JP3006467B2 - 鋼材の熱間圧延方法 - Google Patents

鋼材の熱間圧延方法

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JP3006467B2
JP3006467B2 JP7282693A JP28269395A JP3006467B2 JP 3006467 B2 JP3006467 B2 JP 3006467B2 JP 7282693 A JP7282693 A JP 7282693A JP 28269395 A JP28269395 A JP 28269395A JP 3006467 B2 JP3006467 B2 JP 3006467B2
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豊 根石
雅義 秋山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の連続熱間圧
延方法に関する。より詳しくは鋼材、なかでも線材や棒
鋼の連続熱間圧延において、所定の形状に仕上げる仕上
げ圧延前後の条件を規制して、オ−ステナイト結晶粒の
歪分布に対応した局部的な粗大化、換言すれば混粒化を
防止すると共に仕上げ圧延前の結晶粒度を維持、あるい
は更に微細化する鋼材の熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】構造用鋼材、特に線材や棒鋼の連続熱間
圧延においては、低歪加工を受けた部分のオ−ステナイ
ト結晶粒(以下、単に「結晶粒」ともいう)が粗大化す
ることが知られている。このため特開平4−37130
1号公報、特開平5−177228号公報や特開平6−
190420号公報などに、結晶粒の粗大化を生じない
熱間圧延方法が提案されている。
【0003】特開平4−371301号公報で提案され
ている「条鋼の精密圧延方法」は、「低減面率圧延の前
に減面率が10%以上の通常減面率圧延を行い、前記通
常減面率圧延による歪エネルギーが保持されているうち
に、つまり通常減面率圧延後0.2秒以内に減面率が1
0%未満の低減面率圧延を行う」ことで結晶粒の粗大化
を防止しようとする技術である。この方法によれば結晶
粒の粗大化は防止できるが、歪の累積性を確保した状
態、換言すれば仕上げ圧延での総歪量を大きくした状態
とするため、圧延機の寸法、構成材料や配置に特別な配
慮を要する。
【0004】特開平5−177228号公報で提案され
ている「熱間圧延における混粒防止方法」は、圧延時の
加工度は変更せずに、局部的な結晶粒粗大化を生ずるこ
とのない各鋼種毎の最適圧延条件を決定するもので、下
記(a)〜(d)の構成からなっている。
【0005】(a)試験片によって加工温度及び微視的
加工度と結晶粒粗大化との関係のデータを採取する。
(b)圧延の際の被圧延材の断面内の微視的加工度分布
を算出する。(c)上記(a)及び(b)の結果を基に
して結晶粒の粗大化が発生しない温度域を求める。
(d)求めた温度域内に入るように被圧延材の温度調整
を行う。
【0006】この公報に記載の方法によれば結晶粒の粗
大化は防止できるが、圧延横断面内歪分布の最大値を基
準にして被圧延材の温度を決定しなければならないた
め、被圧延材の温度をかなり低下させる必要があった。
そのため、圧延速度を落としたり、仕上げ圧延の前に冷
却装置を設置したり、被圧延材の圧延前加熱温度を相当
低くしなければならなかった。
【0007】しかしながら、圧延速度を落とせば生産効
率が悪くなるし、冷却装置を設置する場合は設備の建設
費や維持費を要してコストが嵩む。又、被圧延材の圧延
前加熱温度を低くする場合は粗圧延時に圧延機に過大な
負荷がかかるという問題が生ずる。更に、圧延対象の各
鋼種毎に試験片によるデータ採取をしなければならない
という煩わしさもあった。
【0008】特開平6−190420号公報で提案され
ている「棒・線材の熱間圧延方法」は、「最終圧延パス
