JP3001206U - 柄付き立毛クッション材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インテリア敷物や電気カーペットなどとし
て、ベース及び柄模様をともに立毛で構成し、表面の凹
凸態様が所望に応じて調整可能であって感触性や弾力性
などが良い。 【構成】 立毛加工のベースフェルトと、熱融着性シー
トと、合成及び／又は天然繊維のラップをニードルパン
チングする柄用フェルトとを順次重合し、ベースフェル
トの立毛部又は非立毛部において、裏側からの部分的パ
ンチングによって柄用フェルトの繊維を表側へ立毛させ
た後に、熱融着性シートの融点よりも高い温度で熱処理
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ベース及び柄模様をともに立毛で構成し、表面の凹凸態様が所望に 応じて調整可能であって感触性や弾力性さらに美観などが優れている立毛クッシ ョン材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

インテリア敷物や電気カーペットなどとして用いるパイル糸に使用したタフテ ッドカーペットは、一般にジュート布やポリプロピレン織布などの基布に合成繊 維のパイル糸を針で刺し、反対側でルーパに引っ掛けて再び引き出してパイルを つくっていく。タフテッドカーペットには、ベースと異なる立毛構造と色彩の柄 模様として、マルチカットアンドループ（ＭＣＬ）やレベルカットアンドループ （ＬＣＬ）などが存在し、個性的な柄模様と高級感を付与できる反面、無地カー ペットに比べて高価になってしまう。

【０００３】 一方、ニードルパンチカーペットは、繊維をからめたフェ ルト状カーペットであり、タフテッドカーペットに比べて弾力性がない代りに相 当に安価である。ニードルパンチカーペットには、無地だけでなく、２色以上の 繊維の混綿による霜降り模様やプリント柄も存在するけれども、タフテッドカー ペットに比べて模様に変化が乏しいことは明らかである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このため、合成繊維のラップをニードルパンチングするベースフェルトと、異 なる色彩の繊維ラップをニードルパンチングする柄用フェルトとを重合した後に 、フォークニードルで裏側からパンチングして柄用フェルトを表側へ部分的に立 毛させることにより、ニードルパンチカーペットに柄模様を付与することが提案 されている。このニードルパンチカーペットでは、立毛した柄模様部と、立毛の ないベース部分との間に極端な凹凸が生じ、特にベース部分の感触が良好でなく 、立毛した柄模様部の耐磨耗性も悪くなってしまう。

【０００５】 本考案は、感触性及び耐磨耗性などの諸性能について、従 来の柄付きニードルパンチカーペットにおける前記の問題点を改善するために提 案されたものである。したがって、本考案の目的は、感触性及び耐磨耗性などが 優れ、従来のニードルパンチカーペットよりも高級感がある柄付き立毛クッショ ン材を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、図１における立毛クッション材１は、図３に示す ように、合成及び／又は天然繊維のラップをニードルパンチングしてから立毛加 工したベースフェルト２と、熱融着性シート３と、合成及び／又は天然繊維のラ ップをニードルパンチングする柄用フェルト４とを順次重合して製造する。熱融 着性シート３は、弾力性を損わない限度の厚みを有し、低融点である熱融着性繊 維の不織布又はプラスチックシートなどである。

【０００７】 フェルト２又は４に用いる合成及び／又は天然繊維は、ポ リエステル，ポリプロピレン，アクリル，ナイロンなどの合成繊維、羊毛，木綿 などの天然繊維，アセテートなどの化学繊維又はこれらを混綿した繊維のいずれ でもよく、一般にポリエステルが好ましい。この合成及び／又は天然繊維のラッ プは、一般に断面が三角形で９バーブ（逆とげ）である通常のロッキングニード ルにより、まず全体をニードルパンチングしてフェルト化する。

【０００８】 ベースフェルト２は、好ましくは２〜６０デニールの合成 及び／又は天然繊維を約１〜５ｍｍの厚さに定めたラップからなる。ベースフェ ルト２における立毛加工では、公知のフォークニードル又はブラシヘッドプレー トを取付けたニードルパンチ機を用い、例えばフェルト化ラップを１００〜８０ ０本／ｃｍ²の密度でパンチングする。この結果、ベースフェルト２において、 パイルをループ状又はカット状にフェルト表面に立毛させてベースパイル部５を 形成する。

