JP3017261B2 - 磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク

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JP3017261B2
JP3017261B2 JP2237325A JP23732590A JP3017261B2 JP 3017261 B2 JP3017261 B2 JP 3017261B2 JP 2237325 A JP2237325 A JP 2237325A JP 23732590 A JP23732590 A JP 23732590A JP 3017261 B2 JP3017261 B2 JP 3017261B2
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秀紀 村田
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克之 竹田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は磁気記録媒体に関し、さらに詳しくは、高域
から低域までの周波数特性がバランス良く向上し、優れ
た電磁変換特性を有するとともに耐久性に優れドロップ
アウトの少ない磁気記録媒体に関する。
[従来の技術および発明が解決すべき課題] 従来、たとえば電子スチルカメラ用のビデオフロッピ
ーディスク等の磁気ディスクとして、非磁性支持体の両
面上にメタル磁性粉をバインダー樹脂で結着させて磁性
層を形成させたものが提案されている。
また、磁性層に種々の添加成分を含有させ、その特性
を改善する試みもなされている。
たとえば、この種の磁性層は、一般に、電気抵抗が比
較的大きく、帯電しやすいことから帯電電荷の放電時に
ノイズを発生したり、塵埃が付着してドロップアウトの
原因となることがしばしば問題となるが、こういった問
題の対策として、磁性層中に、導電性粉末(カーボンブ
ラック、グラファイト、銀粉、ニッケル粉等)や界面活
性剤(天然、ノニオン、アニオン、カチオン、両性)を
添加し、磁性層の表面電気比抵抗を下げることが提案さ
れている(特公昭46−22726号公報、同47−24881号公
報、同47−26882号公報、同48−15440号公報、同48−26
761号公報、米国特許明細書第2,271,623号、同第2,240,
472号、同第2,288,226同第2,676,122号、同第2,676,924
号、同第2,676,975号、同第2,691,556号、同第2,727,86
0号、同第2,730,498号、同第2,742,379号、同第2,793,8
91号、同第3,068,101号、同第3,158,484号、同第3,201,
253号、同第3,210,191号、同第3,294,540号、同第3,41
5,649号、同第3,441,413号、同第3,442,654号、同第3,4
75,174号、同第3,545,974号など)。
このような添加剤の中でもカーボンブラックは、その
導電性により表面電気比抵抗を下げる効果のほかに、適
当な性状のもの(滑り性カーボンブラック)を用いれば
表面の適度な平滑化等による走行性や耐久性の改善をも
十分にはかることが期待できることから特に有用と思わ
れる。
このようにメタル磁性粉のほかに適当な各種の添加剤
を添加しこれらをバインダーで結着させることにより磁
性層ひいては磁気ディスクの種々の特性を改善すること
も重要である。
しかしながら、単にバインダー樹脂にカーボンブラッ
クを配合してもカーボンブラックの表面濡れ性が悪いた
めに均一にカーボンブラックを分散することができず、
磁性層の表面電位を有効に低下させることができないば
かりか、磁性層の表面が平滑にならず、ドロップアウト
やノイズの原因になる。
ところで、こういった磁気ディスクの最も基本的な特
性として信号の記録・出力時における記録媒体(磁性
層)の電磁変換特性(記録・出力強度、S/N比等)およ
びその周波数依存性すなわち周波数特性(F特性)があ
る。
一般に、sin波等のアナログ信号、ディジタル信号、1
F型信号、2F型信号などいずれの場合にも、磁気ディス
クにおける記録・出力のF特性は所望の全周波数域につ
いてできるだけフラットであることが望ましく、これに
より高周波数域(輝度信号)と低周波数域(色信号)の
出力がバランスよく保たれる。
しかしながら、従来の磁気ディスクは、F特性のバラ
ンスが悪く、一般に、高周波数域(輝度信号)の出力が
低周波数域(色信号)のそれより著しく低くなるという
基本的な欠点を有している。
そこで、記録信号の再生時にイコライザーをかけて高
周波数域(輝度信号)の出力を無理に向上させバランス
の改善をはかることが行われるが、この場合、信号全体
にひずみが生じたり、S/N比が低下するなどの支障をき
たすなどの問題が生じる。
したがって、このバランスの改善は、できるだけ磁性
層自体の電磁変換特性(F特性)の改善によって行うの
が望ましい。
ところで、こういったバランスの改善は、一般に、前
記したような添加物の選定だけからは困難であることか
ら、従来、メタル磁性粉自体の特性[抗磁力(Hc)]の
選定によりなされてきた。
すなわち、一般に、抗磁力(Hc)が小さい磁性体を使
用すると低周波数域(色信号側)の信号の記録・出力強
度は向上するが高周波数域(輝度信号側)のそれは著し
く低くなり、その結果、前記したように輝度信号と色信
号のバランスが著しく悪くなるが、一方、抗磁力(Hc)
が大きいものを用いると高周波数域(輝度信号側)の信
号の記録・出力強度が向上することが知られているの
で、こういった原理を利用して、従来のこの種の磁気デ
ィスクにおいては、磁性層に抗磁力(Hc)が大きい磁性
体(たとえば、メタル磁性粉)を用いて輝度信号の出力
を十分に向上させ、輝度信号と色信号とのバランスを改
善させようとする試みがなされてきた。
しかしながら、従来の方法のように上記の原理を単純
に利用した場合には、たとえバランスの改善がある程度
達成できたとしても、肝心な色信号の出力を著しく低下
させてしまい、S/N比を低下するという重大な問題を生
じる。
すなわち、従来のこの種の磁気ディスクにおいては、
磁性層を単層としているので、磁性粉の抗磁力(Hc)の
選定等により高周波数域(輝度信号)と低周波数域(色
信号)の電磁変換特性を各々独立に制御することができ
ず、結果として輝度信号と色信号の出力およびS/N比を
共に高いレベルに維持しつつそれらのバランスを改善す
ることができないという問題点があった。
また、多層構造の磁性層を有する磁気ディスクも提案
