JP3001275B2 - 光情報記録媒体の製造方法及びその装置 - Google Patents

光情報記録媒体の製造方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光情報記録媒体の製造
方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光情報記録媒体はその基板としてPMM
A(ポリメチルメタクリレート)やPC(ポリカーボネ
ート)が使用されているが、これらの基板は表面硬度が
低く傷つき易い。また、これらの基板材料は帯電しやす
いためゴミの付着量が多く、使用上問題が発生する恐れ
がある。このような問題点を解決するために、通常基板
には記録面と反対側に紫外線硬化型樹脂からなるハード
コート層が設けられている。
【0003】更に、光情報記録媒体には、接着性の向
上、水またはガスなどのバリヤー、記録層の保存安定性
の向上、反射率の向上、溶剤からの基板の保護、プレグ
ルーブの形成などを目的として下引き層が設けられる場
合がある。特に溶剤からの基板の保護、プレグルーブの
形成の目的に対して紫外線硬化型樹脂が適している。
【0004】 以上のように、光情報記録媒体構成層と
して紫外線硬化型樹脂が用いられ、この紫外線硬化型樹
脂はスピナー塗布法などにより塗膜させるが、一般にど
のような方法を用いても、図12に示すように多かれ少
なかれ基板端面に紫外線硬化型樹脂がはみ出してしま
う。このはみ出しが存在するまま、図13に示すような
装置で紫外線硬化型樹脂を硬化させてしまうと、基板端
面に波模様がはっきりできてしまい外観上思わしくな
い。
【0005】 前述のような外観不良の問題の解決策と
しては、基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を光
情報記録媒体作成完了時に削り取ったり、外周端を切断
する等して外観をよくする方法、紫外線硬化型樹脂を
塗布した直後に、基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹
脂を拭き取る方法がある。
【0006】 また、有機色素系光情報記録媒体におい
て、記録層をスピナー塗布により設けることはよく知ら
れた技術である。通常は、このようにして得た光情報記
録媒体を張り合せてエアーサンドイッチ構造化するが、
生産性の高さから接着剤として光硬化型の接着剤が使用
されている。この時の問題点として、図14に示すよう
に、基板裏面に記録膜42がまわり込んだり、外周端の
非記録領域の接着部に塗布された不要記録膜41により
接着強度の低下及び接着剤硬化度の低下に伴う未硬化モ
ノマーによる保存時の記録材劣化の促進がある。
【0007】これらの問題を解決する方法としては、
色素溶解度の高い接着剤を改良する方法、特開昭63
−47194号公報及び特開昭63−234429号公
報に記載の接着部に付着した記録膜を拭き取る方法、
特開昭63−234428号公報に記載の図15に示す
外周端の非記録領域の接着部に付着した記録膜を溶剤に
より洗い流す方法等が提案されている。
【0008】しかし、紫外線硬化型樹脂の基板端面への
はみ出し防止方法において、の方法では生産性が悪
く、光情報記録媒体を傷付ける危険性が高いという問題
点がある。また、光情報記録媒体をライン化して製造す
る場合、クリーンルーム等の環境の良い場所が必要とな
るが、基板端面を削る工程や基板の外周端を切断する工
程が存在すると、ライン内の環境が悪化する。
【0009】また、の方法では、基板端面の紫外線硬
化型樹脂を拭き取る時に拭き取り部材によるゴミ等の発
生や基板表面の未硬化の紫外線硬化型樹脂層に拭き取り
部材が接触してしまう等のおそれがある。このようなゴ
ミや拭き取り部材の接触跡が基板表面の紫外線硬化型樹
脂に付着してしまうと、光情報記録媒体に致命的な欠陥
を与えかねない。
【0010】また、外周端の非記録領域の接着部に塗布
された記録膜による接着強度及び保存時の記録材劣化の
防止方法において、の方法では、接着強度と保存性を
両立させるのが困難であり、またの方法では、拭き取
り材の吸収力の問題、拭き取り材の交換の問題、記録膜
除去の境界が大きくにじむ等の欠点があった。またの
方法では、記録膜溶解剤を使用するため、基板上の溶解
剤の飛び散り、ノズル先端の溶解剤溜まり、溶解剤の噴
射開始時の圧力の変動、溶解剤噴射終了時のノズル先端
での溶解剤の飛び散りが起こり、記録領域内の記録膜を
溶かし、欠陥を生じていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点を解
決しようとするもので、その目的は、基板表面の紫外線
硬化型樹脂に影響を与えることがなく、基板端面に紫外
線硬化型樹脂のはみ出しがない光情報記録媒体の製造方
法及びその製造装置を提供することにある。
【0012】また、本発明の他の目的は、記録層に影響
を与えることがなく、エアーサンドイッチ構造化する光
情報記録媒体の外周端の非記録領域の接着部に付着した
記録膜や、基板裏面に回り込んだ記録膜が除去された光
情報記録媒体を製造するための製造装置に関する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は(I)紫外線硬
化型樹脂塗布物の不要部分からの除去、及び(II)色素
を主成分とする記録層塗布物の不要部分からの除去に関
する。前記(I)に関する発明として、(1)「紫外線
硬化型樹脂からなる光情報記録媒体構成層を有する光情
報記録媒体の製造方法において、該紫外線硬化型樹脂を
塗布し、紫外線照射により該光情報記録媒体構成層を硬
化させる過程で、基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹
脂が未硬化状態で、かつ該光情報記録媒体構成層の少な
くとも表面近傍が硬化した状態となった時、あるいはそ
の状態になっている間に、基板端面にはみ出した未硬化
の紫外線硬化型樹脂を除去することを特徴とする光情報
記録媒体の製造方法」、(2)「前記紫外線硬化型樹脂
の除去が、基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を拭
き取り部材により拭き取りにより行われることを特徴と
する前記(1)項に記載の光情報記録媒体の製造方
法」、(3)「前記紫外線硬化型樹脂の除去が、基板端
面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を光情報記録媒体を回
転させながら溶剤で除去されることにより行われること
を特徴とする前記(1)項に記載の光情報記録媒体の製
造方法」、(4)「光情報記録媒体の製造装置におい
て、紫外線硬化型樹脂からなる光情報記録媒体構成層を
紫外線照射により硬化させる機構と、該光情報記録媒体
