JP3006321B2 - ウェット鮮映性測定装置 - Google Patents

ウェット鮮映性測定装置

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JP3006321B2
JP3006321B2 JP4307354A JP30735492A JP3006321B2 JP 3006321 B2 JP3006321 B2 JP 3006321B2 JP 4307354 A JP4307354 A JP 4307354A JP 30735492 A JP30735492 A JP 30735492A JP 3006321 B2 JP3006321 B2 JP 3006321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウェット塗装面の鮮映
性を測定し、該ウェット塗装面の鮮映性からドライ塗装
面の鮮映性を推定するウェット鮮映性測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塗装面の鮮映性は塗装面の平滑性、肉持
ち性、光沢性で判断されるが、従来の鮮映性測定装置
は、塗料を塗装した直後の未乾燥状態であるウェット状
態の塗装表面の鮮映性を測定するものでなく、塗装した
塗料が乾燥したドライ塗装面の鮮映性を測定するもので
ある。
【0003】塗装面の鮮映性の測定は、測定した鮮映性
から塗装した表面が所望の鮮映性を有しているか否かを
判定し、所望の鮮映性になっていない場合には、所望の
鮮映性が得られるように塗装工程をフィードバック制御
するために行うものであるため、迅速なフィードバック
制御を行うには、塗装直後に鮮映性を測定し得ることが
望ましい。従って、ドライ塗装面の鮮映性を測定する鮮
映性測定装置では、塗装面が乾燥するまでに例えば数時
間以上経過するため、迅速なフィードバック制御を行う
ことができず、ドライ塗装面から鮮映性を測定した時に
は、所望の鮮映性でない塗装が施されたものが多数発生
しているということも場合によっては有り得ることにな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の鮮映性測定装置
は、ドライ塗装面の鮮映性を測定するものであるため、
上述したように迅速なフィードバック制御を行うことが
できず、塗装品質の安定化および向上を十分図ることが
できないという問題がある。
【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、塗装直後のウェット状態の塗
装面の鮮映性を測定し、このウェット塗装面の鮮映性か
らドライ塗装面の鮮映性を推定し得るウェット鮮映性測
定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のウェット鮮映性測定装置は、塗料を塗装し
た直後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像する撮像手段と、
該撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手段
と、塗装条件を入力する入力手段と、前記画像処理手段
で画像処理された画像情報に基づいてウェット塗装面の
鮮映性を算出するウェット鮮映性算出手段と、前記ウェ
ット塗装面の鮮映性および前記塗装条件からドライ塗装
面の鮮映性を推定するドライ鮮映性推定手段とを有する
ことを要旨とする。
【0007】
【作用】本発明のウェット鮮映性測定装置では、塗装直
後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像した画像情報を画像処
理し、この画像処理された画像情報に基づいてウェット
塗装面の鮮映性を算出し、このウェット塗装面の鮮映性
および塗装条件からドライ塗装面の鮮映性を推定してい
る。
【0008】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。
【0009】図1は、本発明の第1の実施例に係わるウ
ェット鮮映性測定装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すウェット鮮映性測定装置は、塗装を施される
被塗装物1に対向して設けられ、被塗装物1の塗装表面
を撮像して、表面の粗さ情報を得る撮像部2を有する。
なお、本実施例では、該撮像部2は静電気対策として防
爆仕様のものであり、また被塗装物1には上塗り塗料を
塗布されている。
【0010】前記撮像部2は、図2に詳細に示すよう
に、光源31、明暗パターン板32、反射鏡33、レン
ズ34、CCDカメラ35から構成され、該撮像部2で
撮像された被塗装物1の表面の粗さ情報は画像処理部3
に供給される。
【0011】前記撮像部2で撮像された被塗装物1の表
面の粗さ情報は画像処理部3に供給される。画像処理部
3は、各種画像処理プログラム、画像解析シーケンスプ
ログラム、波形解析プログラム等から構成され、撮像部
2から供給された表面粗さ情報を画像処理し、ウェット
鮮映性演算部4に供給される。
【0012】ウェット鮮映性演算部41は、画像処理部
3からの画像処理データに基づいてウェット塗装面の鮮
映性、すなわち平滑性、肉持ち性、光沢性からなる鮮映
性を算出し、この鮮映性をドライ鮮映性演算部61に供
給する。このドライ鮮映性演算部61は、ウェット鮮映
性演算部41から供給されたウェット塗装面の鮮映性お
よび入力装置8から供給される塗装色等を含む塗装条件
に基づいて後述するように最終塗装品質であるドライ塗
装面の鮮映性を推定する。以上の算出されたウェット塗
装面の鮮映性およびドライ塗装面の鮮映性の情報は表示
器10およびプロッタ11に出力されるとともに、最適
塗装システムに供給され、迅速なフィードバック制御が
塗装工程に対して行われる。
【0013】次に、ウェット塗装面の鮮映性とドライ塗
装面の鮮映性の比較について説明する。
【0014】まず、鮮映性のうちの平滑性について説明
する。ウェット塗装面の平滑性は図3に示すように塗布
直後は数値は低いが、時間とともに平滑化理論に従って
徐々に数値が上昇する。この傾向は乾燥後においても基
本的に継続する。従って、ウェット塗装面での平滑性目
標値はドライ塗装面の値に対して小さくなり、ウェット
塗装面の平滑性をHw とし、ドライ塗装面の平滑性をH