されているが、いずれの場合にも、上記の問題点を改善
するための有効な工夫がなされておらず、前記同様の問
題点を有していた。
本発明は、前記の事情を鑑みてなされたものである。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、高周波数域
(輝度信号)および低周波数域(色信号)の電磁変換特
性を独立に改善する形で、F特性における色信号から輝
度信号にわたる広範な周波数域の信号の記録・出力強度
およびS/N比が共に向上しており、その上で、色信号と
輝度信号のバランスを改善することができ、しかも、適
当なバインダーを用いることによりメタル磁性粉とのな
じみ具合やその分散性を向上させて、上記の電磁交換特
性(F特性)をより効果的に発揮させると共に、磁気デ
ィスクの帯電特性が十分に改善されているなどの利点を
有する磁気ディスクを提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] 前記目的を達成するための本発明は、非磁性支持体の
両面上それぞれに、粒径10〜50μmのカーボンブラック
を含有する厚み0.5〜4.0μmの導電性層と、メタル磁性
粉を含有する第1磁性層と第2磁性層とをこの順に積層
し、前記第2磁性層中に、前記第1磁性層中のメタル磁
性粉よりも、抗磁力(Hc)および比表面積(BET値)の
大きいメタル磁性粉を用い、前記第1磁性層および第2
磁性層中のバインダー樹脂として−SO3M、−COOM、−PO
(OM)(ただし、Mは水素原子またはアルカリ金属を
表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能
基を有するウレタン系樹脂を用いることを特徴とする磁
気ディスクである。
本発明の磁気ディスクは、基本的には、非磁性支持体
の両面それぞれに、導電層と第1磁性層(下層)と第2
磁性層(上層)とをこの順に積層してなる。
−非磁性支持体− 前記非磁性支持体を形成する材料としては、たとえば
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース導電体、ポリアミド、
ポリカーボネート等のプラスチック、Cu、Al、Zn等の金
属、ガラス、窒化ホウ素、Siカーバイド、セラミックな
どを挙げることができる。前記非磁性支持体の形態は特
に制限はなく、主にテープ状、フィルム状、シート状、
カード状、ディスク状、ドラム状などがある。
前記非磁性支持体の厚みには特に制約はないが、たと
えばフィルム状やシート状の場合は通常3〜100μm、
好ましくは5〜50μmであり、ディスクやカード状の場
合は30μm〜10mm程度、ドラム状の場合はレコーダー等
に応じて適宜に選択される。
なお、この非磁性支持体は、単層構造のものであって
もよく、あるいは多層構造のものであってもよく、いず
れでもよい。また、この非磁性支持体は、たとえばコロ
ナ放電処理等の表面処理を施されたものであってもよ
い。
−導電層− この導電層は、基本的には、バインダー樹脂中に導電
性カーボンブラックを分散してなる。
この導電性カーボンブラックを有する導電層によっ
て、磁気ディスクの表面電気抵抗を十分に低下させるこ
とができる。さらに、この導電性層を設けることにより
後述する磁性層には導電性カーボンブンラックの含有量
を低下させることができるので、磁性層におけるメタル
磁性粉の充填密度や分散性を向上させることができる。
この導電性カーボンブラックは粒径(平均一次粒径)
が10〜50mμであること、さらには15〜40mμであるこ
と、特に20〜30mμであることが好ましい。
10mμ未満では小さすぎて分散不良を生じ、また50mμ
を超えると導電性が低下することがある。
なお、ここに言う「粒径」とは、平均粒径を意味し、
磁気ディスクの断面を電子顕微鏡写真(7万部)にて観
察し、カーボンブラック100個について設定した数平均
粒径である。
また、この導電性カーボンブラックはその吸油量が90
ml(DBP)/100g以上であることが好ましい。ストラクチ
ャー構造を取りやすく、より高い導電性を発揮するから
である。
このようなカーボンブラックとしては、コンダクテッ
クス975(コロンビアカーボン日本社製、粒径24mμ)、
コンダクテックス900(同、粒径27mμ)、コンダクテッ
クス40−220(同、粒径20mμ)、コンダクテックスSC
(同、粒径20mμ)、バルカンXC−72(カボット社製、
粒径30mμ)、バルカンP(同、粒径20mμ)、ラーベン
1040(同、粒径15mμ)、ラーベン420(同、粒径15m
μ)、ブラックパールズ2000(同、粒径15mμ)、#44
(三菱化成社製、粒径40mμ)などがあり、これらのカ
ーボンブラックは、一種単独使用に限らず二種以上を組
み合わせて用いることができる。
導電層におけるカーボンブラックの配合量は、前記バ
インダー樹脂100重量部に対し10〜300重量部、さらには
50〜150重量部が好ましい。
カーボンブラックの配合量が10重量部未満であると、
導電性が不十分となり、配合量が300重量部を超える
と、分散性が不十分で、耐久性が悪くなるので好ましく
ない。
導電層を形成するためのバインダー樹脂としては、通
常、平均分子量が約10,000〜200,000のバインダー樹脂
が好適に使用される。
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニ
トリル共重合体、ウレタン樹脂、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラ
ール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレ
ート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、各種の合成ゴム系、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコ
ン樹脂、アクリル系反応樹脂、ウレタン系樹脂、高分子
量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混
合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの
混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコー
ル/高分子量ジオール/イソシアネートの混合物、およ
びこれらの混合物等が例示される。
これらのバインダー樹脂は、陰性官能基を有するのが
好ましい。
