JP3003690B1 - 面型光増幅器およびそれを用いた光通信システム - Google Patents

面型光増幅器およびそれを用いた光通信システム

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 光システム側から光増幅器に要請される主要
な事項(増幅が高効率になされ、信号/雑音比の劣化が
少なく、且つ極めて簡便な手段によってその動作がなさ
れるといった事項)を同時に満たすことができない。 【解決手段】 ポンプ光により励起される前のエネルギ
準位状態(1)と、励起された後のエネルギ準位状態
(2)、および、ポンプ光が信号光とアイドラ光に変換さ
れるエネルギ準位状態(3)とを有する面型光増幅器であ
って、状態(2)と状態(3)をドレスド状態して、エネル
ギの異なる2種類のポラリトン間のポラリトン−ポラリ
トン遷移を利用し、かつ、状態(3)の放射寿命をキャリ
アの位相緩和時間よりも短くして、アイドラ光と信号光
の間のコヒーレンスを保つ構成とし、アイドラ光をスク
イーズ状態にすることで信号/雑音比を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体もしくは絶
縁体基板上に形成された層状構造に垂直に入射された光
信号を増幅して垂直に出力する面型光増幅器に係わり、
特に、低雑音の光増幅を行なうのに好適な面型光増幅器
およびそれを用いた光通信システムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】面型光増幅器を含む従来の光増幅器は、
大きく二つの種類に分けられる。一つは光の誘導放出を
利用するもので、通常の半導体光増幅器や希土類、例え
ばエルビウムドープファイバ増幅器等がある。もう一つ
が非線形効果を利用するもので、利用される非線形効果
としてはパラメトリック効果等がある。
【0003】このような光増幅器は、例えば、光ファイ
バを用いたネットワークにおける光中継などで利用さ
れ、このような光システム側から光増幅器に要請される
主要な事項としては、増幅が高効率になされ、信号/雑
音比の劣化が少なく、且つ極めて簡便な手段によってそ
の動作がなされることである。
【0004】従来の誘導放出を利用する光増幅器の場
合、原理的に、信号/雑音比の劣化は3dB以上になっ
てしまう。実際の最も最適化された半導体増幅器では5
dB程度の劣化が報告されている。しかし、この光増幅
器は、非線形効果を利用した光増幅器に比ベて高効率
で、小型で使いやすく、また、微弱な信号光に対しても
機能し、さらに、入力信号の強度が比較的大きく変化し
ても、より安定に動作する利点を有している。
【0005】一方、非線形効果を利用する光増幅器の中
で、例えば、パラメトリック増幅器については、199
3年のフィジカル レビュー レター 第70巻 3239
頁より3242頁(Phys.Rev.Lett.Vo
l.70 p3239−p3242(1993))に記
載のようにして、信号/雑音比の劣化を3dB以下にで
きることが報告されている。
【0006】すなわち、ポンプ光と信号光の差周波数に
当たるアイドラ光がスクイーズ状態にあって、信号光と
アイドラ光の間に特定の位相関係が成立しているとき
に、光の振幅信号についての信号/雑音比の劣化を3d
B以下にできると報告されている。
【0007】しかし、この場合、誘導放出を利用した上
記光増幅器の、小型で高感度という利点を失うことにな
る。さらに、非線形効果を利用した光増幅器では、多く
の非線形材料が絶縁体であるため、電流注入の手段を用
いては増幅できないといった実用上の大きな欠点が有
る。
【0008】図7は、パラメトリック効果を利用した面
型光増幅器の動作原理を示すエネルギ・ダイアグラムで
ある。パラメトリック効果を利用した光増幅器は、状態
(1)と状態(2)におけるエネルギ準位の差に対応した共
鳴周波数の強いポンプ光により、状態(1)から状態(2)
に励起された状態において、ポンプ光が2次の非線形効
果によって、状態(3)において、それぞれの周波数の和
がポンプ光の周波数に等しい信号光とアイドラ光の2つ