d とすると、次式に示すようになる。
【0015】 Hd =K1 ・Hw …(1) ここで、K1 はウェット平滑性係数であり、1より大き
な値である(K1 >1)。また、ウェット塗装面の平滑
性の目標値は次のようになる。
【0016】 Hw ≧0.5 …(2) なお、K1 は予め塗装色などの塗装条件に対応させて記
憶されている。
【0017】次に、肉持ち性について説明する。ウェッ
ト塗装面の肉持ち性は図4に示すように塗布直後から数
値が大きくなっているが、乾燥後は逆に焼付け時の肌荒
れのために肉持ち性は低下する。従って、ウェット塗装
面の肉持ち性の目標値はドライ塗装面の値よりも高くな
り、ウェット塗装面の肉持ち性をNw とし、ドライ塗装
面の肉持ち性をNd とすると、次式に示すようになる。
【0018】 Nd =K2 ・Nw …(3) ここで、K2 はウェット肉持ち性係数であり、1より小
さい値である(K2 <1)。また、ウェット塗装面の肉
持ち性の目標値は次のようになる。
【0019】 Nw ≧1.0 …(4) なお、K2 は予め塗装色などの塗装条件に対応させて記
憶されている。
【0020】光沢性、すなわち艶性について説明する。
ウェット塗装面の艶性は図5に示すように肉持ち性と同
様に塗布直後の方が数値的に大きいが、乾燥後は焼付け
による肌荒れのために艶性は低下する。ウェット塗装面
の艶性をTw とし、ドライ塗装面の艶性をTd とする
と、次式に示すようになる。
【0021】 T =K ・T …(5) ここで、K はウェット艶性係数であり、1より小さ
い値である(K 1)。また、ウェット塗装面の艶
性の目標値は次のようになる。
【0022】 Tw ≧0.6 …(6) なお、K3 は予め塗装色などの塗装条件に対応させて記
憶されている。
【0023】次に、図1に示すウェット鮮映性測定装置
の作用を説明する。
【0024】撮像部2によって被塗装物1の塗膜表面を
撮像して、塗料塗布後の時間tにおける塗装表面情報を
測定すると、この情報は画像処理部3に入力されて、2
値化処理、FFT解析等の画像処理を行われ、ウェット
鮮映性演算部41に供給される。
【0025】ウェット鮮映性演算部41は、画像処理部
3からの画像処理情報に基づいてウェット塗装面の鮮映
性を算出する。この算出方法は、ランレングス法(スリ
ット幅の標準の偏差、平均より求める方法)、濃度勾配
法(スリット縦縞の濃淡ベクトルより求める方法)、光
パワースペクトル積分値Pi 等を用いる方法等がある。
【0026】ウェット鮮映性演算部41で算出されたウ
ェット塗装面の鮮映性情報および入力装置8からの色の
指定等を含む塗装条件はドライ鮮映性演算部61に供給
される。ドライ鮮映性演算部61は、このウェット塗装
面の鮮映性から、上述したウェット塗装面の鮮映性とド
ライ塗装面の鮮映性の比較で説明した両者の相関性を利
用して、すなわち上述したウェット塗装面の鮮映性とド
ライ塗装面の鮮映性を記述した(1),(3),(5)
式を利用して、最終塗装品質であるドライ塗装面の鮮映
性を推定する。このように推定されたドライ塗装面の鮮
映性は表示器10、プロッタ11に出力されるととも
に、最適塗装システムに供給される。
【0027】次に、図6を参照して、本発明の第2の実
施例について説明する。
【0028】図6に示す実施例は、図1に示した第1の
実施例における画像処理および鮮映性の検出を高い信頼
性で迅速に行う塗装面性状検査装置を構成しているもの
である(特願平4−52917号参照)。
【0029】この実施例の塗装面性状とは上述したよう
に塗装面の平滑感、肉持ち感、光沢感からなる鮮映性を
示すものであるが、この3種類の各要素について更に詳
しく説明すると、平滑感は塗装面における比較的大きな
うねり状の歪みがどの程度であるかを示したものであ
り、肉持ち感は塗装面における非常に細かな凹凸の存在
がどの程度であるかを示したものであり、光沢感は塗装
面における明暗差がどの程度の大きさで再現されるかを
示したものである。
【0030】図6に示す実施例では、以下に詳細に説明
するように、塗装面の平滑感および肉持ち感は抽出した
輪郭線に一次元の画像処理を施すことにより算出し、光
沢感は入力画像の明暗差を検出することにより算出して
いる。このように定量的な測定を行なうことが容易にで
きるようになるために、測定の信頼性が向上することに
なる。つまり、たとえ素人がこの装置によって測定を行
なった場合であっても、信頼性の非常に高い評価を行な
うことができるようになる。さらにこの評価を得るため
の画像処理は輪郭線に基づいて行なっているので、一次
元の処理を行なうのみで良く、その処理の高速化をも図
ることができるようになる。また、メモリ容量が格段に
少なくて済むので、装置の小形化と低コスト化を図るこ
とも可能となる。
【0031】以下、図面を用いて第2の実施例を説明す
る。図6はこの第2の実施例の塗装面性状検査装置を構
成する測定ヘッドの構造図で、同図(A)は主にその内
部構造を示す正面図、同図(B)はその底面図である。
【0032】塗装面性状測定装置を構成する測定ヘッド
125は小型軽量のハンディータイプの測定ヘッドであ
って、光の出入口となる開口112をもつケーシング1
11を備えている。このケーシング111内には、投光
側に光源102、半拡散板103、ストライプ格子10
4、鏡110および凸レンズ105が、また受光側には
CCDカメラ106を構成する受光レンズ107、絞り
108およびCCD素子109が順にそれぞれ光軸を基
準として配列収納されている。光源102はハロゲン電
球102と反射鏡102bで構成され、また、ストラ
イプ格子104は例えばストライプパターンが印刷され
たガラス板からなっている。こうして、投光側からスト
ライプパターンが塗装面101に照射されその反射光が
受光側のCCDカメラ106によって撮像されるように
なっている。なお、CCDカメラ106で撮像された反
射ストライプパターンは内蔵モニター113の画面に表
示されるとともに外部コネクター114を介して鮮映性
を数値化し記録する画像処理装置130に出力されるよ
うになっている。一方、ケーシング111の開口112
は透明板たる透明ガラス115で密閉され、またケーシ
ング111の底面にはそれぞれ伸縮自在で先端が旋回自
在の四本の自由足116が取り付けられている。
【0033】概略以上のような構造をもつ測定ヘッド1
25の各構成要素の詳細について以下に順に説明する。
