JP3000957B2 - 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体

Info

Publication number
JP3000957B2
JP3000957B2 JP9127262A JP12726297A JP3000957B2 JP 3000957 B2 JP3000957 B2 JP 3000957B2 JP 9127262 A JP9127262 A JP 9127262A JP 12726297 A JP12726297 A JP 12726297A JP 3000957 B2 JP3000957 B2 JP 3000957B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strain
analysis
stress
model
plastic deformation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9127262A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10320432A (ja
Inventor
正博 石橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP9127262A priority Critical patent/JP3000957B2/ja
Publication of JPH10320432A publication Critical patent/JPH10320432A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3000957B2 publication Critical patent/JP3000957B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ある構造物が熱や
荷重などの負荷により変形することによって発生する応
力や歪みを有限要素法解析を用いて効率的に求めるため
の塑性解析方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】有限要素法(FEM)は、熱や荷重など
の負荷により変形する構造物(解析対象物)を多数の小
さな領域(要素)に分割して、各要素についての力と変
位の関係を有限な値を持つ関数で区分的に解を近似し、
全体の変形や歪み分布,応力分布を数値計算によって求
める方法である。この有限要素法は形状,寸法,材料定
数や拘東条件.負荷条件などの入力パラメータを変更す
ることにより、様々な条件下における構造物の変形や応
力.歪みを求めることができるため、強度設計の分野な
どに広く用いられている(例えば特開平6−18027
1号公報や特開平8−339396号公報)。
【0003】また、熱や荷重などの負荷が増大するとと
もに次第に変形量が大きくなるいわゆる塑性変形を生じ
る場合についても種々の適用方法が提案され、塑性解析
と呼ばれている。なお、塑性変形は必ず弾性変形を伴う
ところから弾塑性解析とも呼ばれる。
【0004】一般に、塑性解析には材料の変形特性を示
す応力−歪み曲線が必要である。歪みεと応力σ、また
は変形と負荷Fが比例する弾性変形(線形)領域では、
応力と歪みの比である弾性率Eは一定であるが、塑性変
形領域では負荷の増大とともに弾性率が刻々と変化す
る。このため、応力−歪み曲線を何らかの方法で直線近
似してから線形解析を行う必要がある。線形解析とは1
回の数値計算の途中で材料定数を変更しない解析のこと
である。
【0005】従来の塑性解析では、負荷が0の状態から
求めたい負荷条件(最終負荷)までを幾つかに等分割し
て複数の負荷ステップを設定し、これら負荷ステップご
とに弾性率を算出して線形解析を繰り返す方法が広く行
われてきた。
【0006】図8は、負荷として荷重を与えた場合の、
従来の塑性解析方法の一例を説明するための図である。
【0007】この例では最終負荷までを6つの負荷ステ
ップに分けており、材料の応力−歪み曲線を基に、各負
荷ステップにおける応力と歪みの座標(σ1,ε1)、
(σ2,ε2)、…、(σf,εf)を材料定数として
事前に与えておく。
【0008】負荷ステップごとの弾性率E1、E2、
…、Efは、例えば次式のように算出される。 E1=σ1/ε1、 E2=(σ2−σ1)/(ε2−ε1)、…、 Ef=(σf−σ5)/(εf−ε5) 負荷ステップごとの弾性率E1、E2、…、Efが算出
されたら、まず、第1負荷ステップにおける弾性率E1
を用いて線形解折を行い、応力や歪みの増分を算出す
る。次に、第2負荷ステップにおける弾性率E2の条件
で線形解析を行い、得られた応力や歪みの増分はそれま
での応力と歪みの値に加算する。線形解析は、有限要素
法による汎用解析ソフトウェアを利用して行う。
【0009】負荷が大きい場合、構造物の位置(要素)
によっては歪みが塑性変形領域に達している場合もあ
り、その要素は弾性変形領域である要素に比べて弾性率
が小さい。このため、弾性率Eは上式のような方法で各
要素ごとに算出する。
【0010】このようにして、負荷ステップが最終負荷
に達するまで同様の操作を繰り返して、最終的に塑性変
形後の応力や歪みが得られる。
【0011】この手順を、図9のフローチャートを参照
して詳しく説明する。図9は従来の塑性解析方法の手順
を示すフローチャートである。
【0012】まず、熱や荷重などの負荷により変形する
ことによって発生する応力や歪みを求めるための解折用
モデルを作成する。この作業は、解析対象とする構造物
の形状、寸法、材料定数などに基づいて利用者自身が行
う。通常は、繰り返し計算による負担を軽減するため、
平面応力要素や平面歪み要素、シェル要素等による二次
元モデルを作成する。
【0013】次に、材料の応力−歪み曲線を基に、応力
と歪みのデータ(σ,ε)を材料定数として入力する
(S51)。この入力作業も利用者自身が行う。
【0014】次に、作成した解析用モデルに対し、荷重
や温度などの負荷条件の一部を第1負荷ステップとして
与えて(S52)、すべての要素について弾性率Eを算
出する(S53)。要素によっては塑性変形領域にあ
り、弾性率が小さくなる場合もある。
【0015】以上の条件で線形解析を行い(S54)、
各要素について応力や歪みの増分を算出する。(S5
5)。第1負荷ステップでは、これらの値を格納し、第
2負荷ステツプ以降では、得られた応力や歪みの増分は
それまで格納された各要素の応力と歪みの値に加算して
格納する(S56)。この線形解析は、有限要素法によ
る汎用解析ソフトウェアを利用者自身が直接操作するこ
とで実施する。
【0016】次に、負荷条件が最終負荷に達しているか
どうか判断し(S57)、達していなければ、負荷ステ
ップを増加して(S58)次の負荷ステップでの負荷条
件を与え、各要素の弾性率を算出して線形解析を行う。