構成層に紫外線を照射した際、基板端面にはみ出した紫
外線硬化型樹脂が未硬化状態で、かつ光情報記録媒体構
成層の少なくとも表面近傍が硬化した状態となった時、
あるいはその状態になっている間に、基板端面にはみ出
した未硬化の紫外線硬化型樹脂を選択的に除去する機構
とを備えていることを特徴とする光情報記録媒体の製造
装置」、(5)「前記基板端面にはみ出した紫外線硬化
型樹脂を除去する機構が、拭き取り部材により拭き取る
機構であることを特徴とする請求項4に記載の光情報記
録媒体の製造装置」、(6)「前記基板端面にはみ出し
た紫外線硬化型樹脂を除去する機構が、光情報記録媒体
を回転させながら溶剤で除去する機構であることを特徴
とする前記(4)項に記載の光情報記録媒体の製造装
置」が提供される。
【0014】また、前記(II)に関する発明として、
(7)「色素を主成分とする記録層を有する光情報記録
媒体の製造装置において、記録層塗布面の外周端の非記
録領域の記録膜を除去する手段と、該外周端の非記録領
域の記録膜除去が正常に行なわれたかどうかを検知する
手段と、該検知手段により外周端の非記録領域の記録膜
除去が正常に行なわれるように前記除去手段を補正する
手段とを備えたことを特徴とする光情報記録媒体の製造
装置」、(8)「前記記録層塗布面の外周端の非記録領
域の記録膜を除去する手段が、基板をスピナーで保持し
ながら記録層を塗布した後、回転中の光情報記録媒体に
光情報記録媒体遠方から記録膜溶解剤を連続的に吐出し
たノズルが目的位置までゆっくりと移動し、外周端の非
記録領域の記録膜を除去し、その後ノズルが記録膜溶解
剤を吐出したまま該光情報記録媒体遠方まで移動するこ
とにより、該光情報記録媒体の外周端の非記録領域の記
録膜を除去する手段であり、かつ前記除去手段を補正す
る手段が、検知手段によりノズルからの記録膜溶解剤の
吐出圧を調整する手段であることを特徴とする前記
(7)項に記載の光情報記録媒体の製造装置」、(9)
「前記光情報記録媒体の外周端の非記録領域の記録膜除
去が正常に行なわれているかどうかを検知する手段が、
ノズルから吐出された記録膜溶解剤の飛散状況を検知す
る手段であることを特徴とする前記(8)項に記載の光
情報記録媒体の製造装置」、(10)「前記記録層塗布
面の外周端の非記録領域の記録膜を除去する手段が、基
板をスピナーで保持しながら記録層を塗布した後、回転
中の光情報記録媒体に記録膜溶解剤のしみ込んだ拭き取
り部材により該光情報記録媒体の外周端の非記録領域の
記録膜を除去する手段であり、かつ前記除去手段を補正
する手段が、検知手段により該拭き取り部材の光情報記
録媒体の外周端の非記録領域への圧着力を調整する手段
であることを特徴とする前記(7)項に記載の光情報記
録媒体の製造装置」、(11)「前記光情報記録媒体の
外周端の非記録領域の記録膜除去が正常に行なわれてい
るかどうかを検知する手段が、レーザ光の反射光あるい
は透過光の強度変化による検知手段であることを特徴と
する前記(7)項に記載の光情報記録媒体の製造装
置」、(12)「前記光情報記録媒体の製造装置が、基
板裏面に回り込んだ記録膜を除去する手段と、該基板裏
面の不要記録膜除去が正常に行なわれた かどうかを検知
する手段と、該検知手段により基板裏面の不要記録膜除
去が正常に行なわれるように前記除去手段を補正する手
段とを備えていることを特徴とする前記(7)、(8)
または(10)項に記載の光情報記録媒体の製造装置」
が提供される。
【0015】次に、本発明を詳しく説明する。まず、
記(I)の本発明について説明する。本発明の光情報記
録媒体は、図1に示すように基板2と光情報記録媒体構
成層3からなり、かつ基板端面に光情報記録媒体構成層
の紫外線硬化樹脂のはみ出しがないものである。この光
情報記録媒体1は、紫外線硬化型樹脂を塗布後、基板表
面の紫外線硬化型樹脂が硬化した状態で、かつ基板端面
にはみ出した紫外線硬化型樹脂が未硬化状態の時に、こ
のはみ出した紫外線硬化型樹脂を除去することにより製
造することができる。
【0016】本発明の光情報記録媒体1の製造方法にお
いて、基板表面の紫外線硬化型樹脂が硬化した状態で、
かつ基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂が未硬化状
態を達成するためには、紫外線強度、紫外線照射時間、
2 パージ量(庫内酸素濃度)を適当に組み合わせ、短
時間に基板端面の紫外線硬化型樹脂が硬化しない程度に
上記条件を設定すればよい。また基板表面の紫外線硬化
型樹脂が硬化した状態とは、基板表面の少なくとも表面
近傍の紫外線硬化型樹脂が硬化した状態であり、基板表
面の紫外線硬化型樹脂層にゴミ等が付着してもその層の
中に取り込まずエアーブロー等で容易に除去できる状態
である。従って、必ずしも内部まで完全に硬化していな
くともよい。
【0017】そしてこの基板端面にはみ出した紫外線硬
化型樹脂が未硬化状態で、かつ、基板表面の紫外線硬化
型樹脂層が少なくとも表面近傍が硬化した状態となった
時に基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を除去する
ことにより本発明の光情報記録媒体1を得ることができ
る。この時、紫外線照射は引き続き連続して行なわれ
る。
【0018】本発明の基板端面にはみ出した未硬化の紫
外線硬化型樹脂の除去方法としては、光情報記録媒体を
回転させながら、拭き取り部材により紫外線硬化型樹脂
を拭き取る方法が挙げられる。使用される拭き取り部材
としては、未硬化の紫外線硬化型樹脂を吸収し易く、発
塵性のないクリーン度の高いもので、基板端面を傷付け
るようなものでなければ特に何の制限もない。
【0019】また本発明の基板端面にはみ出した未硬化
の紫外線硬化型樹脂の他の除去方法としては、光情報記
録媒体を回転させながら、溶剤により紫外線硬化型樹脂
を除去する方法が挙げられる。使用される溶剤として
は、基板を溶解しない溶剤であれば良く、その溶剤が紫
外線硬化型樹脂を溶解するか否かを問わない。というの
は、光情報記録媒体を回転させながら溶剤を吐出し、そ
の溶剤が飛散する力で基板端面の液体状の未硬化状態の
紫外線硬化型樹脂を洗い流すからである。
【0020】本発明の基板端面にはみ出した紫外線硬化
型樹脂の除去方法としては、具体的には次のような方法
が考えられる。第1に、基板表面、基板端面の両方の紫
外線硬化型樹脂が完全に硬化してしまう前記の条件設定
において、基板端面の紫外線硬化型樹脂の未硬化時間を
調べ、その間(ただし、少なくとも基板表面紫外線硬化
型樹脂の少なくとも表面近傍が硬化した状態)に基板端
面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を拭き取り部材により
拭き取る、あるいは光情報記録媒体1を回転させながら
溶剤により除去する。
