JP3014713B2 - 光導電材料及びその製造方法 - Google Patents

光導電材料及びその製造方法

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JP3014713B2 JP2074971A JP7497190A JP3014713B2 JP 3014713 B2 JP3014713 B2 JP 3014713B2 JP 2074971 A JP2074971 A JP 2074971A JP 7497190 A JP7497190 A JP 7497190A JP 3014713 B2 JP3014713 B2 JP 3014713B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は例えば電子写真方式の複写機や光プリンタな
どにおける光導電体に好適な光導電材料及びその製造方
法に関するものである。
従来の技術 光導電性を持つ有機物質の開発は、電子写真方式の光
導電材料として近年盛んになった。有機光導電材料の中
で多くの知見の得られているものには、ポリヴィニルカ
ルバゾール(以下、PVKと称す)がある。PVKにおける正
孔のキャリア輸送能力は高い(室温の正孔移動度は〜10
-5cm2/Vs)。膜中のキャリアは高分子主鎖に螺旋状につ
ながるカルバゾール環を主鎖に沿ってホッピングするも
のと考えられている。PVK単体の高分子層では可視光全
域に光吸収帯がない。しかし電子受容性の有機物トリニ
トロフルオレノンをPVKに等量添加するとカルバゾール
環とキャリア電荷の授受を行い、キャリア移動錯体を形
成して感度領域が可視域全体に広がる。
現在では光を吸収してキャリアを発生するキャリア発
生層とキャリアを有効に輸送するキャリア輸送層とを積
層した機能分離型の光導電体が主流である。キャリア発
生材料にはSe、As2Se3などの無機材料、あるいはフタロ
シアニン系の有機蒸着層、スクアリュウム塩をバインダ
ー中に分散させた塗布層などが用いられる。一方、キャ
リア輸送材料には前出のPVK単体の他にトリフェニルア
ミン誘導体をバインダー中に分散させた物など多くの有
機材料が開発されている。
本出願人は、キャリア輸送能力の高い材料としてポリ
パラフェニレンスルフィド(以下、PPSと称す)を提案
(特開昭62−164556号公報)した。PPSは耐熱性に優れ
た絶縁材料であるが、酸素中で熱処理することでキャリ
ア輸送能力が大幅に向上すること(第35回応用物理学会
関係連合講演会予稿集31p−A−11)を見いだした。こ
れは膜中に取込まれた酸素分子がPPS分子を弱結ぶ働き
をし、アモルフィス領域に入って結合し結晶領域の結合
を結付けるからであると考えられる。そしてこのような
PPS中ではキャリアの伝達方向は分子鎖に直交し、結晶
領域で高いキャリア移動度を持つものと推測される。
PPSの各分子の長さを重合度5〜7程度に短く揃えた
オリゴ−フェニレンスルフィド(以下、OPSと称す)
は、蒸着法によって配向性と結晶性を著しく向上させる
ことがきる。この膜の光導電性は結晶領域の拡大によっ
て増加し、且つキャリア伝導の方向は分子長軸に直交す
ること(第41回応用物理学会学術講演会予稿集5p−ZH−
15)が分った。従ってキャリア発生官能基をOPS中に組
込んだ分子は配向性、結晶性の良好な膜状態を実現すれ
ば前記官能基の光吸収帯で吸収発生したキャリアをOPS
骨格で伝達させることが可能(特開昭63−274871号公
報)である。
PPS及びOPSはPVK同様に吸収領域が400nm以下の短波長
領域に限られているが、本出願人の上記提案によればこ
れら材料をキャリア輸送層とし、キャリア発生層との積
層で機能分離型の光導電体を構成することで可視域増感
が可能であることを示している。
発明が解決しようとする課題 しかしPPS及びOPSでは、キャリア注入効率の問題が不
可避であった。
又PVKでは、直接側鎖にカルバゾール基に代えて増感
可能な官能基を直接側鎖に導入することが試みられた
が、高い結晶性を得ることが困難であるため、感度向上
が図られなかったとされている。
本発明は上記問題点に鑑み、PVKでは実現しなかった
分子内への官能基組込をPPSやOPSにおいて有効に行うこ
とができる光導電材料を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明の光導電材料は、上記一般式(ロ)で表わされ
る有機高分子を結晶化したものであることを特徴とす
る。
本発明の上記光導電材料の製造方法は、結晶化を熱処
理によって行うことを特徴とする。
作 用 上記構成の光導電材料を中心に、本発明の作用説明を
行う。
本発明の光導電材料はキャリア移動度が高く、キャ
リアが分子鎖間を移り易い。
キャリア移動度が高いことは、その結晶性の高さと分
子鎖間のキャリア伝達の容易さによる。一般式(ロ)に
示された有機分子を含む有機高分子は、この有機分子の
存在する部分において主鎖方向に堅く延びきった形状を
取り易く、結晶性を著しく高める効果がある。このよう
な有機高分子のキャリア輸送のメカニズムは隣接分子の
芳香族間のホッピング伝導と考えられ、キャリアの輸送
方向はPVKにおけるような分子の主鎖方向とは限らず、
むしろ分子鎖間に移る方向が主である。その理由はπ電
子軌道の広がり方向が分子差に直交しており、軌道重な
りが大きいことによる。
本発明の光導電材料は、組込んだキャリア発生官能
基がキャリアトラップとして働かない。
光キャリア発生能力の高い官能記で発生したキャリア
の輸送は分子内を動いて末端より次の分子に渡る経路を
取るより、むしろ直接隣接する次の分子に渡って行く。
これは上述の通りキャリア輸送方向が分子鎖に直交する
ためである。よってPVKにおいて官能基自身がキャリア
