転造ねじでは、パー ティクルボード等内部への食い込みを良くすることが可能である一方、ねじ転造 時に素材がねじ先側へ多く引き込まれて、頭部を傾かせる傾向にある。これに対 して、請求項1に係る考案と同様の作用を奏することによって、ねじ転造時の頭 部の傾きを防止することができる。
【0012】
【実施例】
以下本考案の実施例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。 図1は、本考案の一実施例に係る転造ねじの正面図であり、この転造ねじをタ ッピンねじに適用した場合を示している。図1において、この転造ねじ1は、例 えば円錐台形状の頭部2と、頭部2に連続して形成された軸部4を備えている。 軸部4には、頭部2近傍からねじ先5にまで全体に一定ピッチのねじ部6が形成 されている。ねじ先5は、軸部4の他の部分に比べて細く形成され、ねじ込み易 くされている。
【0013】 また、ねじ部6には、軸部4の頭部2側から順に谷径の細くなる第1の部分7 、第2の部分8及び第3の部分9が形成されている。上記第1の部分7及び第2 の部分8の谷底は、それぞれ異なる一定の谷径を持つ円周面からなっている。第 1の部分7の谷径D1、第2の部分8の谷径D2、及び第3の部分9の谷径D3 は、D1>D2>D3となるように設定されている。また、谷径の異なる部分同 士の接続部は段差状に形成され、第1の部分7及び第2の部分8の間に段差10 が、第2の部分8及び第3の部分9の間に段差11が形成されている。各段差1 0,11は転造ねじ1の軸線Cと略直交している。また、第1の部分7は、頭部 2から軸部4の長さ方向に沿って、ねじの略2分の1ピッチの長さ(寸法L1) に形成され、また第2の部分8は、段差10から略2分の1ピッチの長さ(寸法 L2)に形成されている。
【0014】 なお、第3の部分9からねじ先5までのねじ部6は、従来と同様に形成されて いる。また、ねじ部6に形成されたねじ山の角度、ピッチ等は上記第1の部分7 及び第2の部分8も含めて公知のねじと同じである。また、頭部2の端部には、 ねじ込み用工具と係合するすり割り溝(図示せず)が形成されている。 このように、ねじ部6の谷径を頭部2近傍において、第1の部分7及び第2の 部分8によって、第3の部分9からねじ先5のねじ部6に対して相対的に太くし たので、ねじ転造時にねじ先5側へ引き込まれる素材自体を少なくすることがで き、頭部2を軸部4側へ引き込む力を少なくすることができる。また、頭部2近 傍にねじ部6を形成する際に、段差10,11の部分は全周均一に頭部2側へ押 し上げられるので、引き込まれる素材の余肉は全周均一に段差10,11の部分 で押し止められる結果、頭部2は軸部4に対して傾かなくなる。
【0015】 また、上記の段差10,11は2段に設けられているので、各段差10,11 が小さくて済み、ねじ込みの障害とはならず、その結果、この転造ねじ1を頭部 2まで充分にねじ込むことができる。 なお、上記の段差10,11は、頭部2から略2ピッチまでにそれぞれ形成さ れるのが好ましく、特に、頭部2から1〜1.5ピッチに形成されるのが望まし い。この理由としては、頭部2から2ピッチまでのねじ部6が、転造時の頭部2 の軸部4側への引き込みに影響を与えると考えられるからである。ただし、第1 及び第2の部分7,8では、第3の部分9に比べて、谷径が太くなることによっ て、ねじの引っ掛かりが確保され難い。従って、ねじの引っ掛かりを確保するた めに、軸部4の短い転造ねじでは、上記の段差10,11を頭部2から略1ピッ チまでに形成することもあり、逆に、軸部4の長い転造ねじでは、上記の段差1 0,11を頭部2から略2ピッチまでに形成することもできる。
【0016】 次に、上記の転造ねじのねじ部6の寸法の一例を以下に示す。すなわち、ねじ 部6の山の外径D0を3.5ミリ、ピッチPを2.12ミリ、第1の部分7の谷 径D1を2.35ミリ、第2の部分8の谷径D2を2.15ミリ、及び第3の部 分9の谷径D3を2ミリとする。寸法公差を上記の各値に対して±0.05ミリ とすると、第1の部分7から第2の部分8への谷径の減少率は、略4〜13%で あり、第2の部分8から第3の部分9への谷径の減少率は、略2〜12%となる 。また、この転造ねじのねじ部6に対する素材の直径は、2.5ミリとする。こ のように設定することにより、ねじとしての機能を損なわないで、且つ頭部の傾 きを防止することができる。
【0017】 また、上記の一例の転造ねじは、表面は固いが内部は脆いという性質のパーテ ィクルボード用のタッピンねじを示しており、このねじ部6は、通常のねじに対 して次の点で異なっている。すなわち、ねじ込まれたねじ部6がパーティクルボ ード内部を破壊しないように、ねじ部6のピッチが粗く、また、谷径(第3の部 分9の谷径)が細く形成されている。また、ねじ込まれたねじ部6がパーティク ルボード内部によく食い込むように、ねじ部6の山径が太く形成されている。こ のような転造ねじでは、ねじ部6の谷径に対する山径の割合は略170%以上と 大きく、(例えば第3の部分9の谷径に対する山径の割合は175%)、通常の 転造ねじに比べて、頭部へ影響するねじ転造時の素材の引き込みが多く生じる。 この様な場合には、頭部2と軸部4の接続部をテーパ状やコーナR状に形成して いた従来の頭部の傾き防止方法は、十分に素材の引き込みを減少させることがで きないのに対して、本考案は、上述のようにしてねじ転造時の頭部の傾きを効果 的に防止することができ、特に好ましい。
