JP3018981B2 - スタータ - Google Patents

スタータ

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JP3018981B2
JP3018981B2 JP8097064A JP9706496A JP3018981B2 JP 3018981 B2 JP3018981 B2 JP 3018981B2 JP 8097064 A JP8097064 A JP 8097064A JP 9706496 A JP9706496 A JP 9706496A JP 3018981 B2 JP3018981 B2 JP 3018981B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンを始動さ
せるスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来におけるスタータのピニオン戻り防
止構造は、電磁スイッチのプランジャ吸引力によりレバ
ーを作動させてピニオンをリングギヤ側へ押しつけるこ
とにより、リングギヤからの離脱を防止している。この
ものは、ピニオンの静止位置からリングギヤとの噛合位
置までのストロークとプランジャのストロークとの関係
を、レバーの力点、作用点の移動距離の比(レバー比)
を調節して決定する必要があった。このことは、レバー
比を大きく設定するとプランジャのストロークを小さく
できる代わりに大きなプランジャ吸引力が必要となり、
レバー比を小さく設定するとプランジャ吸引力を小さく
できる代わりに大きなプランジャストロークが必要とな
る。このため、電磁スイッチの小型化の障害となってい
た。
【0003】これに対して、実開昭57−36763号
公報および特開昭50−18915号公報では、ピニオ
ンを含むクラッチを回転規制することにより、出力軸の
ヘリカルスプラインとスタータモータの回転力の作用で
ピニオンをリングギヤ側に前進させて、ピニオンがリン
グギヤと噛み合った後、ピニオンと一体に回転するクラ
ッチの後端側に、ラジアル方向からシャフトを押し出し
てクラッチの後退を規制することによりピニオンのリン
グギヤからの離脱を防止する構造が開示されている。こ
の構造によれば、ピニオン及びクラッチの移動方向と、
後退規制するシャフトの作動方向が直交しているので、
シャフトを駆動する電磁スイッチが、ピニオンの戻り力
に打ち勝つだけの吸引力を必要としなくてすみ、電磁ス
イッチの小型化が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の電磁
スイッチの吸引力を利用してシャフトを駆動する構造で
は、ピニオンがリングギヤと噛み合った状態でクラッチ
の後退を規制する際に、そのクラッチを周方向の一点の
みで支持することになるため、ピニオンが出力軸に対し
て傾いた状態でリングギヤとの噛み合いが行われる。こ
のため、偏磨耗や異音が発生する等の問題が生じる。ま
た、ピニオンの回転力が直接シャフトに伝わるため、シ
ャフトが連れ回りにより曲げられたり磨耗したりする。
【0005】本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、その目的は、出力軸に対する移動筒部材の後退規
制時にその傾きを防止することで偏磨耗や異音等の発生
を防止したスタータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、請求項1〜20に示した構成を採用し
た。請求項1では、後退規制手段の第1の当接部は、出
力軸のヘリカルスプライン外径にそれぞれ接する平行な
第1、第2の接線との間で、かつ出力軸を中心として対
向する位置に配置され、この第1の当接部が移動筒部材
にそれぞれ当接しているので、従来の様に、1カ所で支
持するのに比べて移動筒部材を傾斜させようとするそれ
ぞれの第1の当接部に働くモーメントが反対向きに働く
ことになり、分力を相殺することができるとともに、特
に、第1の当接部が、出力軸のヘリカルスプライン外径
にそれぞれ接する平行な第1、第2の接線との間に配置
されているので、第1の当接部が第1、第2の接線との
間より外れているものに対して、第1の当接部に働くモ
ーメントを大幅に小さくできる。これにより、出力軸に
対して移動筒部材が傾斜するのを防止できるため、移動
筒部材の傾斜に起因する後退規制手段の変形、移動筒部
材と後退規制手段の第1の当接部との偏磨耗や異音等を
抑止できる。
【0007】請求項2では、移動筒部材の第1の当接部
は、移動筒部材の軸心に対して径方向に略対称位置で2
カ所で移動筒部材に当接しているため、請求項1と同様
に、出力軸に対して移動筒部材が傾斜するのを確実に防
止できる。
【0008】請求項3では、移動筒部材の第1の当接部
は、移動筒部材の軸心を中心として3カ所以上で移動筒
部材に当接しているため、請求項1と同様に、出力軸に
対して移動筒部材が傾斜するのを確実に防止できる。こ
の時、3カ所以上の第1の当接部を結んで形成される多
角形内に移動筒部材の軸心を配置できるので、後退規制
手段の配置の自由度が向上し、構成部品の配置設計がし
やすくなる。
【0009】請求項4では、回転部材が、移動筒部材と
後退規制手段との間に、移動筒部材に対して相対回転自
在に設けられているので、ピニオンギヤが回転してもピ
ニオンギヤに対して回転部材が相対回転することによっ
てピニオンギヤの回転力が第1の当接部に伝わるのを防
止できる。これにより、ピニオンギヤの回転に伴って第
1の当接部が連れ回りするのを防止できる。
【0010】請求項5では、移動筒部材の前進状態を維
持し、後退を規制している後退規制手段自身の動作姿勢
を保持する姿勢保持手段を備えているので、スタータに
加わる振動等で、後退規制手段が移動筒部材の後退規制
を解除されるようなこともなく、後退規制手段は安定し
て移動筒部材の前進状態を保持できる。
【0011】請求項6では、姿勢保持手段は、固定部材
と後退規制部材との間の間隙に配置されているので、移
動筒部材が後退しようとしても、姿勢保持手段がつっか
え棒の役目を果たし、移動筒部材が後退することを防止
できる。
【0012】請求項7では、固定部材の揺動支持部から
移動筒部材との第1の当接部までの距離より、揺動支持
部から姿勢保持手段が当接する第2の当接部までの距離
が長く設定できる。このことは、てこの原理で、姿勢保
持手段が後退規制手段の作動姿勢を保持するための力を
増幅して、後退規制手段が移動筒部材の後退を規制する
力に変換できることになり、移動筒部材の後退を直接規
制する場合より姿勢保持手段を強度の低い部材で形成で
きるので、構造が簡単で、加工しやすい材料を使用して
製造コストを低減できる。さらに、後退規制手段は、移
動筒部材の後退力が加わる作用点に対して、部材の両端
で支持されているので、移動筒部材が軸方向にばたつい
て(エンジン始動時に軸方向に前後移動する)後退規制
手段に脈動的な後退力が加わると部材自体が撓んでこれ
を緩衝できる。
【0013】請求項8では、後退規制手段が移動筒部材
の移動に伴って、固定部材の支持部を支点として、移動
筒部材に組み付けられた回転部材の保持部材内で軸方向
に保持されながら略径方向に移動できるので、移動筒部
材を後退規制する位置に移動するためにわざわざ別部材
を用いて移動筒部材とともに移動させる必要もなく、簡
単な構造で後退規制手段を移動筒部材の後退規制位置に
移動させることができる。
【0014】請求項9では、移動筒部材の回転規制と後
退規制手段の作動姿勢保持とを同一の部材で構成できる
ため、構成部品の追加および複雑化することなく構成で
きる。
【0015】請求項10では、回転部材の保持部は、回
転部材から反移動筒部材側にそれぞれ突出した一対の第
1の突起部と、この一対の第1の突起部から移動筒部材
の軸心に向かって径方向内側にそれぞれ突出する一対の
第2の突起部とからなるため、回転部材における第1の
突起部と第2の突起部とで形成される空間内で、後退規
制手段が軸方向に保持されたまま略径方向に移動でき、
後退規制手段を移動筒部材の後退規制位置に容易に移動
させることができる。さらに、後退規制手段を前記空間
内に挿入する(滑り込ませる)だけで簡単に組付けがで
きる。また、支持部からそれぞれ延びる一対の側片部に
は、反移動筒部材側にそれぞれ屈曲した一対の屈曲部を
備え、その屈曲部を移動筒部材への第一の当接部として
いるので、後退規制手段の固定部材に対する傾きが常に
一定でなくても、移動筒部材へはその一対の屈曲部で概
ね直線状に当接することになり、安定した移動筒部材の
後退規制が行われる。
【0016】請求項11では、腕部材は、移動筒部材に
対して出力軸の回りに回転自在に組付けられるととも
に、一端が移動筒部材の軸心に対して略対称位置となる
両側で、出力軸に交差する軸の回りに回動自在に係合し
ていることから、移動筒部材の傾きを防止できる。これ
により、移動筒部材と腕部材の偏磨耗に伴う異音の発生
を防止できる。また、移動筒部材が前進移動すると、そ
の前進移動に伴って引き起こされた腕部材が移動筒部材
と固定部材との間に介在されるとともに、腕姿勢保持部
材が腕部材の姿勢を保持することにより、移動筒部材の
後退を規制している腕部材がエンジン駆動時の振動等で
復帰してしまうのを阻止することができる。この構造に
よれば、腕保持部材を駆動する駆動手段は、腕部材の姿
勢を保持する当接位置へ腕保持部材を駆動するだけの駆
動力を発生すれば良い。即ち、駆動手段は、ピニオンの
戻り力(移動筒部材の後退力)に打ち勝つだけの駆動力
を必要としないため、駆動手段を小型化できる。
【0017】請求項12では、腕部材は、移動筒部材の
前進移動に伴って軸方向へ引き起こされることにより、
固定部材上を摺接しながら出力軸の軸方向側へ入り込む
ように作動する。従って、移動筒部材が静止状態の時
は、腕部材が固定部材上で出力軸の径方向側に位置する
ことになる。即ち、腕部材は、移動筒部材が前進移動し
た時のみ、軸方向に引き起こされて移動筒部材と固定部
材との間に介在される。このため、移動筒部材が静止状
態の時のスタータ全長(軸方向の長さ)を短く設定する
ことができる。
【0018】請求項13では、腕部材の一端部を規制す
るために作動する腕姿勢保持部材の動作方向が、腕部材
が固定部材上を出力軸の径方向側へ押し出される方向と