走行の道筋に必ず位置したために発生したキャリアトラ
ップの問題は大きく改善される。但し発生キャリア数を
増加させるのに官能基の含有率を高めるとやはりキャリ
アトラップの問題が発生する。この含有率は一般式
(ロ)の重合度nで制御することができる。
尚、量子効率の高いキャリア発生材料としては、アン
トラセン、ナフタレン、ピレン、ペリレン、ナフタセ
ン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、クリ
セン、トリフェニレン、フェナントレンなどの縮合多環
炭化水素、アントラキノン、ジベンゾピレンキノン、ア
ントアントロン、イソビオラントロン、ピラントロンな
どの縮合多環キノン、無金属フタロシアニン、銅、鉛、
ニッケル、アルミニウムなどの金属を含む金属フタロシ
アニン、インジゴ、チオインジゴなどの色素があり、こ
れらは可視域及びその近傍に光吸収、キャリア発生領域
を夫々持つ。又結晶化と共に隣接分子との軌道重なりが
大きくなって吸収領域が長波長化するものに、縮合型高
分子の中のアミド結合、イミド結合、エステル結合、エ
ーテル結合、チオエステル結合を持つものがある。これ
らの縮合型高分子の分子鎖間間隔は4〜6Åであり、PV
Kのカルバゾール環の間隔に近い。
本発明の光導電材料は結晶性が高く、キャリア輸送
能力が高い。
結晶性は上記重合度の変化で異なり、その最適値は以
下のようにして決定される。重合度が上がると分子の剛
直性が増して結晶領域が広がり易く、分子間のキャリア
伝導が良好になると共にキャリアトラップ密度は低くな
る。逆に重合度を下げると相対的に官能基の含有率が上
がりキャリア発生の量子効率が増加する。又結晶性とキ
ャリア移動度の関係は密接であり、結晶化度の増加によ
ってキャリア移動度は増加する。結晶化が進んで各原子
のパッキングが向上した時点で、その隣接原子間距離に
よってキャリアのバルク中での移動の容易さが決まる。
尚、本発明の有機高分子はその結晶性を著しく高める
ことが容易にできるので、上記光導電材料を製造する場
合、本発明の有機高分子を熱処理することが他の結晶性
高分子以上に有効に働く。即ち一般式(ロ)中のXとY
とが直結した構造部分で結晶化が進み、この部分を核と
して高分子全体の結晶性を著しく高めることができる。
有効に結晶厚を増加させるには融点近傍における加熱が
最も結晶化を進める条件であるが、高分子の融点は結晶
化の促進と共に増加する。よってこの高温シフトに併せ
て処理温度を増加(ガラス転移点以上で融点以下が望ま
しい)させることにより、結晶化を効率良く進めること
ができる。
本発明の光導電材料は、組込まれたキャリア発生官
能基が隣接分子との相互作用により低エネルギーの吸収
帯を形成し、光吸収波長域を拡大する。
本発明の光導電材料においては、結晶性と光学的吸収
特性とが密接に関連する。結晶性の向上により高分子の
電子軌道の隣接分子間との重なりが増加する。このとき
光学的吸収帯は低エネルギにシフトする。よって光学的
禁止帯幅が小さくなり、光導電性は向上する。一方、光
学的禁止帯幅の低下は膜中の熱キャリア濃度の増加をも
たらし、体積抵抗の低下となる。電子写真光導電体への
応用を考えた場合、帯電特性を満たす電気抵抗が必要と
なるので光学的禁止帯幅に下限がある。本発明の有機高
分子は結晶性の向上に伴って隣接分子間の電子軌道の重
なりが増加することは述べた。このとき暗時電気伝導率
はキャリア濃度の増加とキャリア移動度の増加で大きく
なる。よって暗時電気伝導率の増加によって光導電率は
向上する。電子写真光導電体への応用の場合、上記理由
により上限がある。
ここで、本発明の光導電材料を機能分離型光導電体と
して用いた場合の補足説明をする。
機能分離型光導電体の材料設計において、キャリア発
生層とキャリア輸送層との間でのキャリア注入効率は最
も重要な要素である。キャリア輸送層は高い移動度を有
する高分子層又は有機物の分散層で構成される。一般に
キャリア輸送層は可視光波長域に光吸収体を持たない。
一方、キャリア発生層では可視光を吸収してキャリアを
発生する。よってキャリア発生層で発生したキャリア
は、キャリア発生層のエネルギ禁止帯幅よりも広いエネ
ルギ禁止帯幅を有するキャリア輸送層に注入される必要
がある。界面におけるエネルギ障壁を越えてキャリアを
注入するには、外部電界が有効に界面に存在することが
必要である。無機物のキャリア発生材料は比誘電率が高
く、界面において電界が有効にかからない。一方、有機
色材を分散させる有機の従来のキャリア発生層は電気伝
導率は高いものの電界が界面にかかりにくい。これに対
して本発明の光導電材料は比誘電率が小さく、電気伝導
率が高い。よってこれをキャリア発生層に用いることに
より、界面に電界がかかり易くなり、キャリアを注入し
易い構造となる。従って本発明の光導電材料をキャリア
発生層に用いることにより、キャリア輸送能力は高いが
キャリアが有効に注入されにくく残留電位が高くなると
いう欠点を生じていた従来のキャリア輸送材料をより有
効に使用することができる。
実施例 以下、本発明の実施例を、第1図ないし第17図に基き
説明する。
(イ) −ZX−Y 上記一般式(イ)の構造(n≧2、X:O、S、Se、Te
のいずれか)を有する有機分子と他の有機分子との交互
共重合体である有機高分子において、Y及びZ(芳香族
又は置換芳香族の基)には以下のものが例として挙げら
れる。ベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、
ペリレン、ナフタセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフ
ェナントレン、クリセン、トリフェニレン、フェナント
レンなどの縮合多環炭化水素及びその置換誘導体、アン
トラキノン、ジベンゾピレンキノン、アントアントロ