前記陰性官能基としては、−SO3M、−COOM、−PO(O
M)(ただし、Mは水素原子またはリチウム、カリウ
ム、ナトリウム等のアルカリ金属を表す。)等を挙げる
ことができる。
前記陰性官能基を含有していると、その陰性官能基に
よってバインダー樹脂と導電性カーボンブラックとの親
和性が向上し、これによって導電性カーボンブラックの
分散性をさらに良くし、かつ導電性カーボンブラックの
凝集も防止して塗工液の安定性を一層向上させることが
でき、ひいては磁気ディスクの耐久性をも向上させ得
る。
また、導電層と非磁性支持体との間、導電層と磁性層
との間あるいは下引層、中間層、表面保護層などを用い
る場合には導電層層の上下に設ける各層間との接着性が
良好になる。
上記バインダー樹脂の中でも、陰性官能基を含有して
いるウレタン樹脂と塩化ビニル系樹脂との組み合わせが
好ましい。
このような塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニルモノ
マー、スルホン酸もしくはリン酸のアルカリ塩を含有し
た共重合性モノマーおよび必要に応じ他の共重合性モノ
マーを共重合させることによって得ることができる。
この共重合体はビニル合成によるものであるので合成
が容易であり、かつ共重合成分を種々選ぶことができ、
共重合体の特性を最適に調製することができる。
上記したスルホン酸もしくはリン酸等の塩の金属の中
でも、特にカリウムが溶解性、反応性、収率等の点で好
ましい。
なお、この導電層には、本発明の目的を阻害しない範
囲で各種の添加剤を添加することができる。
前記添加剤として、たとえば、潤滑剤、非磁性研磨剤
粒子、導電性カーボンブラック以外の導電性粉末、界面
活性剤などが挙げられる。
前記潤滑剤としては、たとえば、シリコーンオイル、
グラファイト、二硫化モリブデン、炭素原子数が12〜20
程度の一塩基性脂肪酸(たとえば、ステアリン酸)と炭
素原子数が3〜26程度の一価のアルコールからなる脂肪
酸エステルなどを挙げることができる。
前記非磁性研磨材粒子としては、たとえば、アルミナ
[α−Al2O3(コランダム)等]、人造コランダム、溶
融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、ダイヤモンド、
人造ダイヤモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コラ
ンダムと磁鉄鉱)などを挙げることができる。この研磨
材粒子の含有量は、磁性粉に対して20重量部以下とする
のが好ましく、またその平均粒径は0.5μm以下がよ
く、0.4μm以下がさらによい。
導電性カーボンブラック以外の前記導電性粉末および
界面活性剤としては、たとえば、前記従来の技術の項に
例示のもの(前記各公報および明細書に例示のものを含
む)などを挙げることができる。
この導電層の厚みは、通常、0.5〜4.0μmであり、好
ましくは1.0〜3.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜
2.0μmである。
−磁性層− 第1磁性層および第2磁性層それぞれは、メタル磁性
粉および必要に応じて配合される各種の添加剤をバイン
ダー樹脂に分散してなる。
前記メタル磁性粉としては、Fe、Ni、Coをはじめ、Fe
−Al系、Fe−Al−Ni系、Fe−Al−Co系、Fe−Al−Ni系、
Fe−Ni−Si系、Fe−Al−Zn系、Fe−Ni−Co系、Fe−Mn−
Sn系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni
−Mn系、Fe−Co−Ni−P系、Co−Ni系、Fe、Ni、Co等を
主成分とするメタル磁性粉等の強磁性粉を挙げることが
できる。
これらの中でも、耐蝕性および分散性の点を主として
考慮すると、特にFe−Al、Fe−Al−Ni、Fe−Al−Zn、Fe
−Al−Co、Fe−Ni、Fe−Ni−Al、Fe−Ni−Zn、Fe−Ni−
Al−Si−Zn、Fe−Ni−Al−Si−Mnの系のメタル磁性粉が
好ましい。
こうしたメタル磁性粉は、飽和磁化、保磁力[抗磁力
(Hc)]が大きく、高密度記録に優れている。また、比
表面積が大きい(例えば40m2/g以上の)メタル磁性粉を
用いれば、高密度記録が可能であって、S/N比等に優れ
た媒体を容易に実現することができる。
本発明においては、前記第2磁性層(上層すなわち外
表面側の層)に含有させるメタル磁性粉として、前記第
1磁性層(下層すなわち非磁性支持体に近い層)に含有
させるメタル磁性粉よりも、抗磁力(Hc)およびBET比
表面積が大きいものを使用することが重要である。
すなわち、第1磁性層に使用するメタル磁性粉の抗磁
力(Hc)および比表面積(BET値)をそれぞれ[Hc−
I]および[SA−I]で表し、第2磁性層に使用するメ
タル磁性粉の抗磁力(Hc)および比表面積(BET値)を
それぞれ[Hc−II]および[SA−II]で表して上記の関
係をより具体的に説明すると、本発明の磁気ディスクに
おいてては、 [Hc−I]<[Hc−II]である場合(Case−)、 [SA−I]<[SA−II]である場合(Case−)、 [Hc−I]<[Hc−II]、かつ [SA−I]<[SA−II]である場合(Case−) のうちのいずれかを選択する。
ここで、(Case−)の場合に、[SA−I]を[SA
II]に対してあまり大きくすると、本発明の目的を十分
に達成できないことがある。また、(Case−)の場合
に、[Hc−I]を[Hc−II]よりあまり大きくすると、
本発明の目的を十分に達成できないことがある。
前記(Case−)または(Case−)を採用する場合
には、[Hc−I]および[Hc−II]の上限および下限
は、[Hc−I]<[Hc−II]の関係を保つ限り、目的に
応じて適宜に選定することができる。また、前記(Case
−)または(Case−)を採用する場合には、[SA
I]および[SA−II]の上限および下限は、[SA−I]
<[SA−II]の関係を保つ限り、目的に応じて適宜選定
することができる。
こういった関係を満たす第1磁性層および第2磁性層
に使用するメタル磁性粉は、前記例示の各種のメタル磁
性粉から適宜に選択すればよい。
このようにすることにより、低周波数域(色信号)と
高周波数域(輝度信号)との電磁変換特性を独立に改善
することができ、低周波数域(色信号)から高周波数域
(輝度信号)にわたる全周波数域において信号の記録・
出力強度およびS/N比等の特性を大きく向上させること
ができる。また、第1磁性層および第2磁性層に用いる
それぞれのメタル磁性粉の抗磁力(Hc)および比表面積