交差することにより、腕姿勢保持部材を駆動する駆動手
段の駆動力を最も小さく設定できる。このため、駆動手
段の小型化に対して好適である。
【0019】請求項14では、電磁スイッチは、ピニオ
ンギヤの戻り力(移動筒部材の後退力)に打ち勝つだけ
の吸引力を必要とせず、規制手段を移動筒部材に当接さ
せるだけの駆動力と駆動距離を確保できれば良い。即
ち、ピニオンギヤの戻り力(移動筒部材の後退力)に打
ち勝つだけの駆動力を必要とせず、ピニオン(移動筒部
材)を直接軸方向へ移動させるだけの作動距離も必要と
しないので、スタータモータに通電制御するための接点
を駆動する電磁スイッチの駆動を流用でき、小型の電磁
スイッチで代用可能である。
【0020】請求項15では、規制手段は、連結部材に
よって駆動手段に連結されて、移動筒部材の当接位置へ
駆動されることから、駆動手段のスタータモータに対す
る配置自由度が増して(スタータモータに対してどの位
置に配置しても良い)、エンジン装着性が向上する。
【0021】請求項16では、電磁スイッチをスタータ
モータの後方に配置して径方向への飛び出しを無くすこ
とにより、さらにエンジンへの装着性が向上する。請求
項17および18では、請求項1および3と同様に、出
力軸に対して移動筒部材が傾斜するのをそれぞれの規制
部により確実に防止できる。
【0022】請求項19および20では、ピニオンギヤ
を含む移動筒部材を回転規制することにより、スタータ
モータの回転力と出力軸のヘリカルスプラインの作用に
よって移動筒部材を前進させる機構を採用しない方式
(例えば、移動筒部材の慣性を利用してスタータモータ
の回転の立ち上がりにより移動筒部材を前進させる、い
わゆる慣性噛み合い方式のスタータ等)のスタータにお
いても、エンジン駆動時の後退力に対し、移動筒部材が
出力軸に対して傾斜しないように確実に後退規制するこ
とができ、後退規制手段の変形、移動筒部材と後退規制
手段の規制部の偏磨耗や異音の発生を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明のスタータの実施例
を図面に基づいて説明する。 (第1実施例)図1および図2はスタータの全体断面図
である。本実施例のスタータ1は、図1に示すように、
通電を受けて回転力を発生するスタータモータ2、この
スタータモータ2の回転軸と同軸に配された出力軸3、
スタータモータ2の回転力を出力軸3へ伝達する回転力
伝達手段(後述する)、出力軸3のヘリカルスプライン
3aに嵌合されたピニオン4、このピニオン4の歯部4
a(以下ピニオンギヤ4aと言う)がエンジンのリング
ギヤ100と噛み合った後、ピニオン4の後退を規制す
る後退規制部材5、ピニオンギヤ4aがリングギヤ10
0と噛み合って所定量前進するまでの間、ピニオン4の
回転を規制する回転規制部材6、およびスタータモータ
2の後方に配置されたマグネットスイッチ7等より構成
されている。
【0024】(スタータモータ2の説明)スタータモー
タ2は、ヨーク8、固定磁極9、アーマチャ10、ブラ
シ(図示しない)等より構成されている。ヨーク8は円
筒状に設けられて、その後端側(図1の右端側)に配置
されるホルダ11とともにハウジング12とエンドカバ
ー13との間に挟持されている。固定磁極9は、例えば
永久磁石を用いたもので、ヨーク8の内周面に固定され
て磁界を形成する。なお、固定磁極9として、永久磁石
の代わりに通電によって磁力を発生するフィールドコイ
ルを用いても良い。
【0025】アーマチャ10は、回転軸を成すシャフト
14、このシャフト14の外周に設けられたコア15、
このコア15に装着されたコイル16、およびコア15
の後端面に装着されたコンミテータ17等より構成され
ている。このアーマチャ10は、出力軸3の後方でシャ
フト14が出力軸3と同軸に配されて、シャフト14の
先端部が出力軸3の後端部に形成された凹部に軸受18
を介して回転自在に支持されて、シャフト14の後端部
が軸受19を介してホルダ11に回転自在に支持されて
いる。ブラシ(図示しない)は、ホルダ11に保持され
て、エンドカバー13に組み込まれたスプリング(図示
しない)によりコンミテータ17に押圧されている。
【0026】(出力軸3の説明)出力軸3は、その先端
が軸受20を介してハウジング12の軸受け部12aに
回転自在に支持されて、後端部が軸受21を介してセン
タケース22(本発明の固定部材)に回転自在に支持さ
れている。出力軸3の後端は、遊星歯車減速機構(後述
する)のプラネットキャリア23として一体に設けられ
ている。なお、センタケース22は、ハウジング12の
後端側内周に固定されて、回転力伝達手段の外周を覆っ
ている。
【0027】(回転力伝達手段の説明)回転力伝達手段
は、遊星歯車減速機構と一方向クラッチとから構成され
る。遊星歯車減速機構は、スタータモータ2の回転速度
を減速して、スタータモータ2の出力トルクを増大する
減速装置であり、シャフト14の先端外周に形成された
サンギヤ24、このサンギヤ24に噛み合う3個の遊星
ギヤ25、各遊星ギヤ25と噛み合うインターナルギヤ
26、および上記のプラネットキャリア23より構成さ
れている。3個の遊星ギヤ25は、それぞれプラネット
キャリア23に固定されたピン27に軸受28を介して
回転自在に支持されている。この遊星歯車減速機構は、
シャフト14とともにサンギヤ24が回転することによ
り、サンギヤ24とインターナルギヤ26とに噛み合う
各遊星ギヤ25が自転(サンギヤ24と逆回転)しなが
らサンギヤ24と同一方向に公転し、その公転力がピン
27を介してプラネットキャリア23に伝達されて出力
軸3が回転する。
【0028】一方向クラッチは、遊星歯車減速機構のイ
ンターナルギヤ26を一方向(エンジンの回転を受けて
回転する方向)のみに回転可能に支持するもので、アウ
タ29、インナ30、ローラ31等より構成されてい
る。アウタ29は、インターナルギヤ26の前側に一体
形成されて筒状に設けられている。インナ30は、セン
タケース22の後側に一体形成されて、アウタ29との
間にローラ室(図示しない)を形成している。ローラ3
1は、ローラ室に収納されて、スタータモータ2の回転
力を出力軸3へ伝達する時にアウタ29とインナ30と
をロックする。
【0029】(ピニオン4の説明)ピニオン4は、ハウ
ジング12の内部で出力軸3の先端寄り外周にヘリカル
スプライン嵌合されて、ピニオン4の先端側に配された
スプリング32により常時出力軸3の後方(図1の右方
向)へ付勢されている。なお、スプリング32は、ピニ
オン4の前方で出力軸3の外周に嵌め合わされたシャッ
タ33の円筒部33aを介してピニオン4を付勢してい
る。また、シャッタ33は、ピニオン4の移動に連動し
てハウジング12のリングギヤ側に開口する開口部(図
示しない)を開閉するものである。
【0030】このピニオン4の後端側には、図3および
図7に示すように、ピニオン4より外径寸法が大径で、
その外周に多数の凹部34aが形成された回転規制プレ
ート34が一体に設けられている。なお、凹部34a
は、ピニオンギヤ4aの歯数より多く形成されている。
また、回転規制プレート34の後端側には、スラストベ
アリング35を介してピニオン4の回転方向に回転自在
なスラストリング36(本発明の回転部材)が組付けら
れている。
【0031】(後退規制部材5の説明)後退規制部材5
は、図5に示すように、側面形状が略L字形に設けられ
た2枚の側片部5aと、この2枚の側片部5aを繋ぐ規
制解除バー5bから成る。この後退規制部材5は、図3
および図7に示すように、一方の側片部5aに係合する
スプリング38によってセンタケース22の前端に取り
付けられたプレート39側へ付勢されて、各側片部5a
の一端部(屈曲部5c)がプレート39上に当接し、他
端部がスラストリング36の径方向の両側に固定された
一対のピン37(本発明の第1の当接部)を軸芯として
回転自在に係合されている(図4参照)。なお、図3は
後退規制部材5の静止状態(初期位置)を示すもので、
図7は後退規制部材5がピニオン4の後退規制位置に移
動した状態を示すものであり、図8は図7と同様に後退
規制部材5がピニオン4の後退規制状態をスタータモー
タ2側からみたものである。なお、出力軸3のヘリカル
スプライン3a外径にそれぞれ接する平行な第1、第2
の接線3b、3cとの間で、かつ出力軸3を中心として
対向する位置に一対のピン37が設けられている。
【0032】また、各側片部5aには、屈曲部5cと規
制解除バー5bとの途中に後述の回転規制部材6に設け
られる係合部6aと係合可能な係合凹部5d(本発明の
第3の当接部、図5参照)が設けられている。スプリン
グ38は、一端がプレート39(本発明の固定部材)に
係合されて、他端が一方の側片部5aの屈曲凹部に係合
されている。なお、スプリング38は、後退規制部材5
の両側に設けても良い。即ち、他方の側片部5aに係合
するスプリング38を追加しても良い。なお、後退規制
部材5は本発明の腕部材でもある。なお、本発明の移動
筒部材は、ピニオン4と、ピニオン4に組付けられたス
ラストリング36と、このスラストリング36に設けら
れたピン37を含めたものを言う。
【0033】(回転規制部材6の説明)回転規制部材6
は、図6に示すように、棒状の金属材を巻回して構成さ
れ、巻回途中に前記の係合部6aが2か所設けられると
ともに、両端部が径方向の対向位置で同一方向へ直角に
曲げ起こされている。その曲げ起こされた一端部は、ス
タータ1の作動初期に回転規制プレート34に設けられ
た凹部34aに係合してピニオン4の回転を規制する回
転規制棒6bであり、他端部には、ワイヤ等の紐状部材
40(本発明の連結部材/図1参照)の一端が係合され
て、その紐状部材40を介してマグネットスイッチ7の
作動が伝えられる紐状部材係合部6cが形成されてい
る。
【0034】この回転規制部材6は、図1に示すよう
に、センタケース22とプレート39との間に形成され
る空間部に収納されて、両端部および2か所の係合部6
aがプレート39から前方へ取り出されており、空間部
を上下方向(図1の上下方向)に移動可能に配されてい
る。また、回転規制部材6は、リターンスプリング41
によって常時上方(図1の上方)へ付勢されており、紐
状部材40を介してマグネットスイッチ7の吸引力が紐
状部材係合部6cに伝達されると、回転規制部材6全体
