JP3018180B1 - 多孔質フィルター - Google Patents

多孔質フィルター

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JP3018180B1
JP3018180B1 JP10322914A JP32291498A JP3018180B1 JP 3018180 B1 JP3018180 B1 JP 3018180B1 JP 10322914 A JP10322914 A JP 10322914A JP 32291498 A JP32291498 A JP 32291498A JP 3018180 B1 JP3018180 B1 JP 3018180B1
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建一 宇敷
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Abstract

【要約】 【課題】 多孔質フィルターを提供する。 【解決手段】 固体粒子や液滴を含むガスまたは液体の
濾過に使用され、逆洗浄が行われる多孔質フィルターで
あって、前記フィルター全体または少なくとも一方の面
の表層が、凝集性微粉末を圧縮成形することにより形成
した不均一充填層(ラミネーション層)で構成された積
層多孔質からなる事を特徴とする多孔質フィルター及び
その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体中の粒子の除
去装置に係るものであり、集塵装置、固体粒子を含むオ
イルミストセパレータ、ならびに溶融金属液、水、およ
び溶媒等の液中懸濁物の濾過装置に使用するための、逆
洗操作によって再生されるセラミックス、金属、ポリマ
ー等の材質でできた多孔質フィルターに関するものであ
り、さらに詳しくは、逆洗時の圧力によって細孔の閉塞
した表層部が剥離し、フィルター表面が自動的に更新さ
れ閉塞状態から閉塞のない状態に修復するように形成し
てなる多孔質フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より流体(気体または液体)中の懸
濁粒子を除去する際に捕集性能の高い多孔質材料による
濾過を行う事は古くから提案、実施されている(例え
ば、特開昭51−123772)。この様な多孔質材料
を濾過に用いる場合、時間が立つにつれて固体粒子や高
粘度液体粒子が多孔質フィルタ表面に堆積するため流体
抵抗が増大し、濾過を行うために必要な圧力が増大す
る。そこで、一定時間が経過すると、清浄流体側から粒
子懸濁流体側へ流体を逆流させ洗浄する逆洗操作が行わ
れフィルター表面の堆積物を除去しフィルターの流体抵
抗(濾過圧損)の回復を図っている。
【0003】しかし、多孔質フィルターの場合は基本的
には表面に捕集粒子層(ケーキ)を形成するが、懸濁粒
子中に付着性の強い微粒子が含まれている場合一部が細
孔内に流入して逆洗によっても除去されずに細孔中に残
留し、逆洗後の流体抵抗も徐々に上昇する。このため、
流体を濾過するための動力費が増大し、あるいは濾過能
力が低下し、流体抵抗が極めて高くなるとフィルターを
交換しなければならず、メインテナンス費の増大を招い
ていた。
【0004】かかる問題点を解消するために、実開昭6
1−64315にはセラミックスフィルタによる高温ガ
スからの除塵に使用することができ、また、逆洗効果が
高くフィルタエレメントの寿命が長い高温排ガス浄化用
セラミックスフィルタ装置について記載されているが、
フィルタの構造に関して、除塵操作に先だってフィルタ
の含塵ガス側の面に、耐熱繊維と無機質粒状物との混合
体からなるプレコート層を形成し、粉塵によるフィルタ
の目づまりを軽減する事が提案されている。
【0005】さらに、特許第2526597号では、上
記方法のプレコート層が逆洗操作の度毎にプレコート材
を投入して再生する必要があるという不経済性を改良
し、滑石や雲母、黒鉛等天然の薄片状の粉末をプレコー
ト材として用いる方法を提案している。この様な薄片状
