JP3017964U - 眼鏡テンプルのバネ蝶番構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 眼鏡テンプルを簡単かつ確実に連結でき、し
かも蝶番部品の変形を防止して耐久性の向上を図れる眼
鏡テンプルのバネ蝶番構造を提供すること。 【構成】 先端部にナックル翼片11を備えた筐部材であ
って、スライド自在に嵌合されたスライドケース１と；
フロントＦから持ち出された相方ナックル翼片12と；前
記スライドケース１内に進退スライド可能に収納されて
おり、かつ、弾性部材３の圧出力によって前記相方ナッ
クル翼片12の方向へ付勢された蝶片反発体２とから成
り、この蝶片反発体２が爪部21を有すると共に、前記蝶
片反発体２がコ字状に形成され、そのコ字状欠込部22に
弾性体Ｄを挾着するという技術手段を採用した。 【効果】 蝶片反発体を用いることにより、作業能率が
大幅に向上して製造コストを低減できると共に、この蝶
片反発体を長期間使用しても塑性変形が殆ど生じないの
で、バネ蝶番の機能が長期に亙って保障され、耐久性の
向上を図れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、眼鏡テンプルのバネ蝶番構造の改良、更に詳しくは、ロウ付け作業 等を行うことなく眼鏡テンプルを簡単かつ確実に連結でき、しかも蝶番部品の変 形を防止して耐久性の向上を図れるバネ蝶番構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

周知のとおり、バネ蝶番は、眼鏡のフロントとテンプルとをヒンジ連結すべき 蝶番部品にコイルバネ等を組み込むことにより、テンプルを普通に開いた状態か ら更に外側へ弾性的に拡開できるように構成されたものである。この弾性的な外 側拡開作用によって、テンプルが眼鏡装着者の側頭部に適度に締め付けて眼鏡装 着感が頗る良好になるだけでなく、テンプルに対する外側拡開方向への無理な外 力によるフロントの変形も防止することができる。

【０００３】 ところが、このようなバネ蝶番の構造は一般的に複雑であり、しかもその構成 部品が非常に小さく部品点数も多いので、バネ蝶番を組み合わせてテンプルに連 結する作業は非常に困難で面倒な作業になるという欠点があった。

【０００４】 また、バネ蝶番を構成する数多い蝶番部品のうち特にバネ等に挟まれた中間部 品は、あらゆる接触面から受ける力により変形し易く、その変形が所定限度を超 えると、バネ蝶番の機能が損なわれてしまうという欠点があった。

【０００５】

【解決すべき技術的課題】

本考案は、従来のバネ蝶番に上記の如き欠点があったことに鑑みて為されたも のであり、ロウ付け作業等を行うことなく眼鏡テンプルを簡単かつ確実に連結で き、しかも蝶番部品の変形を防止して耐久性の向上を図れる眼鏡テンプルのバネ 蝶番構造を提供することを技術的課題とするものである。

【０００６】

【課題解決のために採用した手段】

本考案者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照 して説明すれば、次のとおりである。

【０００７】 即ち、本考案は、先端部にナックル翼片11を備えた筐部材であって、それ自体 はテンプルＴの基端部位に長手方向に沿って所要距離だけスライド自在に嵌合さ れたスライドケース１と；前記ナックル翼片11にピボットＰによってヒンジ連結 され、かつ、フロントＦから持出された相方ナックル翼片12と；この相方ナック ル翼片12の突端部周縁に当接する如く前記スライドケース１内に所定の前端位置 から後方位置へ進退スライド可能に収納されており、かつ、弾性部材３の圧出力 によって前記相方ナックル翼片12の方向へ付勢された蝶片反発体２とから成り、 この蝶片反発体２がテンプルＴに接触して進退スライド可能に構成され、当該蝶 片反発体２のテンプル接触面側に爪部21を有しており、この爪部21が前記テンプ ルＴに形成された掛止部Ｓに掛合することによりスライド停止位置がテンプル前 端部で限定されていると共に、前記蝶片反発体２がコ字状に形成され、そのコ字 状欠込部22に弾性体Ｄが挾着されることにより、当該蝶片反発体２の欠込部22の 圧縮方向に働く外力に抗する弾性力によって蝶片反発体２の欠込部22側への塑性 変形を防止するという技術手段を眼鏡テンプルのバネ蝶番機構として組合せ連関 統合することによって前述の技術的課題を解決した点に特徴がある。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を添附図面に示す実施例に基づいて更に詳しく説明する。なお、 図１は本考案に係るバネ蝶番構造を適用して構成した眼鏡の斜視図、図２は本考 案に係るバネ蝶番構造の分解平面図、図３はテンプルを拡開した状態におけるバ ネ蝶番構造の水平断面説明図、図４はテンプルを図３より更に外側へ拡開した状 態におけるバネ蝶番構造の水平断面説明図である。

