JP3012470B2 - 靴踵内面への踵滑りの接着法 - Google Patents

靴踵内面への踵滑りの接着法

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JP3012470B2
JP3012470B2 JP6303117A JP30311794A JP3012470B2 JP 3012470 B2 JP3012470 B2 JP 3012470B2 JP 6303117 A JP6303117 A JP 6303117A JP 30311794 A JP30311794 A JP 30311794A JP 3012470 B2 JP3012470 B2 JP 3012470B2
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龍夫 三原
繁芳 鬼木
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月星化成株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靴内面の踵部に接着さ
れた踵滑りの端部に接着剤がはみ出すことなく、しか
も、皺も生ずることがなく、工程も短縮された靴踵内面
への踵滑りの接着法に関する。
【0002】
【従来の技術】革靴、特に婦人靴においては、靴踵部内
面に履用感を良くするように、踵滑りが接着されてい
る。この場合、婦人靴においては、特にパンプスにおい
ては、縫目が外側に出て、外観を低下させないように縫
製による方法は採用されていない。従来、前記接着法と
しては、下記のような方法で行われていた。即ち、靴爪
先部上方から踵内面を視た要部斜視図である図4、その
B−B線矢視図がある図5に示すように、
【0003】(a') 台形形状の踵滑り(1)の上縁
(4)と靴甲被(5)の踵部上縁(6)とを縫着(7)
する。 (b') 両面の全面に接着剤(8),(8)が塗布されて
いる前記踵滑り(1)よりも短いカウンター(9)を前
記上縁(4)と(6)とで縫着(7)された踵滑り
(1)と靴甲被(5)との間に挿入する。 (c') (b') 工程によりまとめられた踵滑り(1)とカ
ウンター(9)と靴甲被(5)とを、内側(10)と外側
(11)とから挟むように踵部と同じ曲面を有する加圧体
で加圧する。
【0004】(d') 冷却する。引き続いて、図4のA−
A線矢視図である図6に示すように (e') 踵滑り(1)の両端縁(12), (12)の下面(1
3),(13)に一定の巾で接着剤(14),(14)を塗布
し、同時に靴甲被(5)の上面(15), (15)の前記接
着剤(14),(14)に対向する個所に接着剤(16),
(16)を塗布し、前記両塗布面を圧接することにより踵
滑り(1)と靴甲被(5)とを接着する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の接
着法は、説明の便宜のために図4から踵滑り(1)を除
いた要部斜視図である図7における先細り状部の区部
(17),(17)に接着剤が塗布されていないため、又、
塗布しようとしても踵滑り(1)(図7では図示せず)
と靴甲被(5)との間にあっては狭い間隔であって塗布
しにくいため、結果としては接着工程が終了後、先細り
状部(17),(17)においてラストに吊込んだ時に甲被
(5)と踵滑り(1)の伸び率が異なる為、踵滑り
(1),(1)に皺を生じ、又、接着剤(16),(16)
が踵滑り(1)の両端縁からはみ出し、見苦しく、さら
に又、靴甲被(5)の所定個所に接着剤(16),(16)
を塗布しなければならないため、工程が一つ増える等の
欠点を有していた。本発明は前記従来の接着法が有して
いた課題を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決する為の手段】本発明は、靴爪先部上方か
ら踵内面を視た要部斜視図である図1、そのB−B線矢
視図である図2に示すように、下記 (a)〜 (e)工程より
なる靴踵内面への踵滑りの接着法。
【0007】(a)略台形形状の踵滑り(1)の一つの
面の全面に、ホットメルト系合成樹脂シート状体(2)
を積層する。 (b) (a)工程で得た積層体(3)の上縁(4)と靴甲
被(5)の踵部上縁(6)とを縫着(7)する。 (c) (a)工程の踵滑り(1)より短く、両面の全面に
接着剤(8),(8)が塗布されているカカンター