の粒子がフィルターの細孔内に入り込むと逆洗によって
も細孔から出にくくなり、逆洗後もフィルター表面に保
持され、一方、薄片状であるため、フィルターの細孔内
に入り込んでも互いに隙間を保ちガス通路を形成しなが
ら堆積するので通気性を確保できる。この方法は、上記
によって粉塵の細孔内部への浸入を抑制すると共に通気
性を確保する原理のものである。
【0006】しかし、これらの方法では懸濁粒子のフイ
ルター内部への浸入を遅らせる事によって濾過能力の低
下を遅らせることはできるが、懸濁粒子中に含まれる付
着性の強い粒子の割合が多い場合や付着性の強い粒子が
微細で気流に同伴され、薄片状粒子の間隙中にまで流入
する場合にはもはや目詰まりによる濾過能力の低下を無
くす事は困難である。また、天然の薄片状粒子には耐熱
性や耐食性のため使用に制約がある。例えば、滑石では
850℃、雲母は700−800℃で分解し、黒鉛微粒
子は酸化性雰囲気では高温下で容易に燃焼・爆発する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】プレコートを行っても
行なわなくても最終的にはフィルタの目詰まりが進行す
る事によって濾過能力が低下し、逆洗を行ってももはや
流体抵抗が極めて高くてフィルタの交換が必要となる。
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて、このような
問題を解決するために、フィルターに生じた目詰まり部
をフィルターから自動的に剥離除去する事によって目詰
まりを修復する構造の多孔質フィルターを提案するもの
である。すなわち、本発明は、フィルターに生じた目詰
まり部をフィルターから自動的に剥離除去することが可
能な多孔質フィルターを提供することを目的とするもの
である。また、本発明は、フィルターを逆洗したとき層
間で剥離が生じる構造を有する多孔質フィルターを提供
することを目的とするものである。さらに、本発明は、
層厚さの傾斜した積層多孔質構造を有する多孔質フィル
ターを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)固体粒子や液滴を含むガスまたは液体の濾過に使
用され、逆洗浄が行われる多孔質フィルターであって、
前記フィルター全体または少なくとも一方の面の表層
が、凝集性微粉末を圧縮成形することにより形成した不
均一充填層(ラミネーション層)で構成された積層多孔
質からなり、積層多孔質の各層間は容易に剥離する構造
を有し、積層多孔質を構成する各層の厚さ、層密度ある
いは細孔率を順次変化させ、これらを傾斜させた、表層
ほど弱く破壊され易い構造を有し、逆洗によって積層多
孔質の表層から順次剥離が進展するようにしたことを特
徴とする多孔質フィルター。 (2)0.5μm以下の粒子径を有する微粉末を積層多
孔質原料用凝集性微粉末として選択、使用したものであ
る前記(1)の多孔質フィルター。 (3)積層多孔質の細孔を表面ほど多くし、積層多孔質
の破壊強度を表面ほど小さくした積層多孔質からなる前
記(1)の多孔質フィルター。 (4)前記(1)の多孔質フィルターの積層多孔質を製
造する方法であって、可燃性有機物粉末を凝集性微粉末
中に分散後圧縮成型し、成形後または成形と同時に積層
状に不均一充填された凝集性微粉末の焼結を行うこと
より同粉末中の可燃性有機物粉末を燃焼または蒸発によ
り消失させ細孔を形成すること、上記工程において、消
失して細孔となる成分の割合を傾斜配分し、積層多孔質
中の細孔の体積分率を懸濁粒子を含む流体と接触する側
程大きくすることによって、表面ほど破壊強度を小さく
するようにすることを特徴とする積層多孔質の製造方
法。 (5)前記(1)の多孔質フィルターの積層多孔質を製
造する方法であって、耐熱で可水溶性の物質の粉末を凝
集性微粉末中に分散後圧縮成型し、成形により積層状に
不均一充填された凝集性微粉末の焼結した後に水洗等を
行うことによって可水溶性の物質の粉末を消失させ細孔
を形成すること、上記工程において、消失して細孔とな