(BET値)を上記の所定の関係を保ちつつ適宜に調整す
ることにより、前記全周波数域にわたって信号の記録・
出力強度およびS/N比等の特性を向上させつつF特性を
フラット化することもでき、低周波数域(色信号)と高
周波数域(輝度信号)とのバランスを十分に改善するこ
とができる。
本発明の磁気ディスクにおいては、前記第1磁性層お
よび/または第2磁性層に、必要に応じて、前記のメタ
ル磁性粉のほかに、たとえば、潤滑剤、非磁性研磨剤粒
子、導電性粉末、界面活性剤などの各種の添加成分を含
有させることができる。
使用に供する前記潤滑剤としては、たとえば、シリコ
ーンオイル、グラファイト、二硫化モリブデン、炭素原
子数が12〜20程度の一塩基性脂肪酸(たとえば、ステア
リン酸)と炭素原子数が3〜26程度の一価のアルコール
からなる脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
使用に供する前記非磁性研磨材粒子としては、たとえ
ば、アルミナ[α−Al2O3(コランダム)等]、人造コ
ランダム、溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、ダ
イヤモンド、人造ダイヤモンド、ザクロ石、エメリー
(主成分:コランダムと磁鉄鉱)などを挙げることがで
きる。この研磨材粒子の含有量は、磁性粉に対して20重
量部以下とするのが好ましく、またその平均粒径は0.5
μm以下がよく、0.4μm以下がさらによい。
なお、前記潤滑剤および非磁性研磨材粒子を、特に第
2磁性層(表面層)に含有させることによりヘッドとの
接触特性(すべり走行性、耐摩耗性等)を著しく改善す
ることができる。
前記導電性粉末および界面活性剤としては、たとえ
ば、前記従来の技術の項に例示のもの(前記各公報およ
び明細書に例示のものを含む)などを挙げることができ
る。
これらの導電性粉末や界面活性剤を、特に第2磁性層
に適宜含有させることにより表面電気抵抗を有効に下げ
ることができ、耐電電荷の放電によるノイズの発生や塵
埃の付着によるドロップアウトの発生を防止することが
できる。
本発明の磁気ディスクに使用する前記磁性層は、前記
所定の性状のメタル磁性粉あるいはこれと所望により用
いる前記各種の添加成分を、適当なバインダ−樹脂等の
結合剤により結着させることにより得ることができる。
本発明では、第1磁性層および第2磁性層に含有させ
るバインダー樹脂として、前記陰性官能基を有するウレ
タン系樹脂(官能基付きウレタン系樹脂)を用いること
が重要である。
この官能基を含有していると、ウレタン系樹脂はメタ
ル磁性粉とのなじみが向上し、メタル磁性粉の分散性は
さらに改良されるばかりか、メタル磁性粉の凝集も防止
されるので塗工液の安定性が一層向上し、ひいては高域
から低域までの周波数特性がバランス良く向上し、電磁
変換特性に加えて磁気ディスクの耐久性が向上する。
前記官能基としては、たとえば−SO3M、−OSO3M、−C
OOMおよび (ただし式中MとM1はアルカリ金属であり、一分子中に
存在する2個のM1は同一であっても相違していても良
い。)などが好ましく、特に−SO3Mを有するウレタン系
樹脂が好ましい。
これらのウレタン系樹脂はその一種を単独で使用する
ことができるし、またその二種以上を併用することもで
きる。
官能基を有するポリウレタン系樹脂は、官能基を含有
するジカルボン酸と、官能基を含有しないジカルボン酸
と、ジオールとの3種の化合物と、ジイソシアネート
と、必要に応じて共重合させる共重合性モノマーとを用
いて、縮合反応と付加反応とにより得ることができる。
前記官能基を持たないジカルボン酸成分としては、た
とえばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、
1、5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキ
ソ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の
芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪
族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロ
メリット酸等のトリおよびテトラカルボン酸などが挙げ
られる。これらの中でも好ましいのは、テレフタル酸、
イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などである。
前記官能基を有するジカルボン酸成分としては、たと
えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウム
スルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル
酸、2−カリウムスルホテレフタル酸などが挙げられ
る。
前記ジオール成分としては、たとえばエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−
トリメチル−1,3−オペンタンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキ
シド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキシ
ド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げら
れる。また、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのトリ
および/またはテトラオールを併用することもできる。
前記ジイソシアネート成分としては、たとえば4,4−
ジフェニルメタンジイソシアネート、2.4−トリレンジ
イソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p
−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシ
アネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジ
イソシアネート、4,4′−ジイソシアネート−ジフェニ
ルエーテル、1,3−ナフタレンジイソシアネート、p−
キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシ
アネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,
