JP3784314B2 - 集塵用セラミックスフィルタ及びその製造方法 - Google Patents

集塵用セラミックスフィルタ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高温の燃焼ガス中から粉塵や煤塵を捕集する集塵用セラミックスフィルタに関するものであり、具体的には重油、石炭、廃棄物などの燃焼ガス(排ガスも含む)中に含まれているダスト(粉塵・煤塵)を捕集するものである。
【0002】
【従来の技術】
高温の燃焼ガスからダストを除去するためのフィルタとしては、従来から多孔質セラミックスからなる集塵用セラミックスフィルタが提案されている。
【0003】
この多孔質セラミックスを用いた集塵用セラミックスフィルタは、様々な粒子径を有した粒子を配合し、焼結させた後にできた細孔、及び反応焼結させた後にできた細孔に粉塵、煤塵を含む燃焼後のガスを通過させることにより粉塵・煤塵を取り除く。
【0004】
よって、高温での集塵を長時間行うとフィルタ濾過側表面に、粉塵、煤塵の粒子同士及び粉塵、煤塵粒子とフィルタ粒子が化学反応及びファン・デル・ワールス力や架橋効果(不規則形状の粒子同士がかみ合うことにより生じる)等で凝集固着するため、粉塵、煤塵の付着が生じる。その結果フィルタの圧力損失(気体をフィルタの外壁側と内壁側の差圧)が増大し、ガスが流れにくくなるため、濾過面の反対側から高圧縮パルスジェット気流を流し、付着した粉塵、煤塵を払い落とす逆洗処理が行われている。
【0005】
このような状況から、近年では集塵性能及び逆洗性能の向上を図った多層構造の集塵用セラミックスフィルタが用いられる。この多層構造の集塵用セラミックスフィルタは、大きな細孔径を有し、低圧力損失を示す多孔質セラミックス支持体の濾過面に、粉塵・煤塵を捕集する小さな細孔径を有するフィルタ層を形成した構造を有する。
【0006】
上記のような構造の集塵用セラミックスフィルタとしては、特公昭60−61019号公報に示されるように、フィルタ層用セラミックス粉体のみ又はこれに気孔付与剤を加えたスラリーを中子の金型にはけ塗り法またはスプレー法で塗布し、乾燥後にこの中子を用いてラバープレス等により円筒状の多孔体を形成して、その後焼成したり、フィルタ層用調合原料を円筒状にラバープレスに成形し、ついで外枠のみ交換して円筒状フィルタ層成形体の外側に今度は多孔質セラミックス支持体用調合原料を充填しこれを再びラバープレス成形して多層化する集塵用セラミックスフィルタが開示されていた。
【0007】
また、実開昭62−90716号公報では、孔径の大きなセラミックス基材表面に溶射法により孔径の小さな多孔質セラミックス層を形成し、多層化する集塵用セラミックスフィルタが開示されていた。
【0008】
更に、特開昭63−240912号公報には、セラミックス多孔体よりなる支持体の片側の表面に、平均細孔径が1〜10μでその厚さが平均細孔径の少なくとも10倍以上の細流部を備えた集塵用セラミックスフィルタが開示されていた。
【0009】
また、特開平2−2817号公報では気孔径の大きい多孔質セラミックスを所定の形状に成形した後、その表面に、細粒のセラミックス泥しょうを用い、ドクターブレード法等の薄膜形成法により形成した半乾燥させた薄膜を貼り付け、多孔質セラミックスと貼り付けた薄膜を一緒に焼成した集塵用セラミックスフィルタが開示されていた。
【0010】
また、特開平4―235710号公報では、セラミックスの粗粒により形成された管状の骨格層の内面に前述の特公昭60−61019号公報と同様の製造方法を用いてセラミックスの細粒からなるフィルタ層を設けた集塵用セラミックスフィルタが開示されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の種々の製法で作製された集塵用セラミックスフィルタは、多孔質セラミックス支持体の成形後または焼成後に細粒のセラミックス粒子を種々の方法で成形体及び焼成体の表面に固着させた構造を有しており、これらのフィルタ層はフィルタ層粒子間に形成された空隙を利用して、集塵を行う粒子凝集型の集塵用セラミックスフィルタであった。