ン、イソビオラントロン、ピラントロンなどの縮合多環
キノン及びその置換誘導体、無金属フタロシアニン、
銅、鉛、ニッケル、アルミニウムなどの金属を含む金属
フタロシアニン、インジゴ、チオインジゴなど及びこれ
らの誘導体である。又そのような有機高分子の例として
はポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポ
リエステルイミド、ポリエーテルアミドなどが挙げられ
る。これらはポリエステルを除いて耐熱性に優れている
ので、光導電材料などに用いる場合に好適である。尚、
一般式(イ)で表される有機分子は有機高分子の主鎖に
あっても側鎖にあってもよい。
以下に示す(A1)〜(A12)は、有機高分子がポリイ
ミドの場合の具体例である。(A1)〜(A6)はポリイミ
ドの酸成分がピロメリット酸であり、一般式(イ)にお
いて、(A1)XがSでありY及びZがベンゼン環である
もの、(A2)XがSeでありY及びZがベンゼン環である
もの、(A3)XがSでありY及びZがナフタレン環であ
るもの、(A4)XがSでありY及びZがアントラセン環
であるもの、(A5)XがSでありY及びZがペリレン環
であるもの、(A12)XがSでありY及びZが2,5−ジク
ロロベンゼンであるものである。
である。
(A7)〜(A12)は(A1)でn=2に固定し、ポリイ
ミドの酸成分として、(A7)3,3′,4,4′−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、(A8)3,3′,4,4′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、(A9)1,1′,5,
5′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、(A10)ナ
フタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、(A1
1)ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、
(A12)ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水
物である。
これらのポリイミドの製造方法の代表例は酸成分であ
る各種テトラカルボン酸二無水物と一般式(イ)で表さ
れる有機分子の末端がアミンであるジアミン化合物とを
有機極性溶媒中で反応させる方法である。反応は開環重
付加によりポリアミド酸とし、引続いて脱水閉環させて
ポリイミドとする。ここで脱水閉環は、再沈法、化学的
閉環法、溶液熱閉環法のいずれであってもよい。
以下に示すBは、有機高分子がポリアミドイミドの場
合の例である。一般式(イ)においてYがSでありY及
びZがベンゼン環である場合を例とした。他に上記Aで
挙げた組合せがすべて可能である。製造方法には一般式
(イ)の有機分子の両末端がアミンであるジアミンと無
水ピロメリット酸モノクロリドとを反応させる酸クロリ
ド法、ジアミンからの誘導体であるジアソシアネートと
無水トリメリット酸(TMA)とを反応させるイソシアネ
ート法、ジアミンとTMAとの直接重合法などがある。こ
の他にイミドジカルボン酸法、ブロック化イソシアネー
ト法、脱フェノール法、脱酢酸法のいずれであってもよ
い。
以下に示すCは、有機高分子がポリアミドの例であ
る。上記B同様、一般式(イ)においてXがSでありY
及びZがベンゼン環である場合を例とした。製造方法は
各種ジアミンとイソフタル酸ジクロリドとの低温溶液重
合反応や、界面重縮合反応とテレフタル酸ジクロリドと
の低温溶液重合反応などがある。
本実施例の有機高分子を結晶化させるための加熱処理
はその融点以下で行う。加熱雰囲気は酸素、窒素、アル
ゴンなどいずれの気体であってもよい。又減圧下であっ
てもよい。加熱時間は加熱温度での結晶化速度に依存す
るが、有機高分子がポリイミド、ポリアミドイミド、ポ
リアミド、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエ
ーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルアミ
ドである場合は0.25〜30時間の範囲内である。
上記有機高分子を結晶化させて得られる本実施例の光
導電材料について説明する。
第1図に示す本実施例の光導電体は、支持体1上に本
実施例の光導電材料を含有する光導電層2からなり、こ
の光導電層2は自由表面13を有する。第2図に示す本実
施例の光導電体は、支持体11上に本実施例の光導電材料
を含有する光導電層12とその他の層13(例えば、絶縁
層、キャリア輸送層)とによって構成され、一方で自由
表面14を有する。2つの層12、13は順序が逆転しても良
い。ところで第2図に示す構成は従来の機能分離型光導
電体と同じであるが、本実施例の光導電材料はこの構成
においても良好な特性をもたらす。
光導電層の膜厚は1〜50μm、望ましくは5〜30μm
である。耐刷性の良好な電子写真様光導電材料としては
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエー
テルイミドが望ましい。そのビッカース硬度は10以上望
ましくは30以上である。結晶性の良好な膜ほど光キャリ
ア発生効率が高く、又キャリア輸送能力も高い。結晶性
をX線回折強度曲線でみた場合、その隣接高分子の面間
隔が3〜10Åに特徴的な回折散乱ピークのあるものが望
ましい。更にその結晶性を各散乱ピークの半値幅で評価
した場合、5度以下望ましくは2度以下である。このと
き以下のShererの式より評価した結晶厚dでは10Å以
上、望ましくは25Å以上である。
d=0.9×λ/△θ cosθ (λ:X線波長、△θ:散乱ピークの半値幅、θ:散乱ピ
