JP3002625U - 工作機械の工具交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 収納効率を高めて、大径工具と小径工具を混
在して収納可能な工具マガジンを有した工作機械の工具
交換装置を提供する。 【構成】 Ｕ字形をし、工具２９を縦方向に複数個収納
可能な工具収納ユニット２７をスライドレール１９、１
９によって着脱可能にマガジンベース２５に装着し、工
具マガジン１７を構成する。その工具収納ユニット２７
は、大径工具用と小径工具用とをあらかじめ用意してお
き、必要に応じてマガジンベース２５上に装着する。工
具マガジン１７内で工具１９を把持し着脱する工具把持
手段の上下方向の移動位置と横方向の移動量とは装着し
た工具収納ユニット２７の種類と配列順序に応じて自動
的に変更、制御される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主軸と工具マガジンとの間で工具の授受、交換を行う工作機械の工 具交換装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

マシニングセンタ等の工作機械において、従来は、特公昭５９−３５７３８号 公報に示されるように、工具交換装置の工具マガジン内に複数の工具が収納され た多数のカートリッジがチェーンによって連結されており、チェーンを駆動させ 、工具が収納されたカートリッジを搬送させ、カートリッジに収納された工具の 中から１つを選択して、主軸と工具マガジンとの間で工具の交換を行っていた。 また、特開平４−３１０３４１号公報に示されるような、縦方向２列に複数の 工具を収納する１本の工具収納ユニットを、マガジンベース上に複数本整列させ 固定する工作機械の工具交換装置が知られている。これは狭いスペースに多くの 工具を収納でき、かつ工具収納ユニットを簡単に着脱でき、増設、移転が簡単に できるようにしたものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術の前者の工具交換装置は、複数の工具を収納可能な多数のカートリ ッジがチェーンによって連結され、工具マガジン内で搬送されているため、工具 収納間隔は固定であり、大径工具を収納しようとすると隣接する工具と干渉して しまうことがある。また、カートリッジの装着間隔を、収納する工具径に応じて 可変にすることが考慮されていない。 後者の工具交換装置も、大径工具を工具マガジンに収納させようとすると隣接 する工具と干渉し、収納可能な工具の大きさに制限がある。これを回避させるた めに、工具収納間隔を大径工具用に広げた工具収納ユニットにすると、小径工具 が多い場合には収納効率が下がり、無駄なスペースが生じる。つまり、大径工具 と小径工具とを混在してできるだけ効率よく多数の工具を収納させるいう構成に ついては言及していない。

【０００４】 よって、本考案の目的は、工作機械を使用して加工作業を行う加工現場におい て、工具マガジンに収納する工具の大きさに応じて工具収納ユニットの種類と配 列順序を容易に変更可能とした工作機械の工具交換装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案においては、コの字形に切欠かれた工具収納部を縦方向１列に複数個有 した工具収納部材を、前記工具収納部のコの字形の切欠き開口部が互いに向き合 うように組にしてＵ字形の工具収納ユニットとし、該工具収納ユニットを複数個 配列して構成した工具マガジンと、前記各工具収納ユニットのＵ字形の中央部を 上下方向と横方向に移動する工具把持手段とを備え、前記工具把持手段を上下方 向と横方向に移動させて所望の工具を前記工具収納ユニットの前記工具収納部に 着脱し、前記工具マガジンと主軸との間で自動工具交換を行う工作機械の工具交 換装置であって、前記工具マガジンは、前記工具収納部の縦方向のピッチおよび 前記工具収納部材間の間隔を、収納する工具径に適して製作した複数種類の工具 収納ユニットを混在して配列した工作機械の工具交換装置が提供される。 更に、前記混在して配列した複数の工具収納ユニットの種類および配列順序を 任意に設定可能な装着手段と、装着した工具収納ユニットに応じて前記工具把持 手段の上下方向移動位置と横方向移動量とを制御する制御手段とを具備した工作 機械の工具交換装置が提供される。

【０００６】

【作用】

Ｕ字形をした工具収納ユニットは、例えば大径工具、中径工具、小径工具に適 した工具収納間隔を有したものが複数種類あらかじめ用意され、それらを実際に 使用する工具径に応じて、適宜、種類や配列順序を変えて工具マガジンに装着す る。そのとき制御手段によって、工具把持手段が上下方向に移動する位置や横方 向に移動するストロークが装着された工具収納ユニットに適するように変更、制 御される。このようにして１つの工具マガジンに複数種類の寸法の工具が混在し て収納効率よく配置される。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は、本考案の第１実施例による工具交換装置を備えた工作機械を示す左側 面図、図２は図１の正面図、図３は、本考案の第２実施例による工具交換装置を 備えた工作機械の工具マガジン部分だけを示す側面図、図４は、図３のＡ−Ａ矢 視の断面図、図５は、図４のＢ部の工具交換装置のハンドを示す詳細拡大図であ る。

