JP3011080B2 - ケーソン躯体の製作方法 - Google Patents

ケーソン躯体の製作方法

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JP3011080B2 JP7340556A JP34055695A JP3011080B2 JP 3011080 B2 JP3011080 B2 JP 3011080B2 JP 7340556 A JP7340556 A JP 7340556A JP 34055695 A JP34055695 A JP 34055695A JP 3011080 B2 JP3011080 B2 JP 3011080B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ケーソン躯体の
製作方法に関し、特に、その施工能率と品質とを改善す
る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岸壁,護岸,防波堤などの海洋構造物の
構築に使用されるケーソン躯体は、設置場所の近傍に製
作ヤードを設けて、この製作ヤードで躯体の製作を行な
う場合がある。製作ヤードで製作されたケーソン躯体
は、設置場所まで曳航されて、中詰め砂を内部に充填す
ることで沈設され、その後、ケーソン躯体の上端に上部
コンクリートを打設形成することで、所定の場所に設置
される。
【0003】ところで、ケーソン躯体を製作ヤードで製
作する際には、通常、屋外で、型枠を使用して底版を製
作し、この底版の上面側に型枠を使用して、外壁および
隔壁をコンクリートの現場打設により形成する。しかし
ながら、このような従来のケーソン躯体の製作方法に
は、以下に説明する技術的な課題が指摘されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、製作ヤード
でケーソン躯体を製作する場合には、その作業が殆ど屋
外となるので、作業環境が厳しく、天候により工程が左
右され、完工の時期が遅れがちになる。また、高所での
鉄筋の組立作業を行なうので、危険な作業が多くなる。
さらに、外壁の隅角部や隔壁の交差部などでは、配筋が
錯綜し、狭隘な場所での配筋作業やコンクリートの打設
を余儀なくされ、特に、このような部分での品質管理が
難しくなる。
【0005】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的とするところは、屋
外作業を極力低減することにより、工程の遅延を少なく
し、かつ、安全性を確保し、狭隘な場所での配筋作業や
コンクリートの打設をなくすことにより、品質を高度に
維持することができるケーソン躯体の製作方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、底版と、この底版上に形成される外壁
と、前記底版上にあって、前記外壁の内部に格子状に形
成される隔壁とを備え前記外壁の隅角部と前記隔壁の
交差部および前記外壁と前記隔壁との接続部とを予め製
作されるプレキャスト化部材で構成するとともに、前記
隅角部と交差部および接続部とを前記底版上に立設し、
これらの間に一方向に引き揃えられたプレハブ鉄筋を配
置した後に、前記外壁および隔壁形成用の型枠を設置し
てコンクリートを打設して外壁パネル部および隔壁パネ
ル部を形成するケーソン躯体の製作方法であって、前記
隅角部と交差部および接続部は、前記底版上に突設され
ている縦筋が下端側から挿入されるスリーブを有し、こ
のスリーブ内に前記縦筋の上端側を挿入し、かつ、前記
隅角部と交差部および接続部の下端面と前記底版との間
に環状のスペーサを介在させて、前記スリーブに設けら
れた注入口からモルタルを注入することにより、前記底
版と前記隅角部および交差部,接続部とを一体化するよ
うにした。このように構成されたケーソン躯体の製作方
法によれば、鉄筋が錯綜する外壁の隅角部と隔壁の交差
部および接続部とが予め製作されるプレキャスト化部材
で構成され、これらの間に設置される鉄筋も、一方向に
引き揃えられたプレハブ鉄筋で構成するので、現場にお
ける作業が大幅に低減される。また、鉄筋が錯綜する外
壁の隅角部と隔壁の交差部および接続部とが予め製作さ
れるプレキャスト化部材で構成されるので、鉄筋の配置
やコンクリートの充填が十分に行なえ、これらの部分の
品質を高く維持することができる。さらに、本発明のケ
ーソン躯体の製作方法によれば、底版と隅角部または交
差部と底版とが、三次元方向で結合され、これらの部材
間の一体化が強固に行なえる。一方、前記ケーソン躯体
の製作方法においては、前記底版を製作する際に、前記
プレハブ鉄筋を用いることができる。一方向に引き揃え
られたプレハブ鉄筋を底版の製作に使用すると、底版を