る成分の割合を傾斜配分し、積層多孔質中の細孔の体積
分率を懸濁粒子を含む流体と接触する側程大きくするこ
とによって、表面ほど破壊強度を小さくするようにする
ことを特徴とする積層多孔質の製造方法。 (6)前記(1)の多孔質フィルターの積層多孔質を製
造する方法であって、可燃性有機物をバインダーとして
凝集性微粉末の造粒し、造粒体の加圧成形後または成形
と同時に積層状に不均一充填された凝集性微粉末の焼結
を行うことによって同成形体中の可燃性有機物を燃焼に
より消失させ細孔を形成すること、上記工程において、
消失して細孔となる成分の割合を傾斜配分し、積層多孔
質中の細孔の体積分率を懸濁粒子を含む流体と接触する
側程大きくすることによって、表面ほど破壊強度を小さ
くするようにすることを特徴とする積層多孔質の製造方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の構成はフイルターの表面
またはフィルター全体を積層多孔質構造とし、各多孔質
層間を結合する強度が各層の強度より小さく、目詰まり
した状態でフィルターを逆洗したとき層間で剥離が生じ
る構造とする事を特徴とするものである。フィルターの
積層多孔質構造部は例えば以下のようにして製造する事
が、積層多孔質を構成する膜の厚さ、即ち破壊強度や、
材質の耐熱耐食性の選択を広くするので好ましい。ま
た、以下の製法では積層多孔質を構成する各層の厚さを
順次変化させ、層厚さの傾斜した積層多孔質が作製でき
るので、表層ほど破壊され易くする事が可能である。
【0010】凝集性微粉を圧縮成型すると、積層膜構造
の不均一充填層(ラミネーション層)が形成される事は
公知である(粉体工学会誌、29巻、662〜668頁
(1992年))。不均一充填層は凝集性微粉を圧縮成
型する事により生じ、微細であれば粉末の種類によらず
生じる。この場合0.5 μm 以下の微粉末の場合に不均一
層が形成され易いと言われている。また、上記文献に
は、積層構造の各層厚さは加圧速度や粒子径等によって
変える事が可能である事が記載されている。さらに、層
厚さの傾斜した不均一充填層の形成も可能である。例え
ば、一軸圧縮を行った場合は底部ほど層厚が大きくかつ
ミクロ硬度も大きい事が測定されている。即ち層厚のみ
でなく同時に強度も傾斜させる事が可能である。
【0011】以上の公知の不均一充填層作製原理を利用
して、積層多孔質が製造でき、かつ各層の破壊強度に傾
斜を持たせる事が可能である。本発明において、凝集性
微粉末は、圧縮成型により不均一充填層を生じるもので
あればその種類は限定されないが、例えば、酸化物セラ
ミックス、非酸化物セラミックス、金属、金属間化合
物、ポリマー等の微粉末、好ましくは0.5μm以下の
粒子径を有する微粉末が好適なものとして例示される。
【0012】焼結温度を低くし、焼結を不完全にする事
によって流体透過性の多孔質膜とする事も可能である
が、凝集性微粉末中に別の粉末を分散混合し成形焼結後
または焼結中にその添加した粉末粒子を消失させ、その
添加粒子の存在した部分を空孔として積層多孔質を製造
した方が流体の透過性も良く、細孔径も自在に制御可能
で好ましい。この様な添加粉末として、まず、アクリル
樹脂などの各種樹脂、おがくず、その他多くの可燃性有
機物の粉末が利用できる。これらと同効の可燃性有機物
であればその種類は限定されない。凝集性微粉末が酸化
物セラミックスなどの場合で酸化性雰囲気で焼結する様
な場合には、添加された可燃性粉末粒子は焼結中に燃焼
または蒸発によって消失し、積層多孔質ができる。
【0013】一方、凝集性微粉末が非酸化物セラミック
ス、金属、金属間化合物、ポリマー等である場合には、
耐熱で可水溶性の物質、例えば、酸化カルシウムや酸化
マグネシウム等の耐熱性でかつ水や酸等に溶解する物質
の粉末を添加混合し、成形、焼結後、例えば、強酸水溶
液などによる処理を含む水洗等により溶解消失させる事
によって積層多孔質を製造できる。耐熱で可水溶性の物
質としては、上記物質と同効のものであればその種類は
限定されない。
【0014】以上の他、ポリマー等適宜の可燃性有機物
