JP3016352B2

JP3016352B2 - 印刷機シリンダの洗浄装置

Info

Publication number: JP3016352B2
Application number: JP7353843A
Authority: JP
Inventors: 茂光明瀬
Original assignee: Nikka Ltd
Current assignee: Nikka Ltd
Priority date: 1995-12-28
Filing date: 1995-12-28
Publication date: 2000-03-06
Anticipated expiration: 2015-12-28
Also published as: JPH09183212A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷機
のブランケットシリンダ等の印刷機シリンダの表面を洗
浄する印刷機シリンダの洗浄装置に係り、特に洗浄液を
含ませたブラシベルトを印刷機シリンダの軸方向に移動
させて洗浄する印刷機シリンダの洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット印刷機による印刷を行うと、
時間の経過とともにブランケットシリンダ（ブランケッ
ト胴）にインキや紙粉、塵埃等の異物が付着し、印刷物
を汚すようになる。従って、高い印刷品質を維持するた
めには、印刷準備中または印刷機の運転中にブランケッ
ト胴を時々洗浄し、ブランケット胴に付着した異物を除
去する必要がある。そして、ブランケット胴などの印刷
機シリンダを洗浄する装置として、表面に剛毛を植設し
たベルト（ブラシベルト）を印刷機シリンダの表面に押
し当てて洗浄するものがある。

【０００３】このブラシベルト式洗浄装置は、無端のブ
ラシベルトが印刷機シリンダの中心軸と平行に、かつ印
刷機シリンダに対して接離自在に配置してあって、ブラ
シベルトに洗浄液を噴射して含ませ、洗浄液を含ませた
ブラシベルトを印刷機シリンダに接触させつつシリンダ
の軸線方向に回転移動させ、シリンダ表面に付着してい
る異物をブラシベルトに移すことにより洗浄するように
なっている。また、この洗浄装置は、ブラシベルトに付
着しているインクや紙粉等の異物を含んだ洗浄液（廃
液）をスクレーパによって掻き落とすようになってい
る。そして、ブラシベルトへの洗浄液の噴射時間や噴射
回数は、印刷機シリンダの汚れの程度や使用状態等に応
じて適宜に制御するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のブラシ
ベルト式洗浄装置は、ブラシベルトの駆動に油圧モータ
を使用していた。このため、ブラシベルトの送り速度
（周速）が油圧ポンプの吐出量によって定まり、周速を
変えるのが困難であって、周速を可変にする場合、高価
な制御装置を設置する必要があり、装置が大型、高価と
なる。このため、従来のブラシベルト式洗浄装置は、印
刷機シリンダの汚れの程度によって洗浄効果を変えよう
とする場合、ブラシベルトに供給する洗浄液の量を変え
る以外になかった。

【０００５】ところが、ブラシベルト式洗浄装置は、ベ
ルトに植設した剛毛に洗浄液を保持させるようになって
いるために多量の洗浄液を保持させることができず、ブ
ラシベルトへの洗浄液の供給量を多くしても滴下する量
が多くなって洗浄液のロスが増大するだけで、洗浄効果
を充分に上げることができなかった。しかも、ブラシベ
ルトを駆動するために圧油によって作動する油圧モータ
を使用するため、取扱いやメンテナンスが面倒なばかり
でなく、消防法による危険物取扱いの規制を受け、設備
コストの負担が大きかった。

【０００６】本発明は、前記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、印刷機シリンダの汚れの状態に
応じた洗浄効果を容易に得ることができる印刷機シリン
ダの洗浄装置を提供することを目的としている。また、
本発明は、取扱いが容易で設備コストを低減できるよう
にすること等を目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、圧縮空気を用いてブラシベルトを駆動
するようにしている。すなわち、本発明に係る印刷機シ
リンダの洗浄装置は、印刷機シリンダと平行、かつ接離
自在に配設され、印刷機シリンダの軸線に沿って移動可
能なブラシベルトと、このブラシベルトに洗浄液を供給
する洗浄液供給部とを備えた印刷機シリンダの洗浄装置
において、前記ブラシベルトを前記印刷機シリンダの軸
線に沿って移動させるエアモータと、このエアモータと
前記洗浄液供給部とを制御するコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記印刷機シリンダの汚れの状態
に応じて設定された前記ブラシベルトに供給する洗浄液
の供給量と前記ブラシベルトの周速とに基づいて、前記
洗浄液供給部と前記エアモータとを駆動し、前記ブラシ
ベルトを介して前記印刷機シリンダへの前記洗浄液の供
給量を制御する、を有する構成となっている。