の光に変換されることを利用している。
【0009】しかし、状態(3)は仮想状態であり、実準
位ではなく、アイドラ光もしくは信号光の光のエネルギ
が存在するわけではない。そのため、大きな非線形感受
率をもった物質でさえ、強い(高いエネルギの)光ポン
プを必要とし、信号光強度についての制約も大きくな
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、従来の技術では、光システム側から光増幅器に要
請される主要な事項、すなわち、増幅が高効率になさ
れ、信号/雑音比の劣化が少なく、且つ極めて簡便な手
段によってその動作がなされるといった事項を同時に満
たすことができない点である。
【0011】本発明の目的は、これら従来技術の課題を
解決し、光ファイバを用いたネットワークやコンピュー
タ装置等、光信号を利用するシステムの性能の向上を可
能とする面型光増幅器およびそれを用いた光通信システ
ムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の面型光増幅器は、ポンプ光により励起され
る前のエネルギ準位状態(1)と、励起された後のエネル
ギ準位状態(2)、および、ポンプ光が信号光とアイドラ
光に変換されるエネルギ準位状態(3)とを有する面型光
増幅器であって、状態(2)と状態(3)をドレスド状態し
て、エネルギの異なる2種類のポラリトン間のポラリト
ン−ポラリトン遷移を利用し、かつ、状態(3)の放射寿
命をキャリアの位相緩和時間よりも短くして、アイドラ
光と信号光の間のコヒーレンスを保ち、さらに、アイド
ラ光をスクイーズ状態にすることで信号/雑音比を改善
すると共に、室温以上の高温でもポラリトンを安定に存
在させるために、状態(1)と状態(2)間の発光波長に共
鳴するグレーティング、もしくは、誘電体反射膜を設
け、共振器のQ値を高める
【0013】また、膜厚の異なる量子井戸を数nm以内
に近接させ、電子および正孔の波動関数が重なるように
配置して、あるいは、1つの量子井戸中の2種類のサブ
バンドで、状態(2)と状態(3)を構成する。また、状
(2)におけるポラリトンを構成する励起子を形成するた
めの電子と正孔の注入手段を設ける。さらに、本発明の
光通信システムは、このような面型光増幅器を用いるこ
とにより、小型化で高性能化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面により詳細に説明する。図1は、本発明の面型光増幅
器の本発明に係る構成の第1の実施例を示すブロック図
であり、図2は、図1における面型光増幅器の動作原理
を示すエネルギ・ダイアグラムである。
【0015】まず、図2を用いて本発明の面型光増幅器
の本発明に係る動作原理を説明する。本発明の面型光増
幅器は、図7で示した従来のパラメトリック効果を用い
た信号/雑音比の劣化の少ない光増幅器の欠点を改善
し、これらの点について誘導放出を利用した光増幅器の
メリットを取り入れたものである。
【0016】すなわち、図7において、従来の光増幅器
の欠点(大きな非線形感受率をもった物質でさえ、強い
(高いエネルギの)光ポンプを必要とし、信号光強度に
ついての制約も大きくなる。)であった、状態(3)の仮
想状態を、実準位に置き換えるものである。ところが、
通常の条件で状態(3)を実準位に置き換えたとすると、
状態(2)と状態(3)間に反転分布を生じさせて増幅させ
ることは、普通の誘導放出を利用した光増幅器と同様で
あり、信号/雑音比が制限される。
【0017】しかし、状態(3)の放射寿命がキャリアの
位相緩和時間よりも十分短ければ、信号光とアイドラ光
の間のコヒーレンスが保たれ、アイドラ光をスクイーズ
状態にすれば、信号/雑音比を改善することができる。
本例の面型光増幅器では、実効的に状態(3)の放射寿命
をキャリアの位相緩和時間よりも短くなるようにして、
信号光とアイドラ光のコヒーレンスをとる手段を提供す
る。
【0018】すなわち、本例では、状態(2)と状態(1)
間の遷移と、状態(3)と状態(1)間の遷移に同時に共鳴
する共振器を用意する。この時、状態(2)と状態(3)
