JP3002436B2 - 雨水流出防止施設 - Google Patents

雨水流出防止施設

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JP3002436B2 JP9204507A JP20450797A JP3002436B2 JP 3002436 B2 JP3002436 B2 JP 3002436B2 JP 9204507 A JP9204507 A JP 9204507A JP 20450797 A JP20450797 A JP 20450797A JP 3002436 B2 JP3002436 B2 JP 3002436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、降雨水を一時的に
滞留させて雨水が河川等に流出する時間を延伸させる雨
水流出防止施設に関するものである。本発明によれば、
降雨時に大量の雨水が一時に流出するのを防ぎ、水害や
環境破壊等の発生を未然に防止することができる。
【0002】
【従来の技術】降雨水は、樹木や草原では自然に地中に
浸透して保水され、保水しきれない余剰水のみが河川に
流出する。これに対し、市街地では建物の屋根面積が広
く、地面は舗装され、樹木や草地が少ないため、雨水が
浸透できる地面の面積は非常に狭く、市街地の保水機能
は低い。このため、降雨時に流出した雨水は下水管渠に
一気に流出し、管渠の流出量不足(断面不足)により道
路が河川化する等、都市型水害が発生することがある。
このような水害の対策として、雨水を地下に浸透させる
透水性の桝・管渠等の工夫や、超大型地下貯留槽・大容
量の地下トンネル等の整備が急がれている。
【0003】一方、地方においては、都市化の進行・開
発に伴う伐採等による樹林・草地の減少が進み、上述し
た都市と同様の問題が懸念されるようになっている。即
ち、従来は保水機能の高い自然環境に恵まれた地方にお
いても、降雨水の流出量が増大する傾向にある。このた
め降雨水を集水するための施策が必要になっており、そ
のような集水施設も建設されてはいる。しかしながら、
集中豪雨等のように一時に大量の水量が発生する場合に
は受け入れ体制が不足し、洪水が発生したり、地表面の
土砂が大量に流れ込んで河川を汚染したり、海洋汚染を
引き起こしたりすることもあった。このような土砂の流
出による汚染は、特に農地や造成中の開発地域や土取場
等のような土砂が流れやすい場所で発生しやすい。この
ような土砂の流出による海洋汚染等は、もはや一地方の
みに限定された災害の規模を越える問題であり、地球規
模の環境問題を提起しているといってもよい。
【0004】上述したような降雨水の流出による水害・
流出土砂による環境汚染は、降雨水の流出量を制御する
ことによって抑制することができると考えられる。この
ため、従来は前述のように貯留施設を設け、降雨水を管
渠により貯留施設まで導水して貯留するという手段がと
られてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たように、特に降水量が多い場合には貯留施設までの管
渠の断面積が不足してしまい、水害の発生を未然に防止
することが困難な場合が少なくなかった。これに対応し
て管渠を増径し、貯留施設の機能・容量を増大すること
も考えられるが、このような設備の増大による解決策で
は、建設費が巨額になり、またこれら施設を設置するた
めの用地不足も問題になる。
【0006】本発明は、上述したような大量の雨水の流
出による環境汚染を解決することを目指してなされたも
のであり、比較的建設が容易で効果の高い雨水流出防止
施設を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された雨
水流出防止施設は、雨水の流出を管理しようとする区域
に並べて埋設され開口(2,17,17a,17b)から雨水が流入す
る複数の貯槽(1,1a)と、隣接する前記各貯槽の間に設け
られた不透水壁体(3,10,11) と、前記各貯槽の内部にそ
れぞれ設けられて前記貯槽内に貯留された雨水(W) を吸
引するための複数の吸水管(4) と、前記各吸水管の上端
に接続されて前記各貯槽から吸引された雨水を排出する
ための連結管(6) と、前記各吸水管と前記連結管を介し
て前記各貯槽内の雨水を吸引する吸引手段(8) とを有し
ている。
【0008】請求項2に記載された雨水流出防止施設
