JP3852874B2 - 床振動解析方法および装置 - Google Patents

床振動解析方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の床の振動を解析する方法および装置に関し、特に床の振動に係わる物理的特性を簡易解析法により求める方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビルなどの建物において良好な居住環境を確保する上で、床の振動障害に対する対策が重要である。この対策が不十分な場合には、床上を人が歩行したときや、床上でモータあるいは発電機などを稼働させたとき、大きい振動が階下に伝わって、階下の居住環境が悪化してしまう。また、精密加工機械などが設置される場合には、許容限度を越える振動が機械に伝わり、必要な加工精度を保つことが困難となる。
【0003】
そのため従来より、建物の設計段階や建物が完成した段階で床振動のチェックが行われていた。
建物の設計段階でのチェックは、概ね次のような作業手順で行われる。すなわち、まず床の固有振動数を計算し、さらに、予想される振動源(歩行する人間やモータなど)に対する床の反応として、床の変位および加速度を計算する。そして、得られた計算結果を、日本建築学会が作成した「居住性能評価基準」のグラフ上にプロットして評価し、振動障害の発生を予測する。その後、上記計算結果、グラフ、判定結果などを文書にまとめる。
【0004】
また、建物の完成後にチェックを行う場合の作業手順は概ね次のようなものである。すなわち、まず完成した建物において実測により振動障害の現状を調査し、その調査結果にもとづいて振動障害を減ずるための対策を立案し、さらに予想される振動源に対し、床の変位および加速度応答を計算する。その後、得られた計算結果を、日本建築学会が作成した「居住性能評価基準」のグラフ上にプロットして評価し、振動障害の発生を予測する。その後、上記計算結果、グラフ、判定結果などを文書にまとめる。
いずれの場合にも振動障害の発生が予測されたときは、設計変更や必要な対策を実施し、その後、再度上述の作業を行って振動障害の有無を確認することになる。
【0005】
このようなチェックでは上述のように床の固有振動数や、変位および加速度の計算が必要であるが、この計算は従来、手計算、簡易解析、有限要素法の3通りの手法のいずれかにより行われていた。
これらの手法のうち、手計算による方法は、実際の床を忠実に表現した解析モデルを使用することができず、十分な解析精度が得られないため、振動障害の予測結果は精度の低いものとならざるを得ない。そして、境界条件を種々に設定したり、間柱による補強や受動的制振装置を用いて振動制御を行う場合にはほとんど対応できない。なお、受動的制振装置はTMD(Tuned Mass Damper)とも呼ばれている。
【0006】
これに対して、有限要素法を用いる方法では、実際の床を忠実に表現した解析モデルを使用することができ、非常に高い精度で振動障害を予測することが可能である。また、境界条件を種々に設定したり、間柱による補強や受動的制振装置を用いて振動制御を行う場合にも対応できる。しかし、データの作成や計算結果の評価に膨大な手間と時間がかかるという欠点がある。また、有限要素法に関する専門的な知識が必要なため、建物の構造設計者が自身で作業を行うことは困難なケースも多い。そのため、この方法では多大のコストと時間がかかってしまう。
【0007】
簡易解析を行う方法は、手計算と有限要素法の中間に位置するもので、床構造を的確にモデル化することで計算量の削減を図っている。この方法では、有限要素法を用いた場合のように高い精度は得られないが、通常必要なレベルの精度は確保でき、有限要素法よりはるかに実用的なコストと時間で解析を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような簡易解析法は通常、コンピュータを用いて行われ、したがって、解析の実行に先立って床などに関する種々の物理的データをコンピュータに与える必要がある。
コンピュータに与えるべき物理的データは、床に関しては、床の縦および横の長、厚さ、ヤング係数、ポアソン比、曲げ剛性、単位体積重量など多数であり、さらに梁に関しても、梁の位置、構造の種別、断面寸法、ヤング係数、ポアソン比、単位体積重量、鉛直バネ剛性、回転バネ剛性などを入力しなければならない。そして、床に加わる外力や、柱に関しても種々のデータを多数入力する必要がある。
【0009】
このようなデータの入力は、最も単純には、簡易解析を行うためのプログラムにおいて、パラメータとして設定されている上記種々の物理的データの箇所を、解析対象の床の構造などに応じて書き換えることで行うことができる。
また、別の方法としては、上記種々の物理的データを予めファイルとしてコンピュータのハードディスクなどに格納しておき、解析実行時に簡易解析プログラムがハードディスクをアクセスして上記ファイルから物理的データを読み込む構成とすることも可能である。
【0010】
しかし、プログラムを書き換える方法では、複雑なプログラムの修正作業を行うことになり非常に効率がわるい。また、ファイルから読み込む方法では、プログラムの修正は不要であるが、物理的データのファイルを作成しなければならず、それにはかなりの時間と手間がかかってしまう。さらに、いずれの方法でもミスが生じやすく、一層の効率低下を招く可能性が高い。
【0011】
本発明の目的は、このような問題を解決し、床の振動解析に必要な種々のデータを時間をかけずに容易に、かつミスなく入力できるようにした床振動解析方法および装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、建物の床の振動を簡易解析法によりコンピューターを用いて解析する方法において、前記床の振動解析に必要な複数の物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記複数の物理的データをデータ入力手段によって取り込むデータ入力ステップと、前記データ入力ステップで取り込んだ前記物理的データを記憶装置にデータ書き込み手段によって格納するデータ書き込みステップと、前記記憶装置に格納されている前記物理的データと、前記記憶装置に予め格納されている、外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を解析手段によって行う解析ステップと、前記解析ステップにおける解析の結果を表示装置に出力手段によって表示する出力ステップと、を含み、前記データ入力ステップは、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に入力領域表示手段によって表示する入力領域表示ステップと、前記データ入力領域の近傍に、前記データ入力領域に入力すべき前記物理的データに係わる文字および記号のいずれかまたは両方を入力情報表示手段によって表示する入力情報表示ステップと、所定の操作により入力装置を通じて入力された前記物理的データを前記データ入力領域内にデータ表示手段によって表示するデータ表示ステップとを含むことを特徴とする床振動解析方法。