製作する際の配筋作業も低減することが可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図8
は、本発明にかかるケーソン躯体の製作方法の一実施例
を示している。同図に示すケーソン躯体の製作方法は、
図8にその完成状態を示すように、底版10と、この底
版10上に一体化される外壁12と、外壁12で囲われ
た内部を格子状に区画する隔壁14とを備えたケーソン
躯体16を製作する場合を例示している。
【0008】外壁12は、各角部に位置する角柱状の隅
角部12aと、隔壁14との接続部分に位置する角柱状
の接続部12bと、隅角部12aと接続部12bとの間
および接続部12b同士間にそれぞれ形成される平板状
の外壁パネル部12cとから構成されている。隔壁14
は、格子の交点上に位置する角柱状の交差部14aと、
交差部14aと接続部12bとの間および交差部14a
同士間にそれぞれ形成される平板状の隔壁パネル部14
bとから構成されている。
【0009】そして、本実施例の場合には、外壁12
は、隅角部12a,接続部12b,外壁パネル部12c
をそれぞれ上下方向に段状に積重ねて所定の高さに形成
されている。また、隔壁14も同様に交差部14a,隔
壁パネル部14bをそれぞれ上下方向に段状に積重ねて
外壁12と同じ高さに形成されている。このような構造
のケーソン躯体16を製作する際には、まず、底版10
が設置現場近傍に設けられる製作ヤードで作られる。こ
の実施例の底版10は、図1にその外形を示すように、
略凸形に形成された底版躯体10aと、この躯体10a
の内部に埋設された横筋10bと縦筋10cとから構成
されている。
【0010】この底版10を製作する際には、図外の型
枠を建て込んで、その内部に横筋10bと縦筋10cを
配置して、コンクリートを打設することにより行なわれ
る。このとき、横筋10bには、図3に示すような、予
め工場生産されたプレハブ鉄筋18が使用される。この
プレハブ鉄筋18は、複数の鉄筋18aを同一方向に引
き揃えて、この鉄筋18aと直交する方向に配置した繋
ぎ筋18bで結合させたものであって、鉄筋18aの端
部は、1本おきに左右に突出させている。このように構
成されたプレハブ鉄筋18を使用して配筋する際には、
図3の下方に示すように、端部に突出した部分が相互に
重なり合うようにして縦横に組み合わせて横筋10bを
構成する。
【0011】また、縦筋10cを配置する際には、外壁
12の隅角部12a,接続部12b,外壁パネル部12
cを形成する部分と、隔壁14の交差部14a,隔壁パ
ネル部14bを形成する部分において、縦筋10cの上
端側が底版躯体10aの上方に突出するように配置し、
この突出した部分が、これらの部材との間の繋ぎ筋とな
る。なお、この実施例では、隅角部12a,接続部12
b,交差部14aに対応した部分が、これ以外の部分よ
りも長く上方に突出している。
【0012】底版10の構築が終了すると、次に、図4
に示すように、底版躯体10aの上面上に外壁12の隅
角部12a,接続部12bおよび隔壁14の交差部14
aが立設される。この場合、外壁12の隅角部12a,
接続部12bおよび隔壁14の交差部14aは、予め工
場生産により製作されるプレキャスト化部材から構成さ
れ、それぞれコンクリート躯体120a,120b,1
40aと、横筋121a,121b,141aおよび縦
筋122a,122b,142aとを有している。
【0013】横筋121a,121b,141aは、外
壁パネル部12cと隔壁パネル部14bとが形成される
方向に対応して、コンクリート躯体120a,120
b,140aの側面から外方に突出している。また、縦
筋122a,122b,142aは、コンクリート躯体
120a,120b,140aの上面から外方に突出し
ている。
【0014】コンクリート躯体120aの下端側には、
図5に示すように、複数の中空筒状のスリーブ123a
が埋設されている。なお、同図は、隅角部12aのコン
クリート躯体120aだけを示しているが、この部分の
構造は、図示は省略しているが、接続部12bおよび交
差部14aにおいても実質的に同じになっている。スリ
ーブ123aは、上端が閉止し、下端が開口した概略円
筒状のものであって、コンクリート躯体120aの長手
軸方向に沿って延長され、かつ、コンクリート躯体12
0aの表面側に近接した位置に設けられ、その下端側が
コンクリート躯体120aの下面側に開口している。
【0015】スリーブ123aの上部側には、縦筋12
2aの下端が挿入されており、複数のスリーブ123a
の内の少なくともその1つには、下端側にモルタルの注
入パイプ124aが設けられるとともに、スリーブ12
3aの上端側には、モルタルの注出パイプ125aが複
数設けられている。隅角部12a,接続部12bおよび
