JP3016107B2 - 反射型液晶電気光学装置 - Google Patents

反射型液晶電気光学装置

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JP3016107B2
JP3016107B2 JP5017599A JP1759993A JP3016107B2 JP 3016107 B2 JP3016107 B2 JP 3016107B2 JP 5017599 A JP5017599 A JP 5017599A JP 1759993 A JP1759993 A JP 1759993A JP 3016107 B2 JP3016107 B2 JP 3016107B2
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照夫 海老原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、反射型液晶電気光学
装置に係わり、時計、小型携帯機器に使用される特に明
るく美観に優れた色合いを表示するカラーの反射型液晶
電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図2に示すように通常の白黒を表
示する反射型液晶電気光学装置の構成は、対向する2枚
の基板2及び2’上に電極3及び3’を設け、上記基板
間にスペーサ14を介して基板間の空隙に液晶層5を設
け、観測者17に対して液晶素子の後方に反射板15を
設けるものである。更に必要に応じて偏光板1及び1’
を図の様に配置する。通常よく使用される反射板は、視
野角を広くするためにアルミニウム等の金属表面をサン
ドブラスト等にて加工し適当な光拡散性を付与したり、
あるいは反射板の基板表面に凹凸を設けた後にアルミニ
ウム等の金属を蒸着して反射板とする。一方、カラー化
に対しては、反射板15の前方にカラーフィルター16
を設けカラー表示を可能にしている。カラーフイルター
16としては透明樹脂フイルム表面に色素をコーティン
グしたものや、透明樹脂に色素を溶解して製造されたも
のが使用されている。更に、カラーフィルター16を用
いずに、偏光板1及び1’の少なくてもどちらか一方に
カラー偏光板を用いることによってカラー表示を可能に
する方式、あるいは、反射板15の金属表面に色素をコ
ーテイング,もしくは印刷し、着色反射板としてカラー
表示を可能にする方式、あるいは、反射板15の基板表
面に誘電体を数層コーテイングしてダイクロイックミラ
ーとしてカラー表示を可能にしている方式がある。更
に、反射板15の替わりに可視光領域の特定波長で選択
反射性を示すコレスティック液晶セルを用いて、カラー
反射板の機能をもたせた方式も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来多用され
ているカラーフイルターとアルミニウム等の反射板を組
み合わせたカラー表示方式は、カラーフイルターに使用
される色素の透過率とアルミニウム等の金属反射板の反
射率の悪さにより鮮明なカラー表示を不可能にしてい
る。また、誘電体コーティングによるダイクロイックミ
ラーを用いたカラー表示方式は、反射後の直線反射率が
高くて拡散反射率が低いために、表示部と非表示部との
コントラストが低くて表示が識別し難い事、また誘電体
コーティングに真空プロセスが必要となり、製造原価が
高くつく。更に、コレステリック液晶セルをカラー反射
板に用いた方式では、コレステリックピッチの温度変化
に伴う反射波長変化が大きく、また選択反射を示す温度
領域も狭い。また、コレステリック液晶が低分子液晶で
あるために2枚のガラス基板の空隙に注入された構造を
持つ必要があるため、液晶光学素子と反射板までの間隔
が大きくなり、影が生じて視認性を劣化させる。さら
に、構造上安価に製造できない事等の欠点を有し、実用
的で鮮明かつ美観に優れたカラー表示可能な反射型液晶
電気光学装置を得る事が困難であるというという課題が
あった。
【0004】そこで、この発明の目的は、従来のこのよ
