JP2903017B1 - 光増幅器 - Google Patents

光増幅器

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JP2903017B1 JP13540998A JP13540998A JP2903017B1 JP 2903017 B1 JP2903017 B1 JP 2903017B1 JP 13540998 A JP13540998 A JP 13540998A JP 13540998 A JP13540998 A JP 13540998A JP 2903017 B1 JP2903017 B1 JP 2903017B1
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Abstract

【要約】 【課題】光増幅の高効率特性を維持しつつ、信号/雑音
比の劣化が少なく且つ小型なる新たな光増幅器を提供す
る。 【解決手段】本願発明の光増幅器は、導波路内に光の進
行方向に延在する量子井戸構造を少なくとも有する光共
振器を有し、当該量子井戸構造はエネルギー準位に相違
のある少なくとも2種類のポラリトンを確保し得る量子
井戸領域であって、当該量子井戸領域のエネルギーの低
い準位群よりの誘導放射による放射寿命が、当該量子井
戸領域のエネルギーの低い準位群の位相緩和時間より小
さい状態を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は光増幅器に関する
ものである。更に詳細には、本願発明の光増幅器は半導
体材料を主体として構成され、且つポラリトンを利用し
た光増幅器に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光増幅器は大きく二つの型に分け
られる。一つは光の誘導放出を利用するもので、通常の
半導体光増幅器や希土類、例えばエルビウムドープファ
イバ増幅器等がある。もう一つが非線形効果を利用しす
るものである。利用される非線形効果としてはパラメト
リック効果等である。非線形効果を利用する光増幅器の
例として、例えば、1993年のフィジカル レビュー
レター 第70巻 3239頁より3242頁(Ph
ys. Rev. Lett. Vol.70 p3239
−p3242(1993))に見られる。そして、この
光増幅器は、これまで理論的に限界とされていた信号/
雑音比の3dB以下を実現している。それは、ポンプ光
と信号光の差周波数に当たるアイドラー光がスクイーズ
状態にあって、信号光とアイドラー光の間に特定の位相
関係が成立させることによって達成されると報告してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】昨今の光システム側か
ら光増幅器に要請される主要な事項は、増幅が高効率に
なされ、信号/雑音比の劣化が少なく、且つ極めて簡便
な手段によってその動作がなされることである。
【0004】従来の誘導放出を利用する光増幅器の場
合、原理的に信号/雑音比の劣化3dB以上になる。現
実に、最も最適化された半導体増幅器でも5dB程度の
劣化が報告されている。しかし、非線形効果を利用した
光増幅器に比べて高効率で、小型で使いやすいととも
に、この光増幅器は微弱な信号光に対しても機能する。
また、入力信号の強度が比較的大きく変化してもより安
定に動作する利点を有している。
【0005】一方、非線形効果を利用する光増幅器の中
で、たとえば、パラメトリック増幅器については、前述
したように、信号/雑音比の劣化を3dB以下にできる
ことが報告されている。
【0006】しかし、この場合、反対に、誘導放出を利
用した上記光増幅器の小型で高感度という利点を失うこ
とになる。更に、非線形効果を利用した光増幅器では、
多くの非線形材料が絶縁体であるため、電流注入の手段
を用いては増幅できない、実用上の大きな欠点が有る。
【0007】本願発明の第1の目的は、光増幅の高効率
特性を維持しつつ、信号/雑音比の劣化が少ない新たな
光増幅器を提供するものである。
【0008】本願発明の第2の目的は、光増幅の高効率
特性を維持しつつ、極めて簡便な手段によって信号の増