【0013】
本発明の床振動解析方法はまた、前記床に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記床に関する物理データを第1のデータ入力手段によって取り込む第1のデータ入力ステップと、前記床を支持する梁に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記梁に関する物理データを第2のデータ入力手段によって取り込む第2のデータ入力ステップと、前記梁を支持する柱に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記柱に関する物理データを第3のデータ入力手段によって取り込む第3のデータ入力ステップと、前記床に加わる外力に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記外力に関する物理データを第4のデータ入力手段によって取り込む第4のデータ入力ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の床振動解析方法はまた、前記解析ステップでは、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用いて前記解析手段によって解析を行うことを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記床に関する前記物理的データは、前記床の縦および横の長さと、厚さと、ヤング係数およびポアソン比、あるいは曲げ剛性と、単位体積重量の各データを含むことを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記梁に関する前記物理的データは、前記梁の位置と、構造の種別と、断面寸法と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含むことを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記柱に関する前記物理的データは、前記柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含む請求項2記載の床振動解析方法。
本発明の床振動解析方法はまた、前記外力に関する前記物理的データは、前記外力が加わる位置のデータを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の床振動解析方法はまた、前記データ入力ステップは、床上に装着された受動的制振装置に関する前記物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記受動的制振装置に関する前記物理的データを第5のデータ入力手段によって取り込む第5のデータ入力ステップをさらに含むことを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記受動的制振装置に関する前記物理的データは、前記受動的制振装置の位置と、バネ剛性と、重量と、減衰定数の各データを含むことを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記記憶装置に格納されている前記外力の時系列データは、人が前記床上で飛び跳ね、歩行、小走り、かかと衝撃動作、ならびにエアロビクス屈伸運動のいずれかを行った場合に前記床に加わる力のデータであることを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記解析ステップでは、前記解析手段によって前記解析を行って、前記床の固有振動周波数を算出することを特徴とする。
本発明の床振動解析方法はまた、前記解析ステップでは、前記解析手段によって前記解析を行って、前記床の動的応答特性を求めることを特徴とする。
【0016】
本発明はまた、建物の床の振動を簡易解析法により解析する装置において、前記床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込むデータ入力手段と、前記データ入力手段が取り込んだ前記物理的データを記憶装置に格納するデータ書き込み手段と、前記記憶装置に格納されている前記物理的データと、前記記憶装置に予め格納されている、外力の時系列データとにもとづき、前記簡易解析法により床振動に係わる解析を行う解析手段と、前記解析手段による解析の結果を表示装置に表示する出力手段と、を含み、前記データ入力手段は、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示する入力領域表示手段と、前記データ入力領域の近傍に、前記データ入力領域に入力すべき前記物理的データに係わる文字および記号のいずれかまたは両方を表示する入力情報表示手段と、所定の操作により入力装置を通じて入力された前記物理的データを前記データ入力領域内に表示するデータ表示手段とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の床振動解析装置はまた、前記データ入力手段が、前記床に関する前記物理的データを取り込む第1のデータ入力手段と、前記床を支持する梁に関する前記物理的データを取り込む第2のデータ入力手段と、前記梁を支持する柱に関する前記物理的データを取り込む第3のデータ入力手段と、前記床に加わる外力に関する前記物理的データを取り込む第4のデータ入力手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の床振動解析装置はまた、前記解析手段が、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用いて解析を行うことを特徴とする。
本発明の床振動解析装置はまた、前記床に関する前記物理的データが、前記床の縦および横の長さと、厚さと、ヤング係数およびポアソン比、あるいは曲げ剛性と、単位体積重量の各データを含み、前記梁に関する前記物理的データが、前記梁の位置と、構造の種別と、断面寸法と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含み、前記柱に関する前記物理的データが、前記柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含み、前記外力に関する前記物理的データが、前記外力が加わる位置のデータを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の床振動解析装置はまた、前記データ入力手段が、前記床上に装着された受動的制振装置に関する前記物理的データを取り込む第5のデータ入力手段をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の床振動解析方法では、データ入力ステップで、床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込み、データ書き込みステップでは、データ入力ステップで取り込んだ物理的データを記憶装置に格納する。その後、解析ステップで、記憶装置に格納されている上記物理的データと、記憶装置に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を行う。出力ステップでは、その解析結果を表示装置に表示する。