は、ドレスド状態もしくは励起子ポラリトンと呼ばれる
光と遷移に付属する双極子モーメントの共鳴状態とな
り、それぞれ、図2で示すように2準位に分裂する。
尚、ポラリトンに関しては、例えば、「光学」第24
巻、第7号(1995年7月発行)の第404〜第40
5頁に記載されている。
【0019】このようにして、それぞれ2準位に分裂し
た状態(2)と状態(3)の4つの状態は、(ω2 ±
2 ±)、(ω2 ±,k2 ±)と指数付けされる。また、
光による準位の分裂量はラビ分裂量(LT分裂量;Long
itudinal Transverse 分裂量;縦励起子と横励起子のエ
ネルギ差)と呼ばれ、それぞれΩ2、Ω3と記す。
【0020】ここで、上記共振器は次の条件(1) hΩk≫kT,γk,photonk,carrier (k=1,2) を満たすように作製されるものとする。ここでhはプラ
ンク定数を2πで割ったもの、kTは熱エネルギ、γ
k,photonは共振器中の光の寿命できまる線幅、また、γ
k,carrierはそれぞれの準位にあるキャリアの位相緩和
時間から決まる線幅である。
【0021】さらに、光増幅器に入射する信号光を次の
条件(2) (ω1=ω3 ±−ω2 ±,k1=k3 ±−k2 ±)(複合任
意) となるようにする。
【0022】今、信号光(ω1,k1)の入射により、状
態(ω3 ±、k3 ±)から誘導放射によって緩和したとす
る。条件(2)により、緩和した後の状態は状態(ω2
±,k2 ±)であるから、状態(ω3 ±、k3 ±)の放射
寿命は2π/Ωkとなる。この時間は、条件(1)によ
り、状態(ω3 ±,k3 ±)の位相緩和時間よりも十分短
い。それゆえ、信号光とアイドラ光の間の量子相関がと
れる。
【0023】そして、状態(ω3 ±,k3 ±)をスクイー
ズド状態とすることによって、信号光の信号/雑音比の
劣化を例えば3dB以下に抑えることが可能となる。
尚、スクイーズド状態とは、二つの直交する偏光成分の
一方の量子雑音が、標準量子限界よりも小さくなってい
る状態をさす。本例では、この標準量子限界よりも小さ
くなっている偏光成分を用いることによって、これまで
の信号/雑音比の理論限界を越える特性を得るものであ
る。このようなスクイーズド状態やコヒーレント状態な
ど量子力学的な光の取り扱いの詳しい理論は、例えば、
「光通信理論:光通信理論研究会編、1990」などに
明らかである。
【0024】次に、上記構成とすることによる本例の光
増幅器の、雑音特性の向上以外の優れた性質について説
明する。状態(2)から状態(3)を通って状態(1)に緩和
する遷移を摂動論で扱ったとする。この場合、遷移は2
回の連続する共鳴放射として扱われるから、遷移確率
は、仮想状態を経由した遷移確率よりも(ω1/γ1)×
(ω2/γ2)倍だけ改善する。
【0025】ここで、γ1、γ2はそれぞれ、状態(2)か
ら状態(3)ヘの遷移と状態(3)から状態(1)ヘの遷移に
ともなう線幅である。それゆえ、弱いポンプ光、信号光
に対しても十分動作する。さらに、状態(2)と状態(3)
は、極端に高い励起状態にする必要がなく、入射信号光
強度に対する許容度も高い。また、同じ理由で十分な利
得(ゲイン)をとることができて装置を小型にすること
ができる。
【0026】また、状態(2)および状態(3)は、共振器
の効果により、共振器中の光の真空場を変更することに
よって、エネルギと運動量が良い量子数になった状態を
実現している。それゆえ、キャリアを状態(2)もしくは
状態(3)に導入するだけでドレスド状態(ω2 ±
2 ±)、(ω3 ±,k3 ±)が形成される。特に、状態
(ω 2 ±,k2 ±)を形成するために、光を用いる必要は
なく、電流注入で運動量も規定された状態が形成され、
状態(3)との間で反転分布を作ることができる。この反
転分布状態を利用して光増幅を容易に実現することがで
きる。
【0027】以上の動作を行なう面型光増幅器の基本構
成は、以下のようになる。本例の面型光増幅器は、半導
体材料を用いたものであり、ポンプ光の発生は、入射用
ファイバから入射することも可能であるし、また、電流
注入によってポンプ光を生成することも可能である。