幅がなされる新たな光増幅器を提供するものである。
【0009】本願発明の第3の目的は、光増幅の高効率
特性を維持しつつ、信号/雑音比の劣化が少なく且つ小
型なる新たな光増幅器を提供するものである。
【0010】こうした諸目的の達成によって、上述の光
システムから光増幅器に要請される信号/雑音比の劣化
が少なく、増幅が高効率になされ、且つ極めて簡便な手
段によって信号の増幅がなされる新たな光増幅器を提供
することが出来る。
【0011】このように、本願発明は、上述のパラメト
リック効果を用いた信号/雑音比の劣化の少ない従来の
光増幅器の欠点を解消し、一方、誘導放出を利用した光
増幅器の長所を取り入れた新しい光増幅器を提供するこ
とが出来る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明の基本的な技術
思想の要点を列挙すれば次の通りである。
【0013】本願発明は、一本以上の光導波路に入力さ
れる光信号を増幅することができる装置であって,エネ
ルギーの異なる二種類のポラリトンの間のポラリトン−
ポラリトン遷移を利用する光増幅器である。尚、光の増
幅の為、両ポラリトン間に反転分布状態を得る必要があ
ることは言うまでもない。
【0014】尚、室温以上の高温でもポラリトンを安定
に存在させるための手段として、そのポラリトンを構成
する励起子の発光波長に対応する回折格子(グレーティ
ング)を用いて好適である。
【0015】また、ポラリトン−ポラリトン遷移を増強
するために2つのポラリトンを構成する励起子が存在す
る2つ以上の層を、各層構成の持つ波動関数を相互に重
ねて所望の増幅率を得るようにする。この間隔は、概ね
数nm以内に近接させることが有用である。
【0016】2種類のポラリトンのうち高エネルギー側
のポラリトンを、そのポラリトンを構成する励起子とし
て、電子と正孔の電極からの注入することが、実用上の
制御性および取り扱いの容易性の観点から極めて有用で
ある。
【0017】次に、より具体的に本願発明の光増幅器の
基本構成を説明する。
【0018】本願発明の光増幅器は、導波路内に、光の
進行方向に延在し且つ第1のポラリトンを確保し得る第
1のエネルギー準位群を有する量子井戸領域と、光の進
行方向に延在し且つ第2のポラリトンを確保し得る第2
のエネルギー準位群を有する量子井戸領域とを少なくと
も有する光共振器を有し、前記第1のエネルギー準位群
は前記第2のエネルギー準位群より高いエネルギーを有
し、当該量子井戸領域のエネルギーの低い順位よりの誘
導放射による放射寿命が、当該量子井戸領域のエネルギ
ーの低い順位の位相緩和時間より小さい状態を有するこ
とを特徴とするものである。
【0019】本光増幅器の基本構成例は、結合量子井戸
で構成される少なくとも二つの量子井戸構造を準備し、
この量子井戸構造の近傍に、この二つの量子井戸領域の
伝播光の特定波長に共鳴する二種類の回折格子が配され
る。この場合、(1)二種類の回折格子を各々前記結合
量子井戸導波路を挟んで両側に設ける場合や、(2)二
種類の回折格子を前記結合量子井戸導波路に隣接して並
列に設ける場合、さらには(3)二種類の回折格子を前
記結合量子井戸導波路の入射窓または出射窓の近傍に設
ける、あるいは二種類の回折格子を前記結合量子井戸導
波路の入射窓および出射窓の両者の近傍に設ける、など
の種々の形態が考えられる。要は特定波長が当該回折格
子に共鳴すれば良い。以下の実施の形態での例は、上記
(1)、(2)の例である。この回折格子は、通例光の
進行方向と平行な面に延在して設けられる。
【0020】上述した通り、室温以上の温度までポラリ
トンを安定に存在させる為、回折格子を用いるものであ
る。この二種類の回折格子はバンド理論における二つの
状態、状態1−状態2間、状態1−状態3間の発光波長
に共鳴する回折格子である。特定の波長のみを透過する
ようにするためこれらの二種類の回折格子は相互に1/
4波長シフトの状態に形成される。上述の回折格子は通
例のエッチング等の方法によって形成される。
【0021】勿論、光増幅器の材料系によって具体的諸
特性が左右されることはいうまでも無い。GaAs系の
材料では77K程度まで、GaN系やインオルガニック