ークの回折角) 結晶化度を、X線回折強度曲線での結晶領域の散乱寄
与の全散乱に対する寄与の割合で表す評価と、密度によ
る評価において4%以上望ましくは30%以上である。
有機高分子がポリイミド、ポリアミドイミドの場合、
その赤外吸収スペクトルでみたイミド環カルボニル基の
伸縮振動に由来する吸収波数(〜1725cm-1、〜1720c
m-1)のベンゼン環の振動に由来する吸収波数(〜1500c
m-1)に対する吸収係数比率で定義されるイミド化率
は、ポリイミドの場合50%以上望ましくは80%以上、ポ
リアミドイミドの場合60%以上望ましくは85%以上であ
る。
本実施例の光導電材料の光学的吸収係数が103cm-1
なる波長から定義される光学的禁止帯幅は1.5〜3.5eV望
ましくは1.5〜2.5eVである。又キャリア移動度の増加に
伴って暗時電気伝導度が増加するが、光導電材料として
その値は10-12Ω-3cm-1以上が望ましい。電子写真光導
電体として本実施例の有機高分子をキャリアの発生及び
輸送を兼ねて使用する場合は、電荷を保持する条件によ
りその暗時電気伝導率は10-12Ω-1cm-1以上10-8Ω-1cm
-1以下が望ましい。一方、光導電率により評価される特
性としてημτ(η:量子効率、μ:キャリア移動度、
τ:キャリア寿命)は10-9cm2/V以上望ましくは10-8cm2
/V以上である。
添加する電荷受容体としては、I2、Br2、Cl2、ICl、I
Br、(NO2)BF4、(NO2)PF6、(NO2)SbF6、HClO4、H2
SO4、HNO3、HSO4-、AgClO4、Fe(ClO4)、BF3、FeCl3
FeBr3、AlCl3、InCl3、InI3、ZrCl4、HfCl4、TeCl4、Te
Br4、TeI4、SnCl4、SnI4、SeCl4、TiCl4、TiI4、FeC
l4-、AlCl4-、AsF5、SbF5、NbCl5、NbF5、TaCl5、Ta
I5、MoCl5、ReF6、IrCl6、InF6、UF6、OsF6、XeF6、TeF
6、SF6、SeF6、WF6、WCl6、ReF7などがある。又有機系
の電荷受容体として、TCNQ、TONE、DDQなどもある。
本実施例の光導電体において、支持体と光導電層との
間に支持体から光導電層に注入されようとするキャリア
を効果的に阻止するため障壁層を設けてもよい。障壁層
を形成する材料としては例えば、Al2O3、BaO、BaO2、Be
O、Bi2O3、CaO、CeO2、Ce2O3、La2O3、Dy2O3、Lu2O3、C
r2O3、CuO、Cu2O、FeO、PbO、MgO、SrO、Ta2O3、ThO2
ZrO2、HfO2、TiO2、TiO、SiO2、GeO2、SiO、GeOなどの
金属酸化物、又はTiN、AlN、SnN、NbN、TaN、GaNなどの
金属窒化物、又はWC、SnC、TiCなどの金属炭化物、又は
SiC、SiN、GeC、GeN、BC、BNなどの絶縁物、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリルなどの耐
熱性を有する有機化合物が使用される。
更に光導電材層の自由表面上に表面被覆層を形成して
もよい。例えば表面被覆層として好適な材料としては、
SiXO1-X、SiXC1-X、SiXN1-X、GeXO1-X、GeXC1-X、GeXN
1-X、BXN1-X、BXC1-X、AlXN1-X(0<X<1)、カーボ
ン及びこれらに水素あるいはハロゲンを含有する層など
の無機物などが挙げられる。
光導電体が2層以上よりなり、本実施例の光導電性材
料を含有しない層が有機半導体である場合、その層には
(イ)無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料
(以下、Pcと称する)を有するXPc(X=Cu、Ni、Co、T
iO、Mg、Si(OH)など)、AlClPcCl、TiOClPcCl、InC
lPcCl、InClPc、InBrPcBr、(ロ)モノアゾ色素、ジス
アゾ色素などのアゾ系色素、(ハ)ペニレン酸無水物及
びペニレン酸イミドなどのペニレン系顔料、(ニ)イン
ジゴイド染料、(ホ)キナクリドン顔料、(ヘ)アント
ラキノン類、ピレンキノン類などの多環キノン類、
(ト)シアニン色素、(チ)キサンテン染料、(リ)ポ
リヴィニルカルバゾール(PVK)/有機物トリニトロフ
ルオレノン(TNF)などの電荷移動錯体、(ヌ)ビリリ
ウム塩染料とポリカーボネート樹脂から形成される共晶
錯体、(ル)アズレニウム塩化合物などがある。無機物
としては例えばカルコゲン元素を成分とするSe、SeAs、
As2Se3、CbS、あるいはシリコン、ゲルマニウム、カー
ボンの少なくともいずれか一つを主成分とし、局在準位
密度を減少させる修飾物(例えば水素、ハロゲン元素)
を含有する非晶質材料がある。
実施例1 一般式(イ)の有機分子を持つ縮合型高分子の例とし
てポリイミドを用い、その光導電性を電子写真方式の感
度特性として評価した。
ポリイミドを合成するのにカルボン酸無水物として、
無水ピロメリット酸(以下、PMDA−Arと称す)、3,3′,
4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以
下、BPDA−Arと称す)の2種類、及びジアミン化合物で
ある6種類の異なった重合度(n=1、2、3、4、
5、6)のパラ−フェニレンスルフィドジアミン(PSD
A)を使用した。
PSDAの合成は次に示す方法で行った。
重合度2 溶媒ジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す)40cc
中にp−ジブロモベンゼン3.54g(0.015mol)とp−ア
ミノチオフェノール4.5g(0.036mol)、炭酸カリウム4.
