JP3002434B2 - アルミニウム系板材と鋼系板材とのウェルドボンド接合方法 - Google Patents

アルミニウム系板材と鋼系板材とのウェルドボンド接合方法

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JP3002434B2
JP3002434B2 JP9130325A JP13032597A JP3002434B2 JP 3002434 B2 JP3002434 B2 JP 3002434B2 JP 9130325 A JP9130325 A JP 9130325A JP 13032597 A JP13032597 A JP 13032597A JP 3002434 B2 JP3002434 B2 JP 3002434B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウムや
アルミニウム合金よりなるアルミニウム系板材と炭素鋼
やステンレス鋼等よりなる鋼系板材とを重ね合わせて溶
接接合する接合方法に関し、たとえば自動車車体や航空
機体等の製作に有用な、アルミニウム系板材と鋼系板材
とのウェルドボンド接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のアルミニウム系板材と鋼
系板材との接合方法の中には、たとえば特開平7−32
8774号公報に示すように、2枚の鋼系板材でアルミ
ニウム系板材を挾んで抵抗スポット溶接し、鋼系板材の
電気抵抗による発熱と溶接時の電極加圧力によりアルミ
ニウム系板材を溶融排除しながら2枚の鋼系板材を接合
し、それら2枚の鋼系板材で挾んでアルミニウム系板材
を保持するものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこの
種の接合方法では、溶融したアルミニウム系板材が、溶
融していないアルミニウム系板材と鋼系板材間に入り込
み、アルミニウム系板材の保持を不十分とする課題があ
った。
【0004】そこで、この発明の目的は、十分な接合強
度を得ることができるアルミニウム系板材と鋼系板材と
のウェルドボンド接合方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのため、請求項1に記
載の発明は、アルミニウム系板材と鋼系板材とのウェル
ドボンド接合方法において、たとえば以下の図示例に示
すとおり、アルミニウム系板材10の一面に鋼系板材1
1を、他面に鋼系当て板12を各々接着剤13・14を
用いて貼り付けて仮接合し、その後それらを電極15・
16で挾んで抵抗スポット溶接してなる、ことを特徴と
する。
【0006】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のアルミニウム系板材と鋼系板材とのウェルドボンド接
合方法において、たとえば以下の図示例に示すとおり、
前記鋼系当て板12を、前記アルミニウム系板材10と
前記鋼系板材11とのラップ長さLと等しくし、それら
のラップ位置に貼り付けてなる、ことを特徴とする。
【0007】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のアルミニウム系板材と鋼系板材とのウェルド
ボンド接合方法において、たとえば以下の図示例に示す
とおり、前記鋼系板材11の外面に先端が小さな第1電
極15を、前記鋼系当て板12の外面に先端が大きな第
2電極16を当てて前記抵抗スポット溶接してなる、こ
とを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、この発
明の実施の形態について説明する。この発明によるウェ
ルドボンド接合方法では、まず図1に示すように、アル
ミニウム系板材10の一面に鋼系板材11を、他面に鋼
系当て板12を各々接着剤13・14を用いて貼り付
け、仮接合する。接合面の前処理は、もちろん行っても
よいが、特に必要ない。
【0009】アルミニウム系板材10は、アルミニウム
やアルミニウム合金よりなる板材でつくる。
【0010】鋼系板材11は、炭素鋼やステンレス鋼な
どよりなる板材で、アルミニウム系板材10の半分から
ほぼ同じ厚さにつくる。
【0011】鋼系当て板12は、同じく炭素鋼やステン
レス鋼などよりなる板材で、鋼系板材11の半分からほ
ぼ同じ厚さにつくる。そして、アルミニウム系板材10
と鋼系板材11とのラップ長さLと等しい長さとし、そ
れらのラップ位置に貼り付けてなる。
【0012】接着剤13・14としては、たとえば構造
用一液熱硬化型エポキシ系接着剤を使用する。
【0013】その後、それら接着剤13・14で仮接合
したアルミニウム系板材10・鋼系板材11・鋼系当て
板12を、図2に示すように鋼系板材11の外面に先端
平面が小さな第1電極15を、鋼系当て板12の外面に
先端平面が大きな第2電極16を当て、それらの電極1