【0034】まず測定ヘッド112の光学系から説明す
る。絞り108は回折限界まで絞られた直径0.2〜
0.3mm程度のピンホール絞りであって、同じCCDカ
メラ106内の受光レンズ107とCCD素子109の
間に配置されている。この非常に小さい絞り108によ
って、結像がぼける原因となる望ましくない光束がすべ
て遮光されるため、焦点を合わせた被写体面の前後どこ
でも結像として鮮明にとらえることができるようにな
り、被写界深度が飛躍的に大きくなる。そして、この絞
り108による被写界深度の飛躍的増大によって、被写
体の位置がどこであろうとピントが合うようになり、受
光レンズ107を移動させたりその焦点距離を変えたり
することなくストライプ格子104と塗装面101の両
方にピントを合わせることができるようになる。その結
果後述するような塗装面101のうねりの大小に対応す
る鮮映性の三質感(平滑感、肉持感、光沢感)を同時に
精度良く測定することができるようになる。この他、絞
り108により被写界深度が著しく増大したことで、感
度のさらなる向上および感度の調節が可能になり、また
測定ヘッド125を塗装面101から離しての非接触の
測定が可能になる。なお、ピンホール108の直径を回
折限界以下に小さくすると回折現象によって解像度が低
下するため、好ましくない。
【0035】次に投光側の光学系について説明する。こ
の光学系に含まれる凸レンズ105は感度を上げるため
ストライプ格子104を疑似的にできるだけ遠くに置く
ようにするためのものであって、この凸レンズ105を
入れることによってストライプ格子104を無限遠にあ
るように見せかけることが可能になり、感度を上げつつ
装置125を小型化できるようになっている。さらに、
前述のように絞り108によって被写界深度が極めて大
きくピントがどこにでも合うため、凸レンズ105との
関係においてストライプ格子104を任意の適当な位置
に置くことができ、ストライプ格子104の位置を適当
に調節すれば人間にはぼけて見えないけれどもストライ
プ格子104を塗装面101から疑似的に無限遠以上に
離すことが可能になる。これによって感度がさらに一層
向上する。また、本実施例では、鏡110を設けて光路
をかせぎ、より一層装置の小型化を図っている。
【0036】また光源102はハロゲン電球102
反射鏡102bの焦点よりも若干遠くに配置し、光がい
ったん集光した後広がる集光型の光源を構成している。
これは、塗装面101は通常曲面であるため、従来の平
行光線を発するスポット型の光源では照射面の端が中心
部に比べて暗くなりがちであるため、照射面の端の光量
を増加させて曲面に対してより安定した明るさを確保す
るためである。この集光型光源102の配光角はたとえ
ば40°以上であり、スポット型のもの(配光角0〜1
0°)に比べ大きくなっている。
【0037】光むらを解消させるための半拡散板103
は、従来使用していた拡散板と違って小さな散乱角の範
囲内で入射光を拡散透過させるもので、例えばすりガラ
スやピントガラス等を使用する。この半拡散板103
は、光源102からの光の集光点Cの手前に配置する。
拡散板と半拡散板との光軸上での光透過率を比較する
と、拡散板で約45%、半拡散板で約85%(ともに実
測値)である。このように、半拡散板は拡散板と異なり
光を直進させる作用をある程度有するため、ストライプ
格子104に照射される光軸方向の光量の減少は比較的
小さくてすむ。そのため、半拡散板103を用いること
によって従来より小さな容量の光源102で測定に必要
な明るさを確保することができる。また、図示するよう
に三枚の半拡散板103を使用してむらを十分になくす
ようにしている。このように適当な枚数の半拡散板10
3を使用することにより、光量を確保しつつむらのない
光をストライプ格子104に照射することができる。
【0038】次にこの測定ヘッド125の構造について
説明すると、まず、光の出入口としてのケーシング11
1の開口112に透明ガラス115が取り付けられ、測
定ヘッド125自体が密閉構造になっている。これによ
り、塵等が測定ヘッド125内部に侵入して光学系を汚
染し装置の性能低下をきたすことが防止される。なお、
このとき、測定ヘッド125は自由足116により塗装
面101から離れた位置に支持されるため、図に示す
ようにガラス面からの反射光はCCDカメラ106に入
射しない。そのため、開口112を透明ガラス115で
塞いでも測定は可能である。この他、直接塗装面101
に接触させて測定するタイプの装置の場合には、図示し
ないが、ガラス面が光軸に対して直角になるようガラス
を逆V字形に配置して密閉すれば、結像に望ましくない
ガラス面での反射はなくなるため、ガラスで密閉しても
測定することができる。
【0039】また、測定ヘッド125の底面には四本の
自由足116が取り付けられている。この自由足116
は、先端がボールジョイントの旋回自在のスイベル式の
足先で、しかも脚部がばね内蔵の伸縮自在の構造をもっ
ている。先端部にはフェルトが取り付けられており、測
定時に塗装面101を傷つけないように配慮している。
また、ばねは測定ヘッド125を塗装面101の上に置
いただけでは縮まず、ヘッド125の自重より大きな力
が加わったとき、すなわち押したときに縮むようなばね
定数を有している。このように自由足116は足先が旋
回自在のスイベル式でしかも脚部が押すと縮む伸縮自在
のものであるため、塗装面101がどんな曲面であって
も足先の向きと脚部の長さを適当に調節することにより
塗装面101からの反射光を常にCCDカメラ106で
とらえることができる。なお、このように足116を設
けることで測定に際しヘッド125を塗装面101から
離すことができるが、前述のようにCCDカメラ106
内の絞り108は回折限界程度と非常に小さいので、開
口112からの外乱光は絞り108によりほとんど遮断
され、外乱光による影響はなくなり、したがって測定ヘ
ッド125を塗装面101から離して測定することが可
能になる。
【0040】さらに、本実施例では、操作スイッチ取付
基板120にタイマー回路が組み込まれており、一定時
間操作スイッチが操作されないと自動的に光源102や
CCDカメラ106、モニター113等の内部機器への
電源供給が切れ、操作スイッチが操作されると直ちに電
源が入るようになっている。
【0041】以上のように構成されている測定ヘッド1