がリターンスプリング41の付勢力に抗して下方へ移動
し、マグネットスイッチ7がオフされて吸引力が消滅す
ると、リターンスプリング41の付勢力により上方へ移
動して初期位置(図1に示す位置)へ復帰する。なお、
回転規制部材6は本発明の腕姿勢保持部材でもある。
【0035】(マグネットスイッチ7の説明)マグネッ
トスイッチ7は、図1に示すように、ホルダ11の後端
側に保持されてエンドカバー13内に配置され、スター
タモータ2のシャフト14に対して動作方向が交差する
ように固定されている。このマグネットスイッチ7は、
スイッチカバー42、コイル43、固定鉄心44、プラ
ンジャ45、スプリング46、およびロッド47等によ
り構成されている。スイッチカバー42は、磁性体製
(例えば鉄製)でカップ状にプレス成形されて、カバー
底面(図1の下面)の中央部にはプランジャ45を摺動
自在に挿通する挿通穴が開けられている。
【0036】コイル43は、車両の始動スイッチ(イグ
ニッションスイッチ/図示しない)を介して車載バッテ
リ(図示しない)に接続され、始動スイッチがオンされ
て通電されることにより磁力を発生する。固定鉄心44
は、コイル43の上端側に配されて、スイッチカバー4
2の開口部にかしめ固定されている。プランジャ45
は、磁性体製(例えば鉄製)で略円柱形状を呈し、コイ
ル43の中空内部に固定鉄心44と対向して配置され
て、コイル43への通電時に磁化されて固定鉄心44側
(図2の上方)へ吸引される。なお、プランジャ45の
底部には、前述の紐状部材40の他端が連結されてい
る。
【0037】スプリング46は、コイル43の内周でプ
ランジャ45と固定鉄心44との間に介在されて、固定
鉄心44に対してプランジャ45を下方(図1の下方)
へ付勢している。即ち、コイル43への通電が停止され
た時に、それまでスプリング46の付勢力に抗して固定
鉄心44側へ吸引されていたプランジャ45を初期位置
(図1に示す位置)へ復帰させる。ロッド47は、絶縁
体製(例えば樹脂製)でプランジャ45の上部側に固定
されて、コイル43の中空内部を通り、固定鉄心44の
中央部に開けられた貫通穴を摺動自在に貫通して上方へ
突出されている。
【0038】(スタータモータ2の接点構造の説明)接
点構造は、エンドカバー13に取り付けられた端子ボル
ト48、この端子ボルト48の頭部48aに固定された
固定接点49、正極側ブラシのリード線(図示しない)
に接続される主可動接点50、この主可動接点50に起
動抵抗51を介して接続される副可動接点52より構成
される。端子ボルト48は、エンドカバー13の底壁1
3aを貫通して先端側がエンドカバー13の外部に露出
した状態で取り付けられ、ワッシャ53の締め付けによ
りエンドカバー13に固定されている。この端子ボルト
48は、給電線(図示しない)により車載バッテリの正
極に接続されている。
【0039】固定接点49は、エンドカバー13の内部
で端子ボルト48の頭部48aに溶接等により固定され
ている。主可動接点50は、固定接点49に対向して配
置されて、マグネットスイッチ7のロッド47に摺動自
在に嵌め合わされている。起動抵抗51は、例えばニッ
ケルより成り、コイル43状に巻回されてバネ作用を持
たせてあり、一端が主可動接点50に固定されて、他端
が副可動接点52に固定されている。
【0040】副可動接点52は、端子ボルト48の頭部
48aに対向して配置されて、マグネットスイッチ7が
オンされてプランジャ45が吸引されると、ロッド47
の移動に伴って端子ボルト48の頭部48aに当接し、
マグネットスイッチ7がオフされると、固定鉄心44の
外側端面に当接して電気的に導通状態となっている(図
2参照)。なお、主可動接点50と固定接点49との間
隔より副可動接点52と端子ボルト48の頭部48aと
の間隔の方が小さく設定されており、マグネットスイッ
チ7がオンされてプランジャ45が固定鉄心44側へ吸
引された時は、主可動接点50が固定接点49に当接す
る前に副可動接点52が端子ボルト48の頭部48aに
当接して、バッテリ電圧が起動抵抗51を介してスター
タモータ2のアーマチャ10に印加される。
【0041】次に、本実施例の作動を説明する。乗員に
より始動スイッチがオンされると、マグネットスイッチ
7のコイル43が通電されて、プランジャ45がスプリ
ング46の付勢力に抗して磁化された固定鉄心44側へ
吸引される。このプランジャ45の移動に伴って紐状部
材40がマグネットスイッチ7側へ引っ張られることに
より、回転規制部材6が空間部を下方へ移動して、回転
規制棒6bが回転規制プレート34の外周に設けられた
凹部34aに係合することにより、ピニオン4の回転が
規制される。
【0042】一方、プランジャ45の上昇に伴って副可
動接点52が端子ボルト48の頭部48aに当接し、起
動抵抗51を介して正極側ブラシに通電されることによ
り、スタータモータ2に低電圧が印加されて起動しアー
マチャ10が回転する。アーマチャ10の回転は、遊星
歯車減速機構で減速されて出力軸3に伝達されて、出力
軸3が回転する。この出力軸3の回転によってピニオン
4も回転しようとするが、ピニオン4は回転規制棒6b
により回転規制されていることから、出力軸3の回転力
は、ピニオン4に対して軸方向に押し出す推力として作
用する。この結果、ピニオン4は、出力軸3に対してヘ
リカルスプライン3aに沿って前進することにより、ピ
ニオンギヤ4aがリングギヤ100と噛み合うことがで
きる。
【0043】一方、後退規制部材5は、ピニオン4の前
進移動に伴ってスラストリング36に引っ張られるた
め、後退規制部材5の屈曲部5cがプレート39上を摺
接しながら内側へ入り込み、図7に示すように後退規制
部材5全体が軸方向に引き起こされて、スラストリング
36とプレート39との間に介在される。なお、後退規
制部材5は、マグネットスイッチ7がオフされた時に初
期位置へ復帰できるように、後退規制部材5の屈曲部5
c(プレート39上に当接する点)は、ピン37を通る
軸線Aより外側(図2で軸線Aより上側)に位置する。
【0044】また、回転規制部材6は、ピニオンギヤ4
aが完全にリングギヤ100に噛み合うと、回転規制棒
6bの先端が回転規制プレート34の凹部34aから外
れて、スラストリング36の後端側に落ち込むことによ
り、ピニオン4の回転規制を解除する。さらに、回転規
制部材6の係合部6aが軸方向に引き起こされた後退規
制部材5の係合凹部5dと係合することにより、後退規
制部材5の姿勢が保持される。即ち、この回転規制部材
6は、後退規制部材5の姿勢を保持する姿勢保持手段で
もある。
【0045】その後、主可動接点50が固定接点49に
当接すると、起動抵抗51が短絡されてスタータモータ
2に定格電圧が印加されてアーマチャ10が回転する。
これにより、アーマチャ10の回転が遊星歯車減速機構
を介して出力軸3に伝達されて、回転規制が解除された
ピニオン4が出力軸3と共に回転してリングギヤ100
を回転することでエンジンを始動することができる。
【0046】ピニオン4が前進してピニオンギヤ4aが
リングギヤ100と噛み合った状態では、ピニオン4の
先端側に配されたスプリング32の付勢力が大きくな
る。また、エンジン始動後、ピニオン4がリングギヤ1
00によって回転されると、エンジンの回転力がヘリカ
ルスプライン3aの作用によってピニオン4を後退させ
る方向へ作用する。これらの力により、ピニオン4は出
力軸3に対して後退しようとするが、後退規制部材5と
回転規制部材6とが共同して(即ち、後退規制位置にあ
る後退規制部材5の姿勢を回転規制部材6が保持する)
ピニオン4の後退を阻止することができる。また、後退
規制部材5の一対の側片部5aがスラストリング36の
両側に固定されたピン37に当接していることによって
ピニオン4の後退を規制している。
【0047】その後、始動スイッチがオフされて、マグ
ネットスイッチ7のコイル43への通電が停止される
と、コイル43の磁力が消滅することで、それまで固定
鉄心44側へ吸引されていたプランジャ45がスプリン
グ46の付勢力によって初期位置へ戻される(図1で下
方へ移動する)。このプランジャ45が初期位置へ戻る
ことにより、紐状部材40を介して回転規制部材6を引
っ張る力が消滅することから、回転規制部材6はリター
ンスプリング41のバネ力によって初期位置へ復帰す
る。
【0048】この時、後退規制部材5は、回転規制部材
6の係合部6aが係合凹部5dから外れて係合状態が解
除されるとともに、規制解除バー5bが回転規制部材6
の回転規制棒6bによって上方へ押し上げられる。これ
により、後退規制部材5は、スラストリング36に固定
されたピン37を中心として図7の左回転方向へ回転し
て、ピニオン4の後退規制位置から解除される。この結
果、リングギヤ100から後退力を受けるピニオン4が
静止状態(図1および図5に示す状態)に戻される。
【0049】(第1実施例の効果)本実施例では、後退
規制部材5の一対の側片部5aは、出力軸3のヘリカル
スプライン3a外径にそれぞれ接する平行な第1、第2
の接線3b、3cとの間で、かつ出力軸3を中心として
対向する位置に配置され、この一対の側片部5aが、ピ
ニオン4に組付けられたスラストリング36の径方向の
両側に固定された一対のピン37にそれぞれ当接してい
るので、従来の様に、1カ所で支持するのに比べてピニ
オン4を傾斜させようとするそれぞれの側片部5aに働
くモーメントが反対向きに働くことにより分力を相殺す
ることができるとともに、特に、側片部5aが、出力軸
3のヘリカルスプライン3a外径にそれぞれ接する平行
な第1、第2の接線3b、3cとの間に配置されている
ので、側片部5aが第1、第2の接線3b、3cとの間
より外れているものに対して、側片部5aに働くモーメ
ントを大幅に小さくできる。これにより、出力軸3に対
してピニオン4が傾斜するのを防止できるため、ピニオ
ン4の傾斜に起因する後退規制部材5の変形、ピニオン
4と後退規制部材5の一対の側片部5aとの偏磨耗や異
音等を抑止できる。
【0050】また、ピニオン4の前進移動に伴って後退
規制部材5がスラストリング36とプレート39との間
に介在されて、その後退規制部材5の姿勢を回転規制部
材6によって保持することでピニオン4の後退を阻止す
ることができる。このため、紐状部材40を介して回転
規制部材6を駆動させるマグネットスイッチ7は、後退
