JP3004549B2 - ごみ焼却炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はごみ焼却炉に関し、特に
ごみの燃焼室を外囲するように炉壁に密着すると共に燃
焼室内にエアを供給する多数のエア吹出口に接続された
複数のエア供給管と、このエア供給管を含む燃焼室外周
を覆うウォータジャケットとを有するごみ焼却炉に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、木クズ、紙クズ、廃プラスチ
ック等のごみを焼却するためのごみ焼却炉に於て、ごみ
の燃焼室内にエアを供給する多数のエア吹出口に接続さ
れると共にごみ燃焼室を外囲する複数のエア供給管と、
このエア供給管を含む燃焼室外周を覆うウォータジャケ
ットとを有する形式のものがある。このようなごみ焼却
炉に於ては、エア供給管を炉壁に密着させ、その密着部
分の炉壁にこれを貫通するエア吹出口を穿設するように
していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エア供
給管を炉壁に密着させる場合、その断面形状をコの字
型、Ｕ字型または半円形などとし、その開口側を炉壁に
密着させていることから、炉壁とエア供給管との接触面
積が広くなり、外周のウォータジャケットによる冷却効
果がその密着部分に及ばずに該部分の炉壁が燃焼室内の
熱により過度に加熱されることから、その耐久性に問題
があり、燃焼室内が高温になる焼却炉には使用できなか
った。

【０００４】そこで、上記ウォータジャケット内のエア
供給管と炉壁との間に多数の支管を設け、この支管から
燃焼室内にエアを供給する方法も考えられるが、これら
支管及びエア供給管の組付け時の位置決め、溶接作業が
厄介であり、あまり現実的ではない。

【０００５】本発明は上記したような従来技術の問題点
に鑑みなされたものであり、その主な目的は、組立てが
容易であり、燃焼室内が高温になる場合にもその耐久性
を確保できるごみ焼却炉を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した目的は本発明に
よれば、炉壁により画定されたごみの燃焼室と、前記炉
壁を外囲するように上下方向若しくは周方向に延在する
複数のエア供給管と、前記炉壁に開設された多数のエア
吹出口と、前記エア供給管と前記エア吹出口とを連通す
るべく、前記エア供給管と一体をなし、その全長に亘り
遊端が前記炉壁に接続された一対の互いに平行な板状壁
部により内部にスリットが画定された連通部と、前記エ
ア供給管及び前記連通部を含む前記燃焼室外周を覆うウ
ォータジャケットとを有し、前記連通部の前記両壁部間
の幅が前記エア供給管の幅よりも狭くなっていることを
特徴とするごみ焼却炉を提供することにより達成され
る。

【０００７】

【作用】このようにすれば、エア供給管の組付け作業は
コの字型、Ｕ字型または半円形などの断面形状のものの
場合と同様に連通部の遊端を溶接するのみで良く、また
連通部がエア供給管よりも縮幅していることから炉壁と
の接触面積は上記断面形状のものに比較して少なくな
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付の図面につ
いて詳しく説明する。図１は本発明が適用されたごみ焼
却炉の概略構成を示す部分断面図である。この焼却炉
は、燃焼炉本体１と、該燃焼炉本体１に排気管２を介し
て接続されたサイクロン集塵器３とを有している。集塵
器３には、霧吹きと同様な原理により排気管２を介して
燃焼炉本体１の後記する燃焼室下流側がやや負圧になる
ように排気を吸引し、煙突５に導くエゼクタ４が付設さ
れている。

【０００９】燃焼炉本体１には、ごみを燃焼するための
燃焼室７が筒状の炉壁８により画定されている。この炉
壁８の外周には、燃焼室７全体を略覆うウォータジャケ
ット９が設けられている。また燃焼室７の下流側、即ち
燃焼炉本体１の図に於ける上部には燃焼室７から外部に
向けて開口するごみ投入口１１が設けられ、燃焼室７の
下端には灰の取り出し口１２が設けられている。

【００１０】ウォータジャケット９内に於ける燃焼室７
の外周には、互いに適宜な間隔をおいて複数のエア供給
管１３が上下方向に延設されている（図２）。これらエ
ア供給管１３はウォータジャケット９の外周に設けられ
たエア分配管１４に接続管１３ｂを介して連通してい
る。このエア分配管１４は外部エア供給手段としてのブ
ロワ１５にダンパ１６を介して接続されている。

【００１１】図３に良く示すように、エア供給管１３は
菱型断面をなしている。また、エア供給管１３と炉壁８
との間には、エア供給管１３と一体をなし、その全長に
亘り遊端が炉壁８に密着した状態で溶接された一対の互
いに平行な板状壁部からなり、内部にスリットが画定さ
れた連通部１３ａが設けられている。このエア供給管１
３と連通部１３ａとは、板材をプレス加工することなど
により形成され、連通部１３ａの幅Ｗ2はエア供給管１
３の幅Ｗ1よりも狭くなっている。連通部１３ａのスリ
ットに整合する炉壁８の部分には、エア供給管１３と燃
焼室７とを連通するべくエア吹出口としての多数の小孔
１７が略等間隔に開設され、ごみの燃焼中にブロワ１５
からエア分配管１４を介して各エア供給管１３に送られ
た圧縮エアを各小孔１７から燃焼室７に供給するように
なっている。また、ブロワ１５はダンパ１６を介してエ
ゼクタ４にも接続され、燃焼中に燃焼室７の下流側を負
圧にするようになっている。