【0021】
そして、上記データ入力ステップでは、上述のように物理的データを取り込む際に、まず入力領域表示ステップで、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示ステップで、上記データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字や記号として例えばデータの名称や単位などを表示する。そして、データ表示ステップで、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0022】
また、本発明の床振動解析装置では、データ入力手段が、床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込み、データ書き込み手段は、データ入力手段で取り込んだ物理的データを記憶装置に格納する。その後、解析手段は、記憶装置に格納されている上記物理的データと、記憶装置に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を行う。出力手段は、その解析結果を表示装置に表示する。
【0023】
そして、上記データ入力手段が、上述のように物理的データを取り込む際に、データ入力手段の入力領域表示手段は、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示手段は、上記データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字や記号として例えばデータの名称や単位などを表示する。そして、データ表示手段は、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1の(A)は本発明による床振動解析装置の一例を示す機能ブロック図、図1の(B)は、(A)の床振動解析装置を構成する各データ入力手段の機能ブロック図、図2は図1の床振動解析装置を構成するパーソナルコンピュータを示す構成図、図3は、図1の床振動解析装置の動作を示すフローチャートである。以下ではこれらの図を参照して本発明の床振動解析装置の実施例について説明し、同時に本発明の床振動解析方法の実施例について説明する。
【0025】
本実施例の床振動解析装置は具体的には図2に示したパーソナルコンピュータ2(以下、パソコン2ともいう)により構成され、このパソコン2は、CPU4と、不図示のインターフェース回路などを通じてCPU4に接続されたメモリ6、ハードディスク装置8、CRTモニタ10、キーボード12、マウス14、ならびにプリンタ16などにより構成されている。そして、実施例の床振動解析装置の主要な機能な、ハードディスク装置8に格納されている所定のプログラムデータを上記メモリ6にロードし、CPU4をそのプログラムデータにもとづいて動作させることで実現される。なお、本発明に係わる記憶装置は、上記メモリ6およびハードディスク装置8により構成されている。
【0026】
図1の(B)に示すように、実施例の床振動解析装置18は、機能的には、第1ないし第5のデータ入力手段20、22、24、26、28を含むデータ入力手段21、データ書き込み手段30、記憶装置19、解析手段32、ならびに出力手段34により構成されている。
第1ないし第5のデータ入力手段20、22、24、26、28は、本実施例では対話形式で、床振動の解析に必要な種々の物理的データ(以下、単にデータともいう)を操作者(通常は設計者)の操作にもとづいて順次取り込む。各データ入力手段21は具体的には以下のデータをそれぞれ取り込む。
【0027】
第1のデータ入力手段20は、床に関するデータとして、床の縦および横の長さと、厚さと、ヤング係数およびポアソン比、あるいは曲げ剛性と、単位体積重量の各データを取り込む。
第2のデータ入力手段22は、梁に関するデータとして、梁の位置と、構造の種別と、断面寸法と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを取り込む。
第3のデータ入力手段24は、柱に関するデータとして、柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを取り込む。
第4のデータ入力手段26は、外力に関するデータとして、外力が加わる位置のデータを取り込む。
第5のデータ入力手段28は、受動的制振装置に関するデータとして、受動的制振装置の位置と、バネ剛性と、重量と、減衰定数の各データを取り込む。
【0028】
これら第1ないし第5のデータ入力手段20,22,24,26,28はそれぞれ、上述した各種のデータを対話的に取り込むために、図1の(B)に示したように、入力領域表示手段23Aと、入力情報表示手段23Bと、データ表示手段23Cとを備えている。
入力領域表示手段23Aは、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示手段23Bは、データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字および記号のいずれかまたは両方を表示する。そして、データ表示手段23Cは、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0029】
データ書き込み手段30は、第1ないし第5のデータ入力手段20、22、24、26、28が取り込んだ各種のデータをメモリ6の所定領域にそれぞれ格納する。
解析手段32は、データ書き込み手段30によりメモリ6に格納された上記データと、ハードディスク装置8に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用いて床振動に係わる解析として、固有値解析と動的応答解析とを行う。
なお、上記外力の時系列データとしては、本実施例では人が床上で飛び跳ね運動を行った場合に床に加わる力のデータが、予めハードディスク装置8に格納されている。図5の(A)は、人が床上で飛び跳ね運動を行った場合に床に加わる外力データをプロットしたグラフである。図中、横軸は時間を表し、縦軸は力の強さを表している。
出力手段34は、解析手段32による固有値解析と動的応答解析の結果を、後に詳しく説明するようにCRTモニタ10に表示し、またプリンタ16に出力する。
【0030】