規制部材5の姿勢を保持する係合位置へ回転規制部材6
を駆動するだけの吸引力を発生すれば良い。即ち、マグ
ネットスイッチ7は、リングギヤ100からピニオン4
に加わる後退力に打ち勝つだけの力(プランジャ吸引
力)を必要とせず、また、プランジャ45のストローク
を回転規制部材6がピニオン4の外周側から後端の空間
位置まで移動するだけの距離だけ確保すれば良く、マグ
ネットスイッチ7の小型化が可能となる。
【0051】また、特に、後退規制部材5の一対の側片
部5aは、ピニオン4の軸心に対して径方向に略対称位
置で2カ所でピニオン4に組付けられたスラストリング
36の径方向の両側に固定された一対のピン37にそれ
ぞれ当接しているため、出力軸3に対して移動筒部材
(スラストリング36とこのスラストリング36に設け
られたピン37)が傾斜するのを確実に防止できる。
【0052】また、後退規制部材5がピニオン4に組付
けられたスラストリング36のピン37に対して後退規
制部材5の一対の側片部5aで支持しているため、ピニ
オン4が回転してもピニオン4に対してスラストリング
36が相対回転することによってピニオン4の回転力が
後退規制部材5の一対の側片部5aに伝わるのを防止で
きる。これにより、ピニオン4の回転に伴って後退規制
部材5の側片部5aが連れ回りするのを防止できる。
【0053】さらに、ピニオン4の前進状態を維持し、
後退規制している後退規制部材5の動作姿勢を保持する
姿勢保持手段である回転規制部材6を備えているので、
スタータ1に加わる振動等で、後退規制部材5がピニオ
ン4の後退規制を解除するようなこともなく、後退規制
部材5は安定してピニオン4の前進状態を保持できる。
また、ピニオン4の回転規制と後退規制部材5の作動姿
勢保持を同一の部材で構成できるため、構成部品を追加
および複雑化することなく構成できる。
【0054】また、後退規制部材5は、ピニオン4の前
進移動に伴って軸方向へ引き起こされることにより、プ
レート39に当接する屈曲部5cがプレート39上を摺
接しながら出力軸3の軸方向側へ入り込むように作動す
る。従って、ピニオン4が静止状態の時は、後退規制部
材5の屈曲部5cがプレート39上で出力軸3の径方向
側に位置することになる。即ち、後退規制部材5は、ピ
ニオン4が前進移動した時のみ、軸方向に引き起こされ
てピニオン4とセンタケース22との間に介在される。
このため、ピニオン4が静止状態の時のスタータ全長
(軸方向の長さ)を短く設定することができる。
【0055】また、回転規制部材6は、紐状部材40に
よってマグネットスイッチ7に連結されて、ピニオン4
の当接位置へ駆動されることから、マグネットスイッチ
7のスタータモータ2に対する配置自由度が増して(ス
タータモータ2に対してどの位置に配置しても良い)、
エンジン装着性が向上する。また、後退規制部材5とプ
レート39にスプリング38を引っ掛けてあるため、ピ
ニオン4は、後退規制部材5を介して後方(図1の右方
向)へ引っ張られる。これにより、スプリング38をピ
ニオン4のリターンスプリングとして使用することもで
きるため、ピニオン4の前方に配されたスプリング32
を廃止することも可能である。
【0056】さらに、回転規制部材6は、マグネットス
イッチ7がオフされた後、リターンスプリング41のバ
ネ力によって初期位置へ復帰するだけで、自動的に回転
規制部材6の係合部6aと後退規制部材5の係合凹部5
dとの係合状態が解除され、かつ回転規制棒6bが規制
解除バー5bを押し上げるため、後退規制部材5はピン
37を中心として簡単に回動してピニオン4の後退規制
位置から外れることができる。このため、リターンスプ
リング41の荷重(回転規制部材6の解除力)を低く設
定できるため、マグネットスイッチ7の吸引力を小さく
して、小型化を図ることができる。
【0057】また、本実施例では、後退規制部材5がス
ラストリング36を介してピニオン4に対して回転自在
に組付けられるとともに、スラストリング36の径方向
の両側に固定されたピン37に対して回転自在に係合し
ていることから、ピニオン4との連れ回りを防止できる
とともに、ピニオン4に対して偏荷重が加わることがな
い。これにより、ピニオン4や回転規制部材6等の偏磨
耗や、その偏磨耗に伴う異音の発生を防止できる。
【0058】(第2実施例)図9および図10は第2実
施例に係わるスタータの要部断面図である。本実施例の
スタータ1は、第1実施例とピニオン戻り防止機構の構
造が異なるもので、以下にその点について説明する。な
お、第1実施例と同一機能を有する部品(同一名称)は
同一番号を付し、その説明を省略する。
【0059】後退規制部材5は、図13に示すように、
棒状部材を略V字形状に屈曲した形状で、出力軸3に対
して径方向の両側にそれぞれ配されて、端部5f(本発
明の第1の当接部)がそれぞれスラストリング36の側
面に設けられた穴部36a(図14参照)に回動自在に
係合されている。この後退規制部材5は、それぞれスプ
リング38によってセンタケース22の前端に配された
プレート39側に押圧されて、プレート39に対して径
方向の両外側へ押し出されている(図12参照)。即
ち、マグネットスイッチ7がオフ状態の時は、ピニオン
4がエンジン振動等により飛び出さない様に、スプリン
グ38により押圧された後退規制部材5を介してピニオ
ン4の静止状態が保たれている。
【0060】回転規制部材6は、図16および図17に
示すように、棒状の金属材を巻回して構成されて、巻回
途中に突起部6dが2か所設けられるとともに、両端部
が径方向の対向位置で同一方向へ直角に曲げ起こされて
いる。曲げ起こされた一端部は、スタータ1の作動初期
に回転規制プレート34に設けられた凹部34aに係合
することでピニオン4の回転を規制する回転規制棒6b
であり、他端部に形成された紐状部材係合部6cには、
紐状部材40の一端が係合されて、その紐状部材40を
介してマグネットスイッチ7の作動が伝えられる。2か
所の突起部6dは、ピニオン4が前進移動して後退規制
部材5が軸方向に引き起こされた時に、後退規制部材5
の足部5eと係合することにより、後退規制部材5が倒
れない様にストッパとなる(図13および図14参
照)。
【0061】プレート39には、回転規制部材6の突起
部6dが摺動する摺動溝39aが形成されるとともに、
後退規制部材5の回り止め部39bが設けられている
(図11および図13参照)。この回り止め部39b
は、ピニオン4の回転がスラストリング36に摩擦伝達
されて連れ回りを阻止するためのものである。なお、図
15は図13と同様に後退規制部材5がピニオン4の後
退規制状態をスタータモータ2側から見たものである。
なお、出力軸3のヘリカルスプライン3a外径にそれぞ
れ接する平行な第1、第2の接線3b、3cとの間で、
かつ出力軸3に対して径方向の両側にそれぞれ後退規制
部材5の端部(第1の当接部)5fが配置されている
(4か所)。また、この4か所の四角形内にピニオン4
の軸心がある。即ち、ピニオン4に組付けられたスラス
トリング36に当接する3か所以上の端部(第1の当接
部)5fを結んで形成される多角形内にピニオン4の軸
心が配置されている。
【0062】次に、本実施例の作動を説明する。第1実
施例と同様に、始動スイッチがオンされてマグネットス
イッチ7が作動することにより、回転規制部材6の回転
規制棒6bが回転規制プレート34の凹部34aに係合
することでピニオン4の回転を規制する。一方、スター
タモータ2の回転力を受けて出力軸3が回転することに
より、回転規制されたピニオン4が出力軸3のヘリカル
スプライン3aに沿って前進してピニオンギヤ4aがリ
ングギヤ100と噛み合い、エンジンを始動させる。
【0063】この時、後退規制部材5は、図14に示す
ように、ピニオン4の前進に伴ってスラストリング36
に引き起こされることにより、スラストリング36とプ
レート39との間に介在する。一方、回転規制部材6
は、ピニオンギヤ4aが完全にリングギヤ100に噛み
合うことで、回転規制棒6bの先端が回転規制プレート
34の凹部34aから外れてスラストリング36の後端
側に落ち込むことにより、ピニオン4の回転規制を解除
する。同時に、回転規制部材6の突起部6dが摺動溝3
9aを移動して、後退規制部材5の足部5e(本発明の
揺動支持部)に係合して後退規制部材5が倒れない様に
ストッパとなることで、後退規制部材5の姿勢が保持さ
れる。
【0064】これにより、ピニオン4がリングギヤ10
0により回転されてピニオン4に後退力が働いても、ス
ラストリング36とプレート39との間に介在された後
退規制部材5の姿勢を回転規制部材6が保持することに
より、ピニオン4の後退を阻止することができる。その
後、始動スイッチがオフされると、回転規制部材6がリ
ターンスプリング41のバネ力によって初期位置へ復帰
することにより、回転規制部材6の突起部6dと後退規
制部材5の足部5eとの係合状態が解除される。これに
より、後退規制部材5とともにピニオン4が静止状態
(図9および図12に示す状態)に戻される。
【0065】本実施例では、第1実施例と同様の効果
(特に、本実施例では、ピニオン4に組付けられたスラ
ストリング36の穴部36aに係合される端部5fは、
ピニオン4の軸心を中心として3か所以上でスラストリ
ング36に当接しているため、出力軸3に対してピニオ
ン4が傾斜するのを防止できる。)を得ることができる
とともに、さらに以下の効果を期待できる。第1実施例
では、ピニオン4の後退力が加わる方向に対して、後退
規制部材5の動作方向と回転規制部材6の動作方向とが
同じ方向であるため、エンジンによっては、ピニオン4
の後退力に合わせてマグネットスイッチ7の吸引力を大
きくする必要性が生じる場合がある。これに対して、本
実施例では、ピニオン4の後退力が加わる方向に対し
て、後退規制部材5の動作方向と回転規制部材6の動作
方向(突起部6dの動作方向)とが直交するため、ピニ
オン4に加わる後退力の大きさによってマグネットスイ
ッチ7の吸引力を大きくする必要がなく、マグネットス
イッチ7の小型化にとって好適である。
【0066】また、後退規制部材5は、ピニオン4の後
退力が加わる作用点に対して反支点側(即ち、作用点に
対して一端部と反対側)の端部が回転規制部材6によっ
て支持される。即ち、後退規制部材5は、作用点に加わ