【００１２】ここで、上記したように連通部１３ａの幅
がエア供給管１３の幅よりも狭くなっていることから、
例えばコの字型、Ｕ字型または半円形をなす断面形状の
従来型エア供給管に比較してウォータジャケット９内の
冷却水に接触していない炉壁８の面が少なくなり、燃焼
中に炉壁８が過度に加熱されることなく好適に冷却され
る。尚、連通部１３ａの炉壁８とエア供給管１３との間
の長さを適当に定めることにより、このエア供給管１３
を炉壁８に溶接する際の作業性が低下することがない。

【００１３】一方、図４に良く示すように、ごみ投入口
１１の上部には、ごみ投入口１１の全幅に亘り上記エア
供給管１３に連通するエア供給管１８がごみ投入口１１
の上縁に沿って埋設されている。そして、このエア供給
管１８の連通部のスリット２０がごみ投入口１１の上端
面に開口している。従って、ごみの燃焼中にブロワ１５
からエア分配管１４を介して各エア供給管１３に圧縮エ
アが送られると同時にエア供給管１８にも圧縮エアが送
られ、スリット２０から下向きに圧縮エアが吹き出すよ
うになっている。

【００１４】以下に本実施例の作動要領について説明す
る。まず、所定の点火方法により燃焼室７内にて燃焼を
開始し、同時にブロワ１５から圧縮エアを供給する。す
ると、この圧縮エアはエア分配管１４及び各エア供給管
１３を通過して各小孔１７から略均等に燃焼室７内に噴
射される。これにより酸素が燃焼内部まで十分に供給さ
れると共に燃焼室７内が攪拌され、燃焼効率が向上す
る。これと同時にエア供給管１８を介してスリット２０
から下向きに圧縮エアが吹き出す。

【００１５】上記燃焼により発生した排気はエゼクタ４
により排気管２を介してサイクロン集塵器３に導かれ、
その後煙突５から排出される。このとき、エゼクタ４に
て排気を吸引していることにより燃焼室７の下流側（図
１に於ける上側）がやや負圧になっており、ごみ投入口
１１を解放したままであっても外部に炎が吹き出す心配
がない。また、ごみ投入口１１近傍では図３の想像線の
矢印に示すように対流が生じており、これによりごみ投
入口１１から灰が外部に舞出ることが考えられるが、エ
ア供給管１８を介してスリット２０から下向きに圧縮エ
アが吹き出していることにより、実線の矢印に示すよう
に、外部に舞出ようとする灰を下向きに抑えつけて負圧
により燃焼室７内に戻すようになることから灰が外部に
舞い出る心配がない。従って、燃焼中でも随時ごみを燃
焼室７内に投入することができる。

【００１６】尚、本実施例ではエア供給管１３を菱型断
面としたが、例えば円形断面などでも良く、連通部１３
ａよりも幅が広くなっていれば良い。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によるごみ焼却炉によれば、燃焼室の炉壁を外囲する
ウォータジャケット内に燃焼室内にエアを供給するべ
く、エア供給管をその全長に亘る該管よりも幅の狭い連
通部により炉壁のエア吹出口に連通する構成とすること
で、このエア供給管の組付け作業はコの字型、Ｕ字型ま
たは半円形などの断面形状のものの場合と同様に連通部
を溶接するのみで良く、その作業性が低下することがな
いばかりでなく、連通部がエア供給管本体よりも縮幅し
ていることから炉壁との接触面積は上記断面形状のもの
に比較して少なくなり、ごみの焼却時にウォータジャケ
ット内の冷却水により炉壁が好適に冷却されるため燃焼
室内が高温になる場合にもその耐久性を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用されたごみ焼却炉の概略構成を示
す部分断面図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線について見た平面断面図。

【図３】図２の部分拡大図。

【図４】図１のごみ投入口の部分のみの拡大断面図。

【符号の説明】

１ 燃焼炉本体 ２ 排気管 ３ サイクロン集塵器 ４ エゼクタ ５ 煙突 ７ 燃焼室 ８ 炉壁 ９ ウォータジャケット １１ ごみ投入口 １２ 灰取り出し口 １３ エア供給管 １３ａ 連通部 １３ｂ 接続管 １４ エア分配管 １５ ブロワ １６ ダンパ １７ 小孔 １８ エア供給管 ２０ スリット

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉壁により画定されたごみの燃焼室
   と、 前記炉壁を外囲するように上下方向若しくは周方向に延
   在する複数のエア供給管と、 前記炉壁に開設された多数のエア吹出口と、 前記エア供給管と前記エア吹出口とを連通するべく、前
   記エア供給管と一体をなし、その全長に亘り遊端が前記
   炉壁に接続された一対の互いに平行な板状壁部により内
   部にスリットが画定された連通部と、 前記エア供給管及び前記連通部を含む前記燃焼室外周を
   覆うウォータジャケットとを有し、 前記連通部の前記両壁部間の幅が前記エア供給管の幅よ
   りも狭くなっていることを特徴とするごみ焼却炉。