は、請求項1記載の雨水流出防止施設において、前記区
域に設けられた雨水(W) を貯留して前記各貯槽(1,1a)に
導く一時貯留手段(15,30,33,41) を有していることを特
徴としている。
【0009】請求項3に記載された雨水流出防止施設
は、請求項2記載の雨水流出防止施設において、前記一
時貯留手段が貯留池(30)であり、前記貯槽(1,1a)が前記
貯留池の周囲に周状に設置されていることを特徴として
いる。
【0010】請求項4に記載された雨水流出防止施設
は、請求項2記載の雨水流出防止施設において、前記一
時貯留手段が貯留溝(15)であり、前記貯槽(1,1a)が前記
貯留溝に沿って設置されていることを特徴としている。
【0011】請求項5に記載された雨水流出防止施設
は、請求項4記載の雨水流出防止施設において、前記貯
留溝(15)が前記区域における雨水の集水方向と交差する
方向に沿って設けられたことを特徴としている。
【0012】請求項6に記載された雨水流出防止施設
は、請求項2記載の雨水流出防止施設において、前記開
口(2,17,17a,17b)の最低位置が前記一時貯留手段(15,3
0,33,41) の底面よりも上にあることを特徴としてい
る。
【0013】請求項7に記載された雨水流出防止施設
は、請求項4記載の雨水流出防止施設を雨水の流れ方向
に沿って複数段に設置するものである。即ち、雨水の流
出を管理しようとする領域に、請求項4記載の雨水流出
防止施設を、雨水の集水方向と交差する方向に沿って雨
水の集水方向に間隔をおいて複数設ける。そして、前記
各雨水流出防止施設から排出された雨水を、雨水の集水
方向に沿って設けられた排水施設(33)に排水するように
構成している。
【0014】請求項8に記載された雨水流出防止施設
は、下方に向けて広がる雨水が流出する領域に、請求項
4記載の雨水流出防止施設を雨水の流れ方向に沿って複
数段に設置するものである。即ち、雨水が流出する略扇
形の領域を、雨水の集水方向に並ぶ複数の区域(イ、
ロ、ハ、ニ)に分割し、各区域の面積に対応した貯留量
を有する請求項4記載の雨水流出防止施設を、雨水の集
水方向と交差する方向に沿って前記各区域の最下方の位
置にそれぞれ設ける。そして、前記各雨水流出防止施設
から排出された雨水を、雨水の集水方向に沿って設けら
れた排水施設(33)に排水するように構成している。
【0015】以上の各雨水流出防止施設においては、前
記吸引手段を真空ポンプ(8) で構成してもよいし、又は
前記吸引手段として、前記連結管(6) の排出側の端部を
前記貯槽(1,1a)の水位よりも低い位置に設定して雨水を
サイフォンの作用によって排出できるようにした構造を
採用してもよい。
【0016】以上の各雨水流出防止施設においては、前
記貯槽(1,1a)の底部を透水性とし、前記貯槽の底部を地
盤の透水層(22)に到達させる構造としてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の第1の例で
ある雨水流出防止施設の構造を図1〜図6を参照して説
明する。雨水の流出を管理しようとする区域内に、複数
の貯槽1が所定間隔をおいて一列に並べて埋設されてい
る。各貯槽1は円筒形であり、上面が開放され、底面は
閉止されている。貯槽1は、円筒形の中心軸を略鉛直方
向に合わせて埋設されている。このような円筒形の貯槽
1としては、鋼管、コルゲートパイプ、ライナープレー
ト、コンクリート管等を利用することができる。各貯槽
1は、大部分が地中に埋設されているが、上面の開口2
は地表に近接した位置にあり、地表を流出する雨水はこ
の開口2から内部に流れ込むようになっている。
【0018】図1及び図3に示すように、隣接する前記
各貯槽1,1の間には不透水壁体3が設けられている。
本例の不透水壁体3の厚さは貯槽1の径よりも小さく、
またその高さは貯槽1の高さよりも小さい。不透水壁体
3は、水底よりもさらに低い位置と貯槽1の上面との間
にわたって設けられている。不透水壁体3は、円筒形の
貯槽1の中心と中心を結ぶ線に沿って設けられている。
不透水壁体3で連結された貯槽1の列は、地表に流出し
た雨水をせき止めるとともに、集められた雨水を貯槽1
内に流入させて貯留することができる。従って、雨水の
流出を管理しようとする区域内の所要位置、例えば雨水
の流出方向の下流側のある位置に、この貯槽1と不透水
壁体3の列を流出方向に交差して設ければ、隣の区域に
雨水が一気に流出することが避けられる。