次にこのように構成された床振動解析装置18の動作について、図3のフローチャートを参照しつつ詳しく説明する。
まず、第1のデータ入力手段20の入力領域表示手段23Aは、対話形式で床(スラブ)に関するデータを取り込むため、CRTモニタ10(本発明に係わる表示装置)の画面に、データを入力するためのウインドウを表示する(ステップS1)。図4の(A)はこの床に関するデータを入力するためのウインドウを示す説明図である。
【0031】
入力領域表示手段23Aは、ウインドウ36内に、各データを入力するための7つの矩形の領域38、40、42、48、50、52、60、62(本発明に係わるデータ入力領域)を、ウインドウ36内の異なる箇所に表示し、そして、入力情報表示手段23Bは、各領域の近傍にデータの名称など、データに係わる文字や、単位などの記号を表示する。
領域38、40はそれぞれXおよびY方向の床の長さを入力するための領域である。領域38、40に近接して表示された矩形図形42は床を表し、矢印44、46はXおよびYの各方向を示している。X方向の床の長さを入力するための領域38は矩形図形42の上に配置され、領域38の右側には単位を表す“m”の文字が近接して表示されている。一方、Y方向の床の長さを入力するための領域40は矩形図形42の左側に配置され、領域40の右側には単位を表す“m”の文字が近接して表示されている。
【0032】
領域48は床(スラブ)の厚さを入力するための領域であり、領域48の左側にはこのデータの名称“スラブ厚”が近接して表示され、右には単位“cm”が近接して表示されている。
領域50、52はそれぞれXおよびY方向のヤング係数または曲げ剛性を入力するための領域である。各領域の左側には方向を示す“X方向”および“Y方向”が表示され、各領域の右側には単位を表す“t/cm2 ”が表示されている。領域50、52は枠線54により囲まれており、枠線54内の上部にはヤング係数と曲げ剛性のいずれかを選択するための円形の小領域56、58が表示され、各小領域56、58の右側には“ヤング係数”および“曲げ剛性”がそれぞれ表示されている。
枠線54の下側にはそれぞれポアソン比と単位体積重量を入力するための領域60、62が表示され、各領域60、62の左側には“ポアソン比”および“単位体積重量”がそれぞれ表示されている。そして領域62の右側には単位を示す“t/m3 ”が表示されている。
【0033】
このような表示に対して操作者は必要なデータを順次入力していく。例えばX方向の床の長さを入力するときは、領域38をまずマウス14によりクリックする。すなわち、CRTモニタ10の画面に表示された不図示のマウスカーソルを、マウス14を操作して領域38内に移動させ、例えばマウス14の左ボタンを1度押す。これにより領域38内に文字入力のためのカーソルが表示され、操作者はキーボード12(本発明に係わる入力装置)を操作して、X方向の床の長さのデータを入力する。
【0034】
データ表示手段23Cは、このデータの各数字や文字が入力されるごとに、それらを順次、領域38内に表示する。その結果、入力が完了した段階で、領域38には、例えば図4の(A)に示したように“9.00E+0”と表示される。次に、Y方向の床の長さを入力する場合には、操作者は領域40をマウス14によりクリックする。その結果、領域40内に文字入力のためのカーソルが表示され、操作者はキーボード12を操作して、例えば“6.00E+0”と入力する。
操作者はこのような操作を他のデータ入力領域に関しても順次実行し、必要なデータを入力していく。なお、ヤング係数と曲げ剛性に関してはいずれかを選択するようになっており、操作者はヤング係数を入力する場合には小領域56をクリックした上で、一方、曲げ剛性を入力する場合には小領域58をクリックした上で領域50、52にそれぞれヤング係数または曲げ剛性のデータを入力する。
【0035】
図4の(A)の例では、一例として、XおよびY方向の床の長さとしてはそれぞれ9mおよび6mが入力され、スラブ厚は12cm、ヤング係数はXおよびY方向共に2.10+2t/cm2、ポアソン比は0.17、単位体積重量は2.4t/cm3が入力されている。
【0036】
操作者は、このような床に関するデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、設定ボタン64をクリックする。その結果、第1のデータ入力手段20はウインドウ36の表示を解消し、一方、データ書き込み手段30が起動され、入力された各データをメモリ6の所定領域に格納する(ステップS2)。
【0037】
また、設定ボタン64がクリックされたことで、第2のデータ入力手段22が起動され、第2のデータ入力手段22は、梁に関するデータを入力するための最初のウインドウをCRTモニタ10の画面に表示する(ステップS3)。
この最初のウインドウも基本的には、図4の(A)に示した床に関するデータを入力するためのウインドウ36と同様の構成となっており、ウインドウ内には第2のデータ入力手段22の入力領域表示手段23Aによって、梁の位置と、構造の種別と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを入力するための領域が表示され、それらの領域の近傍には入力情報表示手段23Bによりデータの名称や単位などがそれぞれ表示される。
操作者はこのウインドウに対し、上述の場合と同様に、各データ入力領域ごとに、まず領域内をクリックすることで文字入力のためのカーソルをその領域内に表示させ、キーボード12を操作して必要なデータを入力していく。そしてデータ表示手段23Cはデータが入力されると、そのつど入力されたデータを各領域に表示する。
【0038】
操作者は、これらのデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、ウインドウ内に表示されたサイズ設定ボタンをクリックする。その結果、第2のデータ入力手段22はウインドウの表示を解消し、第2のデータ入力手段22の入力領域表示手段23Aは次に、梁の断面寸法を入力するためのウインドウをCRTモニタ10の画面に表示する。図4の(B)はこの梁の断面寸法を入力するためのウインドウを示す説明図である。
【0039】
図4の(B)に示したように、第2のデータ入力手段22は、ウインドウ104内のほぼ中央に、この例ではH形鋼の断面図形106を表示し、入力領域表示手段23Aは、この断面図形106の周辺に各寸法データを入力するための4つの矩形の領域(本発明に係わるデータ入力領域)を表示する。
領域108、領域110はそれぞれH形鋼の高さおよび幅をそれぞれ入力するための領域である。また、領域112、領域114はそれぞれH形鋼を成す鋼材の厚さを入力するための領域である。各領域の右側にはそれぞれ単位“mm”が表示されている。
【0040】