【0012】
これらのフィルタ層の表面に無機質バインダーを使用することなくセラミック粒子を固着させた粒子凝集型の構造である集塵用セラミックスフィルタは、粒子間に形成された空隙を利用して集塵を行うが、使用されるセラミックスの1次原料粒子形状が多角形状であるために、空隙の形状が鋭角部を有しており、長期間集塵を行った後の逆洗処理の際、粉塵や煤塵が鋭角部に入り込み、非常に取れにくくなるという問題があった。
【0013】
このような問題に対し、特許第2926187号公報に示されるように、無機質バインダ等を用いて粒子同士の空隙の鋭角部を埋めることで問題点の解決が図られようとしていた。こうすることにより集塵する粉塵や煤塵が粒子間の空隙の鋭角部に強固に付着するのを防止でき、逆洗処理した際に、粉塵や煤塵を払い落とし易くできることが考えられる。
【0014】
しかしこれらの方法では、逆先処理の際の粉塵、煤塵の払い落とし効率は良くなるものの、フィルタが長時間高温腐食性雰囲気に曝された際に、無機質バインダー部分が腐食されて劣化し、フィルタ寿命が低下する可能性があった。
【0015】
また、セラミック粒子と無機質バインダーの熱膨張係数の違いから、昇降温を繰り返すと粒子と無機質バインダーの境界部分、あるいはフィルタ層を支える支持体との境界部分が除々に劣化し、やはりフィルタ寿命が低下する可能性があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、多孔質セラミックスよりなる支持体とその表面に形成されたフィルタ層から構成される集塵用セラミックフィルタにおいて、上記支持体および上記フィルタ層が共にタルクとカオリンとハイジライトまたはアルミナとの3種の1次原料を混合し焼成してなる、空隙部の断面が曲線で囲まれた3次元的な連通孔を持つ気泡分散型のコージェライト多孔質体であることを特徴とする。
【0017】
また、上記支持体の気孔率に対し、上記フィルタ層の気孔率が10〜30%高いことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記支持体は平均細孔径が50〜100μmであり、上記フィルタ層は平均細孔径が10〜20μmであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の集塵用セラミックスフィルタの製造方法は、タルクカオリンハイジライトまたはアルミナの3種の1次原料を混合し、支持体の形状に成形した後、その表面にタルクカオリンハイジライトまたはアルミナの3種の1次原料を混合した材料を塗布してフィルタ層を形成し、これを一体焼成することによって、支持体及びフィルタ層をコージェライト多孔質体とする工程を具備することを特徴とする。
【0020】
また、上記支持体に相当する部分と上記フィルタ層に相当する部分の焼成時の膨張・収縮率の差が5%以下であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1(a)は本発明に係る集塵用セラミックスフィルタを備える廃棄物焼却炉の集塵装置を示す概略図であり、排ガスを流し込む流入口3と排ガスをセラミックスフィルタ1に誘引するための誘引送風機を配設した流出口4とを備え、ケーシング2内に円筒状の多孔質セラミックス体からなる集塵用セラミックスフィルタ1を複数個配設してある。そして流入口3から流れ込んだ排ガスを上記集塵用セラミックスフィルタ1に通過させることで、排ガス中に含まれる有害なダストを除去し、無害化したガスを流出口4より取り出すようになっている。
【0023】
また、各集塵用セラミックスフィルタ1の内部には気体を噴出させるための配管5がそれぞれ設けてあり、集塵用セラミックスフィルタ1の細孔内に捕集したダストが堆積し、フィルタの圧力損失がある一定以上の値に達すると送気弁6が開き、ポンプ7より配管5内をガスの流れとは反対方向に逆洗気流を噴射して、集塵用セラミックスフィルタ1の細孔に堆積したダストを吹き飛ばすことにより、捕集効率を初期の性能まで回復させるようになっている。
【0024】