【0019】図1及び図2に示すように、前記各貯槽1
の内部には、前記貯槽1内に貯留された雨水を吸引する
ための複数の吸水管4がそれぞれ略鉛直方向に沿って設
けられている。各吸水管4の上端部は、それぞれ制止バ
ルブ5を介して共通の連結管6に接続連通されている。
連結管6は、前記吸水管4を介して前記各貯槽1から吸
い上げられた雨水を排出するために設けられている。前
記連結管6は略水平面内で前記貯槽1の列設された方向
に沿って延設されている。連結管6の両端には、それぞ
れ閉止バルブ7が設けられている。前記連結管6の一端
に設けられた一方の閉止バルブ7には、前記各貯槽1内
の雨水を吸引する吸引手段として真空ポンプ8の吸い込
み口8aが接続されている。真空ポンプ8の吐出口8b
は、排水施設に雨水を排出できる排出管9に接続されて
いる。
【0020】各貯槽1に雨水Wが貯留されている場合、
真空ポンプ8を駆動して連結管6の内部に負圧を発生さ
せる。各貯槽1内の雨水W(又は貯留水)は、各吸水管
4を介して連結管6に吸い上げられる。
【0021】本例では吸引手段として真空ポンプ8を使
用しているので、吸水管4の内部に多少の空気が残って
いても問題なく雨水Wを吸い上げることができる。
【0022】真空ポンプ8によって連結管6の内部を負
圧にした状態で両閉止バルブ7,7を閉めると、各貯槽
1の吸水管4がサイフォンとなり、吸水管4と連結管6
によって結ばれた複数の各貯槽1内にある雨水Wの水位
を同一にすることができる。
【0023】真空ポンプ8の代わりの吸引手段として、
排出管9の排出口の位置を貯槽1の水位よりも低い位置
に設定すれば、サイフォンが働くので真空ポンプ8の動
力なしで貯留水を排出することができ、降雨水の流量調
整が可能となる。
【0024】市街地の駐車場、公園、工場等の広い敷地
では、降雨時に地中に吸い込まれる雨量が少なく、降雨
水の排出量が多い。このため、降雨時には多量の雨水が
一気に流出して河川等に集中し、水害を引き起こす。そ
こで、本例の雨水流出防止施設を市街地の前述したよう
な箇所に設ければ、地表に降った雨は雨水流出防止施設
の貯槽1に一度貯留され、その後に排出することができ
る。即ち、雨水の流出量を調整することができるので、
前述したような水害の発生を未然に防ぐことができる。
【0025】図4は、本例の変形例を示す図であり、貯
槽1の列の全幅にわたって設けられた不透水壁体10を
示す。即ち、この不透水壁体10は、貯槽1が並んでい
る方向に(長手方向)ついては、隣接する貯槽1と貯槽
1の間を完全に充填しており、これと直交する方向(厚
さ方向)については貯槽1の直径をその幅(厚さ)とし
ている。この不透水壁体10の高さと、高さ方向の設置
位置は、図3に示した不透水壁体10と同一である。こ
の不透水壁体10と、図3の不透水壁体3は、透水性の
低い粘性土、モルタル、コンクリート、水密性のある継
手部材等によって構成することができる。
【0026】図5は、本例の他の変形例を示す図であ
り、水密性のある継手部材を用いた不透水壁体11を示
す。即ち、この不透水壁体11は、水平面内にて略T字
型で鉛直方向に連続する構造の雄部材12と、これに対
して係合する形状の雌部材13とによって構成されてお
り、隣接する貯槽1の外周壁に両者を固定して互いに係
合させることにより隣接する貯槽1,1の間を遮水する
ものである。互いに組合わせた雌部材13と雄部材12
の隙間に、止水材を注入して不透水壁体11の遮水性を
さらに高めることができる。この継手部材による不透水
壁体11の高さと、高さ方向の設置位置は、図3に示し
た不透水壁体3と同一である。
【0027】本例の雨水流出防止施設の貯槽1は中空で
あり、中詰がないので、貯槽1内の沈殿物の処理は、図
6に示すようにバキューム吸引によって容易に行うこと
ができる。
【0028】本発明の実施の形態の第2の例である雨水
流出防止施設の構造を図7〜図11を参照して説明す
る。本例の雨水流出防止施設において、第1の例と対応
する構造については、図7等に図1と同一の符号を付し
て説明を省略する。
【0029】本例においては、一列に並んだ複数の貯槽
1の列に沿って、一時貯留手段としての貯留溝15が地
表Gに開口して形成されている。この貯留溝15は、区
域に降った雨水を一時的に貯留して前記各貯槽1に導く
ためのものである。貯留溝15は、上側が開口した断面
略コ字型のコンクリート等の構造体16によって構成す
ることができる。
【0030】各貯槽1の頂部には、図9(a)(b)