【0018】 なお、本考案の実施例として、タッピンねじを一例に説明したが、木ねじ等の 他のねじに適用しても良い。特に、タッピンねじ、木ねじの場合には、一般のね じに比べて、ねじ転造時に素材が多く引き込まれる傾向にあり、効果的にねじ転 造時の頭部の傾きを防止することができる。 また、各部の寸法も上記の例に限定されるものではない。
【0019】 その他、本考案の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能で ある。
【0020】
【考案の効果】
請求項1に係る考案によれば、頭部近傍にねじ部を形成する際に、ねじ転造時 にねじ先側へ引き込まれる素材自体を少なくすることができ、頭部を軸部側へ引 き込む力を少なくすることができることに加えて、段差の部分によって引き込ま れる素材を全周均一に押し止めることができる結果、頭部の軸部に対する傾きを 防止できる。また、上記の段差を2段にして、各段差を小さくしたので、ねじ込 みの障害とはならず、ねじ機能を果たすことができる。本考案は、一般のねじに 比べて、引き込まれる素材が多く出る傾向にある木ねじやタッピンねじに適用す ることにより、特に顕著な効果を得ることができる。
【0021】 請求項2に係る考案によれば、請求項1に係る考案と同様の効果を奏すること に加えて、第1の部分から第2の部分への谷径の減少率は、4〜13%であって 、第2の部分から第3の部分への谷径の減少率は、2〜12%であることによっ て、ねじとしての機能を損なわないで、且つ頭部の傾きを防止するうえで特に好 ましい。
【0022】 上記請求項3に係る考案によれば、パーティクルボード等の内部への食い込み 性を確保しつつ、ねじ転造時の頭部の傾きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例に係る転造ねじの正面図であ
る。
【符号の説明】
1 転造ねじ 2 頭部 4 軸部 5 ねじ先 6 ねじ部 7 第1の部分 8 第2の部分 9 第3の部分 10,11 段差 D0 山径 D1 第1の部分の谷径 D2 第2の部分の谷径 D3 第3の部分の谷径 C 軸線 P ねじ部のピッチ

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】頭部及び軸部からなり、上記頭部近傍から
    軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじに
    おいて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第
    1、第2及び第3の部分からなっていて、少なくとも第
    1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまでの間に配
    置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面
    からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と
    第3の部分との間にそれぞれ形成される段差は、ねじ軸
    線と略直交していることを特徴とする転造ねじ。
  2. 【請求項2】頭部及び軸部からなり、上記頭部近傍から
    軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじに
    おいて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第
    1、第2及び第3の部分からなっていて、少なくとも第
    1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまでの間に配
    置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面
    からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と
    第3の部分との間にそれぞれ形成される段差は、ねじ軸
    線と略直交しており、 上記第1の部分から第2の部分への谷径の減少率は、4
    〜13%であり、第2の部分から第3の部分への谷径の
    減少率は、2〜12%であることを特徴とする転造ね
    じ。
  3. 【請求項3】頭部及び軸部からなり、上記頭部近傍から
    軸部全体に一定ピッチのねじ部が形成された転造ねじに
    おいて、 上記ねじ部は、頭部に近い側から順に谷径が細くなる第
    1、第2及び第3の部分からなっていて、少なくとも第
    1及び第2の部分は、頭部から略2ピッチまでの間に配
    置されており、 上記第1及び第2の部分の各谷底は、異なる径の円周面
    からなり、 上記第1の部分と第2の部分との間、及び第2の部分と
    第3の部分との間にそれぞれ形成される段差は、ねじ軸
    線と略直交しており、 上記ねじ部には、谷径に対する山径の割合が略170%
    以上である部分が含まれていることを特徴とする転造ね
    じ。
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