【０００９】 一方、柄用フェルト４は、２〜１２０デニールの合成及び ／又は天然繊維のラップからなり、一般に該ラップをベースフェルトと異なった 色に着色する。柄用フェルト４を２層以上のラップで構成したり、比較的高融点 の合成及び／又は天然繊維のラップと比較的低融点の熱融着性繊維とを混綿し、 該フェルトがプレスなどで熱成形可能であってもよい。

【００１０】 本考案では、立毛加工したベースフェルト２と熱融着性シ ート３と柄用フェルト４とを重合した後に、裏側の柄用フェルト４から公知のフ ォークニードル７（図４）でパンチングし、柄用フェルトの繊維を部分的に表側 へ立毛させる。柄出しで用いるフォークニードル７は、通常、ベースフェルト２ の立毛加工で用いるフォークニードルと形状が異なる。フォークニードル７によ ってフェルト２，４の重合境界を繊維束が貫通する。

【００１１】 この結果、立毛クッション材１には、ベースパイル部５と 異なる立毛構造及び色彩の表面柄模様部８を形成する（図２参照）。柄模様部８ の形成を２段階に分けて、立毛構造を３種類にすることも可能である。さらに立 毛クッション材１を熱融着性シート３の融点よりも高い温度で熱処理し、例えば 熱風によって１７０〜２２０℃に予熱してから直ちにプレス成形して、熱融着性 シート３の融着によって全体を一体化してもよい。

【００１２】 図５に示すように、ベースフェルト２をニードルパンチン グ後に部分的に立毛加工させるだけでもよい。この結果、ベースフェルト２にお いて、パイルをループ状又はカット状にフェルト表面に立毛させると、パイル部 ５には所定模様の非立毛部６（図５）を有する。この場合には、ベースフェルト ２と熱融着性シート３と柄用フェルト４とを重合した後に、ベースフェルト２の 非立毛部６において、裏側の柄用フェルト４から公知のフォークニードルでパン チングし、柄用フェルトの繊維を表側へ立毛させる。

【００１３】

【作用】

本考案の立毛クッション材１は、立毛加工したベースフェルト２を用い、該ベ ースフェルトに柄用フェルト４を表側へ立毛させる。この結果、クッション材１ のベースパイル部５及び柄模様部８のいずれもほぼ同等に立毛加工され、両部分 の間に凹凸が生じないので感触が良好であり、柄模様部８の耐磨耗性が悪くなる ことも解消する。

【００１４】 立毛クッション材１では、ベースパイル部５と柄模様部８ とを異なる立毛構造及び色彩で構成することができる。立毛クッション材１では 、従来のタフテッドカーペットにおける特殊パイルと同様の加工が容易に可能に なり、個性的な柄模様と高級感を容易に付与できる。

【００１５】

【実施例】

次に、本考案を実施例に基づいて説明する。 実施例１ ベースフェルト２として、灰色のポリエステル繊維のラップ２５０ｇ／ｍ²を 通常のロッキングニードルで全体をニードルパンチングし、厚さ約３ｍｍとする 。次に公知のフォークニードルを用い、ベースフェルト２を２８０本／ｃｍ²の 密度でパンチングし、ベロア状のパイルを立毛させてベースパイル部５を形成す る。

【００１６】 一方、柄用フェルト４として、黒色のポリエステル繊維の ラップ２００ｇ／ｍ²を用い、このラップを通常のロッキングニードルで全体を ニードルパンチングしてフェルト化し、厚さ約２ｍｍとする。柄用フェルト４の 上側にベースフェルト２を載置し、両者の間に熱融着性のポリエチレンフィルム ３（厚さ０.１ｍｍ）を挟んで固定する。