得られた応力や歪みの増分は、それまで格納された各要
素の応力と歪みの値に加算する。
【0017】以下、同様にして負荷ステップが最終負荷
に達するまでこの操作を繰り返し、負荷ステップが最終
負荷に達した時点で、その時の各要素ごとの応力や歪み
を求める(S59)。
【0018】また、解析結果をグラフ化する場合には、
利用者自身が解析結果を集計し、別途のグラフ作成ツー
ルを使用してグラフを作成する。
【0019】このように従来は、負荷を少しずつ与えて
各要素の弾性率を算出して、繰り返し解析する方法が採
られてきた。
【0020】また、従来の塑性解析方法としては、上述
した方法の他に、応力−歪み曲線を二つの直線で近似す
る方法もある。例えば、塑性材料特有の加工硬化などを
無視して、ある歪み以上の変形では応力が増加しないと
する弾完全塑性近似法や、特開昭58−162838号
公報に開示されたように、加工硬化やバウシンガ効果を
考慮して二直線近似する方法がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の塑性解析方法では、下記のような問題点
があった。
【0022】負荷を少しずつ増加させて繰り返し計算を
行う方法は、結果が得られるまでに長い時間を要する。
また繰り返し計算が増えることによって、解析途中に発
生するファイルが膨大なものとなる。さらに負荷ステッ
プの設定は、ステップが粗いと解析精度が極端に低下
し、細かいと最終結果が得られるまでに多大な時間を要
するなど、解析の準備が煩雑で時間と熟練が必要であ
る。例えば、図8の応力−歪み曲線の場合、最終負荷ま
で6ステップの線形解析で近似しているが、塑性変形領
域に関する負荷ステップは最後の2つであり、これで
は、繰り返し解折を行つた割には解析精度が低い。
【0023】また二直線近似する方法でも、連立3元1
次方程式や連立6元1次方程式を解くことになり計算が
煩雑である。特に、塑性変形は解析対象構造物の一部の
領域にしか生じないにもかかわらず、塑性変形しない領
域の要素まで合めてすべての要素について弾性率を計算
するため、計算量が膨大となり、その分時間がかかるこ
とになる。例えば図8に示した場合では、E1=E2=
E3=E4であり、4回の負荷ステップの繰り返し解析
を行うまでもなくすべての要素について弾性率は、弾性
変形領域の弾性率E1である。このように、計算の結
果、多くの要素では弾性変形領域の弾性率で済むなど、
結果的に無駄な計算が多い。
【0024】また、現実は三次元である拘束条件や荷重
条件を二次元モデルでは正確に表現することができない
が、計算量を軽減するために二次元モデルを使わざるを
得ない。さらに、有限要素法による汎用解析ソフトウェ
アを利用者が直接操作する必要があるため、使用するソ
フトウェア固有のコマンドなど解析には専門知識が必要
である。
【0025】一方、塑性解析に欠かせない応力、歪みの
相関関係のデータは、利用者が応力―歪み曲線から読み
取った上で入力したり、あるいは、材料の変形位置に歪
ゲージを張り付ける等して変形量を直接測定する必要が
あるため、解析の準備に手間がかかる。
【0026】また、解析用モデルの作成に関する支援機
能が無いため、解析用モデルの作成に多くの時間と労力
がかかる。特に半導体パッケージのリードフレームにつ
いて塑性解析を行う際、リードの本数を変えた幾つかの
三次元解析モデルを作成する等の場合には多大な時間と
労力がかかる。
【0027】さらに、解析結果のグラフ化に関する支援
機能が無いため、解析結果を集計し必要なグラフを作成
する手間が必要である。
【0028】そこで本発明は、繰り返し計算や煩雑な計
算をすることなく、短時間で解析処理を実行できる塑性
解析方法およびシステム、さらには有限要素法を用いた
塑性解析プログラムを記録した記録媒体を提供すること
を主な目的とする。また本発明は、有限要素法による解
析の準備に要する手間を軽減することを第2の目的と
し、さらに、解析結果のグラフ化の手間を軽減すること
を第3の目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の塑性解析方法は、構造物を複数の要素に分割し
たモデルを作成し、該モデルに対して有限要素法を用い
て前記構造物に負荷が作用することにより発生する応力
や歪みを求める塑性解析方法であって、解析対象となる
構造物の材料の破断試験結果である応力−歪み曲線か
ら、塑性変形が始まる応力および歪みを求めるステップ
と、求めたい最終負荷の条件で前記モデルに対して有限
要素法を用いて線形解析を行い、最大歪み、該最大歪み
となる要素および最大応力を求めるとともに、前記モデ
ルの各要素を、塑性変形が始まる歪みを超える第1の要
素群と残りの第2の要素群とに分け、さらに、前記最大
歪みとなる要素の歪みが前記塑性変形が始まる歪みにな
るときの弾性限負荷を求めるステップと、前記塑性変形
が始まる応力および歪みから弾性変形領域での弾性率で
ある第1の弾性率を求め、前記最大応力および最大歪み
と前記塑性変形が始まる応力および歪みから塑性変形領
域を直線で近似した第2の弾性率を求めるステップと、
前記弾性変形領域について、前記弾性限負荷および前記
第1の弾性率を条件として有限要素法を用いて線形解析
するステップと、前記塑性変形領域について、負荷条件
を前記最終負荷と前記弾性限負荷との差とし、かつ、弾
性率条件を、前記第1の要素群については前記第2の弾
性率、前記第2の要素群については前記第1の弾性率と
して、有限要素法を用いて線形解析するステップと、前
記モデルの全ての要素について、前記弾性変形領域の線
形解析結果と前記塑性変形領域の線形解析結果とを足し
合わせるステップとを有する。
【0030】また、前記応力−歪み曲線を画像データと
して読み込み、該画像データから前記塑性変形が始まる
応力および歪みを求めるものや、有限要素法を用いて解
析する際の代表的な複数種類のモデルを格納したモデル
ファイルと、代表的な複数種類の材料についての材料定
数および材料強度を含む材料データを格納した材料ファ
イルとを予め用意しておき、前記モデルファイルおよび
材料ファイルの中から前記構造物に対応するモデルおよ
び材料データを選択し、選択されたモデルおよび材料デ
ータにより有限要素法解析のための解析用モデルを生成
するものであってもよい。
【0031】本発明の塑性解析システムは、構造物を複
数の要素に分割したモデルを作成し、該モデルに対して
有限要素法を用いて前記構造物に負荷が作用することに
より発生する応力や歪みを求める塑性解析システムであ
って、解析対象となる構造物の材料の破断試験結果であ
る応力−歪み曲線を画像データとして読み込む画像読み
込み手段と、前記モデルに対し与えられた条件に従って
有限要素法を用いて線形解析を行う有限要素法解析手段
と、前記画像読み込み手段で読み込んだ画像データに基
づき、塑性変形が始まる応力および歪みを求め、前記モ
デルの各要素を、前記塑性変形が始まる歪みを超える第