において、(i )被圧延材を圧延直前に、表面温度で6
50℃以下であり、且つ、いかなる部分においてもMs
点以上となるように冷却し、(ii)断面減少率15%以
下で圧延し、(iii )圧延後の復熱による被圧延材の表
面温度の最高値を830℃以下とする」ことで整粒組織
を得ようとする技術である。この方法は「加工温度が8
30℃以下になると、通常の圧延の冷却速度では再結晶
粒の異常成長は発生せず、不均一組織は発生しない」こ
とを基礎に提案されたものである。
【0009】しかしながら本発明者らが詳細な実験を行
った結果、後述するように、加工温度が830℃以下の
場合でも通常の圧延の冷却速度で再結晶粒の異常成長、
すなわち結晶粒の局部的な粗大化が発生する場合のある
ことが明らかになった。更に、上記公報に記載の方法は
表面温度を650℃以下に規制するため、特開平5−1
77228号公報に記載された技術の場合と同様な問題
があった。
【0010】すなわち、圧延速度を遅くしたり、仕上げ
圧延の前に冷却装置を設置したり、被圧延材の圧延前加
熱温度を相当低くする必要が生じる。しかし、圧延速度
を遅くする場合には生産効率が悪くなり、冷却装置を設
置する場合は設備の建設費や維持費を要してコストが嵩
むし、被圧延材の圧延前加熱温度を低くする場合は粗圧
延時に圧延機に過大な負荷がかかる。加えて最終圧延パ
ス、すなわち仕上げ圧延直前の表面温度が650℃以下
と低いため、変形抵抗が大きくなってロール負荷がかな
り増加するので、仕上げ寸法にばらつきを生じることも
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
みなされたもので、その目的は鋼材、なかでも線材や棒
鋼を連続熱間圧延する場合に、オ−ステナイト結晶粒の
局部的な粗大化、換言すれば混粒化を防止すると共に仕
上げ圧延前の結晶粒度を維持、あるいは更に微細化でき
るところの熱間圧延方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決するために種々の鋼種を用いて詳細な実験を行った
結果、下記の知見を得た。
【0013】(イ)結晶粒の局部的な粗大化を生ずる
歪、すなわち結晶粒度番号で3以上の差を生ずる歪(相
当歪ε)は、725℃以上の温度域で図1に示すよう
に、ある幅を持つ斜線を入れた帯状の領域Rとして存在
する。更に、前記の斜線領域Rは温度により幅が違い、
且つ温度に対して右下がりとなる。すなわち、図1は加
工温度(圧延温度)Tと相当歪εが局部的な結晶粒粗大
化に及ぼす影響を、後の実施例で述べるJISのS45
C相当鋼の場合で例示したものであるが、2本の右下が
りの曲線に囲まれた斜線領域Rで結晶粒の粗大化が生ず
る。なお、相当歪εは次の式で定義する。
【0014】 ε={(ε1 2 +ε2 2 +ε3 2 )×2/3}1/2 ・・・・ ここで、ε1 、ε2 、ε3 は主方向の対数歪(主歪)で
ある。
【0015】(ロ)加工(圧延)温度が725℃以上の
場合、上記(イ)の斜線領域Rより下部の領域では、加
工後の結晶粒度は加工前の結晶粒度とほぼ等しい。
【0016】(ハ)加工(圧延)温度が725℃以上の
場合、上記(イ)の斜線領域Rより上部の領域では、加
工後の結晶粒度は加工前の結晶粒度に比べて微細化す
る。
【0017】(ニ)上記(イ)の斜線領域Rの境界とな
る2本の曲線は次の実験式、すなわち、成分元素の含有
量をパラメーターとして、下記式及び式で示すfn
1及びfn2がそれぞれ0に等しいとして表示できる。
ここで、fn1=0が上記した(イ)の領域Rの下限の
曲線を、又fn2=0が上限の曲線を表す。
【0018】 fn1= loge ε−K{(23/2)−(11/650)・T}・・・・ fn2= loge ε−K{(23/6)−(33/5200)・T}・・・・ ここで、εは相当歪、Tは温度(℃)、Kは定数であ
る。但し、Xを元素Xの含有量(重量%)とした時、