9g(0.036mol)とを投入し、〜150℃でおよそ6時間リ
フラックスする。この溶液を純水180ccに注ぎ込み白色
沈澱物を得る。沈澱物をエタノールに溶かし込み、再結
晶させて無色針状結晶を得る。
重合度3、4 ジフェニルスルフィド及び1,4−ビス(フェニルチ
オ)ベンゼンの臭素化を行う。ジフェニルスルフィド2
9.4g(0.1mol)、N−ブロモコハク酸イミド35.6g(0.2
mol)をDMF100ccに装入する。およそ5時間の攪拌後、D
MFより白色結晶を得る。この結晶を濾過して回収した
後、純水で十分に洗浄する。尚、1,4−ビス(フェニル
チオ)ベンゼンの臭素化も同様に行うことができる。次
に、再結晶を行わず次の工程に入る。これらの臭素化物
とチオフェニルアミンとの重合反応はと同様に行う。
即ちジブロモフェニルスルフィド5.18g(0.015mol)と
p−アミノチオフェノール4.5g(0.036mol)、炭酸カリ
ウム4.9g(0.036mol)とを投入し、〜150℃でおよそ6
時間リフラックスする。以下同様に再結晶化させて重合
度3のジアミン結晶を得る。1,4−ビス(p−ブロモフ
ェニルチオ)ベンゼンの場合も全く同様に行うことがで
きる。
重合度5、6 重合度3、4の塩化物を得た後、チオフェニルアミン
との重合反応によって、重合度5、6のシアミンを得
る。重合度3、4の塩化物はそれぞれジブロモフェニル
スルフィド、1,4−ビス(p−ブロモフェニルチオ)ベ
ンゼンと4−クロロチオフェノールの重合反応によって
得る。各々の臭素化物0.015molに4−クロロチオフェノ
ール0.036mol、炭酸カリウム0.036molを投入し、〜150
℃でおよそ6時間リフラックスする。得られた沈澱物
は、再びDMF溶媒に溶かし再結晶物を得る。チオフェニ
ルアミン2.5g(20mmol)をN−メチルピロリドン50cc、
水素化ナトリウム0.6g中に徐々に投下し、チオフェニル
アミンのナトリウム塩を作る。投下中、水素が激しく発
生し、反応終了時点で止まる。この溶液中に重合度3の
塩化物4.8g(10mmol)投入し、160〜180℃で8時間加熱
攪拌する。純水450ccに溶液を投下し再沈澱物を得た
後、DMFによって重合度5のジアミン再結晶物を得る。
重合度6のジアミンも同様の反応で得られる。
ポリイミドの成膜にあたって、前駆体のポリアミド酸
を合成する。カルボン酸無水物10mmolとジアミン10mmol
とをジメチルアセトアミド溶媒(以下、DMAcと称す)30
ccに投入し1時間攪拌する。このポリアミド酸よりディ
プ法で金属基板(アルミニウム)上に8〜20μmの膜を
塗布する。およそ120℃で30分乾燥させてDMAc溶媒を除
去した後、イミド化反応を200℃以上の加熱条件で行
う。このような加熱処理を施すことは、同時に結晶化を
促進する意味も持つ。
一般に結晶性高分子の結晶化はその結晶化温度(ガラ
ス転移点)と融点との間の温度領域における加熱処理で
進む。特に融点より若干低い温度での加熱は高分子単結
晶の厚さを増加させる。一方、高分子の融点は結晶の厚
化と共に増加するので更に厚化を促進させるのには、加
熱処理温度を高温にシフトさせることが有効となる。
カルボン酸無水物として無水ピロメリット酸(PMDA−
Ar)及び3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸二無水物(BPDA−Ar)を用いた場合の熱処理温度と光
導電性との相関について説明する。光導電性の評価は電
子写真光導電体で用いられる半減露光量(E1/2(lx・
s))で示す。これは川口電機社製の帯電露光試験機を
用い、初期帯電電位を600Vとし、この表面電位を半分に
するのに必要な白色ハロゲン光の露光量で表現したもの
である。各ポリイミドの熱処理は一定温度で1〜4時間
保持した後室温に急冷させた。
第1表に各ポリイミド膜の融点(℃)を、その近傍の