【0028】基本構成は、半導体基板上にそれぞれ設け
られた、量子井戸層と量子井戸の両側のバリア層と、ポ
ンプ光の波数制御のためのグレーティング、および、ポ
ンプ光発生のための電極よりなる。ここで活性層である
量子井戸層は、状態(2)および状態(3)に対応する励起
子状態が存在するようにする。このとき、基底準位(状
態(1))と状態(2)の間および状態(3)との間、さらに
状態(2)と状態(3)の間の光学的遷移が許されていなけ
ればならない。
【0029】この2準位の構成技術としては、2種類の
膜厚の異なる量子井戸を接近して配置して電子及び正孔
の波動関数が重なるようにする技術(結合量子井戸を形
成する方法)や、単一の量子井戸中の2つのサブバンド
を利用する技術などがある。本実施の形態では前者の技
術を採用する。そして、状態(1)−状態(2)間の発光波
長に共鳴するグレーティングを形成する。
【0030】このような面型光増幅器の具体的な構成
を、図1に基づき説明する。図1(b)は、本例の面型
光増幅器の断面を示し、図1(a)は、図1(b)の線
分A−A’での断面を示している。
【0031】図中、1は図2における状態(2)から状態
(1)の遷移に対応する波長の発光をする活性層、2は図
2における状態(3)から状態(1)の遷移に対応する波長
の発光をする活性層、3は活性層2からの発光に共鳴す
るグレーティング、4はバリア層(Al0.2Ga0.8N 5 n
m)、5は上部バリア層で屈折率が高い層(p-Al0.2Ga
0.8N 800 nm)、6は下部バリア層で屈折率が高い層
(n-Al0.2Ga0.8N 800 nm)、7はグレーティング
の共鳴波長を所望の値にするための1/4波長シフト、
8は上部バリア層で屈折率が低い層(p-Al0.25Ga0.75
N 500 nm)、9は下部バリア層で屈折率が低い層(n
-Al0.25Ga0.75N 500 nm)、10はp型コンタクト
層(p-GaN 500 nm)、11はn型コンタクト層(n-
GaN 500 nm)、12は緩衝層(poly-GaN 100 n
m)、13はサファイア基板、14はp-電極、15は埋
め込み層(SOG)、16は絶縁層(SiO2)、17はn-電極
である。
【0032】以下、その作製工程を説明する。まず、サ
ファイア基板13上に、低温成長によって、緩衝層とし
てのGaN12を形成し、n型コンタクト層としてn型
GaN層11を成長させる。さらに、下部バリア層とな
るn型Al0.2Ga0.8N層9、および、n型Al0.25Ga
0.75N層6を形成し、それらの層の間に状態(1)−状態
(2)に共鳴するグレーティング3を形成する。また、結
合量子井戸層となる2つの量子井戸層1,2及びバリア
層4を形成する。
【0033】尚、本図1では、1組の結合量子井戸(量
子井戸層1,2とバリア層4の3層からなる)のみを形
成した例を示したが、増幅率を大きくするために、実際
には15組の結合量子井戸を形成した。この2つの量子
井戸層1,2は、図2における状態(2),(3)に対応す
る励起子が励起される。
【0034】次に、これらの層を逆向きに上部バリア層
p型Al0.2Ga0.8N層5とp型Al0.2Ga0.8N層8を形
成する。尚、この上部バリア層p型Al0.2Ga0.8N層5
とp型Al0.2Ga0.8N層8間に、状態(1)−状態(3)に
共鳴するグレーティングを形成しても良いが、このグレ
ーティングは、室温以上の高でもポラリトンを安定に
存在させることを目的に共振器のQ値を高めるために用
いているのであり、アイドラ光に関しては特に高いQ値
の共振器は必要ないのでここでは用いない。
【0035】さらに、p型コンタクト層としてp型Ga
N層10を形成する。そして、この層構造を層9の途中
までメサ形状にドライエッチングによって加工し、しか
る後に、パッシベーション膜として熱CVDによるSi
2層16を形成した上で、ポリイミド材料15にてメ
サを埋め込む。さらに、メサ近傍の一部の領域のポリイ
ミド層をエッチングして、そこにn型電極17を形成す
るとともに、メサ上部にも形成されたポリイミド層と酸
化膜をエッチバックにより除き、p電極14を形成す
る。