このような表示に対して操作者は必要なデータを順次入力していく。例えばH形鋼の高さを入力するときは、領域108をまずマウス14によりクリックする。すなわち、CRTモニタ10の画面に表示された不図示のマウスカーソルを、マウス14を操作して領域108内に移動させ、例えばマウス14の左ボタンを1度押す。これにより領域108内に文字入力のためのカーソルが表示され、操作者はキーボード12を操作して、H形鋼の高さをのデータを入力する。データ表示手段23Cは、このデータの各数字や文字が入力されるごとに、それらを順次、領域108内に表示する。
【0041】
操作者は、このようにして断面寸法に関するデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、ウインドウ104内に表示された設定ボタン116をクリックする。その結果、第2のデータ入力手段22はウインドウの表示を解消し、一方、データ書き込み手段30が起動され、入力された梁に関する各データをメモリ6の所定領域に格納する(ステップS4)。
【0042】
また、設定ボタン116がクリックされたことで、第3のデータ入力手段24が起動され、第3のデータ入力手段24は、柱に関するデータを入力するためのウインドウをCRTモニタ10の画面に表示する(ステップS5)。
このウインドウも基本的には、図4の(A)および(B)に示した床や梁に関するデータを入力するためのウインドウと同様の構成となっており、ウインドウ内には柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを入力するための領域が入力領域表示手段23Aによって表示され、それらの領域の近傍には入力情報表示手段23Bによりデータの名称や単位などがそれぞれ表示される。
操作者はこのウインドウに対し、上述の場合と同様に、各データ入力領域ごとに、まず領域内をクリックすることで文字入力のためのカーソルをその領域内に表示させ、キーボード12を操作して必要なデータを入力していく。そして第3のデータ入力手段24のデータ表示手段23Cはデータが入力されると、そのつど入力されたデータを各領域に表示する。
【0043】
操作者は、柱に関するデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、ウインドウ内に表示された設定ボタンをクリックする。その結果、第3のデータ入力手段24はウインドウの表示を解消し、一方、データ書き込み手段30が起動され、入力された柱に関する各データをメモリ6の所定領域に格納する(ステップS6)。
【0044】
また、設定ボタンがクリックされたことで、第4のデータ入力手段26が起動され、第4のデータ入力手段26は、外力に関するデータを入力するための、上記ウインドウ36と同種のウインドウをCRTモニタ10の画面に表示する(ステップS7)。このウインドウ内には外力が加わる位置の座標値のデータを入力するための領域が表示され、それらの領域の近傍には座標の名称および単位がそれぞれ表示される。
【0045】
操作者はこのウインドウに対し、上述の場合と同様に、XおよびYの座標値のデータを入力する。そして第4のデータ入力手段26はデータが入力されると、そのつど入力されたデータを各領域に表示する。
操作者は、外力に関するデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、ウインドウ内に表示された設定ボタンをクリックする。その結果、第4のデータ入力手段26はウインドウの表示を解消し、一方、データ書き込み手段30が起動され、入力された外力に関する各データをメモリ6の所定領域に格納する(ステップS8)。
【0046】
また、設定ボタンがクリックされたことで、第5のデータ入力手段28が起動され、第5のデータ入力手段28は、受動的制振装置に関するデータを入力するための、ウインドウ36と同種のウインドウをCRTモニタ10の画面に表示する(ステップS9)。このウインドウ内には受動的制振装置の位置と、バネ剛性と、重量と、減衰定数の各データを入力するための領域が表示され、それらの領域の近傍にはデータの名称や単位などがそれぞれ表示されている。
【0047】
操作者はこのウインドウに対し、上述の場合と同様に、各データ入力領域ごとに、まず領域内をクリックすることで文字入力のためのカーソルをその領域内に表示させ、キーボード12を操作して必要なデータを入力していく。そして第5のデータ入力手段28はデータが入力されると、そのつど入力されたデータを各領域に表示する。
操作者は、受動的制振装置に関するデータの入力を完了すると、表示されたデータに間違いがなければ、ウインドウ内に表示された設定ボタンをクリックする。その結果、第5のデータ入力手段28はウインドウの表示を解消し、一方、データ書き込み手段30が起動され、入力された受動的制振装置に関する各データをメモリ6の所定領域に格納する(ステップS10)。
なお、床に受動的制振装置を装備しない場合には、受動的制振装置に関するデータは無論不要であるから、第5のデータ入力手段28によるデータの入力は不要であり、操作者はこれに関するデータの入力操作を行う必要がない。
【0048】
以上のように解析に必要なデータの入力が完了すると、解析手段32は、上述のようにデータ書き込み手段30によりメモリ6に格納された上記データと、ハードディスク装置8に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、固有値解析と動的応答解析とを行う(ステップS11)。ここで、解析手段32は、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用い、したがって、未定係数を含む床の形状関数により床の変形を定義し、エネルギ最小原理からその未定係数を決定する。
解析手段32は、固有値解析において、床の1次固有振動数を算出し、さらに、床が1次振動モードで振動した場合の、床上の各位置における変位の大きさを算出する。一方、動的応答解析では、図5に示した飛び跳ね運動による外力が床に加わった場合の床の動的応答特性を算出する。この動的応答特性としては、床の変位と加速度の両方を算出し、さらに、最大変位と、最大加速度を求める。
【0049】
その後、出力手段34は、解析手段32による固有値解析と動的応答解析の結果をCRTモニタ10に表示する(ステップS12)。
ここで、出力手段34は、操作者による指示にもとづいて、解析結果を評価画面、モード図、ならびに時系列グラフのいずれかの形で表示する。そのため、出力手段34は、まずCRTモニタ10の画面に出力選択のためのウインドウを表示し、そのウインドウ内に、評価画面、モード図、ならびに時系列グラフのそれぞれに対応するボタンを、それぞれ“評価画面”、“モード図”、ならびに“時系列グラフ”の表示と共に表示する。
【0050】
これに対して、操作者はマウス14を操作してマウスカーソルをいずれかのボタン上に配置し、クリックすることで、所望の解析結果をCRTモニタ10の画面に表示させることができる。