(c)に示すような各種形状の開口17,17a,17
bが形成されている。そして、これらの各変形例におい
て、前記開口17,17a,17bの最低位置は、いず
れも前記貯留溝15の底面よりも上に設定されている。
これによって貯留溝15の底に溜まった泥や砂が貯槽1
内に直接流れ込むのを防止することができる。貯留溝1
5には、着脱可能に蓋18が設けてあるが、蓋18をし
ても雨水の流入には差し支えない。
【0031】図7において、各貯槽1の吸水管4を連結
する連結管6は、貯留溝15の底に設置されている。即
ち連結管6の位置は、前記開口17の最低位置よりも低
く、図7に示すように貯槽1の水位と貯留溝15の水位
が一致している場合には、水面下にある。但しこれは一
例であるから、連結管6の位置はこれ以外の位置に設け
ることもできる。そして各吸水管4は、各貯槽1の上面
の開口2から一旦上方に突出し、略コ字形に屈曲して制
止バルブ5を介して連結管6に接続されている。
【0032】図7において、貯槽1の列に関して貯留溝
15と反対側には土留めブロック19が設けられてい
る。また、列になっている貯槽1の上端面の上には、2
本の蓋受け桁20,20が掛け渡されている。この蓋受
け桁20,20の上には着脱可能に蓋21が乗せられて
いる。
【0033】図7に示すように各貯槽1の底面は閉止さ
れているので、貯槽1内に流入した雨水は、吸い上げら
れるまで貯槽1内に滞留する。しかしながら、図8に示
すように、貯槽1aの底面を開放し、かつ開放されてい
る底面を地盤の透水層22にまで到達させておけば、貯
槽1内の雨水の少なくとも一部は自然に地中に浸透して
いくので、貯槽1が溢れるまでの時間を引き延ばすこと
ができ、特に集中的な降雨の際の雨水の流出量の制御が
一層容易になる。なお、図8においては吸水管、連結管
等の構成の一部の図示を省略してある。
【0034】本例の雨水流出防止施設の構築工程の一部
について図10及び図11を参照して説明する。図10
(a)に示すように、一部が前記貯留溝15となる溝2
3を設置場所に堀る。一部が貯留溝15となる溝23の
幅は、後工程で溝23の底部に円筒形の貯槽1を埋設す
る際の作業性等を考慮して適当に定める。図10(b)
に示すように、アースオーガ掘削機24を用いて溝23
の底部から鉛直方向に地中を掘削する。図10(c)に
示すように、地表からみて埋設する貯槽1が埋設できる
深い位置まで掘削する。掘削孔25の内径は貯槽1の外
径よりも大きくする。地盤が崩れやすい場合には、掘削
孔25内に泥水を充満させ、掘削と同時に泥水を加えて
いく。掘削穴25の壁面は泥水圧で押さえられて崩れに
くくなる。
【0035】図11(a)に示すように、掘削終了後、
掘削孔25内に円筒形の貯槽1を建て込む。貯槽1は地
上で予め適当な長さに設定しておく。貯槽1の完成高さ
が大きい場合には、所定単位長さの貯槽単体を順次掘削
孔25内に下ろしながら組み立てていってもよい。貯槽
1の下端が開口している場合には、予め下端を蓋体等を
用いて閉止しておく。又は、始めから下端が閉止されて
いるものを使用する。又は、下端が開口した貯槽1を掘
削孔25内に埋設した後、貯槽1内の底部にコンクリー
ト等を打設して開口を塞いでもよい。又は、貯槽1の下
端が開口したままの場合には、掘削孔25の底部が透水
層22に達するまで掘削し、ここに開口した下端部を嵌
入する。
【0036】図11(b)に示すように、掘削孔25の
内周と貯槽1の外周の間(余掘部分)に砂等の充填層2
6を設けて地中の貯槽1を安定させる。以上の工程を繰
り返して所定本数の貯槽1を地中に設置する。隣接する
貯槽1,1の間には、不透水壁体3を設ける。
【0037】地表に開口した溝23の内部に貯留溝15
と土留めブロック19を設ける。貯槽1の内部に吸水管
4を設置し、各吸水管4の上端を連結管6で接続する。
さらに蓋受け桁20を設け、その上に蓋21を設ける。
【0038】本発明の実施の形態の第3の例である雨水
流出防止施設の構造を図12〜図14を参照して説明す
る。本例の雨水流出防止施設において、以上説明した各
例と対応する構造については同一の符号を付して説明を
省略する。
【0039】図12に示すように、本例の雨水流出防止
施設は、公園等の池30と、その周囲に設けられた複数
の貯槽1を有する。即ち、この池30が雨水を一時貯留
する一時貯留手段であり、降雨に伴って池30から溢れ
た雨水は池30の周りに埋設された多数の貯槽1に導か