【0021】第2に、基板表面の紫外線硬化型樹脂は少
なくとも表面近傍が完全硬化するが、基板端面の紫外線
硬化型樹脂は未硬化となる前記の条件設定で硬化を行な
い、次に拭き取り部材により基板端面にはみ出した紫外
線硬化型樹脂を除去するか、光情報記録媒体を回転させ
ながら溶剤により除去する。除去後、紫外線硬化型樹脂
層内部まで完全硬化している場合もあるが、一方表面近
傍のみしか完全硬化しておらず内部は未硬化という状態
もあり得るので、必要に応じて前記の条件設定を変えて
引続き紫外線照射を行ない、紫外線硬化型樹脂層内部ま
で完全硬化させる。
【0022】本発明においては、基板端面にはみ出した
未硬化状態の紫外線硬化型樹脂の除去を紫外線照射によ
る硬化工程中に行なえる。つまり、紫外線硬化型樹脂の
硬化工程中に未硬化の紫外線硬化型樹脂の除去を行なう
ものであるため、この除去工程時間は完全に硬化工程時
間内に含まれ、タクトに全く影響を及ぼさない。
【0023】本発明において使用される基板、紫外線硬
化型樹脂は、通常使用されているものが使用され、また
紫外線硬化型樹脂の塗布方法は通常の方法が使用され
る。
【0024】また、本発明は紫外線硬化型樹脂を用いた
光情報記録媒体構成層3について適用されるものであ
り、ハードコート層、下引き層に限定させるものではな
い。
【0025】次に本発明の光情報記録媒体の製造装置に
ついて説明する。本発明の光情報記録媒体の製造装置は
図2(a)、(b)に示すものであり、基板表面の光情
報記録媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂を紫外線照射に
より硬化させる機構と、基板端面にはみ出した紫外線硬
化型樹脂4を除去する機構を備えている。
【0026】本発明の光情報記録媒体の製造装置の基板
表面の光情報記録媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂を紫
外線照射により硬化させる機構について説明する。ま
ず、円筒状の容器9内の円盤上のターンテーブル5上
に、基板2に紫外線硬化型樹脂を塗布した円盤状の光情
報記録媒体1を載せ、ターンテーブル5を回転させる。
次に、窒素流入口10より窒素を流入し、容器9内を窒
素置換する。次に、紫外線照射装置6より紫外線7を照
射する。
【0027】この紫外線照射装置6は容器9の上方で、
光情報記録媒体1と平行に位置し、かつターンテーブル
5を回転させるため少なくとも光情報記録媒体1の中心
から端部までを覆うことが必要である。図2(a)、
(b)では、光情報記録媒体1の半円全体を覆うように
設置されているが、光情報記録媒体1の全体を覆うよう
に設置しても良く、その大きさは問わない。
【0028】紫外線照射装置6より照射された紫外線7
は、容器9の上部を密閉している紫外線透過部材8を透
過し、容器9内へ進行する。この紫外線7は、紫外線照
射装置6と光情報記録媒体1とが平行であるため、光情
報記録媒体1の基板表面に垂直に照射し、光情報記録媒
体1の基板2の表面の光情報記録媒体構成層3の紫外線
硬化型樹脂は硬化しやすく、基板2の端面にはみ出した
紫外線硬化型樹脂4は硬化しにくくなる。
【0029】また、ターンテーブル5の回転速度は、紫
外線7の強度や紫外線照射装置6の大きさ、光情報記録
媒体1の大きさにより異なるものである。
【0030】このような紫外線照射により紫外線硬化型
樹脂を硬化させる機構により紫外線照射時間、紫外線強
度、N2 パージ量を適当に変えて、容易に基板表面の光
情報記録媒体構成層3を紫外線硬化型樹脂の少なくとも
その表面を硬化させた状態でかつ基板端面にはみ出した
紫外線硬化型樹脂4を未硬化の状態にすることができ
る。
【0031】 次に本発明の製造装置の基板端面にはみ
出した紫外線硬化型樹脂4を除去する機構について説明
する。図2(a)、(b)において、拭き取り部材支持
体12が紫外線透過部材8を貫通して光情報記録媒体1
の基板2の端面付近まで設置されており、また、図2
(a)、(b)では紫外線照射装置6が設置されている
反対の光情報記録媒体1の半円側に設置されているが、
光情報記録媒体1の同じ半円側に設置しても良く、その
位置は基板端面付近であればどこでも良い。また、この
拭き取り部材支持体12は、横方向に光情報記録媒体1
と平行に移動することができるものである。拭き取り部
材11は、拭き取り部材支持体12の先端部に、かつ、
光情報記録媒体1の基板2の端面に平行に設けられてお
り、その材質は、未硬化の紫外線硬化型樹脂を吸収し易
く発塵性のないクリーン度の高いもので光情報記録媒体
1の基板2の端面を傷つけるようなものでなければ特に
制限はない。
【0032】光情報記録媒体1の基板表面の光情報記録
媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂の少なくともその表面
が硬化した状態で、かつ基板端面にはみ出した紫外線硬
化型樹脂4が未硬化の状態である時に、紫外線照射を連
続して行ったまま、拭き取り部材支持体12を移動させ
て拭き取り部材11を回転中の光情報記録媒体1の基板
端面に圧着させる。この時の拭き取り部材11の圧着力
は、拭き取り部材11の材質により、その未硬化の紫外
線硬化型樹脂の吸収する割合や基板2の端面への傷付き
等を考慮して異なるものである。またこの時のターンテ
ーブル5の回転速度も拭き取り部材11の材質により異
なるものである。
【0033】光情報記録媒体1の基板端面のはみ出した
未硬化状態の紫外線硬化型樹脂4を拭き取った後、拭き
取り部材支持体12を光情報記録媒体1の遠方に移動さ
せて拭き取り部材11を基板端面から隔離する。
【0034】その後、光情報記録媒体1の基板表面の光
情報記録媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂が内部まで完
全に硬化していない場合には、引き続き、紫外線照射を
行い完全に硬化させる。
【0035】以上説明したように本発明の製造装置によ
り、光情報記録媒体1の基板表面の光情報記録媒体構成
層3の紫外線硬化型樹脂の硬化中に基板端面にはみ出し
た紫外線硬化型樹脂4の除去を行うことができ、図1に
示す光情報記録媒体1を得ることができる。
【0036】次に本発明の基板端面の紫外線硬化型樹脂
を除去する他の光情報記録媒体の製造装置について説明
する。本発明の光情報記録媒体の製造装置は図3
(a)、(b)に示すものであり、図2の光情報記録媒
体の製造装置と同様に基板表面の光情報記録媒体構成層
3の紫外線硬化型樹脂を紫外線照射により硬化させる機
構と、基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂4を除去
する機構を備えている。
【0037】本発明の光情報記録媒体の製造装置の基板