5・16で挾んで溶接電流を流して抵抗スポット溶接す
る。
【0014】図示例では、小さな第1電極15の先端平
面を小径dとし、大きな第2電極16の先端平面を大径
Dとする。抵抗スポット溶接は、たとえば図3に示すよ
うに、鋼系当て板12の長い幅方向に沿ってスポットピ
ッチpごとに行う。
【0015】そして、電気抵抗による発熱でアルミニウ
ム系板材10を溶融するとともに、小さな第1電極15
の加圧力で鋼系板材11を変形して凹部11aを形成
し、溶融したアルミニウム系板材10を排除して各スポ
ット溶接位置で図4に示すようにa位置で鋼系板材11
と鋼系当て板12とを溶接する。
【0016】このとき、溶融排除したアルミニウム系板
材10は、変形する鋼系板材11により押されて、溶融
していないアルミニウム系板材10と鋼系当て板12間
に入り込む。よって、溶融排除したアルミニウム系板材
10は、溶融していないアルミニウム系板材10と鋼系
板材11間に入り込むことなく、それらの間は不純物の
入り込まない接着剤13のみとなって強固に接着される
こととなる。
【0017】
【実施例】
<実施例1>アルミニウム系板材10として板幅25mm
で厚さ0.8mmのA5052P−H34またはA202
4P−T3、鋼系板材11および鋼系当て板12として
それぞれ同じく板幅25mmで厚さ0.8mmのSPCE
材、接着剤13・14としては構造用一液熱硬化型エポ
キシ系接着剤を使用し、ラップ長さLを20mmとする一
方、第1電極15の先端径dを4.8mmとし、第2電極
16の先端径Dを12mmとし、溶接電流10.5kA、通
電時間15Hz(約0.3sec)、溶接時の電極加圧力4kN
とした。
【0018】そして、加熱炉に入れて443°Kで30
min加熱硬化して後、引張速度5mm/minで引張剪断強さ
を調べたところ、5052材では図5に示すように5.
0kN、2024材では図示しないが6.0kNでそれぞ
れアルミニウム系板材10が切断した。
【0019】5m/secの高速引張剪断試験では、505
2材および2024材ともに図示しないがアルミニウム
系板材10が切断した。
【0020】荷重振幅3kNの負荷による疲労試験では、
5052材および2024材ともに繰返し数Nfは16
2,000回で図6に示すようにアルミニウム系板材1
0が切断した。
【0021】<実施例2>アルミニウム系板材10とし
て板幅25mmで厚さ1.2mmのA5052P−H34、
鋼系板材11および鋼系当て板12としてそれぞれ同じ
く板幅25mmで厚さ0.8mmのSPCE材、接着剤13
・14としては構造用一液熱硬化型エポキシ系接着剤を
使用し、ラップ長さLを20mmとする一方、第1電極1
5の先端径dを4.8mmとし、第2電極16の先端径D
を12mmとし、溶接電流10.5kA、通電時間20Hz
(約0.4sec)、溶接時の電極加圧力4kNとした。
【0022】そして、加熱炉に入れて443°Kで30
min加熱硬化して後、引張速度5mm/minで引張剪断強さ
を調べたところ、図7に示すように鋼系板材11にはイ
に凹部11aの径に近い穴があき、アルミニウム系板材
10にはロに鋼系板材11の一部が付着した状態でもっ
て、5.9kNで接合部で切断した。
【0023】5m/secの高速引張剪断試験では、図8に
示すように6.0kNでアルミニウム系板材10が切断し
た。
【0024】荷重振幅3kNの負荷による疲労試験では、
繰返し数Nfは723,000回で図9に示すようにアル
ミニウム系板材10が切断した。
【0025】<実施例3>アルミニウム系板材10とし
て板幅25mmで厚さ1.6mmのA5052P−H34、
鋼系板材11および鋼系当て板12としてそれぞれ同じ
く板幅25mmで厚さ0.8mmのSPCE材、接着剤13
・14としては構造用一液熱硬化型エポキシ系接着剤を
使用し、ラップ長さLを20mmとする一方、第1電極1
5の先端径dを4.8mmとし、第2電極16の先端径D
を12mmとし、溶接電流10.5kA、通電時間25Hz
(約0.5sec)、溶接時の電極加圧力4kNとした。
【0026】そして、加熱炉に入れて443°Kで30
min加熱硬化して後、引張速度5mm/minで引張剪断強さ
を調べたところ、図10に示すように鋼系板材11には
イに凹部11aの径に近い穴があき、アルミニウム系板
材10にはロに鋼系板材11の一部が付着した状態でも
って、5.7kNで接合部で切断した。
【0027】5m/secの高速引張剪断試験では、図11
に示すように8.0kNで鋼系板材11が切断した。
【0028】荷重振幅3kNの負荷による疲労試験では、
繰返し数Nfは2,120,000回で図12に示すよう
に鋼系板材11が切断した。
【0029】
【発明の効果】したがって、この発明によれば、接着剤
にて仮接合後に溶接するから、欠陥のない接着と溶接で
十分な接合強度を得ることができる。この方法を採用す
れば、自動車車体の組立工場などで使用されている抵抗