(i)Ti−(48N/14)≧0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −[{Ti−(48N/14)}/48]−(N/14)+(Al/27) (ii)Ti−(48N/14)<0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −(N/14)+(Al/27) である。
【0019】なお、上記の式は種々の鋼種について、化
学成分が結晶粒の粗大化をきたす相当歪に及ぼす影響を
重回帰分析法によって解析した結果得られたものであ
る。
【0020】上記知見に基づく本発明は下記(1)及び
(2)に示した鋼材の熱間圧延方法を要旨とする。な
お、以下において(1)及び(2)に示した鋼材の熱間
圧延方法をそれぞれ(1)の発明、(2)の発明とい
う。
【0021】(1)鋼材の連続熱間圧延方法であって、
仕上げ圧延前に被圧延鋼材の温度を650〜900℃と
なし、その後仕上げ圧延を前記fn1<0、且つ725
℃以上となる温度T及び相当歪εで行い、且つ仕上げ圧
延直後の被圧延鋼材の温度を900℃以下となすことを
特徴とする鋼材の熱間圧延方法。
【0022】(2)鋼材の連続熱間圧延方法であって、
仕上げ圧延前に被圧延鋼材の温度を650〜900℃と
なし、その後仕上げ圧延を前記fn2>0、且つ725
℃以上となる温度T及び相当歪εで行い、且つ仕上げ圧
延直後の被圧延鋼材の温度を1000℃以下となすこと
を特徴とする鋼材の熱間圧延方法。
【0023】ここで、上記の(1)の発明及び(2)の
発明における「仕上げ圧延」とは、所謂「仕上げ圧延
列」における圧延のことを意味する。但し、通常の2ロ
ール圧延機を用いた仕上げ圧延列による圧延を行った後
で、更に3ロールや4ロールなどの圧延機を用いた所謂
「精密圧延」が行われる場合には、この精密圧延のこと
を指すものとする。
【0024】なお、本発明の方法が対象とする鋼材の化
学組成については、特別な限定を加える必要はない。構
造用鋼材に必要とされる特性(例えば、強度や靭性)を
確保できるような成分組成でありさえすれば良い。
【0025】具体的には、例えば重量%で、C:0.0
1〜0.60%、Si:0.01〜2.0%、Mn:
0.01〜2.0%、Cr:0〜2.0%、Mo:0〜
0.6%、Cu:0〜2.0%、Ni:0〜4.0%、
Ti:0〜0.10%、Al:0.001〜0.10
%、N:0〜0.03%、V:0〜0.40%、Nb:
0〜0.15%、B:0〜0.005%、S:0〜0.
10%、Pb:0〜0.35%、Ca:0〜0.01%
を含有し、残部はFeと不可避不純物からなり、不純物
としてのPが0.05%以下のものであれば良い。
【0026】なお、上記の成分元素は、意図して添加し
ていない場合でも鋼材中に不純物として含まれている場
合がある。特にTiとNはそうした不純物レベルであっ
ても、前記の斜線領域Rの境界となる2本の曲線に関す
る実験式であるfn1及びfn2における定数Kの値に
影響するので、厳密に分析する必要がある。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の各要件について詳
しく説明する。
【0028】(1)の発明: (A)仕上げ圧延前の被圧延鋼材の温度が650℃未満
では、圧延機に対する負荷が大きくなると共に圧延時に
割れが発生することがある。加えて、被圧延鋼材の表層
部にマルテンサイトやベイナイトなどの低温変態生成物
(過冷組織)が形成される。更に、圧延ままの状態で製
品や半製品として使用される場合には、引張強度が高く
なりすぎ、靭性は逆に低くなるという問題を有する。一
方、上記の温度が900℃を超えると整粒組織にはなっ
ても微細な組織が得られず、被圧延鋼材の機械的特性が
劣化することとなる。従って、仕上げ圧延前の被圧延鋼
材の温度を650〜900℃とした。
【0029】(B)既に述べたように、加工温度が72
5℃以上で、且つ、既述の斜線領域Rより下部の領域で
加工(圧延)した場合に、結晶粒度が加工前の結晶粒度