るピニオン4の後退力に対して、センターケース22と
回転規制部材6とにより両端で支持される構造となる。
これにより、ピニオン4の後退力に対して後退規制部材
5が変形(撓み)できるので、ピニオン4が軸方向にば
たついて(エンジン始動時に軸方向に前後移動する)後
退規制部材5に脈動的な後退力が加わると、部材自体が
撓んでこれを緩衝できる。
【0067】(第3実施例)図18は第3実施例に係わ
るピニオン戻り防止機構の側面図である。本実施例のス
タータ1は、第1実施例および第2実施例とピニオン戻
り防止機構の構造が異なるもので、以下にその点につい
て説明する。なお、第1実施例および第2実施例と同一
機能を有する部品(同一名称)は同一番号を付し、その
説明を省略する。
【0068】後退規制部材5は、中央部に出力軸3を通
す丸穴5fが設けられた円環状部5q(図19参照)、
この円環状部5qの両側で円環状部5qに対して直角に
折り曲げられた側壁部5r、およびセンタケース22に
固定された支持ピン54に回転自在に支持される支点部
5i等を有する。この後退規制部材5は、支点部5iに
設けられた穴5j(図20参照)を支持ピン54に嵌め
合わせるとともに、側壁部5rに設けられた長穴5kに
スラストリング36に設けられた係合ピン36bを嵌め
込んで組付けられており、支持ピン54を中心として回
動可能に設けられている。
【0069】また、後退規制部材5は、支持ピン54に
嵌め合わされたスプリング38によってプレート39側
へ押圧されている。即ち、スプリング38は、後退規制
部材5を介してピニオン4を後方(プレート39側)へ
押圧して静止状態を保持しているとともに、エンジン始
動後のピニオン4の飛び出し防止を手助けしている。
【0070】回転規制部材6は、図21に示すように、
棒状の金属材を巻回して構成されて、両端部が径方向の
対向位置で同一方向へ直角に曲げ起こされている。曲げ
起こされた一端部は、スタータの作動初期に回転規制プ
レート34に設けられた凹部34aに係合することでピ
ニオン4の回転を規制する回転規制棒6bであり、他端
部の紐状部材係合部6cには、紐状部材40の一端が係
合されて、その紐状部材40を介してマグネットスイッ
チ7の作動が伝えられる。また、回転規制棒6bは、ピ
ニオン4の前進移動に伴って後退規制部材5が軸方向に
引き起こされた時に、図22に示すように、後退規制部
材5の円環状部5qの後方に入り込んで、円環状部5q
の端部5p(本発明の第2の当接部)を支持することに
より、後退規制部材5の姿勢を保持する。なお、本実施
例も第1実施例と同様に、ピニオン4の後退規制時に、
後退規制部材5の側壁部5rは、出力軸3のヘリカルス
プライン3a外径にそれぞれ接する平行な第1、第2の
接線3b、3cとの間で、かつ出力軸3を中心として対
向する位置でピニオン4のスラストリング36に当接し
ている。
【0071】次に、本実施例の作動を説明する。第1実
施例および第2実施例と同様に、始動スイッチがオンさ
れてマグネットスイッチ7が作動することにより、回転
規制部材6の回転規制棒6bが回転規制プレート34の
凹部34aに係合することでピニオン4の回転を規制す
る。一方、スタータモータ2の回転力を受けて出力軸3
が回転することにより、回転規制されたピニオン4が出
力軸3のヘリカルスプライン3aに沿って前進してピニ
オンギヤ4aがリングギヤ100と噛み合い、エンジン
を始動させる。
【0072】この時、後退規制部材5は、図22に示す
ように、ピニオン4の前進に伴って、スラストリング3
6に設けられた係合ピン36bと側壁部5rに設けられ
た長穴5kとが係合しながら、支持ピン54を中心とし
て軸方向に引き起こされる。一方、回転規制部材6は、
ピニオンギヤ4aが完全にリングギヤ100に噛み合う
ことで、回転規制棒6bの先端が回転規制プレート34
の凹部34aから外れてスラストリング36の後端側に
落ち込むことにより、ピニオン4の回転規制を解除する
と同時に、回転規制棒6bの先端が後退規制部材5の端
部5pを支持することにより、スラストリング36に引
っ張られて軸方向に引き起こされた後退規制部材5の姿
勢が保持される。
【0073】これにより、ピニオン4がリングギヤ10
0により回転されてピニオン4に後退力が働いても、後
退規制部材5と回転規制部材6との協同によってピニオ
ン4の後退を阻止することができる。その後、始動スイ
ッチがオフされると、回転規制部材6がリターンスプリ
ング(図示しない)のバネ力によって初期位置へ復帰す
ることにより、回転規制棒6bの先端が後退規制部材5
の後端から外れるため、後退規制部材5とともにピニオ
ン4が静止状態(図18に示す状態)に戻される。
【0074】本実施例では、ピニオン4に対して後退規
制部材5がスラストリング36を介して回転自在に組付
けられており、その後退規制部材5の後端を支持する回
転規制棒6bにはピニオン4の回転力が加わらないた
め、回転規制棒6bが曲げられたり、磨耗する様なこと
はない。また、スラストリング36の後端面に後退規制
部材5の側壁部5rが径方向の両側2か所で当接するた
め、ピニオン4は2点で支持されることになる。これに
より、ピニオン4が出力軸3に対して傾くことはなく、
信頼性の高い装置となる。
【0075】本実施例においては、以上のような第1実
施例と同様の効果を得ることができるとともに、さらに
以下の効果及び特徴を有する。姿勢保持手段を成す回転
規制部材6は、固定部材であるセンタケース22と後退
規制部材5との間の間隙に配置されているので、ピニオ
ン4が後退しようとしても、回転規制部材6の突起部6
dがつっかえ棒の役目を果たし、ピニオン4が後退する
ことを確実に防止できる。
【0076】また、後退規制部材5は、ピニオン4の後
退力が加わる作用点(即ち、側壁部5rがスラストリン
グ36と当接する点)に対して支持部と反対側の端部が
回転規制棒6bによって支持される。即ち、後退規制部
材5は、作用点に加わるピニオン4の後退力に対して両
端の2点で支持されることになるため、ピニオン4の後
退力に対して後退規制部材5が軸方向に変形(撓み)で
きる。これにより、ピニオンギヤ4aがリングギヤ10
0と噛み合った後、エンジン始動時にばたついた時(軸
方向に前後移動した時)に、そのピニオン4の後退時に
発生する力を吸収(緩衝)できる。
【0077】さらに、後退規制部材5の支点部5iから
ピニオン4の後端力が加わる作用点までの距離に対し
て、支点部5iから回転規制棒6bが当接する円環状部
5qの先端までの距離の方が長く設定できるので、てこ
の原理より、ピニオン4の後退を阻止するために必要な
力は、これを直接受圧するより低く設定できる。これに
より、回転規制棒6b部には、それに見合った強度の素
材を採用でき、いたずらに高強度材料を必要とせず、安
価なスタータを供給できる。
【0078】(第4実施例)図23はピニオン4周辺の
内部構造を示す断面図である。なお、回転規制部材6
は、第3実施例と同一品である。本実施例は、後退規制
部材5がシャッタ33と連動する構造の一例を示すもの
である。シャッタ33は、第1実施例で説明した様に、
ピニオン4の移動に連動してハウジング12のリングギ
ヤ側に開口する開口部(図示しない)を開閉するもの
で、図25に示すように、出力軸3の外周に嵌め合わさ
れる円筒部33a、この円筒部33aの下側から前方へ
平板状に形成された開閉板33b、円筒部33aの左右
両側からピニオン4の側方を通って後方へ伸びる2本の
支持腕33c等が設けられている。また、各支持腕33
cには、図24に示すように、その後端部に出力軸3側
へ突出するボス部33dが設けられて、このボス部33
dにそれぞれ係合ピン33eが圧入固定されている。但
し、係合ピン33eは、その先端がボス部33dの端面
より出力軸3側へ突出した状態で圧入されている。
【0079】このシャッタ33は、円筒部33aが形成
された後壁面がピニオン4の前端面に当接した状態で、
ハウジング12との間に配設されたスプリング32によ
り後方へ(図23の右側へ)付勢されている。従って、
スタータ作動時にピニオン4が出力軸3上を前進する時
にはスプリング32の付勢力に抗してピニオン4に押し
出されながら前方へ移動し、ピニオン4の後退規制が解
除されるとスプリング32の付勢力によってピニオン4
と一体に後方へ(図23に示す初期位置へ)押し戻され
る。なお、スプリング32は、出力軸3の外周に配され
て、一端がハウジング12の軸受け部12aに形成され
た段差面に係合し、他端がシャッタ33の円筒部33a
の周囲に形成された環状溝33f(図25参照)に係合
している。
【0080】後退規制部材5は、第3実施例で説明した
ものと略同形状に設けられて、支点部5iに形成された
穴5jをセンタケースに固定された支持ピン54に嵌め
合わせるとともに、側壁部5rに形成された長穴5kに
シャッタ33の支持腕33cの後端部に圧入された係合
ピン33eを嵌め込んで組付けられており、支持ピン5
4を中心として回動可能に構成されている。回転規制部
材6は、第3実施例で説明したものと略同形状に設けら
れており、スタータ1の作動初期に回転規制プレート3
4に設けられた凹部34aに係合してピニオン4の回転
を規制する回転規制棒6bを有する。
【0081】次に、本実施例の作動を説明する。始動ス
イッチがオンされてマグネットスイッチ7が作動するこ
とにより、回転規制部材6の回転規制棒6bが回転規制
プレート34の凹部34aに係合することでピニオン4
の回転を規制する。一方、スタータモータ2の回転力を
受けて出力軸3が回転することにより、回転規制された
ピニオン4が出力軸3のヘリカルスプライン3aに沿っ
て前進してピニオンギヤ4aがリングギヤ100と噛み
合い、エンジンを始動させる。
【0082】この時、後退規制部材5は、ピニオン4の
前進に伴ってシャッタ33が前方へ移動することによ
り、支持腕33cの後端部に圧入された係合ピン33e
と側壁部5rに形成された長穴5kとが係合しながら、
支持ピン54を中心として軸方向に引き起こされる。ま
た、回転規制部材6は、ピニオンギヤ4aが完全にリン
グギヤ100に噛み合うことで、回転規制棒6bの先端
が回転規制プレート34の凹部34aから外れてスラス
トリング36の後端側に落ち込むことにより、ピニオン
4の回転規制を解除すると同時に、回転規制棒6bの先
端が後退規制部材5の後端を支持することにより、シャ