1の要素群と残りの第2の要素群とに分けるとともに、
求めたい最終負荷の条件を前記有限要素法解析手段に与
えて前記線形解析を行わせて最大歪みおよび該最大歪み
となる要素を求めさせ、得られた最大歪みが生じるとき
の最大応力を求め、さらに、前記最大歪みとなる要素の
歪みが前記塑性変形が始まる歪みになるときの弾性限負
荷を求めるとともに、前記塑性変形が始まる応力および
歪みから弾性変形領域での弾性率である第1の弾性率を
求め、前記最大応力および最大歪みと前記塑性変形が始
まる応力および歪みから塑性変形領域を直線で近似した
第2の弾性率を求める画像処理手段とを有し、前記有限
要素法解析手段は、前記弾性変形領域について、前記弾
性限負荷および前記第1の弾性率を条件として前記線形
解析を行い、前記塑性変形領域について、負荷条件を前
記最終負荷と前記弾性限負荷との差とし、かつ、弾性率
条件を、前記第1の要素群については前記第2の弾性
率、前記第2の要素群については前記第1の弾性率とし
て前記線形解析を行い、前記モデルの全ての要素につい
て、前記弾性変形領域の線形解析結果と前記塑性変形領
域の線形解析結果とを足し合わせる機能を有する。
【0032】また、有限要素法を用いて解析する際の複
数種類のモデルを格納したモデルファイルと、複数種類
の材料についての材料定数および材料強度を含む材料デ
ータを格納した材料ファイルと、前記モデルファイルお
よび材料ファイルの中から選択された、前記構造物に対
応するモデルおよび材料データに従って、有限要素法解
析のための解析用モデルを生成するモデル生成手段とを
さらに有するものであってもよく、この場合には、さら
に、複数種類のグラフについての作成条件を格納したグ
ラフ作成条件ファイルと、前記グラフ作成条件ファイル
から選択された作成条件に従って、前記有限要素法解析
手段での解析結果をグラフ化して表示装置に表示させる
グラフ作成手段を有するものであってもよい。
【0033】本発明の塑性解析プログラムを記録した記
録媒体は、コンピュータによって、構造物を複数の要素
に分割したモデルを作成し、該モデルに対して有限要素
法を用いて前記構造物に負荷が作用することにより発生
する応力や歪みを求める塑性解析プログラムを記録した
記録媒体であって、該塑性解析プログラムはコンピュー
タに、解析対象となる構造物の材料の破断試験結果であ
る応力−歪み曲線から、塑性変形が始まる応力および歪
みを求める手順と、求めたい最終負荷の条件で前記モデ
ルに対して有限要素法を用いて線形解析を行い、最大歪
み、該最大歪みとなる要素および最大応力を求めるとと
もに、前記モデルの各要素を、塑性変形が始まる歪みを
超える第1の要素群と残りの第2の要素群とに分け、さ
らに、前記最大歪みとなる要素の歪みが前記塑性変形が
始まる歪みになるときの弾性限負荷を求める手順と、前
記塑性変形が始まる応力および歪みから弾性変形領域で
の弾性率である第1の弾性率を求め、前記最大応力およ
び最大歪みと前記塑性変形が始まる応力および歪みから
塑性変形領域を直線で近似した第2の弾性率を求める手
順と、前記弾性変形領域について、前記弾性限負荷およ
び前記第1の弾性率を条件として有限要素法を用いて線
形解析する手順と、前記塑性変形領域について、負荷条
件を前記最終負荷と前記弾性限負荷との差とし、かつ、
弾性率条件を、前記第1の要素群については前記第2の
弾性率、前記第2の要素群については前記第1の弾性率
として、有限要素法を用いて線形解析する手順と、前記
モデルの全ての要素について、前記弾性変形領域の線形
解析結果と前記塑性変形領域の線形解析結果とを足し合
わせる手順とを実行させるものである。
【0034】上記のとおり構成された本発明では、繰り
返し計算を行うことなく3回以下の線形解析を行うだけ
で、塑性変形による応力、歪み、変形等を求めることが
可能である。また、応力−歪み曲線を画像データとして
読み込むことで、この画像データから、塑性形跡に必要
な応力と歪みとの相関関係を簡単に入手することが可能
となる。
【0035】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の例に
ついて図面を参照して詳細に説明する。
【0036】図1は本発明の有限要素法を用いた塑性解
析システムの一実施形態のブロック図である。
【0037】この塑性解析システムは、データ処理装置
1と、これに接続された三次元モデルファイル2、グラ
フ作成条件ファイル3、材料ファイル4、入力装置5、
イメージスキャナ6および表示装置7とで構成されてい
る。
【0038】データ処理装置1は、画像処理手段10
と、選択手段11と、解析用三次元モデル生成手段12
と、有限要素法解析手段13と、グラフ作成手段14と
を有している。データ処理装置1は、例えばワークステ
ーションで構成される。また、画像処理手段10、選択
手段11、解析用モデル生成手段12、有限要素法解析
手段13およびグラフ作成手段14は、データ処理装置
1に予め組込まれていてもよいし、データ処理装置1に
インストールされたソフトウエアで実現してもよい。
【0039】入力装置5は、利用者によるデータ入力の
ためのキーボード5aおよびマウス5bを有する。
【0040】三次元モデルファイル2には、幾種類かの
代表的な構造物の形状について、それを有限要素法を用
いて塑性解析する際の三次元モデル2a〜2pが格納さ
れている。また、材料ファイル4には、構造物の代表的
な材料名と熱膨張係数などの材料定数と材料強度およ
び、画像処理手段10から転送された(応力,歪み)の
相関データを含む幾種類かの材料データ4a〜4rが格
納されている。さらに、グラフ作成条件ファイル3に
は、よく使う幾種類かの代表的なグラフについて、縦−
横軸の取り方などのグラフ作成条件が、グラフ作成条件
3a〜3qとして格納されている。
【0041】図2は、図に示した塑性解析システムにお
けるデータ処理装置1の処理例を示すフローチャートで
ある。以下、図1および図2を参照して、本実施形態の
動作を説明する。
【0042】利用者は、ある構造物に関して塑性解析す
る場合、入力装置5による入力動作でデータ処理装置1
を起動する。
【0043】データ処理装置が起動されると、まず、選
択手段11は、表示装置7の画面に、三次元モデル2a
〜2pおよびグラフ作成条件3a〜3qの一覧を表示さ
せ、利用者に対して各々適切なものを選択するよう促す
(S1)。利用者が画面上の三次元モデル一覧から三次
元モデルを選択すると、選択手段11はこの選択された
三次元モデルを三次元モデルファイル2から入力して解
析用モデル生成手段12に伝達する。また、利用者が画
面上のグラフ作成条件の一覧からグラフ作成条件を選択
すると、選択手段11はこの選択されたグラフ作成条件
をグラフ作成条件ファイル3から入力してグラフ作成手
段14に伝達する。
【0044】次に、解析用モデル生成手段12は、選択
手段11から伝達された三次元モデルを表示装置7に表