【0036】使用時は、入力用光ファイバから信号光と
必要な場合にはポンプ光を入射し、他方の出力用光ファ
イバから信号を取り出すとともにスクイーズされたアイ
ドラ光を入射して増幅された信号光の雑音を低減する。
本例の面型光増幅器では、15組の結合量子井戸を形成
した場合で約10dBの増幅率と1.5dBの過剰ノイ
ズの低減を得て、NF(Noise Figure)3.5dBの増
幅素子を得ることができる。
【0037】このように、図1に示した面型光増幅器で
は、ポラリトン安定化のためにグレーティングを用いた
が、次の図3では、誘電体多層膜を利用してポラリトン
安定化させた例を示す。
【0038】図3は、本発明の面型光増幅器の本発明に
係る構成の第2の実施例を示すブロック図である。本例
は、面型光増幅器におけるポラリトン安定化のために、
半導体多層膜からなる微小共振器を用いた例を示す。
【0039】図3において、1aは図2における状態
(2)から状態(1)の遷移に対応する波長の発光をする活
性層、2aは図2における状態(3)から状態(1)の遷移
に対応する波長の発光をする活性層、3aは図2におけ
る状態(2)から状態(1)の遷移に対応する波長の光が反
射するように構成された誘電体多層膜、4aはバリア層
(Al0.2Ga0.8N 5 nm)、5aは上部バリア層、9aは
下部バリア層、10aはp型コンタクト層(p-GaN 5
00 nm)、11aはn型コンタクト層(n-GaN500
nm)、12aは緩衝層(poly-GaN 100 nm)、13a
はサファイア基板、14aはp-電極、16aは絶縁層
(SiO2)、17aはn-電極である。
【0040】図2における状態(1)−状態(2)間の励起
子に共鳴する光に対しては、誘電体多層膜10aと、緩
衝層12aとサファイア基板13aの界面との間に挟ま
れた層が共振器の役割を果たす。この図3の構造におい
ても、図1の面型光増幅器と同様に、図2で示したよう
にして機能するが、励起子と光子の結合係数をより大き
くすることができる。すなわち、ポラリトンをより安定
化させることができる。
【0041】図4は、本発明の面型光増幅器の本発明に
係る構成の第3の実施例を示すブロック図である。本例
では、励起子が励起される活性層として、層状ペロブス
カイト構造を含む有機物質を利用した例を示す。
【0042】この物質は無機物質で構成された層状のペ
ロブスカイト構造と層状の有機物層が交互に積層された
物質で、励起子の持つエネルギは、1層のペロブスカイ
ト構造の膜厚および、無機の構成物質である金属原子と
ハロゲンの種類によって決まり、これらの選択の仕方に
よっては、イメージチャージの効果により、励起子の束
縛エネルギは300meVに達し、LT分裂量も50m
eVに達する。
【0043】この物質は、これらの大きな励起子につい
ての物性定数のために、室温でのポラリトンを利用した
デバイスを構成するのには非常に効果的である。図4
(b)では素子の断面構造を、また、図4(a)では、
図4(b)における線分B−B’での断面を示す。
【0044】本図において、41はペロブスカイト材料
((C1021NH3)2PbI4)により構成された活性層、
42はペロブスカイト材料((C13NH3)2PbI4)に
より構成された活性層、43は活性層42に対応するグ
レーティング、44は屈折率の高いポリイミド層、45
は屈折率の低いSiO2層、46は屈折率の低いポリイミ
ド層、47はシリコン基板、48は埋込層(ポリイミド
材料)、49,49aはポンプ光発生のための電極であ
る。
【0045】以下、その作製工程を説明する。まず、シ
リコン基板47上に屈折率の低いSiO2膜45を形成
し、その上面にグレーティング43を形成する。その上
に活性層材料として、2種類のPb系ペロブスカイト材
料41,42を重ねて形成する。次に、ポンプ光を発生
するための電極49および電極49aを形成する。これ
らの電極49,49a間にはブレークダウン電圧以上の
電圧を印加し、電流注入によりポンプ光を生成する。
【0046】さらに、屈折率の高い層44をポリイミド
材料にて形成し、屈折率の低い層46もポリイミド材料