ーオルガニック ペロブスカイト材料(Inorgan
ic−Organic Perovskites)では
室温程度までの高温で本願発明の効果が実現できる。
【0022】最も構成し易い構造では、二つのポラリト
ンが存在するように二つの量子井戸層構造がバリア層を
挟んで併置されている。こうした構造を結合量子井戸構
造と称する。このバリア層は、実用上効果を十分奏する
為、概ね15nmより薄く形成される。
【0023】また、こうした複数のポラリトンが存在す
るように複数の量子井戸層構造を積層することも可能で
ある。
【0024】尚、活性層となる量子井戸層はGaIn
N、GaInNAsなど、バリア層はAlxGa1-xNな
どを用いることが出来る。クラッド層はAlyGa1-y
などを、前記導波路用のコア層としてはAlzGa
1-zN、などを用いることが出来る。尚、コア、クラッ
ドの関係から、z<yの関係を選択することは言うまで
も無い。まだ、クラッド、コアの材料は、その他の有機
樹脂、無機材料をも用いることが出来る。これらを例示
すれば、ポリイミド樹脂、PIQ(ポリイミドイソイン
ドロキナゾリンジオン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ある
いはシリカなどである。
【0025】更に、結合量子井戸構造を構成するに、レ
イヤード ペロブスカイト(layered Pero
vskites)であるインオルガニックーオルガニッ
クペロブスカイト材料(Inorganic−Orga
nic Perovskites)が有用である。この
材料は所望個所に塗布することによって、その特有のイ
ンオルガニックーオグガニック構造によって前記の結合
量子井戸構造を実現出来る。具体的材料として、(1)
ビス・アルキルアンモニウム・メタル(II)テトラハ
ライド(bis−(alkylammonium)me
tal(II)tetra−halide:(Cn
2n+1NH3)2MX4(ここで、n=2,3,4、…、1
8、M=Cd、Cu、Fe、Mn、Pd、あるいはP
b、X=Cl、Br、あるいはI)、あるいは(2)
(Cn2n+1NH32(CH3NH3m-1Pbm3m+1
挙げることが出来る。
【0026】尚、こうしたインオルガニックーオルガニ
ック ペロブスカイト材料自体については、例えば
「T.Ogawa and Y. Kanemitsu:
Opetical Properties of Dim
ensional Materials、World S
cientific、1995」の第6章に詳しい。
【0027】こうしたインオルガニックーオルガニック
ペロブスカイト材料を用いると、有機材料層部分が量
子井戸領域、この有機材料層部分の外周に形成される無
機材料層がバリア層を構成する。こうしたインオルガニ
ックーオグガニック層の複数層を重ねて形成することに
よって、複数の量子井戸構造を実現することが出来る。
【0028】次に、本願発明の物理的な原理を説明す
る。
【0029】図1は本願発明の原理の原形となるバンド
理論に基づくエネルギ・ダイアグラムである。図1にお
いて、1は通例基底状態に対応する状態1、2は状態
2、3は状態3を表わす。パラメトリック効果を利用し
た光増幅器は、図1に示された状態において、ポンプ光
が2次の非線形効果によって、ポンプ光4が信号光5と
アイドラー光6の2つの光に変換されることを利用して
いる。そして、ポンプ光4の周波数は信号光5とアイド
ラー光6の各々の周波数の和の周波数となっている。
尚、図1では、符号4,5、および6は、図中、ポンプ
光など光自体の説明を付しているが、これらの各符号は
各光に対応するエネルギー・ギャップの大きさを示して
いる。図2においても同様である。
【0030】図2は本願発明の基本構成を説明する為の
エネルギ・ダイアグラムである。このエネルギ・ダイア
グラムは図1の原形を基に具体的に光増幅器の実現が可
能なように変形されたものである。
【0031】図1の状態3は仮想状態で、実準位からは
アイドラー光もしくは信号光の光のエネルギーが存在す
るわけではない。それゆえ、大きな非線形感受率をもっ
た物質でさえ、高いエネルギーの光ポンプを必要とし、
信号光強度についての制約も大きくなる。