うな課題を解決するため、可視光領域に選択反射性を示
すコレテリック液晶ポリマー反射板を設けて、実用的で
鮮明かつ美観に優れたカラー表示可能な反射型液晶電気
光学装置を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は液晶表示素子と可視光域に吸収を持つ光
吸収板との間に可視光領域に選択反射性を示すコレステ
リック液晶ポリマー反射板を設けてなるように構成され
た反射型液晶電気光学装置によって解決される。
【0006】
【作用】上記のように構成された反射型液晶電気表示装
置の動作原理を図5の本発明の原理説明図で説明する。
図中、6は液晶表示素子、9はコレステリック液晶ポリ
マー反射板、10は光吸収板、21は入射白色光、22
は反射光、23は透過光である。
【0007】同図において、液晶表示素子6に入射した
入射白色光21は、表示情報で二次元光変調を受け液晶
表示素子6を透過後コレステリック液晶ポリマー反射板
9に入射する。ここで、コレステリック液晶ポリマー反
射板9は、ポリグルタメートなどのポリペプチドのコレ
ステリック液晶構造のポリマーを特定の温度で加熱後急
冷しコレステリック構造を固定化したものであり、コレ
ステリック液晶構造の性質に基づいて、その螺旋構造の
ピッチP、平均の屈折率n、屈折率の異方性をΔnとす
れば、入射光が螺旋軸に垂直では、中心波長λ0 はλ0
=n・P、波長幅ΔλはΔλ=Δn・Pに対応する波長
帯域の螺旋軸の向きを同じくする右円偏光または左円偏
光の光を選択的に反射する。光吸収板10が黒色板の場
合、コレステリック液晶ポリマー反射板9からの反射光
は、透過光23が黒色板によってほとんど吸収されるた
めに、中心波長λ0 で波長帯域Δλの右円偏光成分また
は、左円偏光成分のみによる着色光となり、ふたたび液
晶表示素子6のほぼ同じ場所を通過して着色した反射光
22となる。光吸収板10が特定の波長の光のみ反射す
る。即ち、特定の色を呈している場合、特定の波長の反
射光24もコレステリック液晶ポリマー反射板9、液晶
表示素子6を通過して出射する。よって、反射光22と
反射光24の合成された光が観測されることになり、光
吸収板10の反射特性を変化させることにより、微妙に
色調を変えることができる。
【0008】このようにして、光吸収板が黒色板の場合
は、コレステリック液晶ポリマー反射板9の螺旋ピッチ
と平均屈折率を適当に変える事により任意のモノカラー
を、屈折率異方性を適当な値にする事によって純度の高
いモノカラーを表示でき、また光吸収板の反射特性を変
えることにより、色調を微妙に変化させることができ
る。
【0009】更に、入射光が螺旋軸方向よりずれて入射
した場合は、入射角度に応じてλ0、Δλは微妙に変化
する。即ち、表示色は視角方向により微妙に変化し、い
わゆるコレステリックカラーを呈する。このコレステリ
ックカラーは、自然界では昆虫の玉虫で見る事が出来る
いわゆる玉虫色の事で、非常に高貴な美しい独特の色合
いを示すものである。
【0010】また、コレステリック液晶ポリマー反射板
9は、コレステリック構造が固定化されていることで温
度変化による螺旋ピッチの変化が生じないために、中心
波長の温度変化がなく、安定したカラー表示が可能であ
る。また、液晶表示素子6が偏光板を持った構成の場
合、液晶表示素子6に入射した入射白色光は液晶表示素
子6から出射すると直線偏光となりコレステリック液晶
ポリマー反射板9での円偏光選択反射効率が低下する。
この改善のために、液晶表示素子6とコレステリック液
晶ポリマー反射板9の間に該コレステリック液晶ポリマ
ー反射板9の選択反射中心波長λ0 で光の位相を90度
変える1/4波長板を挿入して該直線偏光を該コレステ
リック液晶ポリマー反射板9の螺旋軸の回転方向と同じ
回転方向の円偏光にすることによって選択反射中心波長
λ0 で反射率を100%近くまで高める事ができ、鮮明
な視認性の良い表示が出来る。
【0011】また、液晶表示素子6が偏光板を持たない
構成の場合、液晶表示素子6に入射した入射白色光は液