本発明の集塵用セラミックスフィルタ1は、図1(b)に示すように、支持体1aの表面にフィルタ層1bを備えており、この両者が3次元的な連通孔を持つ気泡分散型の多孔質体からなっている。
【0025】
次に図2に本発明の集塵用セラミックスフィルタ1の支持体1a及びフィルタ層1bの断面組織写真のトレース図を示す。また、図3には従来の多層構造集塵用セラミックスフィルタのフィルタ層の断面組織写真のトレース図を示す。両図を比較すれば明らかなように、図3の従来の多角形状粒子を用いた多孔質体の集塵用セラミックスフィルタは、無機質バインダーを使用することなく、既に目的の組成に合成された1次原料の多角形状を有する粒子が無秩序に組み合わされたものであり、粒子間の空隙は直線と曲線で囲まれ、鋭角部を有しているように見える。このような粒子を凝集させた組織構造をもつものは、粒子凝集型9と呼ばれている。また、これに無機質バインダーを加えたものについては、上述の鋭角部のように見える部分が、無機質バインダーにより埋められた形であった。従来の多層構造の集塵用セラミックスフィルタのフィルタ層は、ほとんどがこれらの組織構造を有する。
【0026】
これに対し、図2に示すように、本発明の集塵用セラミックスフィルタ1をなす多孔質体は、空隙部分が曲線のみで囲まれた組織構造を有しており、気泡分散型8と呼ばれるものである。この気泡分散型8の組織構造は、詳細を後述するように、1次原料に多種の材料を用い、混合し、それらを成形した後、焼成して焼成後に目的の組成となるように合成することによって形成される。よって、従来の粒子凝集型9の組織のように、1次原料がたとえ多角形状粒子であっても、それらの粒子は焼成過程で目的の組成になるよう反応しあうため、多角形状粒子間の空隙の鋭角部はなくなり、焼成後にできた気孔の断面は全て図2のような曲線で囲まれた気泡分散型となる。また、セラミック粒子間の粒界及びセラミック粒子間に無機質バインダーによる粒界層が形成されることがない。
【0027】
ここで、コージェライトを例として、気泡分散型8の多孔質体が作られる過程を説明する。焼成後にコージェライトとするには、タルクカオリンハイジライトまたはアルミナの3種の次原料を用いることが一般的である。これらの3種の1次原料を用いて、バインダーを添加し造粒したのち、成形、焼成を行うが、このとき、それぞれの粒径によって、焼成後にできる焼結体の細孔の大きさが異なる。よって、フィルタ層1bの平均細孔径をより好適範囲の10〜20μとしようとすると、タルクは5〜30μ、カオリンは5〜30μ、ハイジライトまたはアルミナは5〜30μがより好適である。
【0028】
ここで、上記タルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナの粒径を上記範囲としたのは、下限値より小さいと、フィルタ層の平均細孔径が10μ以下となり、フィルタ層の圧力損失が増大するためであり、上限値より大きいと、フィルタ層の平均細孔径は20μ以上となり、微小な粉塵、煤塵を捕集しにくくなるからである。
【0029】
そしてこれらの細孔は焼成時に形成される。まず融点の低いタルクとカオリンが溶融し、液相を形成して、ハイジライトまたはアルミナ粒子の周囲から、除々に反応してコージェライトの組成となっていく。このときもともとあったタルク、カオリン粒子の部分がそのまま細孔として残留し、それらが焼結体の細孔のもととなっていると考えられる。また、図2では鋭角部を有した空隙部分は存在せず、曲線で囲まれている。これは焼成時の液相を形成した状態では、表面積を少しでも減少しようとする力が常に働いており、鋭角部分は曲面となるためと考えられる。
【0030】
このようにして気泡分散型の組織は形成されるが、できた組織は、3次元的な連通孔を有している。
【0031】
なお、気泡分散型8の組織構造を持つセラミックスを作製する方法としては、固体を加熱・溶融し、そこへガスを吹き込み発泡させる方法や、固体中の一部が気化、蒸発、分解して取り除かれた部分を細孔とする方法等、様々なものがある。
【0032】