にて形成する。ここでグレーティング43は、ペロブス
カイト材料42に共鳴するようなピッチで形成される。
尚、埋込層48は屈折率の低いポリイミド材料による埋
め込み層である。
【0047】使用時は、入力用光ファイバから信号光と
必要な場合にはポンプ光を入射し、他方の出力用光ファ
イバから信号を取り出すとともに、スクイーズされたア
イドラ光を入射して増幅された信号光の雑音を低減す
る。本例では、ペロブスカイト層の総数が7層の場合の
素子において、約7dBの増幅率と2dBの過剰ノイズ
の低減を実現することができ、NF2.8dBの増幅素
子を得ることができる。
【0048】図5は、本発明の面型光増幅器の本発明に
係る構成の第4の実施例を示すブロック図である。本例
は、ペロブスカイト材料を用いた構成で、ポラリトン安
定化のために、半導体多層膜からなる微小共振器を用い
た例を示す。
【0049】本図において、41aはペロブスカイト材
料((C10H21NH3)2PbI4)により構成された活性層、42
aはペロブスカイト材料((C1H3NH3)2PbI4)により構成
された活性層、43a,43bは図2における状態(2)
から状態(1)の遷移に対応する波長の光が反射するよう
に構成1された誘電体多層膜、45aは共振器長調整の
ための絶縁層(SiO2)、45bは下部バリア層、46aは
上部バリア層、47aはシリコン基板、48aは埋込層
(ポリイミド材料)、49b,49cはポンプ光発生の
ための電極である。
【0050】誘電体多層膜43a,43bの間に挟まれ
た層が共振器の役割を果たす。この図5の構造において
も、図4の面型光増幅器と同様に、図2で示したように
して機能するが、励起子と光子の結合係数をより大きく
することができる。すなわち、ポラリトンをより安定化
させることができる。
【0051】図6は、本発明の光通信システムの構成例
を示すブロック図である。本例の光通信システムでは、
図1および図3〜図5における面型光増幅器61を用い
て、光通信装置60で生成され光ファイバ64を介して
入力された光信号を増幅して光ファイバ62を介して送
出する。また、光ファイバ63を介して入力される光信
号を、面型光増幅器61で増幅して光通信装置60に入
力すると共に、雑音低減に必要なアイドラ光を光ファイ
バ63を介して入力する。面型光増幅器61は、小型で
高効率な光増幅が可能であり、それを用いる本例の光通
信システムも、小型化および高効率化することができ
る。
【0052】以上、図1〜図5を用いて説明したよう
に、本例の面型光増幅器では、また、図6における光通
信システムで用いた面型光増幅器では、3準位系の光学
遷移を用いた光増幅過程と、アイドラ光と信号光の量子
相関の2つを同時に実現するために、ポラリトン−ポラ
リトン遷移を利用する構成とした。すなわち、本例で
は、状態(2)と状態(3)をドレスド状態とし、かつ、状
態(3)の放射寿命をキャリアの位相緩和時間よりも短く
なるようにし、信号光とアイドラ光のコヒーレンスをと
り、アイドラ光をスクイーズ状態にして、信号/雑音比
を改善した。さらに、状態(1)と状態(2)間の発光波長
に共鳴するグレーティング、もしくは、誘電体反射膜を
設け、共振器のQ値を高め、室温以上の高温でもポラリ
トンを安定に存在させることができる。
【0053】これにより、図6における光通信システム
から光増幅器に要請される、光増幅の高効率特性を維持
しつつ、信号/雑音比の劣化が少ない、また、極めて簡
便な手段によって信号の増幅がなされる、さらに、信号
/雑音比の劣化が少なく且つ小型であるといった、パラ
メトリック効果を用いた信号/雑音比の劣化の少ない従
来の光増幅器の欠点を解消し、一方、誘導放出を利用し
た光増幅器の長所を取り入れた新しい光増幅器を提供す
ることができる。
【0054】また、状態(2)のポラリトンを構成する励
起子として、電子と正孔を電極から注入するので、実用
上の制御性および取り扱いの容易性が向上する。尚、本
発明は、図1〜図6を用いて説明した実施例に限定され
るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種