【００１７】 この３層の重合状態において、裏側の柄用フェルト４から 異なるフォークニードル７でパンチングする。このパンチングは、針深さ１０ｍ ｍ，針密度２０本／ｃｍ²であり、ベースフェルト２の立毛部においてジグザグ の帯状平面に行われるようにあらかじめ針配置する。

【００１８】 柄出しした立毛クッション材を、１９０℃で５０秒間加熱 し、ホットプレスによって圧力１ｋｇ／ｃｍ²で両フェルト２，４を一体化する と、図１に示すような立毛クッション材１を製造できる。得た立毛クッション材 １の厚みは６ｍｍである。立毛クッション材１には、図２に示すように灰色のベ ースパイル部５において、ジグザグの帯状に黒色の表面柄模様部８を形成し、弾 力性及び感触性について優れている。

【００１９】 実施例２ ベースフェルト２として、灰青色のポリエステル繊維のラップ２００ｇ／ｍ² を通常のロッキングニードルで全体をニードルパンチングし、厚さ約２ｍｍとす る。次に公知のフォークニードルを用い、ベースフェルト２を１８０本／ｃｍ² の密度でパンチングし、ループ状のパイルを立毛させてベースパイル部５を形成 する。

【００２０】 一方、柄用フェルト４として、紺色のポリエステル繊維４ ０％と灰色のポリエステル繊維６０％との混綿ラップ２００ｇ／ｍ²を用い、こ のラップを通常のロッキングニードルで全体をニードルパンチングして厚さ約２ ｍｍとする。柄用フェルト４の上側にベースフェルト２を載置し、両者の間に熱 融着性のポリプロピレン不織布３（厚さ０.２ｍｍ）を挟んで固定する。

【００２１】 この３層の重合状態において、裏側の柄用フェルト４から 異なるフォークニードル７でパンチングし、この際に格子状平面に行われるよう にあらかじめ針配置する。柄出しした立毛クッション材を、熱風貫通ヒートセッ タにおいて１９０℃で６０秒間処理する。得た立毛クッション材１の厚みは６ｍ ｍである。立毛クッション材１には、灰青色のベースパイル部５において、紺色 と灰色が混ざり合った格子状の表面柄模様部８を形成し、弾力性及び感触性につ いて優れている。

【００２２】 実施例３ ベースフェルト２として、６デニールで繊維長７６ｍｍの緑色ポリエステル繊 維のラップを用いる。このラップ２００ｇ／ｍ²をまず針密度６０本／ｃｍ²でニ ードルパンチングしてフェルト化する。次に、立毛加工において公知のフォーク ニードルを用い、針密度２５０本／ｃｍ²でパンチングし、ベロア状のパイルを 立毛させてベースパイル部５を形成する。

【００２３】 一方、柄用フェルト４として、黄色のポリエステル繊維の ラップ３００ｇ／ｍ²を用い、このラップを通常のロッキングニードルで全体を ニードルパンチングしてフェルト化する。柄用フェルト４の上側にベースフェル ト２を載置し、両者の間に熱融着性のポリプロピレン不織布３を挟んで固定する 。

【００２４】 この３層の重合状態において、裏側の柄用フェルト４から 公知のフォークニードルで１回目のパンチングを行う。このパンチングは、針深 さ１０ｍｍ，針密度２０本／ｃｍ²であり、ベースフェルト２のベースパイル部 ５において帯状平面に行われるように針配置する。次に異なるフォークニードル で２回目のパンチングを行う。このパンチングは、針深さ１０ｍｍ，針密度２０ 本／ｃｍ²であり、ベースフェルト２における残りの立毛部の一部について行わ れるように針配置する。

【００２５】 柄出しした立毛クッション材を、実施例２と同様に処理す ることにより、両フェルト２，４を一体化して立毛クッション材１を製造する。 得た立毛クッション材１の厚みは７ｍｍである。立毛クッション材１には、緑の ベースパイル部５において、２段階になった黄色の表面柄模様部８を形成し、こ れは弾力性に加えて美観的にも優れている。