また、本発明では多層構造の集塵用セラミックスフィルタのフィルタ層1bのみならず、支持体1aについても、上述のような気泡分散型8の組織構造を有する多孔質体とする。こうすることにより、支持体1aにフィルタ層1bを成膜した後、一体的に焼成を実施し、支持体1aとフィルタ層1bを気泡分散型8のコージェライト組成を形成する際のタルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナの反応を利用して境界なく完全に一体化することができる。
【0033】
このとき、支持体1aのタルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナ1次原料粒径は、フィルタ層1bより大きなより好適範囲の50〜100μの平均細孔径を得ようとすると、タルクは30〜100μ、カオリンは5〜30μ、ハイジライト又はアルミナは30〜100μとすることがより好適である。すなわち、フィルタ層1bより大きな平均細孔径とし、より低い圧力損失を得て逆洗の際の圧力を、フィルタ層1bに伝わり易くするためである。ここで、タルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナを上記範囲がより好適としたのは、それぞれが下限値より小さい粒径であると、支持体1aの平均細孔径が50μより小さくなり、支持体1aの圧力損失が増大する傾向を示すためであり、上限値より大きい場合には、粒子径が大く、スプレードライヤー等の造粒装置を用いて造粒しにくくなるばかりか、平均細孔径が100μより大きくなり、支持体1aの強度が低下する傾向を示すためである。
【0034】
ここで、上記図2に示すような気泡分散型8の組織構造を有するコージェライト組成の集塵用セラミックスフィルタ1は、具体的には以下の順序で作製される。即ち、まずタルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナの1次原料を混合し、有機バインダー、水を所定量添加、調合した後スラリーを得る。次いで、該スラリーをスプレードライヤー等で噴霧乾燥させた後、顆粒とし、冷間静水圧成形法により有底筒状の成形体を成形する。その後、必要な場合、切削加工により所定寸法の支持体1aを得る。
【0035】
なお、タルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナの造粒方法として、スプレードライヤー装置を用いたが、他に1次原料粒子、バインダーを円盤上に投入した後回転させ転がし、その遠心力によって造粒を行う転動造粒装置等も好適に用いることができる。
【0036】
更に、ここでは有底筒状体としたが、それ以外の様々な形状についても好適に用いることが可能であるが、より好適にはフィルタの破損原因となる引っ張り応力の集中が生じにくい円筒体が好ましく、円筒体の内側から外側に向け、逆洗圧力が加わるように使用する。即ち、外表面にフィルタ層を形成した集塵用セラミックスフィルタとするのがいっそう好適である。
【0037】
次に、フィルタ層1bを前記支持体上にエアー圧力方式のスプレーガンを用いて成膜する。このとき、気泡分散型8のフィルタ層1bをなす1次原料のタルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナは、混合した後におよびバインダーを所定の重量比で調合し、スラリーとした後、スプレーガンのスラリー投入口より投入する。そして、10〜1000μ程度の厚みとなるようにスプレーコーティングした後、自然乾燥させることによって、支持体1aにフィルタ層1bを成膜した成形体を得る。
【0038】
なお、ここでは、支持体1aへフィルタ層1bをコーティングする方法として、スプレーコーティング法を用いたが、その他にスラリー中へ支持体1a成形体を浸漬させるディップコーティング法等も好適に用いることができる。
【0039】
更に、フィルタ層1bのコーティング厚みは、10〜1000μがより好適範囲である。これはフィルタ層1bに含まれるタルク、カオリン、ハイジライトまたはアルミナの粒径をそれぞれより好適な5μ程度とした場合に、焼成後に形成される細孔が10μ程度となるためそれ以上の10μを下限とし、また、1000μ以上の厚みとすると、フィルタの圧力損失が著しく増加傾向を示すため上限とした。
【0040】