晶表示素子6から出射すると一部無偏光を含む事となり
コレステリック液晶ポリマー反射板9での円偏光選択反
射効率が低下する。この改善のために、コレステリック
液晶ポリマー反射板9の構成を、特定の波長の右円偏光
を反射するコレステリック液晶ポリマーと左円偏光を反
射するコレステリック液晶ポリマーとを両者の光軸を平
行にし積層した構成にする事により、該液晶表示素子6
から出射する一部無偏光を含む光はこの構成のコレステ
リック液晶ポリマー反射板9によって右円偏光成分と左
円偏光成分とに分けて反射し選択反射中心波長λ0 で反
射率を100%近くまで高める事ができ、鮮明な視認性
の良い表示が出来る。
【0012】同様に、液晶表示素子6が偏光板を持たな
い構成の場合、液晶表示素子6に入射した入射白色光は
液晶表示素子6から出射すると一部無偏光を含む事とな
りコレステリック液晶ポリマー反射板9での円偏光選択
反射効率が低下する。この改善のために、コレステリッ
ク液晶ポリマー反射板9の構成を、特定の波長の同じ回
転方向の円偏光を選択的に反射する2枚のコレステリッ
ク液晶ポリマーの間に、該特定波長の光の位相を180
度変換する波長板を挟んで積層してなる構造を有する構
成にする事により、該液晶表示素子6から出射する一部
無偏光を含む光はこの構成のコレステリック液晶ポリマ
ー反射板9によって右円偏光成分と左円偏光成分とに分
けて反射し選択反射中心波長λ0 で反射率を100%近
くまで高める事ができ、鮮明な視認性の良い表示ができ
る。
【0013】また、液晶表示素子6とコレステリック液
晶ポリマー反射板9と光吸収板10の間隔が空気層を介
している構成から、粘着剤または接着剤による積層され
た構造にする事により各界面でのフレネル反射を減少さ
せて、明るく視認性の高い表示を可能にしている。
【0014】
【実施例】以下に、この発明の実施例を図に基づいて説
明する。 (実施例1)図1において、透明基板2及び2’は、平
滑なガラス板を用いたが透明高分子フィルムを使用して
もかまわない。透明基板2及び2’に設ける透明電極3
及び3’は、ITO膜からなる透明導電膜をホトリソグ
ラフイーによって分割形成した。そして、透明電極3及
び3’の上には、たとえば膜厚が数十nmのホリイミド
とかポリビニルアルコールなどを膜付けしラビング方向
が約90度になるように処理して配向膜4及び4’を形
成した後、セルギャップを約6μmにして誘電異方性が
正のネマティック液晶を注入した。偏光板1及び1’は
吸収軸を直交して貼り合わせていわゆる90度ねじれネ
マティック型の液晶表示素子6を制作した。偏光板を使
用する液晶表示素子6としては、90度ねじれネマティ
ック方式以外にもゲスト・ホスト方式、複屈折制御方
式、超ねじれネマティック複屈折方式、強誘電性液晶方
式などの動作モードが使用できる。
【0015】こうして制作した液晶表示素子6の偏光板
1’側の面に、エステル系の光学接着剤あるいはブチル
アクリレート、2エチルヘキシルアクリレートを主体と
したアクリルモノマーとの共重合体からなる粘着剤で接
着層7及び7’をコーテイングした1/4波長板8を貼
り合わせた。貼り合わせる時の光学軸の方向は、入射光
21が液晶表示素子6の偏光板1’から出射される直線
偏光が円偏光へ変換される様に軸合わせを行っている。
1/4波長板8はポリカーボネートフィルムを一軸延伸
した位相差Δndが133nmのものを使用した。接着
層7及び7’は透明な接着剤及び粘着剤であれば使用で
き各界面でのフレネル反射を少なくする働きもある。1
/4波長板8はポリカーボネート以外にもポリスチレン
などの高分子フイルムあるいは水晶薄片、方解石などの
光学結晶でも使用できる。
【0016】更に、光吸収板10の上にコレステリック
液晶ポリマー層反射板9を形成した後、接着剤層7’を
介して積層した。光吸収板10は厚み0.5mmのメタ
アクリル樹脂に可視光領域で吸収を持つように黒色に染
色加工した黒色板を用いた。コレステリック液晶ポリマ
ー反射板9はポリエチレンテレフタレートフイルムの間
にポリグルタメートなどのポリペプチドのコレステリッ