とほぼ等しい整粒組織とすることができる。従って、仕
上げ圧延を725℃以上で、且つ斜線領域Rの下限の曲
線(前記したfn1=0)よりも下の領域、すなわちf
n1<0となる温度T及び相当歪εで行うこととした。
【0030】ところで、温度Tと相当歪εの下限値は所
望の寸法形状が得られるように適宜決定すれば良いが、
微細な整粒組織を安定して得るために、温度Tは800
℃以下とすることが好ましい。
【0031】(C)仕上げ圧延直後の被圧延鋼材の温度
が900℃を超えると上の(A)と(B)で規定した条
件で加工(圧延)した場合に、整粒組織にはなっても微
細な組織が得られず、被圧延鋼材の機械的特性が劣化す
ることとなる。従って、仕上げ圧延直後の被圧延鋼材の
温度を900℃以下とした。なお、被圧延鋼材の表層部
にマルテンサイトが生成して機械的特性が劣化すること
のないようにするには、この温度がMs点を超えるもの
であれば良いが、これは上記した(B)の条件で加工す
れば必然的に満たされる。
【0032】上記の(A)〜(C)の条件で熱間加工
(圧延)を行えば圧延速度を落とす必要がないので効率
の良い生産が可能であり、又、特別な冷却設備を必要と
しないでオ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化、換言
すれば混粒化を防止すると共に仕上げ圧延前の結晶粒度
を維持できる。
【0033】(2)の発明: (D)仕上げ圧延前の被圧延鋼材の温度を650〜90
0℃としたのは前記した(1)の発明の場合と同じ理由
による。すなわち、仕上げ圧延前の被圧延鋼材の温度が
650℃未満では、圧延機に対する負荷が大きくなると
共に圧延時に割れが発生することがある。加えて、被圧
延鋼材の表層部にマルテンサイトやベイナイトなどの低
温変態生成物(過冷組織)が形成される。更に、圧延ま
まの状態で製品や半製品として使用される場合には、引
張強度が高くなりすぎ、靭性は低くなるという問題を有
する。一方、上記の温度が900℃を超えると整粒組織
にはなっても微細な組織が得られず、被圧延鋼材の機械
的特性が劣化することとなる。従って、仕上げ圧延前の
被圧延鋼材の温度を650〜900℃とした。
【0034】(E)前記したように、加工温度が725
℃以上で、且つ、既述の斜線領域Rより上部の領域で加
工(圧延)した場合に、結晶粒度が加工前の結晶粒度に
比べて微細で整粒の組織とすることができる。従って、
仕上げ圧延を725℃以上で、且つ斜線領域Rの上限の
曲線(前記したfn2=0)よりも上の領域、すなわち
fn2>0となる温度T及び相当歪εで行うこととし
た。
【0035】ところで、温度Tと相当歪εの上限値は所
望の寸法形状が得られるように適宜決定すれば良いが、
微細な整粒組織を安定して得るために、温度Tは900
℃以下とすることが好ましい。
【0036】(F)仕上げ圧延直後の被圧延鋼材の温度
が1000℃を超えると上の(D)と(E)で規定した
条件で加工(圧延)することで整粒組織にはなっても、
加工前と比べて組織(結晶粒度)はそれほど微細化せ
ず、場合によっては加工前と比べて却って粗粒化するこ
とがある。従って、仕上げ圧延直後の被圧延鋼材の温度
を1000℃以下とした。上記温度は900℃以下であ
ることが好ましい。なお、被圧延鋼材の表層部にマルテ
ンサイトが生成して機械的特性が劣化することのないよ
うにするには、この温度がMs点を超えるものであれば
良いが、これは上記した(E)の条件で加工すれば必然
的に満たされる。
【0037】上記の(D)〜(F)の条件で熱間加工
(圧延)を行えば圧延速度を落とす必要がないので効率
の良い生産が可能であり、又、特別な冷却設備を必要と
しないでオ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化、換言
すれば混粒化を防止すると共に仕上げ圧延前の結晶粒度
の微細化が図れる。
【0038】更に、この発明では特開平4−37130
1号公報に提案されている技術のように低減面率圧延の
