JP3014382U - 複合材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建造物に調和し、触手の際に温もり感があ
り、かつ結露の生じることがない複合材を提供。 【構成】 繊維強化プラスチック製パイプの外表面に発
泡塩化ビニル樹脂層が被覆形成されてなる複合材。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、一般建築用資材として使用される、特に階段用、歩行補助用手摺り に供して好適な建造物用の複合材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、手摺りは、木材が主流で比較的曲げ強度の高い材質が選ばれ、これを加 工し、表面塗装して製品とされている。近年、木材不足、とりわけ硬さ、強度等 の要求されるこの分野では、使用できる木材の種類に限定があること、加工、仕 上げ、塗装と製造に至るまでの工程が多く煩雑であること、また後述する代替品 が手軽に入手できること等を理由に木製手摺りの使用は減少している。手摺りの 使用に際しては手垢による汚れ、雑菌の付着、ささくれ等の不都合もあった。

【０００３】 木材に替るものとして鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属パイプ が盛んに使用されるようになっている。ステンレススチールパイプを除く他の金 属パイプ類は、錆防止対策あるいは触手における冷たさを軟らげるために表面塗 装または熱可塑性樹脂コーティングしたものが上市されている。また、軟質塩化 ビニル樹脂パイプを押出成形したのち、金属パイプを通し製品化したものが見う けられる。これら金属パイプ類は、強度的には問題はないが、木質感がなく、日 本家屋建造物では周辺との調和性に欠け、また手で握ったときの冷たさも充分に 解決されているとは云えない。また寒冷地においては温度、湿度の急激な変化に ともない結露することが確認されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案者は、上述の従来技術の不都合に鑑み、日本家屋建造物に調和し、手で 握った際にも温もり感があり、手摺りとしての強度にも耐える建造物に適した複 合材について鋭意検討した結果、繊維強化プラスチック製中空パイプの表面を木 目模様のある発泡塩化ビニル樹脂で被覆したものが、上述の目的に合致すること を見いだし本考案を完成するに到った。 本考案の目的は、軽く、日本家屋建造物に調和し、触手の際に温もり感があり 、かつ結露の生じることがない複合材を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

しかして、本考案の要旨とするところは、繊維強化プラスチック製中空パイプ の外表面に発泡塩化ビニル樹脂層が被覆形成されてなる複合材にある。 次に本考案を図面にもとずいて詳述するが、本考案は、その要旨を逸脱しない 限り、以下の例に限定されるものではない。 図１乃至図４は、それぞれ本考案の代表的な複合材の縦断面図である。図中、 １は繊維強化プラスチック製中空パイプ、２は接着剤、３は発泡塩化ビニル樹脂 層、４は非発泡樹脂層をそれぞれ示している。

【０００６】 本考案の複合材の芯材となる繊維強化プラスチック製の中空パイプ１は、ガラ ス繊維、カーボン繊維等で強化された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂製のもの である。強化するための繊維の長さは短繊維、長繊維いずれも使用できるが、機 械的強度の面から長繊維状のものが望ましい。 本考案の複合材は、繊維強化プラスチック製中空パイプ１の外表面に発泡塩化 ビニル樹脂層３が接着剤２を介してまたは介在せずに被覆形成されている。繊維 強化プラスチック製パイプは、軽量でかつ強度を付与する芯材として必須であり 、その断面形状は図１及び図２に示すような円形、図３に示すような四角形、ま た図４に示すような六角形等複合材の形状、用途、加工性、取付け作業性を考慮 し、適宜決定すればよい。繊維強化プラスチックパイプを使用することにより複 合材を必要以上に重くせず、施工時における切断性及びブラケットへの木ネジ等 による取付性が容易になる。

【０００７】 発泡塩化ビニル樹脂層３は、通常発泡性塩化ビニル樹脂組成物を加熱発泡して 形成される。繊維強化プラスチック製パイプ１の外表面に発泡塩化ビニル樹脂層 ３を形成するには、例えば押出成形設備を用いて繊維強化プラスチック製パイプ １の外表面を発泡性塩化ビニル樹脂組成物で被覆しながら加熱発泡する方法が採 用される。建築用複合材の外径寸法は、繊維強化プラスチック製パイプを被覆し た加熱発泡状態にある樹脂組成物が押出成形設備のダイから出た直後にサイジン グダイで規制され、所定寸法にされる。発泡層は、通常比重でコントロールされ 、０．５〜１．０の範囲、すなわち、塩化ビニル樹脂を０．３〜３倍程度発泡さ せたものであるのが好ましい。発泡倍率が小さいと、手摺りとしての温もり感に 欠け、発泡倍率が大きくなると後述する非発泡層、すなわち表皮層の形成が難し くなる。

【０００８】 発泡塩化ビニル樹脂層３を木目模様を有するように形成することにより、日本 家屋建造物との調和を好ましいものにする。木目模様は淡色をベースとした発泡 性塩化ビニル樹脂組成物と稍滑性もしくは溶融粘度の異なる濃色非発泡性樹脂組 成物とを適量混合し、浅練して押出発泡成形することによって容易に形成するこ とができる。