表面の光情報記録媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂を紫
外線照射により硬化させる機構について説明する。この
機構は、前述の光情報記録媒体の製造装置と同様であ
る。まず、円筒状の容器9内の円盤上のターンテーブル
5上に、基板2に紫外線硬化型樹脂を塗布した円盤状の
光情報記録媒体1を載せ、ターンテーブル5を回転させ
る。次に、窒素流入口10より窒素を流入し、容器9内
を窒素置換する。次に、紫外線照射装置6より紫外線7
を照射する。
【0038】この紫外線照射装置6は容器9の上方で、
光情報記録媒体1と平行に位置し、かつターンテーブル
5を回転させるため少なくとも光情報記録媒体1の中心
から端部までを覆うことが必要である。図3(a)、
(b)では、光情報記録媒体1の半円全体を覆うように
設置されているが、光情報記録媒体1の全体を覆うよう
に設置しても良く、その大きさは問われない。
【0039】紫外線照射装置6より照射された紫外線7
は、容器9の上部を密閉している紫外線透過部材8を透
過し、容器9内へ進行する。この紫外線7は、紫外線照
射装置6と光情報記録媒体1とが平行であるため、光情
報記録媒体1の基板表面に垂直に照射し、光情報記録媒
体1の基板2の表面の光情報記録媒体構成層3の紫外線
硬化型樹脂は硬化しやすく、基板2の端面にはみ出した
紫外線硬化型樹脂4は硬化しにくくなる。
【0040】また、ターンテーブル5の回転速度は、紫
外線7の強度や紫外線照射装置6の大きさ、光情報記録
媒体1の大きさにより異なるものである。
【0041】このような紫外線照射により紫外線硬化型
樹脂を硬化させる機構により紫外線照射時間、紫外線強
度、N2 パージ量を適当に変えて、容易に基板表面の光
情報記録媒体構成層3を紫外線硬化型樹脂の少なくとも
その表面を硬化させた状態でかつ基板端面にはみ出した
紫外線硬化型樹脂4を未硬化の状態にすることができ
る。
【0042】 次に本発明の光情報記録媒体の製造装置
の基板端面にはみ出した紫外線硬化型樹脂4を除去する
機構について説明する。図3(a)、(b)において、
溶剤吐出用ノズル13は、紫外線透過部材8を貫通して
光情報記録媒体1の光情報記録媒体構成層3の表面付近
まで伸びており、その先端の位置は光情報記録媒体1の
上方であり、また図3(a)、(b)では、紫外線照射
装置6が設置されている反対の光情報記録媒体1の半円
側に設置されているが、光情報記録媒体1と同じ半円側
でも良く、その位置は光情報記録媒体1の上方であれば
どこでも良い。
【0043】 溶剤吐出用ノズル13の先端より溶剤が
吐出するが、この溶剤は基板2を溶解しない溶剤であれ
ば良く、その溶剤が紫外線硬化型樹脂を溶解するか否か
は問われない。基板2の端面のはみ出した液体状の未硬
化状態の紫外線硬化型樹脂4を光情報記録媒体1を回転
させながら溶剤が飛散する力で洗い流すためである。
【0044】光情報記録媒体1の基板表面の光情報記録
媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂の少なくともその表面
が硬化した状態で、かつ基板端面にはみ出した紫外線硬
化型樹脂4が未硬化の状態である時に、紫外線照射を連
続して行ったまま、溶剤吐出用ノズル13より溶剤を光
情報記録媒体1の光情報記録媒体構成層3の表面に吐出
する。この時溶剤の吐出圧は、光情報記録媒体構成層3
に使用されている紫外線硬化型樹脂やその内部硬化状態
の度合いにより異なるが、少なくとも光情報記録媒体構
成層3の表面の硬化した部分が、溶剤の吐出により変形
しない程度とする。
【0045】吐出された溶剤は、光情報記録媒体1が回
転しているために、遠心力により中心部から端部に流れ
る。この時硬化状態の光情報記録媒体構成層3の表面に
付着していたゴミ等も同時に容易に除去できる。基板2
の端部に流れた溶剤は外部へ飛散するが、この飛散力に
より基板端面にはみ出した未硬化状態の紫外線硬化型樹
脂4を洗い流す。またこの時のターンテーブル5の回転
速度により溶剤の飛散力が異なり、基板端面にはみ出し
た未硬化状態の紫外線硬化型樹脂4の洗い流す力が異な
るため、適宣調整すれば良い。
【0046】 光情報記録媒体1の基板端面にはみ出し
た未硬化状態の紫外線硬化型樹脂4を洗い流した後、溶
剤吐出用ノズル13からの溶剤の吐出を終了する。
【0047】その後、光情報記録媒体1の基板表面の光
情報記録媒体構成層3の紫外線硬化型樹脂が内部まで完
全に硬化していない場合には引き続き紫外線照射を行い
完全に硬化させる。
【0048】以上説明したように本発明の製造装置によ
り、光情報記録媒体1の基板表面の光情報記録媒体構成
層3の紫外線硬化型樹脂の硬化中に基板端面にはみ出し
た紫外線硬化型樹脂4の除去を行うことができ、図1に
示す光情報記録媒体1を得ることができる。
【0049】次に、前記(II)の本発明について説明す
る。本発明の光情報記録媒体は図4に示すものであり、
基板15と記録領域16の記録層から成り、外周端の非
記録領域17に記録膜のはみ出しがなく、また基板裏面
18に記録膜のまわり込みがないものである。
【0050】この光情報記録媒体14は、通常の方法に
より記録領域16の記録層を形成した後、外周端の非記
録領域17の記録膜を除去し、かつ、基板裏面18にま
わり込んだ記録膜を除去することにより製造することが
できる。
【0051】次に、本発明の光情報記録媒体の製造装置
について説明する。本発明の光情報記録媒体の製造装置
は、記録層塗布面の外周端の非記録領域の記録膜を除去
する手段と、この記録層塗布面の外周端の非記録領域の
記録膜の除去が正常に行われているかどうかを検知する
手段と、この検知手段により記録層塗布面の外周端の非
記録領域の記録膜除去が正常に行われるように除去手段
を補正する手段とからなる。
【0052】 本発明の光情報記録媒体の製造装置の記
録層塗布面の外周端の非記録領域の記録膜を除去する手
段について説明する。まず、図5に示すようにまず記録
層を塗布した基板15をターンテーブル19にて回転さ
せる。そして基板15の遠方より記録膜溶解剤21を連
続的に吐出させたノズル20をゆっくりと目的とする位
置、すなわち記録領域16と外周端の非記録領域17の
境界まで移動させて外周端の非記録領域17の記録膜を
除去し、その後、ノズル20を記録膜溶解剤21を吐出
させたまま基板15の遠方まで移動させる。このように
基板15の遠方で溶解剤の吐出を開始、終了することに
よって吐出開始、終了時のノズル20の先端の溶解剤だ
まり、吐出開始時の吐出圧の変動および吐出終了時のノ
ズル20の先端での溶解剤21の飛散等による記録領域
16の記録層への溶解剤の飛散を防止でき、またゆっく
りとノズル20を移動させるので基板15付近では非常
に安定した溶解剤21の吐出圧で塗布液を除去すること
ができる。