【０００８】 まず、図１、図２を参照して本考案の実施例による工具交換装置を備えた工作 機械を説明する。 この工作機械１は、ベッド３上を図１における左右方向に移動可能にコラム７ が設けられＺ軸の移動系を構成し、コラム７前面の摺動面上を図１における上下 方向に移動可能に主軸頭１３が装架されＹ軸の移動系を構成し、主軸頭１３内に 主軸１５が回転自在に設けられ、主軸１５に工具２９が装着される。また、コラ ム７前部のベッド３上を図１における前後方向に移動可能にテーブル５が設けら れＸ軸の移動系を構成している。 工作機械１の側部に工具マガジン１７が設置され、工具マガジン１７のマガジ ンベース２５の上下に取り付けられたスライドレール１９，１９間を工具収納ユ ニット２７が図１における左右方向に移動可能になっている。工具収納ユニット ２７はコの字形に切欠かれたポット収納部２３を縦方向に複数個有した工具収納 部材を、コの字の切欠き開口部が互いに向き合うように１組にしたＵ字形に構成 されている。このＵ字形の工具収納ユニット２７を複数個密着させて配列し、マ ガジンカバー２１でマガジンベース２５に押さえ込んでいる。

【０００９】 図１の実施例では、一番右側に大径工具用の工具収納ユニット２７を配列し、 その左側に３つの小径工具用の工具収納ユニット２７を配列している。図３の実 施例では、すべて小径工具用の工具収納ユニット２７を配列している。この例で は、大径工具用の工具収納ユニット２７の横幅寸法は小径工具用の工具収納ユニ ット２７の横幅寸法の２倍に設定してある。この工具収納ユニット２７に、中径 工具用の工具収納ユニットを設けてもよいし、使用工具によって、工具収納ユニ ット２７の種類や配列順序を任意に変えてもよい。このようにして、１つの工具 マガジン１７上に大径工具と小径工具とを混在した状態で、できるだけ無駄なス ペースを生じさせないで収納することができる。また、工具２９は、そのシャン ク６９がポット３９に挿入、支持され、ポット３９ごと工具収納ユニット２７の コの字形のポット収納部２３にスプリング（図示せず）等で押しつけられて収納 されている。

【００１０】 次に、図３、図４、図５も参照して工具マガジン１７と主軸１５との工具１９ の交換方法を説明する。 工具マガジン１７においては、ハンドキャリア４７に装着されたハンド４９が 図１または図３における上下方向と左右方向にＮＣ制御で移動可能である。その ハンド４９を工作機械１の主軸１５と工具マガジン１７との間で交換が行われよ うとする工具２９のポット３９側部に移動させるが、ハンド４９の図４における 上下方向の位置決めはハンド上下送りねじ５１をサーボモータ（図示せず）によ って回転させることによりハンドキャリア４７を上下移動させて行う。同じく左 右横方向の位置決めはハンド上下送りねじ５１の上下に設けられたスライダ４５ が、マガジンベース２５の上部に取り付けられた案内レール３５下部とハンド送 りレール５３上部との間を送りねじ（図示せず）とサーボモータにより移動して 行われる。ハンド４９が工具２９のポット３９側部に位置決めされた後、ハンド ４９の工具受け６３の先端部をポット３９の溝６５に差し込み、ピストン６１を 動作させスプリング５９を縮めて、工具受け６３上部を回転中心としてストッパ ５７を揺動させ、その先端をポット３９のストッパ溝５５に差し込む。これで、 ハンド４９がポット３９を上下から把持したことになり、このポット３９が工具 ２９を保持した状態で、ポット収納部２３の開口方向にハンド４９を移動させ工 具収納ユニット２７からポット３９ごと工具２９を取り出し、ハンド４９が装着 されたハンドキャリア４７を図３における上方向、かつ右方向に移動させ、工具 マガジン１７の上部に設けられたハンド受け渡し位置４３にてハンド４９とハン ドキャリア４７を切り離し、ハンド４９のみを旋回アーム３３に受け渡す。

【００１１】 ハンド４９を受け渡された旋回アーム３３はガイド３７により案内されつつ、 図２における前後方向に円弧上を移動し、その向きを変え、工具２９を保持した ハンド４９が工具交換のスタンバイ位置４１に搬送される。ここで、コラム７正 面上部に取り付けられたアームブラケット９の先端に設けられたＡＴＣアーム１ １が主軸軸線方向の進退動作と旋回動作を行うことにより、工具交換のスタンバ イ位置４１にある工具２９のグリップ溝６７と主軸１５に装着されている工具２ ９のグリップ溝６７を同時に掴み、先程とは逆に回転することで工具交換が行わ れる。以上のようにして工具交換装置の工具マガジン１７と主軸１５との間で工 具２９の交換が行われる。