【０００８】

【作用】上記のごとく構成した本発明は、速度制御手段
を介してエアモータの出力を調節することにより、ブラ
シベルトの移動速度、すなわち無端ブラシベルトの回転
速度（周速）を変化させることができ、ブラシベルトに
供給される洗浄液の量が同じであったとしても、ブラシ
ベルトの周速によって洗浄効果が異なり、印刷機シリン
ダの汚れの程度に応じた洗浄を容易に行うことができ
る。

【０００９】すなわち、一定の速度で回転している印刷
機シリンダに、シリンダの軸線方向に移動するブラシベ
ルトを接触させた場合、ブラシベルトの任意の点の印刷
機シリンダ上の軌跡は、ブラシベルトの周速が小さい
と、ブラシベルトの周速が大きい場合に比較して印刷機
シリンダの周方向への移動量が大きく、軸線方向への移
動量が比較的小さくなるとともに、ブラシベルトに供給
された洗浄液の滴下量が多くなってシリンダ周面に供給
できる洗浄液の量が少なくなり、洗浄効果が低下する。
反対に、ブラシベルトの周速が大きい場合には、印刷機
シリンダ面におけるブラシベルトのシリンダ軸方向の移
動量が大きくなるとともに、シリンダ面に供給される洗
浄液の量が多くなり、大きな洗浄効果を得ることができ
る。そして、ブラシベルトの周速を大きくすることによ
り、ベルトからの洗浄液の滴下量が減少して洗浄液の使
用効率が向上し、コストの低減を図ることができる。

【００１０】しかも、エアモータは、圧縮空気によって
駆動されるため、印刷工場内のコンプレッサを使用する
ことができ、メンテナンスや取扱いが容易であるととも
に、油圧設備等を設ける必要がなく、設備コストを低減
することができる。さらに、油を使用しないために消防
法による危険物の取扱いの規制を受けることがない。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明に係る印刷機シリンダの洗
浄装置の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細
に説明する。

【００１２】図１は、本発明の実施の形態に係る印刷機
シリンダの洗浄装置の要部説明図である。図１におい
て、洗浄装置を構成している洗浄ユニット１０は、印刷
機シリンダであるブランケット胴１２と平行に配置した
基体フレーム１４を有しており、この基体フレーム１４
にブランケット胴１２側と下面が開口したカバーが取り
付けてある。そして、カバー内の長手方向一側（図１の
左側）には、詳細を後述する無端ブラシベルト１６を回
転駆動するエアモータ１８が基体フレーム１４の長手方
向に沿って設けてあり、カバー内の他側にテンションプ
ーリ２０が配設してある。

【００１３】エアモータ１８は、正逆回転が可能であっ
て、一対のエア供給口のそれぞれが、エア配管２２、２
４を介して速度制御部２６を構成している電磁式の時計
方向回転（正転）用流量制御弁２８、反時計方向回転
（逆転）用流量制御弁３０の流出側に接続してある。ま
た、速度制御部２６にはコントローラ３２が設けてあっ
て、このコントローラ３２が流量制御弁２８、３０の開
弁量を制御してエアモータ１８に供給する圧縮空気量を
変え、エアモータ１８の回転速度（出力）を調節し、ブ
ラシベルト１６の回転速度（周速）を変えることができ
るようにしてある。そして、流量制御弁２８、３０の流
入側は、圧力制御弁３４、３６を介してコンプレッサや
アキュムレータなどの高圧源３８に接続してある。

【００１４】テンションプーリ２０は、基体フレーム１
４の長手方向に移動可能なプーリブラケット４０に回転
自在に取り付けてある。そして、プーリブラケット４０
の基部には、軸４２が設けてあって、この軸４２の周囲
に圧縮ばね４４が配設してある。この圧縮ばね４４は、
プーリブラケット４０の基端面を前方（図１の右側）に
押し、歯車装置４７を介してエアモータ１８によって駆
動される駆動プーリ４６とテンションプーリ２０との間
に巻掛けしたブラシベルト１６に張力を与えている。

【００１５】歯車装置４７は、図２に示してあるよう
に、基体フレーム１４を覆っているカバー６６の一端部
に設けたケース６８に収納してある。このケース６８の
基体フレーム中央側には、モータブラケット７０が設け
てあって、このモータブラケット７０にエアモータ１８
が固定してある。そして、エアモータ１８の回転軸４８
には、歯車装置４７を構成しているかさ歯車５０が固定
してある。また、歯車装置４７は、かさ歯車５０と噛み
合っているかさ歯車５２を有している。このかさ歯車５
２は、ケース６８に固定した軸７２に回転自在に取り付
けてある。