ク液晶構造のポリマーをはさみ、シール後特定温度の加
熱状態から急冷したもので、厚さ約0.1mm、選択反
射中心波長λ0 が530nm、波長帯域Δλが70n
m、最大反射率が48%(無偏光測定条件)のものを使
用した。ここで、黒色板10はメタアクリル樹脂以外の
黒色に染色加工した高分子フイルムまたは基板、金属板
でもよい。また、コレステリック液晶ポリマー反射板9
はライオトロピックコレステリック液晶を光重合性不飽
和モノマーを溶媒としてコレステリック構造を形成し、
後に光重合させて、コレステリック構造を固定化したも
のなども使用できる。また、光吸収板10とコレステリ
ック液晶ポリマー反射板9はプレス加熱による積層一体
化しても良い。
【0017】このようにして制作された反射型液晶電気
光学装置を白色光垂直入射の条件で観察すると図1のA
領域のように、駆動電圧が印加されていない領域では、
入射光21は反射光22として鮮やかな緑色に着色され
て観測された。分光光度計で測定すると図6に示すよう
な反射スペクトルが得られた。一方、駆動電圧が印加さ
れている領域Bでは、入射光21’は反射光22’とし
てほとんど観測できず黒色の表示を呈する。
【0018】次いで、この反射型液晶電気光学装置を腕
時計に実装して観察してみると、鮮明な緑色の地に深い
黒色の表示となり、カラーフィルターでカラー表示した
ものより、明るく視認性も良かった。さらに、見る角度
によって緑の色が微妙に変化し、いわゆる玉虫色の高貴
な美しい独特の色合いを示し、デジタル腕時計の美的あ
るいは芸術的な付加価値を格段に向上させた。また、温
度を−20℃〜90℃の範囲で観察すると緑の表示はほ
とんど変化せず、腕時計の実使用環境条件を満足するも
のであった。
【0019】また、偏光板1と1’を平行ニコル(ノー
マリーブラック)にすると、深い黒色の地に鮮明な緑色
の表示ができたことをつけ加える。 (実施例2)図3において、透明基板2及び2’は、平
滑なガラス板を用いたが透明高分子フィルムを使用して
もかまわない。透明基板2の入射面側には可視光領域で
の表面反射を低減するために反射防止膜11をコーティ
ングした。透明基板2及び2’に設ける透明電極3及び
3’は、ITO膜からなる透明導電膜をホトリソグラフ
イーによって分割形成した。そして、透明電極3及び
3’の上には、たとえば膜厚が数十nmのポリイミド系
の垂直配向剤を膜付けし焼成処理して配向膜4及び4’
を形成した後、セルギャップを約9μmにして誘電異方
性が正のネマティック液晶に黒色のアントラキノン系2
色性色素を2重量%溶解後カイラル剤としてZLI−8
11(メルク社製)を2重量%加熱混合したのち注入
し、いわゆるコレステリック・ネマティック相転移ゲス
ト・ホスト型の液晶表示素子6を制作した。この他にも
偏光板を使用しない液晶表示素子6としては、ネマティ
ック・コレステリック相転移型ゲスト・ホスト方式、高
分子分散型ゲスト・ホスト方式などの動作モードが使用
できる。
【0020】こうして制作した液晶表示素子6の透明基
板2’側の面に、エステル系の光学接着剤あるいはブチ
ルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレートを主体
としたアクリルモノマーとの共重合体からなる粘着剤で
接着層7を介して、光吸収板10の上に透明支持基板1
2及び12’に挟持されたコレステリック液晶ポリマー
を積層した状態で貼り合わせた。接着層7は透明な接着
剤及び粘着剤であれば使用でき、各界面でのフレネル反
射を少なくする働きもある。
【0021】光吸収板10はメタアクリル樹脂に可視光
領域で吸収を持つように黒色に染色加工した黒板板を用
いた。コレステリック液晶ポリマーはポリエチレンテレ
フタレートフイルムの透明支持基板12及び12’間
に、特定の波長の右円偏光を選択反射するポリグルタメ
ートなどのポリペプチドのコレステリック液晶構造のポ
リマーと該特定波長の左円偏光を選択反射するポリグル
タメートなどのポリペプチドのコレステリック液晶構造
のポリマーをはさみシール後特定温度の加熱状態から急