図6は、評価画面の表示を示す説明図である。操作者が評価画面のボタンをクリックすると、出力手段34はCRTモニタ10の画面に解析結果を表示するためのウインドウ66を表示し、そのウインドウ66内に固有振動数や、評価のためのグラフを表示する。
【0051】
出力手段34はこのウインドウ66内の左上の箇所に、数値を表示するための3つの領域68、70、72を確保し、各領域の左側にはそれぞれ“最大変位”、“最大加速度”、“1次固有振動数”の語句を表示する。また、各領域の右側にはそれぞれの単位“μm”、“cm/s2 ”、“Hz”を表示する。そして、各領域68、70、72内に、解析手段32が求めた床の上記最大変位、最大加速度、1次固有振動数をそれぞれ表示する。
【0052】
日本建築学会は、振動の種類や、建物の用途に応じて、床の変位および加速度に関して種々の評価基準を設定している。ウインドウ66内に出力手段34が表示した2種類のグラフ74、76は、この評価基準にもとづいて、解析した床の振動を評価するためのものである。
グラフ74は、床振動の変位振幅に関するものであり、横軸が周波数、縦軸が変位量を表し、いずれも対数目盛となっている。このグラフには6本の基準曲線が描かれており、各曲線が各評価基準V−0.75、V−1.5、V−3、V−5、V−10、V−30に対応している。なお、各基準は、数値が小さいほど厳しく、許容される変位振幅および加速度振幅は小さくなっている。
一方、グラフ76は、床振動の加速度振幅に関するものであり、横軸が周波数、縦軸が加速度を表し、いずれも対数目盛となっている。このグラフにも6本の基準曲線が描かれており、各曲線が各評価基準V−0.75、V−1.5、V−3、V−5、V−10、V−30に対応している。
【0053】
出力手段34はウインドウ66内の上部の箇所に、選択操作領域78を確保し、ここに各評価基準を選択するためのボタン80をマトリクス状に表示し、その周囲に“振動種別1”や“住居”といった関連情報を表示する。各ボタン80には評価基準を表す“V−0.75”や“V1.5”などが表示され、そしてボタン80の列は振動の種別(振動種別1〜3)とランク(ランク1〜3)とに対応し、行は建物の用途に対応している。
ここで振動の種別とは、解析手段32が動的応答解析を行う際に、どのような振動外力を床に与えるか表しており、振動種別1は連続または断続的な振動、振動種別2は減衰率の低い衝撃振動、振動種別3は減衰率の高い衝撃振動となっている。
また、ランクは各評価基準を、振動種別および建物の用途ごとに分類するためのもので、ランク1が最も厳しく、ランク3が最も緩やかな評価基準となっている。
【0054】
操作者はこの選択操作領域78を見て必要な評価基準を選択し、マウス14を操作してボタン80をクリックする。出力手段34は特定のボタン80がクリックされると、そのボタン80に対応する評価基準の曲線を他の曲線とは異なるより目立つ色で表示する。図6の例では、振動種別1のランク2の列に配置された評価基準V−3のボタン80がクリックされており、出力手段34は、グラフ74、76において、この評価基準V−3に対応する各曲線を他とは異なる色で表示する。
【0055】
そして、出力手段34は、グラフ74において、上記領域72に表示した1次固有振動数の位置を通る仮想垂直線と、上記領域68に表示した最大変位の位置を通る仮想水平線との交点の位置に、マーク82を表示する。また、グラフ76において、上記領域72に表示した1次固有振動数の位置を通る仮想垂直線と、上記領域70に表示した最大加速度の位置を通る仮想水平線との交点の位置に、マーク84を表示する。
図6の例では、マーク82、84は共に評価基準V−3の各曲線より上に表示されているので、基準を満たしておらず、何らかの対策が必要であることを示している。
【0056】
出力手段34はまた、選択されたボタン80に対応する振動種別、ランク、ならびに建物の用途を、それぞれウインドウ66内の領域72の下方に表示する。さらに、それにつづけて、上記1次固有振動数における各評価基準V−3の曲線の値をそれぞれ“基準変位”および“基準加速度”として単位“μm”、“cm/s2 ”と共に表示する。また、これらの基準変位および基準加速度と、上記最大変位および最大加速度との差を、それぞれ“超過変位”および“超過加速度”として表示する。
出力手段34はさらに、図6の例では上述のように解析結果が基準を満たしていないので、ウインドウ66の左下の箇所に、そのことを表す雲の図86を表示する。なお、解析結果が基準を満たしているときは、出力手段34はこの雲の図86に代って不図示の太陽の図を表示する。
【0057】
このように、上述した出力を選択するウインドウにおいて操作者が評価画面のボタンをクリックすると、ウインドウ66に、解析手段32が算出した1次固有振動数や、最大変位、最大加速度などの数値が表示され、さらに、解析結果を評価するためのグラフ74、76などが表示される。操作者はこれらの表示により、解析結果を容易に評価することができる。
【0058】
一方、操作者が、上述した出力を選択するウインドウにおいてモード図のボタンをクリックすると、出力手段34は、ウインドウをCRTモニタ10の画面に表示し、そのウインドウ内にモード図を表示する。
図7は、このウインドウ内に表示されたモード図を示す説明図である。図中、矩形88が解析対象の床を表し、矩形88の内側の各格子点上に、床振動に伴う変位の大きさを表すマーク90が表示されている。出力手段34はこれらのマーク90の大きさを、解析手段32が固有値解析の結果算出した、床上の各位置における変位の大きさにもとづいて設定する。大きいマーク90ほど大きい変位を表し、また、白抜きのマーク92は位相が反転していることを表している。図7の例では、床の中央で最も変位が大きくなっており、また、矩形88内にマーク92は表示されていないので、位相が反転している箇所はないことがわかる。
【0059】
また、操作者が、上述した出力を選択するウインドウにおいて時系列グラフのボタンをクリックすると、出力手段34は、ウインドウをCRTモニタ10の画面に表示し、そのウインドウ内に時系列グラフを表示する。
図8は、このウインドウ内に表示された時系列グラフを示す説明図である。
このウインドウには2つのグラフ94、96が表示されており、グラフ94は床振動の変位を示し、グラフ96は加速度を示している。両グラフの横軸は共に時間を表し、グラフ94の縦軸は変位、グラフ96の縦軸は加速度を表している。出力手段34は、解析手段32が動的応答解析により求めた床の変位と加速度とにもとづいて、床の変位および加速を表す曲線をグラフ94、96上にそれぞれ表示する。
なお、出力手段34は、操作者の指示にしたがって、CRTモニタ10と同じ内容の評価画面、モード図、ならびに時系列グラフをプリンタ16に出力する。操作者はこの出力結果により、報告書などをまとめることができる。
【0060】