【0032】ところが、通常の条件で状態3を実準位に
置き換えたとすると、状態2、状態3間に反転分布を生
じさせて、増幅させることができる。図2はこの状態を
説明する為のバンド構造図である。しかし、このまま反
転分布を実現しても、普通の誘導放出を利用した光増幅
器を利用した場合と同様に信号/雑音比に制限が発生す
る。
【0033】図2において、図1と同様に1は通例基底
状態に対応する状態1、2は状態2、3は状態3を表わ
す。ポンプ光が2次の非線形効果によって、ポンプ光4
が信号光5とアイドラー光6の2つの光に変換されるこ
とを利用している。そして、ポンプ光4の周波数は信号
光5とアイドラー光6の各々の周波数の和の周波数とな
っている。図2には、入射光13が、増幅された出力光
15となる状態を示している。尚、アイドラー光は符号
14として示されている。
【0034】今、状態3の放射寿命がキャリアの位相緩
和時間よりも十分短ければ、信号光とアイドラー光の間
のコヒーレンスが保たれ、アイドラー光をスクイーズ状
態にすれば、信号/雑音比を改善することができる。本
願発明は実効的に状態3の放射寿命をキャリアの位相緩
和時間よりも短くなるようにして、信号光とアイドラー
光のコヒーレンスをとるようになすものである。
【0035】図1の状態2−1間の遷移と状態3−1間
の遷移に同時に共鳴するの共振器を用意する。これは上
述した結合量子井戸で構成される少なくとも二つの導波
路に対応する。
【0036】この時、状態2と状態3はドレスド状態ま
たは励起子ポラリトンと呼ばれる光と遷移に付属する双
極子モーメントの共鳴状態になり、それぞれ、2準位に
分裂する。このとき、これら4つの状態は(w2±、k
2±)と(w3±、k3±)と指数付けされる。これら
(w2±、k2±)と(w3±、k3±)の各々を、ラ
ビ準位と称し、7,8および9,10として図示され
る。また、光による準位の分裂量はラビ分裂量と呼ば
れ、それぞれ、Ω2、Ω3と記す。
【0037】尚、本願明細書において、(w2±、k2
±)などは、(ω2±,k2±)を示すものとする。
【0038】ここで上記共振器は次の条件 hΩk ≫ kT、 γk、photon、γk、carrier (k=2、3)(条件1)… …式1 を満たすように作製されるものとする。 ここでhはプ
ランク定数を2πで割ったもの、kTは熱エネルギー、
γk、photon は共振噐中の光の寿命できまる線幅、γ
k、carrierはそれぞれの準位にあるキャリアの位相緩和
時間から決まる線幅である。
【0039】さらに、装置に入射する信号光を (w1=w3±−w2±、k1=k3±− k2±)(複合任意) (条件2)……式2 となるようにする。
【0040】今、(w1、k1)の入射により、状態(w
2±、 k2±)から誘導放射によって緩和したとす
る。(条件2)より、緩和した後の状態は状態(w3
±、 k3±)であるから放射寿命は2π/Ωk となる
が、この時間は(条件1)より状態(w3±、 k3
±)の位相緩和時間よりも十分短い。それゆえ、信号光
とアイドラー光の間の量子相関がとれて、状態(w3
±、 k3±)をスクイーズド状態とすることによって
信号光の信号/雑音比の劣化は、大幅の低下する。そし
て、これまでこうした光増幅器の信号/雑音比の理論的
限界と言われた3dB以下になすことが可能となる。
【0041】尚、スクイーズド状態とは、二つの直交す
る偏光成分の一方の量子雑音が、標準量子限界よりも小
さくなっている状態をさす。本願発明はこの標準量子限
界よりも小さくなっている偏光成分を用いることによっ
て、これまでの信号/雑音比の理論限界を越える特性を
得るものである。尚、コヒーレント状態、スクイーズド
状態など量子力学的な光の取り扱いの詳しい理論は、例
えば、「光通信理論:光通信理論研究会編、1990」
などに明らかである。
【0042】次に、本願発明が電流注入の手段によって
動作が可能なことを説明する。
【0043】状態2、状態3は回折格子を用いた共振器
の効果によってエネルギーと運動量が良い量子数になっ
た状態が実現している。
【0044】それゆえ、キャリアを状態2もしくは状態
3に導入するだけでドレスド状態(w2±、k2±)、