スポット溶接機を用いて接合できる。溶接電流が低いた
め電極のドレッシング寿命が長くなり、鋼系板材とアル
ミニウム系板材との接着個所には溶融したアルミニウム
系板材が入り込むことなく接合効率がよく、また大量生
産に適する。そして、自動車車体や航空機体などに鋼系
板材に接合してアルミニウム系板材を用いることを容易
とし、製品の高級化や軽量化を低価格で実現することが
できる。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、さらに、
抵抗スポット溶接により溶融したアルミニウム系板材
を、溶融していないアルミニウム系板材と大きな第2電
極側の鋼系当て板との間に押しやるから、溶融していな
いアルミニウム系板材と小さな第1電極側の鋼系板材と
の接着力を弱めることなく、鋼系板材でアルミニウム系
板材をより確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるアルミニウム系板材と鋼系板材
とのウェルドボンド接合方法で、アルミニウム系板材の
一面に鋼系板材を、他面に鋼系当て板を各々接着剤を用
いて貼り付けて仮接合して後の状態の説明縦断面図であ
る。
【図2】その後、電極で挾んで抵抗スポット溶接する状
態の説明縦断面図である。
【図3】上段がその溶接後の平面図、中段がそのA−A
線に沿う矢示縦断面図、下段がその背面図である。
【図4】その抵抗スポット溶接位置における拡大縦断面
図である。
【図5】実施例1でウェルドボンド接合後、引張剪断試
験を行ったとき、アルミニウム系板材が切断した状態を
示す説明図である。
【図6】実施例1でウェルドボンド接合後、疲労試験を
行ったとき、アルミニウム系板材が切断した状態を示す
説明図である。
【図7】実施例2でウェルドボンド接合後、引張剪断試
験を行ったとき、接合部で切断した状態を示す説明図で
ある。
【図8】実施例2でウェルドボンド接合後、高速引張剪
断試験を行ったとき、アルミニウム系板材が切断した状
態を示す説明図である。
【図9】実施例2でウェルドボンド接合後、疲労試験を
行ったとき、アルミニウム系板材が切断した状態を示す
説明図である。
【図10】実施例3でウェルドボンド接合後、引張剪断
試験を行ったとき、接合部で切断した状態を示す説明図
である。
【図11】実施例3でウェルドボンド接合後、高速引張
剪断試験を行ったとき、鋼系板材が切断した状態を示す
説明図である。
【図12】実施例3でウェルドボンド接合後、疲労試験
を行ったとき、鋼系板材が切断した状態を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
10 アルミニウム系板材 11 鋼系板材 12 鋼系当て板 13 接着剤 14 接着剤 15 第1電極 16 第2電極 L ラップ長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 11/00 - 11/36 330 B23K 37/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム系板材の一面に鋼系板材
    を、他面に鋼系当て板を各々接着剤を用いて貼り付けて
    仮接合し、その後それらを電極で挾んで抵抗スポット溶
    接してなる、アルミニウム系板材と鋼系板材とのウェル
    ドボンド接合方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼系当て板を、前記アルミニウム系
    板材と前記鋼系板材とのラップ長さと等しくし、それら
    のラップ位置に貼り付けてなる、請求項1に記載のアル
    ミニウム系板材と鋼系板材とのウェルドボンド接合方
    法。
  3. 【請求項3】 前記鋼系板材の外面に先端が小さな第1
    電極を、前記鋼系当て板の外面に先端が大きな第2電極
    を当てて前記抵抗スポット溶接してなる、請求項1また
    は2に記載のアルミニウム系板材と鋼系板材とのウェル
    ドボンド接合方法。
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JP5572046B2 (ja) * 2010-09-13 2014-08-13 株式会社神戸製鋼所 異材接合方法
DE102010047032A1 (de) 2010-09-30 2012-04-05 Benteler Automobiltechnik Gmbh Verfahren zum Verbinden zweier metallischer Elemente und Verbindungswerkzeug
CN108544071A (zh) * 2018-04-02 2018-09-18 首钢集团有限公司 一种基于结构胶与辅助试样的异种材料连接装置

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