示して、その三次元モデル中の構成部品の寸法を書き換
えるように利用者に要求する(S2)。利用者は、入力
装置5からの入力によって、表示装置7に表示された三
次元モデル中の構造部品の寸法を、これから解析しよう
とする構造物に合致するように修正する。
【0045】また、解析用モデル生成手段12は、材料
データの一覧を表示装置7に表示して選択を促す(S
3)。利用者が画面上の材料データの一覧から該当する
材料データを選択すると、解析用モデル生成手段12は
この選択された材料データを材科ファイル4から入力
し、当該材料データ中の材料定数を前記選択した三次元
モデル中の材料定数として設定する。さらに、この選択
した材料データ中に含まれる材料強度をグラフ作成手段
14に伝達する。
【0046】次に、解析用モデル生成手段12は、拘束
条件を設定するように利用者に促し、入力された拘束条
件を三次元モデルに設定する(S4)。これによって、
解析用モデルの生成が完了し、この解析用モデルを有限
要素法解析手段13に伝達する。
【0047】以上で、有限要素法解析のための諸条件の
設定が完了する。次いで、利用者は、材料破断試験結果
である応力―歪み曲線と座標軸をイメージスキャナ6で
読み込ませる。
【0048】すると、画像処理手段10は、イメージス
キャナ6で得られた応力−歪み曲線の画像を(応力,歪
み)座標に換算して材料データとして記憶するととも
に、これらの材料データを材料ファイル4に転送する
(S5)。また、イメージスキャナ6で得られた画像か
ら、塑性変形が始まる時点での歪みεAとこの時の応力
σAを座標から検出し、記憶する(S6)。
【0049】一方、有限要素法解析手段13では、求め
ようとする最大負荷Ffを与えたときの線形解析を行い
(S12)、そのときの各位置(要素)の歪みが画像処
理手段10に送られる。また、この線形解析により、最
大歪みεfが算出される(S13)。
【0050】画像処理手段10は、有限要素法解析手段
13で算出された最大歪みεfおよびその位置(要素)
を記憶し、先に記憶している(応力,歪み)データから
最大歪みεfに対応する応力σfを検出する(S7)とと
もに、最大歪みεfが生じる位置での歪みがεAになると
きの負荷である弾性限負荷FA=Ff×εA/εfを算出す
る(S8)。弾性限負荷FAは、解析対象である構造物
がどの位置においても塑性変形しない負荷を意味する。
さらに、各要素を、最大負荷Ffを与えたときに歪みが
εAを超えた要素群Aと残りの要素群Bとに選別する
(S9)。
【0051】そして、以上のデータから、弾性変形領域
の弾性率EA=σA/εAと、塑性変形領城を直線で近似
したときの弾性率EB=(σf−σA)/(εf−εA)を
算出し(S10、S11)、解析条件として有限要素法
解析手段13に伝達する。なお、S8からS11までの
ステップは、どのような順番で行っても構わない。
【0052】有限要素法解析手段13は、先に生成され
た解析用モデルと有限要素法プログラム(例えば、Sw
anson Analysis Inc.製のANSY
S(登録商標))とを用いて、以下のように塑性解析を
行う。
【0053】まず、先に述べたように、入力装置5を通
じて利用者から入力された、最終的な負荷条件(温度や
荷重などの最終値)Ffにおいて有限要素法プログラム
を起動して、有限要素法による線形解折を行い(S1
2)、最大歪みεfおよびその位置(要素)を求めて
(S13)画像処理手段10に伝達する。
【0054】そして、画像処理手段10から、弾性変形
領域の弾性率EA=σA/εAと、塑性変形領域の弾性率
EB=(σf−σA)/(εf−εA)を受け取る。まず、
すべての要素について弾性率EA、弾性限負荷FAの条件
で弾性変形領域について線形解折し(S14)、各要素
の応力σAjおよび歪みεAjを記憶する。ここで、要素数
をnとしたとき、j=1、2、…、nである。同様に、
塑性変形領域について、要素群Aは弾性率EB、要素群
Bは弾性率EAとし、負荷(Ff−FA)の条件で線形解
析し(S15)、各要素の応力σBjおよび歪みεBjを記
憶する。この塑性変形領域についての線形解析で、要素
群Aと要素群Bとで解析条件を変えるのは、要素群Aは
最終負荷まで塑性変形する領域が広がっていくのに対
し、要素群Bは最終負荷まで弾性変形のみであるからで
ある。
【0055】最後に、すべての要素について、弾性変形
領域の解析結果と塑性変形領城の解析結果とを足し合わ
せて(S16)、熱や荷重などの最終負荷によって発生
する応力σや歪みεを、σ=σAj+σBj、ε=εAj+ε
Bjとして求める。
【0056】この解析結果はグラフ作成手段14に伝達
される。グラフ作成手段14は、この伝達された解析結
果を、選択手段11から伝達されたグラフ作成条件によ
って定まる形式でグラフ化し、表示装置7の画面に表示
する(S17)。また、解析用モデル生成手段12から
伝達された材料強度のデータを表示装置7の画面に併せ
て表示する。
【0057】一般に、塑性解折は大きく分けると、解析
用モデルの作成,有限要素法解析,結果表示の3段階に
分けられる。
【0058】このうち解析用モデルの作成は、本実施形
態によれば、幾つかの代表的な三次元モデル形状および
材料定数などが登録されたファイルを有しているため
に、三次元モデルを選択し、構成部品の寸法を書き換
え、材料を特定し、特に半導体パッケージのリードフレ
ームの塑性解析の場合にはリードの本数を指定し、拘束
条件を与えることにより、解析用三次元モデルを簡単に
作成することができる。材料の特定も、材料ファイル4
に格納された何れかの材料データ4a〜4rを指定する
だけで行える。従って、従来と比較して解析用モデルの
作成に必要な作業時間を大幅に短縮することができる。
塑性解折に欠かせない応力、歪みの相関関係のデータ
も、イメージスキャナ6と画像処理手段10によって読
み込んで処理するため、塑性変形が始まる歪みなど塑性
解析に必要なデータをすべて、手軽に算出できる。
【0059】また、解析用モデルと有限要素法プログラ
ムとを使用した塑性解析は、有限要素法解析手段13に
よって自動的に進められるため、有限要素法プログラム
固有のコマンドなどの専門知識に乏しい利用者でも塑性
解析を行うことができる。従つて、従来のように解析用
のコマンドなど専門知識を要さず、また繰り返し計算を
行うことなく3回以下の線形解析で結果を出せるために
単時間で結果を得ることができる。
【0060】さらに、解析結果である応力、変形を出力
するグラフについても、グラフ作成条件ファイル3中か
ら所望のグラフ作成条件を選択しておくことにより、利
用者が解析結果を集計し必要なグラフを自ら作成するこ
となく、自動的に解析結果のグラフが表示装置7から出
力されるため、解析を行うのと同じシステム上でグラフ
表示が行え、かつ、初心者でもグラフを容易に作成する
ことができる。さらに、有限要素法による解析結果の応
力値を表すグラフに構成部品の材料強度の値が併せて表