を水または溶剤に溶かし、それをバインダーとして、流
動層等の凝集造粒装置やスプレードライヤー等の造粒装
置で凝集性微粉を造粒し、造粒物を加圧成型後焼結する
方法によっても積層多孔質を製造できる。
【0015】これらの多孔質膜製法において、消失する
物質の量や大きさを変えて、消失して細孔となる成分の
割合を傾斜配分し、積層多孔質中の細孔を表面ほど多く
し、積層多孔質の破壊強度を表面ほど小さくする事も可
能である。
【0016】
【作用】本発明では、懸濁粒子を含む流体が、積層多孔
質を構成する細孔中を通過するが、その際、懸濁粒子は
濾過により流体から分離され大部分は積層多孔質表面に
堆積し、一部は細孔内部へ浸入し細孔壁に付着する。こ
れに伴い圧力損失が増大するので、一定時間が経過する
と清浄流体側から清浄流体を逆流させ洗浄するいわゆる
逆洗操作を行い、フィルター表面の堆積物を除去する事
により低い圧力損失を回復する。ところが、細孔内部へ
浸入した懸濁粒子の付着力が強い場合や、細孔径が均一
でなくかつ流路が屈曲しているので細孔径に近い大きさ
の懸濁粒子が立体的な障害のため引っかかる場合などの
原因により、濾過と逆洗を繰り返す内に次第に細孔の閉
塞が進行する。
【0017】細孔の閉塞は懸濁液側の表面から内部へ進
行し、閉塞の少ない細孔は流体通過抵抗が小さく他の細
孔よりも多くの流体が流れ閉塞の進行が加速されるので
各細孔の閉塞は均一に進行するが、積層多孔質の各層間
は容易に剥離する構造なので、逆洗時の圧力によって細
孔の閉塞した表層部が剥離し、フィルター表面が自動的
に更新され閉塞状態から元の閉塞の無い状態に修復す
る。積層多孔質の厚さや層密度あるいは細孔率を、即ち
破壊強度を傾斜させておくことにより、表層ほど弱く破
壊され易い構造となっている場合には、表層から順次剥
離が進展する。積層多孔質は各層間の結合力が弱いた
め、表面に平行方向に亀裂して垂直方向には亀裂が進行
しないので、単に機械強度の小さい脆い多孔質体と異な
り、フイルター全体の破損にはつながらない。
【0018】
【実施例】次に、図面に基づいて本発明を具体的に説明
する。第5図には、気流中からの除塵装置に本発明によ
るフィルターを用いた場合の例が示されている。すなわ
ち、缶体11内に矩形盲管状のセラミックス支持体側壁
を平板状積層多孔質としたフイルター12が複数ほぼ平
行に配列されて収容されており、フィルターの上部は金
属製管板13で保持されている。
【0019】缶体11の下部には含塵気流入口14が形
成され、缶体11の下部は分離された粉塵15を貯留す
るホッパー部16となっている。ホッパー部16に貯留
された粉塵15は間欠的に弁17を開いて粉塵取出し口
18から外部に取出される。
【0020】缶体11の上部側面には清浄気流出口19
が形成されている。缶体11上部には、逆洗用のエゼク
タ20が各フィルター12毎にその上部の開口部に設置
されている。これらのエゼクタ20は、圧縮機21につ
ながる圧縮ガス導入管22に、エアーヘッダー23およ
び電磁弁24を介して接続されている。
【0021】上記構成による除塵操作として、発生源か
らの有圧含塵気流25は含塵気流入口14から缶体11
内へ流入し、フィルター12の側壁を外面から内面に向
けて気流が透過する事により清浄気流26となって、清
浄気流出口19から系外へ取出される。また、含塵気流
25中の粉塵の内かなりの部分は粒子が粗大なため重力
によりホッパー16底部へ沈降し貯留粉塵15となる。
残りの微細な粉塵は気流がフィルター12の側壁を通過
する際に気流から分離され、側壁の積層多孔質上に堆積
する。
【0022】しかし、除塵操作を継続すると、フィルタ
ー12の側壁外面に堆積する粉塵の量が増し、次第にフ
ィルター12を気流が通過するための圧力損失が大きく
なる。このため、除塵操作の途中で定期的に逆洗操作を
行う必要がある。
【0023】逆洗操作は圧縮機21からのガスをエアー
ヘッダー23に蓄えておき、電磁弁24を開いてエゼク
タ20から間欠的に(例えば、10分毎に0.5秒間、
6気圧で)圧縮ガスを噴出させて行う。これによって逆