そして、上記成形体を酸化又は還元雰囲気中にて所定の焼成温度で、支持体1a、フィルタ層1bを一体焼成することにより、集塵用セラミックスフィルタ1を得る。
【0041】
ここで、上記のように支持体1a、フィルタ層1bを一体焼成するが、このとき、フィルタ層1bと支持体1aの膨張・収縮率の差が5%以下でなければ、焼成後にフィルタ層1b表面や、支持体1aとフィルタ層1bの境界部分にクラックを生じる。この膨張・収縮率を測定するには、支持体1aについては所定の寸法に成形した支持体1a材料を焼成し、その焼成前後の寸法比率によって得る。また、フィルタ層1bについては、スラリーを所定の容器に入れ自然乾燥し、それを所定寸法に加工し焼成した後、その焼成前後の寸法比率によって得る。
【0042】
このようにして、支持体1a、フィルタ層1bともに気泡分散型8の組織構造とした多孔質集塵用セラミックスフィルタ1は得られるが、このときフィルタ層1bと支持体1aの気孔率を比較した場合にフィルタ層1bの気孔率は支持体1aよりも10〜30%高くすることが好ましい。
【0043】
これは、フィルタ層1bの平均細孔径が小さいために、より気孔率を高めて圧力損失を低くするためで、支持体1aとの気孔率の差が10%より小さいと、フィルタ全体の圧力損失が著しく増大し、30%より大きいとフィルタ層1bに相当する部分の強度が著しく低くなり、少し力を加えただけでフィルタ層1bに破壊や剥離を生じる。
【0044】
また、本発明ではコージライト製の多孔質集塵用セラミックスフィルタについて述べたが、他の気泡分散型8の組織構造を有する材料組成のものについても、適用可能である。
【0045】
更に、本発明は、上記実施の形態に示したものだけに限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で改良してもよいことは言うまでもない。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例で具体的に説明する。
【0047】
まずタルク、カオリン、アルミナの1次原料を混合し、水およびバインダーを添加して調合しスラリーとした後、スプレードライヤー装置を用いて造粒したものを冷間静水圧成形法で成形しその後切削加工することにより、外径φ60mm、厚さ10mmの円盤状成形体を得た。
【0048】
次に1次原料のタルク、カオリン、アルミナを混合し、バインダー、水を添加し調合してスラリーとし、これを、噴霧機により上述の円盤状成形体の片側表面に500μの厚さで吹き付け、自然乾燥させた後、1300℃〜1450℃の温度で焼成を行い、多層化した気泡分散型の組織構造を有する図4に示すテストピース10を得た。このテストピースにおいて、図4の11が集塵用セラミックスフィルタのフィルタ層に相当し、12が支持体部分に相当する。またこのテストピースに用いたタルク、カオリン、アルミナの1次原料については、その平均粒径をいくつか振った形で作している。
【0049】
また、これと同形状の支持体は気泡分散型の組織構造を有し、フィルタ層のみ従来の粒子凝集型の組織構造においてその鋭角部を無機質バインダーで埋めた構造のテストピースも作製した。
【0050】
そして、これらテストピースの圧力損失を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003784314
【0052】
表ではNo.1〜15までが本発明の範囲内のものを示す。
【0053】
表よりNo1、2については、1次原料粒径が小さいため、圧力損失が高くなる傾向を示した。また、No5、6、7については、低い圧力損失を示すものの、フィルタ層の平均細孔径が大きくなる傾向が見られた。
【0054】
また、No.8、9、10については、支持体の1次原料粒径の大きさが小さく、支持体の平均細孔径が小さくなるために、圧力損失が増加傾向にある。
【0055】
更に、No.13、14、15については、支持体の1次原料粒径が大きく、支持体の平均細孔径が大きくなる傾向があり、支持体に相当する部12の強度が低下する傾向が見られた。
【0056】