れて貯留され、後に放流される。
【0040】図13乃至図14に示すように、池30の
周りには周状に複数本の円筒形の貯槽1が埋設されてい
る。隣接する貯槽1は図5に示した不透水壁体11(継
手部材)によって連結されている。開口した各貯槽1の
底部は、池30の底よりも深い地下の透水層22にまで
到達している。開口した各貯槽1の頂部は、池30の底
から所定寸法突出している。各貯槽1の上端には、図9
(a)に示したような形状・構造の開口17が形成され
ている。この開口17の下端は池30の底面(又は池3
0の底に溜まった泥溜まりの上面)よりも上に位置して
いる。貯槽1の内部には、略垂直な吸水管4と、各貯槽
1の吸水管4の各上端を連結する略水平な連結管6とが
配置されている。貯槽1の開口した上端は円盤形の蓋2
1で閉止されている。図示しないが、前記連結管6には
吸引手段としての真空ポンプが連結されている。池30
の周りに周状に配置された前記貯槽1の外側には、おさ
え盛土31が周状に形成されている。
【0041】周状に配置された貯槽1の内側の区域(即
ち池30の領域)に降った雨水は、各貯槽1の開口17
から各貯槽1の内部に流入する。雨量が増えて各貯槽1
内の雨水の水位が開口17の下端を越えると、雨水は池
30に溜まり始める。各貯槽1の上端部とおさえ盛土3
1によって区画された池30には大量の雨水Wが貯留で
きるので、大雨の時にも雨水Wの流出を調整して洪水を
防ぐことができる。貯槽1内及び池30内の雨水Wは、
灌漑用水や工業用水に用いることができる。貯槽1内の
雨水Wは地下の透水層に自然に浸透していくが、近隣の
河川の下流まで管路を設け、これに前記連結管6を接続
し、自然放流してもよい。前記連結管6からの雨水Wの
排出は真空ポンプによってもよいし、サイフォンの原理
を用いてもよい。
【0042】本例においては、貯槽1を立て込む縦穴を
形成するために掘削した土砂を、前記おさえ盛土31の
形成に使用することができる。このため、工事において
残土搬出が少なくてすむ。
【0043】本例においては、池30の周囲に貯槽1を
周状に埋設したが、堀等の周囲に設けてもよい。
【0044】本発明の実施の形態の第4の例である雨水
流出防止施設の構造を図15を参照して説明する。図1
5に示すように、本例の雨水流出防止施設は、降雨水の
流下方に向けて広がる領域を対象とするものである。図
15に例示した略扇形の斜面の領域は、雨水の集水方向
に沿う側溝のない道路32と、雨水の集水方向に沿う側
溝33のある道路34と、雨水の集水方向に交差する
(略水平な)側溝のない複数の道路35とにより、雨水
の集水方向(図中矢印で示す)に沿って順次面積が広が
る隣接した複数の区域(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)
に分割される。
【0045】前記第1の例の雨水流出防止施設を、雨水
の集水方向と交差する方向に沿って前記各区域の最下方
の位置にそれぞれ設ける。即ち、雨水流出防止施設は、
各区域ごとに、各区域の最下方の境界を区画する側溝の
ない道路35に沿って構築される。各区域の雨水流出防
止施設の連結管6は、雨水の集水方向に沿う道路34の
側溝33に導いておく。
【0046】各区域の雨水流出防止施設の貯留量は、各
区域の面積、即ちその区域の降雨量(又はその区域で集
水される雨水の量)に比例する。ある区域における雨水
の流出量Qは次の式で算出される。 Q=(1/360)×f×r×A 但しf=平均流出係数、r=平均降雨強度、A=流域面
【0047】降雨時、図15中に矢印で示すように、雨
水は斜面に沿って下方に流れ、各区域ごとに雨水流出防
止施設の貯槽1に流入して貯留され、その後適当な時期
に適当な流量で排出される。このため、斜面における降
雨水の流出が調整されるので、斜面に降った雨水が一度
に流出して土砂崩れを起こしたり、増大した雨水の流出
によって河川が増水して水害を引き起こしたりすること
を未然に防止することができる。
【0048】本発明の実施の形態の第5の例である雨水
流出防止施設の構造を図16を参照して説明する。図1
6に示すように、本例の雨水流出防止施設は、耕地3
6、家屋37、道路38,39,40が配置された高低
のある土地(区域)において雨水の流出を管理しようと
するものである。この区域は、農業道路38と2本の生
活道路39,40とによって区画される。耕地36を囲
んで設けられた農業道路38は、この区域の集水方向