洗気流が、フィルター12の内面から外面に向けて流
れ、フィルター12の外面に付着堆積した粉塵が除去さ
れ、ホッパー16へ集められる。
【0024】次に、本発明による積層多孔質フィルター
を用いた場合の効果を図1〜図4により説明する。図1
は本発明による積層多孔質フィルターによる流体中の粒
子の濾過過程を示しており、図2は逆洗時のフィルター
表面の堆積粒子層の除去過程を示している。さらに、図
3は、付着性の強い微粒子やフィルターの細孔組織に引
っかかりやすい粒子が細孔内に蓄積していく状態を示し
ており、図4は目詰まりが進行した積層多孔質フィルタ
ーの表面層が逆洗時の圧力でフィルターから剥離する過
程を示している。図4は本発明の内容を最も表す好適な
例として例示される。
【0025】図1〜図4で、1 は積層多孔質フィルタ
ー、2 は堆積粒子層、3 は懸濁粒子、4 は清浄流体、5
は逆洗によって積層多孔質1 から離脱した堆積粒子層、
6 は目詰まりした積層多孔質表面第1 層、7 は剥離した
積層多孔質表面第1 層である。
【0026】図1の積層多孔質による流体からの懸濁粒
子の濾過過程では、懸濁粒子3を含む流体は積層多孔質
1を通過する事によって濾過され、清浄流体4となり、
濾過によって流体から分離された粒子は堆積粒子層2と
なる。積層多孔質1は懸濁粒子側第1層が最も引張によ
る破壊強度が小さく第2層、第3層と懸濁粒子側の表面
から離れる程その強度が増大する構造となっている。
【0027】図2の逆洗過程では、清浄流体4が積層多
孔質1を通って懸濁粒子3側へ向かって流れ、堆積粒子
層は積層多孔質1から離脱し、逆洗によって積層多孔質
1から離脱した堆積粒子層5となる。
【0028】図3では逆洗をしても、付着性の強い微粒
子やフィルターの細孔組織に引っかかりやすい粒子が細
孔内に蓄積し、図1の濾過過程および図2の逆洗過程を
繰返すうちに積層多孔質1の懸濁粒子側からの第1層6
の目詰まりが進行している。
【0029】図4では積層多孔質1の懸濁粒子側の表面
の第1層の目詰まりがさらに進行し、逆洗時の流体抗力
が大きくなり、流体抗力が積層多孔質で最も強度の小さ
い第1層の破壊強度を上回ったため第1層が破壊され剥
離した積層多孔質表面第1層7となっている。以上によ
り、目詰まりが解消され積層多孔質表面が更新され、再
び図1の状態となる。
【0030】次に、本発明の多孔質フィルターの積層多
孔質を製造する実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。 実施例1 シリカ微粉末(0.2μm)にアクリル樹脂粉末(44
〜73μm)を体積で1%を加えた後、さらに3時間乳
鉢式混合機で混合した。その混合粉末を内径30mmの
真鍮製シリンダーに100mmの高さに充填し、プレス
で4トンの荷重により圧縮した。圧力を解放し、成形体
をシリンダーから取出した。約0.3mmのラミネーシ
ョン層からなる厚さ2mmの粉末成形体が得られた。ア
ルミナ板上下2枚の間にその成形体を挟み、5kgの耐
火物を重しとしてのせ、空気中で1150℃にて3時間
加熱した。その結果、焼結体として、厚さが1.6mm
の積層多孔質膜が得られた。また、真空炉中で同条件の
混合粉をプレス圧1トンで成形体をそのままアクリル樹
脂粉末を真空加熱により蒸発除去させた場合も、厚さが
1.6mmの約0.3mmのラミネーション層からなる
積層多孔質膜が得られた。
【0031】実施例2 黒鉛シリンダー(内径25mm)にTiAlの0.4μ
m超微粉を高さ40mm充填し、10μmのMgO粉末
を0.4%体積で加え、アルゴン雰囲気中でボールミル
で3時間混合した。同粉末をホットプレスで1トンの荷
重を加え1800℃で1時間加熱した。同焼結体を1規
程塩酸水溶液中に1昼夜放置してMgO粒子を溶解し
た。一部溶解せず残存したが、ラミネーション層厚さ
0.3mmからなる厚さ1mmの積層多孔質膜が得られ
た。
【0032】実施例3 重合度500のポリビニルアルコール1%水溶液をバイ
ンダーとして、市販の流動層凝集造粒装置により、0.