【０００９】 本考案の複合材は、繊維強化プラスチック製パイプ１に予め接着剤２を塗布し た後発泡塩化ビニル樹脂層３を形成する。図１、図３及び図４は接着剤を介在さ せた例である。接着剤２は繊維強化プラスチック製パイプと発泡層を強固に接合 し、熱冷サイクル時の線膨張係数の違いによる剥離現象を生じさせない。また、 本考案の複合材を手摺りとして用いたとき、接着剤がないと繊維強化プラスチッ ク製パイプと発泡層の一体感がなく、強度的にも劣る傾向がある。接着剤として は、繊維強化プラスチック製パイプ及び発泡塩化ビニル樹脂層と相溶性、親和性 のあるゴム系接着剤、ウレタン系接着剤またはアクリル系接着剤が望ましい。

【００１０】 本考案の複合材は、発泡塩化ビニル樹脂層３の外表面に非発泡樹脂層４が形成 されているのが好ましい。非発泡樹脂層４を形成するには、例えば、上述の複合 材の製造時冷却したサイジングダイを通過させて発泡樹脂層３を急冷することに より、発泡塩化ビニル樹脂層３の形成と同時に、その表面に実質的に非発泡の樹 脂層４を形成する方法または発泡剤を含有しない塩化ビニル樹脂、アクリル系樹 脂等各種樹脂を発泡性塩化ビニル樹脂組成物と共押出して非発泡樹脂層４を形成 する方法等が採用される。前者方法において非発泡樹脂層４の肉厚、すなわち表 皮層の肉厚は、サイジングダイの温度によってコントロールすることができる。 また、発泡樹脂層３に半硬質塩化ビニル樹脂等の熱によるラミネートにより非発 泡樹脂層４を形成する方法でもよい。勿論、これら形成方法に限定されるもので はない。

【００１１】 非発泡樹脂層４は雑菌の付着を少なくすると同時に耐久性を向上させ、木材使 用時に発生していたささくれ等による怪我等の不都合が防止できる。 非発泡樹脂層４への木目模様の付与は、上述のように淡色をベースとした発泡 性樹脂組成物と濃色性発泡樹脂の混合物を浅練、押出発泡成形を行い、冷却され たサイジングダイを通すことによって容易に得られる。

【００１２】 本考案の複合材を手摺りとしての用途に使用する場合、非発泡樹脂層４、すな わち表皮層の厚みが薄い程、より木質に近い感じがし、手で握った場合の温もり 感が大きくなる。 本考案の複合材には、その発泡塩化ビニル樹脂層３または非発泡樹脂層４に蛍 光顔料または蓄光顔料を含有せしめるのが好ましい。例えばアクリル系樹脂中に 蛍光顔料または蓄光顔料を含有せしめて非発泡樹脂層４を形成する等の方法があ る。これら顔料を含有せしめることにより夜間において手摺りの位置を明確に示 し、安全性に寄与することができる。 また、非発泡樹脂形成材料に抗菌剤、防黴剤を添加混練した後に表皮を形成す ることにより、雑菌の付着、黴の発生を防止し、安全衛生上特に好ましい。

【００１３】 本考案の複合材の形状は、特に限定されるものではなく、その断面が円形、多 角形いずれでもよい。 そして、本考案の複合材は、各種建造物の階段の手摺り、家庭の風呂、トイレ 等の手摺り、病院、養老院等の路下の手摺り、リハビリ歩行用平行棒などに有効 に利用しうる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案の複合材は、建造物に調和し、触手の際に温もり感があり、かつ結露を 生じず、美観性、安全性、施工性、寸法安定性にすぐれており、実用価値は頗る 高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の複合材の一例の縦断面図

【図２】本考案の複合材の例で縦断面図

【図３】本考案の複合材の例で縦断面図

【図４】本考案の複合材の例で縦断面図

【符号の説明】

１ 繊維強化プラスチック製パイプ ２ 接着剤 ３ 発泡塩化ビニル樹脂層 ４ 非発泡樹脂層

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 繊維強化プラスチック製中空パイプの外
   表面に発泡塩化ビニル樹脂層が被覆形成されてなる複合
   材。
2. 【請求項２】 発泡塩化ビニル樹脂層が木目模様を有す
   る請求項１記載の複合材。
3. 【請求項３】 発泡塩化ビニル樹脂層が蛍光顔料または
   蓄光顔料を含有してなる請求項１または請求項２記載の
   複合材。
4. 【請求項４】 発泡塩化ビニル樹脂層の外表面に非発泡
   樹脂層が形成されてなる請求項１乃至請求項３いずれか
   の項に記載の複合材。
5. 【請求項５】 非発泡樹脂層が木目模様を有する請求項
   ４記載の複合材。
6. 【請求項６】 非発泡樹脂層が蛍光顔料または蓄光顔料
   を含有する請求項４または請求項５記載の複合材。
7. 【請求項７】 繊維強化プラスチック製中空パイプと発
   泡塩化ビニル樹脂層との間に接着剤が介在されてなる請
   求項１乃至請求項６いずれかの項に記載の複合材。
8. 【請求項８】 請求項１乃至請求項７いずれかの項に記
   載の複合材で構成されてなる手摺り。