以上説明したように本実施例の床振動解析装置18では、データ入力手段21が上述のように物理的データを取り込む際に、データ入力手段21の入力領域表示手段23Aが、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示手段23Bは、上記データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字や記号として例えばデータの名称や単位などを表示する。そして、データ表示手段23Cは、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0061】
したがって、操作者は、表示装置の画面に表示されたデータ入力領域およびデータの名称などにより、どのような物理的データを入力すべきかを明確に把握でき、各データ入力領域に順次、データを入力していくのみで必要なデータを漏れなく入力できる。また、そのとき単位などの表示を参照することで的確な単位で各データを入力することができる。
そのため、解析に必要な種々の物理的データを時間をかけずに容易に、かつミスなく入力することができる。
さらにその結果、解析により対策が必要となった場合にも、柱を新たに追加してみるとか、梁を太くしてみるといった試行錯誤を容易に行うことができる。
【0062】
以上、本発明の実施例について説明したが、これはあくまでも一例であり、本発明はこの例に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば上記実施例では、外力が、飛び跳ね運動により床に加わる力であるとしたが、これ以外にも、人が床上で歩行、小走り、かかと衝撃動作、エアロビクス屈伸運動などを行った場合に床に加わる力のデータを予めハードディスク装置8に格納しておき、必要に応じて選択することで、これらの外力に対する動的応答解析を行うことができる。図5の(B)ないし(E)は、図5の(A)に相当するグラフであり、人が床上で歩行、小走り、かかと衝撃動作、エアロビクス屈伸運動を行った場合に床に加わる力をそれぞれ示すグラフである。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の床振動解析方法では、データ入力ステップで、床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込み、データ書き込みステップでは、データ入力ステップで取り込んだ物理的データを記憶装置に格納する。その後、解析ステップで、記憶装置に格納されている上記物理的データと、記憶装置に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を行う。出力ステップでは、その解析結果を表示装置に表示する。
【0064】
そして、上記データ入力ステップでは、上述のように物理的データを取り込む際に、まず入力領域表示ステップで、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示ステップで、上記データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字や記号として例えばデータの名称や単位などを表示する。そして、データ表示ステップで、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0065】
また、本発明の床振動解析装置では、データ入力手段が、床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込み、データ書き込み手段は、データ入力手段で取り込んだ物理的データを記憶装置に格納する。その後、解析手段は、記憶装置に格納されている上記物理的データと、記憶装置に予め格納されている外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を行う。出力手段は、その解析結果を表示装置に表示する。
【0066】
そして、上記データ入力手段が、上述のように物理的データを取り込む際に、データ入力手段の入力領域表示手段は、各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示し、入力情報表示手段は、上記データ入力領域の近傍に、データ入力領域に入力すべき物理的データに係わる文字や記号として例えばデータの名称や単位などを表示する。そして、データ表示手段は、所定の操作により入力装置を通じて入力された物理的データをデータ入力領域内に表示する。
【0067】
したがって、操作者は、表示装置の画面に表示されたデータ入力領域およびデータの名称などにより、どのような物理的データを入力すべきかを明確に把握でき、各データ入力領域に順次、データを入力していくのみで必要なデータを漏れなく入力できる。また、そのとき単位などの表示を参照することで的確な単位で各データを入力することができる。
そのため、解析に必要な種々の物理的データを時間をかけずに容易に、かつミスなく入力することができる。
さらにその結果、解析により対策が必要となった場合にも、柱を新たに追加してみるとか、梁を太くしてみるといった試行錯誤を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明による床振動解析装置の一例を示す機能ブロック図、(B)は、(A)の床振動解析装置を構成する各データ入力手段の機能ブロック図である。
【図2】図1の床振動解析装置を構成するパーソナルコンピュータを示す構成図である。
【図3】図1の床振動解析装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】(A)は床に関するデータを入力するためのウインドウを示す説明図、(B)は梁の断面寸法に関するデータを入力するためのウインドウを示す説明図である。
【図5】(A)ないし(E)は、人が床上で飛び跳ね運動などを行った場合に床に加わる外力データをプロットしたグラフである。
【図6】評価画面の表示を示す説明図である。
【図7】ウインドウ内に表示されたモード図を示す説明図である。
【図8】ウインドウ内に表示された時系列グラフを示す説明図である。
【符号の説明】
2 パーソナルコンピュータ(パソコン)
4 CPU
6 メモリ
8 ハードディスク装置
10 CRTモニタ
12 キーボード
14 マウス
16 プリンタ
18 床振動解析装置
19 記憶装置
20 第1のデータ入力手段
21 データ入力手段
22 第2のデータ入力手段
23A 入力領域表示手段
23B 入力情報表示手段
23C データ表示手段
24 第3のデータ入力手段
26 第4のデータ入力手段
28 第5のデータ入力手段
30 手段
32 解析手段
34 出力手段

Claims (17)

  1. 建物の床の振動を簡易解析法によりコンピューターを用いて解析する方法において、
    前記床の振動解析に必要な複数の物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記複数の物理的データをデータ入力手段によって取り込むデータ入力ステップと、