交差部14aを底版躯体10a上に立設する際には、こ
れらをクレーン20により吊り下げて行なわれ、このと
きに、スリーブ123a内に底版10側の縦筋10cの
上端側を挿入し、かつ、これらの部材の下端面と底版躯
体10aの上端面との間にスペーサ22が介在するよう
にして行なわれる。
【0016】スペーサ22は、隅角部12a,接続部1
2bおよび交差部14aの横断面と同じ外形を有する環
状のものであって、例えば、硬質ゴム製のガスケットな
どが使用され、このようなスペーサ22を介装すること
により、コンクリート躯体121aの下端面と底版躯体
10aの上端面との間、スリーブ123aと連通した空
間部24が形成される。
【0017】隅角部12a,接続部12bおよび交差部
14aがそれぞれ所定の場所に立設されると、注入パイ
プ124aからモルタルが注入される。注入パイプ12
4aから注入されたモルタルは、下方に流下して空間部
24内に充満された後に、スリーブ123aと縦筋10
c,122aとの間の隙間を埋めるようにして上昇す
る。
【0018】そして、モルタルが注出パイプ125aか
ら外部に流出すると、モルタルの注入を停止する。注入
されたモルタルが硬化すると、隅角部12a,接続部1
2bおよび交差部14aと底版躯体10aとが一体化さ
れる。この場合、スペーサ22を介在させて、隅角部1
2a,接続部12bおよび交差部14aと底版躯体10
aとを一体化すると、これらが空間部24内に充填され
たモルタルで結合されるとともに、スリーブ123a内
に充填されたモルタルでも一体化され、隅角部12a,
接続部12bおよび交差部14aと底版躯体10aとが
3次元方向で結合させられるので、一体化が強固に行な
える。
【0019】隅角部12a,接続部12bおよび交差部
14aと底版躯体10aとが一体化されると、外壁およ
び隔壁パネル部12c,14bの形成が行なわれる。外
壁および隔壁パネル部12c,14bを形成する際に
は、これに先立って、底版躯体10aの外周面に複数の
スライド型枠26が設置される。このスライド型枠26
は、型枠板26aと、その支持部材26bとを備えてい
る。
【0020】また、このスライド型枠26には、図外の
型枠板26aの脱着シリンダーや上昇ジャツキなどを有
していて、尺取り虫状に上昇移動させるものであり、例
えば、ダムの擁壁を構築する際などにも使用されてい
る。本実施例において、スライド型枠26を採用したの
は、通常の型枠を使用すると、底版躯体10aの外周に
型枠支保工を設けなければならないが、スライド型枠2
6を使用するとこのような支保工が不要になるからであ
り、必ずしもスライド型枠26である必要はない。
【0021】スライド型枠26の設置作業と同時に、外
壁および隔壁パネル部12c,14b内に埋設する鉄筋
の建込が行なわれ、この建込状況を図6に示している。
このときに使用される鉄筋は、前述したプレハブ鉄筋1
8と同様なものであって、プレハブ鉄筋18は、その端
部側を底版10側の縦筋10cおよび隅角部12a,接
続部12b,交差部14aの各横筋121a,121
b,141aの端部と重ね合わせて設置される。
【0022】このとき、プレハブ鉄筋18の縦方向の端
部は、形成する外壁および隔壁パネル部12c,14b
の上端側から上方に突出するように配置する。プレハブ
鉄筋18の設置が終了すると、スライド型枠26を上昇
させて、スライド型枠26の型枠板26aと対向するよ
うにその内側に型枠を設置し、かつ、隔壁パネル部14
bを形成する位置にも、プレハブ鉄筋18を挟むように
して所定の型枠が設置される。
【0023】型枠の設置が終了すると、図7に示すよう
に、コンクリートの打設が行なわれる。同図に示したコ
ンクリートの打設では、底版10の一辺の長さにほぼ対
応した長さを有するゲートバルブ付きのコンクリート配
管28をクレーン20により、配管28がコンクリート
打設部位の上方に位置するように吊り下げ支持し、配管
28には、コンクリートポンプ30の供給管32が接続
されている。
【0024】打設に使用するコンクリートは、例えば、
高流動コンクリートを用いることができ、所定量のコン
クリートが打設されると、コンクリート配管28を後方
に移動させて、コンクリートの打設が行なわれる。コン
クリートの打設により、外壁および隔壁パネル部12
c,14bが形成されると、型枠を脱型して、前述し
た、外壁12の隅角部12a,接続部12bおよび隔壁
14の交差部14aの立設から以後の工程を繰り返すこ
とにより、所望高さのケーソン躯体16が製作される。
【0025】このようにして製作されたケーソン躯体1
6は、その後設置位置まで曳航した後に、沈設されて上
部コンクリートが打設形成される。さて、以上のように
構成されたケーソン躯体16の製作方法によれば、鉄筋