冷したもので、厚さ約0.2mm、選択反射中心波長λ
0 が530nm、波長帯域Δλが70nm、最大反射率
が98%(無偏光測定条件)のものを使用した。ここ
で、光吸収板10はメタアクリル樹脂以外の黒色に染色
加工した高分子フイルムまたは基板、金属板でもよい。
【0022】また、コレステリック液晶ポリマーはライ
オトロピックコレステリック液晶を光重合性不飽和モノ
マーを溶媒としてコレステリック構造を形成し、後に光
重合させて、コレステリック構造を固定化したものなど
も使用できる。また、光吸収板10とコレステリック液
晶ポリマーと透明支持基板12及び12’はプレス加熱
による積層一体化しても良い。
【0023】このようにして制作された反射型液晶電気
光学装置を白色光垂直入射の条件で観察すると図3のA
領域のように、駆動電圧が印加されていない領域では、
入射光21は反射光22としてほとんど観測できず黒色
の表示を呈する。一方、駆動電圧が印加されている領域
Bでは、入射光21’は反射光22’として鮮やかな緑
色に着色されて観測された。
【0024】次いで、この反射型液晶電気光学装置を腕
時計に実装して観察してみると、深い黒色の地に鮮明な
緑色の表示となり、実施例1に比較してより明るい表示
となった。さらに、見る角度によって緑の色が微妙に変
化し、いわゆる玉虫色の高貴な美しい独特の色合いを示
し、デジタル腕時計の美的あるいは芸術的な付加価値を
格段に向上させた。また、温度を−20℃〜90℃の範
囲で観察すると緑の表示はほとんど変化せず、腕時計の
実使用環境条件を満足するものであった。
【0025】また、液晶表示素子6にネマティック・コ
レステリック相転移型ゲスト・ホスト方式(ポジ型)を
用いる事により、鮮明な緑色の地に深い黒色の表示がで
きた。また、上記黒色板を濃赤色の光吸収板に置き換え
ると、正面から観測した時の色調が黄緑色に変化し、深
い黒色の地に黄緑の美しい表示が実現できた。
【0026】(実施例3)図4において、透明基板2及
び2’は、平滑なガラス板を用いたが透明高分子フィル
ムを使用してもかまわない。透明基板2の入射面側には
可視光領域での表面反射を低減するために反射防止膜1
1をコーティングした。透明基板2及び2’に設ける透
明電極3及び3’は、ITO膜からなる透明導電膜をホ
トリソグラフイーによって分割形成した。透明基板2’
上に誘電異方性が正のネマティック液晶材料に黒色のア
ントラキノン系2色性色素を2重量%溶解混合したのち
水溶性ポリマー中で乳化し塗布乾燥した。そして、その
上に透明基板2を乗せてセルにするいわゆる高分子分散
ゲスト・ホスト型の液晶表示素子6を製作した。この他
にも偏光板を使用しない液晶表示素子6としては、ネマ
ティック・コレステリック相転移型ゲスト・ホスト方
式、コレステリック・ネマティック相転移型ゲスト・ホ
スト方式などの動作モードが使用できる。
【0027】こうして制作した液晶表示素子6の透明基
板2’側の面に、エステル系の光学接着剤あるいはブチ
ルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレートを主体
としたアクリルモノマーとの共重合体からなる粘着剤で
接着層7を介して、光吸収板10の上にコレステリック
液晶ポリマーで特定の波長の位相を180度変換する1
/2波長板13を挟んで積層した状態で貼り合わせた。
【0028】接着層7は透明な接着剤及び粘着剤であれ
ば使用でき、各界面でのフレネル反射を少なくする働き
もある。光吸収板10はメタアクリル樹脂に可視光領域
で吸収を持つように黒色に染色加工した黒色板を用い
た。コレステリック液晶ポリマーはポリエチレンテレフ
タレートフイルムの透明支持基板間に、特定の波長の右
円偏光を選択反射するポリグルタメートなどのポリペプ
チドのコレステリック液晶構造のポリマーをはさみ、シ
ール後特定温度の加熱状態から急冷したもので、厚さ約
0.1mm、選択反射中心波長λ0 が530nm、波長
帯域Δλが70nm、最大反射率が48%(無偏光測定
条件)のものを使用した。