示されるため、塑性変形によって生じた応力が材料の強
度を超えているかどうかを容易に確認することができ
る。
【0061】次に、上述した塑性解析方法を用いた具体
的な解析例について説明する。
【0062】(解析例1)本例は負荷として荷重を与え
た場合であり、図3に示すような両端支持ばりの曲げ試
験において発生するはり31のたわみ量を求めた。はり
31は、5×10 -3の歪みで塑性変形が始まる合金材料
で構成され、、はり31に加える最大荷重は100kg
fとした。なお、図3(a)は、この塑性解折に使用し
た解析用モデルの初期状態を示し、図3(b)は、最大
荷重を与えたときの状態を示す。
【0063】図1に示した塑性解析システムでは、ま
ず、画像処理手段10によって、有限要素法解析手段1
3に必要なデータがそろえられる。
【0064】図4は、本例で用いた合金材料の応力−歪
み曲線であり、イメージスキャナ6によって読み込ま
れ、画像処理手段10により(応力,歪み)の座標とし
て記憶される。また、画像処理手段10により、塑性変
形が始まる歪みεA=2.5×10-3および応力σA=1
0kgf/mm2が検出されている。これにより、弾性
変形領域の弾性率EA=σA/εA=4000kgf/m
2が算出され、有限要素法解析手段13に送られる。
【0065】有限要素法解析手段13はこのEAの値を
受け取り、はじめに最大負荷Ffとして100kgfを
与えて有限要素法による線形解析を行う。この解析では
塑性変形による弾性率の変化を考慮していないため、応
力が歪みに比例して大きくなる。解析の結果、この時の
最大歪みはεf=5×10-3であり、また、最大歪みが
生じる位置は、荷重を加えた部分と反対側の荷重直下の
要素であった。図3(b)は、このときの解析用モデル
の状態の概略を示している。これら、最大歪みが生じる
位置の近くの要素では、歪みがεAよりも大きくなり、
実際には塑性変形が生じることを意味している。
【0066】各要素の歪みは画像処理手段10に送ら
れ、有限要素法解析手段13に必要なデータが算出され
る。
【0067】まず、画像処理手段10では、先に記憶さ
れた(応力,歪み)データを用いて、最大歪みεfに対
応する応力σf=14kgf/mm2が検出される。次
に、先の線形解析の結果、各要素が、歪みがεAよりも
大きい要素である要素群Aと、最終負荷までに塑性変形
を生じない残りの要素である要素群Bとに選別される。
さらに、最大歪みがちょうどεAになるときの負荷FA
を、次式を用いて算出する。
【0068】FA=Ff×εA/εf=50kgf FAは、はり31がどの位置においても塑性変形しない
荷重を意味する。
【0069】最後に、これらの値を基に、塑性変形領域
の弾性率EBが次式によって算出される。
【0070】EB=(σf−σA)/(εf−εA)=16
00kgf/mm2 これらの値が有限要素法解析手段13に転送される。
【0071】有限要素法解析手段13はFAおよびEBの
値を受け取り、まず、すべての要素について弾性率EA
=4000kgf/mm2、負荷FA=50kgfの条件
で、弾性変形領域について有限要素法による線形解析を
行う。そして、結果として得られた各要素の応力σAj、
歪みεAjおよび最大歪み位置のたわみ量δAを記憶す
る。次に、塑性変形領域について、負荷Ff−FA=50
kgf、要素群Aは弾性率EB=1600kgf/m
2、要素群Bは弾性率EB=4000kgf/mm2
条件で線形解析し、各要素の応力σBj、歪みεBjよび最
大歪み位置のたわみ量δBを記憶する。
【0072】最後に、それぞれの要素について、弾性変
形領域の解析結果と塑性変形領域の解析結果とを次式の
ように足し合わせる。
【0073】 σ=σAj+σBj ε=εAj+εBj δ=δA+δB こうして得られたたわみ量はδ=12mmであった。塑
性変形が生じない場合のたわみ量は8mmであり、塑性
変形が生じた分、たわみ量が大きくなっていることが分
かる。
【0074】このように、本発明の塑性解析システムに
よれば、熱や荷重などの最終負荷によって塑性変形して
生じた構造物の各位置の応力や歪み等を、通常、3回の
線形解折だけで得ることができる。
【0075】(解析例2)本例は負荷として熱を与えた
場合であり、はんだ系合金を用いて、半導体チップとガ
ラス/エポキシ基板(以下、単に基板という)を320
℃の温度で接続した後、室温(20℃)に冷却したとき
に生じるはんだ合金の変形量を求めた。
【0076】図5は、この塑性解析に使用した解析用モ
デルの概略を示す図であり、同図(a)はその初期状態
(320℃)、同図(b)はその最大負荷状態(20
℃)をそれぞれ示している。
【0077】図5(a)に示すように、初期状態では半
導体チップ33も基板32も反りは生じておらず、結果
的にはんだ合金34も変形していない。この状態から室
温まで冷却すると、図5(b)に示すように、基板32
は半導体チップ33側に反る。これは、半導体チッブ3
3の熱膨張係数に比ベて、基板32のそれの方が大きい
ためである。変形しやすいはんだ合金34は、この間に
挟まれて変形する。
【0078】図6は、本例で用いたはんだ合金34の応
力一歪み曲線であり、イメージスキャナ6で読み込ま
れ、画像処理手段10により、(応力,歪み)の座標と
して記憶される。また、画像処理手段10により、塑性
変形が始まる歪みεA=14×10-3および応力σA=2
1kgf/mm2が検出される。これにより、弾性変形
領域の弾性率EA=σA/εA=1500kgf/mm2
算出され、有限要素法解析手段13に送られる。
【0079】有限要素法解析手段13では、はんだ合金
34の弾性率にこのEAの値を用いて、最大負荷Ffとし
て初期状態と室温との温度差△T=320−20℃=3
00℃を与えて、有限要素法による線形解析を行った。
解析の結果、はんだ合金34に生じた最大歪みはεf=
10×10-3であり、塑性変形を開始する歪みεAより
も小さかった。これは、320℃から20℃まで冷却し
てもはんだ合金34が塑性変形しないことを意味してい
るが、システムでは解析例1と同様に各要素の歪みは画
像処理手段10に送られる。
【0080】画像処理手段10では、先に記憶された
(応力,歪み)データを用いて、最大歪みεfに対応す
る応力σf=21kgf/mm2が検出される。次に、先
の線形解析から、歪みがεAよりも大きい要素はなく、
要素群Aは空の状態となる。すべての要素は最終負荷ま
でに塑性変形を生じない要素群Bと認識される。さら
に、最大歪みがちょうどεAになるときの負荷がFA=F
f×εA/εf=300℃×14×10-3/10×10-3
=420℃と算出される。
【0081】最後に、これらの値から、塑性変形領域の
弾性率はEB=(σf−σA)/(εf−εA)=1500
kgf/mm2と算出される。はんだ合金が塑性変形し
ないため、この値は弾性変形領城の弾性率EAと同じ値
である。これらの値が有限要素法解析手段13に転送さ
れる。
【0082】有限要素法解析手段13はこれらの値を受