前に常に減面率10%以上の加工を行うことを要さず
に、オ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化、換言すれ
ば混粒化を防止すると共に仕上げ圧延前の結晶粒度の微
細化が図れる。
【0039】以下、本発明を実施例によって更に詳しく
説明する。
【0040】
【実施例】表1に示す化学組成を有する鋼1と2を通常
の方法によって溶製した。なお鋼1、2はそれぞれJI
SのS45C、SCr420相当鋼である。なお、Ti
は不純物として含まれていたものである。
【0041】次いで、これらの鋼を通常の方法によって
鋼片となした後、1230℃に加熱してから1200〜
950℃の温度で直径30mmの丸棒に熱間鍛造し、そ
の後常温まで空冷した。
【0042】こうして得られた丸棒のD/4部位置(D
は丸棒の直径)から直径が8mmで長さが12mmの試
験片を切り出し、加工フォーマスター試験機(商品名:
サーメックマスターZ)を用いて、加工温度及び相当歪
が結晶粒粗大化に及ぼす影響に関して調査した。
【0043】すなわち、前記した試験片を950℃で3
00秒オ−ステナイト化した後、T=950、900、
850、800、750及び700℃の各温度に急冷
し、その温度で直ちに1〜10/秒の平均歪速度で圧縮
率0〜30%の圧縮加工を行い、加工後直ちに1℃/秒
の冷却速度で常温まで冷却した。ここで圧縮率0は加工
しなかったことを意味し、圧縮加工前の結晶粒度を調査
するために用いた。
【0044】上記の圧縮加工した試験片はその中心を通
る面で縦に切断し、縦断面を光学顕微鏡観察してオ−ス
テナイト結晶粒の局部的な粗大化、すなわち結晶粒度番
号で3以上の差の生ずる混粒発生の状況を調査した。
【0045】次いで、円柱状の試験片を圧縮加工した場
合の縦断面内歪分布を数値解析によって求め、上記の光
学顕微鏡観察結果と対比してプロットし、加工温度及び
加工歪と結晶粒の局部的な粗大化の関係を得た。なお、
歪には既述の相当歪εを用いた。
【0046】図1に鋼1に対する結果を示す。同図には
鋼1における既述の領域Rの境界となる2本の曲線も記
載した。図1において領域R内では混粒が発生してお
り、この領域における数値は混粒の大粒部のオ−ステナ
イト粒度番号を示す。又、領域Rから外れた領域では混
粒の発生は見られず、この領域における数値は整粒部の
オ−ステナイト粒度番号を示す。なお、圧縮加工前の結
晶粒度はJIS粒度番号で7.5であった。
【0047】この図1から、前記(1)の発明の方法で
加工すればオ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化、換
言すれば混粒化を防止できると共に加工前の結晶粒度を
維持できることが分かる。又、前記(2)の発明の方法
で加工すればオ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化が
防止できると共に加工前の結晶粒度の微細化が図れるこ
とも明らかである。
【0048】同様に、図2に鋼2に対する結果を示す。
同図には鋼2における既述の領域Rの境界となる2本の
曲線も記載した。なお、圧縮加工前の結晶粒度はJIS
粒度番号で8.0であった。この図2からも、前記
(1)の発明の方法で加工すればオ−ステナイト結晶粒
の局部的な粗大化を防止できると共に加工前の結晶粒度
を維持できることが明らかである。又、前記(2)の発
明の方法で加工すればオ−ステナイト結晶粒の局部的な
粗大化が防止できると共に加工前の結晶粒度の微細化が
図れることも分かる。
【0049】次に、鋼1の鋼片を用いて、表2に示す種
々の条件で実際に丸棒材の連続熱間圧延を行った。な
お、圧延材の仕上げ寸法は直径で43mm及び40mm
とし、仕上げ圧延での減面率を調整することで相当歪ε
を変化させた。圧延後は空冷により室温まで冷却した。
【0050】冷却後、各試験材を切断して断面を光学顕
微鏡で観察し、局部的な粗粒化(混粒)がどの程度発生