【0029】1/2波長板13は延伸高分子フィルム
で、材料としてはポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リスチレンなどを使用し位相差Δndは該コレステリッ
ク液晶ポリマー9及び9’の選択反射中心波長λ0 のほ
ぼ半分の265nmにした。ここで、コレステリック液
晶ポリマーで1/2波長板13を挟んでなる構造での最
大反射率は約92%(無偏光測定条件)であった。
【0030】また、光吸収板10はメタアクリル樹脂以
外の黒色に染色加工した高分子フイルムまたは基板、金
属板でもよい。また、コレステリック液晶ポリマーはラ
イオトロピックコレステリック液晶を光重合性不飽和モ
ノマーを溶媒としてコレステリック構造を形成し、後に
光重合させて、コレステリック構造を固定化したものな
ども使用できる。また、光吸収板10と1/2波長板1
3を挟んだコレステリック液晶ポリマーはプレス加熱に
よる積層一体化しても良い。
【0031】このようにして制作された反射型液晶電気
光学装置を白色光垂直入射の条件で観察すると図4のA
領域のように、駆動電圧が印加されていない領域では、
入射光21は反射光22としてほとんど観測できず黒色
の表示を呈する。一方、駆動電圧が印加されている領域
Bでは、入射光21’は反射光22’として鮮やかな緑
色に着色されて観測された。
【0032】次いで、この反射型液晶電気光学装置を腕
時計に実装して観察してみると、深い黒色の地に鮮明な
緑色の表示となり実施例1に比較してより明るい表示と
なった。さらに、見る角度によって緑の色が微妙に変化
し、いわゆる玉虫色の高貴な美しい独特の色合いを示
し、デジタル腕時計の美的あるいは芸術的な付加価値を
格段に向上させた。また、温度を−20℃〜90℃の範
囲で観察すると緑の表示はほとんど変化せず、腕時計の
実使用環境条件を満足するものであった。
【0033】また、液晶表示素子6にリバースモード高
分子分散型ゲスト・ホスト方式(ポジ型)を用いる事に
より、鮮明な緑色の地に深い黒色の表示ができたことを
つけ加える。
【0034】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように液晶表
示素子と可視光領域に吸収を持つ光吸収板との間に可視
光領域に選択反射性を示すコレステリック液晶ポリマー
反射板を設けてなるような構成としたので、色素型カラ
ーフィルター方式に比較して鮮明でしかも高貴な色合い
のコレステリックカラー表示を可能とし、またダイクロ
ィックミラー方式に比較して安価な製造コストを実現
し、また低分子コレステリック液晶セル方式に比較して
広い温度範囲で表示色変化が小さくしかも影の少ない表
示を実現した。
【0035】また、液晶表示素子とコレステリック液晶
ポリマー反射板との間に特定波長の光の位相を90度変
換する1/4波長板を挟持する構造を有する構成とした
ので、液晶表示素子が偏光板を持つ場合の反射効率を1
/4波長板がない場合に比較して格段に高める事が出来
た。
【0036】また、コレステリック液晶ポリマー反射板
が、特定の波長の右円偏光を反射するコレステリック液
晶ポリマーと左円偏光を反射するコレステリック液晶ポ
リマーとを両者の光軸を平行にして構成したので、液晶
表示素子が偏光板を持たない場合の反射効率を1層の場
合に比較して約2倍に高める事が出来た。
【0037】また、コレステリック液晶ポリマー反射板
が、特定の波長の同じ回転方向の円偏光を選択的に反射
する2枚のコレステリック液晶ポリマーの間に、該特定
波長の光の位相を180度変換する波長板を挟んで積層
してなる構造を有する構成としたので、液晶表示素子が
偏光板を持たない場合の反射効率を1層の場合に比較し
て約2倍に高める事が出来た。
【0038】また、光吸収板を支持体にコレステリック
液晶ポリマーの層を積層してなる構造を有する構成とし
たので、製造上の取扱いが簡単になりしかも全体の厚み
を薄くできた。また、液晶表示素子と光吸収板の間に少
なくとも一つ以上の接着層を設け、液晶光学素子とコレ