4′−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4′−ジイ
ソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイ
ソシアネートなどが挙げられ。
前記官能基の金属塩におけるその金属としては、アル
カリ金属、とくにナトリウム、カリウム、リチウムが好
ましく、とくにカリウム及びナトリウムが溶解性、反応
性、収率等の点で好ましい。前記官能基としてスルホン
酸塩を含む前記共重合性モノマーとしては、たとえば CH2=CHSO3M CH2=CH CH2SO3M CH2=C(CH3)CH2SO3M CH2=CHCH2OCOCH(CH2COOR)SO3M CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2SO3M CH2=C(CH3)COOC2H4SO3M CH2=C(CH3)COOC2H4SO3M CH2=CHCOOC4H8SO3M CH2=CHCONHHC(CH32CH2SO3M [ただし、式中のMは前記に同じ。] などが挙げられる。
また、リン酸塩としては CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−O−PO3M2Y1 CH2=CHCONHC(CH3)CH2−O−PO3M2Y2 CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mPO3M2X2 [ただし、前記スルホン酸塩およびリン酸塩において、
M2はアルカリ金属を表わし、Y1は水素、M2、およびCH2
=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−のいずれかを表わし、X1OHおよびOM2のいずれかを表わし、X2はCH2=CHCH2−O
−(CH2CH2O)−、OHおよびOM2のいずれかを表わす。
また、mおよびnは1〜100の整数である。] また、必要に応じて共重合させる共重合性モノマーと
しては、たとえば種々のビニルエステル、塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレ
ン、アクリル酸、メタクリル酸、種々のアクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、
イソブテン、ブタジエン、イソプレン、ビニルエーテ
ル、アリールエーテル、アリールエステル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、マレイン酸エステルなどが挙
げられる。
前記ポリウレタン系樹脂は乳化重合、溶液重合、懸濁
重合、塊状重合等の重合法により重合される。
いずれの方法においても、必要に応じて分子量調節
剤、重合開始剤、モノマーの分割添加あるいは連続添加
など公知の技術を応用することができる。
さらに、官能基を有するウレタン系樹脂は、官能基を
持たないポリウレタン系樹脂を変性して得ることができ
る。
すなわち、官能基を持たないポリウレタン系樹脂と、
たとえば (ただし、式中、MおよびM1は前記と同じ意味を表わ
す。) 等の分子中に上記の官能基および塩素を含有する化合物
とを脱塩酸反応により縮合させて、官能基を導入する方
法である。
前記官能基を有するポリウレタン系樹脂の分子量は、
通常3,000〜150,000、好ましくは5,000〜10,000、特に
好ましくは10,000〜50,000である。この分子量が150,00
0を越えると、磁性塗料の粘度が許容範囲を越えて多く
なり、本発明の目的が達成不可能になることがある。
一方、分子量が3,000未満であると、磁性塗料を非磁
性支持体状に塗布してから硬化剤を用いて硬化させる段
階で、未反応部分が生じ、低分子量成分が残存すること
になって塗膜の物性を劣化させることがある。
官能基を有するウレタン系樹脂の配合割合は、メタル
磁性粉100重量部に対して通常、5〜40重量部、好まし
くは10〜30重量部である。
この配合割合を前記範囲内にすることによって磁性層
におけるメタル磁性粉の分散状態を良好なものにしつ
つ、分散速度の向上を図ることができる。
なお、本発明ではバインダー樹脂として前記官能基を
有するウレタン系樹脂とともに、従来からこの分野で用
いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電
子線照射硬化型樹脂またはこれらの混合物を併用するこ
とができる。
上記熱可塑性樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−
エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−
アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラー
ル、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレー
ト)、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合
体、アミノ樹脂および合成ゴム系の熱可塑性樹脂などを
挙げることができる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、たとえ
ばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリ
コーン樹脂、アクリル系反応樹脂、高分子量ポリエステ
ル樹脂とイソシアネートプレポリマーとの混合物、メタ
クリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーと
の混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、およびポリアミ
ド樹脂などが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記電子線照射硬化型樹脂としては、たとえば無水マ
レイン酸タイプ、ウレタンアクリルタイプ、エポキシア
クリルタイプ、ポリエステルアクリルタイプ、ポリエー
テルアクリルタイプ、ポリウレタンアクリルタイプ、ポ
リアミドアクリルタイプ等の不飽和プレポリマー;エー
テルアクリルタイプ、ウレタンアクリルタイプ、エポキ
シアクリルタイプ、燐酸エステルアクリルタイプ、アリ
ールタイプおよびハイドロカーボンタイプ等の多官能モ
ノマーなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記官能基を有するウレタン系樹脂と従来の結合剤と
を併用する場合、その配合割合は、(官能基を有するウ
レタン系樹脂):(従来のバインダー樹脂)の重量比
で、通常、9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8である。この
配合割合が前記範囲を外れると、本発明の磁気ディスク
における磁性層の電磁変換特性が低下したり、前記強磁
性粉末の分散性が低下したりすることがある。
前記官能基を有するウレタン系樹脂と従来の結合剤と
を併用する場合あるいは官能基を有するウレタン系樹脂
単独をバインダー樹脂として使用する場合の何れにおい
ても、磁性層における前記メタル磁性粉と前記バインダ
ー樹脂との配合量は、前記メタル磁性粉100重量部に対
し、通常、1〜200重量部、好ましくは1〜50重量部で
ある。
バインダー樹脂の配合量が多すぎると、結果的にメタ
ル磁性粉の配合量が少なくなり、磁性ディスクの記録密
度が低下することがあり、配合量が少なすぎると、磁性
層の強度が低下し、磁気ディスクの走行耐久性が低くな
ることがある。
−磁気ディスクの製造− 本発明の磁気ディスクは、その製造方法として特に制
限はなく、公知の多層構造型の磁気記録媒体の製造に際
して使用される方法に準じて製造することもできるし、
あるいはそのほかの各種の方法によって製造することも
できる。
たとえば前記非磁性支持体の面上に前記導電層、前記
第1磁性層および第2磁性層を形成する方法として、通
常、導電性カーボンブラックとバインダー樹脂とを溶媒
に混練分散して導電層用塗料を調製し、またメタル磁性
粉、バインダー樹脂等の磁性層形成成分を溶媒に混練分
散して磁性塗料を調製した後、この導電層用塗料と磁性
塗料とを非磁性支持体の表面に塗布する。
上記溶媒としては、たとえばアセトン、メチルエチル
ケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シ
クロヘキサノン等のケトン系:メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール系、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチ
レングリコールモノアセテート等のエステル系:ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノ
ール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
系:ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素:メチレンクロライド、エチレンクロライド四塩化炭
素クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素などを用いることができ
る。
導電層用塗料あるいは磁性層形成成分の混練に際して
は、前記導電性カーボンブラックあるいは前記メタル磁
性粉およびその他の成分を同時にまたは個々に順次混練
機に投入する。
たとえば、分散剤を含む溶液中に前記メタル磁性粉を
加え、所定時間混練りした後、残りの各成分を加えて、
さらに混練りを続けて磁性塗料とする。磁性層形成成分
の混練分散にあたっては、各種の混練機を使用すること
ができる。
この混練機としては、たとえば日本ロールミル、三本
ロールミル、ボールミル、ペブルミル、サイドグライン
ダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散機、
高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパーニーダ
ー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機など
が挙げられる。
磁性塗料の塗布方法としては、たとえばグラビアコー
ティング法、ナイフコーティング法、ワイヤーバーコー
ティング法、ドクターブレードコーティング法、リバー
スロールコーティング法、ディップコーテング法、エア
ーナイフコーテング法、カレンダーコーティング法、ス
キーズコーティング法、キスコーティング法、およびフ
ァンティンコーテング法、エクストロージョンコーティ
ング法などが使えるが、本発明ではエクストロージョン
コーティング法が好ましい。さらに、エクストロージョ
ンコーティング法で、第1磁性層をコーティングした後
であって乾燥する前に、第2磁性層をエクストロージョ
ンコーティング法でコーティングする、いわゆるウェッ
ト・オン・ウェットの方法が好ましい。エクストロージ
ョンコーティングによるウェット・オン・ウェット方式
は他の方式に比較し、塗布性が良好で表面粗さも小さく
均一になり、本発明の目的である電磁変換特性、周波数
特性が良好となる。
このようにして非磁性支持体上に、導電層、第1磁性
層および第2磁性層を形成する。
磁性層形成成分を塗布した後に、一般に未乾燥の状態
で必要に応じて磁場配向処理を行ない、さらにスーパー
カレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理を施し、
ついで所望の形状に裁断することによって、磁気記録媒
体を得ることができる。
以上のようにして、第1図に例示のように、非磁性支
持体1の両面上に、導電層2、第1磁性層3と第2磁性
層4がこの順に設けられている本発明の磁気ディスクを
製造することができる。
なお、本発明の磁気ディスクには、必要あれば第2磁
性層4の面上にオーバーコート層(図示せず)を設ける
ことができる。また、本発明の磁気ディスクは、第1図
には示してないが、非磁性支持体1と第1磁性層3との
間に下引き層が設けられているものであってもよく、あ
るいは下引き層が設けられていないものであってもよ
い。また、必要に応じて、第1磁性層3と第2磁性層4
の間に適宜中間層(たとえば、接着層等)を設けること
もできる。
本発明の磁気ディスクは、導電層を設けることにより
磁性層の表面電気抵抗を小さくして帯電性を防止するこ
とができ、この結果、ノイズやドロップアウトを防止す
ることができ、また導電層を設けることと磁性層を二層
に機能分離することと、さらには第1磁性層および第2
磁性層のバインダー樹脂に官能基付きのウレタン樹脂を
使用することとにより、信号の記録・出力における電磁
変換特性(特にF特性における記録・出力強度およびS/
N比)が低周波数域(色信号)から高周波数域(輝度信
号)にわたる広範な周波数域で著しく改善されており、