25のCCDカメラ106によって入力された画像は、
前述の画像処理装置130によって次のようにして処理
されることになる。以下、ここでの処理を図7に示すフ
ローチャートに基づき図8以降の図を参照しながら説明
する。
【0042】本実施例の塗装面性状検査装置において
は、塗装面性状の測定に際して最適な画像が得られるよ
うに、測定画像を入力する前処理として入力すべき画像
の大きさと位置とを設定する処理が行われる。このよう
な処理を行なうこととしているのは、塗装面の曲率に応
じて得られる入力画像が異なることに鑑み、この曲率に
影響されないような画像を入力するためである。この処
理は、以下のS1〜S5のステップにおいて行われる。
【0043】まず、CCDカメラ106から入力された
多値化画像は、画像処理装置130に入力されてその装
置130内に設けられているメモリに記憶される。記憶
される画像の一例としては図8(A)に示されるような
ものである。つまり、塗装面で反射されたストライプの
反射光に応じた画像が入力される。この画像は、塗装面
が平坦である場合には、出力されたストライプ画像の相
似型の画像がCCDカメラ106に入力されることにな
るが、塗装面が曲面である場合には、入力される画像は
その曲率に応じて拡大、縮小、さらには変型した画像と
なってしまう。また、塗装面の曲率が大きい場合には、
像の位置がCCDカメラ106の視野内を移動してしま
うというようなことも起こりうる。この移動によって像
の位置が視野内から外れるというようなことがあると、
測定に必要とされるデータの収集が不十分となって測定
結果の信頼性に悪影響を与えることになる。このため、
以下に記されているような、ストライプ像の位置を追跡
し、測定窓の大きさを変えるという処理を行なう。
【0044】まず、メモリに記憶された画像を呼び出し
て、図8に示してあるようなカメラ視野Aの楕円度を演
算する。これと同時に、カメラ視野A内に存在している
ストライプ像の光重心演算を行なう。楕円度の演算は、
測定窓の輪郭線を抽出してこの直径の最大値と最小値と
に基づいて行なっている。また、光重心演算は、従来か
ら行われている一般的な手法であるのでここではその処
理の説明は省略する(S1,S2)。次に、この光重心
演算の結果に基づいてストライプ画像の中心位置を求め
る。この演算を行なうのは、次の測定窓の大きさを決定
する処理において、その測定窓の中心位置を決定するた
めである(S3)。そして、上記の処理において求めた
楕円度とストライプ画像の中心位置とに基づいて、測定
窓の大きさと位置とを決定する。例えば以上の測定の結
果、カメラ視野Aが図8(A)のようにほぼ円形である
場合には、測定窓Bは同図のように設定され、一方、カ
メラ視野(A)が図9のように楕円である場合には、測
定窓Bは同図のように設定されることになる(S4)。
【0045】以上の処理が終了すると、塗装面性状検査
処理が行われることになる。
【0046】まず、メモリに記憶されているストライプ
画像を呼び出して、所定の閾値で二値化する。例えばス
トライプ画像の一例としては、図10(A)に示されて
いるような画像である(S5)。平滑感を求めるには、
この二値化された画像から輪郭線を抽出する処理が行わ
れ、図10(B)に示すような画像を得る(S6)。こ
のままでは非常にギザギザした線であるので、これを平
滑化する処理を行なって図10(C)に示すような画像
を得る(S7)。次に、この平滑化した輪郭線の各構成
画素毎に法線の方向を求める。つまり、図10(D)に
示すような方向の算出処理を行なう。さらに詳細には、
輪郭線を構成する画素毎に法線の方向を求める。この方
向は、非常に多くのものとなる(S8)。そして、この
ようにして求められたたくさんの方向を統計処理して、
方向のばらつきが少ないもの、すなわち収束性のあるも
のは平滑感が良好であり、一方、ばらつきの大きなも
の、すなわち発散性の認められるものは平滑感が不良で
あると判断する(S9,S10)。
【0047】一方、肉持ち感を算出するには、この二値
化された画像から輪郭線の幅を抽出する処理が行われ
る。正常であるならば、塗装面を反射したストライプと
同一の幅のものしか検出されないはずであるが、肉持ち
感が悪い場合には、細かな小島がストライプ内に混在す
ることになるので、その小島に対応した幅のものが検出
される。したがって、幅の抽出とは、どの程度大きさの
小島が何個存在しているかを認識させるための前段階の
処理であるといえる(S11)。次に、上記の処理にお
いて抽出されたストライプ幅のデータから、所定値以
下、例えば0.5mm以下のものを取り出してその数の存
在割合を求める。この割合に基づいて肉持ち感を算出す
る(S12〜S14)。
【0048】また、光沢感を測定するには、まず、測定
窓を介して入力した画像の各水平ライン毎に最も明るい
部分と最も暗い部分の輝度差を求める。つまり、画像に
対して、位置と輝度との関係のグラフを作成して、その
グラフ中の輝度の最大のものと最少のものとの差を求め
る(S15)。この処理を全ての水平ラインについて行
なって、測定窓の領域内におけるデータの平均を求める
(S16)。以上の処理によって得られた輝度差に応じ
て光沢感を求める。尚、輝度差と光沢感との関係は、相
関関係が明らかとなっているので、その算出の演算は非
常に単純である(S17)。
【0049】なお、上述した実施例を示す図6におい
て、測定ヘッド125は図1の撮像部2に対応してい
る。また、図6の画像処理装置130は、図1の画像処
理部3及び表示器10に対応している。また、図6の画
像処理装置130の処理を示す図7の処理フローのう
ち、S1〜S5までが図1の画像処理部3の処理に対応
する。更にS6〜S17までが図1の演算部41の処理
に対応する。
【0050】また、画像処理装置130は、ウェット鮮
映性を算出する構成となっているが、前出の図1に示す
演算部61の処理機能を付加することで、ドライ鮮映性
を推定することができる。そして、このようなことか
ら、本実施例を図1に示す第1の実施例への適用も可能
である。
【0051】次に、図11を参照して、本発明の第3の
実施例について説明する。
【0052】図11に示す第3の実施例に係わるウェッ
ト鮮映性測定装置は、図1に示した実施例におけるウェ
ット塗装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を推定す