(w3±、k3±)が形成される。とくに、状態(w2
±、k2±)を形成するために、光を用いる必要はな
く、電流注入で運動量も規定された状態が形成され、状
態3との間で反転分布を作ることができる。この反転分
布状態を利用して光増幅を容易に実現することが出来
る。
【0045】本願発明は、雑音特性の向上以外に以下に
述べるような利点を有する。その原理を説明する。
【0046】状態2から状態3を通って状態1に緩和す
る遷移を摂動論で扱ったとする。遷移は2回の連続する
共鳴放射として扱われるから、遷移確率は仮想状態を経
由した遷移確率よりもw1/γ1× w2/γ2倍だけ
改善する。ここでγ1、γ2はそれぞれ、状態2から状
態3への遷移と状態2から状態3への遷移にともなう線
幅である。それゆえ、弱いポンプ光、信号光に対しても
十分動作する。さらに、状態2、状態3は極端に高い励
起状態にする必要がなく、入射信号光強度に対する許容
度も高い。また、同じ理由で十分な利得(ゲイン)をと
ることができて装置を小型にすることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本実施の形態1
は電流注入によってポンプ光を生成する電流注入型の光
増幅器の例である。
【0048】図3、図4を用いて実施の形態1を説明す
る。図3は信号光の伝播方向に平行な面での断面図、図
4は信号光の伝播方向に交差する面での断面図である。
【0049】実施の形態1の基本構成は、結合量子井戸
で構成される活性層領域(303,304)とこれらを
挟んで二つの導波路が配される。この二つの導波路に
は、二種類の回折格子(301,302)が設けられ
る。活性層領域は2つの励起状態を有するように構成さ
れる。そして、前記二種類の回折格子はこの2つの励起
状態の発光波長に共鳴する回折格子である。2つの励起
状態とは、前記の説明における状態1−2間、状態1−
3間に対応する。尚、前記の回折格子は、光の進行方向
と平行な面と平行な面に延在して設けられる。特定の波
長のみを透過するようにするためこれらの回折格子に1
/4波長シフト(316,317)を形成する。そして
これらを挟んで、光の導波の為に、少なくとも2つのク
ラッド層(309,310)が設けられる。更に、これ
らの両クラッド層を介して特性制御の為のn型、p型電
極が形成される。以下に各構成部分を詳細に説明する。
【0050】前記両活性層領域は電子正孔対を成生す
る。ここで両活性層領は前記状態2および状態3に対応
する励起状態が存在するようにする。このとき基底準位
(状態1)と状態2の間および状態3との間と状態2、
3の間の光学的遷移許されていなければならない。
【0051】この2準位の構成方法としては2種類の膜
厚の異なる量子井戸を接近して配置し、電子及び正孔の
波動関数が重なるようにする方法(結合量子井戸を形成
する方法)や、単一の量子井戸中の2つのサブバンドを
利用する方法などがある。
【0052】本実施の形態では前者の方法を採用した。
従って、前記両量子井戸(303,304)の間にはバ
リア層(305)が設けられている。
【0053】二つの導波路には、二種類の回折格子(3
01,302)が設けられる。これは、状態1−2間、
状態1−3間の発光波長に共鳴する二種類のピッチの回
折格子である。更に、特定の波長のみを透過するように
するためこれらのグレーティングに1/4波長シフトの回
折格子(316,317)を形成する。ドレスド状態
(w2±、k2±)と(w3±、k3±)の間に反転分
布を形成するために、状態1−3間の遷移に対応する回
折格子のモードとの結合定数は、状態1−2間の遷移に
対する回折格子のモードとの結合係数より小さくするこ
とによって、ドレスド状態(w3±、k3±)が速やか
緩和するようにしなければならない。
【0054】次に具体的な製造工程を説明する。各半導
体層自体の製造方法は、通例の方法に従って十分であ
る。結晶成長用の基板は、サファイア基板、GaN基板
などを用いることが出来る。
【0055】所定のサファイア基板314上に低温成長
によって緩衝層として多結晶GaN313を厚さ100
nm、 この上にn型コンタクト層としてn型GaN層3