【0053】本発明ではノズル20の移動により基板1
5の端面に溶解剤21がかかり散乱が生じるが、ノズル
20の角度を選ぶことによってターンテーブル19の回
転による遠心力で基板外へ弾くことができる。ノズル2
0の角度としては図6に示すように基板15の外周方向
へ溶解剤21が吐出されるように傾け、基板15の垂直
方向とノズル20のなす角度をθとするとθ=30°〜
60°で基板15の端面での溶解剤の散乱がなくもっと
も安定した結果が得られる。
【0054】 また、ノズル20と基板15の表面との
距離wやノズル20の吐出口の直径は図5に示すような
除去方法ではあまり大きな因子ではないが、好ましくは
w=2〜3mmであり、ノズル20の吐出口の直径は溶
解剤21の吐出量および種類により異なるが記録領域1
6と外周端の非記録領域17との境界の仕上がり具合に
より0.3mm未満が好ましい。基板15の回転数とし
ては溶解剤21の吐出量および種類により異なるが記録
領域16と外周端の非記録領域17との境界の仕上がり
具合により1500〜2000rpmが好ましい。ま
た、溶解剤21の吐出圧力としては回転中の基板15上
の記録膜が溶解する最低の圧力を設定する、すなわち、
あまり圧力をかけないで溶解できる溶剤を選定する。
【0055】また本発明に用いられる溶解剤21として
は記録膜に対する溶解度が高く、かつ粘度が高い溶剤で
あることが必要である。その理由は、粘度の低い溶解剤
を使用すると基板1の回転数にかかわらず大きなにじみ
ができ、外周端の非記録領域17全体を除去しようとす
るとその大きなにじみのために記録領域16内に溶解剤
21が侵入する。そのため本発明に用いられる溶解剤と
しては25℃で1.1cp以上の粘度の溶剤が好まし
く、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエ
タノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ系溶
剤およびジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−
メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶剤が挙
げられる。また、記録膜に対して溶解度が高い溶剤を使
用するが、基板を著しく溶解する溶剤、例えば、クロロ
ホルム、ジクロロエタン、トリクレン等のハロゲン系溶
剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、
ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤を単独で用いるこ
とは好ましくない。しかし、これらを前述の粘度の高い
セルソルブ系、ケトンアルコール系およびアルコール系
溶剤と混合し、基板に対する溶解力を低下させ塗布液を
十分に溶解し粘度の条件を満たすものであれば使用可能
である。
【0056】また、本発明では基板15の外周端の非記
録領域17に付着した記録膜の除去とほぼ同時に図7に
示すように基板15の基板裏面18に回り込んだ記録膜
も除去する。ここでノズル22は基板15の基板裏面1
8に回り込んだ記録膜より内部に固定し、ターンテーブ
ル19の遠心力によって基板裏面18の記録膜全体を除
去する。これは、ノズル22を移動させると溶解剤が飛
散するためである。ノズル22の吐出口の直径、ノズル
22と基板15との距離、ノズル22の吐出圧力は特に
限定されるものではなく、また溶解剤としては前述のよ
うな粘度の制約はなく、基板を溶解せず、かつ塗布液を
十分に溶解できる溶剤であり、必ずしも基板15の外周
端の非記録領域17付着の塗布液溶解剤と同一でなくと
もよい。
【0057】また、ノズル20とノズル22からの両方
の溶解剤の吐出により基板15の基板端面に付着してい
た記録膜も除去することができ、エアーサンドイッチ構
造化した際の外観が綺麗になり、本発明の除去手段では
基板全面にわたって不要な記録膜を除去することができ
る。
【0058】用いられる基板としては、記録再生する場
合、使用レーザーに対して透明であることが必要であ
る。基板材料としては、アクリル樹脂、塩化ビニル共重
合体樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック等を用い
ることができ、基板表面にはアドレス信号などのプリフ
ォーマットや案内溝を形成してもよい。
【0059】有機記録層の塗布液としては、染料等を含
有する塗布液が一般的であり、その染料としては、例え
ば、ポリメチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニ
ン系、テトラヒドロコリン系、ジオキサジン系、トリフ
ェノチアジン系、フェナンスレン系、アントラキノン
系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、トリフエニ
ルアミン系、アズレン系等の各種染料の一種または二種
以上の混合物が挙げられる。その他保存安定剤、高分子
剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等を含有してもよ
い。
【0060】また、下引き層は、接着性の向上、水
またはガス等のバリヤー、記録層の保存安定性の向
上、反射率の向上、溶剤からの基板の保護、プリ
グルーブの形成等を目的として記録層形成前に形成され
ることがある。の目的に対しては高分子材料、例え
ば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹
脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の
種々の高分子物質およびシランカップリング剤等を用い
ることができ、,の目的に対しては上記高分子のほ
かに無機化合物、例えば、SiO2 ,MgF2 ,Si
O,ZnO,TiN,SiN等;金属または半金属、例
えば、Zn,Cu,Si,Ni,Cr,Ge,Se,A
u,Ag,Al等を用いることができる。の目的に対
しては金属、例えば、Al,Ag等や金属光沢を有する
有機薄膜、例えば、メチン系染料、キサンテン系染料等
を用いることができ、,の目的に対しては紫外線硬
化樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることがで
きる。
【0061】保護層は、記録層の傷、ほこり、汚れ等
からの保護、記録層の保存安定性の向上、反射率の
向上を目的として記録層形成後に形成されることがあ
る。これらの目的に対しては前記下引き層に示した材料
が挙げられる。
【0062】接着剤としては特に制限はなく公知のもの
を用いることができるが、光硬化型接着剤、ウレタン型
接着剤、シリコーン型接着剤、アクリル型接着剤、ホッ