(図中矢印で示す)に交差する(実質的に直交する)方
向に沿っている。
【0049】前記農業道路38の一部と前記生活道路3
9,40の一部には、一時貯留手段としての貯留溝であ
る側溝41が形成されている。側溝41は前記貯留溝1
5と略同一の構成である。また、この側溝41に沿っ
て、複数の貯槽1が一列に埋設されている。側溝41と
貯槽1は互いに連通されており、前記第2の例の雨水流
出防止施設が構成されている。雨水流出防止施設の連結
管6の排出端は、河川42に導かれている。
【0050】降雨時、図16中に矢印で示すように、雨
水は耕地36の斜面に沿って下方に流れ、側溝41に流
入する。側溝41に流入した雨水は、雨水流出防止施設
の貯槽1に集められて貯留される。その後適当な時期に
適当な流量で河川42に排出される。このため、耕地3
6等、当該区域における降雨水の流出が調整されるの
で、当該区域に降った雨水が一度に流出して増大した雨
水の流出によって河川42が増水して水害を引き起こし
たりすることを未然に防止することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、間に不透水層を有する
複数の貯槽を管理しようとする区域に埋設し、吸水管と
連結管を介して吸引手段で各貯槽内の雨水を排出するよ
うにしたので、比較的建設が容易で効果の高い雨水流出
防止施設を提供することができ、大量の雨水の流出によ
る環境汚染の問題を未然に解決することができる。
【0052】また、本発明によれば、雨水の流出を管理
しようとする斜面に、前記雨水流出防止施設を、雨水の
集水方向と交差する方向に沿って雨水の集水方向に間隔
をおいて複数設け、各雨水流出防止施設から排出された
雨水を雨水の集水方向に沿って設けた排水施設に排水す
るように構成することもできる。
【0053】さらに、本発明によれば、山等の斜面の略
扇形の領域を集水方向に並ぶ複数の区域に分割し、各区
域の面積に対応した貯留量を有する前記雨水流出防止施
設を、集水方向と交差する方向に沿って各区域の最下方
の位置にそれぞれ設け、各雨水流出防止施設から排出さ
れた雨水を雨水の集水方向に沿って設けた排水施設に排
水するように構成することもできる。
【0054】従って、本発明によれば、山等の斜面にお
ける雨水の流出量増大による河川の氾濫等の水害を効果
的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1の例を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態の第1の例において、貯槽
を互いに直交する2切断面で切断した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の第1の例において、貯槽
及び不透水壁体を示す平面図と断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1の例において、貯槽
及び不透水壁体の他の構造例を示す平面図と断面図であ
る。
【図5】本発明の実施の形態の第1の例において、貯槽
及び不透水壁体の他の構造例を示す平面図と断面図であ
る。
【図6】本発明の実施の形態の第1の例において貯槽内
の沈殿物の処理方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2の例を示す平面図及
び断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第2の例における他の構
造例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第2の例において、貯槽
の開口の形状を示す平面図及び正面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第2の例における雨水
流出防止施設の構築工程を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態の第2の例における雨水
流出防止施設の構築工程を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の第3の例の全体を示す
平面図である。
【図13】本発明の実施の形態の第3の例の部分断面図
である。
【図14】本発明の実施の形態の第3の例の部分平面図
である。
【図15】本発明の実施の形態の第4の例の全体を示す
平面図である。