ステリック液晶ポリマー反射板さらに光吸収板とが積層
されている構成としたの、各層が空気を介して構成され
るより格段に明るく視認性を良くする事が出来た。
【0039】以上のように、本発明の反射型液晶電気光
学装置は鮮明でしかも美的ポテンシャルに優れた独特の
色合いのカラー表示能力を持つとともに、コスト、耐環
境性にも優れており、時計、その他の携帯機器用ディス
プレーとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の構成断面図を示した説明図
である。
【図2】従来の反射型液晶電気光学装置の一例の構成断
面図を示した説明図である。
【図3】本発明の実施例2の構成断面図を示した説明図
である。
【図4】本発明の実施例3の構成断面図を示した説明図
である。
【図5】本発明の原理説明図である。
【図6】本発明の実施例1の反射型液晶電気光学装置の
色表示特性のスペクトル図である。
【符号の説明】
1 偏光板 1’ 偏光板 2 透明基板 2’ 透明基板 3 透明電極 3’ 透明電極 4 配向膜 4’ 配向膜 5 液晶層 6 液晶表示素子 7 接着層 7’ 接着層 8 1/4波長板 9 コレステリック液晶ポリマー反射板 10 光吸収板 11 反射防止膜 12 透明支持基板 12’ 透明支持基板 13 1/2波長板 14 スペーサ 15 反射板 16 カラーフィルター 17 観測者 21 入射光 21’ 入射光 22 反射光 22’ 反射光 23 透過光 24 反射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−147720(JP,A) 特開 昭56−139506(JP,A) 特開 平1−188831(JP,A) 特開 平3−274022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1335

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示素子と 可視光領域に吸収を持つ光吸収板と、 前記液晶表示素子と前記光吸収板との間に設けられると
    ともに、 可視光領域の特定波長で選択反射性を示すコレ
    ステリック液晶ポリマー反射板と、 前記液晶表示素子と前記コレステリック液晶ポリマー反
    射板の間に設けられるとともに、前記液晶表示素子から
    出射した直線偏光を前記コレステリック液晶ポリマー反
    射板の螺旋軸の回転方向と同じ回転方向の円偏光にする
    変換手段と、 を備えること を特徴とする反射型液晶電気光学装置。
  2. 【請求項2】 前記変換手段は、前記コレステリック液
    晶ポリマー反射板が選択反射性を示す特定波長の光の位
    相を90度変換する1/4波長板であることを特徴とす
    る請求項1に記載の反射型液晶電気光学装置。
  3. 【請求項3】 液晶表示素子と可視光域に吸収を持つ光
    吸収板との間に可視光領域の特定波長で選択反射性を示
    すコレステリック液晶ポリマー反射板を備える反射型液
    晶電気光学装置において、 前記コレステリック液晶ポリマー反射板が、特定の波長
    の右円偏光を反射するコレステリック液晶ポリマーと
    左円偏光を反射するコレステリック液晶ポリマーと
    両者の光軸を平行にして構成されたことを特徴とする
    射型液晶電気光学装置。
  4. 【請求項4】 液晶表示素子と可視光域に吸収を持つ光
    吸収板との間に可視光領域の特定波長で選択反射性を示
    すコレステリック液晶ポリマー反射板を備える反射型液
    晶電気光学装置において、 前記コレステリック液晶ポリマー反射板が、特定の波長
    の同じ回転方向の円偏光を選択的に反射する2枚のコレ
    ステリック液晶ポリマーの間に、該特定波長の光の位相
    を180度変換する波長板を挟んで積層されたことを特
    徴とする反射型液晶電気光学装置。
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