々変更可能である。例えば、本例の面型光増幅器を光交
換機や光IC(Integrated Circuit)にも適用可能であ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、光システム側から面型
光増幅器に要請される主要な事項、すなわち、増幅が高
効率になされ、信号/雑音比の劣化が少なく、且つ極め
て簡便な手段によってその動作がなされるといった事項
を同時に満たすことができ、光ファイバを用いたネット
ワークやコンピュータ装置等、光信号を利用するシステ
ムの性能を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の面型光増幅器の本発明に係る構成の第
1の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1における面型光増幅器の動作原理の一例を
示すエネルギ・ダイアグラムである。
【図3】本発明の面型光増幅器の本発明に係る構成の第
2の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明の面型光増幅器の本発明に係る構成の第
3の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の面型光増幅器の本発明に係る構成の第
4の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明の光通信システムの構成例を示すブロッ
ク図である。
【図7】パラメトリック効果を利用した面型光増幅器の
動作原理を示すエネルギ・ダイアグラムである。
【符号の説明】
1,1a:図2における状態(2)から状態(1)の遷移に
対応する波長の発光をする活性層、2,2a:図2にお
ける状態(3)から状態(1)の遷移に対応する波長の発光
をする活性層、3:活性層2からの発光に共鳴するグレ
ーティング、3a:図2における状態(2)から状態(1)
の遷移に対応する波長の光が反射するように構成された
誘電体多層膜、4,4a:バリア層(Al0.2Ga0.8N 5
nm)、5,5a:上部バリア層で屈折率が高い層(p-A
l0.2Ga0.8N 800 nm)、6:下部バリア層で屈折率
が高い層(n-Al0.2Ga0.8N 800 nm)、7:グレー
ティングの共鳴波長を所望の値にするための1/4波長
シフト、8:上部バリア層で屈折率が低い層(p- Al
0.25Ga0.75N 500 nm)、9,9a:下部バリア層
で屈折率が低い層(n- Al0.25Ga0.75N 500 n
m)、10,10a:p型コンタクト層(p-GaN 500
nm)、11,11a:n型コンタクト層(n-GaN 5
00 nm)、12,12a:緩衝層(poly-GaN 100
nm)、13,13a:サファイア基板、14,14
a:p-電極、15:埋め込み層(SOG)、16,16
a:絶縁層(SiO2)、17,17a:n-電極、41,
41a:ペロブスカイト材料((C1021NH3)2Pb
4)により構成された活性層、42,42a:ペロブ
スカイト材料((C13NH3)2PbI4)により構成され
た活性層、43:活性層42に対応するグレーティン
グ、43a,43b:図2における状態(2)から状態
(1)の遷移に対応する波長の光が反射するように構成さ
れた誘電体多層膜、44:屈折率の高いポリイミド層、
45:屈折率の低いSiO2層、45a:共振器長調整の
ための絶縁層(SiO2)、45b:下部バリア層、46:
屈折率の低いポリイミド層、46a:上部バリア層、4
7,47a:シリコン基板、48,48a:埋込層(ポ
リイミド材料)、49,49a〜49c:ポンプ光発生
のための電極、60:光通信装置、61:面型光増幅