ッタ33に引っ張られて軸方向に引き起こされた後退規
制部材5の姿勢が保持される。
【0083】これにより、ピニオン4がリングギヤ10
0により回転されてピニオン4に後退力が働いても、後
退規制部材5と回転規制部材6との共同によってピニオ
ン4の後退を阻止することができる。その後、始動スイ
ッチがオフされると、回転規制部材6がリターンスプリ
ング(図示しない)のバネ力によって初期位置へ復帰す
ることにより、回転規制棒6bの先端が後退規制部材5
の後端から外れてピニオン4の後退規制が解除される。
これにより、シャッタ33およびピニオン4がスプリン
グ32の付勢力によって初期位置へ押し戻されることに
より、後退規制部材5も静止状態(図23に示す状態)
へ復帰する。
【0084】本実施例では、後退規制部材5が非回転部
材であるシャッタ33に連結されてピニオン4との連れ
回りが生じない構造であるため、後退規制部材5の後端
を支持する回転規制棒6bにピニオン4の回転力が加わ
ることはなく、回転規制棒6bが曲げられたり、磨耗す
る様なことはない。また、後退規制部材5を介してピニ
オン4に偏荷重が加わることがないため、ピニオン4が
出力軸3に対して傾くことはなく、信頼性を向上でき
る。
【0085】(第5実施例)次に、本発明の第5実施例
を図26〜図30を参照して説明する。なお、回転規制
部材6は、第3実施例と同一品である。本実施例のスタ
ータ1は、他の実施例とピニオン戻り防止機構の構造が
異なるもので、以下にその点について説明する。なお、
他の実施例と同一機能を有する部品(同一名称)は同一
番号を付し、その説明を省略する。図26はピニオン後
退時(静止時)の状態を示し、図27はピニオン前進時
(噛合時)を示す。
【0086】回転規制部材6は、第3実施例で説明した
ものと略同形状に設けられており、センタケース22と
プレート39との間に形成される空間部に収納されて、
回転規制棒6bと紐状部材係合部6cがプレート39か
ら前方へ取り出されており、空間部を上下方向(図26
の上下方向)に移動可能に配されている。プレート39
には、回転規制部材6を初期位置(上方)へ付勢するリ
ターンスプリング8Aが配設されている。このリターン
スプリング8Aは、基端部81がプレート39の前面斜
め下方に係止されたコイル部82と、コイル部82の先
端から紐状部材係合部6cに向けて軸方向と直角に延設
された作動端部83とから成る。作動端部83は、コイ
ル部82の回動反発力により紐状部材係合部6cを略上
方に付勢し、これにより、マグネットスイッチ7への通
電遮断時には回転規制部材6は上方位置(即ち初期位
置)にセットされる。一方、マグネットスイッチ7への
通電がなされると、プランジャ75は紐状部材40を通
じて回転規制部材6を下降させる構造となっている。
【0087】後退規制部材5を図26および図30を参
照して説明する。後退規制部材5は、図30に示すよう
に、支持ピン54に揺動自在に枢支される支点部5i
と、支点部5iから支持ピン54の上方へ伸びる揺動部
5lと、揺動部5lの左右に個別に設けられた側壁部5
rとから成り、金属板の板金加工で形成されている。支
点部5iは、揺動部5lと一体に切り出された左右一対
の部分を揺動部5lに対して直角に折り曲げて成る。支
点部5iには、支持ピン54が挿通される穴5jが形成
されている。揺動部5lの中央には出力軸3が貫通され
る穴5fを有し、揺動部5lの左右端から支点部5iと
反対方向かつ揺動部5lと直角方向へ一対の側壁部5r
が折り曲げられている。一対の側壁部5rの当接面5m
は、スラストリング36の後端面に当接可能となってい
る。揺動部5l上部の円環状部5gは、揺動部5lの主
要部分に対して僅かに後方へ屈曲しており、この円環状
部5gの後端面に回転規制部材6の回転規制棒6bの前
端が当接してその後退方向への揺動が禁止される。
【0088】また、支持ピン54には、後退規制部材5
の付勢手段をなす後退規制手段付勢スプリング99が巻
装されており、その基端部99aはプレート39に係止
され、その作用端部99bは後退規制部材5の揺動部5
lを前方へ付勢している。これにより、後退規制部材5
の側壁部5rは、常時スラストリング36の後端面に押
圧されている。プレート39は、図29に示すように、
センタケース22の回転規制部材案内溝222の開口を
覆って回転規制部材6のリング部61が回転規制部材案
内溝222から逸脱するのを防止している。なお、プレ
ート39の上部における左右方向中央には、回転規制棒
6bが前方へ突出する大窓39cが開口され、プレート
39の下部における左右方向中央には、紐状部材係合部
6cが前方へ突出する小窓39dが開口されている。図
29における穴39eは、スタータモータ2を挟んでハ
ウジング12とエンドカバー13とを締結するスルーボ
ルト(図示せず)が嵌入される穴である。
【0089】センタケース22の下部における左右方向
中央部には、ローラ支持壁22aが前方へ突設されてお
り、そのローラ支持壁22aには、支持ピン54が左右
方向に圧入されている。支持ピン54には、紐状部材4
0の角度変化を行うためのローラ(図示せず)が回転自
在に支持されている。
【0090】次に、本実施例の作動を説明する。始動ス
イッチがオンされてマグネットスイッチ7が作動するこ
とにより、回転規制部材6が下方へ移動して、回転規制
棒6bがピニオンの回転規制プレート34の凹部34a
に係合することにより、ピニオン4の回転が規制され
る。一方、スタータモータ2の回転力を受けて出力軸3
が回転することにより、回転規制されたピニオン4が出
力軸3のヘリカルスプライン3aに沿って前進してピニ
オンギヤ4aがリングギヤ100と噛み合う。ピニオン
4が前進すると、後退規制部材5は、後退規制手段付勢
スプリング99の付勢力により、側壁部5rの当接面5
mをスラストリング36に当接させたまま、支持ピン5
4を支点として回動する。
【0091】ピニオンギヤ4aがリングギヤ100と噛
み合って所定の距離だけ前進すると、回転規制部材6の
回転規制棒6bがスラストリング36の後方空間に落ち
込んでピニオン4の回転規制を解除した後、回転規制棒
6bの前端が後退規制部材5の円環状部5gの後端面に
当接する(図27参照)。そして、出力軸3の回転がピ
ニオン4およびリングギヤ100を通じて伝達されて、
エンジンを始動する。
【0092】ピニオン4が前進してピニオンギヤ4aが
リングギヤ100と噛み合った状態では、ピニオン4の
先端側に配されたスプリング32の付勢力が大きくな
り、更に、エンジン始動後、ピニオン4がリングギヤ1
00によって回転される状況となると、エンジンの回転
力がヘリカルスプライン3aの作用によってピニオン4
を後退させる方向へ作用するので、ピニオン4は出力軸
3に対して後退しようとする。しかし、上述のようにピ
ニオン4の後退は、ピニオン4のスラストリング36に
2点の当接面5mで当接している後退規制部材5を通じ
て回転規制部材6により規制されており、リングギヤ1
00からの離脱が阻止される。その後、始動スイッチが
オフされると、回転規制部材6はリターンスプリング8
Aの付勢によって初期位置(図26参照)へ復帰する。
この結果、リングギヤ100から後退力を受けるピニオ
ン4が初期位置(図26参照)に後退する。本実施例で
は、第3実施例と同様の効果を得ることができる。
【0093】次に、本発明の第6実施例を図31〜図3
5を参照して説明する。なお、回転規制部材6は、第3
実施例と同一品である。本発明の第6実施例は、第5実
施例に対して、ピニオン戻り防止機構の後退規制部材5
及びスラストリング36の形状が異なるもので、以下に
その点について説明する。なお、他の実施例と同一機構
を有する部品(同一名称)は、同一番号を付し、その説
明を省略する。
【0094】後退規制部材5(本発明の腕部材)は、図
32に示すように、支持ピン54に揺動自在に軸支され
る支点部5iと、その支点部5iから支持ピン54の上
方へ伸びる揺動部5lと、この揺動部5lから更に上方
へ伸びる一対の側片部5hと、この側片部5hにそれぞ
れ形成されて反ピニオン側に屈曲した一対の屈曲部5n
と、一対の側片部5hを連結する円環状部5gとで構成
されている。
【0095】一対の側片部5hは、スラストリング36
の後端面に当接可能となっている。円環状部5gの後端
面に回転規制部材6の回転規制棒6bの前端が接触して
その後退方向への揺動が禁止される。スラストリング3
6は、スラストベアリング35を介してピニオン4の回
転方向に回転自在に固定される固定部36bと、この固
定部36bから突出する一対の突出部36c(本発明の
第1の突起部)と、この一対の突出部36cからピニオ
ン4の軸心に向かって径方向内側にそれぞれ突出し、後
退規制部材5の一対の側片部5hを保持する一対の係合
部36d(本発明の第2の突起部)とから構成されてお
り、固定部36bと一対の突出部36cと一対の係合部
36dとで囲まれる空間には、後退規制部材5の一対の
側片部5hが配置され、ピニオン4が図示されない出力
軸上を移動することによって、後退規制部材5が前記空
間を移動するようになっている。
【0096】次に、本実施例の作動を説明する。始動ス
イッチがオンされて図示されないマグネットスイッチが
作動することにより、回転規制部材6の紐状部材係合部
6cに係合する図示されない紐状部材によって、回転規
制部材6が下方へ移動して、回転規制棒6bがピニオン
4の回転規制プレート34の凹部34aに係合すること
により、ピニオン4の回転が規制される。
【0097】一方、図示されないスタータモータの回転
力を受けて出力軸が回転することにより、回転規制され
たピニオン4が出力軸3のヘリカルスプライン3aに沿
って前進してピニオンギヤ4aが図示されないリングギ
ヤ100と噛み合う。ピニオン4が前進すると、後退規
制部材5は、スラストリング36の固定部36bと一対
の突出部36cと一対の係合部36dとで囲まれた空間
内で移動し、後退規制部材5がスラストリング36の一
対の係合部36dに当接しつつ、支持ピン54を支点と
して回動することによって、後退規制部材5がピニオン
4方向に引っ張られる。ピニオンギヤ4aがリングギヤ
100と噛み合って所定の距離だけ前進すると、回転規
制部材6の回転規制棒6bがスラストリング36の後方
空間に落ち込んでピニオン4の回転規制を解除した後、