トメルト接着剤が好ましい。
【0063】また、本発明の光情報記録媒体の製造装置
の外周端の非記録領域の記録膜を除去する他の手段につ
いて説明する。記録層を塗布した基板をターンテーブル
にて回転させ、基板上方より記録膜溶解剤をしみ込ませ
た拭きとり部材をゆっくりと目的とする位置、すなわ
ち、外周端の非記録領域まで移動させて圧着させ、これ
により外周端の非記録領域の記録膜を除去する。除去
後、拭きとり部材を基板上方に遠ざけることにより終了
する。
【0064】本発明の除去手段では、ゆっくり移動させ
て圧着させるため、非常に安定して外周端の非記録領域
の記録膜を除去することができる。
【0065】拭きとり部材の基板への圧着力としては、
ターンテーブルの回転速度や拭きとり部材の材質のよる
もので、拭きとり部材にしみこんだ記録膜溶解剤により
溶解された記録膜を吸収する度合いや基板への傷つき等
を考慮する。
【0066】使用する溶解剤としては、基板を溶解せ
ず、記録膜を溶解するものであれば特に制限されず、ま
た使用する拭きとり部材としては、溶解剤の吸収力が高
く、かつ基板を傷付けるようなものでなければ特に制限
はない。
【0067】また、本発明の除去手段では、基板の外周
端の非記録領域の記録膜の除去と同時に基板裏面に回り
込んだ記録膜も除去する。基板裏面の記録膜の除去手段
は、拭きとり部材を基板下方から目的とする位置に移動
させて圧着させる以外は、外周端の非記録領域の記録膜
の除去手段と同様に行なえばよい。
【0068】次に、本発明の光情報記録媒体の製造装置
の外周端の非記録領域の記録膜の除去が正常に行なわれ
ているかどうかを検知する手段について説明する。
【0069】外周端の非記録領域の記録膜の除去の異常
を検知する手段としては、レーザ光を外周端の非記録領
域に照射し、その反射光あるいは透過光により検知する
手段であり、図8(a)に示すように外周端の非記録領
域17全てにレーザ23を照射し、シリンドリカルレン
ズ25を通過して検出器アレイ24により外周端の非記
録領域17の記録膜除去の異常を検出するものである。
【0070】また、図8(b)に示すように外周端の非
記録領域17と記録領域16の境界にのみレーザ23を
照射することにより、外周端の非記録領域17の記録膜
除去の異常を検出するものである。
【0071】また、外周端の非記録領域の記録膜の除去
の異常を検知する他の手段としては、記録膜溶解剤の飛
散状況を検知する手段であり、この手段は溶解剤吐出に
より記録膜を除去する場合に限られる。
【0072】この原理は、記録膜溶解剤の吐出圧が弱い
等の原因により記録膜を溶解することができない場合に
は、記録膜溶解剤が図9(a)に示すように記録膜溶解
剤21の吐出方向、吐出圧及びターンテーブル19の回
転数により決まるある一定方向にのみ記録膜溶解剤21
が飛び散り、記録膜が完全に除去できた状態となった時
は記録膜溶解剤21が図9(b)に示すように全周にわ
たりほぼ均一にはじけ飛ぶという現象を利用したもので
ある。
【0073】 従って、この記録膜溶解剤21の飛散状
況により、外周端の非記録領域の記録膜の除去の異常を
検知するための実際的な方法としては、図10(a)に
示すように前述の記録膜不溶解時に記録膜溶解剤21が
はじけ飛ぶ位置に検出器27を設置し、その検出器27
にある一定以上の記録膜溶解剤21が飛散した場合には
除去異常とするもの、また図10(b)に示すように1
個あるいは複数個の検出器27を図10(a)に示す特
異点以外の位置に設置し、それらの検出器27にある一
定以上の記録膜溶解剤21が飛散しなければ除去異常と
判定し、外周端の非記録領域17の記録膜除去の各種設
定値を補正させるようにすればよい。
【0074】以上のような方法により、本発明の光情報
記録媒体の製造装置において、外周端の非記録領域の記
録膜の除去が正常に行なわれているかどうかを検知し、
正常に行なわれるように除去手段を補正することができ
るが、図11にそのフローチャートを示す。
【0075】
【実施例】次に本発明の実施例、比較例を挙げて説明す
る。 実施例1 ポリカーボネート基板の読取面側にスピナーにより膜厚
約3μmにハードコート層(大日本インキ化学工業
(株)社製紫外線硬化型樹脂SD−17)を塗布した。
このポリカーボネート基板を容器(150mmφ×高さ
90mm)内に置きN2パージ量71/min、紫外線
強度70mw/cm2(ピーク値)、紫外線照射時間1
5secの条件でハードコート層を硬化させた。そして
基板端面のハードコート剤は未硬化状態で基板表面のハ
ードコート層は硬化した状態であることをタック試験に
より確認した。次に基板端面の不要ハードコート剤をテ
ックス・ワイプ社製アルファワイパー(クラス100対
応)で拭き取り、更にN2パージ量201/min、紫
外線強度70mw/cm2(ピーク値)、紫外線照射時
間10secで硬化を再度行った。
【0076】実施例2 基板端面の不要ハードコート剤の拭き取り部材として市
販のティッシュぺーパーを用いたこと以外は実施例1と
同様な操作を行った。
【0077】比較例1 ポリカーボネート基板の読取面側にスピナーにより膜厚
約3μmのハードコート層(大日本インキ化学工業
(株)社製紫外線硬化型樹脂SD−17)を塗布した。
この後テックス・ワイプ社製アルファワイパー(クラス
100対応)で基板端面の不要ハードコート剤を拭き取
り、続いてN2 パージ量20l/min、紫外線強度7
0mw/cm2 (ピーク値)、紫外線照射時間30se
cの条件でハードコート剤を硬化させた。
【0078】比較例2 基板端面の不要ハードコート剤の拭き取り部材に市販の
ティッシュペーパーを用いたこと以外は比較例1と同様
な操作を行った。
【0079】上記実施例1〜2および比較例1〜2で作
製したハードコート層を形成した基板をそれぞれ5面用
意し、それらをFUTEC社製ディスク欠陥検査装置に
かけ、ハードコート処理前後での欠陥の発生、変化状況
を調べた。その結果を表1に示す
【0080】
【表1】
【0081】実施例3 ポリカーボネート基板の読取面側にスピナーにより膜厚
約3μmのハードコート層(大日本インキ化学工業
(株)社製紫外線硬化型樹脂SD−17)を塗布した。
このポリカーボネート基板を容器(150mmφ×高さ
90mm)内に置きN2 パージ量7l/min、紫外線
強度70mw/cm2 (ピーク値)、紫外線照射時間1
5secの条件でハードコート層を硬化させた。そして
基板端面のハードコート剤は未硬化状態で、基板表面の
ハードコート層は硬化した状態であることをタック試験
により確認した。
【0082】 次にこの基板を1000rpmで回転さ
せ、基板中心付近から図3に示すようにノズルより蒸留
水を10秒間連続吐出させ、続く5秒間蒸留水の吐出を
中止した状態で3000rpmで回転させた。
【0083】その後、さらにN2 パージ量20l/mi