【００１２】 次に、ハンドキャリア４７の上下方向の移動位置と左右横方向の移動ストロー クの決め方について説明する。 ハンドキャリア４７はＵ字形の各工具収納ユニット２７の中央縦軸線上を上下 方向に移動し、１つの工具収納ユニット２７内においては、左のコの字の切欠き 中心から右の切欠き中心までの横方向の移動ストロークが必要である。このハン ドキャリア４７の上下方向の移動位置と横方向の移動ストロークは、工具収納ユ ニット２７の種類と配列順序によって複数種類のパターンが存在する。あらかじ め想定される工具収納ユニット２７の配列パターンについてハンドキャリア４７ の上下方向の移動位置と横方向の移動ストロークを制御手段（図示せず）に登録 しておき、加工現場で使用工具に応じて工具収納ユニット２７の配列パターンを 変える度に、パターン番号を制御手段に入力し、入力したパターンに応じてハン ドキャリア４７の移動が行われるようにしてある。したがって、工具収納ユニッ ト２７の配列を変える度に工具交換のプログラムを変更する必要はない。

【００１３】 図３の状態から図１の状態に移行する場合、工具マガジン１７から不要となる 工具収納ユニット２７は、マガジンベース２５からマガジンカバー２１を開放し 、スライドレール１９，１９から取り出し搬送車等で運べばよい。また、工具マ ガジン１７に工具収納ユニット２７を装着する場合には、あらかじめ機械外で工 具収納ユニット２７に工具２９を収納しておきスライドレール１９，１９上に取 り付けると能率の良い工具配置替えが行える。

【００１４】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、工具収納ユニットを加工現 場においてマガジンベースに着脱可能に装着し、大径工具用の工具収納ユニット 、小径工具用の工具収納ユニット等複数種類の工具収納ユニットを１つの工具マ ガジンに必要に応じて装着でき、大径工具と小径工具とを収納効率よく配置する ことができる。その場合の工具把持手段による工具把持のための位置決め位置や ストロークの変更、制御は制御手段により自動的に行われ、工具把持手段と工具 や工具収納ユニットとの干渉は発生しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例による工具交換装置を備え
た工作機械を示す左側面図である。

【図２】図１の工具交換装置を備えた工作機械を示す正
面図である。

【図３】本考案の第２実施例による工具交換装置を備え
た工作機械の工具マガジンのみを示す側面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ矢視の断面図である。

【図５】図４のＢ部の工具交換装置のハンドを示す詳細
拡大図である。

【符号の説明】

１１ ＡＴＣアーム １３ 主軸頭 １５ 主軸 １７ 工具マガジン １９ スライドレール ２１ マガジンカバー ２３ ポット収納部 ２５ マガジンベース ２７ 工具収納ユニット ２９ 工具 ３３ 旋回アーム ３９ ポット ４７ ハンドキャリア ４９ ハンド ５１ ハンド上下送りねじ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コの字形に切欠かれた工具収納部を縦方
   向１列に複数個有した工具収納部材を、前記工具収納部
   のコの字形の切欠き開口部が互いに向き合うように組に
   してＵ字形の工具収納ユニットとし、該工具収納ユニッ
   トを複数個配列して構成した工具マガジンと、前記各工
   具収納ユニットのＵ字形の中央部を上下方向と横方向に
   移動する工具把持手段とを備え、前記工具把持手段を上
   下方向と横方向に移動させて所望の工具を前記工具収納
   ユニットの前記工具収納部に着脱し、前記工具マガジン
   と主軸との間で自動工具交換を行う工作機械の工具交換
   装置であって、 前記工具マガジンは、前記工具収納部の縦方向のピッチ
   および前記工具収納部材間の間隔を、収納する工具径に
   適して製作した複数種類の工具収納ユニットを混在して
   配列したことを特徴とする工作機械の工具交換装置。
2. 【請求項２】 コの字形に切欠かれた工具収納部を縦方
   向１列に複数個有した工具収納部材を、前記工具収納部
   のコの字形の切欠き開口部が互いに向き合うように組に
   してＵ字形の工具収納ユニットとし、該工具収納ユニッ
   トを複数個配列して構成した工具マガジンと、前記各工
   具収納ユニットのＵ字形の中央部を上下方向と横方向に
   移動する工具把持手段とを備え、前記工具把持手段を上
   下方向と横方向に移動させて所望の工具を前記工具収納
   ユニットの前記工具収納部に着脱し、前記工具マガジン
   と主軸との間で自動工具交換を行う工作機械の工具交換
   装置であって、 前記工具マガジンは、前記工具収納部の縦方向のピッチ
   および前記工具収納部材間の間隔を、収納する工具径に
   適して製作した複数種類の工具収納ユニットを混在し、 前記混在して配列した複数の工具収納ユニットの種類お
   よび配列順序を任意に設定可能な装着手段と、 装着した工具収納ユニットに応じて前記工具把持手段の
   上下方向移動位置と横方向移動量とを制御する制御手段
   と、 を具備したことを特徴とする工作機械の工具交換装置。