るウェット鮮映性測定装置に対してパワースペクトル積
分値演算部21、ウェット膜厚演算部22、ドライ塗膜
厚演算部23、塗装性判断部63および塗装条件制御シ
ステム65を追加し、これによりウェット塗膜厚からド
ライ塗膜厚を推定し、これらの塗膜厚と前記鮮映性とか
ら塗装性を判断し、最適塗膜厚を算出するとともに、こ
の最適塗膜厚に対するドライ塗装膜厚の偏差を算出し、
この偏差を塗装条件としてフィードバックするように構
成した点が異なるものであり、図1に示す構成要素と同
じ構成要素には同じ符号を付している。
【0053】図11の実施例において、撮像部2からの
画像処理された表面粗さ情報はウェット鮮映性演算部4
1およびパワースペクトル積分値演算部21に供給され
る。
【0054】ウェット鮮映性演算部41は、画像処理部
3からの画像処理データに基づいてウェット塗装面の鮮
映性、すなわち平滑性、肉持ち性、光沢性からなる鮮映
性を算出し、この鮮映性をドライ鮮映性演算部61に供
給する。このドライ鮮映性演算部61は、ウェット鮮映
性演算部41から供給されたウェット塗装面の鮮映性お
よび入力装置8から供給される塗装色等を含む塗装条件
に基づいて最終塗装品質であるドライ塗装面の鮮映性を
推定し、このドライ塗装面の鮮映性およびウェット塗装
面の鮮映性を塗装性判断部63に供給する。
【0055】一方、パワースペクトル積分値演算部21
は、画像処理部3からのパワースペクトルデータから粗
さ相当のパワースペクトル積分値Pi および長波長λを
算出し、ウェット膜厚演算部22に供給する。ウェット
膜厚演算部22は、該パワースペクトル積分値Pi およ
び長波長λに加えて、入力装置8から入力される塗装条
件に基づき、パワースペクトルPを使用した平滑化理論
式を用いてウェット塗装膜厚hを算出する。このウェッ
ト塗膜厚hは、ドライ塗膜厚演算部23に供給され、入
力装置8から塗装条件の塗着塗料固形分割合情報、すな
わち塗着NV情報(ノンボラ情報)とにより、ドライ塗
膜厚h’が推定され、このドライ塗膜厚h’およびウェ
ット塗膜厚hは塗装性判断部63に供給される。
【0056】塗装性判断部63は、ドライ鮮映性演算部
61から供給されたドライ塗装面の鮮映性およびウェッ
ト塗装面の鮮映性およびドライ塗膜厚演算部23から供
給されたドライ塗膜厚h’およびウェット塗膜厚hに基
づいて、塗装面の塗装性(品質)を判定し、最適塗膜厚
を算出するとともに、この最適塗膜厚に対するドライ塗
膜厚h’の偏差を算出する。そして、この塗膜厚偏差情
報を塗装条件制御システム65に供給するとともに、該
塗膜厚偏差、ドライ塗膜厚、ウェット塗膜厚、ドライ塗
装面の鮮映性、ウェット塗装面の鮮映性に関する情報を
表示器10およびプロッタ11に出力し、それぞれ表示
および印刷する。
【0057】塗装条件制御システム65は、塗装性判断
部63から供給された塗膜厚偏差情報に基づいて例えば
塗装条件を制御し、これにより最適塗膜厚および塗装性
が得られるようにフィードバック制御する。
【0058】なお、ウェット塗装品質の判定は、鮮映性
の平滑性、肉持ち性、光沢性のそれぞれについて前述し
た(2),(4),(6)式の目標値に対して判定し、
塗装品質を鮮映値または良否で判定する。また、最適塗
膜厚値の算出は、実際の製造ラインにおいて図3〜図5
のような各鮮映性のウェットとドライの相関を取り、か
つその時の塗膜厚を計測することにより、塗装鮮映性の
目標値を確保し、実現可能な最も薄い塗膜厚を最適塗膜
厚ho とする。図3〜図5の例では、目標とする最適塗
膜厚ho =40〜45μm程度である。従って、目標鮮
映性をクリアした塗装面の塗膜厚がhである場合、塗膜
厚偏差は次式のようになる。
【0059】 Δh=h−ho …(7) そして、この塗膜厚偏差ho が塗装条件制御システム6
5にフィードバックされることになる。
【0060】なお、上述した各実施例では、ウェット塗
装膜厚を算出するのにパワースペクトルを使用した平滑
式理論を利用した方法について説明しているが、ウェッ
ト塗装膜厚を算出する方法は、この方法に限るものでな
く、例えば塗装表面の粗さのピークツゥピーク値を使用
する方法、塗装表面の粗さ度を使用する方法、平滑化初
期値を使用する方法等の種々の方法を利用することがで
きるが、次にこれらの各方法について説明する。
【0061】図12は、本発明の第4の実施例の構成を
示すブロック図であり、この実施例はウェット塗装膜厚
を塗装表面の粗さのピークツゥピーク値を使用して測定
するものである。
【0062】図12に示すウェット塗膜厚測定装置の構
成を説明する。図12において、塗装を施される被塗装
物1には対向して粗さ測定手段を構成している非接触光
干渉式表面粗さ計4が設けられている。なお、本実施例
でも、被塗装物1には上塗り塗料を塗布している。
【0063】表面粗さ計4は、図13に示すように、光
源13から発生する光がピンホールおよび開口部を通
り、ハーフミラーに当たって下方に反射され、対物レン
ズ15、参照面16、ビームスプリッタを通り、被塗装
物1の表面に当たって上方に反射され、ビームスプリッ
タ、参照面16、対物レンズ15を通った後、ハーフミ
ラーを上方に通過し、フィルタを通ってCCDセンサ1
2で受信され、これにより被塗装物1の表面の粗さ情報
を得るように構成されている。
【0064】表面粗さ計4からの被塗装物1の表面粗さ
情報は、コントローラ9を構成する画像処理装置5に供
給され、ここで座標化、座標変換が行われた後、塗膜粗
さ平滑性演算処理装置6に供給される。
【0065】塗膜粗さ平滑性演算処理装置6は、画像処
理装置5から供給される表面粗さ画像情報から表面粗さ
平滑性情報、すなわち凹凸のピークツゥピーク(p−
p)値aおよび凹凸の波長λを演算し、膜厚演算処理装
置7に供給する。また、この膜厚演算処理装置7には入
力装置8から揮発成分等の含有量等を含む塗料の成分情
報が入力され、これにより膜厚演算処理装置7は後述す
るウェット塗装膜厚計測法に基づいて塗装膜厚を算出
し、この算出した塗装膜厚を表示器10およびプロッタ
11に出力する。なお、前記画像処理装置5、塗膜粗さ
平滑性演算処理装置6および膜厚演算処理装置7がコン
トローラ9を構成している。
【0066】ここで、膜厚演算処理装置7は、ウェット
塗装膜厚を算出する構成となっているが、前出の図11
に示す演算部23の処理機能を付加することで、ドライ