12を厚さ500nmに成長する。
【0056】尚、以下、具体的各層の厚みなどは、上記
の例のほか、通例の量子効果を用いた半導体素子の知識
に従って設計可能である。
【0057】更に、導波路のクラッドとなるn型Al
0.25Ga0.75N層310を厚さ500nmを形成する。
そして、状態1−3間遷移に対応する回折格子302を
周知のエッチング法によって形成する。この層の上部に
導波路のコアとなるn型Al0.2Ga0.8N層307を厚
さ800nm、結合量子井戸層となる第1の量子井戸層
303、バリア層305および第2の量子井戸層304
を形成する。この場合、前記第1の量子井戸層GaIn
Nを厚さ8nm、第2の量子井戸層はGaInNを厚さ
7nm、およびバリア層Al0.2Ga0.8Nの厚さは5n
mとした。
【0058】これらの層を逆向きにコア層p型Al0.2
0.8N層307を厚さ800nmを形成し、これに、
状態1−3に共鳴する回折格子301を形成する。更
に、この上部にクラッド層となるp型Al0.25Ga0.75
N層309を厚さ500nm、そして、p 型コンタクト
層としてp型GaN層311を厚さ500nmに形成す
る。以下の工程は主に図4を参酌して説明する。これま
での工程によって形成された半導体積層体を層クラッド
層310の途中までリッジ形状にドライエッチングによ
って一部除去する。しかる後にパッシベーション膜とし
て熱CVD(Chemical Vapour Depo
sition)によるSiO2層402を形成する。、
ポリイミド材料401にてリッジを埋め込む。
【0059】さらに、リッジ近傍の一部の領域のポリイ
ミド層をエッチングによって除去し、この除去された部
分の所定領域にn 電極403を形成するとともに、リッ
ジ上部にも形成されたポリイミド層と酸化膜をエッチバ
ックにより除き、p電極315を形成する。こうして電
流注入型の光増幅器が完成する。
【0060】この光増幅器の導波路の一方の端面から信
号光を入射し、他方の端面からアイドラー光の入力およ
び増幅された信号光を取り出すこととなる。尚、本例で
は信号光は1.55μm帯を用いた。
【0061】本実施の形態1では、導波路長1mmの素
子にて約20dBの増幅率と1.5dBの過剰ノイズの
低減を得ることが出来た。また、NF(Noise F
igure)は3.5dBであった。また、直流電流源
によって1mA−100mAの電流を注入することによ
って、この電流値に応じて光の増幅を制御することが出
来る。
【0062】図7は本光増幅器の動作時の全体構成を示
すものである。光増幅器70に入力信号72が入射され
る。一方、光増幅器70の反対側には方向性結合器76
を介してアイドラー光生成部(スクイ-ズされた真空場と
みなされる)72よりのアイドラー光が入され、また、
出力信号光73が取り出される。尚、74は電流注入手
段への定電流源である。アイドラー光生成部72として
は、半導体レーザ装置、非線形光学素子(KTP,Li
NbO7など)などを用いることが出来る。
【0063】(実施の形態2)実施の形態2は光ポンプ
による光信号増幅器の例である。
【0064】図5、図6を用いて実施の形態2を説明す
る。図5は信号光の伝播方向に平行な面での断面図、図
6は信号光の伝播方向に交差する面での断面図である。
【0065】実施の態様2の基本構成は、実施の形態1
の場合と基本は同様である。結合量子井戸で構成される
活性層領域(503,504)とこれらを挟んで二つの
導波路が配される。この二つの導波路には、二種類の回
折格子(501,502)が設けられる。この例の場
合、回折格子は、結合量子井戸に隣接して基板側と反対
側に設けられている。活性層領域は2つの励起状態を有
するように構成される。そして、前記二種類の回折格子
はこの2つの励起状態の発光波長に共鳴する回折格子で
ある。2つの励起状態とは、前記の説明における状態1
−2間、状態1−3間に対応する。尚、前記の回折格子
は、光の進行方向と平行な面と平行な面に延在して設け
られる。特定の波長のみを透過するようにするためこれ
らのグレーティングに1/4波長シフトを形成する。そ
してこれらを挟んで、光の導波の為に、少なくとも2つ
のクッラド層(506,507)が設けられる。