【０００９】 図中、符号１で指示するものは、先端部にナックル翼片11を備えた筐部材から 成るスライドケースであり、このスライドケース１はテンプルＴとの接合部が蟻 形のレール13を成しており、テンプルＴの基端部位に長手方向に沿って所要距離 だけスライド可能にガイド溝Ｇ（本実施例では、蟻溝）に嵌合してある。前記ス ライドケース１のナックル翼片11には孔が穿設してあり、このナックル翼片11と 相対向する相方ナックル翼片12が眼鏡のフロントＦから持出され、この相方ナッ クル翼片12にも孔が穿設してある。これら孔にピボットＰ（本実施例では、止め ネジ）を挿着して、前記ナックル翼片11および12を互いにヒンジ連結する。

【００１０】 つぎに、符号２で指示するものは、前記スライドケース１内に収納される蝶片 反発体２であり、この蝶片反発体２は弾性部材３の圧出力によって前記相方ナッ クル翼片12の方向へ付勢される。前記蝶片反発体２は、前記相方ナックル翼片12 の突端部周縁に当接するごとく所定の前端位置から後方位置へ進退スライド可能 に構成してある。蝶片反発体２の素材としては、弾性部材３による付勢力や相方 ナックル翼片12との摩擦力を受けるため硬質の部材を採用する必要がある。本実 施例においては、弾性部材３として筒状のコイルバネを使用しており、さらに、 蝶片反発体２と弾性部材３との間にはピン４が介在してある。このピン４は頭部 および軸部から成り、この頭部により弾性部材３の付勢力を蝶片反発体２に効率 よく確実に伝達している。

【００１１】 本実施例における進退スライド可能な蝶片反発体２は、そのテンプル接触面側 に爪部21が突設してあり、この爪部21が前記テンプルＴに形成された掛止部Ｓに 掛合する。これにより、蝶片反発体２のスライド停止位置がテンプル前端部で限 定されている。また、蝶片反発体２はコ字状に形成され、そのコ字状欠込部22に 弾性体Ｄが挾着してある。本実施例においては、弾性体Ｄとしてポリエステルエ ラストマーを使用しているが、ゴム状弾性を有する材質であればよい。

【００１２】 ここで、上記の如き爪部21および弾性体Ｄを有する蝶片反発体２を用いて、本 考案のバネ蝶番を組み立てる方法について説明する。図２に示すように、バネ蝶 番を構成する部品としては、ナックル翼片11を有するスライドケース１、相方ナ ックル翼片12、蝶片反発体２、弾性部材３、ピン４、掛止部Ｓを有するテンプル Ｔがある。これら蝶番部品のうちまず、弾性体Ｄが欠込部22に挾着された蝶片反 発体２とピン４が筒内に挿入された弾性部材３とを前記スライドケース１内に収 納する。そして、テンプルＴの基端部位に刻設された蟻溝であるガイド溝Ｇに、 スライドケース１の一側面に突設された蟻形レール13を滑嵌し、前記ナックル翼 片11の反対側からスライドさせると、当該ガイド溝Ｇの先端部が蝶片反発体２の 爪部21の滑面21ａに突き当たる。この状態において、前記爪部21をスライドケー ス１内に強く押込みながらガイド溝Ｇに沿って更に押し進めると、蝶片反発体２ の爪部21が欠込部22側に若干変形して爪部21の滑面21ａが滑ってテンプルＴの基 端側へスライド可能になる。そしてまた、スライドケース１をテンプル基端側へ スライドさせると、テンプルＴに形成された掛止部Ｓに蝶片反発体２の爪部21が 掛合する。かくして、スライドケース１とテンプルＴとは、所定距離だけ相対的 にスライド自在となる。このように、蝶片反発体２に爪部21が形成され、この爪 部21が掛合すべき掛止部ＳがテンプルＴに形成されているため、ロウ付けやネジ 止めによる連結方法を採用することなく、手でスライドさせるだけでテンプルＴ を簡単に連結できるのである。

【００１３】 ところで、このようなスライド掛合による連結を行う場合には、蝶片反発体２ が内側に若干変形しなければテンプルＴがスムーズに嵌合できず、しかもこの変 形が元に戻らなければ蝶片反発体２の爪部21の引っ掛かり具合が弱くなりテンプ ルＴが確実に連結できない。このため、本実施例では、蝶片反発体２は前述のよ うに付勢力や摩擦力を受けるため硬質部材を使用しているけれども、連結時には 弾性変形可能な性質も若干備えている必要があり、このような性質を極めて容易 にしかも効果的に引き出すために、蝶片反発体２をコ字状に欠き込んで内側へ若 干変形し易くし、そのコ字状欠込部22に弾性体Ｄを挾着して外側への復元力を与 えるという構造を採用している。これにより、蝶片反発体２の欠込部22の圧縮方 向に働く外力に抗する弾性力が生じて蝶片反発体２が欠込部22側に塑性変形する のを防止できるので、テンプルＴを簡単かつ確実に連結することが可能になり、 さらに、長期間使用しても変形が殆ど生じないため耐久性の向上も図れる。