け取り、すべての要素について弾性率EA=15000
kgf/mm2、FA(すなわち温度差)=420℃の条
件で、弾性変形領域について有限要素法による線形解折
を行う。結果として得られた各要素の応力σAj、歪みε
Ajおよび変形量δAを記憶する。次に、塑性変形領域に
ついて、負荷Ff−FA=300−420℃=−120
℃、要素群Aは弾性率EB=1500kgf/mm2、要
素群Bも弾性率EA=15000kgf/mm2の条件で
塑性変形領域について線形解折し、各要素の応カσBj、
歪みεBjおよび変形量δBを記憶する。
【0083】最後に、それぞれの要素について、弾性変
形領域の解析結果と塑性変形領域の解折結果とを次式の
ように足し合わせる。
【0084】 σ=σAj+σBj ε=εAj+εBj δ=δA+δB ここで、負荷条件が負の値であるため、塑性変形領域の
解析結果は負の値となっている。
【0085】こうして得られたはんだ合金の変形量はδ
=5mmであった。これは、弾性解析を行った結果と同
じであることが確認された。
【0086】このように、本発明の塑性解析システムで
は、弾性変形しかしない場合にも同様な方法で解を得る
ことができる。
【0087】なお、解析時間をさらに短縮するために
は、S13で得た最大歪みεfをS6で検出された塑性
変形開始歪みεAと比較し、εf<εAの場合は塑性変形
が生じないと判断し、塑性変形領域の解析を行わずに1
回の線形解析だけで解を求めることも考えられる。
【0088】さらに、弾性変形領域の線形解析(S1
4)は行わずに、最大負荷の線形解析(S12)の結果
から比例計算で解を求める方法を採ってもよい。
【0089】本塑性解析システムでは三次元モデルを用
いた解析を行っているが、さらに計算速度を向上させる
ために、二次元モデルを用いたシステムとすることもも
ちろん可能である。
【0090】以上本発明の実施形態について説明した
が、本発明は以上の実施形態にのみ限定されずその他各
種の付加変更が可能である。例えば、塑性解析に対し経
験のない初心者が使用することを想定し、作業の順番を
知らせるガイドを、解析用モデルの作成、有限要素法解
析等の各段階で表示させたり、また作業の順番を示すフ
ローチャート上に、現在の作業状態を点滅で示す画面を
表示させる構成としてもよい。
【0091】また、本発明は、上述した手順をコンピュ
ータに実行させるための塑性解析プログラムを記録した
記録媒体の形態とすることもできる。
【0092】この場合は、図7に示すように、例えばワ
ークステーションやパーソナルコンピュータといったデ
ータ処理装置21に、記録媒体22に記録された塑性解
析プログラムを読み込ませ、この塑性解析プログラムに
従ってデータ処理装置21の動作を制御する。この記録
媒体22は、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録
媒体であってよい。なお、三次元モデルファイル2、グ
ラフ作成条件ファイル3、材料ファイル5、入力装置
5、イメージスキャナ6および表示装置7については、
それぞれ図1に示したものと同様であるので図1と同じ
符号を付し、ここではそれらの説明は省略する。データ
処理装置21は、記録媒体22から読み込まれた塑性解
析プログラムの制御により、図2を参照して説明したS
1〜S17までの処理を実行する。
【0093】また、本発明では、繰り返し計算に伴う複
雑な計算は行わず線形解析のみを行うため、初歩的なも
のを含めて、解析ソルバを有する様々な汎用解析ソフト
ウェアと組み合わせて使用することができ、さらに、同
じ処理装置(マシン)やパーソナルコンピュータまたは
コンピュータネットワークでつながった別のマシン上に
インストールされている汎用解析ソフトウェアと組み合
わせて、その有限要素法解析機能を活用することもでき
る。さらに、本発明は、塑性解析ばかりでなく、熱伝
導、振動、流体解析など有限要素法解析ソフトウェアの
プリ・ポストプロセッサとして、モデル作成の効率化お
よび複雑なグラフ作成を行う際にも有効である。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば以下
のような効果を得ることができる。
【0095】繰り返し計算を行うことなく3回以下の線
形解析だけで塑性変形による応力、歪み、変形等を求め
ることができるため、解析時間を大幅に短縮することが
できる。また、計算回数が減少するので、解析途中に発
生するファイルの容量も低減することができる。
【0096】また、応力−歪み曲線を画像データとして
読み込むことで、この画像データから、塑性形跡に必要
な応力と歪みとの相関関係を簡単に入手することがで
き、塑性解析に必要な弾性率等もこの画像データを用い
て自動的に算出することができる。さらに、モデルファ
イルおよび材料ファイルから適切なモデルおよび材料デ
ータを選択できるようにすることで、解析用のモデルを
簡単に作成することができる。これらの機能を全て備え
ることにより、専門的な知識に乏しい利用者であっても
簡単に塑性解析が行えるようになり、汎用解析ソフトウ
ェアに熟練した設計技術者を育成する必要がなくなり、
人的コストの低減が可能となる。
【0097】さらに、グラフ化に関する支援機能である
グラフ作成手段を備えることにより、解析結果のグラフ
化を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有限要素法を用いた塑性解析システム
の一実施形態のブロック図である。
【図2】図1に示したデータ処理装置の処理例を示すフ
ローチャートである。
【図3】本発明の塑性解析方法を用いた解析例1を説明
するための解析用モデルの概略図である。
【図4】解析例1で用いた合金材料の応力−歪み曲線で
ある。
【図5】本発明の塑性解析方法の解析例2を説明するた
めの解析用モデルの概略図である。
【図6】解析例2で用いたはんだ合金の応力−歪み曲線
である。
【図7】本発明の他の実施形態のブロック図である。
【図8】従来の塑性解析方法を説明するための、応力−
歪み曲線である。
【図9】従来の塑性解析方法の手順を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1,21 データ処理装置 2 三次元モデルファイル 3 グラフ作成ファイル 4 材料ファイル 5 入力装置 6 イメージスキャナ 7 表示装置 11 選択手段 12 解析用モデル作成手段 13 有限要素法解析手段 14 画像処理手段 31 はり 32 基板 33 半導体チップ 34 はんだ合金

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物を複数の要素に分割したモデルを
    作成し、該モデルに対して有限要素法を用いて前記構造
    物に負荷が作用することにより発生する応力や歪みを求
    める塑性解析方法であって、 解析対象となる構造物の材料の破断試験結果である応力