【図16】本発明の実施の形態の第5の例の全体を示す
平面図である。
【符号の説明】
1,1a 貯槽 2,17,17a,17b 開口 3,10,11 不透水壁体 4 吸水管 6 連結管 8 吸引手段としての真空ポンプ 15 一時貯留手段としての貯留溝 22 透水層 30 一時貯留手段としての池 33,41 一時貯留手段としての側溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦野 勝邦 神奈川県茅ヶ崎市高田3−1−2 (72)発明者 瀬谷 藤夫 福島県いわき市泉丘1−21−20 (72)発明者 森 雅人 山形県新庄市小田島町7−36 (72)発明者 澁谷 宏 神奈川県横浜市保土ヶ谷区上菅田町144 −71 (56)参考文献 特開 平9−78671(JP,A) 特開 平9−100559(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E03F 1/00 E03B 11/14

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雨水の流出を管理しようとする区域に並
    べて埋設され開口から雨水が流入する複数の貯槽と、隣
    接する前記各貯槽の間に設けられた不透水壁体と、前記
    各貯槽の内部にそれぞれ設けられて前記貯槽内に貯留さ
    れた雨水を吸引するための複数の吸水管と、前記各吸水
    管の上端に接続されて前記各貯槽から吸引された雨水を
    排出するための連結管と、前記各吸水管と前記連結管を
    介して前記各貯槽内の雨水を吸引する吸引手段と、を有
    する雨水流出防止施設。
  2. 【請求項2】 前記区域に設けられた雨水を貯留して前
    記各貯槽に導く一時貯留手段を有する請求項1記載の雨
    水流出防止施設。
  3. 【請求項3】 前記一時貯留手段が貯留池であり、前記
    貯槽が前記貯留池の周囲に周状に設置されている請求項
    2記載の雨水流出防止施設。
  4. 【請求項4】 前記一時貯留手段が貯留溝であり、前記
    貯槽が前記貯留溝に沿って設置されている請求項2記載
    の雨水流出防止施設。
  5. 【請求項5】 前記貯留溝が前記区域における雨水の集
    水方向と交差する方向に沿って設けられた請求項4記載
    の雨水流出防止施設。
  6. 【請求項6】 前記開口の最低位置が前記一時貯留手段
    の底面よりも上にある請求項2記載の雨水流出防止施
    設。
  7. 【請求項7】 雨水の流出を管理しようとする区域であ
    る斜面に、請求項4記載の雨水流出防止施設を、雨水の
    集水方向と交差する方向に沿って雨水の集水方向に間隔
    をおいて複数設け、前記各雨水流出防止施設から排出さ
    れた雨水を雨水の集水方向に沿って設けられた排水施設
    に排水するように構成したことを特徴とする雨水流出防
    止施設。
  8. 【請求項8】 雨水の集水方向に向けて広がる雨水が流
    出する領域を、雨水の集水方向に並ぶ複数の区域に分割
    し、各区域の面積に対応した貯留量を有する請求項4記
    載の雨水流出防止施設を、雨水の集水方向と交差する方
    向に沿って前記各区域の最下方の位置にそれぞれ設け、
    前記各雨水流出防止施設から排出された雨水を雨水の集
    水方向に沿って設けられた排水施設に排水するように構
    成したことを特徴とする雨水流出防止施設。
  9. 【請求項9】 前記吸引手段が真空ポンプである請求項
    1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8に記載
    された雨水流出防止施設。
  10. 【請求項10】 前記吸引手段が、前記連結管の排出側
    の端部を前記貯槽の水位よりも低い位置に設定した構造
    である請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7
    又は8に記載された雨水流出防止施設。
  11. 【請求項11】 前記貯槽の底部が透水性であり、地盤
    の透水層に到達している請求項1又は2又は3又は4又
    は5又は6又は7又は8又は9又は10に記載された雨
    水流出防止施設。
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