回転規制棒6bの前端が後退規制部材5の円環状部5g
の後端面に当接する(図34参照)。そして、出力軸の
回転がピニオン4及びリングギヤ100を通じて伝達さ
れて、エンジンを始動する。
【0098】ピニオン4が前進してピニオンギヤ4aが
リングギヤ100と噛み合った状態で、ピニオン4の先
端側に配置された図示されないスプリングの付勢力が大
きくなり、更に、エンジン始動後、ピニオン4がリング
ギヤ100によって回転される状況となると、エンジン
の回転力がヘリカルスプライン3aの作用によってピニ
オン4を後退させる方向へ作用するので、ピニオン4が
出力軸に対して後退しようとする。しかし、上述のよう
に、ピニオン4の後退は、ピニオン4のスラストリング
36に2点の当接面5mで当接している後退規制部材5
を通じて回転規制部材6により規制されており、リング
ギヤ100からの離脱が阻止される(図34および図3
5参照)。なお、図35は図34と同様に後退規制部材
5がピニオン4の後退規制状態をスタータモータ2側か
ら見たものである。出力軸3のヘリカルスプライン3a
外径にそれぞれ接する平行な第1、第2の接線3b、3
cとの間で、かつ出力軸3を中心として対向する位置に
当接面5m(本発明の第1の当接部)がスラストリング
36に当接している。
【0099】その後、始動スイッチがオフされると、回
転規制部材6の紐状部材係合部6cに係合する図示され
ないリターンスプリングの付勢によって、回転規制部材
6が初期位置(図31参照)へ復帰する。この結果、リ
ングギヤ100から後退力を受けるピニオン4が初期位
置(図31参照)に後退する。本実施例では、第5実施
例と同様の効果を得ることができる。さらに、回転規制
部材6がピニオン4の移動に伴って、ピニオン4に組付
けられたスラストリング36の係合部36d内で軸方向
に保持されながら略径方向に移動できるので、ピニオン
4を後退規制する位置に移動するためにわざわざ別部材
を用いてピニオン4とともに移動させる必要もなく、簡
単な構成で回転規制部材6をピニオン4の後退規制位置
に移動させることができる。
【0100】また、スラストリング36は、固定部36
bから反ピニオン側にそれぞれ突出した一対の突出部3
6cと、この一対の突出部36cからピニオン4の軸心
に向かって径方向内側にそれぞれ突出する一対の係合部
36dとからなるため、スラストリング36における突
出部36cと係合部36dとで形成される空間内で、後
退規制部材5が軸方向に保持されたまま略径方向に移動
でき、回転規制部材6をピニオン4の後退規制位置に容
易に移動させることができる。
【0101】さらに、回転規制部材6を前記空間内に挿
入する(滑り込ませる)だけで簡単に組付けできる。ま
た、支持部5iからそれぞれ延びる一対の側片部5hに
は、反ピニオン4側にそれぞれ屈曲した一対の屈曲部5
nを備え、その屈曲部5nをピニオン4への当接面5m
としているので、後退規制部材5のセンタケース22に
対する傾きが常に一定でなくても、ピニオン4へはその
一対の屈曲部5nで概ね直線状に当接することになり、
安定したピニオン4の後退規制が行われる。
【0102】〔変形例〕上記の各実施例では、紐状部材
40を通じてマグネットスイッチ7により回転規制部材
6を駆動する説明であるが、マグネットスイッチ7の代
わりに小型モータで回転規制部材6を駆動させても良
い。また、連結部材としては紐状部材でなくても棒状部
材等のレバー式やリンク機構によるものでも良い。ま
た、各実施例では、スラストリング36に対して後退規
制部材5が2点で支持する構造であるが、3点以上で支
持する構造でも良い。但し、この場合、出力軸3に対す
るピニオン4の傾きを防止するために、各支持部を結ん
で形成される多角形内にピニオン4の軸中心が存在して
いることが必要である。
【0103】後退規制部材5は、金属板の板金加工品と
したが、樹脂成形品などでも良い。上記の第1実施例〜
第4実施例では、後退規制部材5とスラストリング36
とを連結構造としたが、磁石等を使用して吸着させるこ
とにより同一に摺動させてもよい。また、各実施例で説
明したスタータ1は、出力軸3に対してピニオン4のみ
が前進移動する構造であるが、出力軸3の外周に一方向
クラッチ(本発明の移動筒部材)がヘリカルスプライン
嵌合されて、その一方向クラッチの先端側にピニオン4
が一体に設けられた構造のスタータでも良い。
【0104】なお、各実施例で説明したスタータ1で
は、ピニオンギヤ4aを有するピニオン4を回転規制し
て出力軸3のヘリカルスプライン3aとスタータモータ
2の回転力の作用でピニオン4を押し出す方式のものと
したが、ピニオン4の慣性を利用してスタータモータ2
の回転の立ち上がりによりピニオン4を前進させる、い
わゆる慣性噛み合い方式のスタータにおいても、本発明
のピニオン後退規制機構が採用できることは言うまでも
ない。
【0105】更に、第2実施例〜第6実施例において
は、後退規制部材5の移動方向と姿勢保持手段である回
転規制部材6の作動方向が略直交しているが、これは直
交に限定したことではなく、同一方向でなければ、それ
だけ姿勢保持手段にかかる荷重は分力となって直接同一
方向に駆動するより荷重が小さくてすみ、駆動源(例え
ば電磁スイッチ)が発生する力はそれに見合って低減で
きることは言うまでもないことである(当然、直交する
場合は、分力は0となって駆動源に作用する力は働かな
い)。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタータの全体断面図である(第1実施例)。
【図2】スタータの全体断面図である(第1実施例)。
【図3】ピニオンの静止状態を示す作動説明図である
(第1実施例)。
【図4】後退規制部材の組付け状態を示す平面図である
(第1実施例)。
【図5】後退規制部材の斜視図である(第1実施例)。
【図6】回転規制部材の斜視図である(第1実施例)。
【図7】ピニオンが前進移動した状態を示す作動説明図
である(第1実施例)。
【図8】ピニオンが前進移動した状態を示し、スタータ
モータ側から見た説明図である(第1実施例)。
【図9】スタータの要部断面図である(第2実施例)。
【図10】スタータの要部断面図である(第2実施
例)。
【図11】後退規制部材と回転規制部材の作動状態を示
す説明図である(第2実施例)。
【図12】図11の作動状態に相当する側面図である
(第2実施例)。
【図13】後退規制部材と回転規制部材の作動状態を示
す説明図である(第2実施例)。
【図14】図12の作動状態に相当する側面図である
(第2実施例)。
【図15】ピニオンが前進移動した状態を示し、スター
タモータ側から見た説明図である(第2実施例)。
【図16】回転規制部材の正面図である(第2実施
例)。
【図17】回転規制部材の側面図である(第2実施
例)。
【図18】後退規制部材と回転規制部材の作動状態を示
す側面図である(第3実施例)。
【図19】後退規制部材の組付け状態を示す正面図であ
る(第3実施例)。
【図20】(a)はピニオン戻り防止機構の分解図であ
り、(b)はピニオン戻り防止機構のピニオンおよび後
退規制部材の側面図である(第3実施例)。
【図21】回転規制部材の斜視図である(第3実施
例)。
【図22】後退規制部材と回転規制部材の作動状態を示
す側面図である(第3実施例)。
【図23】ピニオン周辺の内部構造を示す断面図である
(第4実施例)。
【図24】後退規制部材の組付け状態を示す平面図であ
る(第4実施例)。
【図25】シャッタの斜視図である(第4実施例)。
【図26】スタータの静止時の軸方向要部断面図である
(第5実施例)。
【図27】スタータの噛合時の軸方向要部断面図である
(第5実施例)。
【図28】出力軸の停止時における後退規制部材を除く
ピニオン近傍拡大断面図である(第5実施例)。
【図29】プレートの近傍を示す正面図である(第5実
施例)。
【図30】(a)は後退規制部材の正面図であり、
(b)はその側面図であり、(c)はその下方から見上
げた平面図である(第5実施例)。
【図31】後退規制部材と回転規制部材の作動を示す側
面図である(第6実施例)。
【図32】(a)はピニオン戻り防止機構の一部分解図
であり、(b)はその側面図である(第6実施例)。
【図33】(a)は後退規制部材の正面図であり、
(b)はその側面図であり、(c)はその下方から見上
げた平面図である(第6実施例)。
【図34】後退規制部材と回転規制部材の作動を示す側
面図である(第6実施例)。
【図35】ピニオンが前進移動した状態を示し、スター
タモータ側から見た説明図である(第6実施例)。
【符号の説明】
1 スタータ 2 スタータモータ 3 出力軸 3a ヘリカルスプライン 3b 第1の接線 3c 第2の接線 4 ピニオン(移動筒部材) 4a ピニオンギヤ 5 後退規制部材(腕部材/後退規制手段) 5a 側片部(第1の当接部) 5c 屈曲部(揺動支持部) 5d 係合凹部(第3の当接部) 5f 端部(第1の当接部) 5m 当接面(第1の当接部) 5p 端部(第2の当接部) 6 回転規制部材(腕姿勢保持手段) 7 マグネットスイッチ(駆動手段) 22 センタケース(固定部材) 36 スラストリング(移動筒部材) 37 ピン(移動筒部材) 39 プレート(固定部材) 40 紐状部材 100 リングギヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志賀 孜 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−149350(JP,A) 特開 昭50−18915(JP,A) 実開 昭57−36763(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02N 11/00 F02N 15/06

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スタータモータに駆動されるとともに、外
    周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 この移動筒部材に当接して前記移動筒部材の回転を規制
    することにより、前記スタータモータの回転力と前記ヘ
    リカルスプラインの作用によって前記移動筒部材を前進
    させる規制手段と、 この規制手段を前記移動筒部材への当接位置に移動させ