2μmのシリカ粉末を0.5〜1mmに造粒した。造粒
後内径30mmの真鍮製シリンダーに30mmの高さに
充填し、プレスで4トンの荷重により圧縮した。圧力を
解放し、成形体をシリンダーから取出した。約0.4m
mのラミネーション層からなる厚さ2.5mmの粉末成
形体が得られた。アルミナ板上下2枚の間にその成形体
を挟み、5kgの耐火物を重しとしてのせ、空気中で1
200℃にて15時間加熱した。その結果、焼結体とし
て、厚さが1.6mmの積層多孔質膜が得られた。
【0033】実施例4 シリカ微粉末(0.2μm)にアクリル樹脂粉末(44
〜73μm)を体積で0.8、0.9、1.0、1.1
%を加えた粉末を、それぞれ、さらに3時間乳鉢式混合
機で混合した。その混合粉末を内径30mmの真鍮製シ
リンダーに各20mmの高さに充填し、プレスで4トン
の荷重により圧縮した。圧力を解放し、成形体をシリン
ダーから取出した。約0.3mmのラミネーション層か
らなる厚さ2mmの粉末成形体が得られた。アルミナ板
上下2枚の間にその成形体を挟み、5kgの耐火物を重
しとしてのせ、空気中で1200℃にて3時間加熱し
た。その結果、焼結体として、細孔率の傾斜した厚さが
1.5mmの積層多孔質膜が形成された。
【0034】
【発明の効果】以上説明した如く、流体(気体または液
体)中の粒子の濾過過程において、流体中に含まれる懸
濁粒子の一部がフィルター内に浸入し、さらにその内の
一部が逆洗によってもフィルターから離脱せづにそのま
ま残留し、濾過と逆洗を繰返す内にフィルターの細孔の
入口が閉塞し目詰まりを起こすため、フィルターの交換
が必要となるが、本発明のフィルターは、容易に各多孔
質層が剥離する積層構造となっており、目詰まりが進行
したフィルターでは逆洗時の圧力が目詰まりをした多孔
質層をフィルターから引剥がす力として働くため、目詰
まり層が脱離して自然にフィルター表面が逐次更新され
引き続き使用可能となり、フィルターが延命される。
【0035】本発明は、全体あるいはその表面のみが付
着性の物質からなる粒子を含む懸濁粒子を流体から除去
する際に有効に利用できるものであり、例えば、廃棄物
燃焼ガスからの除塵、金属再利用における溶融金属中の
スラグ濾過、固体の析出を伴う液中の懸濁粒子の除去な
どの用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による積層多孔質フィルターによる懸濁
粒子の流体からの除去過程を模式的に示す断面図であ
る。
【図2】逆洗過程を模式的に示す断面図である。
【図3】懸濁粒子側の第1層に目詰まりが進行している
状態を模式的に表す断面図である。
【図4】目詰まりした第1層がフィルターから脱離して
フィルターの表面が更新される過程を模式的に表す断面
図である。
【図5】本発明による積層多孔質フィルターを適用し
た、集塵装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層多孔質フィルター 2 堆積粒子層 3 懸濁粒子 4 清浄流体 5 離脱した堆積粒子層 6 目詰まりした積層多孔質表面第1層 7 剥離した積層多孔質表面第1層 11 缶体 12 フィルター 13 金属製管板 14 含塵気流入口 15 貯留粉塵 16 ホッパー 17 弁 18 粉塵取出し口 19 清浄気流出口 20 逆洗用エゼクタ 21 圧縮機 22 圧縮ガス導入管 23 エアーヘッダー 24 電磁弁 25 発生源からの有圧含塵気流 26 清浄気流