器、62〜64:光ファイバ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−312879(JP,A) 特開 平9−5686(JP,A) 特開 昭63−197915(JP,A) 特許2903017(JP,B1) 1998年(平成10年)秋季第59回応用物 理学会学術講演会予稿集 第3分冊 (1998年9月15日発行)p.915白井正 敬、勝山俊夫「17a−T−7 ポラリト ン間遷移を利用した低ノイズ光アンプの 理論検討」 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/00 - 1/025 G02F 1/29 - 1/39 H01S 3/108 - 3/109 H01S 3/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプ光により励起される前のエネルギ
    準位状態(1)と、励起された後のエネルギ準位状態
    (2)、および、上記ポンプ光が信号光とアイドラ光に変
    換されるエネルギ準位状態(3)とを有する面型光増幅器
    であって、 上記状態(2)と上記状態(1)間の遷移と、上記状態(3)
    と上記状態(1)間の遷移に同時に共鳴して上記状態(2)
    と上記状態(3)をドレスド状態とし、かつ、上記状態
    (3)の放射寿命をキャリアの位相緩和時間よりも短かく
    して上記信号光とアイドラ光の間のコヒーレントを保つ
    共振器を設け、上記アイドラ光をスクイーズド状態とす
    と共に、 上記状態(1)と上記状態(2)間の発光波長に共鳴して上
    記共振器のQ値を高めるグレーティングを設ける ことを
    特徴とする面型光増幅器。
  2. 【請求項2】 ポンプ光により励起される前のエネルギ
    準位状態(1)と、励起された後のエネルギ準位状態
    (2)、および、上記ポンプ光が信号光とアイドラ光に変
    換されるエネルギ準位状態(3)とを有する面型光増幅器
    であって、上記状態(2)と上記状態(1)間の遷移と、上記状態(3)
    と上記状態(1)間の遷移に同時に共鳴して上記状態(2)
    と上記状態(3)をドレスド状態とし、かつ、上記状態
    (3)の放射寿命をキャリアの位相緩和時間よりも短かく
    して上記信号光とアイドラ光の間のコヒーレントを保つ
    共振器を設け、上記アイドラ光をスクイーズド状態とす
    ると共に、 上記状態(1)と上記状態(2)間の発光波長に共鳴して上
    記共振器のQ値を高める誘電体反射膜を設け ることを特
    徴とする面型光増幅器。
  3. 【請求項3】 請求項1、もしくは、請求項2のいずれ
    に記載の面型光増幅器において、2種類の膜厚の異な
    る量子井戸を、電子および正孔の波動関数が重なるよう
    に接近して配置して、上記状態(2)と上記状態(3)を構
    成することを特徴とする面型光増幅器。
  4. 【請求項4】 請求項に記載の面型光増幅器におい
    て、上記膜厚の異なる量子井戸を数nm以内に近接させ
    て設けることを特徴とする面型光増幅器。
  5. 【請求項5】 請求項1、もしくは、請求項のいずれ
    かに記載の面型光増幅器において、1つの量子井戸中の
    2種類のサブバンドで、上記状態(2)と上記 状態(3)の
    ドレスド状態を形成することを特徴とする面型光増幅
    器。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項のいずれかに記載
    の面型光増幅器において、上記状態(2)のドレスド状態
    を形成する電子と正孔を電極から注入する手段を設ける
    ことを特徴とする面型光増幅器。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の面型光増幅器を有し、該面型光増幅器を用いて、送受
    信する光信号の増幅を行なうことを特徴とする光通信シ
    ステム
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1998年(平成10年)秋季第59回応用物理学会学術講演会予稿集 第3分冊(1998年9月15日発行)p.915白井正敬、勝山俊夫「17a−T−7 ポラリトン間遷移を利用した低ノイズ光アンプの理論検討」

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