塗装膜を推定することができる。そして、このようなこ
とから、本実施例を図11に示す第3の実施例への適用
も可能であることは言うまでもない。
【0067】次に、図14に示すフローチャートを参照
して、図12に示す実施例の作用を説明する。
【0068】図14においては、まず表面粗さ計4によ
って塗料を塗布された直後の時間t1 において被塗装物
1の表面に光を照射し、その反射光を受光して、被塗装
物1の表面の粗さ情報を得るが、この処理は表面粗さ計
4において光源13から光を発生し(ステップ11
0)、分光部で分光し(ステップ120)、被塗装物1
の塗装表面を照射し(ステップ130)、該塗装表面か
らの反射光を測光部で測光し(ステップ140)、これ
により時間t1 における画像情報、すなわち被塗装物1
の表面粗さ情報を入手し(ステップ150)、この画像
情報をメモリに記憶する(ステップ160)という手順
にて行われる。
【0069】この表面粗さ情報の入手は、時間t1 に続
いて、時間Δt後の時間t2 (=t1 +Δt)において
も繰り返して行われ、これにより時間t1 ,t2 におけ
る被塗装物1の表面粗さ情報が測定され、画像情報とし
てメモリに記憶される。この画像情報は画像処理装置5
に供給され、該画像処理装置5において座標化および座
標変換が行われる(ステップ170)。
【0070】次に、画像処理装置5において座標化およ
び座標変換された画像情報である被塗装物1の表面粗さ
情報は、塗膜粗さ平滑性演算処理装置6に供給され、こ
こで被塗装物1の表面粗さ情報から前記時間t1 ,t2
における表面の凹凸のピークツゥピーク値a、波長λが
算出される(ステップ180)。そして、この算出され
た時間t1 ,t2 における表面凹凸のピークツゥピーク
値aおよび波長λは、前記入力装置8から入力される塗
料の成分等の塗装条件とともに(ステップ190)、膜
厚演算処理装置7に入力され、塗装膜厚hが算出され
(ステップ200)、この算出された塗装膜厚hは前記
表示器10に表示されるとともに、プロッタ11で印刷
される(ステップ210)。
【0071】次に、前記ステップ180における塗膜粗
さ平滑性演算処理装置6による被塗装物1の表面の凹凸
のピークツゥピーク値aおよび波長λの算出処理および
ステップ200における膜厚演算処理装置7による塗装
膜厚hの算出処理について図15以降を参照して説明す
る。
【0072】被塗装物1の表面に塗料を塗布した直後の
ウェット状態の塗装表面は粗さの大きい凹凸状であり、
この表面状態は図15(a),(b)に示すように表面
の凹凸aおよび波長λで表すことができる。
【0073】図15(a)に示す塗布直後のウェット状
態の表面凹凸は、上述したように、時間とともに平滑化
されていくが、この表面平滑化の動特性は、図15
(a)のようにこのウェット状態における塗装膜厚の平
均値をh、塗料の粘度をη、塗膜の表面張力をγ、表面
の凹凸初期値をao とすると、次式で一般に表される。
【0074】
【数1】 da/dt=(−h γ)/(3η)×(2π/λ) a …(8) a=a ・exp −t/τ …(9) τ=3ηλ /(16π ×γh ) …(10) 実際には塗料塗布後の塗膜粘度は霧化エア圧、溶剤、塗
布前粘度、温度等が一定の条件のもとに図16のように
一例として表される。なお、図16において、横軸は塗
料塗布後の経過時間であり、縦軸は塗膜粘度ηを示し、
η およびη はそれぞれ塗布前の粘度値および塗料
付着直後の初期粘度値を示す。
【0075】従って、図16に示すように、塗料塗布直
後の粘度は時間とともに変化するため上式(8)〜(1
0)の粘度ηは次式のような補正値を使用する必要があ
る。
【0076】 η=η1 +Kt …(11) なお、η1 >η0 であり、Kは1.0よりはるかに小さ
な係数である(K《1.0)。
【0077】図17のウェット膜厚の平滑化動特性に示
すように、塗料塗布直後の時間t,t における塗
装表面の凹凸のピークツゥピーク値がそれぞれa
であり、凹凸の波長がλ12である場合、次式のよ
うになる。なお、時間t ,t での波長λ ,λ
は、λ =λ =λ 12 となる関係を有することとす
る。
【0078】
【数2】 a1 =a0 exp (−t1 /τ1 ) …(12) τ1 ={3×η(t1 )×λ12 4 }/(16π4 ×γ×h3 )…(13) a2 =a0 exp (−t2 /τ2 ) …(14) τ2 ={3×η(t2 )×λ12 4 }/(16π4 ×γ×h3 )…(15) 上式(12)〜(15)から塗装膜厚hを求めると、
(12)式を(14)式で割って、次のようになる。
【0079】
【数3】 a1 /a2 =exp (−t1 /τ1 +t2 /τ2 ) …(16) 1na1 /a2 =(−t1 /τ1 +t2 /τ2 ) …(17) そして、(13),(15),(17)式から塗装膜厚
hが次式のように求まる。
【0080】
【数4】 h={(1na /a )/(−t /τ '+t /τ ')}1/3 …(18) τ '=(3η ×λ12 )/(16π γ) …(19) τ '=(3η ×λ12 )/(16π γ) …(20) これらの式(18)〜(20)から、塗料塗布直後の時
間t ,t における塗装表面の粗さa,a
よび波長λ 12 を測定することにより、塗装膜厚hを
算出することができる。
【0081】同様に、(8)式をda/dt=(a2
1 )/(t2 −t1 )とし、(11)式を加えて、塗
装膜厚hを算出することも可能である。
【0082】
【数5】 なお、測定系により(18)式または(21)式のいず
れを使用するかの選択が必要である。
【0083】図18は上塗り塗料での測定値を理論値と
比較したグラフである。塗布後60〜100秒における
平滑化動特性は理論値と測定値がかなり近い値となって
おり、膜厚値も(18)式から求めると、約38〜40
μであり、実測値にほぼ近い値となっている。
【0084】次に、図19を参照して、本発明の第5の
実施例について説明する。
【0085】図19に示す第5の実施例は、ウェット塗
膜厚を測定するものであり、図12に示した第4の実施
例においてコントローラ9を構成する塗膜粗さ平滑性演
算処理装置6の代わりに表面粗さ度演算処理装置17を
使用している点が異なるのみで、その他の構成および作
用は同じである。そして、この第5の実施例のウェット
塗膜厚測定装置は、表面粗さ度演算処理装置17を使用
して、第4の実施例における表面凹凸のピークツゥピー
ク値aおよび波長λの代わりに表面粗さ度および表面粗
さ波長を算出し、これによりこの表面粗さ度およびその
波長を使用することにより、比較的短い測定時間で平均
塗装膜厚を算出できるとともに、特定の凹凸の選定処理
を不要となるという利点を有するものである。なお、表
面粗さ度および波長としては、平均粗さ度Ra および平
均波長λa 、または2乗平均平方根Rq および2乗平均
平方根波長λq を使用している。
【0086】ここで、前出の図12に示す第4の実施例
と同様に、膜厚演算処理装置7は、ウェット塗装膜厚を
算出する構成となっているが、前出の図11示す演算部
23の処理機能を付加することで、ドライ塗装膜を推定
することができる。そして、このようなことから、本実
施例を図11に示す第3の実施例への適用も可能である
ことは言うまでもない。
【0087】また、図20は本第5の実施例の作用を示
すフローチャートであるが、このフローチャートは図4
に示した第4の実施例のフローチャートにおいてステッ
プ180におけるピークツゥピーク値および波長の算出
の代わりにステップ182として表面粗さ度および表面
粗さ波長を算出するようになっている点が異なっている
のみである。
【0088】図19および20に示す第5の実施例のウ
ェット塗膜厚測定装置において、表面粗さ度演算処理装
置17は画像処理装置5から供給される表面粗さ画像情
報から時間t1 およびt2 における表面の粗さ度および
波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその平均波長λa
または2乗平均平方根Rq および2乗平均平方根λq
算出し(図20のステップ182)、膜厚演算処理装置
7に供給する。
【0089】膜厚演算処理装置7は、表面の粗さ度およ
び波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその平均波長λ
a または2乗平均平方根Rq および2乗平均平方根λq
を供給されると、これらの情報と入力装置8から供給さ
れる塗料条件から上述した(18)式に対応する次に示
す(22)〜(27)式に従って塗装膜厚hを算出する
(ステップ200)。
【0090】すなわち、上述した(18)式は表面粗さ
度およびその波長、すなわち平均粗さ度Ra およびその
平均波長λa または2乗平均平方根Rq および2乗平均
平方根波長λq に対しても次に示すように成立する。
【0091】
【数6】 h={(1nRa1/Ra2)/(−t1 /τ1 ’+t2 /τ2 ’)}1/3 …(22) τ1 ’=(3η1 ×λa )/(16π4 γ) …(23) τ2 ’=(3η2 ×λa )/(16π4 γ) …(24) h={(1nRq1/Rq2)/(−t1 /τ1 ’+t2 /τ2 ’)}1/3 …(25) τ1 ’=(3η1 ×λq )/(16π4 γ) …(26) τ2 ’=(3η2 ×λq )/(16π4 γ) …(27) 図21は、表面粗さ度の平滑化動特性を示すグラフであ
り、横軸に示す塗料塗布後の経過時間に対して縦軸に表
面粗さ度Ra ,Rq を示している。同図から、塗布後6
0〜100秒における平滑化動特性は図18に示した場
合と同様に粗さ度(Ra ,Rq )に対しても理論値と測
定値はほぼ一致していることがわかる。また、塗装膜厚
値hもha =40μm,hq =39μmとほぼ一致して
いる。
【0092】次に、図22を参照して、本発明の第6の
実施例について説明する。
【0093】図22に示す第6の実施例は、ウェット塗
膜厚を測定するものであり、図19に示した第の実施
例において表面粗さ度演算処理装置17と膜厚演算処理
装置7との間に平滑化初期値推定装置18を設けるとと
もに、前記入力装置8からの塗料条件情報をこの平滑化
初期値推定装置18に入力するように構成した点が異な
るのみで、その他の構成および作用は同じである。そし
て、この第の実施例のウェット塗膜厚測定装置は、平
滑化初期値推定装置18によって平滑化初期値を推定算
出することにより、塗料の塗布後t秒後の1回のみの短
時間の粗さ情報の測定のみで塗装膜厚hの算出を可能と
し、これにより本ウェット塗膜厚測定装置のラインへの
適応性を向上しているものである。
【0094】ここで、前出の図12に示す第4の実施例
と同様に、膜厚演算処理装置7は、ウェット塗装膜厚を
算出する構成となっているが、前出の図11に示す演算
部23の処理機能を付加することで、ドライ塗装膜を推
定することができる。そして、このようなことから、本
実施例を図11に示す第3の実施例への適用も可能であ
ることは言うまでもない。
【0095】また、図23は本第6の実施例の作用を示
すフローチャートであるが、このフローチャートは図2
0に示した第5の実施例のフローチャートにおいてステ
ップ182における時間t1 ,t2 における2回の表面
粗さ度および波長の算出の代わりにステップ184とし
て時間t1 のみの1回の表面粗さ度および波長の算出を
行うとともに、引き続いてステップ186を追加し、こ
のステップで平滑化初期値を推定するようになっている
点が異なっているのみである。
【0096】図22および23に示す第6の実施例のウ
ェット塗膜厚測定装置において、表面粗さ度演算処理装
置17は時間t1 における表面粗さ度Ra および波長λ
a を測定し(ステップ184)、この表面粗さ度Ra
よび波長λa を平滑化初期値推定装置18に供給する。
平滑化初期値推定装置18は、この表面粗さ度Ra およ
び波長λa に加えて、入力装置8から入力される塗料成
分等を含む塗料条件から平滑化初期値ao を推定する
(ステップ186)。
【0097】この平滑化初期値ao の推定について説明
する。
【0098】前述した(12)式から塗布直後の凹凸ピ
ークツゥピーク値ao は、次式のようになる。
【0099】 ao =a1 exp (t1 /τ1 ) …(28) なお、この式におけるτ1 およびη1 (t1 )はそれぞ
れ前述した(11),(13)式に示したものと同じで
ある。
【0100】塗装面平滑化動特性の測定データから塗布
直後(t=0)の凹凸ピークツゥピーク値ao は上式
(28)から求まる(但し、ガン特性は一定として)。
【0101】また、例えば塗装膜厚h=60μm、波長
λ=6mmの場合、凹凸ピークツゥピーク値ao =8.
5〜8.7μm(t=t1 〜t3 )となり、塗装膜厚h
=40μm、波長λ=4.3mmの場合、凹凸ピークツ
ゥピーク値ao =8.4〜8.6μm(t=t1
3 )となるというように初期値は塗装膜厚hおよび波
長λに対してほぼ一定であることがわかる。すなわち、
次式に示す関係があると言える。なお、この関係は図2
4に示す塗布直後の時間に対する塗膜表面凹凸ピークツ
ゥピーク(p−p)値のグラフで示す平滑化動特性理論
値と測定値との比較からも明らかである。
【0102】 λ4 /h3 =Ko (一定) …(29) 従って、塗料成分が予め既知であれば、一定時間tでの
凹凸ピークツゥピーク値aと波長λを計測することによ
り、凹凸ピークツゥピーク値の初期値ao は上述した
(28),(13),(11),(29)式を使用して
前もって求めることができる。また、初期値ao を前も
って測定しておいてもよい。
【0103】以上のようにして、平滑化初期値ao を算
出すると、この平滑化初期値を膜厚演算処理装置7に供
給し、塗装膜厚hが算出される(ステップ200)。
【0104】この塗装膜厚hの算出について説明する。
【0105】上述した平滑化初期値の算出において塗料
成分が既知であり、また塗装条件(ガン特性)が一定で
あれば、塗布直後の凹凸ピークツゥピーク値ao は上述
したように推定可能であるので、塗装膜厚hは、前述し
た(17)〜(20)式においてt1 =0,t2 =t1
とすることにより、次式のように求めることができる。
【0106】
【数7】 h={(1na /a )/(−0/τ +t /τ ')}1/3 ={(1na /a )/(t /τ ')}1/3 …(30) τ '=(3η ×λ )/(16π γ) …(19) η =η +Kt …(11) 以上の(30),(19),(11)式から塗装膜厚h
は時間t ,波長λ、時間t における凹凸ピークツ
ゥピーク値a を測定することにより算出することが
できる。
【0107】なお、上述した第3の実施例では、表面ピ
ークツゥピーク値を使用した場合を説明したが、この代
わりに表面粗さ度およびその波長、すなわち平均粗さ度
aおよび平均波長λa 、または2乗平均平方根Rq
よび2乗平均平方根波長λqを使用しても次式に示すよ
うに成立する。
【0108】
【数8】 h={(1nRa0/Ra1)/(t /τ ')}1/3 …(31) τ '=(3η ×λ )/(16π γ) …(32) h={(1nRq0/Rq1)/(t /τ ')}1/3 …(33) τ '=(3η ×λ )/(16π γ) …(34)
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
塗装直後の未乾燥塗装表面の粗さを撮像した画像情報を
画像処理し、この画像処理された画像情報および塗装条
件に基づいてウェット塗装面の鮮映性を算出し、このウ
ェット塗装面の鮮映性からドライ塗装面の鮮映性を推定
しているので、塗装直後のウェット塗装面の鮮映性から
ドライ塗装面の鮮映性を迅速に推定することができ、塗
装条件へのフィードバックを迅速に行うことができ、塗
装品質の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わるウェット鮮映性
測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のウェット鮮映性測定装置に使用している
撮像部の構成図である。
【図3】ウェット平滑性とドライ平滑性の比較を示すグ
ラフである。
【図4】ウェット肉持ち性とドライ肉持ち性の比較を示
すグラフである。
【図5】ウェット艶性とドライ艶性の比較を示すグラフ
である。
【図6】本発明の第2の実施例にかかる塗装面性状検査
装置の測定ヘッド部の構成を示す図である。
【図7】図6に示した装置の処理フローチャートであ
る。
【図8】図7に示したフローチャートにおいて測定窓の
大きさと位置との決定を行なう動作説明に供する図であ
る。
【図9】図7に示したフローチャートにおいて測定窓の
大きさと位置との決定を行なう動作説明に供する図であ
る。
【図10】図7に示したフローチャートにおいて平滑感
の評価を算出する処理の動作説明に供する図である。
【図11】本発明の第3の実施例に係わるウェット鮮映
性測定装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図13】図12のウェット塗膜厚測定装置に使用され
ている表面粗さ計の構成を示す図である。
【図14】図12のウェット塗膜厚測定装置の作用を示
すフローチャートである。
【図15】塗装直後のウェット状態の塗装表面の凹凸状
態を示す図である。
【図16】塗膜粘度とセット時間との関係を示すグラフ
である。
【図17】ウェット膜厚の平滑化動特性を示すグラフで
ある。
【図18】上塗り塗料での測定値を理論値と比較したグ
ラフである。
【図19】本発明の第5の実施例に係わるウェット塗膜
厚測定装置の構成を示すブロック図である。
【図20】図19のウェット塗膜厚測定装置の作用を示
すフローチャートである。
【図21】表面粗さ度の平滑化動特性を示すグラフであ
る。
【図22】本発明の第6の実施例に係わるウェット塗膜
厚測定装置の構成を示すブロック図である。
【図23】図22のウェット塗膜厚測定装置の作用を示
すフローチャートである。
【図24】平滑化動特性理論値と測定値との比較を塗布
直後の時間に対する塗膜表面凹凸ピークツゥピーク(p
−p)値で示すグラフである。
【符号の説明】
1 被塗装物 2 撮像部 3 画像処理部 8 入力装置 21 パワースペクトル積分値演算部 22 ウェット膜厚演算部 23 ドライ塗膜厚演算部 41 ウェット鮮映性演算部 61 ドライ鮮映性演算部 63 塗装性判断部 65 塗装条件制御システム
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/88 G01B 11/30 102 G01N 21/57

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗料を塗装した直後の未乾燥塗装表面の
    粗さを撮像する撮像手段と、該撮像手段からの画像情報
    を画像処理する画像処理手段と、塗装条件を入力する入
    力手段と、前記画像処理手段で画像処理された画像情報
    に基づいてウェット塗装面の鮮映性を算出するウェット
    鮮映性算出手段と、前記ウェット塗装面の鮮映性および
    前記塗装条件からドライ塗装面の鮮映性を推定するドラ
    イ鮮映性推定手段とを有することを特徴とするウェット
    鮮映性測定装置。
JP4307354A 1992-11-17 1992-11-17 ウェット鮮映性測定装置 Expired - Fee Related JP3006321B2 (ja)

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