    前記データ入力ステップで取り込んだ前記物理的データを記憶装置にデータ書き込み手段によって格納するデータ書き込みステップと、
    前記記憶装置に格納されている前記物理的データと、前記記憶装置に予め格納されている、外力の時系列データとにもとづき、簡易解析法を用いて床振動に係わる解析を解析手段によって行う解析ステップと、
    前記解析ステップにおける解析の結果を表示装置に出力手段によって表示する出力ステップと、
    を含み、
    前記データ入力ステップは、
    各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に入力領域表示手段によって表示する入力領域表示ステップと、
    前記データ入力領域の近傍に、前記データ入力領域に入力すべき前記物理的データに係わる文字および記号のいずれかまたは両方を入力情報表示手段によって表示する入力情報表示ステップと、
    所定の操作により入力装置を通じて入力された前記物理的データを前記データ入力領域内にデータ表示手段によって表示するデータ表示ステップと、
    を含むことを特徴とする床振動解析方法。
  2. 前記床に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記床に関する物理データを第1のデータ入力手段によって取り込む第1のデータ入力ステップと、前記床を支持する梁に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記梁に関する物理データを第2のデータ入力手段によって取り込む第2のデータ入力ステップと、前記梁を支持する柱に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記柱に関する物理データを第3のデータ入力手段によって取り込む第3のデータ入力ステップと、前記床に加わる外力に関する物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記外力に関する物理データを第4のデータ入力手段によって取り込む第4のデータ入力ステップとを含む請求項1記載の床振動解析方法。
  3. 前記解析ステップでは、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用いて前記解析手段によって解析を行う請求項1または2に記載の床振動解析方法。
  4. 前記床に関する前記物理的データは、前記床の縦および横の長さと、厚さと、ヤング係数およびポアソン比、あるいは曲げ剛性と、単位体積重量の各データを含む請求項2記載の床振動解析方法。
  5. 前記梁に関する前記物理的データは、前記梁の位置と、構造の種別と、断面寸法と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含む請求項2記載の床振動解析方法。
  6. 前記柱に関する前記物理的データは、前記柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含む請求項2記載の床振動解析方法。
  7. 前記外力に関する前記物理的データは、前記外力が加わる位置のデータを含む請求項2記載の床振動解析方法。
  8. 前記データ入力ステップは、床上に装着された受動的制振装置に関する前記物理的データが操作者の操作によって入力されると、前記受動的制振装置に関する前記物理的データを第5のデータ入力手段によって取り込む第5のデータ入力ステップをさらに含む請求項1記載の床振動解析方法。
  9. 前記受動的制振装置に関する前記物理的データは、前記受動的制振装置の位置と、バネ剛性と、重量と、減衰定数の各データを含む請求項8記載の床振動解析方法。
  10. 前記記憶装置に格納されている前記外力の時系列データは、人が前記床上で飛び跳ね、歩行、小走り、かかと衝撃動作、ならびにエアロビクス屈伸運動のいずれかを行った場合に前記床に加わる力のデータである請求項1記載の床振動解析方法。
  11. 前記解析ステップでは、前記解析手段によって前記解析を行って、前記床の固有振動周波数を算出する請求項1記載の床振動解析方法。
  12. 前記解析ステップでは、前記解析手段によって前記解析を行って、前記床の動的応答特性を求める請求項1記載の床振動解析方法。
  13. 建物の床の振動を簡易解析法により解析する装置において、
    前記床の振動解析に必要な複数の物理的データを取り込むデータ入力手段と、
    前記データ入力手段が取り込んだ前記物理的データを記憶装置に格納するデータ書き込み手段と、
    前記記憶装置に格納されている前記物理的データと、前記記憶装置に予め格納されている、外力の時系列データとにもとづき、前記簡易解析法により床振動に係わる解析を行う解析手段と、
    前記解析手段による解析の結果を表示装置に表示する出力手段とを含み、
    前記データ入力手段は、
    各物理的データを入力するための複数の領域を各物理的データごとに表示装置の画面上の異なる箇所に表示する入力領域表示手段と、
    前記データ入力領域の近傍に、前記データ入力領域に入力すべき前記物理的データに係わる文字および記号のいずれかまたは両方を表示する入力情報表示手段と、
    所定の操作により入力装置を通じて入力された前記物理的データを前記データ入力領域内に表示するデータ表示手段と、
    を含むことを特徴とする床振動解析装置。
  14. 前記データ入力手段は、前記床に関する前記物理的データを取り込む第1のデータ入力手段と、前記床を支持する梁に関する前記物理的データを取り込む第2のデータ入力手段と、前記梁を支持する柱に関する前記物理的データを取り込む第3のデータ入力手段と、前記床に加わる外力に関する前記物理的データを取り込む第4のデータ入力手段とを含む請求項13記載の床振動解析装置。
  15. 前記解析手段は、簡易解析法としてレイリーリッツ法を用いて解析を行う請求項13または14に記載の床振動解析装置。
  16. 前記床に関する前記物理的データは、前記床の縦および横の長さと、厚さと、ヤング係数およびポアソン比、あるいは曲げ剛性と、単位体積重量の各データを含み、前記梁に関する前記物理的データは、前記梁の位置と、構造の種別と、断面寸法と、ヤング係数と、ポアソン比と、単位体積重量と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含み、前記柱に関する前記物理的データは、前記柱の位置と、鉛直バネ剛性と、回転バネ剛性の各データを含み、前記外力に関する前記物理的データは、前記外力が加わる位置のデータを含む請求項14記載の床振動解析装置。
  17. 前記データ入力手段は、前記床上に装着された受動的制振装置に関する前記物理的データを取り込む第5のデータ入力手段をさらに含む請求項13記載の床振動解析装置。
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