【００１４】 上記の如くスライドケース１とテンプルＴとを連結した後、このスライドケー ス１のナックル翼片11と相方ナックル翼片12とをピボットＰによってヒンジ連結 すると、本実施例のバネ蝶番構造が完成する。このように組み立てられたバネ蝶 番構造の水平断面説明図が図３および図４に示してある。図３はテンプルＴをフ ロントＦに対して略直角に拡開した状態であり、同図に示すように、ナックル翼 片11側から蝶片反発体２、ピン４および弾性部材３が略一直線上にスライドケー ス１内に収納され、前記蝶片反発体２が相方ナックル翼片12の突端部周縁に当接 している。この状態からテンプルＴをさらに外側へ拡開すると、図４に示すよう に、スライドケース１がテンプルＴに対し相対的にスライドして弾性部材３が圧 縮され、前記スライドケース１の蟻形レール13の後端と前記テンプルＴのガイド 溝Ｇの後端との間に隙間Ｋが生じると共に、蝶片反発体２が相方ナックル翼片12 の突端部周縁から離れる。この状態において、テンプルＴに加えられた外側への 拡開力が取り除かれると、圧縮された弾性部材３の復元付勢力によりテンプルＴ が図３の状態に戻る。このようなバネ蝶番の内部構造によって、バネ蝶番の弾性 的な外側拡開機能が実現されるので、頗る良好な眼鏡装着感が得られ、さらに、 無理な外力によるフロントの変形を防止することができる。

【００１５】 本考案の実施例は概ね上記のとおりであるが、本考案は前述の実施例に限定さ れるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種々の 変更が可能であって、例えば、本実施例においては、蝶片反発体２の欠込部22の 形状は矩形であるが、楔形や鋸歯形に形成することも可能であり、また、蝶片反 発体２の素材として超弾性合金を採用することにより、蝶片反発体２に挾着され た弾性体Ｄの機能を果たすようにすることも可能であり、これら何れの変更態様 も本考案の技術的範囲に属することはいうまでもない。

【００１６】

【考案の効果】

以上実施例を挙げて説明したとおり、本考案によれば、蝶片反発体を用いて、 ロウ付けやネジ止めによる連結作業を行うことなく眼鏡テンプルを簡単かつ確実 に連結できるので、作業能率が大幅に向上し、製造コストを低減できる。また、 長期間使用しても蝶片反発体の塑性変形が殆ど生じないので、バネ蝶番の機能が 長期に亙って保障され、耐久性の向上が図れる。したがって、眼鏡分野における 実用価値は頗る大である。

【００１７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るバネ蝶番構造を適用して構成した
眼鏡の斜視図である。

【図２】本考案に係るバネ蝶番構造の分解平面図であ
る。

【図３】テンプルを拡開した状態におけるバネ蝶番構造
の水平断面説明図である。

【図４】テンプルを図３より更に外側へ拡開した状態に
おけるバネ蝶番構造の水平断面説明図である。

【符号の説明】

１ スライドケース 11 ナックル翼片 12 相方ナックル翼片 13 蟻形レール ２ 蝶片反発体 21 爪部 21ａ 滑面 22 欠込部 ３ 弾性部材 ４ ピン Ｔ テンプル Ｐ ピボット Ｆ フロント Ｄ 弾性体 Ｓ 掛止部 Ｇ ガイド溝 Ｋ 隙間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部にナックル翼片11を備えた筐部材
   であって、それ自体はテンプルＴの基端部位に長手方向
   に沿って所要距離だけスライド自在に嵌合されたスライ
   ドケース１と；前記ナックル翼片11にピボットＰによっ
   てヒンジ連結され、かつ、フロントＦから持出された相
   方ナックル翼片12と；この相方ナックル翼片12の突端部
   周縁に当接する如く前記スライドケース１内に所定の前
   端位置から後方位置へ進退スライド可能に収納されてお
   り、かつ、弾性部材３の圧出力によって前記相方ナック
   ル翼片12の方向へ付勢された蝶片反発体２とから成り、
   この蝶片反発体２がテンプルＴに接触して進退スライド
   可能に構成され、当該蝶片反発体２のテンプル接触面側
   に爪部21を有しており、この爪部21が前記テンプルＴに
   形成された掛止部Ｓに掛合することによりスライド停止
   位置がテンプル前端部で限定されていると共に、前記蝶
   片反発体２がコ字状に形成され、そのコ字状欠込部22に
   弾性体Ｄが挾着されることにより、当該蝶片反発体２の
   欠込部22の圧縮方向に働く外力に抗する弾性力によって
   蝶片反発体２の欠込部22側への塑性変形を防止すること
   を特徴とした眼鏡テンプルのバネ蝶番構造。