【００１６】さらに、歯車装置４７は、かさ歯車５２に
外嵌固定され、かさ歯車５２と一体に回転する歯車５４
と、ケース６８に固定した軸７４に回転自在に取り付け
られて、歯車５４に噛み合っている歯車５６とを有して
いる。また、軸７４には、歯車５６の軸方向に配置さ
れ、ボルト５８によって歯車５６と一体化された駆動プ
ーリ４６が回転自在に取り付けてある。駆動プーリ４６
は、歯車５６より大径に形成してあって、外周面に歯部
が設けられ、この歯部にブラシベルト１６が巻掛けされ
ている。一方、ブラシベルト１６は、例えばプラスチッ
クからなる無端のベルト部６２と、このベルト部６２の
外面に植設した剛毛からなるブラシ部６４とからなって
いて、ベルト部６２の内面に、駆動プーリ４６の周面に
形成した歯部と噛み合う歯部を備えている。

【００１７】なお、基体フレーム１４の長手方向中央部
には、ブラシベルト１６に向けて洗浄液である水を噴射
する洗浄液供給部であるノズル７６と、例えばソルベン
トなどの有機溶媒からなる洗浄液を噴射する洗浄液供給
部であるノズル７８とが設けてある（図１参照）。そし
て、これらのノズル７６、７８の間には、ブランケット
胴１２の表面を洗浄してブラシベルト１６に付着したイ
ンクや紙粉等を含む汚れた洗浄液（廃液）を掻き落とす
スクレーパユニット８０が配置してあるとともに、この
スクレーパユニット８０をブラシベルト１６に接離させ
るエアシリンダ８２が設けてある。また、基体フレーム
１４の下方には、図示しない廃液受けが設けてあって、
スクレーパユニット８０がブラシベルト１６から掻き落
とし、スクレーパユニット８０から滴下する廃液を受け
ることができるようにしてある。

【００１８】上記のごとく構成した実施の形態において
は、オペレータがブランケット胴１２の汚れの状態に応
じたブラシベルト１６の周速と洗浄液の供給量とを図示
しない入力部を介して設定し、洗浄開始信号を速度制御
部２６のコントローラ３２に与えると、コントローラ３
２が予め与えられているシーケンス制御プログラムに従
ってブランケット胴１２の洗浄を行う。

【００１９】すなわち、コントローラ３２は、時計方向
回転用流量制御弁２８（または反時計方向回転用流量制
御弁３０）を開弁するとともに、与えられたブラシベル
ト１６の周速に応じてその開弁量を制御する。流量制御
弁２８が開くと、高圧源３８からの圧縮空気が圧力制御
弁３４、流量制御弁２８を介してエアモータ１８に供給
され、エアモータ１８が回転する。エアモータ１８が回
転すると、エアモータ１８の回転軸４８に固定してある
かさ歯車５０が回転し、この回転がかさ歯車５２に伝達
され、歯車５４をかさ歯車５２と一体に回転させる。一
方、駆動プーリ４６は、ボルトによって歯車５４に噛み
合っている歯車５６と一体化されているため、歯車５４
の回転によって歯車５６とともに回転させられ、外周面
の歯部と噛み合っているブラシベルト１６を図１の時計
方向に回転させる。そして、ブラシベルト１６は、図３
の曲線ａのように周速が急速に立上がる。

【００２０】コントローラ３２は、時計方向回転用流量
制御弁２８または反時計方向回転用流量制御弁３０をオ
ン（開弁）してから所定時間が経過し、図３の矢印に示
したブラシベルト１６の周速がピークｂに達する直前
に、圧縮空気で作動する脈胴ポンプなどの図示しない洗
浄液供給ポンプを駆動し、洗浄液ノズル７６（または洗
浄液ノズル７８）から洗浄液（水またはソルベント）を
ブラシベルト１６に向けて所定時間噴射し、ブラシベル
ト１６に洗浄液を供給するとともに、図示しない洗浄ユ
ニット進退装置を駆動して洗浄ユニット１０をブランケ
ット胴１２に向けて前進させ、ブラシベルト１６をブラ
ンケット胴１２に接触させるとともに、時計方向回転用
流量制御弁２８と反時計方向回転用流量制御弁３０とを
交互に数回繰り返し駆動してブランケット胴１２の表面
を洗浄する。

【００２１】ブラシベルト１６の周速は、ブランケット
胴１２と接触していない無負荷状態から接触した負荷状
態になると、図３のｃのように低下する。また、コント
ローラ３２は、ブラシベルト１６への洗浄液の供給が終
了すると、エアシリンダ８２を作動してスクレーパユニ
ット８０をブラシベルト１６側に前進させ、クスレーパ
ユニット８０のスクレーパ本体をブラシベルト１６のブ
ラシ部６４に食い込ませ、ブラシベルト１６に付着して
いる廃液を掻き取り、廃液受けに滴下させる。