が錯綜する外壁12の隅角部12aおよび接続部12b
と隔壁14の交差部14bとが、予め製作されるプレキ
ャスト化部材で構成され、これらの間に形成される外壁
パネル部12c,隔壁パネル部14bに埋設される鉄筋
も、一方向に引き揃えられたプレハブ鉄筋18で構成す
るので、現場における作業が大幅に低減される。
【0026】このため、製作現場での高所作業が少なく
なり、安全性が向上するとともに、厳しい環境下での作
業も低減するので、工期の遅延も少なくなる。また、鉄
筋が錯綜する外壁12の隅角部12aおよび接続部12
bと隔壁14の交差部14aとが、予め工場生産で製作
されるプレキャスト化部材で構成されるので、コンクリ
ートの充填などが十分に行なえ、これらの部分の品質を
高く維持することができる。
【0027】さらに、本実施例のケーソン躯体の製作方
法においては、底版10を製作する際にも一方向に引き
揃えられたプレハブ鉄筋18を用いるので、底版10を
製作する際の配筋作業も低減することが可能になる。
【0028】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかるケーソン躯体の製作方法によれば、必要
な部分をプレキャスト化することにより、工期の短縮と
省力化とが図れる。また、必要な部分を品質管理が容易
な工場生産でおこなうので、高品質のケーソン躯体が得
られる。
【0029】さらに、狭隘な場所での鉄筋組立やコンク
リート打設が減少するので、作業環境も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるケーソン躯体の製作方法におい
て製作される底版の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の要部縦断面図である。
【図3】図1に示した底版を製作する際に使用するプレ
ハブ鉄筋の説明図である。
【図4】図1に示した底版上に外壁の隅角部,接続部,
隔壁の交差部を立設する工程の斜視図である。
【図5】図4に示した工程で外壁の隅角部と底版とを一
体化する際の断面説明図である。
【図6】図4の工程に引き続いて行なわれるプレハブ鉄
筋の建込状態を示す説明図である。
【図7】図6の工程に引き続いて行なわれるコンクリー
トの打設状態を示す説明図である。
【図8】本発明にかかる製作方法により製作されるケー
ソン躯体の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 底版 10a 躯体 10b 横筋 10c 縦筋 12 外壁 12a 隅角部 12b 接続部 12c 外壁パネル部 14 隔壁 14a 交差部 14b 隔壁パネル部 16 ケーソン躯体 18 プレハブ鉄筋 22 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石岡 浩 東京都千代田区神田司町2−3 株式会 社大林組東京本社内 (56)参考文献 特開 平7−243217(JP,A) 実開 昭58−63222(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 23/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底版と、この底版上に形成される外壁
    と、前記底版上にあって、前記外壁の内部に格子状に形
    成される隔壁とを備え 前記外壁の隅角部と前記隔壁の交差部および前記外壁と
    前記隔壁との接続部とを予め製作されるプレキャスト化
    部材で構成するとともに、前記隅角部と交差部および接
    続部とを前記底版上に立設し、これらの間に一方向に引
    き揃えられたプレハブ鉄筋を配置した後に、前記外壁お
    よび隔壁形成用の型枠を設置してコンクリートを打設し
    て外壁パネル部および隔壁パネル部を形成するケーソン
    躯体の製作方法であって、 前記隅角部と交差部および接続部は、前記底版上に突設
    されている縦筋が下端側から挿入されるスリーブを有
    し、このスリーブ内に前記縦筋の上端側を挿入し、か
    つ、前記隅角部と交差部および接続部の下端面と前記底
    版との間に環状のスペーサを介在させて、前記スリーブ
    に設けられた注入口からモルタルを注入することによ
    り、前記底版と前記隅角部および交差部,接続部とを一
    体化する ことを特徴とするケーソン躯体の製作方法。
  2. 【請求項2】 前記底版を製作する際に、前記プレハブ
    鉄筋を用いることを特徴とする請求項1記載のケーソン
    躯体の製作方法。
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