【００２６】

【考案の効果】

本考案に係る立毛クッション材では、全体又は部分的に立毛加工したベースフ ェルトを用い、該ベースフェルトのパイル部に柄用フェルトの繊維を表側へ立毛 させ、該クッション材のベース部分及び柄模様部のいずれも同等にパイル高さに する。この立毛クッション材は、ベース部分と柄模様部との間に凹凸が生じない ので感触が良好であり、柄模様部の耐磨耗性が低下しやすい問題も解消する。

【００２７】 本考案の立毛クッション材は、一般にベースパイル部と柄 模様部とが異なる立毛構造と色彩を有し、全体を３種以上の立毛構造とすること も可能である。この立毛クッション材は、従来のタフテッドカーペットにおける マルチカットアンドループ（ＭＣＬ）やレベルカットアンドループ（ＬＣＬ）な どが容易に可能になり、タフテッドカーペットとほぼ同様の弾力性を有するうえ に個性的な柄模様と高級感を容易に付与できる。

【００２８】 本考案の立毛クッション材は、最後に熱融着性シートの融 点よりも高い温度で熱処理して全体を一体化することにより、全体の一体化が強 固であって使用中に剥がれることがない。この立毛クッション材は、表面にパイ ル状のベースフェルトを有することにより、従来のニードルフェルトや車両用ク ッション材などと比べて表面模様及び感触性が優れ、コスト的にほぼ同様に安価 に製造できる。

【００２９】 この立毛クッション材は、優れた表面模様と感触性などの 諸特性を有することにより、インテリア敷物，電気カーペット，電気カーペット 用カバーだけでなく、自動車用の足元マット，列車用のクッション材，贈答用果 物や高級食器のケース，衣裳ケースなどの内張り材としても適用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る立毛クッション材を例示する概
略断面図である。

【図２】 図１の立毛クッション材の部分平面図であ
る。

【図３】 立毛クッション材の構成部材を分解して示す
概略断面図である。

【図４】 立毛クッション材の柄出しのために、ベース
フェルトの立毛部におけるフォークニードルのパンチン
グ工程を例示する概略断面図である。

【図５】 本考案の変形例を示す図３と同様の概略断面
図である。

【符号の説明】

１ 立毛クッション材 ２ ベースフェルト ３ 熱融着性シート ４ 柄用フェルト ５ ベースパイル部 ８ 表面柄模様部

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成及び／又は天然繊維のラップをニー
   ドルパンチングしてから立毛加工するベースフェルト
   と、熱融着性シートと、合成及び／又は天然繊維のラッ
   プをニードルパンチングする柄用フェルトとを順次重合
   し、ベースフェルトの立毛部において、裏側からの部分
   的パンチングによって柄用フェルトの繊維を表側へ立毛
   させた後に、熱融着性シートの融点よりも高い温度で熱
   処理して全体を一体化している立毛クッション材。
2. 【請求項２】 合成及び／又は天然繊維のラップをニー
   ドルパンチングしてから部分的に立毛加工するベースフ
   ェルトと、熱融着性シートと、合成及び／又は天然繊維
   のラップをニードルパンチングする柄用フェルトとを順
   次重合し、ベースフェルトの非立毛部において、裏側か
   らの部分的パンチングによって柄用フェルトの繊維を表
   側へ立毛させた後に、熱融着性シートの融点よりも高い
   温度で熱処理して全体を一体化している立毛クッション
   材。
3. 【請求項３】 熱融着性シートとして熱融着性繊維の不
   織布を介在させる請求項１又は２記載のクッション材。
4. 【請求項４】 ベースフェルトの立毛加工には、フォー
   クニードル又はブラシヘッドプレートを取付けたニード
   ルパンチ機を用い、このパンチングによって１００〜８
   ００本／ｃｍ²の密度でパイルをループ状及び／又はカ
   ット状に立毛させる請求項１又は２記載のクッション
   材。
5. 【請求項５】 異なるフォークニードルで裏側からパン
   チングして柄出しすることにより、ベース部分と異なる
   立毛構造と色彩の柄模様部を形成する請求項１又は２記
   載のクッション材。
6. 【請求項６】 ベース部分をカットパイルで構成し、柄
   模様部をループパイルで構成する請求項１又は２記載の
   クッション材。