しかも、前記広範な周波数域にわたって信号の記録・出
力強度およびS/N比等の特性を向上させつつF特性をフ
ラット化することもでき、低周波数域(色信号)と高周
波数域(輝度信号)のバランスを十分に改善することが
できるなどの利点を有する実用上著しく優れた磁気ディ
スクであり、たとえば、電子スチルカメラ用の磁気ディ
スク等をはじめとする各種の磁気ディスク利用分野に有
利に利用することができる。
本発明の磁気ディスクがこのように優れた特長を有す
る理由としては、現段階では必ずしも断定することがで
きないが、以下のことが考えられる。
まず、本発明の磁気ディスクの場合、導電層を設ける
ことにより、磁性層中に導電性粉末を特に配合しなくて
も磁性層の帯電特性を改善することができ、また、磁性
層に導電性粉末を配合しない分、磁性層中に磁性粉をよ
り多く配合することができて磁性粉の充填密度を高める
ことができることから、本発明の効果が達成されるもの
推察される。
さらに、本発明の磁気ディスクは、従来の単層の磁性
層を有するものに対して、非磁性支持体の両面上に第1
磁性層および第2磁性層という異なった性状のメタル磁
性粉を官能基付きのウレタン系樹脂中に分散してなる2
層の磁性層を設けてあり、これによって、前記したよう
に、低周波数域(色信号)と高周波数域(輝度信号)の
電磁変換特性を独立に改善することができる。すなわ
ち、低周波数域(色信号側)の信号の記録・出力強度や
S/N比等の向上が、主として、低周波数域(色信号)に
対して有利な抗磁力(Hc)および/または比表面積(BE
T値)が相対的に小さいメタル磁性粉を含有する第1磁
性層により有効に達成され、これと同時に、高周波数域
(輝度信号側)の信号の記録・出力強度およびS/N比等
の向上が、主として高周波数域(輝度信号)に対して有
利な抗磁力(Hc)および比表面積(BET値)が相対的に
大きいメタル磁性粉を含有する第2磁性層により有効に
達成されるものと考えられる。
また、本発明の磁気ディスクにおいては、前記高周波
数域(輝度信号)に対して有利な第2磁性層が上層(外
層もしくは外層側)に配置されており、低周波数域(色
信号)に対して有利な前記第1磁性層がその下層(内
層)に配置されていることも注目すべきである。
一般的に、高周波数域(輝度信号)の信号は、あまり
内部まで達することなく主として表面付近のメタル磁性
粉(第2磁性層)に有効に作用し、一方、低周波数域
(色信号)は、概して内部深く達することができ、主と
して内部のメタル磁性粉(第1磁性層)に有効に作用す
るものと推察することができる。
さらにまた、本発明の磁気ディスクにおいては磁性層
が官能基付きのウレタン系樹脂をバインダー樹脂にして
いるので、磁性粉やその他の添加剤の分散が良好にな
り、しかも磁性粉を初めとする固形分のバインダー樹脂
に対する結着が良好になることからも、電磁変換特性の
向上が達成されるものと推察される。
以上の総合的な結果として、本発明の磁気ディスクで
は、帯電特性の改善とともに、低周波数域(色信号)か
ら高周波数域(輝度信号)にわたる全周波数域において
信号の記録・出力強度およびS/N比等の特性を維持改善
することができ、その上で低周波数域(色信号)と高周
波数域(輝度信号)のバランスを高い出力レベル維持し
つつ改善することができるものとと考えることができ
る。
[実施例] 次に、本発明を実施例と比較例に基づいてさらに具体
的に説明する。なお、以下において「部」は「重量部」
を示す。
下記配合組成(A)にしたがって配合成分をニーダー
及びボールミルで混練分散して、次いで塗布直前にポリ
イソシアネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン
社製)5部を添加して、導電性層用塗料を調製した。
配合組成(A) カーボンブラック 100部 [コンダクテクッス975(C−975);粒径24mμコロン
ビアカーボン日本社製] ポリウレタン樹脂 60部 [ニッポラン2304;日本ポリウレタン社製] 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 60部 [VAGH;米国U.C.C.社製] ミリスチン酸 5部 ブチルステアレート 5部 シクロヘキサノン 600部 トルエン 200部 メチルエチルケトン 200部 また、下記配合組成をボールミル、サンドミルに取
り、混練分散した後、さらにポリイソシアネート化合物
(コロネートL:日本ポリウレタン工業社製)5部を加え
て下層用磁性塗料(B)及び上層用磁性塗料(C)を調
製した。
配合成分(B) 鉄−アルミ系強磁性合金粉末 100部 [アルミ含有率:3重量%、BET比表面積:45m2/g、抗磁力
(HC):1350Oe] −SO3K変性ポリウレタン 8部 [UR−8700;東洋紡績(株)製] 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 60部 [VAGH;米国U.C.C.社製] α−アルミナ 7部 ミリスチン酸 2部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 トルエン 100部 メチルエチルケトン 60部 配合成分(C) 鉄−アルミ系強磁性合金粉末 100部 [アルミ含有率:3重量%、BET比表面積:47m2/g、抗磁力
(HC):1450Oe] −SO3K変性ポリウレタン 8部 [UR−8300;東洋紡績(株)製] 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 60部 [VAGH;米国U.C.C.社製] α−アルミナ 7部 ミリスチン酸 2部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 トルエン 100部 メチルエチルケトン 60部 配合成分(D) 配合成分(B)おいて、−SO3K変性ポリウレタンを、
官能基のない、ニッポランN−2301[日本ポリウレタン
(株)製]に変更した以外は、配合成分(B)と同じに
調製。
配合成分(E) 配合成分(C)において、−SO3K変性ポリウレタン
を、官能基のない、ニッポランN−2301[日本ポリウレ
タン(株)製]に変更した以外は、配合成分(C)と同
じに調製。
上記のように、調製した導電性層用塗料、及び磁性層
用塗料を第1表に示すように組み合わせて、磁性フィル
ムを作製し、この磁性フィルムを2インチに打抜き、電
子スチルビデオフロッピーを製造した。
以下の性能試験を行ない結果を第2表に示した。
(1)RF出力 ソニー(株)製のMVR−5500を用いて、1.25MHz及び7.