n、紫外線強度70mw/cm2 (ピーク値)、紫外線
照射時間10secで硬化を再度行った。
【0084】実施例4 基板端面の不要ハードコート剤の除去用溶剤としてエタ
ノールを用いたこと以外は実施例3と同様な操作をし
た。
【0085】実施例5 基板端面の不要ハードコート剤の除去用溶剤として2−
メトキシエタノールを用いたこと以外は実施例3と同様
な操作をした。
【0086】また、実施例3〜5で作製したハードコー
ト層を形成した基板については目視で基板端面の不要紫
外線硬化型樹脂の除去具合を観察した。その結果を表2
に示す。
【0087】
【表2】
【0088】 実施例6 130mmφポリカーボネート基板に化学式1の色素を
MeOH/IPA/1,2ジクロロエタン=7:2:1
の重量組成に調整した溶剤に溶解し、この溶液をスピナ
ーにより膜厚900Åの記録層を塗布した。そして図5
に示すような方法で溶剤として2−エトキシエタノール
を用いて記録層塗布面の非記録領域の外周端及び基板裏
面の不要記録膜を除去した。但し、この時記録面側の不
要記録膜除去時の設定はノズル径3mmφ、吐出圧4k
g/mm2であった。さらに、図8(a)、(b)に示
すレーザ光による不要記録膜除去異常検出システム(図
11参照)を用いてサンプル10枚を得た。
【0089】
【化1】
【0090】実施例7 実施例6において2−エトキシエタノールの吐出圧を2
kg/mm2 とした以外は、実施例6と同様にして不要
記録膜を除去した。
【0091】比較例3 実施例6において不要記録膜除去異常検出システムを用
いず、さらに吐出圧を7kg/mm2 とした以外は実施
例6と同様にして不要記録膜を除去した。
【0092】比較例4 実施例6において、不要記録膜除去異常検出システムを
用いなかった以外は実施例6と同様にして不要記録膜を
除去した。
【0093】以上、実施例6,7及び比較例3,4で得
られた不要記録膜が除去されたポリカーボネート基板に
ついて不要記録膜除去前後でのポリカーボネート基板の
半径位置58〜60mmの欠陥率及び不要記録膜除去の
異常を目視で観察した。その結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明の第
1の発明によれば、基板端面にはみ出した紫外線硬化型
樹脂を基板表面の光情報記録媒体構成層に影響を与える
ことなく、紫外線硬化工程中に容易に除去することがで
きるので、非常に効率良くかつ外観の良好な光情報記録
媒体を提供することができる。
【0096】また本発明の第2の発明によれば、記録領
域の記録層を損傷することなくかつ完全に、基板の外周
端の非記録領域の記録膜や基板裏面にまわり込んだ記録
膜を除去することができ、信頼性が高いエアーサンドイ
ッチ構造の光情報記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体の断面図。
【図2】(a)は本発明の基板端面にはみ出した紫外線
硬化型樹脂を拭き取り部材により除去する機構を備えた
光情報記録媒体の製造装置の断面図、(b)はその上面
図。
【図3】(a)は本発明の基板端面にはみ出した紫外線
硬化型樹脂を溶剤により除去する機構を備えた光情報記
録媒体の製造装置の断面図、(b)はその上面図。
【図4】本発明の光情報記録媒体の断面図。
【図5】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層塗
布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去する手段を示
す概略説明図。
【図6】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層塗
布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去する手段を示
す概略説明図。
【図7】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層塗
布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去する手段と基
板裏面にまわり込んだ記録膜を除去する手段とを示す概
略説明図。
【図8】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層塗
布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去が正常に行な
われたかを検知する手段を示す概略説明図であり、
(a)は外周端の非記録領域全てにレーザを照射し、そ
の反射光あるいは透過光により検知する説明図、(b)
は外周端の非記録領域と記録領域の境界のみにレーザを
照射し、その反射光あるいは透過光により検知する説明
図。
【図9】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層塗
布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去が正常に行な
われたかを検知する他の手段の原理を示す概略説明図で
あり、(a)は記録膜を完全に溶解できない時の記録膜
溶解剤の飛散状態を示す説明図、(b)は記録膜が完全
に除去できた時の記録膜溶解剤の飛散状態を示す説明
図。
【図10】本発明の光情報記録媒体の製造装置の記録層
塗布面の外周端の非記録領域の記録膜の除去が正常に行
なわれたかを検知する他の手段を示す概略説明図であ
り、(a)は記録膜を完全に溶解できない時の飛散する
記録膜溶解剤を検知する説明図、(b)は記録膜が完全
に除去できた時の飛散する記録膜溶解剤を検知する説明
図。
【図11】本発明の光情報記録媒体の製造装置の外周端
の非記録領域の記録膜の除去が正常に行なわれているか
どうかを検知し、正常に行なわれるように除去手段を補
正するフローチャート。
【図12】従来の光情報記録媒体の断面図。
【図13】一般的な紫外線照射装置を示す概略説明図。
【図14】従来の光情報記録媒体の断面図。
【図15】従来の記録層塗布面の外周端の非記録領域の
記録膜の除去方法を示す概略説明図。
【符合の説明】
1 光情報記録媒体 2 基板 3 光情報記録媒体構成層 4 はみ出した紫外線硬化型樹脂 5 ターンテーブル 6 紫外線照射装置 7 紫外線 8 紫外線透過部材 9 容器 10 窒素流入口 11 拭き取り部材 12 拭き取り部材支持体 13 溶剤吐出用ノズル 14 光情報記録媒体 15 基板 16 記録領域 17 非記録領域 18 基板裏面 19 ターンテーブル 20 ノズル 21 溶解剤 22 ノズル 23 レーザ 24 検出器アレイ 25 シリンドリカルレンズ 26 検出器 27 検出器 28 光情報記録媒体 29 基板 30 光情報記録媒体構成層 31 はみ出した紫外線硬化型樹脂 32 紫外線照射装置 33 紫外線 34 ターンテーブル 35 容器 36 紫外線透過部材 37 窒素流入口 38 光情報記録媒体 39 基板 40 記録層 41 不要記録層 42 基板裏面にまわり込んだ記録膜 43 記録領域 44 非記録領域 45 ターンテーブル 46 ノズル