最適温度での4時間熱処理後の感度E1/2(lx・s)を
第2表に夫々示す。
感度変化の例として、第3図に重合度2及び3の無水
ピロメリット酸(PMDA)、第4図に重合度2〜4の3,
3′4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
(BPDA)の各結果を示す。夫々のポリイミド膜の融点近
傍での熱処理で著しく感度の向上がみられる。その他の
ポリイミド膜も同様に夫々の融点近傍の熱処理によって
感度が向上する。融点以上の熱処理の後に室温まで急冷
すると、ポリイミド膜がアモルファス化し感度は悪化す
る。
各ポリイミド膜は融点近傍付近の熱処理で結晶化が進
む。その結晶性を第5図及び第6図に示すX線回折強度
曲線を用いて説明する。PMDA(n=2、4)のX線回折
強度曲線を第5図に、BPDA(n=2、4)のX線回折強
度曲線を第6図に夫々示す。回折面間隔〜4.0Å(2θ
〜22゜)、〜4.8Å(2θ〜18.6゜)に夫々ピークがあ
り、回折線の半値幅も4〜0.3度と結晶性の良いことを
示している。このような結晶性の向上により感度も良好
となる。各ポリイミド膜の夫々のピークに対応する半値
幅を第3表、第4表に示す。
X線回折強度曲線での結晶領域の散乱寄与の全散乱に
対する寄与の割合で表す結晶化度の変化を各ポリイミド
膜の熱処理温度で見た場合、PMDA、BPDA何れの場合もE
1/2≧50lx・sの低感度領域ではほぼ非晶領域である。
各ポリイミドの融点近傍での熱処理後の結晶化度を第5
表に示す。
各ポリイミド膜は結晶化の向上と共に暗時電気伝導率
の増加、光学的禁止帯幅の減少をもたらす。第7図にPM
DA−Ar(重合度n:2〜6)の、第8図にBPDA−Ar(重合
度n:2 〜6)の各熱処理温度での暗時電気伝導率の変化を夫々
示す。いずれのポリイミド膜も10-12Ω-1cm-1以上とな
るとき感度の著しい増加がみられる。第9図にPMDA−Ar
(重合度n:2〜6)の、第10図にBPDA−Ar(重合度n:2〜
6)の各熱処理温度での光学的禁止帯幅の変化を夫々示
すように、結晶化と共に減少している。PMDA、BPDAいず
れもフェニル基の数が奇数列のジアミン(重合度nは偶
数)の場合は1.6〜2.5eV、偶数列のジアミン(重合度n
は奇数)の場合は2.2〜3.5eVとなる傾向にある。白色光
の露光に対する感度の点で奇数列ジアミンの方が半減露
光量としては感度が勝る。各波長の露光に対する感度
(半減露光量の逆数:1/E1/2(μJ/cm2))を表したのが
第11図(重合度2及び3のPMDA)、及び第12図(重合度
2〜4のBPDA)である。BPDA−2の場合560nmまでの波
長領域で1.0μJ/cm2以下と良好な感度を持つ。
実施例2 熱処理方法の違いによる結晶化の程度と光導電性との
相関を調べた。用いた結晶性高分子は実施例1中のBPDA
−2である。実施例1に述べた方法でポリアミド酸溶液
を作り、基板上に溶液を塗布、乾燥させた。この高分子
の融点である300℃近傍の一定温度の熱処理で光導電性
を著しく向上させることができる。この温度は結晶化の
最適温度である。
本実施例では設定温度の異なる複数回の熱処理工程を
導入する。各工程の加熱温度は、結晶化の促進と共に増
加する融点に併せて増加させる。熱処理工程が3回の例
を、第13図の加熱温度変化で示す。第1工程では融点31
0℃であったが、第2工程では325℃になり、第3工程で
は340℃に増加してそれ以降は飽和する。各工程の処理
時間は2時間一定とした。このときの感度増加の変化
を、第14図に示す。夫々の工程後の膜特性を実施例1同
様に電子写真特性として白色光に対する半減露光量E
1/2(lx・s)で評価した。その結果、感度は4.0、2.
0、1.5lx・sと増加した。又結晶化もX線回折強度曲線
の回折面間隔〜4.8Åの回折線の半値幅で0.5、0.35、0.