0MHzの正弦波信号を記録し、再生RF出力を測定した。な
お、結果は測定した再生RF出力を実施例1で製造した電
子スチルビデオフロッピーの再生RF出力を0.0dBとした
ときの相対値として、第2表に記した。RF出力の値が大
きい程、良好な電子スチルビデオフロッピーであること
を示す。
(2)ノイズレベル (株)アバンテスト製のスペクトラムアナライザーを
用いて、7.0MHzのRF出力を測定した各サンプルの6MHzの
ノイズレベルを測定した。測定したノイズレベルを、実
施例1で製造した電子スチルビデオフロッピーのノイズ
レベルを0.0dBとしたときの相対値として第2表に記し
た。
ノイズレベルの値が小さい程、良好な電子スチルビデ
オフロッピーであることを示す。
(3)F特性 ソニー(株)製のMVP−5500を用いて、7.0MHz、10.0M
Hzの正弦波信号を記録再生し、7.0MHz、10.0MHzの再生R
F出力の比RF7/RF10を測定した。なお、結果はリファレ
ンスディスク(電子スチルカメラ懇談会で決められたデ
ィスク)のRF7/RF10を0.0dBとしたときの相対値として
第2表に記した。0.0dBに近い程、F特性のバランスが
良いことを示す。
(4)表面電気比抵抗 10mm幅の電極を10mm離して、その間に測定資料をはさ
み、表面電気比抵抗を測定した。結果は第2表に示す。
(5)走行耐久性 日立製作所(株)製のVX−50を用いて、予め画像信号
を25トラックに記録した電子スチルビデオフロッピーの
スチルモードでの再生を20℃、50%RHの条件で連続的に
行ない、再生出力が3dB低下するまでの時間を測定し
た。
(6)ドロップアウト コニカ(株)製のドロップアウト測定器を用い、長さ
15μsec以上、深さ−12dB以上のドロップアウトが1枚
に3個以上ある電子スチルビデオフロッピーをドロップ
アウトNG品(不良品)として100枚測定したときの合格
率(%)を第2表に示す。
合格率が高い程、ドロップアウトが少ないことを示
す。
[発明の効果] 本発明の磁気ディスクは、粒径10〜50μmのカーボン
ブラックを含有する厚み0.5〜4.0μmの導電性層と、特
定官能基を有するウレタン系樹脂にメタル磁性粉をそれ
ぞれ含有する第1磁性層と第2磁性層とをこの順に積層
し、第1磁性層に、第2磁性層に用いられる磁性粉より
も、抗磁力(Hc)および比表面積(BET値)が小さい磁
性粉を用いることを特徴とするので、高域から低域まで
周波数特性がバランス良く向上し、しかも磁性粉の粉落
ちやドロップアウトがなく、磁性層の表面電位の低下が
なく帯電性を帯びることの少ない、優れた電磁変換特性
を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の磁気ディスク(磁気記録媒体部)の
一例を示す断面図である。 1……非磁性支持体 2……導電層 3……第1磁性層 4……第2磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 克之 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (72)発明者 道端 勇 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 平2−223013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/716 G11B 5/706 G11B 5/702 G11B 5/82

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体の両面上それぞれに、粒径10
    〜50mμのカーボンブラックを含有する厚み0.5〜4.0μ
    mの導電性層と、メタル磁性粉を含有する第1磁性層と
    第2磁性層とをこの順に積層し、前記第2磁性層中に、
    前記第1磁性層中のメタル磁性粉よりも、抗磁力(Hc)
    および比表面積(BET値)の大きいメタル磁性粉を用
    い、前記第1磁性層および第2磁性層中のバインダー樹
    脂として−SO3M、−COOM、−PO(OM)(ただし、Mは
    水素原子またはアルカリ金属を表す。)からなる群より
    選ばれる少なくとも1つの官能基を有するウレタン系樹
    脂を用いることを特徴とする磁気ディスク。
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