【００２２】さらに、コントローラ３２は、ブランケッ
ト胴１２の洗浄が終了すると、洗浄ユニット１０を後退
させて初期位置に戻すとともに、ブラシベルト１６をブ
ランケット胴１２から離間させて流量制御弁２８を閉じ
てエアモータ１８を停止させる。また、ブラシベルト１
６は、ブランケット胴１２と離間すると図３のｄのよう
に周速がピークに達したのち、流量制御弁２８の閉弁に
よってエアモータ１８が停止するのにともなって図３の
ｅのように低下して停止する。これにより、１回目の洗
浄サイクルが終了する。そして、１回の洗浄工程におい
て、上記の洗浄サイクルが必要回数繰り返される。

【００２３】このように、実施の形態においては、圧縮
空気により作動するエアモータ１８によってブラシベル
ト１６を回転駆動するようにしているため、メンテナン
スや取扱いが容易であるばかりでなく、エアモータ１８
の出力を調節することによってブラシベルト１６の周速
を容易に変化させることができ、ブランケット胴１２の
汚れの状態に対応した洗浄効果を容易、確実に得ること
ができる。行うことができる。しかも、油を使用しない
ために油圧系統の設備を設ける必要がなく、また消防法
による規制も受けないため、設備コストの低減を図るこ
とができる。さらに、ブラシベルト１６の周速を大きく
することにより、ブラシベルト１６から滴下する洗浄液
の量が少なくなってブランケット胴１２に供給される洗
浄液の量が多くなり、洗浄液のロスが減少してコストの
低減を図れるとともに、洗浄効果をより高めることがで
きる。

【００２４】また、油圧モータを用いた従来の装置の場
合、油圧モータを上下方向に立てた状態で配置していた
ため、カバー６６の上面とケース６８の上面との差ｈが
４２ｍｍ程度あったものを、実施形態のようにエアモー
タ１８を横に配置することにより、差ｈを１９ｍｍ程度
にすることができる。このため、実施の形態において
は、印刷機に設けられて種々の機器等との干渉を避ける
ことができ、洗浄装置を印刷機に容易に組込むことがで
きる。なお、簡易型として手動式可変型流量調整弁を使
用してブラシベルト１６の周速を変えるようにしてもよ
い。

【００２５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、速度制御手段を介してエアモータの出力を調節する
ことにより、ブラシベルトの移動速度、すなわち無端ブ
ラシベルトの回転速度（周速）を変化させることがで
き、ブラシベルトに供給される洗浄液の量が同じであっ
たとしても、周速の相違によるブラシベルトの印刷機シ
リンダ表面におけるその軸方向への移動量の相違と、印
刷機シリンダに供給される洗浄液の量が変化するために
洗浄効果が異なり、印刷機シリンダの汚れの程度に応じ
た洗浄を容易に行うことができる。

【００２６】しかも、エアモータは、圧縮空気によって
駆動されるため、印刷工場内のコンプレッサを使用する
ことができ、メンテナンスや取扱いが容易であるととも
に、油圧設備等を設ける必要がなく、設備コストを低減
することができる。さらに、油を使用しないために消防
法による危険物の取扱いの規制を受けることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態に係る印刷機シリンダの洗浄装置の
要部説明図である。

【図２】実施の形態に係るブラシベルトの駆動部の断面
図である。

【図３】実施の形態に係るブラシベルトの周速の変化の
一例を示す図である。

【符号の説明】

１０洗浄ユニット１２印刷機シリンダ（ブランケット胴）１６ブラシベルト１８エアモータ２０テンションプーリ４６駆動プーリ４７歯車装置２６速度制御部２８時計方向回転用流量制御弁３０反時計方向回転用流量制御弁３２コントローラ７６、７８洗浄液供給部（洗浄液ノズル）８０スクレーパユニット８２エアシリンダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41F 35/00 - 35/06

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】印刷機シリンダと平行、かつ接離自在に
配設され、印刷機シリンダの軸線に沿って移動可能なブ
ラシベルトと、このブラシベルトに洗浄液を供給する洗
浄液供給部とを備えた印刷機シリンダの洗浄装置におい
て、前記ブラシベルトを前記印刷機シリンダの軸線に沿って
移動させるエアモータと、このエアモータと前記洗浄液供給部とを制御するコント
ローラとを有し、前記コントローラは、前記印刷機シリンダの汚れの状態
に応じて設定された前記ブラシベルトに供給する洗浄液
の供給量と前記ブラシベルトの周速とに基づいて、前記
洗浄液供給部と前記エアモータとを駆動し、前記ブラシ
ベルトを介して前記印刷機シリンダへの前記洗浄液の供
給量を制御する、を有することを特徴とする印刷機シリンダの洗浄装置。