【0066】次に具体的な製造工程を説明する。各半導
体層自体の製造方法は、通例の方法に従って十分であ
る。結晶成長用の基板は、シリコン基板、サファイア基
板などを用いることが出来る。
【0067】シリコン基板508上にSiO2膜506
を厚さ500nmに形成する。このSiO2膜506上
に第1の回折格子502が形成される。
【0068】この回折格子502が形成されたSiO2
膜506上に、活性層材料として、2種類のPb系ペロ
ブスカイト材料503,504を重ねて、塗布によって
形成する。第1のペロブスカイト材料503は(C10
21NH32PbI4を、第2のペロブスカイト材料50
4は(C13NH32PbI4を用いた。この例では、
図5に示すように、これらのペロブスカイト材料層は回
折格子の凹部内に形成された。
【0069】次いで、導波路のコアとなる層505をポ
リイミド材料で形成し、このコア層505の上に、第2
の回折格子501を形成する。更に、この上部にクラッ
ド層507をポリイミド材料にて形成する。ここで回折
格子501、502はそれぞれ2種類のペロブスカイト
材料503,504に共鳴するようなピッチで形成され
る。
【0070】こうして形成された積層体を周知のドライ
エッチングにて、図6に見られるようなメサ型導波路構
造体を形成する。しかる後、クラッド層507を覆っ
て、クラッド層を構成するポリイミド材料より屈折率の
低いポリイミド材料よりなる埋め込み層509にて、当
該メサ型導波路構造体の光の進行方向と平行な側面を埋
め込む。こうして 、光ポンプ型の光増幅器が完成す
る。
【0071】尚、以下、具体的各層の厚みなどは、上記
の例のほか、通例の量子効果を用いた半導体素子の知識
に従って設計可能である。
【0072】この光増幅器の導波路の一方の端面から信
号光とポンプ光を入射し、他方の端面からアイドラー光
を入射すると共に、増幅された信号光を取り出すことと
なる。
【0073】実施の形態2では、導波路長2mmの素子
にて約15dBの増幅率と2dBの過剰ノイズの低減を
得ることが出来た。また、NFは2.8dBであった。
本例では信号光は1.55μm帯を用いた。
【0074】図8は本光増幅器の動作時の全体構成を示
すものである。光増幅器70に方向性結合器76を介し
て入力信号71およびポンプ光生成部75よりのポンプ
光が入射される。一方、光増幅器70の反対側には方向
性結合器を77介してアイドラー光生成部72(スクイ-
ズされた真空場とみなされる)よりのアイドラー光が入
され、また、出力信号光73が取り出される。ポンプ光
生成部75として半導体レーザ装置が最適である。ま
た、アイドラー光生成部72としては、半導体レーザ装
置、非線形光学素子(KTP,LiNbO7など)など
を用いることが出来る。
【0075】尚、実施の形態2の構造を実施の形態1で
用いたGaInN系の材料によって製造出来ることは言
うまでもない。
【0076】また、逆に実施の形態1のような電流注入
型の光増幅器を、前述のインオルガニックーオグガニッ
ク ペロブスカイト系材料を用いても実現出来ることも
言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】本願発明は、光増幅の高効率特性を維持
しつつ、信号/雑音比の劣化が少ない新たな光増幅器を
提供出来る。更には、本願発明は、光増幅の高効率特性
を維持しつつ、極めて簡便な手段によって信号の増幅が
なされる新たな光増幅器を提供出来る。
【0078】信号/雑音比の劣化をこれまでの非線形効
果を用いた光増幅器の理論限界以下を実現出来る。特
に、低い信号/雑音比に抑えつつ、高効率で電流注入に
よる増幅も可能な光増幅器を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の機能のための原型となるエネル
ギーダイヤグラムである。
【図2】図2は本発明の基本構成に対応する基本エネル
ギーダイヤグラムである。
【図3】図3は本発明の電流注入型の基本構造の信号光
の伝搬方向に平行な断面図である。
【図4】
【図5】図5は本発明の光ポンプ型の基本構造の信号光
の伝搬方向に平行な断面図である。
【図6】図6は本発明の光ポンプ型の基本構造の信号光
の伝搬方向に垂直な断面図である。
【図7】図7は電流注入型光増幅器の動作状態を示す全
体構成図である。
【図8】図8は図7は光ポンプ型光増幅器の動作状態を
示す全体構成図である。
【符号の説明】
1:状態1、2:状態2、3:状態3、4:ポンプ光に
対応するエネルギー・ギャップ、5:信号光に対応する
エネルギー・ギャップ、6:アイドラー光に対応するエ
ネルギー・ギャップ、7,8,9,10:ラビ準位、1
2:ポンプ光、13:入射光、14:アイドラー光、1
5:出力光、301、302:回折格子、303、30
4:活性層領域、305:バリア層、306、307:
導波路のコア層、308:1/4波長シフト、309,
310:導波路のクラッド層、311:p型コンタクト
層、312:n型コンタクト層、313:緩衝層、31
4:サファイア基板、315:p-電極、401:埋め込
み層(例:SOG)、402:絶縁層(例:SiO
2)、403:n-電極、501,503:回折格子、5
03,504:活性層領域、505:導波路のコア、5
06、507:導波路のクラッド、508:シリコン基
板、509:埋込層、70:光増幅器、71:入射信号
光、72:アイドラー光生成部、73:出力信号光、7
4:定電流源、75:ポンプ光生成部、76,77方向
性結合器である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導波路内に光の進行方向に延在する量子井
    戸構造を少なくとも有する光共振器を有し、当該量子井
    戸構造はエネルギー準位に相違のある少なくとも2種類
    のポラリトンを確保し得る量子井戸領域であって、当該
    量子井戸領域のエネルギーの低い準位群よりの誘導放射
    による放射寿命が、当該量子井戸領域のエネルギーの低
    い準位群の位相緩和時間より小さい状態を有することを
    特徴とする光増幅器。
  2. 【請求項2】 導波路内に、光の進行方向に延在し且つ
    第1のポラリトンを確保し得る第1のエネルギー準位群
    を有する量子井戸領域と、光の進行方向に延在し且つ第
    2のポラリトンを確保し得る第2のエネルギー準位群を
    有する量子井戸領域とを少なくとも有する光共振器を有
    し、前記第1のエネルギー準位群は前記第2のエネルギ
    ー準位群より高いエネルギーを有し、当該量子井戸領域
    のエネルギーの低い順位よりの誘導放射による放射寿命
    が、当該量子井戸領域のエネルギーの低い順位の位相緩
    和時間より小さい状態を有することを特徴とする光増幅
    器。
  3. 【請求項3】 導波路内に、光の進行方向に延在し且つ
    第1のポラリトンを確保し得る第1のエネルギー準位群
    を有する量子井戸領域と、光の進行方向に延在し且つ第
    2のポラリトンを確保し得る第2のエネルギー準位群を
    有する量子井戸領域と、当該各量子井戸領域の近傍に、
    前記第1のポラリトンおよび第2のポラリトンを構成す
    る各励起子の各発光波長に対応する複数の回折格子と、
    当該複数の量子井戸領域を含むコア層と、当該コア層
    と、複数のクラッド層とを少なくとも有する光共振器を
    有し、前記第1のエネルギー準位群は前記第2のエネル
    ギー準位群より高いエネルギーを有し、前記第2のエネ
    ルギー準位群よりの誘導放射による放射寿命が、前記第
    2のエネルギー準位群の位相緩和時間より小さい状態を
    有することを特徴とする光増幅器。
  4. 【請求項4】前記量子井戸領域のエネルギーの高い準位
    群よりの誘導放射による放射寿命が、前記量子井戸領域
    のエネルギーの高い準位群の位相緩和時間より小さい状
    態を有することを特徴とする請求項2または請求項3に
    記載の光増幅器。
  5. 【請求項5】前記第1のポラリトンを構成する励起子を
    注入する手段を有することを特徴とする請求項2、請求
    項3または請求項4に記載の光増幅器。
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