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−22913(JP,A) 特開 平7−68114(JP,A) 特開 昭49−12453(JP,A) 特開 昭63−117930(JP,A) 特開 平7−33548(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 39/14 - 39/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体粒子や液滴を含むガスまたは液体の
    濾過に使用され、逆洗浄が行われる多孔質フィルターで
    あって、前記フィルター全体または少なくとも一方の面
    の表層が、凝集性微粉末を圧縮成形することにより形成
    した不均一充填層(ラミネーション層)で構成された積
    層多孔質からなり、積層多孔質の各層間は容易に剥離す
    る構造を有し、積層多孔質を構成する各層の厚さ、層密
    度あるいは細孔率を順次変化させ、これらを傾斜させ
    た、表層ほど弱く破壊され易い構造を有し、逆洗によっ
    て積層多孔質の表層から順次剥離が進展するようにした
    ことを特徴とする多孔質フィルター。
  2. 【請求項2】 0.5μm以下の粒子径を有する微粉末
    を積層多孔質原料用凝集性微粉末として選択、使用した
    ものである請求項1記載の多孔質フィルター。
  3. 【請求項3】 積層多孔質の細孔を表面ほど多くし、積
    層多孔質の破壊強度を表面ほど小さくした積層多孔質か
    らなる請求項1記載の多孔質フィルター。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の多孔質フィルターの積層
    多孔質を製造する方法であって、可燃性有機物粉末を凝
    集性微粉末中に分散後圧縮成型し、成形後または成形と
    同時に積層状に不均一充填された凝集性微粉末の焼結を
    行うことにより同粉末中の可燃性有機物粉末を燃焼また
    は蒸発により消失させ細孔を形成すること、上記工程に
    おいて、消失して細孔となる成分の割合を傾斜配分し、
    積層多孔質中の細孔の体積分率を懸濁粒子を含む流体と
    接触する側程大きくすることによって、表面ほど破壊強
    度を小さくするようにすることを特徴とする積層多孔質
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の多孔質フィルターの積層
    多孔質を製造する方法であって、耐熱で可水溶性の物質
    の粉末を凝集性微粉末中に分散後圧縮成型し、成形によ
    り積層状に不均一充填された凝集性微粉末の焼結した後
    に水洗等を行うことによって可水溶性の物質の粉末を消
    失させ細孔を形成すること、上記工程において、消失し
    て細孔となる成分の割合を傾斜配分し、積層多孔質中の
    細孔の体積分率を懸濁粒子を含む流体と接触する側程大
    きくすることによって、表面ほど破壊強度を小さくする
    ようにすることを特徴とする積層多孔質の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の多孔質フィルターの積層
    多孔質を製造する方法であって、可燃性有機物をバイン
    ダーとして凝集性微粉末の造粒し、造粒体の加圧成形後
    または成形と同時に積層状に不均一充填された凝集性微
    粉末の焼結を行うことによって同成形体中の可燃性有機
    物を燃焼により消失させ細孔を形成すること、上記工程
    において、消失して細孔となる成分の割合を傾斜配分
    し、積層多孔質中の細孔の体積分率を懸濁粒子を含む流
    体と接触する側程大きくすることによって、表面ほど破
    壊強度を小さくするようにすることを特徴とする積層多
    孔質の製造方法。
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