(9)を前記上縁(4)と(6)とで縫着(7)された
積層体(3)と靴甲被(5)との間に挿入する。
【0008】(d) (c)工程によりまとめられた積層体
(3)とカウンター(9)と靴甲被(5)とを内側(1
0)と外側(11)とから挟むようにして、踵部と同じ曲
面を有する加熱された加圧体で加圧する。 (e) (d)工程による加圧後、冷却する。を第1の特徴
とする。
【0009】又、本発明は図2に相等する図3に示すよ
うに前記 (c)工程で、靴甲被(5)と対向する面にのみ
接着剤(8)が塗布されているカウンター(9)を使用
する靴踵内面への踵滑りの接着法を第2の特徴とする。
又、本発明は前記 (c)工程で全周縁部が漸次先薄状(1
8)になっているカウンター(9)を使用する靴踵内面
への踵滑りの接着法を第3の特徴とする。前記 (a)工程
で全面平滑な面になっているシート状(2)を使用する
靴踵内面への踵滑りの接着法を第4の特徴とする。
【0010】又、本発明は前記 (a)工程で網状になって
いるシート状体(2)を使用する靴踵内面への踵滑りの
接着法を第5の特徴とする。さらに又、本発明は前記
(a)工程のホットメルト系合成樹脂シート状体(2)の
積層が、踵滑り(1)用の原反のときに積層されたもの
を使用する靴踵内面への踵滑りの接着法を第6の特徴と
する。
【0011】本発明を実施するに当たって、ホットメル
ト系接着剤としては、ブロックスチレンブタジエン共重
合ゴム等の熱可塑性ゴム,エチレン酢酸ビニル共重合
体,ポリエステル,ポリアミド,ポリウレタン等が使用
される。踵滑りとしては、ポリウレタン系合成皮革,ポ
リ塩化ビニル系レザー等が通常使用される。
【0012】この踵滑りの一つの面に塗布されるホット
メルト系接着剤の厚みは0.05〜0.3mmであるが、
接着性及び触感からみて0.05〜0.1mmが好まし
い。カウンターとしては、レザーボード,ファイバーボ
ード,合成又は天然皮革,ポリエチレン,エチレン酢酸
ビニル共重合体等が用いられる。加圧体としては、所定
の踵部の曲面に成形しうるカウンタードレッサーが使用
され、本発明においては、加圧体が外側と内側の加圧面
において、前記台形形状の両端部まで延長されたものが
使用される。
【0013】カウンターが接着性がよい素材のときは、
踵滑りの面と対向する面では接着剤を省くこともでき
る。踵滑りの一つの面に塗布するシート状体としては、
全面平滑なシートが最も多く用いられるが、網状のもの
も使用することができる。尚、本発明においては、点状
のものは前記網状に含めた概念で用いるものとする。
【0014】
【作用及び効果】本発明においては、靴踵部の内面にお
いて、最外層の面即ち履用時の足と接する面に使用され
る踵滑り(1)がカウンター(9)及び甲被(5)内面
と接する面の全面にホットメルト系合成樹脂シート状体
(2)が積層されているので、この積層体(3)が加熱
・加圧により接着剤としての働きをするようになったと
き、その接着剤の全面が前記カウンター(9)及び甲被
(5)に接着する。
【0015】この場合、前記カウンター(9)は、例え
ば周縁部において漸次先薄状になっており、それが漉く
ことによって接着剤が剥がれても、その部分は対面して
いる踵滑り面(1)に接着剤が塗布されているから、そ
の接着剤によってカウンター(9)は全面で十分に接着
された状態となる。尚、漉く巾は通常8〜10mmであ
る。
【0016】従って、前記図7に示す従来の接着法にお
ける欠点、即ち先細り状(17),(17)の区部において
も勿論十分に接着されており、皺が踵滑り(1)におい
て生じることはなく、又、踵滑り(1)の両端縁(1
6),(16)とそれに対向する甲被面に接着剤を巾方向
に塗布する必要もなく、さらに又、刷毛等により塗布し
ないので接着剤のはみ出し等もない。
【0017】
【実施例】長尺状のポリウレタン系合成皮革の原反の一
つの面にラミネート機により、厚み0.1mmのエチレン
酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量5%)をラミネー
トする。この原反より図1中の台形形状の踵滑り(1)
を刃型により切断して得る。この踵滑り(1)の上縁
(4)と、靴甲被(5)の踵部上縁(6)とを縫着
(7)する。この靴甲被(5)はポリウレタン系合成皮
革と厚み2mmのポリウレタンフォームとポリエステル繊
維製織布との積層体であり、ポリウレタン系合成皮革が
外面になる。
【0018】両面の全面にアクリル系接着剤(8),