    −歪み曲線から、塑性変形が始まる応力および歪みを求
    めるステップと、 求めたい最終負荷の条件で前記モデルに対して有限要素
    法を用いて線形解析を行い、最大歪み、該最大歪みとな
    る要素および最大応力を求めるとともに、前記モデルの
    各要素を、塑性変形が始まる歪みを超える第1の要素群
    と残りの第2の要素群とに分け、さらに、前記最大歪み
    となる要素の歪みが前記塑性変形が始まる歪みになると
    きの弾性限負荷を求めるステップと、 前記塑性変形が始まる応力および歪みから弾性変形領域
    での弾性率である第1の弾性率を求め、前記最大応力お
    よび最大歪みと前記塑性変形が始まる応力および歪みか
    ら塑性変形領域を直線で近似した第2の弾性率を求める
    ステップと、 前記弾性変形領域について、前記弾性限負荷および前記
    第1の弾性率を条件として有限要素法を用いて線形解析
    するステップと、 前記塑性変形領域について、負荷条件を前記最終負荷と
    前記弾性限負荷との差とし、かつ、弾性率条件を、前記
    第1の要素群については前記第2の弾性率、前記第2の
    要素群については前記第1の弾性率として、有限要素法
    を用いて線形解析するステップと、 前記モデルの全ての要素について、前記弾性変形領域の
    線形解析結果と前記塑性変形領域の線形解析結果とを足
    し合わせるステップとを有する塑性解析方法。
  2. 【請求項2】 前記応力−歪み曲線を画像データとして
    読み込み、該画像データから前記塑性変形が始まる応力
    および歪みを求める請求項1に記載の塑性解析方法。
  3. 【請求項3】 有限要素法を用いて解析する際の代表的
    な複数種類のモデルを格納したモデルファイルと、代表
    的な複数種類の材料についての材料定数および材料強度
    を含む材料データを格納した材料ファイルとを予め用意
    しておき、 前記モデルファイルおよび材料ファイルの中から前記構
    造物に対応するモデルおよび材料データを選択し、選択
    されたモデルおよび材料データにより有限要素法解析の
    ための解析用モデルを生成する請求項1または2に記載
    の塑性解析方法。
  4. 【請求項4】 構造物を複数の要素に分割したモデルを
    作成し、該モデルに対して有限要素法を用いて前記構造
    物に負荷が作用することにより発生する応力や歪みを求
    める塑性解析システムであって、 解析対象となる構造物の材料の破断試験結果である応力
    −歪み曲線を画像データとして読み込む画像読み込み手
    段と、 前記モデルに対し与えられた条件に従って有限要素法を
    用いて線形解析を行う有限要素法解析手段と、 前記画像読み込み手段で読み込んだ画像データに基づ
    き、塑性変形が始まる応力および歪みを求め、前記モデ
    ルの各要素を、前記塑性変形が始まる歪みを超える第1
    の要素群と残りの第2の要素群とに分けるとともに、求
    めたい最終負荷の条件を前記有限要素法解析手段に与え
    て前記線形解析を行わせて最大歪みおよび該最大歪みと
    なる要素を求めさせ、得られた最大歪みが生じるときの
    最大応力を求め、さらに、前記最大歪みとなる要素の歪
    みが前記塑性変形が始まる歪みになるときの弾性限負荷
    を求めるとともに、前記塑性変形が始まる応力および歪
    みから弾性変形領域での弾性率である第1の弾性率を求
    め、前記最大応力および最大歪みと前記塑性変形が始ま
    る応力および歪みから塑性変形領域を直線で近似した第
    2の弾性率を求める画像処理手段とを有し、 前記有限要素法解析手段は、前記弾性変形領域につい
    て、前記弾性限負荷および前記第1の弾性率を条件とし
    て前記線形解析を行い、前記塑性変形領域について、負
    荷条件を前記最終負荷と前記弾性限負荷との差とし、か
    つ、弾性率条件を、前記第1の要素群については前記第
    2の弾性率、前記第2の要素群については前記第1の弾
    性率として前記線形解析を行い、前記モデルの全ての要
    素について、前記弾性変形領域の線形解析結果と前記塑
    性変形領域の線形解析結果とを足し合わせる機能を有す
    る塑性解析システム。
  5. 【請求項5】 有限要素法を用いて解析する際の複数種
    類のモデルを格納したモデルファイルと、 複数種類の材料についての材料定数および材料強度を含
    む材料データを格納した材料ファイルと、 前記モデルファイルおよび材料ファイルの中から選択さ
    れた、前記構造物に対応するモデルおよび材料データに
    従って、有限要素法解析のための解析用モデルを生成す
    るモデル生成手段とを有する請求項4に記載の塑性解析
    システム。
  6. 【請求項6】 複数種類のグラフについての作成条件を
    格納したグラフ作成条件ファイルと、 前記グラフ作成条件ファイルから選択された作成条件に
    従って、前記有限要素法解析手段での解析結果をグラフ
    化して表示装置に表示させるグラフ作成手段を有する請
    求項5に記載の塑性解析システム。
  7. 【請求項7】 コンピュータによって、構造物を複数の
    要素に分割したモデルを作成し、該モデルに対して有限
    要素法を用いて前記構造物に負荷が作用することにより
    発生する応力や歪みを求める塑性解析プログラムを記録
    した記録媒体であって、 該塑性解析プログラムはコンピュータに、 解析対象となる構造物の材料の破断試験結果である応力
    −歪み曲線から、塑性変形が始まる応力および歪みを求
    める手順と、 求めたい最終負荷の条件で前記モデルに対して有限要素
    法を用いて線形解析を行い、最大歪み、該最大歪みとな
    る要素および最大応力を求めるとともに、前記モデルの
    各要素を、塑性変形が始まる歪みを超える第1の要素群
    と残りの第2の要素群とに分け、さらに、前記最大歪み
    となる要素の歪みが前記塑性変形が始まる歪みになると
    きの弾性限負荷を求める手順と、 前記塑性変形が始まる応力および歪みから弾性変形領域
    での弾性率である第1の弾性率を求め、前記最大応力お
    よび最大歪みと前記塑性変形が始まる応力および歪みか
    ら塑性変形領域を直線で近似した第2の弾性率を求める
    手順と、 前記弾性変形領域について、前記弾性限負荷および前記
    第1の弾性率を条件として有限要素法を用いて線形解析
    する手順と、 前記塑性変形領域について、負荷条件を前記最終負荷と
    前記弾性限負荷との差とし、かつ、弾性率条件を、前記
    第1の要素群については前記第2の弾性率、前記第2の
    要素群については前記第1の弾性率として、有限要素法