するかを調査した。結果を表2に併せて示す。
【0051】表2から、本発明方法で仕上げ圧延した丸
棒材では局部的な粗粒化(混粒)発生が全く無いか、発
生しても極めてわずか(10%)であることが明らかで
ある。これに対し、本発明で規定する条件を外れた方法
で圧延した場合には、断面内に局部的な粗粒化が40%
以上発生していた。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の鋼材の熱間圧延方法によれば、
オ−ステナイト結晶粒の局部的な粗大化、換言すれば混
粒化を防止できると共に、仕上げ圧延前の結晶粒度を維
持、あるいは更に微細化することが可能であるので産業
上の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた鋼1の加工温度及び相当歪が結
晶粒の局部的な粗大化に及ぼす影響を示す図である。
【図2】実施例で用いた鋼2の加工温度及び相当歪が結
晶粒の局部的な粗大化に及ぼす影響を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−71511(JP,A) 特開 昭57−165101(JP,A) 特開 昭64−4423(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/16 - 1/18 C21D 8/00 C21D 8/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼材の連続熱間圧延方法であって、仕上げ
    圧延前に被圧延鋼材の温度を650〜900℃となし、
    その後仕上げ圧延を下記式によるfn1<0、且つ7
    25℃以上となる温度T及び相当歪εで行い、且つ仕上
    げ圧延直後の被圧延鋼材の温度を900℃以下となすこ
    とを特徴とする鋼材の熱間圧延方法。但し、εは下記
    式によって定められる値である。 fn1= loge ε−K{(23/2)−(11/650)・T}・・・・ ε={(ε1 2 +ε2 2 +ε3 2 )×2/3}1/2 ・・・・ ここで、εは相当歪、Tは温度(℃)、Kは定数であ
    る。但し、Xを元素Xの重量%での含有量とした時、
    (i)Ti−(48N/14)≧0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −[{Ti−(48N/14)}/48]−(N/14)+(Al/27) (ii)Ti−(48N/14)<0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −(N/14)+(Al/27) である。又、ε1 、ε2 、ε3 は主方向の対数歪であ
    る。
  2. 【請求項2】鋼材の連続熱間圧延方法であって、仕上げ
    圧延前に被圧延鋼材の温度を650〜900℃となし、
    その後仕上げ圧延を下記式によるfn2>0、且つ7
    25℃以上となる温度T及び相当歪εで行い、且つ仕上
    げ圧延直後の被圧延鋼材の温度を1000℃以下となす
    ことを特徴とする鋼材の熱間圧延方法。但し、εは請求
    項1に記載の式によって定められる値である。 fn2= loge ε−K{(23/6)−(33/5200)・T}・・・・ ここで、εは相当歪、Tは温度(℃)、Kは定数であ
    る。但し、Xを元素Xの重量%での含有量とした時、
    (i)Ti−(48N/14)≧0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −[{Ti−(48N/14)}/48]−(N/14)+(Al/27) (ii)Ti−(48N/14)<0の場合、 K=C-0.1+(Si/10)+(Mn/12)−(Cr/5)−(Mo/10) −(N/14)+(Al/27) である。
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