(8)を塗布したレザーボード製モールドカウンター
(9)を図2に示すように、上縁で縫着(7)されてい
る踵滑り(1)と靴甲被(5)との間に挿入し、ラスト
側の温度 100℃,バンド側の温度130℃のカウンタード
レッサーで(10),(11)の方向へ30秒間圧縮し、続
いて両側の温度、即ちラストが−10℃,バンドが15
℃のカウンタードレッサーで30秒間圧縮し、靴の踵部
を形成した。これを本発明の接着法とした。
【0019】一方、図4及び図5に示すように、ポリウ
レタン系合成皮革製の踵滑り(1)と前記本発明の接着
法において使用したものと同じ構成の靴甲被(5)とを
その上縁(4),(6)で縫着(7)し、同じく本発明
の接着法において使用したカウンター(9)を挿入し、
前記と同じ条件でカウンタードレッサーで靴の踵部を形
成した。
【0020】この場合、図6に示すように踵滑り(1)
の両端縁(12),(12)は接着していないので、一定の
巾でポリウレタン系接着剤(14),(14)を塗布し、60
℃の乾燥室に5分間入れ、溶剤をほぼ蒸散させた後、ロ
ーラ掛けして接着完了し、これを比較例の接着法とし
た。
【0021】本発明の接着法においては、図7に示す先
細り状部の区部(17),(17)に皺が生じておらず、
又、踵滑り(1)の両端縁付近に接着剤がはみ出してい
ることもなかったが、比較例の接着法においては皺が生
じ、接着剤もはみ出していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着法を説明するための靴爪先部上方
から踵内面を視た要部斜視図。
【図2】図1のB−B線矢視図。
【図3】図2に相等する他の実施例を示すB−B線矢視
図。
【図4】従来の接着法を説明するための靴爪先部上方か
ら踵内面を視た要部斜視図。
【図5】図4のB−B線矢視図。
【図6】図4のA−A線矢視図。
【図7】図4から踵滑り(1)を除いた要部斜視図。
【符号の説明】
1 踵滑り 2 ホットメルト系合成樹脂シート状体 3 積層体 4 上縁 5 靴甲被 6 上縁 7 縫着 8 接着剤 9 カウンター 10 内側 11 外側 12 両端縁 13 下面 14 接着剤 15 上面 16 接着剤

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(e)工程よりなることを
    特徴とする靴踵内面への踵滑りの接着法。 (a)略台形形状の踵滑り(1)の一つの面の全面に、
    ホットメルト系合成樹脂シート状体(2)を積層する。 (b) (a)工程で得た積層体(3)の上縁(4)と靴甲
    被(5)の踵部上縁(6)とを縫着(7)する。 (c) (a)工程の踵滑り(1)より短く、両面の全面に
    接着剤(8),(8)が塗布されているカウンター
    (9)を、前記上縁(4)と(6)とで縫着(7)され
    た積層体(3)と靴甲被(5)との間に挿入する。 (d) (c)工程によりまとめられた積層体(3)とカウ
    ンター(9)と靴甲被(5)とを内側(10)と外側(1
    1)とから挟むようにして、踵部と同じ曲面を有する加
    熱された加圧体で加圧する。 (e) (d)工程による加圧後、冷却する。
  2. 【請求項2】 前記 (c)工程で使用するカウンター
    (9)は、靴甲被(5)と対向する面にのみ接着剤
    (8)が塗布されていることを特徴とする請求項1記載
    の靴踵内面への踵滑りの接着法。
  3. 【請求項3】 前記 (c)工程で使用するカウンター
    (9)は全周縁部が漸次先薄状(18)になっていること
    を特徴とする請求項1記載の靴踵内面への踵滑りの接着
    法。
  4. 【請求項4】 前記 (a)工程のシート状体(2)が、全
    面平滑な面になっていることを特徴とする請求項1記載
    の靴踵内面への踵滑りの接着法。
  5. 【請求項5】 前記 (a)工程のシート状体(2)が、網
    状になっていることを特徴とする請求項1記載の靴踵内
    面への踵滑りの接着法。
  6. 【請求項6】 前記 (a)工程のホットメルト系合成樹脂
    シート状体(2)の積層が、踵滑り(1)用の原反のと
    きに積層される請求項1ないし4記載のうちの一つであ
    る靴踵内面への踵滑りの接着法。
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