3度と減少し、結晶性も向上している。第3工程後の膜
で結晶厚は〜250Åである。
次に、室温までの冷却工程における徐冷の効果を検討
した。即ち各工程では最適温度は融点近傍であるので、
結晶化をより進ませるのに一度融点以下のある一定温度
までゆっくり冷却した後、室温に急冷した。第1、第
2、第3工程の夫々の後に、第15図に示すような徐冷を
行った。冷却温度幅を50℃一定とし、徐冷速度を10℃/m
in、5℃/min、1℃/min、0.5℃/minとした。第6表に
各工程における冷却速度に対する感度増加の変化を示
す。
各工程とも冷却速度が1℃/min以下の場合、感度は第
1工程で4から3.5lx・s、第2工程で2から1.7lx・
s、第3工程で1.5から1.2lx・sとなった。
以上の加熱と冷却の熱処理効果を併せて検討した。加
熱は310℃から340℃までを一定昇温速度としその後340
℃から290℃までを1℃/minの冷却速度で下げてから室
温に急冷した。昇温速度は0.5、0.25、0.1℃/minとし
た。その結果、感度は10、1.2、1.2lx・sとなった。昇
温速度は0.25℃/min以下が好ましいことを示す。0.5℃/
minの速度は結晶化が進行することによる融点増加速度
に比べ昇温速度が優り、昇温工程中で融点以上の加熱処
理となったためである。
実施例3 カルボン酸無水物として3,3′,4,4′−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物(以下、BiP1と称す)、1,1′,
5,5′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、B
iP2と称す)、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸
二無水物(以下、NDA1と称す)、ナフタレン−2,3,6,7
−テトラカルボン酸二無水物(以下、NDA2と称す)、ペ
リレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物(以下、
PEDAと称す)を用いて実施例1同様に重合度nの異なる
4種類のジアミン(n=1〜4)とのポリイミド膜を成
膜して光導電性を調べた。実施例1に対して本実施例に
おけるカルボン酸無水物は縮合多環系の発達した基を持
ち、長波長領域での感度増加が期待される。
実施例1とほぼ同じ方法でポリイミド酸を合成した
後、基板上に塗布、乾燥させて膜厚10〜20μmの膜を得
る。重合度1では全ての組合せで結晶性ポリイミドを得
ることができなっかった。それ以外の全ての組合せで融
点近傍での熱処理による結晶化を行った。第7表に夫々
の融点(℃)を、第8表に夫々の結晶化ポリイミド膜の
感度特性(E1/2(lx・s))を示す。
実施例4 実施例1で用いた重合度の大きいジアミン中に縮合多
環系の官能基を組込み、このジアミン誘導体とPMDAとの
ポリイミドを合成し、その光導電性を評価した。組込ん
だ官能基はアントラセンとペリレンである。前者を使っ
たポリイミドの構造は(A4)であり、後者は(A5)であ
る。先ず、官能基が組込まれたジアミン誘導体の合成方
法を示す。
アントラセンの組込 溶媒NMP40cc中にアミノチオフェノール4.5g(0.036mo
l)と水素化ナトリウム1.1gを投入する。激しく水素が
発生する。水素の発生が終了した後、9,10−ジクロロア
ントラセン3.7g(0.015mol)投入し、110〜120℃でおよ
そ3時間攪拌する。溶液を純水350cc中に投入し、黄色
沈澱物を得る。濾過後、1,2−ジクロロエタン、エタノ
ール混合溶媒より黄色針状結晶を得る。このジアミンは
重合度3に相当する(9,10−ビス(p−チオフェニルア
ミン)アントラセン(以下、ANDA1と称す)。重合度5
に相当するジアミンは以下に示す。アミノチオフェノー
ルに変えてp−クロロチオフェノールを使いANDA1と全
く同様に反応させて9,10−ビス(p−クロロチオフェニ
ル)アントラセンを合成する。この後この二塩化物を9,
10−ジクロロアントセンに変えて同様の合成経路で目的
物を得る(以下、ANDA2と称す)。
ペリレンの組込 アントラセンの組込と同様の合成経路で行った。重合
度3に相当するペリレンを組込んだジアミン誘導体(以
下、PEDA1と称す)は3,9−ジクロロペリレンより、重合
度5に相当するジアミン誘導体(以下、PEDA2と称す)
は3,9−ビス(p−クロロチオフェニル)ペリレンより
合成する。
以上の4種類のジアミン誘導体とPMDAとによりポリア
ミド酸を夫々合成しガラス基板面上に塗布した後、イミ
ド化させた。実施例1同様にこれらのポリイミド膜の融
点を調べ、結晶化させて光導電性の評価を行った。第9
表に融点を示し、第16図に分光感度曲線を示す。分光感
度は試料表面に金属極で櫛形平行電極を構成し、光量一
定(50μW/cm2)を単色光を露光しての光導電率であ
る。比較の実施例1のPMDA−2、4を示す。
実施例5 カルボン酸無水物としてフタロシアニン骨格を有する
水溶性の化合物を用いてポリイミド膜を成膜した。フタ
ロシアニンカルボン酸無水物誘導体の合成は白井などの
方法(「マクロモレキュール・ケミストリ」178巻1889
頁1977年、180巻2073頁1979年)で行った。金属フタロ
シアニンとして銅フタロシアニン誘導体を使いジアミン
には重合度3〜7まで用いた。ポリイミド膜の成膜は前
出論文に従って行った。イミド化及び結晶化は前例同様
ポリイミド膜の融点を調べることによって最適処理温度
を定めた。最も感度の高い組合せは重合度5であり、膜
厚15μmの分光感度特性を電子写真特性で評価した結
果、400〜900nmの広い波長領域で0.5μJ/cm2以下の高感
度を有するものを得た。
実施例6 実施例1中の結晶性高分子BPDA−2と他の材料との組
合せで2層構造を持つ光導電体を作った。基板面上に実
施例1同様にBPDA−2の層を膜厚15μm塗布し結晶化さ
せる。この膜上に4種類の層を設けた。無金属フタロシ
アニン、銅フタロシアニン、SeTe、As2Se3の蒸着層であ