    る駆動手段と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態で前記移動筒部材の後退を規制する後退規
    制手段とを備え、 前記後退規制手段には、前記出力軸のヘリカルスプライ
    ン外径にそれぞれ接する平行な第1、第2の接線との間
    で、かつ前記出力軸を中心として対向する位置でそれぞ
    れ前記移動筒部材に当接する第1の当接部が設けられて
    いることを特徴とするスタータ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のスタータにおいて、 前記後退規制手段の第1の当接部は、前記移動筒部材の
    軸心に対して径方向に略対称位置となる2カ所で前記移
    動筒部材に当接することを特徴とするスタータ。
  3. 【請求項3】スタータモータに駆動されるとともに、外
    周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 この移動筒部材に当接して前記移動筒部材の回転を規制
    することにより、前記スタータモータの回転力と前記ヘ
    リカルスプラインの作用によって前記移動筒部材を前進
    させる規制手段と、 この規制手段を前記移動筒部材への当接位置に移動させ
    る駆動手段と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態で前記移動筒部材の後退を規制する後退規
    制手段とを備え、 前記後退規制手段には、前記移動筒部材に当接する3か
    所以上の第1の当接部を有し、前記第1の当接部を結ん
    で形成される多角形内に前記移動筒部材の軸心が配置さ
    れることを特徴とするスタータ。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載のスタ
    ータにおいて、 前記移動筒部材と前記後退規制手段との間には、前記移
    動筒部材に対して相対回転自在に組付けられた回転部材
    を有することを特徴とするスタータ。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれかに記載のスタ
    ータにおいて、 前記移動筒部材の後退規制時に、前記後退規制手段の姿
    勢を保持する姿勢保持手段を備え、前記後退規制手段と
    前記姿勢保持手段とで、前記移動筒部材の後退を規制す
    ることを特徴とするスタータ。
  6. 【請求項6】請求項5記載のスタータにおいて、 前記姿勢保持手段は、前記後退規制手段よりスタータモ
    ータ側に設けられた固定部材と前記後退規制部材との間
    の間隙に配置されることを特徴とするスタータ。
  7. 【請求項7】請求項4ないし6のいずれかに記載のスタ
    ータにおいて、 前記後退規制手段は、一端部には、前記姿勢保持手段が
    当接する第2の当接部を有し、他端部には、スタータモ
    ータ側に設けられた固定部材に揺動可能に支持された揺
    動支持部を有し、前記一端部と前記他端部との間に前記
    第1の当接部を配置したことを特徴とするスタータ。
  8. 【請求項8】請求項5または6に記載のスタータにおい
    て、 前記移動筒部材に組付けられた回転部材は、前記後退規
    制手段を軸方向に保持する保持部を有し、 前記移動筒部材の移動に伴って、前記後退規制手段は前
    記固定部材に設けられた支持部を支点として前記保持部
    内で略径方向に自在に移動することを特徴とするスター
    タ。
  9. 【請求項9】請求項5ないし8のいずれかに記載のスタ
    ータにおいて、 前記規制手段は、前記姿勢保持手段を兼ねることを特徴
    とするスタータ。
  10. 【請求項10】請求項8記載のスタータにおいて、 前記回転部材の保持部は、前記回転部材から反移動筒部
    材側にそれぞれ突出した一対の第1の突起部と、この一
    対の第1の突起部から前記移動筒部材の軸心に向かって
    径方向内側にそれぞれ突出する一対の第2の突起部とか
    らなり、 前記後退規制手段は、前記支持部からそれぞれ延びる一
    対の側片部を有し、この側片部には反移動筒部材側にそ
    れぞれ屈曲した一対の屈曲部を備えることを特徴とする
    スタータ。
  11. 【請求項11】請求項1記載のスタータにおいて、 前記後退規制手段は、 前記移動筒部材に対して出力軸の回りに回転自在に組付
    けられるとともに、一端が前記移動筒部材の軸心に対し
    て略対称位置となる両側に出力軸に交差する軸の回りに
    回動自在に係合して、前記移動筒部材の移動に伴い軸方
    向に引き起こされ、他端が前記移動筒部材よりスタータ
    モータ側に設けられた固定部材に当接して、前記移動筒
    部材と前記固定部材との間に介在される腕部材と、引き
    起こされた腕部材の他端と係合する係合位置に移動して
    前記腕部材の姿勢を保持する腕姿勢保持部材とからなる
    ことを特徴とするスタータ。
  12. 【請求項12】請求項11記載のスタータにおいて、 前記腕部材は、前記移動筒部材の前進に伴って軸方向へ
    引き起こされることにより、前記固定部材上を摺動しな
    がら前記出力軸の軸方向側へ入り込み、前記腕部材に
    は、前記腕姿勢保持部材が当接する第3の当接部を有
    し、前記腕姿勢保持部材が前記第3の当接部に当接する
    ことで前記腕部材が前記出力軸の径方向外側へ押し出さ
    れるのを規制することを特徴とするスタータ。
  13. 【請求項13】請求項12記載のスタータにおいて、 前記腕姿勢保持部材は、前記腕部材が前記出力軸の径方
    向外側へ押し出される方向と交差する方向に作動して前
    記腕部材の戻りを規制することを特徴とするスタータ。
  14. 【請求項14】請求項1または3に記載のスタータにお
    いて、 前記駆動手段は、前記スタータモータへの通電を制御す
    る電磁スイッチを動力源とすることを特徴とするスター
    タ。
  15. 【請求項15】請求項1または3または14に記載のス
    タータにおいて、 前記駆動手段は、連結部材を介して前記規制手段を駆動
    することを特徴とするスタータ。
  16. 【請求項16】請求項14記載のスタータにおいて、 前記電磁スイッチは、前記スタータモータの後方に配置
    されていることを特徴とするスタータ。
  17. 【請求項17】スタータモータに駆動されるとともに、
    外周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 この移動筒部材に当接して前記移動筒部材の回転を規制
    することにより、前記スタータモータの回転力と前記ヘ
    リカルスプラインの作用によって前記移動筒部材を前進
    させる規制手段と、 この規制手段を前記移動筒部材への当接位置に移動させ
    る駆動手段と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態において、前記出力軸のヘリカルスプライ
    ン外径にそれぞれ接する平行な第1、第2の接線との間
    で、かつ前記出力軸を中心として対向する位置で前記移
    動筒部材の後退を規制する第1、第2の規制部を有する
    後退規制手段と、を備えることを特徴とするスタータ。
  18. 【請求項18】スタータモータに駆動されるとともに、
    外周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 この移動筒部材に当接して前記移動筒部材の回転を規制
    することにより、前記スタータモータの回転力と前記ヘ
    リカルスプラインの作用によって前記移動筒部材を前進
    させる規制手段と、 この規制手段を前記移動筒部材への当接位置に移動させ
    る駆動手段と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態において、前記移動筒部材に当接する3カ
    所以上の複数の規制部を有し、前記複数の規制部を結ん
    で形成される多角形内に前記移動筒部材の軸心が配置さ
    れる後退規制手段と、を備えることを特徴とするスター
    タ。
  19. 【請求項19】スタータモータに駆動されるとともに、
    外周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態において、前記出力軸のヘリカルスプライ
    ン外径にそれぞれ接する平行な第1、第2の接線との間
    で、かつ前記出力軸を中心として対向する位置で前記移
    動筒部材の後退を規制する第1、第2の規制部を有する
    後退規制手段と、 前記移動筒部材の後退規制時に、前記後退規制手段の姿
    勢を保持する姿勢保持手段とを備え、 前記後退規制手段と前記姿勢保持手段とで前記移動筒部
    材の後退を規制することを特徴とするスタータ。
  20. 【請求項20】スタータモータに駆動されるとともに、
    外周にヘリカルスプラインを有する出力軸と、 エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンギヤを有し、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに係合するとともに、
    前記出力軸のヘリカルスプラインに沿って軸方向に進退
    可能に設けられた移動筒部材と、 前記ピニオンギヤが前記リングギヤに噛み合って所定量
    前進した状態において、前記移動筒部材に当接する3ヵ
    所以上の複数の規制部を有し、前記複数の規制部を結ん
    で形成される多角形内に前記移動筒部材の軸心が配置さ
    れる後退規制手段と、 前記移動筒部材の後退規制時に、前記後退規制手段の姿
    勢を保持する姿勢保持手段とを備え、 前記後退規制手段と前記姿勢保持手段とで前記移動筒部
    材の後退を規制することを特徴とするスタータ。
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