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/26 G11B 7/24

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線硬化型樹脂からなる光情報記録媒
    体構成層を有する光情報記録媒体の製造方法において、
    該紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線照射により該光情
    報記録媒体構成層を硬化させる過程で、基板端面にはみ
    出した紫外線硬化型樹脂が未硬化状態で、かつ該光情報
    記録媒体構成層の少なくとも表面近傍が硬化した状態と
    なった時、あるいはその状態になっている間に、基板端
    面にはみ出した未硬化の紫外線硬化型樹脂を除去するこ
    とを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線硬化型樹脂の除去、基板端
    面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を拭き取り部材により
    拭き取りにより行われることを特徴とする請求項に記
    載の光情報記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記紫外線硬化型樹脂の除去、基板端
    面にはみ出した紫外線硬化型樹脂を光情報記録媒体を回
    転させながら溶剤で除去されることにより行われること
    を特徴とする請求項に記載の光情報記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 光情報記録媒体の製造装置において、紫
    外線硬化型樹脂からなる光情報記録媒体構成層を紫外線
    照射により硬化させる機構と、該光情報記録媒体構成層
    に紫外線を照射した際、基板端面にはみ出した紫外線硬
    化型樹脂が未硬化状態で、かつ光情報記録媒体構成層の
    少なくとも表面近傍が硬化した状態となった時、あるい
    はその状態になっている間に、基板端面にはみ出した
    硬化の紫外線硬化型樹脂を選択的に除去する機構とを備
    えていることを特徴とする光情報記録媒体の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記基板端面にはみ出した紫外線硬化型
    樹脂を除去する機構が、拭き取り部材により拭き取る機
    構であることを特徴とする請求項に記載の光情報記録
    媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記基板端面にはみ出した紫外線硬化型
    樹脂を除去する機構が、光情報記録媒体を回転させなが
    ら溶剤で除去する機構であることを特徴とする請求項
    に記載の光情報記録媒体の製造装置。
  7. 【請求項7】 色素を主成分とする記録層を有する光情
    報記録媒体の製造装置において、記録層塗布面の外周端
    の非記録領域の記録膜を除去する手段と、該外周端の非
    記録領域の記録膜除去が正常に行なわれたかどうかを検
    知する手段と、該検知手段により外周端の非記録領域の
    記録膜除去が正常に行なわれるように前記除去手段を補
    正する手段とを備えたことを特徴とする光情報記録媒体
    の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記記録層塗布面の外周端の非記録領域
    の記録膜を除去する手段が、基板をスピナーで保持しな
    がら記録層を塗布した後、回転中の光情報記録媒体に光
    情報記録媒体遠方から記録膜溶解剤を連続的に吐出した
    ノズルが目的位置までゆっくりと移動し、外周端の非記
    録領域の記録膜を除去し、その後ノズルが記録膜溶解剤
    を吐出したまま該光情報記録媒体遠方まで移動すること
    により、該光情報記録媒体の外周端の非記録領域の記録
    膜を除去する手段であり、かつ前記除去手段を補正する
    手段が、検知手段によりノズルからの記録膜溶解剤の吐
    出圧を調整する手段であることを特徴とする請求項
    記載の光情報記録媒体の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記光情報記録媒体の外周端の非記録領
    域の記録膜除去が正常に行なわれているかどうかを検知
    する手段が、ノズルから吐出された記録膜溶解剤の飛散
    状況を検知する手段であることを特徴とする請求項
    記載の光情報記録媒体の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記記録層塗布面の外周端の非記録領
    域の記録膜を除去する手段が、基板をスピナーで保持し
    ながら記録層を塗布した後、回転中の光情報記録媒体に
    記録膜溶解剤のしみ込んだ拭き取り部材により該光情報
    記録媒体の外周端の非記録領域の記録膜を除去する手段
    であり、かつ前記除去手段を補正する手段が、検知手段
    により該拭き取り部材の光情報記録媒体の外周端の非記
    録領域への圧着力を調整する手段であることを特徴とす
    る請求項に記載の光情報記録媒体の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記光情報記録媒体の外周端の非記録
    領域の記録膜除去が正常に行なわれているかどうかを検
    知する手段が、レーザ光の反射光あるいは透過光の強度
    変化による検知手段であることを特徴とする請求項
    記載の光情報記録媒体の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記光情報記録媒体の製造装置が、基
    板裏面に回り込んだ記録膜を除去する手段と、該基板裏
    面の不要記録膜除去が正常に行なわれたかどうかを検知
    する手段と、該検知手段により基板裏面の不要記録膜除
    去が正常に行なわれるように前記除去手段を補正する手
    段とを備えていることを特徴とする請求項または
    10に記載の光情報記録媒体の製造装置。
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