る。夫々の層を真空蒸着法によって膜厚0.1〜2.0μmの
範囲で積層した。電子写真特性を調べた結果、各々半減
露光量は3.5、2.4、3.7、1.8lx・sと良好な感度を得
た。
実施例7 本実施例の有機高分子を他の有機高分子中に分散させ
ることを検討した。光導電性高分子に実施例1のPMDA−
6及びBPDA−6を用いた。これらは暗時電気伝導率が10
-9Ω-1cm-1以上で電子写真光導電用には帯電特性が悪く
不向きである。よってこれらを高抵抗膜であるポリイミ
ド膜に分散させた。実施例1同様に上記高分子のアミド
酸を作り、更にエタノール溶媒中に展開し沈澱物を得
る。これを加熱縮重合させてイミド化する。次いでこの
粉末を細かく粉砕し、PMDA−1の前駆体であるポリアミ
ド酸中に混合する。重量濃度は50%とした。この溶液を
金属基板上に塗布、乾燥した後、〜200度のPMDA−6、B
PDA−6の結晶化温度でPMDA−1をイミド化する。〜10
μm膜厚で表面電位〜700Vと良好な帯電特性を得た。白
色光に対する感度E1/2も〜4lx・sと良好な結果を得
た。
実施例8 電子受容体を添加することを試みた。電子受容体とし
てはTCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)、Br2
の2種類である。基板面上に実施例1同様にBPDA−2の
層を膜厚15μm塗布し結晶化させる。この後夫々の電子
受容体を直接、膜面に気体状態でさらし拡散させる気相
ドープ法とした。各々基板温度を250℃一定としてドー
プした。電子写真感度は夫々3.7、3.5lux・secと良好で
あった。
実施例9 本発明の有機高分子を結晶化させるための昇温条件を
第17図に示す。実施例2で得たBPDA−2の最適処理方法
に応じて、310℃から340℃までを一定昇温速度0.25℃/m
inとし、その後340℃から290℃までを1℃/minの冷却速
度で冷却する。本実施例に用いた複数の加熱室を有する
加熱装置内を第17図に示す温度勾配とし、BPDA−2を塗
布した円筒基板を連続的に処理した。電子写真方式の複
写機に登載した結果、良好な画像が得られた。
実施例10 結晶性を有する縮合型高分子としてポリエステルを合
成した。合成に用いた原料は重合度2のオリゴマーフェ
ニレンスルフィドのジオール化合物とフタル酸である。
これらから重縮合によって合成されたポリエステルの
ガラス繊維は高い結晶性を持ち、強靱な繊維を得ること
ができた。
なお上記有機高分子の高い結晶性を利用できるものと
して、液晶装置における配向膜、焦電型赤外吸収膜、シ
リコン半導体素子における絶縁膜、金属−絶縁体−金属
構造を有するスイッチング素子における絶縁体層、太陽
電池やイメージセンサなどにおける光導電層などがあ
る。
発明の効果 以上のように本発明によれば、一般式(ロ)で表わさ
れる有機高分子は結晶化が容易であり、その高分子骨格
に光キャリアを発生する官能基を組込むことによって感
度波長領域の設計が可能な結晶性の高い優れた光導電材
料を得ることができる。組込む官能基として耐熱性を併
せ持つイミド基、アミド基などを用いれば、分子パッキ
ングの良い光導電材料を得ることができる。このような
材料は電子写真光導電材料に適用した場合、耐刷性の大
幅な向上をもたらす。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における光導電体の概略縦断面
図、第2図は本実施例における他の光導電体の概略縦断
面図、第3図は実施例1の光導電材料の熱処理温度に対
する電子写真特性図、第4図は実施例1の他の光導電材
料の熱処理温度に対する電子写真特性図、第5図は実施
例1の光導電材料のX線回折強度曲線図、第6図は実施
例1の他の光導電材料のX線回折強度曲線図、第7図は
実施例1の光導電材料の熱処理温度に対する暗時電気伝
導率の変化図、第8図は実施例1の他の光導電材料の熱
処理温度に対する暗時電気伝導率の変化図、第9図は実
施例1の光導電材料の熱処理温度に対する光学的禁止帯
幅の変化図、第10図は実施例1の他の光導電材料の熱処
理温度に対する光学的禁止帯幅の変化図、第11図は実施
例1の光導電材料の分光感度曲線図、第12図は実施例1
の他の光導電材料の分光感度曲線図、第13図は実施例2
の加熱工程の温度変化図、第14図はその感度変化図、第
15図は実施例2の徐冷工程図、第16図は実施例4の光導
電材料の分光感度曲線図、第17図は実施例9の加熱装置
における温度勾配図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 正則 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−96220(JP,A) 特開 昭62−15228(JP,A) 特開 昭62−84124(JP,A) 特開 昭60−258228(JP,A) 特開 昭58−157190(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(ロ)で表わされる有機高分子を結
    晶化したものであることを特徴とする光導電材料。 n=2,3,4,5,6のいずれか X=S,Se,Teのいずれか Y,Z:ベンゼン環,ナフタレン環,アントラセン環,ペリ
    レン環,2,5−ジクロロベンゼンのいずれか R:下記のいずれか
  2. 【請求項2】X線回折強度曲線で散乱ピークが少なくと
    も一つ以上存在することを特徴とする請求項1記載の光
    導電材料。
  3. 【請求項3】請求項1記載の光導電材料の製造方法であ
    って、一般式(ロ)で表わされる有機高分子の結晶化は
    熱処理によって行うことを特徴とする光導電材料の製造
    方法。
  4. 【請求項4】一般式(ロ)で表わされる有機高分子の結
    晶化のための熱処理の加熱温度を、徐々に増加させるこ
    とを特徴とする請求項3記載の光導電材料の製造方法。
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