これと比較して、支持体およびフィルタ層の1次原料粒径や平均細孔径や気孔率の差が好適範囲内にある、No.3、4、11、12については、従来の支持体が気泡分散型の組織構造を有しフィルタ層が粒子凝集型の組織構造を有し、その鋭角部を無機質バインダで埋めた構造を有するNo.16のものと同等以上の圧力損失値を示し、特に良好な特性を示すことが確認された。
【0057】
次に、上記の本発明範囲内のテストピースのうちNo.3のテストピースについて、フィルタ層に相当する部分11面上に粉塵、煤塵を載せ、小型炉を用いて熱サイクル試験を実施した。試験は室温から1000℃まで急速昇温させ、1000℃を10分間保持した後、室温まで急速降温させるサイクルを50サイクル繰り返す条件とした。試験後、テストピース10の支持体に相当する部分12面側から空気圧力をかけ、粉塵、煤塵の払い落としを行ったが、問題なく払い落とせることが確認された。また、フィルタ層に相当する部分11に剥がれがないかどうかを、フィルタ層に相当する部分11の表面を布で擦り、確認したが、剥がれ等が発生することはなかった。
【0058】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、多孔質セラミックスよりなる支持体とその表面に形成されたフィルタ層から構成される集塵用セラミックスフィルタにおいて、上記支持体および上記フィルタ層が共にタルクとカオリンとハイジライトまたはアルミナとの3種の1次原料を混合し焼成してなる、空隙部の断面が曲線で囲まれた3次元的な連通孔を持つ気泡分散型のコージェライト多孔質体であることによって、集塵する粉塵や煤塵が粒子間の空隙の鋭角部に強固に付着することを防止でき、逆洗処理した際に、粉塵や煤塵を払い落とし易くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る集塵用セラミックスフィルタを用いた集塵装置の概略図、(b)は本発明の集塵用セラミックスフィルタを示す断面図である。
【図2】本発明に係る集塵用セラミックスフィルタの支持体及びフィルタ層の断面組織写真のトレース図である。
【図3】本発明に係る従来の多層構造集塵用セラミックスフィルタのフィルタ層の断面組織写真のトレース図である。
【図4】本発明実施例のテストピースを示す概略図である。
【符号の説明】
1 集塵用セラミックスフィルタ
1a 支持体
1b フィルタ層
2 ケーシング
3 流入口
4 流出口
5 配管
6 送気弁
7 ポンプ
8 気泡分散型
9 粒子凝集型
フィルタ層に相当する部分
支持体に相当する部分

Claims (5)

  1. 多孔質セラミックスよりなる支持体とその表面に形成されたフィルタ層から構成される集塵用セラミックスフィルタにおいて、上記支持体および上記フィルタ層が共にタルクとカオリンとハイジライトまたはアルミナとの3種の1次原料を混合し焼成してなる、空隙部の断面が曲線で囲まれた3次元的な連通孔を持つ気泡分散型のコージェライト多孔質体であることを特徴とする集塵用セラミックスフィルタ。
  2. 上記支持体の気孔率に対し、上記フィルタ層の気孔率が10〜30%高いことを特徴とする請求項1記載の集塵用セラミックスフィルタ。
  3. 上記支持体は平均細孔径が50〜100μmであり、上記フィルタ層は平均細孔径が10〜20μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の集塵用セラミックスフィルタ。
  4. タルクカオリンハイジライトまたはアルミナの3種の1次原料を混合し、支持体の形状に成形した後、その表面にタルクカオリンハイジライトまたはアルミナの3種の原料を混合した材料を塗布してフィルタ層を形成し、これを一体焼成することによって、支持体及びフィルタ層をコージェライト多孔質体とする工程を具備する集塵用セラミックスフィルタの製造方法。
  5. 上記支持体に相当する部分と上記フィルタ層に相当する部分の焼成時の膨張・収縮率の差が5%以下であることを特徴とする請求項4に記載の集塵用セラミックスフィルタの製造方法。
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