    を用いて線形解析する手順と、 前記モデルの全ての要素について、前記弾性変形領域の
    線形解析結果と前記塑性変形領域の線形解析結果とを足
    し合わせる手順とを実行させる、塑性解析プログラムを
    記録した記録媒体。
JP9127262A 1997-05-16 1997-05-16 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体 Expired - Fee Related JP3000957B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9127262A JP3000957B2 (ja) 1997-05-16 1997-05-16 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9127262A JP3000957B2 (ja) 1997-05-16 1997-05-16 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10320432A JPH10320432A (ja) 1998-12-04
JP3000957B2 true JP3000957B2 (ja) 2000-01-17

Family

ID=14955690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9127262A Expired - Fee Related JP3000957B2 (ja) 1997-05-16 1997-05-16 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3000957B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4648590B2 (ja) * 2001-07-27 2011-03-09 株式会社竹中工務店 建物変形解析装置
JP4760374B2 (ja) * 2005-12-28 2011-08-31 トヨタ自動車株式会社 Cae解析用装置及び方法
JP4579854B2 (ja) * 2006-03-27 2010-11-10 古河電気工業株式会社 ズーミング解析装置、ズーミング解析方法及びプログラム
CN101479730B (zh) * 2006-06-27 2011-06-08 日本电气株式会社 基板或电子部件的翘曲分析方法、基板或电子部件的翘曲分析系统及基板或电子部件的翘曲分析程序
JP5003145B2 (ja) * 2006-12-26 2012-08-15 セントラル硝子株式会社 ガラス板の曲げ成形難易度判定方法
JP5088265B2 (ja) * 2008-01-23 2012-12-05 日本電気株式会社 応力解析装置及び方法
JP5395636B2 (ja) * 2009-11-24 2014-01-22 株式会社耐震解析研究所 構造物の構造解析方法
JP5685911B2 (ja) * 2010-12-06 2015-03-18 日本電気株式会社 電子部品の接続部解析システム、接続部解析方法、およびプログラム
CN102175357B (zh) * 2011-03-09 2013-03-27 上海交通大学 基于结构微应变的轴承力直接测量方法
JP5919782B2 (ja) * 2011-12-08 2016-05-18 Jfeスチール株式会社 耐デント性評価方法
JP2014173637A (ja) * 2013-03-07 2014-09-22 Ntn Corp クラウニングの設計方法およびころ軸受の製造方法
CN105608262B (zh) * 2015-12-17 2018-12-25 中国石油大学(北京) 用于弹塑性模型的粗化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10320432A (ja) 1998-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3000957B2 (ja) 有限要素法を用いた塑性解析方法、システムおよび有限要素法を用いた塑性解析プログラムを記録した記録媒体
JP2003270060A (ja) 応力ひずみ解析システム及びそれに用いる応力ひずみ解析方法並びにそのプログラム
JP3897477B2 (ja) 応力−ひずみ関係シミュレート方法およびスプリングバック量予測方法
US5826213A (en) Method and apparatus for investigating toughening mechanisms and crack advance in lightweight materials
JP2008287520A (ja) 解析方法、プログラム、記録媒体および解析装置
JP2692668B2 (ja) 有限要素法を用いた接触解析方法及びそのシステム
JP5737059B2 (ja) プレス成形シミュレーション解析方法及び装置
JPWO2007141855A1 (ja) 試験機および試験方法
JP2007114061A (ja) ひずみ測定方法およびひずみ測定装置
JP7178508B2 (ja) ピーン成形条件設定方法、ピーン成形方法およびピーン成形条件設定装置
JP3430723B2 (ja) 材料試験機のデータ処理装置
JP2985438B2 (ja) 製品設計仕様複合解析方法及びそのシステム
JP4001675B2 (ja) エイジフォーミング用成形治具の初期形状を決定する方法
JP4459121B2 (ja) 積層材料の解析方法、積層材料の変位特性算出方法
JP2004148381A (ja) プレス成形シミュレーションシステム、プレス成形シミュレーション用プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体
JP2002045920A (ja) プレス成形シミュレーション用計算安定化方法
JP4631207B2 (ja) 変形形状算出装置及びプログラム
KR20030009879A (ko) 항공기 모델링시의 동하중 해석방법
JPH11148875A (ja) 残留応力解析装置
JP7343759B2 (ja) 材料パラメータ算出方法、材料パラメータ算出装置、および構造体のシミュレーション方法
JP2720788B2 (ja) 材料試験機
JP3526755B2 (ja) 材料試験機
JP3852874B2 (ja) 床振動解析方法および装置
JP3418114B2 (ja) 試験装置および方法
JP2024000925A (ja) パラメータ取得方法及びパラメータ取得プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101112

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees