JP3005044B2 - 多孔性シート - Google Patents

多孔性シート

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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、多孔性シート(本発明でいう多孔性シート
には多孔性フィルムも包含される)、特に生分解性が高
く、崩壊し易い多孔性シートに関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕 近年、プラスチックに対する微生物崩壊性の要請が高
まりつつあるが、特開昭54−119593号公報、特開昭54−
119594号公報及び特開昭54−119595号公報に記載の発明
に代表されるように、新規な共重合体としてのアプロー
チからの素材は、現状においてはその物性または生産技
術の問題から、未だ実用化が確立されるに至っていな
い。従って、現状において微生物崩壊性を有するとされ
ているプラスチックは、その成分中に、微生物により崩
壊する組成物をある一定量の配合比にて充填されること
により、微生物崩壊性が確実となる物に限られて実用化
されているのが実情である。
一方、フィルムの崩壊性を再び考えると、フィルムの
表面は、樹脂、即ちプラスチック材料により被膜されて
いることが通常であり、従って、その崩壊に要する時間
は、多大なものであることが容易に推定でき、一般的に
は半年程度と言われている。
而して、使い捨て体液吸収性物品、特に、多量の排出
物を対象とする使い捨ておむつにおいては、その使用時
の「ムレ」「カブレ」「カユミ」等を防止する目的で、
多孔性シートが使用されることが多いが、防漏シートと
しての多孔性シートは、使い捨ておむつ等の使い捨て商
品に用いられた後、廃棄され、焼却されずに埋め立て放
置された場合には、該多孔性シートが、従来のプラスチ
ックフィルムで形成されたものであると、通常の条件下
で自然崩壊することは考えられず、また崩壊しうる好条
件下でも、崩壊に非常に膨大な時間が必要なことが明白
であり、地球環境問題として将来に不安を残すことが容
易に推測される。
従って、本発明の目的は、生分解性が高く、焼却され
ずに廃棄された場合、比較的短時間で自然に崩壊し易い
多孔性シートを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結
果、より効率的な崩壊性を発現するために、フィルムの
成形後に、該フィルムを延伸処理することにより、該フ
ィルムを多孔化してフィルム自体の土中における直接微
生物との接触可能表面積を大きくするとともに、フィル
ムの充填剤として、生分解性の高い有機物を無機充填剤
と併用して得られた多孔性シートが早期崩壊性を有する
ことを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ポリ
オレフィン樹脂に充填剤及び他の添加剤を混合した延伸
多孔性シート用組成物を、溶融成形して原反シートを成
形後、該原反シートを少なくとも面積延伸倍率1.5倍に
延伸して得られた多孔性シートにおいて、 上記充填剤の混入量が上記ポリオレフィン樹脂100重
量部に対し20〜250重量部であり、上記充填剤は平均粒
径5μm以下の無機充填剤と平均粒径10〜40μmの有機
充填剤とからなり、該無機充填剤100重量部に対し該有
機充填剤が5〜100重量部配合されており、且つ該有機
充填剤は生分解性を有する有機物であり、 上記他の添加剤が上記ポリオレフィン樹脂100重量部
に対し0.5〜30重量部配合され、該他の添加剤がポリエ
ステルであり、 透湿量が0.7〜3.2g/100cm2・hr、 3ヶ月後強度低下率が11.2%以上、 であることを特徴とする多孔性シートを提供するもので
ある。
以下、本発明の多孔性シートについて詳述する。尚、
以下の説明においては、主として、「使い捨て体液吸収
性物品」における防漏シートとして適する、透湿性を有
する多孔性シートについて述べるが、本発明の多孔性シ
ートが用途に制限されないことは言う迄もない。
本発明における上記ポリオレフィン樹脂としては、エ
チレン、プロピレン、ブテン等のモノオレフィン重合体
及びそれの共重合体、並びに上記重合体及び上記共重合
体を主成分とする混合物、例えば、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合
体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこ
れらの混合物等が挙げられる。そして、使い捨てオムツ
用の多孔性シートの場合には、しなやかで強靭な線状低
密度ポリエチレンを用いるのが好ましい。
また、本発明における上記充填剤としては、無機充填
剤及び有機充填剤が併用され、無機充填剤としては、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、石膏、クレー、
カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、硫酸マ
グネシウム、燐酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸
化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、
カーボンブラック等が挙げられ、また、有機充填剤とし
ては、生分解性を有するもの、例えば、パウダー状に加
工された生分解性を有する澱粉類全般が挙げられ、特
に、大豆、コーンスターチ、多糖類、セルロース等が好
ましいものとして挙げられる。尚、これらの有機充填剤
が生分解性を有することについては、特公昭53−23864
号公報、特公昭52−21530号公報、特公昭53−46199号公
報等により公知の事実である。
本発明における他の添加剤には、上記の無機及び有機
の充填剤と上記のポリオレフィン樹脂との均一分散処理
の為に用いられる表面処理剤をはじめとして、一般に使
用される帯電防止剤、可塑剤、滑剤、安定剤、紫外線吸
収剤等が含まれる他、多孔性シートを「使い捨て体液吸
収性物品」用として使用する場合に、容易に透湿性を発
現させて、しなやかな風合いを保つための添加剤等、多
孔性シートの製造に用いられる種々の添加剤の1種又は
2種以上が含まれる。尚、本発明において、上記表面処
理剤としては、脂肪酸またはその金属化合物やシラン
系、及びチタン系のカップリング剤等、一般的な充填剤
の樹脂への均一分散性に寄与するとして知られているも
のを用いれば良いが、充填剤の表面を疎水化できるもの
が好ましい。また、容易に透湿性を発現して、しなやか
な風合いを付与させるための添加剤としては、液状ポリ
ブタジエン、液状ポリイソプレン、水添ポリブタジエ
ン、水添ポリイソプレン等の他、エステル化合物の代表
例を記載すると、好ましい具体的なポリエステルとし
て、ジエチオレングリコールとダイマー酸のポリエステ
ルの両末端のカルボン酸又はアルコールをステアリルア
ルコール又はステアリン酸で部分的に又は全部を封鎖し
たポリエステル、1,3−ブタンジオールとアジピン酸の
ポリエステルの両末端をヒドロキシステアリン酸で封鎖
したポリエステル、トリメチロールプロパン−アジピン
酸−ステアリン酸からなるヘキサエステル、ペンタエリ
スリトール−アジピン酸−ステアリン酸からなるオクタ
エステル、ジペンタエリスリトール−アジピン酸−ステ
アリン酸からなるドデカエステル、上記ポリエステルの
構成成分であるアジピン酸の代わりにダイマー酸又は水
添ダイマー酸を用いたポリエステル、及びステアリン酸
の代わりにイソステアリン酸を用いたポリエステル等が
挙げられる。
本発明の多孔性シートを得るための延伸多孔性シート
用組成物の好ましい配合割合は、ポリオレフィン樹脂10
0重量部に対して、充填剤20〜250重量部、他の添加剤0.
5〜30重量部である。充填剤のうち、無機充填剤100重量
部に対する生分解性を有する有機充填剤の配合比率は、
5〜100重量部である。ここで無機充填剤は多孔性シー
トの形成に特に寄与し、有機充填剤は多孔性シートの生
分解性に寄与する。有機充填剤の添加量が上記範囲内の
量より過少の場合には、微生物崩壊性が顕著に現れず、
また一方、多量に含み過ぎると溶融成形時の滞留劣化等
の問題が発生する。また、無機充填剤は、平均粒径で5
μ以下のものを用いるのが望ましく、このような微粒子
として用いるのは、シートを延伸後に多孔化するととも
にシート強度も残すことが必要であるためである。一
方、有機充填剤は、平均粒径10μ以上40μ以下のものを
用いるのが望ましく、このような大きさのものを用いる
のは、多孔化一強度のバランスにより、シートを廃棄後
の分解性を主体に考えて配合するものであるためであ
る。
上記の延伸多孔性シート用組成物の均一混合は、一般
的なブレンド方法で十分であり、一例を挙げれば、ヘン
シェルミキサー、スーパーミキサー、V型ミキサー、回
転ドラム等により予備混合後、2軸押出機、ミキシング
ロール、バンバリーミキサー等により、溶融混練をする
ことがより望ましく、その後、該組成物を溶融成形によ
りシート状に加工し原反シートを得る。溶融成形には、
一般的なシートの成形方法を用いることができ、インフ
レーション法、Tダイフラット法、カレンダー法等いず
れの方法によってもよい。ただし、有機充填剤の劣化を
考慮し、可能な範囲で、低温で成形することが望まし
い。
上記のようにして得られた原反シートを延伸処理し、
該シートを多孔化することにより、本発明の多孔性シー
トが得られる。この際の延伸方法についても、特に限定
されるものでなく、多孔化するに適した方法であれば問
題はなく、ロール延伸に代表される1軸延伸法や、テン
ダー法延伸、マンドレル法延伸等及び上記の組合わせに
よる逐次または同時の何れかによる2軸延伸等いずれの
方法を用いても問題はない。ただし、チューブラ法2軸
延伸を用いる場合には、その延伸応力をエアー圧に頼る
ため、斯る延伸方法は、内部圧力の一定化のために多大
な透湿度を有する多孔性シート、即ち、使い捨て紙オム
ツに使用するような2000g/m2・24hr以上の加工には、あ
まり望ましい方法とは言えない。
なお、延伸倍率は、その配合により、また、その延伸
方法の選定により異なるが、均一な多孔化を達成する上
で、面積延伸倍率で1.5倍以上が必要であり、16倍以内
が望ましい。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜3 下記〔原材料〕からなり、下記第1表に示す配合組成
の組成物を用い、下記〔原料の混練〕工程、下記〔原反
シートの成形〕工程及び下記〔延伸〕工程を経て、それ
ぞれ多孔性シートを得た。
得られた多孔性シートそれぞれについて、下記〔物性
評価〕により評価した物性を下記第1表に示す。
〔原材料〕 ポリオレフィン樹脂 線状低密度ポリエチレン樹脂(第1表における)
三井石油化学工業(株)製ウルトゼックス 2021L 無機充填剤 天然炭酸カルシウム(平均粒径1μ、第1表における
) 備北粉化工業(株)製ライトン2200(脂肪酸によ
る表面処理済) 有機充填剤 コーンスターチ(平均粒径20μ、第1表における) 透湿性に寄与する添加剤 下記に示すポリエステル(第1表における) 〔原料の混練〕 無機充填剤及び有機充填剤を加熱撹拌装置に投入
した後、加熱状態にて十分に表面処理を施した。その
後、樹脂及び延伸に寄与する添加剤を加え、ヘンシ
ェルミキサーにて均一に予備混合を行った。続いて、こ
れに2軸押出機(PCM−45押出機、池貝鉄工(株)製)
にて溶融混練し、その後、水冷・カット・乾燥工程を経
て、原料が均一に分散したペレットを得た。
〔原反シートの成形〕
上記混練工程において得られたペレットを用いて、φ
50mm単軸押出機(幅500mmコートハンガーTダイ使用)
により、溶融シート成形を行い、坪量70g/m2の原反シー
トを得た。
〔延伸〕
上記成形工程で得られた原反シートを、1軸延伸の場
合は、ロール延伸機(幅700mm)にて縦方向の延伸を、
2軸延伸の場合は、テンター法同時2軸延伸機にて縦横
同時2軸延伸を行い、多孔性シートを得た。
〔物性評価〕
透湿性;JIS Z−0208に準じた。
生分解性の評価;評価方法が一般法として確立されて
いないので、JIS P−8116に準じてシートの縦裂け強
度を成型直後に測定して得た値と、その後3ケ月間腐葉
土中に埋めておいた後測定して得た値とを比較し、その
低下率を以て生分解性の評価とした。
上記第1表に示す結果から明らかなように、生分解性
を有するコーンスターチを含有した多孔性シートは、有
機充填剤を含まない多孔性シート(比較例2及び3)に
比して強度低下が促進されることが判る。
尚、本発明の実施例に示したように、天然の炭酸カル
シウムを無機充填剤として使用し、天然のコーンスター
チを有機充填剤として使用して得られた多孔性シート
は、分解して堆肥として使用される可能性も有してい
る。
〔発明の効果〕
本発明の多孔性シートは、生分解性が高く、焼却され
ずに廃棄された場合、比較的短時間で自然に崩壊し易い
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−52868(JP,A) 特開 平1−144432(JP,A) 特開 昭60−215034(JP,A) 特開 平1−249840(JP,A) 特開 平3−100028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン樹脂に充填剤及び他の添加
    剤を混合した延伸多孔性シート用組成物を、溶融成形し
    て原反シートを成形後、該原反シートを少なくとも面積
    延伸倍率1.5倍に延伸して得られた多孔性シートにおい
    て、 上記充填剤の混入量が上記ポリオレフィン樹脂100重量
    部に対し20〜250重量部であり、上記充填剤は平均粒径
    5μmの無機充填剤と平均粒径10〜40μmの有機充填剤
    とからなり、該無機充填剤100重量部に対し該有機充填
    剤が5〜100重量部配合されており、且つ該有機充填剤
    は生分解性を有する有機物であり、 上記他の添加剤が上記ポリオレフィン樹脂100重量部に
    対し0.5〜30重量部配合され、該他の添加剤がポリエス
    テルであり、 透湿量が0.7〜3.2g/100cm2・hr、 3ヶ月後強度低下率が11.2%以上、 であることを特徴とする多孔性シート。
  2. 【請求項2】ポリエステルがトリメチロールプロパン−
    アジピン酸−ステアリン酸からなるヘキサエステルであ
    る請求項(1)記載の多孔性シート。
  3. 【請求項3】有機物が、澱粉、コーンスターチ、パルプ
    粉若しくはこれらの混合物である請求項(1)記載の多
    孔性シート。
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